2024年6月19日水曜日

韓国の核保有が実現しそうだ。東アジアの安全保障環境へ影響は大きい。米国にとって北朝鮮は二次的な脅威対象でしかないので、韓国に相手をさせ、台湾防衛に注力したいというのが本音だろう。

 

80年代の反核運動はモスクワが裏であやつった情報工作でしたが、世の中には核兵器を悪であり根絶を真剣に願う人達もいます。しかし、現実の世界はどんどん進行しています。1945記事が言うように韓国が核武装する可能性を今や真剣に考慮すべき段階にきているのです。核不拡散も反核平和主義と同様に空虚なスローガンになったのでしょうか。日本の安全保障でもこうした変化に対応しつつ、さらに先を見越した議論が必要であり、過去に縛られてはなりません。

Cold War Nuclear Weapons Test. Image Credit: Creative Commons.


韓国が核爆弾を保有しても、核兵器は万能薬ではないし、北朝鮮に対する外交努力を劣化させるべきでもない


兵器への熱狂が東アジアを覆っている。中国は、ロシアやアメリカの核保有量に追いつくため、猛烈なスピードで核兵器を増やしている。国際的な反発にもかかわらず、北朝鮮は実用的な核抑止力を有するに至った。その規模と生存能力を高めるため、北朝鮮は休むことなく努力している。ロシアは北朝鮮に対し制裁体制を緩和し、技術的支援を提供することで平壌を支援している。核不拡散に新たな挑戦する国が現れた: 韓国である。


尹錫烈(ユン・ソクヨル)大統領は、軍事的核開発計画も選択肢の一つであると昨年警告した。核兵器の選択肢をもてあそんでいるのは大統領だけでなく、国民のほぼ4分の3が独自の抑止力を支持している。不意を突かれたワシントンは、韓国を防衛するコミットメントを再度強調し、両首脳は核抑止の問題をさらに議論するために『核協議グループ』を結成した。アメリカの原子力潜水艦は現在、韓国港に頻繁に寄港し、拡大抑止を実質化している。しかし、当然のことながら、こうした小さなジェスチャーでは韓国国民は安心できなかった。米国が自国のために核戦争の危険を冒すとは考えていない国民が60%に上る。


韓国の核議論が突然始まったように見えるが、これには深い原因がある。北朝鮮の脅威が核開発の最も明白な原動力となっている。北のライバルは、約20年前に最初の核爆弾を爆発させた。「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」は、かつて外交政策目標であったが、現在ではほとんどの専門家や政策立案者にとって、夢物語と見なされている。多くの人々にとって、韓国の核兵器は唯一の現実的なイコライザーなのだ。


新たな懸念の高まりが、ソウルの核の誘惑を強めている。この地域で覇権国家を目指す中国の台頭も、核という選択肢を後押ししている。北京の影響力の増大はソウルの外交政策の自主性を脅かし、両国には意見の相違がある。中国の力は、米韓同盟が絶望的に劣勢になったり、戦時に米軍が朝鮮半島にアクセスできなくなったりする程度にまで増大する可能性がある。したがって核兵器は、中国の台頭に直面して東アジアのパワーバランスを維持するための、韓国にとって唯一の手段なのである。


韓国は、近代史上で最も劇的な人口崩壊に直面している。「普通の」国にとっては十分に憂慮すべきことだろう。しかしソウルは、100万人を超える北朝鮮の巨大な軍隊を抑止し、打ち負かす可能性がある。そして近くには、ユーラシア大陸で最も手強い軍事大国であるロシアと中国が潜んでいる。韓国軍はいまも徴兵制を維持し、相当規模の兵力を維持しているが、出生率の低さから徴兵数は減少の一途だ。核抑止力は、通常抑止力の維持が不可能になりつつある状況を補う意味で魅力的な選択肢である。


さらに、米国の安全保障は以前より揺るいでいる。一極集中の時代には、ワシントンが北朝鮮と戦争する用意があるのを疑う者はほとんどいなかった。現在、米国は複数の舞台で大国のライバルと対峙しており、平壌のような二次的脅威にコストのかかる戦争を戦う余力は少ない。また、政治における新保守主義思想の衰退により、アメリカ人は本質的に利害が絡まない戦争には乗り気でなくなった。そのような状況で、北朝鮮との潜在的な核戦争に対する意欲はほとんどなく、韓国人もそのことを十分に理解している。


実際、多くのアメリカ人は、アメリカが北朝鮮のような第三の脅威に対して核戦争の危険を冒すことに不満を抱いている。それゆえ、一部の政治家や戦略家はソウルの核武装に同調を示している。ドナルド・トランプは過去に、韓国の核兵器が北朝鮮に対する抑止力になる可能性を示唆した。著名な元ペンタゴン高官エルブリッジ・コルビーは、韓国に核兵器があれば、米軍は中国と台湾有事に集中できると考えている。数年前までは考えられなかったことだが、核抑止力が東アジアにおけるアメリカの目標を支援すると認める専門家が増えている。


歴史的に見て、アメリカは自国の国益に資する場合には、パートナーの核拡散を支援してきた。イギリス、フランス、イスラエルには、近隣の共通の脅威を抑止するため核兵器開発を認めた。それでも、もし韓国が核武装すれば、ワシントンは韓国を制裁し、排斥するかもしれないと考える人もいる。しかし、理性的なアメリカの意思決定者が、核不拡散という瀕死のまぎわにある夢のためだけに、米韓同盟を危うくし、東アジアにおけるアメリカの地位を破壊するとは、想像しがたい。実際、AUKUS合意は、ワシントンが戦略的利益と核不拡散の両方を追求できたアメリカの覇権時代から受け継いだ抽象的な規範を守ることよりも同盟国に核技術の習得を促すことが重要となる場合があることを米指導部が理解していることを示している。


