2023年7月14日金曜日

ウクライナの戦車保有数がロシアを上回ってきた。ロシアは喪失車両が増えているが、ウクライナには西側諸国の車両が続々届いているため。

 



  • ウクライナが初めてロシアより多くの戦車を保有する可能性が出てきた

  • ウクライナの戦車隊は増え続けているが、ロシアの戦車は減少中

  • しかし、ウクライナに十分な優位性にならないと専門家が述べている


クライナが初めてロシアを上回る戦車を保有する可能性が、新たなデータで示唆されている。


ブルームバーグが報じており、各種情報源のデータを総合すると、ウクライナは現在およそ1,500両の戦車を保有し、ロシアはおよそ1,400両だ。

 ロシアは3417両の戦車を保有し戦争を始めた。同時に、ウクライナは987両を保有していた。シンクタンク『国際戦略研究所』が毎年発行している報告書『The Military Balance for 2023』によると、ウクライナの戦車保有台数は1,500両である。

 ウクライナの戦車隊が増え続けてる一方で、ロシアの戦車隊は著しく消耗している。

キール世界経済研究所が発表したデータによれば、ウクライナは昨年の開戦以来、471両を追加で受け取っており、さらに286両が今後到着する予定という、

 この紛争でウクライナは558両の戦車を失い、546両を鹵獲したと、オープンソースのOryxのデータは示唆している。

 一方、ロシアはこの戦争で2091両の戦車を失ったとオリックスは推定している。

 これは保守的な見積もりの可能性が高い。同アウトレットは、写真やビデオグラフィックスの証拠がある破壊された車両のみをカウントしているからだ。


英国国防当局トップは今週、ロシアはウクライナ侵攻以来、戦闘力の「半分近く」を失ったと述べた。

 ロシアは大規模な装備喪失に見舞われた後、数十年前のソ連製戦車を倉庫から持ち出して前線に送り込んでいる。

 ロシアとウクライナの双方が損失を機密情報としているため、装備品の正確な数字を確認するのは難しく、オープンソースのデータでは大まかな推定しかできない。また、ロシアがどれだけの古い退役戦車を持ち出したのかも不明だとブルームバーグは指摘する。

 書類上、ロシアは1万2000両以上の戦車を保有しているが、そのほとんどは旧式で保管中と考えられている。 5月27日付の『キーウポスト』紙によると、イギリス軍情報機関の推定によれば、多くは老朽化しすぎており、スクラップとしてしか使い道がないという。

 戦場における戦車の平等はウクライナにとって有望かもしれないが、IISSの陸戦専門家ヨハン・ミッシェルは、平等では不十分かもとブルームバーグに警告している。

 ミシェルは、「たとえ戦車台数が均等になっても、それでうまくいくとは限らない。問題は、ウクライナに領土を取り戻す必要があることだ」。■


Ukraine could have more battle tanks than Russia for the first time ever, new data suggests

Alia Shoaib Jul 8, 2023, 6:51 PM JST


2023年7月13日木曜日

ウクライナ攻勢が停滞する中、ロシアに勝ち目はあるのか。6つのシナリオ。

 

対ロシア戦争におけるウクライナ攻勢は、期待に反し停滞している。このため、ウクライナ援助に長年反対してきた人たちを中心に、欧米援助に関する議論が再燃してきた




 その主張は、反攻の遅いのはウクライナが勝てないことの証明というものだ。ロシアの勝利は避けられない。したがって、西側諸国は援助を減らし、ウクライナを説得して戦争を終わらせるべきだというわけだ。


戦争は一日にしてならず

この議論の多くは疑わしい。なぜなら、ロシアが勝つと予測している同じ人々(左派の「反帝国主義者」やドナルド・トランプ前大統領含む右派の親ロシア派)は、ロシアが勝つことも望んでいるからだ。彼らは方法論的に「ズル」をしている。彼らの規範的願望が経験的予測に伝染し、ウクライナが崩壊しそうだとか、ロシアの残虐行為はNATOのフェイクだとか、突拍子もない論評につながっている。

 また、攻勢が徐々に強まる可能性も高い。判断を下すのは時期尚早だ。ウクライナは現在、戦場を「形成」中だ。ウクライナはロシアの急速な増援を防ぐため、指揮、兵站、通信を叩いているのだ。支援反対派がウクライナに要求しているのは、一気呵成の電撃戦で勝つか、さもなくば支援打ち切りの憂き目に遭うかだ。戦争は一日で勝てるものではなく、劇的な勝利を要求するのは、戦略分析というより、失敗した後にウクライナを切り捨てるためのお膳立てに近い。


ロシアの「勝利論」は信用できるのか?

