2021年12月30日木曜日

ウクライナにJSTARSを投入した米国はロシア軍の動向に真剣に対応している。台湾とウクライナが2022年のホットスポットになる予感。

 

E-8C JSTARS aircraft US Air Force

  • ウクライナ上空に米軍情報収集機材が飛来した

  • 投入されたのはE-8C JSTARSでウクライナ投入は初めて 

  • ロシアがウクライナ国境付近に部隊増強を続け懸念が消えない中での飛行となった


国がウクライナ上空に偵察機を送った。ロシアが国境付近に大規模部隊を集結させ、ウクライナ侵攻の恐れが消えていない。


米空軍はE-8C共用監視標的攻撃レーダーシステム機(JSTARS)一機による地上情報収集を同国東部で12月27日に実施したと米欧州司令部EUCOMが12月29日CNNに明らかにした。


同機の飛行経路は明らかではない。また収集した情報の内容も不明だが、同機はウクライナ政府の承認のもと投入された。EUCOM報道官ラス・ウルフキール中佐Lt. Cmdr. Russ WolfkielがCNNに伝えた。


同機のフェイズドアレイアンテナは120度の視野で地上部隊の動向を20千平方マイルにわたり把握できると空軍は説明している。今回ウクライナ上空を飛んだE-8Cはロシア国境地帯の軍事活動を監視できたはずだ。


先週末にロシアは軍事演習が終了し10千名規模を撤収したと発表しているが、今もウクライナ国境に相当規模の部隊を維持している。


12月に入りワシントンポストがウクライナ国境地帯へのロシア軍展開を70千名(米評価)から94千名程度(ウクライナ側評価)と伝えた。ウクライナ国防省はその後120千名が集結しているとMilitary Timesに述べていた。


最近数カ月に撮影した衛星画像ではロシア軍戦術戦闘集団の軍用車両他装備がウクライナ近辺に展開している様子がわかる。


ロシアはウクライナへの軍事作戦展開を繰り返し否定しているが、懸念を消すには至っていない。


バイデン政権は12月初旬に報道機関に情報を公開し、「ロシアは2022年早々にウクライナ軍事行動を実施する前提で準備をしている」とし、「175千名規模の戦術連隊100個で装甲車両、砲兵、装備を動員する」可能性があると述べていた。


ロシアがウクライナ侵攻を決定した場合に備え、米国はその場合の結果について警告しており、ロシア向け経済財政制裁の強化も含むとしている。


今週に入り国防長官ロイド・オースティンが米海軍にハリー・S・トルーマン空母打撃群の中東方面展開を中止させ、地中海に留まらせ、欧州方面の同盟国協力国を安心させることにした。


同打撃群は米ロ及びロシアNATO間協議が終わるまで地中海に留まる。


さらにジョー・バイデン大統領は12月27日にウクライナ向け300百万ドルの軍事援助含む支出法案に署名しており、29日にはロシア大統領ウラジミール・バイデンと電話協議し「一連の問題を話し合った」とされる。■


US sends recon plane flying over Ukraine as Russian military activities nearby continue to cause alarm

https://www.businessinsider.com/us-reconnaissance-plane-ukraine-tensions-with-russia-2021-12

Ryan Pickrell


2021年12月29日水曜日

オーストラリア潜水艦調達で新提案? 海上自衛隊のおやしお級が退役するたびにオーストラリアが購入する?しかも安価に。いくら日豪関係が重要といえども、ちょっと虫が良すぎませんか。

 

 今回ご紹介する記事はオーストラリア国防記者によるものですが、かなり調子のいい話だと思いました。ただ、いくらAUKUSで原子力潜水艦を調達するといってもまだまだ先の話ですし、その間にオーストラリアの安全保障を考えるとプランBが必要なのでしょうね。しかし、この通りにおやしお級をオーストラリアに譲渡できるのか、オーストラリア海軍で同級潜水艦を運用できるのか、疑問はいろいろあるのですが....

Oyashio-class from Japan.