核保有国としての韓国は、アメリカの外交政策を支配する3つの部族の間で意見の一致を見ることができる珍しい問題のひとつである。自制派は、同盟国が自国防衛を強化し、米国の負担軽減を評価するだろう。独立した核抑止力は、ワシントンが北朝鮮との核交換に巻き込まれる可能性が低くなることも意味する。優先主義者にとっては、韓国が強力になることで、中国の地域覇権主義的野心を阻止し、台湾やその他のホットスポットにアメリカが集中できるようになる。自由民主主義を掲げる韓国は、独裁政治に対抗するための軍事力を発展させ、北朝鮮を封じ込め、米国の世界的な目標を支援する。


韓国の核爆弾は万能薬ではないし、北朝鮮に対する外交努力を後退させるものでもない。平壌、ソウル、ワシントンはいずれも、中国の地域覇権への恐怖を共有しており、この共通利害が和解のきっかけとなる可能性がある。それでも、韓国に独自の抑止力を持たせれば、アメリカの納税者が負担することなく、韓国とアメリカの安全保障を向上させることができる。しかも、ワシントンでは超党派の支持を得られるだろう。もし次期政権が、韓国の核保有に向けた安全かつ円滑な移行を監督すれば、外交政策上の大きな成功となる。ただし、決して理想的な解決策ではない。とはいえ、アメリカの指導部は、二次的な小国との核戦争か、最も強力な同盟国を見捨てるかのどちらかを選択するかもしれない。■



South Korea: The Next Nuclear Weapons State? - 19FortyFive

By Dylan Motin

About the Author: Dylan  Motin

Dylan Motin is a non-resident research fellow at the ROK Forum for Nuclear Strategy. You can find his Linkedin profile here



2024年6月18日火曜日

フィリピンを奇襲攻撃から守る?米国、フィリピン海での任務延長中のロナルド・レーガン空母打撃群への物資補給が進行中 フィリピンへの中国の攻撃は現実味を帯びている

 


日本を離れ、母国へ帰るはずだったUSSロナルド・レーガンCSGがフィリピン近海に展開し、抑止効果を発揮しているのは、フィリピンと中国の対立がここに来て看過できなくなっているためでしょう。日本に向かい移動中のジョージ・ワシントンも今後こうした台湾・フィリピンを睨んだプレゼンス任務につくのでしょうか。Warrior Maven記事からのご紹介です。




米海軍の太平洋前方配備空母が、フィリピン海での抑止任務延長のため、再補給、再燃料補給を受けている


中関係が緊迫化する中、前方でのプレゼンス継続として、太平洋に展開中の米海軍空母は、フィリピン海域での長期抑止任務のため、再補給、再燃料補給、再供給中だ。フィリピンでの緊張も高まっており、必要であれば、この地域全体に大規模な航空攻撃力を投射できる米海軍の継続的な能力の緊急性が強調されている。


フィリピンの "フェイト・アコンプリ" 

フィリピン海に配備されたUSSロナルド・レーガンは、抑止作戦を継続するため、軍輸送司令部(Military Sealift Command)のEC-225スーパープーマ・ヘリコプターから物資を受け取り、「洋上補給・給油」を行っている。数千人の乗員と多数の攻撃機やヘリコプターを擁する浮遊都市として活動するUSSロナルド・レーガンは、重要な "近接性"を確保するため配備を延長している可能性が高い。人民解放軍(海軍と空軍)が台湾を包囲し、フィリピンの小型漁船を「封鎖」し続ければ続けるほど、米海軍はこの地域の同盟国を脅かす中国軍の射程圏内で活動する必要がある。フィリピン海から短時間離れたり、別の場所に寄港したりすれば、フィリピンは中国の奇襲攻撃に対して極めて脆弱になる可能性がある。

 例えば、中国に関する国防総省の報告書では、台湾に対する「既成事実化」シナリオへの懸念が定期的に表明されている。これは、台湾を占領している中国軍を「退去」または「撤退」させるのに十分な米日韓の大軍を編成するには、人命とドルのコストがかかりすぎるため、中国が「既成事実」で新たな現状を維持させる、というものだ。

 これと同じシナリオはフィリピンでも可能だ。同盟国が対応する前に、フィリピンに "既成事実"として大規模な奇襲攻撃を仕掛けてはどうだろうか。フィリピンの新しい米軍基地に大量の米軍装備と武器が到着する前に、米海軍の前方プレゼンスを大幅に低下させれば、時間的余裕が生まれるかもしれない。単独では、フィリピン軍は、より大規模な中国の水上、海中、航空部隊の攻撃に対して極めて脆弱になる可能性が高い。


空母打撃群でフィリピンを守る


米国の駆逐艦や巡洋艦から発射される艦船発射弾道ミサイル迎撃ミサイル、海上で移動する敵艦の標的を追跡して破壊する射程距離にあるアップグレードされた戦術トマホーク・ミサイル、海上から無人機を発射する能力、あるいは単に中国の地上軍と航空軍を危険にさらすために空中で大規模な戦闘力を解き放つ能力がなければフィリピンは極めて脆弱になる可能性がある。

 PLANがこの地域で活動すれば、フィリピンを攻撃し、すぐ占領することができる。GlobalFirepower.comによれば、フィリピンは25機の攻撃機と2隻のフリゲート艦しか保有していない。フィリピンに空母はなく、戦車は10台、現役兵力は15万人しかいない。つまりフィリピンは、沖合の軍艦からのミサイル攻撃から始まり、ヘリコプター、貨物機、小型攻撃艇、潜水艦が水陸両用でフィリピンの海岸に向かって押し寄せる可能性のある中国の水陸両用攻撃を止めることはおろか、減速させる可能性すらほとんどない。フィリピンの地上部隊と装甲車両の数が少ないため、装甲車両を伴った中国の水陸両用上陸作戦は、フィリピンの防衛を素早く蹂躙し、島を占領できる位置にあることを意味する。