 それでも、遅々として進まないウクライナ攻勢に関する親ロシア派の解釈は、ロシアがこの期に及んでまだ勝利へ有効な道筋を持っているのか、という興味深い疑問を提起している。

 勝利とは、戦場での決定的な勝利を意味し、それによってロシアはほぼロシアの条件での交渉を余儀なくさせ、撤退することができる。凍結された紛争や「永遠の戦争」はロシアの勝利と考えるべきではない。それはプーチンの目標ではない。例えば、アメリカはアフガニスタンやベトナムで勝利したわけではないし、ソビエトも1980年代にアフガニスタンで勝利したわけではない。それどころか、アメリカとソ連は戦い続けることで敗北を回避しただけだ。対照的に、勝利とは、戦闘を終結させ、撤退と再建を可能にする戦略的勝利(すなわち出口戦略)を意味する。

 筆者は、ロシアがウクライナで勝利する可能性を6つ考えている。残念ながら、そのほとんどは、ロシアあるいは外部の関係者による、確立された行動を大きく変える必要があるため、可能性は低い。


シナリオ1:核による強制

ロシア支援派は、このシナリオに大きな期待を寄せている。第一に、核によるハッタリで西側諸国を脅しウクライナを援助させないようにすること、第二に、戦術核兵器を使い大規模な戦闘に勝利することだ。

 もしロシアが核兵器を持っていなかったら、NATOはもっと大きく関与していただろう。NATO諸国には、参戦する国さえあったかもしれない。しかし、ロシアの核兵器は援助を止めなかったし、援助の質的向上も止めなかった。NATOは、ミサイル防衛、ミサイル、戦車、戦闘機などを提供し、ゆっくりと、しかし着実に、ロシアによる殺傷援助のレッドラインを突破してきた。数カ月ごとに第三次世界大戦の脅威を与えることで、ロシアの核サバゲーの脅威は薄れている。この効果は今後も衰えることはないだろう。

 実際に核兵器を使用するとすれば、大部分が戦場である可能性が高いが、明らかな理由のため問題が多い。「翌日」に何が起こるかは誰にもわからない。NATOが参戦する可能性もある。中国とインドはロシアを見捨てるだろうし、ワグネルの反乱で明らかになっているロシア国内の分裂は劇的に深まるだろう。また、どの目標がそれだけの戦力に見合うのか、そして、放射線を浴びた戦場で、ロジスティクスに欠けるロシア軍が活動できるのかも明らかではない。もしプーチンが決定的な勝利を得るために核兵器を使うつもりなら、おそらく今頃そうしていたはずだ。


シナリオ2:プーチンは優秀な将軍を見つけるまで更迭を続ける

ロシア将兵のパフォーマンスが低いことは、今や明らかだ。侵攻はうまく計画されていなかった。軍備統合も不十分だった。ロシアの兵站は腐敗している。ウクライナに対するロシアの当初の物的優位は巨大だった。誰もがロシアがすぐに勝利すると期待していた。だが、戦争は泥沼化している。

 エイブラハム・リンカン米大統領は、南北戦争の初期に同じような不満足な結果に直面した。彼の対応は、戦場で成功を収められる将軍を見つけるまで、北軍の将軍を何度も解任することだった。これが功を奏し、将校の質における南軍の当初の優位性は失われた。ロシアが戦場でより多くの勝利を得るため、おそらくこれがプーチンにとって最も賢明な道だろう。

 しかし、独裁政権下では将校の忠誠心が能力より重要であるため、プーチンはリンカンの選択肢を危険にさらすことはできないだろう。実験的で自由な発想を持つ将校は、プーチンにとってより良い結果をもたらす可能性が高いが、ワグネル指導者エフゲニー・プリゴジンに見られるように、独裁政権の気まぐれさと腐敗に憤慨する可能性も高い。そして、彼らの軍事的成功が政治的脅威に発展する可能性もある。

 プーチンにとっては、ウクライナで勝利するよりも政権を維持することの方が重要で、だからこそ凡庸だが忠実な将軍たちをこれまで維持してきたのだろう。ソ連の独裁者ヨシフ・スターリンは、1930年代に忠誠心を求め赤軍将校団を粛清したことで悪名高い。このため、1941年にナチス・ドイツが侵攻した際、ソ連の戦場での成績は悲惨なものとなった。スターリンはその後、有能な将校を呼び戻した。しかし、それはソ連の国家存立が脅かされたときだけだった。ウクライナ紛争はロシアにとって存亡の危機ではなく、だからこそプーチンは1年以上もこの明白な選択肢を拒否してきたのだろう。


このエッセイのパート2(明日掲載予定)では、4つの可能性について考察する:

-ロシアが総力戦の態勢に入り、圧倒的な力で勝利する。

-トランプが当選し、ウクライナを切り捨てる。


-ヨーロッパが戦争のコストと混乱に疲れ、ウクライナを見捨てる。

-中国が何らかの形でロシアを助けに来る。


エッセイのパート1では、ロシアにウクライナ戦争で勝てる6つの可能性があると示唆した。

 しかし、いずれも可能性は低い。まず、核による威圧でNATOやウクライナを脅して取引に応じさせるかもしれない。しかし、これは非常にリスクが高く、これまでうまくいっていない。

 第二に、ロシアのプーチン大統領は、アメリカのリンカン大統領が南北戦争中に行ったことで有名なように、有能な将校を見つけるまで将校を解任し始めるかもしれない。しかし、プーチンにとって将校の政治的忠誠心は、その能力よりも重要である。だから彼はこのようなことはしていない。

しかし、他にも4つの可能性がある:

シナリオ3:無期限動員

作戦的には、プーチンがもっと有能な将校を選んだ方がいいのだろうが、その代わりに、彼の現在の戦略は、ウクライナを動員し尽くすという消耗戦のようだ。これも親ロシア派の主張だ。ロシアは大きい。ウクライナが疲弊するまで、より多くの人々を動員して戦い続けることができる。これはシナリオ1や2より実行可能だが、明らかな限界がある:

