2020年9月6日日曜日

英陸軍が戦車部隊を縮小中。全廃も視野に入っている模様。105年の運用実績に幕が下りる?

 国は戦車保有数を削減中で、多数車両は20年にわたり性能改修を受けていない。

英陸軍が史上初の「タンク」を戦闘投入して今月は104周年となる。投入の一年前にウィンストン・チャーチルが陸上艦艇 Landships 委員会を発足させ、戦車原型の開発が始まった。同委員会は全地形を移動可能な大型車輪付き「陸上艦」自重300トンの開発を統括しようとした。

 

同構想は大胆すぎるとわかり、一号戦車はドイツ帝国のウィルヘルム三世皇帝を侮蔑し「リトルウィリー」と呼称されたが、当初構想から大幅縮小され、かつ非武装だった。そこからほぼ一年かけてMk I戦車として改良された。当時は開発対象を欺瞞するため、車両に「タンク」の名称がつき、清水を戦線へ運搬する容器に誤認させようとした。1915年12月に「タンク」が公式採用され、陸上艦委員会はタンク補給委員会に呼称変更された。戦車はソンムの戦いで実戦デビューした。

 

以来一世紀が経過したが、戦車を最初に実戦投入した同じ国が戦車を全廃しようとしている。昨年、ペニー・モーダント国防相(当時)は戦車は時代遅れと発言し、英陸軍のチャレンジャー2戦車は20年余り大規模改修を受けていないと述べていた。

 

 

戦車配備数の削減がすでに始まっている。英陸軍はチャレンジャー2戦車500両を運用していたが、現在227両ほどになっており、多数は保管状態に置かれている。さらに148両に削減の可能性があり、戦車連隊はわずか2個になりそうだ。各連隊には56両程度が配備され、その他は訓練・予備車両となる。

 

英陸軍の選択肢にはチャレンジャー2近代化改修として砲塔主砲の更改もあったが、ドイツのレパード2導入の構想もあり、もともと100年あまり前に対ドイツ戦を想定し戦車を開発した国がドイツ製戦車を採用する可能性があるのは皮肉なことだ。

 

現在の議論は新型戦車の開発にとどまらず、英軍がNATO軍事同盟でど果たすべき役割という根本問題に焦点が集まっている。

 

英陸軍の戦車連隊が二個のみとなるが、チャレンジャー2戦車がウォリアー戦闘車両(28トン)と併用される。ウォリアーは歩兵を戦場に移動させながら軽装甲車両なら十分対抗できる。ただし、ウォリアー(700両)でも近代化改修が予算超過と遅延に直面している。

 

英国が戦車全廃に踏み切っても初の国とならない。オランダ陸軍は戦車部隊を廃止し、予備数両が残るのみだ。オランダ軍歩兵部隊はドイツ陸軍の装甲部隊に編入されている。

 

米海兵隊も今年初めに戦車部隊は全廃し、砲兵隊も三分の一削減する案を発表し、今後は揚陸作戦を主眼に置く軽装備で戦闘部隊となる。

 

英陸軍も戦車の必要性を感じるだろうが、戦闘状況の変化をにらんで決断するだろう。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Will the British Army Retire the Tank After 105 Years?

September 3, 2020  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: TanksUnited KingdomRoyal ArmyNATORussiaMilitary

Will the British Army Retire the Tank After 105 Years?

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com


2020年9月5日土曜日

三井E&Sがヴィエトナム向け艦艇建造へ

 井E&Sの造船部門はマレーシアの投資会社T7グローバルバハドの海洋部門と共同でヴィエトナム人民海軍(VPN)、ヴィエトナム沿岸警備隊(VCG)向け艦艇の建造を狙う。

 


 

Japan’s Mitsui Engineering & Shipbuilding, which in January launched Japan’s third Hibiki-class ocean surveillance ship (pictured), has signed an agreement with Malaysian firm T7 Marine to explore naval vessel opportunities in Vietnam. (JMSDF)

三井E&Sはひびき級海洋観測艦三号艦あきを1月に進水させた。 (JMSDF)

 

 

T7は完全子会社のT7マリーンが事業に参画し、三井と商機を探るとし、まずVPN、VCG向けの建造を手掛けると発表。

 

両社の合意覚書によれば、それぞれの知見を活かし、ヴィエトナム向け艦艇建造で受注を目指すほか、同国で他の商機も模索する。契約は3年間有効で延長も可能。


今回の事案は日本がめざす東南アジア向け防衛装備輸出拡大の一環だ。

.