 このような変数を考えると、米軍や同盟軍が突然、フィリピンや台湾に対する中国の攻撃に対応したり、撃退する必要に迫られた場合、近接性と対応速度が決め手となる可能性が高い。懸念されるのは、中国が日常的な訓練任務を口実にして奇襲攻撃を仕掛け、実質的に台湾やフィリピンを併合し、米同盟軍が十分に対応する前に攻撃することである。  USSロナルド・レーガンのような空母と空母打撃群がフィリピンや台湾の海岸から数百マイル以内で行動している場合、空母から発進された第5世代航空機は、中国の水陸両用部隊の進攻や侵攻に対して、制空権を拒否することができる。これが、レーガン空母打撃群がフィリピン海に留まる重要な理由だろう。中国側は、制空権や第5世代支援がなければ、攻撃部隊を空から破壊できる位置にいる米第5世代機に対して極めて脆弱になると認識している可能性が高い。米海軍の空母や揚陸艦から発進したF-35CやF-35Bに対抗することは、かなり難しいだろう。

 USSロナルド・レーガンの空母航空団が港に停泊していたり、台湾やフィリピンの防衛に必要な攻撃範囲から外れていれば、PLAは台湾やフィリピンを素早く奇襲し、乗っ取ることができるかもしれない。米国とフィリピンは最近、フィリピンとその地域を防衛するため、米国の武器、資産、人員を収容できる大規模な軍事基地4箇所をフィリピンに追加することで合意した。米国がフィリピン沿岸の基地にF-35A、防空ミサイル、レーダーシステム、あるいは大型軍艦を配備する可能性はある。フィリピン沿岸に厳重な防空・防備を敷けば、中国がフィリピンへの侵攻や占領を望んでも、非常に困難な状況になるだろう。

 中国との対立や軍事作戦が起こるスピードを考えれば、フィリピン海における米軍の継続的なプレゼンスが新たな緊急性を帯びている。そのため、フィリピン海に展開するUSSロナルド・レーガン空母打撃群に、物資、食料、燃料、さらにおそらくは補助部品や交換部品が届けられている。■


Defending the Philippines From Surprise Attack? US Re-Supplies USS Ronald Reagan Carrier to Extend Mission in Philippine Sea


By Kris Osborn, President, Warrior




ミサイル防衛庁が空中レーザーに新たな希望を見出そうとしている---頓挫した以前の化学レーザーの代わりに固体レーザーで直近の技術進歩を取り入れる。今回は堅実な開発方針で実用化をめざす

 


開発中止となった空中レーザー発射構想から10年、ペンタゴンはアプローチを変えて実用的な空中レーザー兵器の開発に取り組んでいるようです。Breaking Defense記事からご紹介します。



MDA Photo


空中レーザー・テストベッド。ミサイル防衛庁は2012年に頓挫したが、新しい技術に基づき、コンセプトを再検討している。(MDA)





国防総省の上級科学者だったパデュー応用研究所(PARI)のCEOは、MDAがコンセプトを見直していることで生まれる成果に期待している


サイル防衛庁(MDA)は、空中発射レーザーを再び視野に入れている。システム構築の最初の試みが16年の歳月と50億ドルの研究開発費を費やして破綻してから10年だ。

 しかし今回は、MDAはゆっくり物事を進めている。宇宙空間でミサイルを撃ち落とす案に飛びつくのではなく、まず追跡用の低出力レーザーに焦点を当て、迎撃用の高出力システムへと向かう。

 追跡特性評価作業は、MDAの低出力追跡レーザーの能力を向上させるのが狙いだ。このシステムは、非キネティック迎撃システムを含む、より高度なシステムにも直接適用可能だ。

 MDAのアプローチは、将来に必要となる高出力レーザーが[国防総省の研究技術局]によって開発されている間、追跡ミッションの技術開発とデモンストレーションを進行させることである。MDAと国防総省は、より小型、軽量、低出力の将来の指向性エネルギー・システムに向けて取り組んでおり、機動性と戦場全体への導入をサポートする。

 MDAが空中システムに焦点を当てる理由のひとつは、このようなシステムが、地上ベースと宇宙ベースのミサイル防衛アプローチの両方の研究開発活動に利点をもたらす可能性があるからである、と広報担当者は説明している。

「空中指向性エネルギー技術実証機は、地上ベースのシステムよりも有利な環境と範囲を提供し、宇宙ベースのシステムでは提供できない反復的指向性エネルギー技術開発の柔軟性を提供します」。

 MDA長官ヒース・コリンズ中将はMDAは追跡から始める空中レーザー技術に1100万ドルの研究開発費を要求したと6月6日、戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies)に語った。この努力は、政府、産業界、学識経験者からなる独立チームからの提言に基づいている、と長官は述べた。

 MDAの広報担当者は、研究グループの構成と報告書の詳細について尋ねられたが、報告書は管理下の非機密情報に指定されており、公開されることはないとだけ答えた。


新しいレーザーはどんな可能性を切り開くのか


国防総省の上級科学者を務め、現在はパデュー応用研究所(PARI)のCEOマーク・ルイスは、MDAがコンセプトを新たに見直したことに賛辞を送り、前回の中止以降に技術は大きく進歩していると指摘した。レーザーの新しいパワーソースだけでなく、ビームの安定化技術や地球の大気を切り裂く技術も改善されている、と説明した。

 「空中レーザーは成功したとは言えないが、過去にさかのぼって再検討し、"状況が変わったか?"と問うことに価値がある。だからMDAは素晴らしい」と彼は言った。

 「レーザーと極超音速には類似点がある。実用化がすぐそこまで来ている」と彼は語った。

 ルイスは、ボーイング747をベースにしたオリジナルの空中レーザーシステムは、機内に満載の危険な化学物質が動力源だったが、現在MDAと軍が評価中のレーザーは、ドローンの群れを撃墜するなどの任務のための固体レーザーであると説明した。