限られた価値しかない周辺戦争に勝つために、軍国主義化し、ロシア経済を疲弊させる価値があるのか?ロシアは大国となり、中国や西側諸国と競争することを目指している。いつまでも泥沼の戦争を続ければ、ロシアは中進国と中国の下僕に転落することになる。

 ロシアの市民社会は、国家的重要性の低い選択戦争で総動員を受け入れるだろうか?「永遠の戦争」は日常的に国民の反感を買っている。プーチンはそれを抑圧することができるが、ウクライナ東部のスライスのためだけに広範な疎外感、場合によっては反乱のリスクを冒す価値があるのだろうか?プーチンが傭兵や外国人、囚人に頼っているのは、ロシアの中産階級が自分たちの犠牲の上に長期戦を容認しないことを知っていることを示唆している。

- 西側諸国がウクライナを支援し続ければ、総動員体制は機能するだろうか?おそらく無理だろう。欧米のGDP合計はロシアを大きく上回る。制裁が続けば続くほど、それは悪化する。

- 全面動員は、ウクライナの民族主義的な深いコミットメントに打ち勝てるだろうか?可能性はあるが、おそらく長い時間がかかるだろう。私たちは、独立のため戦うナショナリストで動員された民衆が、非常に不均衡な紛争で恐ろしい数の犠牲者を出しても、それでもあきらめないことを反植民地戦争から知っている。高い犠牲を払うことを厭わない姿勢は、これまでのウクライナの行動も特徴づけている。ロシアは何年もウクライナを叩き、肉挽き機に人を投入し続けることができるが、それがうまくいく証拠は今のところほとんどない。ロシアがこのアプローチを試したバフムートは、ピュロスの勝利だった。


シナリオ4:トランプがウクライナを切り離す

ロシアが勝つ可能性が最も高い方法がこれだ。ドナルド・トランプ前米大統領はロシアの勝利を明確に望んでおり、ロシアはトランプを勝たせるため2024年の選挙に介入する可能性が高い。しかし、ウクライナを支援するアメリカ国民の支持は高い。議会も支持している。トランプはそれを克服しなければならないが、彼は怠け者で有名だ。

 さらに重要なのは、トランプはおそらく勝てないだろう、ということだ。彼は人気投票で勝ったことがない。支持層は高齢化し、縮小している。2020年にはジョー・バイデン現大統領に敗れ、2024年には2人とも2020年と基本的に同じ顔ぶれで出馬する。だから、結果が変わると考える理由はほとんどない。共和党員の多くもこれを理解しているからこそ、トランプ以外の出馬者を探すことに躍起になっているのだ。また、欧州の一部国はウクライナを支持し続けるだろう。また、ウクライナがあきらめる可能性もなさそうだが、トランプ大統領が援助を撤回すれば、ウクライナにとって戦争が難しくなるのは明らかだ。


シナリオ5:欧州が疲れてウクライナを捨てる

この可能性はあるが、この話は以前にも聞いたことがある。寒い冬に弱虫のドイツ人が平和と安価なロシアのガスを懇願したことを覚えているだろうか?- しかし、失敗に終わった。今年の冬までにロシアのガス兵器はかなり弱まっているだろう。ヨーロッパには準備する時間があったはずだ。

 欧米の世論、特にエリート層の世論は、相変わらず持ちこたえている。どちらかといえば、ロシアにさらに傾いている。フィンランドは最近NATOに加盟したし、スウェーデンもおそらく加盟するだろう。ウクライナのNATO加盟も真剣に議論されるようになってきた。ヘンリー・キッシンジャーでさえ、昨年はヨーロッパの安定のためウクライナは負けるべきだと主張していたのに、今はウクライナのNATO加盟を支持している。


シナリオ6:中国が何かする

これは自暴自棄になったロシアメディアのタカ派の願望に過ぎない。中国がロシアを救うことはない。戦争に勝つ見込みのない経済的に衰退した中堅国のために、西側諸国との重要な経済関係を崩壊させることはないだろう。この紛争は、ロシアを中国の従属国へと変え、中国は化石燃料を安く買っている。ロシアが膠着状態を打破するために、中国が軍事的に何ができるのかさえ明らかではない。

 どれもうまくいかず、ロシアは行き詰まる

ロシアが戦争を逆転させる可能性のある方法は6つある。いずれも可能性は低く、3つはプーチンがほとんどコントロールできない外国の行動が劇的に変化するかどうかにかかっている。

 筆者自身の感覚では、ウクライナはロシアを出し抜くことで、やがて戦争に勝つだろう。つまり、この戦争は反乱に近い。反乱軍は負けることなく、侵略者が疲弊するのを待てば勝利する。ある時点で、疲弊し、不満を募らせた侵略者は、タオルを投げ家に帰る方が安上がりだと気づく。これが、1970年代にベトナムがアメリカを打ち負かした方法であり、1980年代にアフガニスタンのムジャヒディンが赤軍を打ち負かした方法である。

 現在のウクライナの攻勢は劇的に成功することはないかもしれないと-批判は正しいかもしれないが、的外れだ。ウクライナは献身的に戦い続けるだろう。重要なのは、ロシアにはただ耐え忍ぶ以上のことをする必要があるということだ。ウクライナに交渉を強要し、事態を終わらせ、出血を止めるため、断固として勝利する必要がある。対照的に、ウクライナは耐えるだけでいい。

 少なくともドニプロ川以東、そして理想的にはキーウを手に入れることだ。それがなければ、戦争は泥沼と化し、表向きは弱体であっても、決意の固い勢力がより大きな勢力を消耗させ、その代償に見合わなくなるまで続くことになる。

 決着は、ソ連・アフガン戦争と同じなものになるだろう。長期にわたる不確定な戦闘、明白な転機がないこと、どうしてもやめようとしない粘り強い敵、国民と治安当局の両方における国内での不和の拡大、外交的孤立の悪化、経済的消耗の悪化、疲弊の拡大、撤退だろう。■


Does Russia Have Any Way to Win The Ukraine War? - 19FortyFive

By

Robert Kelly


Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; RoberEdwinKelly.com) is a professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan and a 19FortyFive Contributing Editor.