 

ーストラリアの潜水艦部隊を非常に安上がりに整備する方法がある。2020年代中にディーゼル潜水艦を整備しながらその先の原子力潜水艦を待つ方法だ。

 

答えは日本から使用済み潜水艦を購入することだ。実行に移せば問題に直面し、実現しないかもしれないが、オーストラリアが目指す目標が実現する可能性があるのはたしかだ。

 

突飛な発想だ、実施しても管理できないと簡単に決めつけるべきでない理由がある。

 

オーストラリア向けの原子力潜水艦を国内アデレードで建造すれば、供用開始は2040年になる。出来合いの原子力潜水艦を輸入すればこれを2031年いや2030年になりそうだ。だが、それでは現行の不十分な潜水艦戦力のままで危険だ。

 

原子力潜水艦運用には乗組員の確保も課題となる。今後潜水艦隻数が増えれば、ディーゼル動力艦であろうと乗組員確保しておけばあとが楽になる。そこで提案だが、つなぎ用に新造ディーゼル動力潜水艦を購入し、現行のコリンズ級を元とする艦なら最適だ。

 

ただしこのやり方に深刻な欠点がある。コリンズ級派生型でも納入は2030年代になる。建造は相当の費用が必要だし、少数建造では経済性も劣る。オーストラリアは不適当と判定した艦をそろえることになる。

 

これに対し、日本で供用済みの艦を導入すれば早く、安く、しかも艦寿命が7年は残ったまま手に入る。

 

日本の海上自衛隊は毎年一隻の新造潜水艦を導入している。潜水艦が30年間の供用に耐えるとしたら、30隻の潜水艦部隊が生まれる。だがそれだけの隻数を運用する予算がないため、早期退役させているのが現実だ。

 

海上自衛隊潜水艦部隊は数年前まで18隻で構成していたが、今は23隻になっており、さらに24隻とし、訓練艦2隻をここに含む。

 

対象艦はコリンズ級と同世代のおやしお級で1998年から2008年にかけ就役している。

 

水上排水量2,800トンとコリンズ級3,100トンに近く、航続距離と作戦日数はオーストラリアの求めるミッションに十分だろう。静粛化とセンサー性能はまだまだ旧式と言えない。ただし、乗組員が70名と多い。

 

おやしお級がオーストラリアに移籍されれば、オーストラリア近海運用となろう。オーストラリアへのアクセスとなる海峡部分で敵を待ち伏せる。コリンズ級各艦は航続性能を生かし、遠隔地へ展開できる。

 

日本では最古のおやしお級二隻を訓練艦に改装している。あと9隻が第一線に残っており、完全な戦闘能力を備えたまま、艦齢23年目で退役となる。

 

このうち7隻は2018年に延命化改修を施し、そうりゅう級並みの技術を搭載することが決まっている。そうりゅう級は一度はコリンズ級後継艦候補になっていた。残るおやしお級二隻は同様の改装を実施している。

 

日本の潜水艦部隊は毎年一隻建造を続けているが、新造艦が就役してもおやしお級の退役は2022年には発生しないと見る。逆に最古参の現役艦うずしおが2023年に購入可能になりそうだ。

 

うずしお他8隻のおやしお級が毎年現役を離れるたびにオーストラリアは日本に購入を打診すればよい。購入価格はスクラップ価格を大幅に増えることはないだろう。

 

日本も中古艦譲渡を通じ両国間の防衛関係強化になれば喜ぶはずだ。

 

良い状態の中古艦を運用する国は多い。多くは元英米の海軍艦艇だ。オーストラリアも多くの中古艦を運用しており、最近はチリにフリゲート艦二隻を売却している。

 

オーストラリアのおやしお級部隊は2029年に7隻になり、そのまま2031年まですぎれば、艦齢が30年に達する艦が出てくる。その後、隻数は毎年一隻ずつ減り、原子力潜水艦輸入を待つ。一隻就役し、一隻退役させる。

 

この案でオーストラリアはディーゼル潜水艦13隻を25年間供用可能となり、取り消しとなったアタック級通常型潜水艦12隻で想定した供用期間より短くなる。

 

使用済みおやしお級の稼働率はコリンズ級を上回る。コリンズ級では二年間の大規模整備が前提となっているからだ。

 

なじみのない級の艦をそろえるのは魅力に乏しい選択肢といわれるかもしれないが、不可能なことではない。コリンズ級の装備品兵装も独特のものである。

 

日本が各艦で示した保守整備の熟達度を利用することで艦の整備維持問題は大きく緩和されよう。必要に応じ日本に送り、整備すればよい。同級を長年扱ってきた技術陣の手で信頼度は高まり、長期間運用に道が開く。

 

またこの方法なら大いに経済効果を上げる。オーストラリアは建造施設も乗組員養成でも投資不要で複雑な国内支援体制を構築する必要がない。軽微な整備なら日本国内の造船施設や支援企業がオーストラリアに人員を派遣すればよい。