 「変わったことは、固体レーザーが正しい選択だとに気づいたことです... . それが第一です。その2は、固体レーザーの出力レベルが、実際に害を与えることができるレベルまで上がってきたことです。現在は、実際に穴を開けることができる出力レベルにある。何かを見えなくしたり、何かを取り出したりすることができる。そして、それを実用的なパッケージで実現できるのです」。

 ルイスはまた、もう一つの変化として、国防総省がレーザーの使用をどのように考えているのか、つまり潜在的な任務に対してより的を絞ったアプローチをとっていることを指摘した。

 「レーザーをどのように使うかについての初期の考えを見ると、それはかなり愚かなものだった。銃が機能するのに、なぜそんなことをするのか?レーザーに投資するのであれば、銃ではできないことをするため、可能性を広げるためであるべきだ。そして、そのような大変革は、当たり前に思えるが、そこに到達するまで時間がかかるようだ」。

 とはいえ、弾道ミサイルや極超音速ミサイル、ドローンの群れを撃つためにレーザーシステムが日常的に使われるようになるには、この先に道のりが残っているとルイスは強調する。

 「極超音速ミサイルの例と同じく、実現可能にするための技術的な核心部分をまだ克服していないのです」。■


Missile Defense Agency has new hope for airborne lasers


Mark Lewis, formerly the Pentagon's senior scientist now CEO of the Purdue Applied Research Institute (PARI), gave MDA a thumbs up for taking a new look at the concept, noting that the technology has come a long way since 2014.


By   THERESA HITCHENS

on June 17, 2024 at 1:10 PM


2024年6月17日月曜日

オールヴィン空軍参謀総長の発言から、米空軍の考えを理解すると今後登場する無人機は供用期間が極端に短くなり、次々に新型機が登場することになる。

 


前回のNGAD絡みの空軍参謀総長発言の記事に続き、The War Zoneがより広い視点で特にCCA絡みの短期サイクルで開発配備を進める米空軍の構想を詳しく伝えているのでご紹介します。この通りならF-35が最後の「巨大」プロジェクトになるのでしょうか。F-3開発を進める日本や相変わらず高性能機体の開発を目指す中露のような動きは時代の波に取り残されるのか、それとも米空軍が先走りすぎているのかはそれこそ時代が証明してくれるはずですが、少なくとも米空軍が将来の戦闘のあり方を変えようとしているのは明らかです。


The Air Force's top officer has argued against acquiring Collaborative Combat Aircraft that are built to last and for a fundamental re-thinking of how the service acquires future capabilities, especially in the face of tightened budgets.

Anduril’s Fury, one of the two designs competing now in the initial phase of Air Force’s Collaborative Combat Aircraft drone program. Anduril




米空軍は短期間の供用が前提の空中戦闘ドローンを倍増させる


米空軍の協調型戦闘機構想を実現するためには、これまでの調達慣行を克服することが重要になる


空軍の最高幹部は、協調型先頭航空機Collaborative Combat Aircraftドローンプログラムについて、何千時間もの飛行時間は想定せず、反復サイクルで迅速に取得できる設計に焦点を当てると強調している。また、予算が逼迫する中、空軍が戦いに確実に勝利するため、乗員・非乗員のチーム編成を含む構想を成功させるために、空軍の運営方法を根本的に見直すべきだと主張した。

 空軍参謀総長のデイヴィッド・オールヴィン大将は、本日未明に航空宇宙軍協会が主催したファイヤーサイドチャットで、協調型戦闘機(CCA)プログラムなどについて語った。CCAは空軍の最優先課題の一つで、より大きな次世代航空支配(NGAD)構想の一部となる。NGADには、新型の第6世代ステルス戦闘機の開発や、その他多数のサブプログラムも含む。

 空軍の現在の計画は、反復開発サイクル(インクリメント)を通じて、数百機のCCAドローンを取得することである。空軍はプログラムの最初のインクリメント1で約100機のCCAを購入する予定で、AndurilとGeneral Atomicsが現在対決している。未搭乗機は高度な自律性を持つが、将来のNGAD戦闘機含む有人機と密接に連携し、特に空対空戦闘ミッションで、少なくとも当初は連携することが期待されている。


A rendering of General Atomics' Increment 1 CCA design. <em>GA-ASI</em>

A rendering of General Atomics' Increment 1 CCA design. GA-ASI


 「能力開発の方法の再検討に入っている」とオールヴィン参謀総長は今日述べた。

 「私は、25年から30年も供用される戦闘機など望んでいない」。空軍参謀長はこう断言した。

 「それをやらなければ高くつく。高価なら、数機しか買えない。そして、そのスパイラルに陥る。『長持ちするように作られた』というのは、20世紀の大げさな表現だ。長持ちすれば何でもいいという前提があった。それが適切かどうかはわからない。

「だから我々は(CCAで)持続可能な構造は構築していない」とオールヴィンは説明する。10年経てば、技術の進歩でCCAはそれほど重要ではなくなるが、適応は可能だろう。そのために、モジュール化と適応性を組み込んでいる」。


 CCAでは、平均耐用年数が10年になるかもしれない。空軍の取り組みと深く関わる独自のCCAプログラムがある米海軍は、わずか数十回のミッションの後、無人機をミサイルや訓練の標的に使用するアイデアも持ち出している。空軍はCCAによって標準的な航空機の寿命の型を破ろうという考えのようだ。

 オールヴィン大将のコメントは、空軍がCCAの野望について以前に述べたことと一致しているが、同時に、空軍がその目標を実現する方法を非常によく理解していることも示している。

 CCAのインクリメント1で競合するデザインが判明している現在でさえ、空軍の無人機に対する実際の要件の詳細は曖昧なままである。また、これらの要件は、少なくともある程度は、インクリメントごとに変更されると予想される。2月に空軍関係者は、インクリメント2のパラメータを定義している段階であり、その作業は2025会計年度に開始される予定であると述べた。