ワグネルのT-90戦車含む装備品をロシア国防省が接収。ウクライナには安堵。ワグネルはアフリカ事業などまだ収益源を確保している。

ロシア国防省は、プリゴジンがT-90戦車、榴弾砲、多連装ロケットシステムなどハイエンド兵器を引き渡したと主張


シア国防省(MoD)が水曜日にテレグラム・チャンネルで発表した。エフゲニー・プリゴジンが率いるワグネル民間軍事会社は、先月の反乱の頓挫を受け2,000以上の武器と装備品、2,500トン以上の弾薬、20,000以上の小火器を引き渡した。また、戦車やその他の装甲車、大砲、地雷、弾薬が詰まったと思われる箱などを映したビデオも配信された。

 ロシア国防総省が公開した武器と弾薬が本当にワグネルの装備品なら、プリゴジンのハイエンド兵器の威力を示すものだ。

 ロシア国防総省が提供した装備品のリストには、「T-90、T-80、T-72B3戦車、グラド、ウラガン多連装ロケットシステム、パンツィール地対空ミサイルシステムなど数百の重火器」が含まれている、 2S1 Gvozdika 122 mm自走砲システム、2S3 Akatsiya 152 mm、2S5 Giatsint 152 mm、2S4 Tulpan 240 mm、榴弾砲、対戦車砲、迫撃砲システム、多目的装甲トラクター、装甲兵員輸送車、自動車などである。 

 ロシア国防総省公開のビデオには他にも以下らしきものが映っている:

  • MT-LB軽装甲車

  • 2B9 Vasilek半自動82ミリ砲迫撃砲

  • TM-62 対戦車地雷

  • 120mm 2S9 ノーナ自走砲迫撃砲

  • 152mm D-1牽引榴弾砲

  • 152mm 2S5 Giatsint-S自走野砲

  • 152mm 2A36 Giatsint-B牽引式野砲

  • 57mmS-60高射機関砲搭載トラック

  • 牽引式対戦車砲

  • AKシリーズライフル


 ロシア国防省は、プリゴジンが提供した大量の兵器について説明し、「戦闘で未使用のものもあった」と主張している。

 「すべての装備品と兵器は後方地域に輸送され、そこでロシア軍の修理・回収部隊がメンテナンスを行い、本来の目的に使用できるよう準備する」と国防省は述べている。

 プリゴジン自身については、ベラルーシに亡命中のワグネルのボスが公の場に姿を現すのは久しぶりだ。最後に目撃されたのは今月初め、反乱未遂事件後に押収された個人所有の武器を受け取りにサンクトペテルブルクに戻った時だったようだ。

 プリゴジンとワグネルの戦場指揮官たちは、プーチン大統領と会談し、何が起こったのかについて話し合った。

 「唯一言えることは、大統領は(ウクライナの)特別軍事作戦の最前線における同社(ワグネル)の行動を評価し、6月24日(反乱の日)の出来事についても評価を下したということだ」と、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は月曜日に記者団に語った。

 一方、ウクライナは、反乱をきっかけに2万5000人以上のワグネル部隊が戦場から離脱したことを知って安堵の息をついた。しかし、全面戦争が500日以上長引く中、ロシア正規軍は少なくとも、ひどく必要とされていた装備や弾薬の増強を受けているようだ。

 いずれにせよ、かつてウクライナで重武装していたワグネルの武器は、ロシア政府により鍵がかかったようだ。■


Wagner Turns Over 2,000 Heavy Weapons Including Tanks, SAM Systems



BYHOWARD ALTMAN|PUBLISHED JUL 12, 2023 3:04 PM EDT

THE WAR ZONE


ロシアは2千両以上の戦車をすでに喪失している。現代の戦場で戦車はここまで脆弱になっているのか、それともロシア軍は張子の虎だったのか。いいえ、西側の軍事技術が圧倒的な差を示しているのだ。

 

ロシア軍戦車はウクライナ軍に壊滅させられ続けている


クライナ軍の粘り強さ、戦闘熟練度、対戦車兵器、そしてもちろんロケット砲、大砲、装甲車など、多くの理由がある。ウクライナの成功は、現代戦と主力戦車の戦闘能力に新たな疑問を投げかけている。戦車が消えることはないとしても、ウクライナ戦争は、対装甲兵器と戦術の有効性を浮き彫りにし、戦車が戦闘でどう使われるのがベストなのかを指し示している。

 破壊されたロシア軍戦車の正確な数を知ることは難しいが、ロシアの戦車損失は数千両と推定され、ロシアはすでに戦車隊の2分の1以上を失ったと指摘する声も多い。これに関し重要なのは、ウクライナ軍が戦車を破壊する進取の気性に富んだ方法を発見し、対装甲兵器で成功を築きつつあるように見えることだ。大砲、ドローン、装甲車、さらに航空攻撃やミサイル攻撃でも戦車を破壊している。