同社は2019年に海上自衛隊に向け遠洋哨戒艦艇12隻の建造計画を提示していた。また今年1月にひびき級海洋観測艦の三号艦を進水させている。ひびき級は先に二隻が1990年代に供用開始している。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Mitsui, T7 sign deal to supply naval vessels to Vietnam

04 SEPTEMBER 2020

by Jon Grevatt

 


2020年9月3日木曜日

SCS内の中国の不法軍事施設は米軍攻撃で瞬殺される (もしそうならざまあみろ、だ)

 国が南シナ海で構築した人工島には一定の軍事的意義があるとはいえ、水路及び海底資源の確保という政治的主張の一部としての意味のほうが大きい。だがいったん戦闘が始まれば、各島の価値は急落する。

 

 

南シナ海(SCS)に構築した各島を中国は守り切れるだろうか。

 

第二次大戦中の日本は各島の支配で戦略的優位性を発見したものの、米国を各島攻略に分散させることには失敗した。時間が経つにつれ、各島は戦略的な負債になり、日本は糧食、燃料、装備等の補給に追われることになった。SCS内の各島は中国に好都合な立地とはいえ、中国軍に真の価値を生む資産になれるだろうか。答えは肯定的だが、実際に戦闘開始となれば価値は急落するだろう。

 

中国は何を構築したのか

 

中国はSCS各地に軍事施設を構築し、特にスプラトリー、パラセル両諸島に多い。このうち、スプラトリーではスビ、ミスチーフ、フィアリークロスに滑走路を構築したほか、ミサイル陣地、レーダー、インフラ施設が造成されそうだ。パラセルではウッディー島に大規模施設を構築し、その他の場所にヘリコプター施設、レーダー基地を設けた。中国の建設工事は続いており、将来の軍事プレゼンスが拡大しそうだ。大規模基地のあるスビ、ミスチーフ、フィアリークロス、ウッディクロスには軍用機施設が備わり、戦闘機、大型哨戒機に使える。ミサイル陣地、レーダー、航空機による中国軍事力は南シナ海全域に届く勢いだ。

 

ミサイルに注目

 

一部の島はSAM装備の拠点になり、125マイル射程のHQ-9以外にロシア製S-400が導入されそうだ。また地上発射式巡航ミサイル(GLCM)も配備されよう。こうしたミサイルで南シナ海は米艦船、航空機に危険な場所となる。あるいは防空装備の不足を痛感する事態になる。SAMにネットワークやレーダーが接続されれば、敵機は相当の電子戦支援がないと接近できなくなる。GLCMで中国のA2/ADネットワークが強化され、潜水艦、艦艇、航空機からの発射を上回る威力を発揮できる。

 

だが戦闘となればミサイル拠点が残存できなくなるのは公然の秘密だ。陸上配備ミサイルが航空攻撃から生き残るために丘陵地、森林、他自然条件を使い隠れる。だが人工島にはこうした条件は皆無で、人工島といえども協調攻撃の前には無力となる。さらにミサイル発射装置には燃料、電力、弾薬等の切れ目ない補給活動が必要だが、撃ちあいとなれば中国がこうした補給を確実に実施できるか不明だ。

 

航空施設は簡単に排除できる

 

大型拠点があるSCS内四か所に軍用機施設が整備された。だが高性能戦闘機よりも哨戒機、電子戦機、早期警戒機の運用が重要となる。こうした機材を有効に使えば中国のA2/ADバブルは拡大でき、標的データをミサイル陣地や水上艦、さらに中国本土へ送信できる。戦闘機が展開すればSCS上空はさらに危険な場所となり、巡航ミサイルにより米艦艇の接近を阻める。

 