 また、CCAドローンの取得と運用にどれだけのコストがかかるのか、そしてそれが大量かつ迅速に配備したい空軍にどのような影響を与えるのかについても、大きな疑問が残ったままだ。フランク・ケンドール空軍長官は過去に、CCAの初期生産機の単価はF-35ステルス戦闘機の機体価格の4分の1から3分の1になると予想していると発言していた。公開情報に基づけば、インクリメント1のCCAの価格はおよそ2050万ドルから2750万ドルになる。

 空軍は、CCAドローンを、将来の紛争、特に中国のような米国の戦力に近い相手との大規模戦闘で成功するため必要となる「手頃な質量」を獲得する鍵と見ていることを明らかにしている。また最近では、開発・取得サイクルを加速させる必要性、すなわち「スピード・トゥ・ランプ」に言及し始めており、タイムリーかつ費用対効果の高い方法でこの「質量」を獲得し、実戦投入することを支援している。


A head-on view of Anduril's Fury design. <em>Anduril</em>

A head-on view of Anduril's Fury design. Anduril


 オールヴィン大将は今日、少なくとも短期的には、軍の予算見通しを考えれば、すべてがより重要になるように見えると強調した。

 「財政的な津波が押し寄せ、コストギャップ、インフレ、2桁の賃上げがあるかもしれない。センチネル(大陸間弾道ミサイル計画)を実行するためには、あと400億ドルか500億ドルを確保しなければならない。空軍の戦闘方法はどのように変わらなければならないのだろうか?」とエア&スペース・フォースのジョン・ティルパックが今日、オールヴィンに尋ねた。「ケンドール長官は、26年度予算には本当に難しい選択が必要だと言っている。あなたは今、その予算を作ろうとしている。過去80年間のやり方を変えなければならないのか?インサイドフォースからスタンドオフフォースに撤退するのか?NGADはできるのか?資源状況に合わせて物事をどのように変えなければならないのか、お考えください」。

 これに対してオールヴィンは、「効果的な空軍とは将来どのようなものになるのか、根本的な問いを立てなければならない」とし、空軍の2026会計年度予算は "全体的に非常に薄い"ものになりそうだと付け加えた。

 今年初め、国防総省は、2023年財政責任法で課された歳出制限の影響もあり、2025会計年度の予算要求をほぼ横ばいで提出した。議会は国防費を増やす方法を検討しているが、いつ、どのように増やすかはまだわからない。

 「では、何に賭けるのか?」オールヴィンは続けた。「人間とマシンのチーミングがそのひとつで、安全な賭けになると思います」。



 空軍参謀総長は、すすめているマン・マシンチーミングの一例として、CCAプログラムがあると強調した。


A rendering of a notioanl sixth-generaiton stealth combat jet flying together with a trio of drones. Collins Aerospace


 本日のオールヴィン発言は、NGADの将来に疑問を投げかけるものではないかという指摘もある。確かに、資金的な制約から、程度の差こそあれ、空軍が野心を縮小する可能性はある。空軍の2025会計年度予算要求では、CCA含むイニシアチブとそのさまざまなサブコンポーネントに重点を置き続けると指摘しており、他の部分の削減により支えられている。

 すでに述べたように、CCAプログラムの中核目標は、費用対効果が高く比較的迅速な方法で空軍の空戦能力を向上させることにある。これは、より高度な、しかし高価な絶妙なプラットフォームを購入すれば、空軍が機能的に破綻するという懸念で推進されている。オールヴィン大将は今日、無人機の開発、獲得、実戦配備で避けるべき落とし穴について語った。

 それでも、「今後2、3年はチャレンジングな年になるだろう」。

 総じて米空軍は、CCAのようなプログラムに大きく賭けて、厳しい予算での選択を最小限に抑えつつ、将来の戦いに勝利するために不可欠と思われる能力の獲得に努めるようだ。■


Top Air Force Officer Doubles Down On Aerial Combat Drones With Short Life Spans

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JUN 13, 2024 9:49 PM EDT

NEWS & FEATURESAIR



米空軍参謀総長「NGADは "未決定 "だが、"困難な"選択が迫っている」と思わせぶりな発言。NGADの開発方針が大きく変わると示唆しているのか。


趣旨がよくわからない Breaking Defense 記事の内容ですが、要はドローンはじめ技術要素の進化が加速していく中で、超大型プロジェクトを立ち上げて長期間供用していくのでは時代遅れの装備に大金を投じるむだになるということでしょうか。「センチュリーシリーズ」に言及がありますが、陳腐化を前提に各種機材を揃えていく発想なのですが、実現するには新規参入企業が増えないと実現しないのではないでしょうか。

CSAF Allvin presents 2022 Kolligian Trophy

Air Force Chief of Staff Gen. David W. Allvin makes remarks in a Feb. 7, 2024 file photo. (U.S. Air Force/Eric Dietrich)


デビッド・オールヴィン大将は「決定は下されておらず、検討すべき困難な選択肢が多数ある」と第6世代戦闘機について述べた


空軍の制服組トップによれば、資金調達の制約と新しいドローン技術の急速な発展が、空軍が計画中の第6世代ステルス戦闘機の運命に疑問をなげかけている。

 「審議はまだ進行中であり、決定はしていない。検討しなければならない非常に難しい選択肢が多数眼の前にある」と、空軍参謀総長のデビッド・オールヴィン大将は本日の国防総省での記者団との懇談会で、次世代航空優勢(NGAD)戦闘機計画について質問され、答えた。

 フランク・ケンドール長官含む高官は以前、NGADについて空軍がライバル視する中国に勝利するため追求している「システム・ファミリー」の「重要要素」と呼んでいた。F-22後継機として計画されているNGADプラットフォームは、F-35の数倍という非常に高価な機体になると予想されている。ロッキード・マーチンとボーイングがその製造を競っていると見られている。