 オープンソースの情報サイトOryxが破壊されたロシアの戦車数千両をカタログ化している。同サイトによれば、2,103両のロシア軍戦車が破壊、損傷、放棄、鹵獲されたという。同サイトのの解説によれば、破壊された戦車の実際の数は、記録した数をはるかに上回る可能性が高い。しかし、オリックスによれば、その数はかなり多く、2,103両の内訳は、破壊が1,323両、損傷が120両、放棄が116両、鹵獲が544両となっている。

 開戦当初は、ウクライナ戦闘機が地形、都市環境、狭い通路、チョークポイントなどを巧みに利用し、侵攻してくるロシア軍の装甲車を孤立させ、待ち伏せし、破壊したため、ロシア軍戦車は対装甲兵器の活躍で消滅した。ここ数カ月、ウクライナの戦闘員たちは、大砲、長距離ロケット、ドローン、そして最近では、ブラッドレーや戦車などの装甲車両の登場により、この戦術的成功を積み重ねてきた。

 多くの報告によれば、ロシア戦車隊は壊滅状態にあり、ロシア軍はT-55のような第二次世界大戦時の戦車を戦場に送らなければならなかったという。


T-90も破壊されている

反応装甲、複合装甲素材のさまざまな組み合わせ、高度な砲手用赤外線照準器、発煙手榴弾、飛来する対戦車ミサイルを妨害する能力などすべてがロシアのT-90M戦車に組み込まれていると報告されている。

 ロシア戦車に関するこれらの技術的詳細が真実であり、必要な運用機能を達成することができれば、T-90は懸念すべき恐ろしい脅威となる。

 とはいえ、兵器が性能を発揮できなければ、紙の上の統計では何の意味もなさない。


T-90を致命的にする要素

T-90に織り込まれた革新的技術のいくつかは、米陸軍のエイブラムス戦車アップグレードに若干似ている。例えば、T-90のスペックによれば、こ125mm滑腔砲主砲は、対人殺傷力を向上させるため、高火力対戦車(HEAT)弾やHE-FRAG弾、破片弾を発射できる。これはある程度、エイブラムスが発射する弾薬の種類と類似しており、多目的対戦車弾(MPAT)だけでなく、HEAT弾や、敵の戦闘機群を破壊する断片化された小型弾丸を放出する、いわゆる「キャニスター」弾も含まれる。

 T-90は1993年に就役したが、どの程度まで整備され、アップグレードされているかは、疑問符がつく。複数の報告によれば、同戦車は、飛来するATGMレーザー照準を狂わせる「TShu-1-7-Shtora-1」オプトロニック・システムや電気光学ジャマーなど、相当高度な対抗手段を備えている。おそらく最も重要なのは、T-90Mが先進的なサーマルサイトを備えていることだろう。高忠実度の長距離照準センサーは、衝撃的な差分を提供する。例えば、米陸軍のv3エイブラムス型は、FLIR(前方監視赤外線センサー)を搭載し、スタンドオフ距離で高解像度の照準画像を送信できると報告されている。


疑問は残る

したがって、本当の疑問は、ロシアの兵器開発者がT-90に組み込んだアップグレードの性質と程度に関係する可能性が高い。T-90は、米軍のエイブラムスv3やv4の新型に匹敵するアップグレードが施されているのだろうか?

米軍の最新型と競争するためには、T-90に統合されたアクティブ・プロテクション・システムと、Shora-1のようなソフトキル・センサーとロシアのArenaシステムのようなハードキル・タイプの迎撃ミサイルを接続する火器管制技術が必要と思われる。


専門家の意見

「T-90はTShU-1-7 Shtora-1オプトロニック・カウンターメジャーズ・システムを装備している。T-90はまた、レーザーが照射されると戦車乗員に警告するレーザー警告パッケージも装備している。Shtora-1は電気光学ジャマーで、敵の対戦車誘導ミサイル、レーザー距離計、目標指定器への半自動コマンドを妨害する。Shtora-1は実際にはソフトキル、つまり対抗措置システムである。アリーナのようなハードキル・システムと併用するのが最も効果的だ」とFAS軍事分析ネットワークは述べている。

 FASによれば、T-90の滑腔砲はタイムフューズ付き弾丸を発射できる。また、FASはT-90はリフレクスと呼ばれるレーザー誘導ミサイルを発射でき、「対空」兵器として装甲物体や低空飛行するヘリコプター双方を標的にできるという。700mmのRHAeを4,000メートルまで貫通できるミサイル(リフレクス)は、T-90が他の車両やヘリコプターと交戦する前に交戦する能力を与える。コンピュータ化された火器管制システムとレーザー測距儀は、新しいアガベ砲手のサーマルサイトと相まり、T-90が移動中や夜間でも目標に照準を合わせることを可能にしている」とFASは述べている。


T-90には欠陥がある

しかし、ウクライナで高所から「上から下へ」発射された対戦車ミサイルでロシア戦車が破壊されたことは、ロシアの戦車には360度のアクティブ・プロテクション・システムが欠如していることを示唆している。『ニューズウィーク』が掲載した興味深いビデオが、まさにそれを示している。ウクライナで上空から攻撃され、爆発するロシアのT-90を捉えた映像である。