だが戦闘攻撃を受けた飛行施設の有効性は修理用資材、装備がどこまで使えるかで変わる。中国がSCSで構築した各基地が米軍ミサイル攻撃や爆撃を受けても機能できるか不明だ。大型基地には航空機の退避施設もあるが、こうしたシェルターが米軍の協調攻撃を受けてもそのまま残るかは大いに疑問だ。

 

レーダーも脆弱な攻撃目標になる

 

SAM、GLSM、戦闘機材は正確な標的データがあってこそ威力を発揮できる。重要なのはSCS各島のレーダー施設だ。各施設は脆弱とはいえ、中国に正確な戦闘状況を伝える貴重な存在となる。すべて機能すれば中国の防衛体制の有効性が増大する。

 

だがレーダー施設は米軍攻撃の前に脆弱だ。ミサイル攻撃、電子戦、サイバー攻撃、あるいは特殊部隊の襲撃もありうる。有事になれば中国はいきなりレーダーネットワークにアクセスできなくなりそうだ。それでもレーダーネットワークは比較的低予算で米軍のSCS突入を困難にする存在となる。

 

補給活動が中国に維持できるか

 

SCS各島における中国軍事力の発揮は中国本土と安全に通信できることが条件となる。中国が構築した人工島の多くでは補給品備蓄ができないか、攻撃の前に安全に確保できなくなる。各島には燃料、装備、弾薬類の補給が必要なため、中国の伸びきった補給部隊に相当の負担となる。PLAN、PLAAFが戦火にさらされた各島への補給作戦にリスクを押しても実施することにさしたる関心を示さなくなれば、SCS内各島の軍事的価値はマイナスとなる。中国にとって不幸なのは、島嶼戦の本質や補給体制のため各陣地を維持したくても、きわめて短期間しか可能でなくなることだ。

 

水上艦対要塞の戦いになっても

 

ネルソン卿が述べている。「要塞に戦いを挑む軍艦は愚かだ」。だが、水上艦が陸上拠点に優位となる状況もある。SCS内の中国の各島は移動できないし、軍事装備品や貯蔵品を隠す場所もない。米国はSCS内の各島の軍事施設を綿密に把握し、各島へ向かう軍事装備品の海上輸送も追尾できるだろう。これで各島は水上艦、潜水艦、航空機からの攻撃に極度なまで脆弱となる。ミサイルにはリアルタイムの標的データは必要でない。

 

米国に必要なのはズムワルト級駆逐艦に搭載予定だった高性能主砲装備で下した決定を覆すことだ。この主砲用の砲弾があればズムワルト級各艦は長距離から中国の各島を攻撃可能となり、深刻かつ復旧不能な損害を比較的安価に実現できる。これがないままだと各島には本来もっと重要な標的に残すべき巡航ミサイル多数を振り向ける必要がある。

 

SCS内各島には軍事的な意義も一部あるものの、むしろ水路や海底資源の保有を主張する政治的な道具としての方が重要だ。軍事的には中国のA2/ADシステムの薄い外皮となる。一定の条件があれば、この薄皮で米国の航行の自由を脅かせるが、米国の海軍空軍部隊からすれば排除は容易なことだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Are China's South China Sea Islands More Trouble Than They're Worth?

September 2, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: South China SeaPLAPLANPeople's Liberation ArmyBeijingIslandsMilitaryTechnology

by Robert Farley 

 

Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is a Visiting Professor at the United States Army War College. The views expressed are those of the author and do not necessarily reflect the official policy or position of the Department of the Army, Department of Defense, or the U.S. Government. This first appeared in 2018.


2020年9月2日水曜日

主張:次期自民党政権に防衛政策の継続を期待する。しかし、中朝の脅威の前に今のままでいいのか。

 日本はここ数年、防衛力近代化に走ってきた。次期首相も同じ路線を守るだろうか。だが中国の軍事力拡充にそれで十分だろうか。

 

西太平洋の安全保障環境は米国ならびに同盟国、友邦国に厳しくなっている。中国は域内支配を狙い、世界規模で兵力投射している。北朝鮮は弾道ミサイル、核弾頭双方の増強をいっこうに止めていない。中国、北朝鮮双方を抑止し、両国の軍事強硬策を止めるため、米国は域内での防衛姿勢を質量双方で変えつつある。米国の同盟国特に日本も同じ路線で努力が必要だ。だが、日本は正しい形で予算投入していくだろうか。 