 

この構想で日本が信頼に足るパートナーになるのは間違いない。両国には共通の戦略問題がある。中国だ。

 

この提案で不明なのは日本製潜水艦が艦齢23年以降に維持するのが困難な作業になるか不明な点だ。

 

海上自衛隊から退役した時点で艦の状態は問題にならない。日本は生産と合わせ保守管理でも定評がある。日下元大使は2016年に日本式の保守管理を実行すればそうりゅう級潜水艦は「長期間」オーストラリアで活躍できると発言していた。

 

それでもおやしお級各艦は退役の日までまだ活用されることを前提に整備計画が組まれているはずとはいえ、各艦が王立オーストラリア海軍に編入されるまでに再整備が必要だろう。

 

ひとつ障害になりそうなのは建造後30年たっても艦内の電子装備やソフトウェアでサポートが得られるかだ。ひとえに各艦の近代化改修にかかってくる。アップデートで解決するとしても、その費用と艦価格を比較する必要がある。

 

運用開始にあたり、日本に乗組員全員の提供を依頼すればよい。英語力が前提だが日本側乗員がオーストラリア側を訓練し、段階的に現地の理解が深まれば日本へ帰国する。日本側には潜水艦多数があるので、訓練要員の確保はむずかしくないはずだ。

 

各種マニュアルも英語翻訳が必要だが、電子系はあえて翻訳が必要だろうか。不必要にややこしくなるだけな気がする。

 

オーストラリア側が見守る中で日本語表示の戦闘システムメニューを理解するのはやっかいだが、世界各国の軍組織要員は英語を使い輸入装備品を使いこなしている。オーストラリア海軍人員が簡単な日本語を学んでもいいのではないか。

 

おやしお級が2023年ごろからオーストラリアに到着しても訓練にあてる時間は短い。ただし、各艦の到着予定をにらめば、訓練の習熟が遅くても許される。

 

オーストラリア政府は急いでこの構想の可能性を検討すべきだろう。その際はオーストラリア海軍、国防省ともに日本から使用済み潜水艦を導入する際の困難点に着目すべきではなく、解決策を真剣に検討すべきだ。■

 

 

How Australia Could Expand Its Submarine Force: Buy Used Japanese Subs? - 19FortyFive

ByBradley PerrettPublished2 days ago

 

Bradley Perrett is a defense and aerospace journalist. He was based in Beijing from 2004 to 2020. This first appeared in ASPIs the Strategist. 

In this article:AUKUS, Australia, Collins-class, Japan, Oyashio-class, Submarine



2021年12月28日火曜日

2022年度の防衛政策の焦点は台湾になるのか。日米で緊急時に備えた対策が立案済み。日本の防衛予算は5.4兆円だが米国はその16倍超を国防に投じる。

 

 

 

田文雄内閣が令和4年度防衛予算の概算要求を12月24日に承認し、総額は5.4兆円(470億ドル)の史上最高規模となった。

 

前年比1.1%増とし、中国の軍事行動強化に呼応し自衛隊の戦力整備に努める。

 

 

今回の予算要求には基本研究開発分野で38%増とし、25億ドルを投入する。これと別に8.7億ドルをF-X第六世代ステルス戦闘機開発に使う。F-Xは現行のF-2戦闘機の後継機となる。ともに三菱重工が製造するが、F-2は米F-16ファイティングファルコンを原型としている。F-Xが実現すれば、40年で初の国産設計製造戦闘機となる。

 

新型機開発とは別に日本は米製機材の供用を今後も続ける。11億ドルをF-35ステルス戦闘機12機の購入に計上した。とくに短距離離陸垂直着陸型のF-35Bが海上自衛隊が整備を進めるヘリコプター空母に必要だ。

 

新年度予算で10年連続して日本の防衛支出は増加することになり、米国の圧力で日本は東アジア方面の安全保障に一層の貢献を求められている。米国と日本はともに中国が台湾へ強圧的な態度に出ていることを警戒しており、独立して機能している台湾を中国は自国領土の不可分な一部だと主張している。米国、日本の軍事部門は台湾有事を想定した緊急対応策を策定ずみと見られる。台湾に両国部隊が到着する日が来そうだ。

 

予算は国会両院での審議可決で成立する。

 

今回の日本の動きの直前に米議会は2022年度国防予算を承認仕手おり、総額は7,770億ドルと日本の16.5倍の規模となっている。■

 

Japan Proposes Increased Defense Spending Over Taiwan Concerns | The National Interest

by Trevor Filseth 

December 27, 2021  Topic: Japan  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: JapanTaiwanDefense SpendingMilitaryWeapons

 

Trevor Filseth is a current and foreign affairs writer for the National Interest.