 FASによれば、T-90は先進的な赤外線照準器も搭載するものの、T-90がどの程度整備され、アップグレードされているかに関係してくるようだ。コンピューティング、エレクトロニクス、照準システム、アクティブ・プロテクション、車載コマンド・コントロール技術の進歩により、現在のエイブラムス戦車は10年前とまったく異なるプラットフォームになっているからだ。

 現在のエイブラムス並のアップグレードをロシアがどこまで成功させているかは、未解決の問題である。


ウクライナにおけるT-90

したがって、T-90は1990年代なら深刻な脅威だったかもしれないが、大きな脅威となるほどの整備やアップグレードは現在行われていない可能性がある。

 ウクライナでの観察によれば、ウクライナ軍がT-90戦車を撃破した事例が多数報告されており、この説は妥当といえよう。■


How Has Russia Lost 2,103 Tanks in Ukraine War? - Warrior Maven: Center for Military Modernization



Kris Osborn is the Military Affairs Editor of 19FortyFive and President of Warrior Maven – Center for Military Modernization. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.


2023年7月12日水曜日

米中の造船能力の格差は200倍以上と警鐘を鳴らす米海軍の連邦議会向け資料がネットに流出している。

 米中の造船能力の大きな格差に米海軍情報局が警鐘を鳴らしている


海軍のブリーフィング・スライドは、中国と米国の新造艦艇建造能力と海軍総兵力規模の憂慮すべき格差に注意喚起している。海軍情報部のデータによると、艦隊規模の格差が拡大しているのは、中国の造船会社が水上艦艇と潜水艦の生産能力で200倍以上上回っていることが一因だという。このことは、米海軍が中国艦隊に対抗する能力、また将来のハイエンド紛争で米海軍の戦力を維持する能力について、長年懸念されてきたことを浮き彫りにしている。

 The War Zoneへの声明で、米海軍は、ネット上に出回っているスライドの信憑性を確認した。


 スライドで最も目を引くのは、中国とアメリカの造船能力を総トン数で表したものだ。図は、中国の造船所の能力が23,250,000トンであるのに対し、アメリカは10万トンにも満たないと示しており、米国の232倍という驚くべき数字である。

 米国国内の造船能力は冷戦終結以前から低下していたが、その後も着実に縮小している。現在は、全体的に特に低い水準にある。

スライドでは、各国の相対的な「造船収入全体に占める海軍生産の割合」についても記されており、中国では70%以上と推定されている。米国造船所の推定比率は、オンラインで入手可能なスライドのバージョンでははっきり読み取れるが、95%のようだ。

 このスライドには、2020年から2035年までの5年ごとの米海軍とPLANの「戦闘力」(「戦闘艦、潜水艦、水雷戦艦、主要水陸両用艦、大型戦闘支援補助艦」の総数と定義)の予測規模も記載されている。それによると、2020年時点でPLANは355隻の戦闘艦艇を保有し、米海軍は296隻である。2035年までには、中国(475隻)と米国(305~317隻)の数字の差は大幅に広がる。

 人民解放軍海軍は、すでに総艦艇数で世界最大で、増加する空母艦隊を含め、より近代的で能力の高い設計の艦艇を着実に獲得している。数字は、中国海軍と米海軍の規模差が拡大し続けている姿を示している。

 ただし、このスライドは推定と予測であり、造船能力の測定は複雑で多面的なものであることをあらかじめお断りしておく。例えば、造船収入全体に占める海軍の割合がどのように計算されたかは不明である。

 艦船がどのように分類されるかは、しばしば議論の的となるが、これは艦船がより広範な「戦闘力」の定義に入るかどうかと影響しないことが多い。例として、最も近代的で能力の高い水上戦闘艦であるPLANの055型艦は、通常、駆逐艦と表現される。しかし、米海軍はその排水量やその他の特徴から、巡洋艦と呼んでいる。

 米海軍自身も、海軍情報局(ONI)のスライドは確定的なデータを反映しておらず、少なくとも部分的には生きた文書であることを認めている。

 「このスライドは、戦略的競争に関する全体的な概要の一部として、海軍情報部が公開情報源複数から作成したものである。「このスライドは、中国の造船能力に関する背景と傾向を示している。中国の商業造船産業を深く掘り下げることを意図したものではありません」。

 「時間をかけて反復され、最も最近使用された機密扱いのないソースは、商業的に入手可能な造船データ、2023年の大統領予算(PB23)から公に入手可能な米海軍の長期造船計画、そして公に議論された将来のPLAN戦力のおおよその予測であった」と、スポークスマンは付け加えた。

 このことを念頭に置き、スライドの予測や見積もりは、中国の国営造船事業の本質的な二重目的の性質に大きく影響されていることを指摘する価値がある。

 「PLANの水上艦船生産は、軍用と商用が混在しており」、「PLAN関連の建造のほとんどは、CSSC(中国国家造船公司)の施設で完成している。「中国は世界をリードする造船国であり、世界の商業造船市場の40%を支配している」。

 確かにこれは真実であり、PLANと米海軍の戦力規模のギャップと関連している。同時に、このスライドにある米国の造船能力の数字が、商業的な能力をどの程度織り込んでいるのかは定かではない。米国の商業造船産業は、はるかに規模が小さく、海軍プロジェクトへの関与も少ない。