 

西太平洋で力のバランスが急速に変わりつつある。中国は「大国」にふさわしい軍事力を整備し米国を追い抜こうとしている。そのためハイテク装備の実現に注力している。その狙いが米国から優位性を奪い、また米国の弱点をつくことなのは明白だ。人民解放軍(PLA)は長距離攻撃能力の整備を急進展している。PLA空軍は第五世代ステルス戦闘機を運用中で、新型長距離戦略爆撃機も加わる。PLAには長距離精密誘導弾道ミサイル巡航ミサイルが多数あり、なかでもDF-21は米空母攻撃を念頭に開発されたといわれる。通常弾頭付きミサイルは大量一斉攻撃に投入され、敵軍を緒戦で撃破するのが狙いだ。PLA海軍は攻撃型潜水艦、空母、ミサイル駆逐艦、大型揚陸強襲艦を急速に増やしている。

 

対抗する米軍は兵力構成や作戦構想を大きく変えつつある。最終目的は域内各地で部隊を迅速展開し、機動性を高めた統合部隊を各ドメインで戦力を発揮できるようにすることだ。海兵隊の遠征高機能拠点運用 Expeditionary Advanced Base Operationsは小規模ながら高機動編成の部隊を敵軍近くで移動させしつづけ、同時に長距離火力で攻撃する構想で、米国がめざす将来のハイテク戦そのものといえる。

 

米軍は新型高性能装備の導入でこうした部隊を支援する。中でも重要なのが長距離精密攻撃手段の長距離空対地ミサイル、トマホーク巡航ミサイルブロックV、陸軍の精密攻撃ミサイルだ。ミサイル防衛も重要で、陸上配備のイージスアショアやTHAADがあり、海上配備ではイージス弾道ミサイル防衛装備に新型SPY-6レーダーが導入される。

 

米国の同盟各国も中国の脅威を意識し、こうした安全保障対策の変化を共有しており、国防支出を増やしており、装備近代化を急いでいる。なかでもF-35共用打撃戦闘機の導入が日本、オーストラリア、韓国で配始まっている。

 

米同盟国としての日本の重要性は過大評価しても足りない。日本はインド太平洋で他に代えがたい役割を果たしており、その理由に同国の地理条件のほか経済力以外に、米国との緊密な関係がある。米空軍、海軍、海兵隊が日本に配備されているのはこの特別な地理条件のためだ。

 

安倍晋三首相のもと日本政府は中国、北朝鮮の脅威への抑止効果を安全視保障上の第一優先事項としてきた。自衛隊各部隊を質量双方で向上せつつ、マルチドメインでの作戦実施能力を整備してきた。

 

ここ数年の日本は装備近代化を大幅に進め、国土や周辺海域の防衛能力向上に加え遠隔地への兵力投射能力も整備してきた。F-35は147機を導入するとともにV-22ティルトローター輸送機、KC-46A空中給油機、AH-64アパッチガンシップ、ペイトリオット防空ミサイルを米国から導入する。配備中のF-15Jの大部分に新型電子装備とあわせ高性能兵装を搭載する。

 

さらに日本は国産防衛装備品の拡充も進めている。自衛隊はいずも級二隻を小型空母に改装し短距離離陸垂直着陸型F-35Bを搭載する。また第六世代戦闘機の開発を開始し、現行のF-2の後継機とする。また米国と共同開発で低軌道周回型のミサイル警戒衛星を開発する。

 

問題なのが本土ミサイル防衛体制で、イージスアショアを二か所に導入する決定が下されたが、防衛省は導入停止を発表した。中国、北朝鮮の弾道ミサイル脅威の増大を考えると、日本はミサイル防衛を真剣に考える段階に来ていると言えよう。

 