 今週まで、NGADはプログラムとしてほぼ順調に進んでいるように見え、空軍は今年中に契約を結ぶ「つもり」だと発表していた。しかしここ24時間で、空軍のトップ2人が、第6世代有人戦闘機が危機に瀕している可能性を示唆した。

 オールヴィン大将は木曜日、空軍が計画通りに有人戦闘機を開発できるかどうかという質問に対し、空軍が再考している可能性を初めて明らかにした。同大将はこのプログラムについて確約せず、代わりに2026年度予算要求のため空軍当局が示す「選択」のひとつだと示唆した。

 その直後、『エイビエーション・ウィーク』はケンドール長官の記事を掲載した。ケンドールは、資金上の制約で、政府関係者はプログラムについて「オープンマインド」でなければならないと述べた。B-21レイダーやセンチネルICBMなど、競合する優先課題が多く、コストは膨れ上がっている。

 今日のコメントの中で、オールヴィンは、NGADの見直しの可能性を高めているもう一つの要因に言及した。

 同大将は、空軍はCCA(Collaborative Combat Aircraft)ドローン・ウィングマンの取り組みに "傾倒"することで、 "能力開発の別の方法"を "発見"していると説明した。具体的には、空軍のCCAのビジョンは、ドローンが新しい脅威に対応すべく迅速に進化することで、数十年先の戦いに勝つために想定された長期的なプラットフォームからフォーカスをシフトし、空軍の新しいイニシアチブ多数にむけた"パスファインダー "として機能することができるというものだ。

 「クリスマスツリーの飾りのように要件を追加して、より高価にすることはしません。なぜなら、技術は十分に速く進歩するものであり、モジュール式で技術を現在のフォームファクターに適合させることができるのであれば、それは素晴らしいことです。そうでないなら、それはさておき......」とオールヴィンはCCAについて語った。

 「違いを生むのはシステムだ。つまり、非常に高価なハードウェアではなく、デザインを優遇すべきなのです」。

 またオールヴィンは、ウィル・ローパー元空軍獲得担当長官が提唱していた"センチュリー・シリーズ"コンセプト、つまり戦闘機を脅威に応じ数年ごとに変更できる設計とする構想は、空軍が将来をにらんで考えている方法と"異ならない"と指摘した。オールヴィンは、コストや要件といった考慮事項が常に混在していることを強調し、「産業界がどれほどのスピードで提供できるかを見極めることになるだろう」と述べた。

 迅速に反復される設計と短い供用期間への移行は、システムを維持するため長期的で有利な契約に依存しがちな業界のビジネスモデルをおそらく根底から覆すだろう。参謀総長は、新しいプラットフォームの供用年数は、従来より短くなる可能性を示唆した。■


https://breakingdefense.com/2024/06/allvin-no-decision-made-on-ngad-but-difficult-choices-loom/

By   MICHAEL MARROW

on June 14, 2024 at 5:22 PM



新エアファースワンとなるVC-25Bの完成はさらに遅れる見込み---初飛行は2026年にずれ込むと空軍が発表


VC-25Bはトランプ政権末期に契約が交付され、一時はトランプの好みの塗装案となっていたものをバイデンが現行機に近いものに変更させていましたが、肝心の機体改修が進まず、このままだと次の大統領の在任中にかろうじて稼働開始となりそうです。バイデンが落選し、トランプが当選すれば再び塗装は変更されるのでしょうか。注目です。Breaking Defenseが伝えています。

Boeing VC-25A

A VC-25A Air Force One aircraft sits on a ramp at Offutt Air Force Base, Nebraska during a brief stop Jan. 22. The aircraft is one of two modified Boeing 747 Airliners that serve as a transport aircraft for the President of the United States. (U.S. Air Force Photo by Josh Plueger/Released)


ボーイングは大統領専用機の工程表を再び修正中で、作業はさらにずれこむ

ーイングが延期を繰り返している次期大統領専用機VC-25Bは、初飛行が2026年3月とさらに16カ月延期され、逆風に直面している、と米空軍の広報官がBreaking Defenseに語った。

工程表は2022年に見直されたが、さらなる遅れているようだ。ブルームバーグの以前のレポートによると、プログラムは重要な目的2つで、遅れていた。ひとつは初号機の「パワーオン」で、これは地上でのサブシステムのテストで、先月に予定されていた。もうひとつは、今年11月に予定されていた初飛行である。

しかし、現在の空軍はパワーオン・ステップを2025年7月以降、初飛行は2026年3月より先と予想している。空軍関係者は、2026年9月に初号機を納入する予定だったが、スケジュールに1年の余裕を持たせていた2022年の修正後工程表では、約2~3年遅れると予想し、2機目は2027年2月に引き渡される予定だったが、丸1年の余裕がもたせてあった。

空軍の広報官は、ボーイングは再び工程表を「更新中である」と述べ、「その結果、提示済み日付が変更される可能性が出てきた」と述べた。次回の工程表更新は今年の夏以降になる見込みで、これが納期にどのような影響を及ぼすかは不明である。ボーイングはコメントを控えた。

KC-46A給油タンカーでの驚異的な損失と並んで、VC-25Bプログラムは、ボーイング幹部が国防総省との不利な固定価格契約であったと認めている。現CEOのデイブ・カルホーンは昨年、トランプ政権下で前CEOが交渉したVC-25Bプログラムは「ボーイングがおそらく取るべきでなかった、非常にユニークな一連のリスク」だったと投資家たちに語った。

ボーイングは、大統領専用機の更新の取り組みだけで、これまで20億ドル以上の損失を出している。航空宇宙大手のボーイングは当初、一号機を今年納入の予定だった。

労働力の混乱などの問題が、2機の民生仕様747を軍事化する巨大な取り組みのスケジュール変更を生んだ。航空機の内装を担当する下請け会社が倒産し、ボーイングは新たなサプライヤー選定を迫られた。パンデミック(世界的大流行)の労働力への影響もボーイングの計画を妨げた。同社はさらに、適切なクリアランスを持っていなかった社員がプログラムに携わり、国防総省の監視を受けたという特殊な問題にも直面しなければならなかった。