Image: Reuters


J-20が威力を増し、大規模生産に入ったと喧伝する中国だが、西側航空戦力に対抗する性能が本当にあるのか疑わしい(今のところは)

China’s J-20 Fighter with domestic WS-10C engines. (via Twitter)

J-20は国産WS-10C エンジンに換装した 

Twitter

 

国が第五世代戦闘機J-20を増産し、人民解放軍空軍の域内での優勢度をあげようとしていると環球時報が伝えている。

 

中国には海上からの兵力投射手段となる艦載第五世代戦闘機がないため、陸上運用型のJ-20を投入せざるを得ない。▼太平洋での兵力投射では中国は米空軍力へ苦戦するのは避けられない。▼だが、域内となれば話は別だ。▼日本、台湾はともにJ-20の戦闘半径に入る。

 

成都J-20が機内兵装庫を開いている

wikipedia

 

▼中国にJ-20は現在50機程度しかないとの報道があり、域内有事の場合、同機は盤石の体制ではない。▼米3軍で2,000機以上のF-35運用を計画中で、日本は数十億ドルでのF-35購入を決定しており、太平洋での中国の制空権確保は確実ではない。▼中国政府をバックとする新聞環球時報が、J-20量産を報じた背景には、こうした要因がある。▼中国は大規模な産業基盤を有し、空母、駆逐艦、揚陸部隊を迅速に戦力化している。▼そして航空機生産でも迅速に動いている兆候がある。

 

J-20は最近、国産WS-10エンジンに換装しており、生産は合理的かつ効率的になり、より高いテンポになっている。▼「輸入エンジンから国産に切り替えたことで、大量生産が可能になった...エイビオニクス、レーダー、兵装の各システムなどJ-20はすでに国産化されている」と環球時報は述べている。▼J-20の生産拡大の範囲とペースは明確でないが、意図と生産能力は共にあるようだ。▼孫子の「質量問題」原則が、現代の戦争でも適切かつ重要であるとのコンセンサスを考えれば、航空優勢で競合するにはより多くのJ-20が中国に必要だ。

 

同時に、J-20外観のステルス構成やF-22、F-35との類似性などあっても、日米の第5世代機に対抗できると判断できる情報がない。▼J-20が、センサー有効範囲、照準精度、マルチロール航空制圧などでF-35に対抗できなければ、大量保有しても、大きな差は出ないかもしれない。▼例えば、長距離で高精度のF-35搭載センサーがJ-20を先に発見すれば、F-35一機でJ-20編隊全機を撃滅できる。

 

最後に、陸上運用J-20で日本や台湾に決定的な影響を与えらないとは言えないものの、前方基地がないと中国の航兵力投射能力は制限されたままだ。■

 

China Surges J-20 Fighter Production: Sets Sights on Surpassing US F-35 & F-22 Airpower - Warrior Maven: Military and defense news

UPDATED:DEC 26, 2021ORIGINAL:DEC 26, 2021


KRIS OSBORN, WARRIOR MAVEN

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Master’s Degree in Comparative Literature from Columbia University.

 

2021年12月27日月曜日

2022年の米空軍はB-21ロールアウトと新型給油機構想公募がハイライトになりそう。2023年度予算案が年初に姿を現せば、旧型機処分を迫られそう。

  

B-21レイダーがエルスワース空軍基地(ノースダコタ)に配備された際の想像図。(Courtesy of Northrop Grumman)

 

空軍が待ち望む新型ステルス爆撃機のロールアウトが来年に実現する。一方で2022年予算には厳しい選択が控えており、その他機材の退役も予定される。

 

 

B-21レイダーは2022年ロールアウトとあるが具体的な日程は非公表だ。ロールアウト後に初飛行が控える。

 

「B-21では特別なことを考えている」と空軍参謀総長CQ・ブラウン大将Air Force Chief of Staff Gen. CQ Brownは公開式典あるいは初飛行について9月にDefense Oneに語っていた。

 

新型爆撃機の登場は30年超ぶりとなる。ノースロップ・グラマンB-2スピリットが空軍42プラントのあるカリフォーニア州パームデイルで公表されたのは1988年11月のことだった。B-2は翌年7月に初飛行した。

 