安倍政権の終焉となった今こそ安全保障で日本が果たすべき役割をインド太平洋の構図の中で真剣に考えるべきだ。率直にいって日本に中国北朝鮮へ抑止効果を発揮する意図があるのなら現行の努力では不足だ。これまでの努力を土台に未来を描く必要がある。具体的には中国あるいは北朝鮮による攻撃をかわし、または減衰させる能力が必要だし、米国や同盟国による軍事対応までは時間を稼ぐ必要がある。追加予算を効果的に投じれば、日本は「不沈空母」となる。これは第二次大戦中に英国が果たした役割である。

 

これは動的静的双方での防衛体制整備にしっかりと予算を投入しつつ、中国北朝鮮の航空機やミサイル攻撃へ対応することを意味する。同時に敵作戦を妨害するべく長距離攻撃作戦も実施すべきだ。一部にはさらにその先の「積極的否定」として日本を攻撃に耐えられるようにする防衛能力と合わせ本土周辺からさらに遠くを狙い、敵攻撃力を減衰させる攻撃能力が必要と主張する向きもある。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Can Japan Continue To Grow Into The Military Ally The U.S. Needs?September 1, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: JapanMilitaryJSDFShinzo AbeF-35China

by Dan Goure


Dan Gouré, Ph.D., is a vice president at the public-policy research think tank Lexington Institute. Goure has a background in the public sector and U.S. federal government, most recently serving as a member of the 2001 Department of Defense Transition Team. You can follow him on Twitter at @dgoure and the Lexington Institute @LexNextDC. Read his full bio here.


2020年8月31日月曜日

これもおかしい。タイが中国から通常型潜水艦を調達して海賊対策に投入??

  

タイは2015年にS26Tディーゼル電気推進式潜水艦三隻の導入を決めた。写真はS26Tの原型元級の前身宋級。(SteKrueBe/WikiMedia Commons)

.

イが潜水艦二隻を中国から追加導入の意向を示したことで、同国内に波紋が広がっている。最大野党はコロナウィルスで経済が打撃を受ける中で調達を進めていいのかと懸念を示している。

 

潜水艦の有効性に疑問を呈す批判派に対し、王立タイ海軍は8月31日記者会見を開き、導入の正統性を訴えた。

 

タイは2015年にS26Tディーゼル電気推進潜水艦三隻の導入を決めた。同型は中国の039型元級の輸出版だ。一号艦を390百万ドルで2017年に調印し、引き渡しを2024年に想定する。

 

議会小委員会は残る2隻の調達を717百万ドルでめざす政府原案を議長の一票という僅差で承認している。

 

報道機関向け説明会で調達を正当化しようと海軍参謀総長シティポン・マスカセム大将Adm. Sittiporn Maskasemは国防戦略の一環で潜水艦多数が必要と述べた。続いてプレゼンテーションでは周辺国で潜水艦導入が続き、実際に稼働開始しているため今回の調達が必要と説明した。

 

だがシンガポールのS・ラジャラトナム国際研究所の研究員コリン・コーCollin Kohは「そもそも潜水艦が同国の防衛やになぜ必要なのか説得力は低い」と述べ、「お隣に負けてはと見栄を張る」ことが導入の唯一の理由だとツイッターで解説していた。他国と同等の装備品を買わないと出遅れるとの恐れて正当化しようというのだ。

 

潜水艦が抑止効果を生み、実戦で威力を発揮することはコーも認めるが、タイ海軍の説明に疑問点が残ると指摘する。そのひとつが海賊対策に投入する、不法漁業者取締り用、さらに人道援助任務災害救難に投入するというものだ。

 

国際観光客に大きく依存するタイ経済はCOVID-19で旅行そのものができず制限されて大打撃を受けている。最も楽観的な予測でも今年タイへ入国の旅行客は8百万人に過ぎず、2019年実績の19百万人に遠く及ばない。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Thai submarine purchase hits rough seas By: Mike Yeo 

2020年8月30日日曜日

AIが空軍F-16トップパイロットに圧勝----DARPAのシミュレーションドッグファイトで

 


ヘロンシステムズのAIパイロットが空軍F-16教官パイロット「バンガー」を撃墜した瞬間。

 

DARPAのドッグファイト・シミュレーションコンテストでヘロンシステムズHeron SystemsのAI「パイロット」が空軍のF-16のトップパイロットに5対0で圧勝した。