政府説明責任局が昨年報告したところによると、開発上の問題もあった。例えば、「ボーイングは想定外の設計ミスを多数発見し、2022年3月に配線製作を中止した」と報告している。■

First flight of new Air Force One jet slips to 2026, Air Force says - Breaking Defense

By   MICHAEL MARROW

on June 14, 2024 at 7:32 PM



 

2024年6月16日日曜日

日本をとりまく海上安全保障ニュース:ロシア情報収集艦の動き、ヴァリアントシールド演習、米東部で米仏共同演習、紅海での動き

 



今回は日本周辺以外のニュースもありますが、やはりUSNI Newsは着実に海上安全保障関連の話題を伝えてくれますので助かりますね。

Path of a Russian surveillance ship on June 13, 2024. US Navy Photo


ロシアの偵察船が北日本沖で活動



合幕僚監部(JSO)の発表によると、ロシア海軍の情報収集艦が6月14日金曜日に日本の海峡を通過した。一方日本は、4月に訓練中に衝突した海上自衛隊のSH-60Kヘリコプター2機の残骸捜索を7月に開始する。

 その他の動きとして、米軍はパートナー国の大型艦と演習多数を行なっている。

 金曜日の報道発表によると、木曜日午後7時、ロシアの情報船プリバルティカ(80)が、北海道本島の北西端から31マイル離れた礼文島の西31マイル海域を北東に航行しているのを目撃したとある。JSOは、木曜日から金曜日にかけて、プリバルティカは宗谷海峡峡を東に航行したと述べた。海上自衛隊の高速攻撃艇JS「わかたか」(PG-825)と、海上自衛隊八戸基地を拠点とする第2航空団の海上哨戒機(MPA)P-3Cオライオンがロシア艦を追尾した。


 宗谷海峡は、ロシアのサハリン島と北海道を隔てて、西の日本海と東のオホーツク海を結ぶ。ロシア海軍艦船は日常的にこの海峡を通過して活動しているが、海上自衛隊は通過を日常的に監視しており、艦船と航空機でロシア艦船を監視しているほか、日本付近を航行する人民解放軍海軍の艦船も監視している。

 金曜日の定例記者会見で、木原稔防衛大臣は、4月に衝突した海上自衛隊のSH-60Kヘリコプター2機の残骸の捜索を、海洋研究開発機構(JAMSTEC)所有の曳航式深海探査システム「ディープトウ」を使い7月に開始すると発表した。木原大臣は、4月27日以来、海上自衛隊の海洋調査船JSしょうなん(AGS-5106)が機体の捜索を行ってきたが、18,045フィートの深海にあるヘリコプターを発見できなかったと述べた。

 事故後、フライト・レコーダーとヘリコプターの部品は回収されたが、機体は回収されなかった。この事故で海上自衛隊員8人が死亡したが、回収されたのは乗組員1人のみで、海上自衛隊は火曜日、行方不明の7人を死亡と正式に発表した。

 その他の動きとしては、米軍はパートナー国の大型艦と演習多数を行っている。米東海岸沖では、海軍と海兵隊が、強襲揚陸艦FSトネール(L9014)とフリゲートFSゲプラット(F714)で構成されるフランス海軍ジャンヌ・ダルク水陸両用機動団と、フランス海軍士官学校の士官候補生とフランス陸軍戦闘団を乗せたチェサピーク2024演習を実施している。海軍の発表によれば、木曜日から日曜日まで行われるチェサピーク演習は、相互運用性を高め、二国間の防衛パートナーシップを強化し、同盟国の能力に対する理解を深めることを目的としている。「この演習は、最も古い友人であり同盟国フランスとの二国間防衛関係の強さと、世界の安全保障に対する我々の共通のコミットメントを証明するものである」。

 報道発表によると、チェサピーク演習を通じて、米仏両海軍は、相互運用性を実証・強化し、効果的な共同作戦能力を高めるため、相互運用飛行とウェルデッキ運用を実施する。「フランスでのDデイ記念式典の1週間後となった今回の演習はチェサピーク湾という象徴的な場所で両国を結ぶ歴史的友好関係のダイナミズムを示すものだ」と、ジャンヌ・ダルク水陸機動団司令官でトネール司令官のアドリアン・シャール大佐は報道資料の中で述べている。「また、相互運用性だけでなく、両国の資産を統合する能力を通じ、高強度作戦を共に計画・遂行する能力を実証するものでもある」。

 報道資料によると、米海軍の参加ユニットには、米第2艦隊司令官、水陸両用飛行隊8、水陸両用ドック揚陸艦USSカーター・ホール(LSD-50)、海軍ビーチグループ分遣隊2、ヘリコプター海上戦闘飛行隊(HSC)28の分遣隊が含まれる。米海兵隊の部隊には、海兵隊司令部、第2海兵遠征軍(MEF)、第22海兵遠征隊(MEU)、第2海兵航空団(MAW)、第2海兵兵站群(MLG)およびその下部司令部が含まれる。

 6月7日、紅海で、空母USSドワイト・D・アイゼンハワー(CVN-69)、駆逐艦USSラブーン(DDG-58)、USSグレイヴリー(DDG-107)からなるドワイト・D・アイゼンハワー空母打撃群(CSG)は、イタリア海軍の空母ITSカヴール(CVH-550)、フリゲートITSアルピーノ(F-594)、フランスのフリゲートFSフォービン(D-620)と編隊航行を行った。フォルビンは6月7日から9日にかけて、カヴール、アルピーノとともに紅海で活動した。フランスのフリゲート艦は、紅海の商業船舶を保護する欧州連合(EU)のアスピデス作戦の下、同海域に展開した。カヴールとアルピーノは現在インド太平洋に向かい、F-35BライティングII戦闘機とAV-8ハリアーII戦闘機で構成されるカヴール航空団が、オーストラリアで7月12日から8月2日まで行われるオーストラリア空軍の多国間演習「ピッチブラック」に参加する。