だが空軍長官フランク・ケンドール Frank Kendall は12月9日、レイダーは2022年も極秘扱いを続けると語っていた。

 

「詳細は公開しない」とケンドールは述べ、「敵側に有利になる情報は開示したくない。国民に知らせるし、議会にも伝えるが、実際の情報は限定させていただく」

 

ケンドールは空軍協会主催のシンポジウムでB-21合計5機が42プラントで製造段階にあると認めた。

 

戦略国際研究所の航空宇宙及び国防予算分野の研究院トッド・ハリソンTodd Harrisonは2023年度予算要求が来年早々に登場すればB-21の詳細がわかるはずと見ている。ハリソンは12月10日に空軍の調達案と供用開始時期の開示を期待している。「2022年はB-21にとって重要な年になる」

 

一方で2023年度予算要求で空軍は旧式機材を整理して予算をひねり出そうとしている。予算が厳しくなるのを前提に、機材近代化が思ったように進められなくなる。ケンドール始め空軍上層部は対中戦などハイエンド戦闘で効果が期待できない旧式機材の廃止を認めるよう議会に求める声を強めている。

 

次回の予算要求ではこれまでを上回る規模の戦力構造の変化が盛り込まれそうだ。

 

空軍は空中給油機分野でKC-46Aペガサスに加え次世代機材の調達を目指しており、2022年にこの動きが強まりそうだ。今年6月に空軍はつなぎ給油機KC-Yの実現をめざし供給元を求む公示を出した。

 

その三か月後にロッキード・マーティンがLMXT空中給油機構想を発表し、エアバスA330多用途給油輸送機を改装し、160機を製造する案を発表しKC-46への競争意識を示した。

 

12月4日にDefense News取材でブラウン大将はつなぎ給油機一般競争の日程は未定と述べたが、作業は始まっている。■

 

Meeting the B-21 Raider: 2022 to bring new bomber's eagerly awaited rollout

By Stephen Losey

 Dec 23, 10:00 PM

 

About Stephen Losey

Stephen Losey is the air warfare reporter at Defense News. He previously reported for Military.com, covering the Pentagon, special operations and air warfare. Before that, he covered U.S. Air Force leadership, personnel and operations for Air Force Times.


米海兵隊・海軍の対中戦略は「スタンドイン」で、第一列島線からの撤退を拒否。中国をじわじわと苦しめる「潰瘍」戦術を展開する。ホームズ教授の解説。

  

イヴィッド・バーガー大将David Bergerが目指すのは習近平に潰瘍の苦しみを与えることだ。今月初めに米海兵隊総監のバーガーがサインしたのが「スタンドイン部隊構想」Concept for Stand-in Forcesで戦略指針として小規模海兵部隊をアジアの第一列島線沿いに展開し、米海軍と連携し、中国の人民解放軍海軍(PLAN)を苦しめようという構想で、東シナ海、台湾海峡、南シナ海での実施を目指す。

 

同構想は、米中戦略競争の武力論争における声明文としてとらえてみよう。戦略的競合では、各競争相手が軍事装備を開発し、誇示することで、有事に自国が勝者になると納得させようとするものである。

 

成功した側は敵対勢力を抑止または強要し、敵対勢力の同盟国協力国を説得して、敗北が明らかな大義を捨てさせ、同盟者協力国を説得し、勝利が明らかな大義の側に集結させる。

 

中国は米中間の競争で先行し、接近阻止領域拒否構想(A2/D2)を開発し、実現のため軍備を整備してきた。これが軍事論争におけるPLAの冒頭陳述だ。すなわち、PLAロケット部隊、航空部隊、艦艇は、前方展開する米軍を開戦時に打撃し、米本土から太平洋を西進する援軍の合流を阻止するはずだ。

 

その過程で、PLAは台湾を制圧するなど、他国が武力介入できないうちに目的を果たす時間を稼げる。そして、米軍は一時期、A2/ADの前提、有事に地域から撤退し、再び戦場に戻るという構想を受け入れていたようである。ペンタゴンで短命に終わった「エアシーバトル」構想も、この考え方に基づくものであったようだ。

 

ただし、第二次世界大戦の再演は中国に狙い通りの時間を与えることになる。日本軍による真珠湾攻撃から東京湾の戦艦ミズーリでの降伏式典まで4年近くが経過した。台湾、日本、その他中国のライバル国が、アメリカの援助なしに長く持ちこたえられる可能性はほとんどないといってよい。

 