 

「大きな一歩になった」とDARPAのジャスティン・モックが今回の試行結果を評した。

 

空軍の現役パイロットが操縦桿をAIへ譲るまではまだ道が遠いが、今回DARPAが主催した三日間に及ぶアルファドッグファイトで単純な一対一の空戦シナリオならAIシステムズで十分な操縦が可能と実証できた。わずか一年間の開発でAIエージェントがここまでの成果を見せたことが驚きだ。昨年9月に8チームがそれぞれAI開発を開始していた。

 

ヘロンは女性やマイノリティが中心の小企業でメリーランドとヴァージニアに拠点を置く。人工知能エージェント開発を業務とし、同社は競合各社を抑える出来栄えを示した。敗れたチームにはロッキード・マーティンもあり、同社は二位になった。

 

ヘロン社の開発チームがYouTubeのライブストリームで質疑応答に応じた。「一回目トライアルの一週間前時点でも、開発したエージェントではうまく操縦できなかった。そこでテコ入れして結果、一位になれた」と同社でプロジェクトを共同指揮したベン・ベルが述べている。チームは今年後半にAI学習機能の強化内容を公表するとも述べた。

 

トライアルはDARPAの航空戦闘進化(ACE)事業でリスク低減策をめざし、生身のパイロットとマシンパイロットで戦闘機材を共有しつつミッション成功を最大限にすることをめざしている。ACE構想でパイロットは自機の操縦に専念するだけでなく指示に従う無人機編隊の統制まで行う。「ACEによりパイロットはこれまでより広範囲のミッションをこなす。一方で搭乗する機体は無人装備とチームを組み、個別戦術任務をこなす」とACE事業のウェブサイトに説明がある。

 

ヘロンシステムズのAIはシミュレーション演習で終始活発に交戦し、AIパイロットは空軍現役パイロットが操縦するF-16を撃墜した。このパイロットはコールサイン「バンガー」でネリスAFBのウェポンズスクールの生え抜きである。AIは「超人的な照準能力」をシミュレーションで示したとモックは説明。

 

今回のトライアルでAIパイロットの能力が「決定的」になったわけではないものの、モックは「限定された空域での結果ではあるもののAIが十分機能することが分かった」と述べた。

 

DARPAは今回使用したシミュレーターによるシミュレーションをネリス基地に持ち込み、他の空軍パイロットでAIパイロットに勝てるかを試す予定だ。次の段階はAIパイロットで空中戦以外のミッションもこなせるかを試すことになる。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

AI Slays Top F-16 Pilot In DARPA Dogfight Simulation


"It's a giant leap," said DARPA's Justin (call sign "Glock") Mock.

By   THERESA HITCHENS

on August 20, 2020 at 6:03 PM


Ottoのセレラ 500Lは航空業界を一変させる画期的な小型機になる。軍用型も有望。(T1T2共通記事)

 ットーエイビエーション Otto Aviation から発表のセレラCelera500Lは画期的な機体になる可能性を秘めており、無人機版や軍用機として情報収集監視偵察任務につく発展も考えらえる。弾丸形状の同機をThe War Zoneがいち早く報じたのは2017年だったが、以来同社の動向を注意深く追ってきた。

 

セレラ500Lの初めての発表は同社販促用ウェブサイトの立ち上げと同日になった。報道資料は初飛行の詳細や日時に触れていないが、これまで31回の飛行を実施したとある。

 

2019年6月、民間機登録N818WMとして南カリフォーニアロジスティクス空港でタクシーする同機の姿が見られており、初飛行が近い様子だった。

 

「イノベーションにより問題解決に成功した。当社の目標は米国内のあらゆる都市間を一気に飛行可能でいながらスピード、コスト両面で民間航空便に匹敵する水準となるプライベート機を実現することだ」とオットーエイビエーションの会長兼最高技術責任者ウィリアム・オットー・シニアが記している。「個人客や家族でセレラ500Lを民間航空運賃並みの料金でチャーターしながら、プライベート機の利便性が実現する。民間航空に十分対抗できる料金でプライベート移動できれば大きな市場需要が生まれると見ている」