 また、6月7日にはフィリピン海において、空母ロナルド・レーガン(CVN-76)がフィリピン海を飛行している。第7艦隊旗艦USSブルーリッジ(LCC-19)、巡洋艦USSロバート・スモールズ(CG-62)、駆逐艦USSヒギンズ(DDG-76)、USSラファエル・ペラルタ(DDG-115)とともに、海上自衛隊のヘリ空母JSいずも(DDH-183)、駆逐艦「はぐろ」(DDG-180)、潜水艦「じんげい」(SS-515)と合流し、「ヴァリアント・シールド2024」演習の一環で共同航行を実施した。「いずも」、「はぐろ」、駆逐艦「ありあけ」(DD-109)は、海上自衛隊のインド太平洋展開2024ミッションの第2水上部隊を構成する。■


Russian Surveillance Ship Operating off Northern Japan - USNI News

DZIRHAN MAHADZIR

JUNE 14, 2024 5:08 PM


A-10のアベンジャーGAU-8/A 30mm砲に匹敵する装備は未だ存在しない

A-10の存在意義として搭載する強力な30mmガトリング砲があり、もともとロシア戦車を葬ることが想定されていました。Warrior Mavenがあらためて同砲に焦点をあててまとめてくれましたのでご紹介しましょう。



30mm油圧駆動7連ガトリング式自動大砲GAU-8/Aの起源は、1971年に開始されたアメリカ空軍のA-Xプログラムにあった


A-10サンダーボルトII、通称ウォートホグは、その恐ろしいGAU-8/Aアベンジャー機関砲という致命的なコンセプトを中心としたエンジニアリングの証である。その伝説的な火力により、この砲は現代の航空戦における航空機の役割を定義し、ウォートホグを空対地支配の象徴とした。


30mm油圧駆動式7連ガトリング式自動機関砲GAU-8/Aの起源は、1971年に開始されたアメリカ空軍のA-Xプログラムにある。このプログラムは、近接航空支援専用の航空機の開発をめざした。ジェネラル・エレクトリック社とフィルコ・フォード社は、プロトタイプ・キャノンの製作を任され、最終的にGAU-8が採用された。この砲の航空機への統合は非常に深いものがあり、A-10はしばしばユーモラスに「火砲を中心に作られた」と呼ばれる。


Wikipedia


アベンジャー・キャノンは軍事工学の驚異であり、毎分最大3,900発の発射速度が可能である。標準弾は、劣化ウラン徹甲弾と高火薬焼夷弾で、重さはそれぞれ約1ポンド、大きさはビール瓶とほぼ同じである。この巨大な火力には、同様に重大な課題が伴う。大砲の反動と爆風効果を管理することであり、航空機の操作とパイロットの安全に影響を与えるほど強力なものである。


1974年の試験飛行では、大砲のマズルフラッシュがパイロットの目をくらませ、反動で煤煙の雲が発生し、それがフロントガラスや機体を覆って視界が悪くなり、低空での射撃を複雑なものにした。さらに、繰り返し発射することでの激しい振動と熱は、機体の早期摩耗と構造的ストレスを引き起こした。


開発チームは、これらの問題を軽減するため革新的な解決策を実施した。そのひとつが、砲身を延長して機体の近くで爆風を抑えるというもの。さらに、弾薬も改良され、金属リンク式からリンクレスのプラスチックケース式に移行することで、給弾の信頼性が向上し、武器にかかる熱的・機械的負担が軽減された。


エンジニアたちは、ガスディフレクターやマズルブレーキの開発など、銃の排気と閃光を管理する構成を実験した。その中で最も注目されたのは、G-F-U-16-A Gun Gas Diverterで、「くすぐり装置」とも呼ばれ、大砲のガスを重要な航空機システムやパイロットの視線から遠ざけることを目的としていた。当初は期待されたものの、この解決策は乱気流の増加や構造疲労など他の問題を悪化させ、最終的に中止されるに至った。


アベンジャーの運用状態を確保するための究極の改良は、エンジンの自動再点火機能の統合だった。このシステムは、エンジンの吸気口が大砲の煙や未燃焼の推進剤によって損なわれても、エンジンが失速しないことを保証し、戦闘行動中の航空機の重要な電力供給を維持した。


困難な開発にもかかわらず、GAU-8/Aアベンジャーは非常に効果的な兵器であることが証明された。装甲車や要塞構造物を貫通する能力により、A-10は紛争地帯で恐れられる存在となった。世界対テロ戦争における同機の役割は、その精度と圧倒的な火力によって、険しい地形で敵に囲まれた地上作戦を支援する大砲の価値を浮き彫りにした。


A-10が耐用年数の終わりに近づき、10年以内に段階的に廃止される計画がある中、ウォートホグの戦闘効果の中心的な特徴であるアベンジャー砲の遺産は誇張しすぎることはない。同機とその砲は、技術革新と戦術的先見の明のユニークな融合を体現しており、戦場での優位性を達成するために武器システムとプラットフォーム設計を統合することの重要性を強調している。


まとめると、GAU-8/Aが問題を抱えた試作機から戦場で実証ずみの資産になるまでの道のりは、軍の適応性と革新性に関するより広範な物語を反映している。ノースロップ・グラマンのエッセイにあるように、ウォートホグの開発ストーリーは、単に巨大な兵器システムの統合というハードルを乗り越えるということにとどまらず、航空戦の戦略と技術で新たな道を切り開いたことを示している。■


Why There is now no Equal to the A-10 Warthog's GAU-8/A 30mm Cannon - Warrior Maven: Center for Military Modernization