 それでも、いくつかの例は存在する。米国の造船会社ジェネラル・ダイナミクスNASSCOが代例で、大型の商業貨物船とタンカー船、そして米海軍の補助艦船を主要事業分野としている。米海軍のルイス・B・プーラー級移動基地の設計は、NASSCOのアラスカ級石油タンカーをそのまま受け継いでいる。

 加えて、スライドの全体的な戦闘力の数値は、他の米軍の公式データと一致していない。米海軍が2019年3月に発表した長期造船計画では、来年度には301隻の戦闘艦を保有することになっている。2020年の中国の軍事・安全保障動向に関する米国防総省の議会向け年次報告書では、中国と米海軍の戦闘力はそれぞれ350隻と293隻となっている。

昨年発表された国防総省の中国に関する最新の報告書では、PLANの戦闘力在庫は2021年に340隻とされている。今年初めに発表された米海軍の2024年度長期造船計画では、次期会計年度(2023年10月1日開始)で戦力は293隻になると予想されている。同じ文書によれば、どのような行動を取るかによって、2035会計年度までに320隻、あるいは311隻の戦闘艦を保有する可能性があるという。

 これらの食い違いは比較的些細なもので、中国と米国の間に戦力規模の大きな開きがあることに変わりはない。しかし、旧式艦艇の退役や新型艦艇の就役によって定期的に変化する海軍の在庫を、特に公表されている情報に基づいて比較カウントすることの複雑さを浮き彫りにしている。それ以上に、中国の海軍力の現実的な算定はPLANに限ったものではないことを指摘することが重要である。

 実際、昨年、米国防総省は、PLANの戦力在庫は2021年に実際に縮小したが、これは22隻の056型コルベットが同国沿岸警備隊に移管されたことによるものだと指摘した。056型コルベットは排水量1,500トンで、PLANでは対艦ミサイルや地対空ミサイルなどで武装していた。このような武装は、アメリカ沿岸警備隊を含む世界中のほとんどの沿岸警備隊に就役している艦艇の典型ではない。

 中国の現在および将来の海軍能力に関する真の議論には、中国の沿岸警備隊やその他多くの名目上の民間海上保安機関の艦船、および実質的な海上民兵の艦船が少なくとも含まれなければならないだろう。

 米軍は近年、独自の動きを見せている。米海軍、海兵隊、沿岸警備隊は、2020年に3軍の「海軍力」白書を発表した。それ以来、沿岸警備隊は海軍とともに、また単独で、海外での日常的な海上作戦を増やしている。これには、南シナ海や台湾海峡など、中国が広範かつほとんど未承認の領有権を主張する太平洋地域のパトロールに沿岸警備隊艦船を派遣することも含まれる。

 いずれも、全体的なトレンドラインの方向性を必ずしも変えるものではない。米軍当局者、連邦議会議員、海軍の専門家は全員が、米海軍とPLAN間に広がる総規模の差と、造船能力への懸念に、ここ何年注目してきた。

 カルロス・デル・トロ海軍長官は2月の公聴会で、「彼らは13の造船所を持っており、場合によっては、彼らの造船所の方が、我が国のすべての造船所を合わせたよりも多くの能力を持っている。「これは本当の脅威だ

造船所全体の能力は、艦船の維持に大きな影響を与える。現在ネット上に出回っているONIスライドには、『50以上のドライドックが物理的に空母を収容可能』との注釈が含まれている。PLANは、空母艦隊の規模を拡大するため懸命に取り組んでおり、これはまた、他の大型の水上艦船や潜水艦の作業を実施するために使用することができる施設を反映している。

 既存の艦隊を維持するための造船所の能力も、ここしばらくの間、米国で大きな懸念の対象だ。数十年にわたる支出削減を経て、米海軍は、自国の残りの造船所を近代化したり、しばしばデリケートな作業を行うさまざまな種類の民間造船所の利用を拡大したりするなどして、こうした問題を軽減する方法を模索してきた。米国外で見出されるようになっている傾向を反映し、後者のカテゴリーには最終的に、日本も含め、より多くの外国所有・運営の造船所が含まれる可能性がある。

 造船はまた、大量の熟練労働力とリソースを必要とする複雑でコストのかかる作業で、調達には多大な時間を要する。造船所の能力を消費する修理やオーバーホール作業と同様に、造船における遅延やその他の不具合は、連鎖する可能性がある。このような現実は、潜水艦のメンテナンスに関しては、米海軍にとって特に顕在化している。

 攻撃型潜水艦担当プログラム・エグゼクティブ・オフィサーであるジョナサン・ラッカー少将は、2022年11月、海軍潜水艦連盟の年次大会で記者団に対し、当時、同軍が保有する全クラスの攻撃型潜水艦50隻のうち18隻が整備中または整備待ちと語った。これは、一度に全攻撃型潜水艦の20%以下がメンテナンスのため停止しないという海軍の目標を大幅に上回っている。

 1992年に就役したロサンゼルス級攻撃型潜水艦USSボイシは、こうした問題の不幸な申し子だ。同艦は2017年以来桟橋に座ったままで、うまくいけば来年現役に復帰すると、全キャリアの約20%をメンテナンス待ちの休止状態で過ごすことになる。