戦力を温存すべく西太平洋から撤退すれば降伏に等しい。それゆえ、米海兵隊は近年、A2/ADに対抗し地域にとどまり、中国を阻止する方法を探求している。海兵隊・海軍は、艦隊と地上軍を小規模、安価で、より多くの部隊に分割し、新技術を装備し、威力を維持しようとしている。

 

海軍は、小型戦闘艦の大群を「分散」して戦わせ、また宇宙空間でも分散させアクセス拒否の矛先を回避しようとする。艦隊の戦闘力では、艦隊は戦闘で損失を出しても、勝利のために戦い続ける戦闘力を保持することができる。

 

結局、ここにポイントがある。

海兵隊も同じく部隊を分割して、ミサイルや高度なセンサーを装備した、軽量かつ高機動編成を実現したいとする。小型水陸両用艦は、必要に応じ部隊を島から島へ移動させる。偵察と反撃で艦隊を助けつつ、一撃を加える能力も備えている。

 

要するに、力づくで状態を変えようとする中国に対抗するため海軍部隊が近海で作戦を展開し、遠隔地に撤退することはない。近海作戦部隊と関連する一連の作戦構想により海軍海兵隊は、PLAのA2/ADへ反撃を加える。

 

この手法にはナポレオン戦争時の英陸軍と英海軍に先例がある。1807年、アーサー・ウェルズリー卿(後のウェリントン卿)は、小部隊軍隊を率いポルトガルに上陸した。その後7年にわたり、ウェリントン軍は海から支援を受けながら、ポルトガルやスペインのパルチザンとともに戦った。

 

同盟国側の目的はフランスを苦しめることにあったが、遠征に明確な目的はなかった。ロンドン当局は、ウェリントンに一定の資源を与え、騒乱の種をまくため送り出したのである。ナポレオンは、フランスの東側で大規模戦闘が進行中で、西側で戦争する気はさらさらなかったが、イベリア半島での脅威を容認せざるを得なかった。

 

そこにポイントがあった。

イベリア半島の作戦は、ナポレオンの主要な関心領域から兵力を吸い上げると同時に、重要事項からナポレオンの注意をそらす効果を生んだ。海事史家のジュリアン・コーベットJulian Corbettは、この戦争形態を「偶発性に限定された戦争」、つまり、特定の目的ではなく、指揮官に割り当てられた手段で支配される戦闘だとした。戦略家は目的、方法、手段の観点で通常は思考する。求められる目標により、資源の配分と使用方法が決まる。

 

実際に偶発戦争は、通常、最重要要素となる目的を戦略的定式から排除し、方法と手段を当事者にまかかせることになる。作戦や戦術で敵を苦しめればよいのである。

 

偶発戦争は、悩ましい戦略である。ナポレオンは、この解釈でコルベットを凌駕していた。小皇帝は半島戦争を 「スペインの潰瘍 」と呼んだ。潰瘍は致命的ではないが、常に悩実のタネとなる。気が散り、衰弱していく。コルベットにとって潰瘍戦略とは、「敵が我々の介入を許さず立案した戦争計画に侵入し、敵がその開始時の動きによって取り返しのつかないことになる」、つまり「敵から勝利の果実を奪うための介入」を意味する。

 

こうした戦略は、より大きな闘争の中で敵にちょっかいを出し、投入資源以上の戦果を生み、敵指導部は高い代償で対応せざるを得なくなる。この戦略は、海から遠い戦域で最も効果的に機能する。陸海空統合の「処分部隊」を展開するのだ。本隊から切り離されていても敵に損害を与えるに十分な戦力を有する水陸両用部隊を指す。

 

ナポレオンはスペイン潰瘍になった。今度は習近平が太平洋潰瘍になる番だ。■

 

The 'Ulcer' Strategy: How the US Military Could Wage War on China - 19FortyFive

DR. JAMES HOLMES: THE NAVAL DIPLOMAT

ByJames Holmes

 

Dr. James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and served on the faculty of the University of Georgia School of Public and International Affairs. A former U.S. Navy surface-warfare officer, he was the last gunnery officer in history to fire a battleship’s big guns in anger, during the first Gulf War in 1991. He earned the Naval War College Foundation Award in 1994, signifying the top graduate in his class. His books include Red Star over the Pacific, an Atlantic Monthly Best Book of 2010 and a fixture on the Navy Professional Reading List. General James Mattis deems him “troublesome.”

In this article:A2/AD, China, Concept for Stand-in Forces, featured, Ulcer Strategy, US Marines, US Navy