 

「セレラ500Lにより航空業界、旅行業界でここ50年で最大の変化が実現する。当社の機材は旅客輸送以外にも貨物空輸や軍用用途にも投入できる。セレラ500Lの市販の準備ができた」

 

OTTO AVIATION

 

OTTO AVIATION

OTTO AVIATION

 

オットーエイビエーションによればセレラ500Lの最大巡航速度は450マイル、航続距離は4,500マイルだ。また燃料消費効率が高く、1ガロンで18から25マイル飛ぶと同社は述べる。セレラ500Lと同等のビジネスジェット機では6名搭乗でガロン当たり2から3マイルなのでオットー社の経済性は際立つし、環境にもそれだけやさしいことになる。またセレラ500Lの一時間当たり運航経費は328ドルという信じられないほどの低水準だと同社は言う

 

OTTO AVIATION

 

画期的な性能を実現したのが層流効率を考慮した機体形状だ。同程度の大きさの他機より抗力は59パーセント低い。搭載するライクリン・エアクラフトエンジン・ディベロップメントRaikhlin Aircraft Engine Developments(RED)製A03 V12ピストンエンジンも大きな要素で、多段階ターボチャージャーを搭載しジェット燃料A1以外にケロシンやバイオディーゼルでの運転も可能だ。

 

REDは同エンジンは燃料消費をて抑えながら信頼性は同程度の出力のピストンエンジンよりはるかに高いとしている。「セレラ500Lの空力特性では離陸時や巡航飛行時に大馬力は不要なので効率重視のエンジンを採用した」とオットーのウェブサイトにある。

 

セレラ500Lにオットーは保有する特許7点を応用しており、その一つとして排気システムに熱交換器をつけ推力を追加した。空力的に洗練された機体形状のため、失速しても操縦に支障はなく安全性も確保している。

 

また涙滴型の機体で客室内に余裕が生まれたのも同程度の機体サイズの競合各機への優位性となる。長期間フライトでも快適さが確保されており、航続距離が4,500マイルでいながら離陸滑走路も3,300フィートで十分なためセレラ500Lは事実上米国内のあらゆる空港から途中燃料給油なしで移動可能としている。

OTTO AVIATION

 

まず民間、商用用途の実現を目指すが、オットーでは同機の長距離性能や燃料効率の高さを生かし軍用支援用途にも投入可能とみている。人員輸送貨物輸送に加え情報収集監視偵察(ISR)ミッションも視野に入る。無人機版に各種センサーを搭載すれば長時間監視や通信中継用機材として対象地点に長時間滞空し、高高度から戦場をカバーできる。また、対象地点を変更してもジェット機並みのスピードで移動可能だ。

 

オットーエイビエーションではセレラ500Lの発展型としてハイブリッド推進あるいは全電動推進で効率をさらに高める機体も提案しており、拡大型のセレラ1000Lも提案している。

OTTO AVIATION

セレラ500Lの無人機版想像図

 

OTTO AVIATION

拡大型セレラ1000Lと500Lの機体サイズ比較

 


同社は外部投資先を確保し、FAA型式認証取得のうえで受注対応する。

 

目標はFAA型式証明を2023年までに取得し、量産型セレラ500Lの製造を開始し、2025年までに発注元へ納入開始することだ。

 

謎の機体として追跡してきたが、オットーエイビエーションのセレラとして姿を現したことに興奮を抑えきれない。同機には今までにない性能と期待が詰まっており、航空業界、航空輸送を一変させる可能性を秘めている。構想を飛行可能な機材として実現したオットーエイビエーションの大きな成果となった。多大な資源と相当の高リスクがある中でこれを実現したからだ。セレラがどんな発展をするか今後も見守りたい。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

 

The Potentially Revolutionary Celera 500L Aircraft Officially Breaks Cover

Otto Aviation aims to disrupt the aviation landscape with a design that flies at jet speeds, but uses a fraction of the gas, and has more range.

BY JOSEPH TREVITHICK AND TYLER ROGOWAYAUGUST 26, 2020

Contact the authors: Joe@thedrive.com and Tyler@thedrive.com