 さらに、この現実は、米海軍が戦闘で損傷した艦船を修理し、将来の大規模紛争で比較的迅速に任務に復帰させる能力、あるいはその欠如に関し大きな懸念を促している。2020年にワスプ級水陸両用強襲揚陸艦USSボノム・リシャールが整備中の港で火災に見舞われたことで、実際の危機において損傷した艦船を処理する海軍の能力の限界に関する議論が再び活発化した。これは、太平洋における大規模な紛争の可能性が高まっていることで、さらに大きくなっている。

 「海軍は、第二次世界大戦以来、複数の戦闘損傷艦のトリアージと修理が必要なことはなかった」と、議会の監視機関である政府説明責任局(GAO)は、2021年発表の報告書で述べている。「冷戦終結後、海軍は戦時中の艦船修理能力の多くを切り離し、艦船整備能力は主に平時の整備ニーズをサポートすることに重点を置いて発展してきた。

 しかし、中国のような「21世紀の敵国」の台頭は、「戦争におけるハイエンド脅威を生み出す大国の競争相手の海軍が潜在的な紛争に備えるために戦闘ダメージの修理能力を再検討する必要性を復活させる」と2021年のGAO報告書は付け加えた。

 2月、デル・トロ海軍長官は、民主的な米国と全体主義的な中国の違いが、この部分でどのように作用するかを強調した。

 「失業率が4%以下ということは、レストランで働く労働者を探すにしても、造船所で働く労働者を探すにしても、本当に大変なことです。「彼らは共産主義国であり、ルールを守らない。「彼らは奴隷労働で船を造っているんだ。「しかし、それが我々が直面していることなのだ」。

 その結果、米海軍は量的なレベルで中国との同等性を維持しようとする基本的な実行可能性に疑問を呈してきた。海軍上層部はしばしば、総数のみに焦点を当てることに反対し、極超音速兵器や無人水上・水中艦艇など、質的な優位を保つことができる先進的かつ斬新な能力を追求すると主張してきた。

 デル・トロ海軍長官は2月の公聴会で、「PLANは大規模艦隊を手に入れ艦隊を世界中に配備している。「我々はより大きな海軍を必要とし、将来的にはより多くの艦船、特にその脅威に対応できるより近代的な艦船を必要とする」。

 海軍作戦部長(CNO)のマイク・ギルデイ提督は、2022年2月、海軍の最高将校として記者団に語った。「そして、VLS(垂直発射システム)発射管というレンズを通してだけそれを見ることはできない」。

 ギルデイは、米海軍がタイコンデロガ級巡洋艦を退役させる計画についての質問に答えたもので、各巡洋艦は122基のMk41垂直発射システム(VLS)セルを持ち、様々なミサイルを搭載できる。タイコンデロガ級巡洋艦は通常、トマホーク陸上攻撃巡航ミサイルを大量搭載し、同軍の現在の地対地攻撃能力のかなりの部分を占めている。

 もちろん、これらはすべて、中国の軍事力と能力の増大、特に台湾に対する将来的な介入への懸念の中でのことである。米政府高官は、人民解放軍が2027年までに、いや、それより早く、大規模な作戦を成功させることができると感じている可能性があると繰り返し警告している。もちろん、このことは北京政府が特定時期に積極的に行動を計画していることを意味するものではないと、同じ当局者は日常的に強調している。

 The War Zoneは確認できていないが、今回の造船に関するスライドは、台湾やその他地域に対する中国の野心にもっと積極的に挑戦するよう求める、国会議員向けの大規模なONIブリーフィングの資料と思われる。先週、Air & Space Forces Magazine誌が報じたところによれば、少なくともこのブリーフィングには、中国が世界の商業造船を支配していることや、空母を収容可能なドライドックの数について、ネット上で出回っている機密扱いのスライドと同じ詳細が記載されているという。

 「台湾の民主主義の存続は、中国、米国、そしてより広範な国際社会にとって長期的な影響をもたらす重要な地政学的問題である」とONIは述べているが、「中国問題は台湾の問題ばかりではない」とし、陸海空を問わず、中国のすべての近隣諸国が北京からの軍事的、経済的、外交的圧力に直面しており、これを個別に抑え込むことは極めて困難であると指摘している」と、Air & Space Forces Magazine誌はこのブリーフィングのコピーを入手し報じている。中国が国境と領土に積極的に挑戦している地理的地域10地点を指摘し、資源を開発する権利を持つ「北極圏国家」としての特徴をいっそう強めている。

 ブリーフィングはまた、中国が世界の商業造船の40%を支配し、空母が入る大きさのドライドックが50個あることについても、少なくともネット上で出回っている機密扱いのスライドと同じ内容を含んでいると伝えられている。

 また、中国が「国際システムを形成」し、世界的な影響力を得ようと「スパイ活動、強制、圧力、破壊活動、偽情報」を用いることに対しても警告している。

 「我々は、競合するビジョンの間で国際的な闘争に従事している」と、ONIのトップであるマイク・ステュデマンス少将の署名入りのブリーフィングは付け加えている。「中国は大戦略を実行しており、長年にわたって包括的かつ積極的にそれを追求することで統一されている」。

 特に海軍に関して言えば、海軍とPLANの間の艦隊の総規模と造船能力における驚くべき格差(現在も急速に拡大している)は、中国政府の世界的野心に挑戦する海軍の能力に関して言えば、大きな懸念事項であると、ONIは警鐘をあらためて鳴らしている。■


Alarming Navy Intel Slide Warns Of China's 200 Times Greater Shipbuilding Capacity


BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JUL 11, 2023 1:25 PM EDT

THE WAR ZONE