2022年6月13日月曜日

食糧危機を回避すべく、ウクライナ港湾からの穀物搬送を早く再開すべきだ。そのため国連主導の護衛部隊を創設すべきで、トルコが重要な立場になる

 

オデーサで船積みされる穀物。2021年8月。 gCaptain


シアの黒海港湾封鎖により、ウクライナから小麦の出荷ができず、このまま戦争が続くと、ウクライナ小麦に依存する各国で在庫が減っていく。飢饉の可能性もある。重大な人道的危機を回避するためにも、状況を解決する必要があると誰もが認めるところだ。ただ、その方法が問題だ。

 戦争がもたらす長期的影響は、さまざまな形で現れる。ウクライナの穀物危機は、北アフリカや中東を中心に世界規模の食糧危機を引き起こす可能性があり、メディアをにぎわせている。ロシア軍艦がオデーサ、チョルノモルスクなど黒海の港湾を閉鎖しているため、穀物は非効率な陸路輸送を余儀なくされている。ウクライナの穀物輸9割が輸送できない状態だ。

 FAO(国連食糧農業機関)の推計によると、ウクライナ港湾地区には穀物2500万トンがサイロ保管されている。これが世界の食糧供給に深刻な影響を及ぼしている。穀物価格は史上最高値に達した。ウクライナの港の開放が不可欠な理由を説明する必要はないだろう。


ロシアによる封鎖を解除するには


Is there a solution to lift Russia's blockade at Black Sea to transport Ukrainian grain?

沈没直前の巡洋艦モスクヴァ


 戦争が始まると、ロシア黒海艦隊が黒海北部の支配権を握った。同艦隊は今回の戦争で二つの重要な役割を果たしている。ウクライナを遮断する禁輸措置、水上艦と潜水艦から陸上攻撃ミサイル「カリブル」を発射しての陸上部隊を支援だ。

 ロシア艦隊がウクライナ沿岸付近で独自に行動したのは、ウクライナが巡洋艦モスクワを対艦ミサイル「ネプチューン」2発で沈没させるまでであった。黒海艦隊は旗艦を失ったトラウマに加え、「面防空」能力も失った。その結果、ウクライナはスネーク島付近でTB2バイラクタル武装無人偵察機でロシア巡視船数隻を攻撃した。これらの損失により、オデーサ沖のロシア海軍の活動は劇的に減少した。

 また、モスクワ喪失は、ロシア艦隊の対艦ミサイル防衛に問題があることを明らかにした。ウクライナは、デンマークから陸上型ハープーン、英国からブリムストーン、スウェーデンからRBS-17(またはロボット17)の各ミサイルを調達し、多層構造の地上防衛を構築した。この強化により、ウクライナはこの地域に75カイリにわたるA2/AD(Anti Access/Area Denial)ゾーンを形成し、ロシア軍に直接の脅威を与えるまでになった。


 米国や欧州諸国はウクライナにの武器やシステム多数を供給しているが、封鎖を破る手段としては対艦ミサイルしかないようだ。対艦ミサイルはロシア艦隊への抑止力になるが、同海域の安全を確保するには不十分かもしれない。なぜなら、対艦ミサイルで交戦不能のロシア潜水艦が活動しており、ロシア水上艦は遠距離から船舶を探知し交戦が可能だからだ。

 封鎖を解除し、ウクライナの穀物輸送に航路を開放するには、さらなる対策が必要となる。


NATOが航路を再開できるか?

Is there a solution to lift Russia's blockade at Black Sea to transport Ukrainian grain?

黒海で開催されたシーブリーズ2021演習でのNATO SNMG2部隊の写真(NATO MARCOM撮影)。


ロシア・ウクライナ戦争における最悪のシナリオは、ロシアとNATOのホットコンタクトだ。NATO各国はウクライナを支援しているが、双方は核保有国間で望ましくないエスカレーションが起こらないよう、微妙なバランスを保っている。NATOとロシアのホットコンタクトが発生した場合、エスカレーションがどこに向かうかを評価は困難となる。

 NATO艦艇がウクライナ港から穀物を運ぶ貨物船を護衛したり、同地域の機雷を除去することについては、以下の問題を考慮する必要がある。

  • 第一の問題は、モントルー条約だ。トルコは同条約に基づき、海峡の軍艦通行を禁止している。ロシアはNATOを紛争の一部ととらえており、この動きを条約違反と見なしすだろう。

  • NATOの護衛艦に対するロシアの態度を評価するのは難しい。ロシアの同意なしに封鎖を突破すれば、ロシアは抑止力を喪失することとなる。予測不可能なプーチン大統領は、エスカレートしNATOへの攻撃命令を出しかねない。

  • 商船が安全に航行できるよう、オデーサ沖の機雷を除去しなければならない。しかし、相互不信のため、同海域でMCM作戦を展開するのは不安なようだ。第一に、誰が機雷を敷設したのか不明である(機雷の正確な位置を提供すべき)、第二に、機雷が浮遊している可能性があること(機雷除去作戦を行うアセットは浮遊機雷の脅威を受ける)、最後にMCM活動の性質上、ロシアの同意なしにMCM活動を行えないこと、がある。

 一方、機雷除去で水陸両用作戦へのオデーサの防御力が低下する可能性があるため、ウクライナはロシアの保証を得ずに同地域の全ての機雷除去に反対する可能性がある。


Is there a solution to lift Russia's blockade at Black Sea to transport Ukrainian grain?

浮遊式地雷を無力化するルーマニアのEOD要員



 フランス大統領府は金曜日、オデーサ封鎖を解除する「作戦」に参加する用意があると宣言したと報じられた。


外交が最良の手段

プーチンが食糧危機を武器として利用しているのは明らかだ。ロシアは、封鎖による穀物不足を交渉カードとみなしている。一方、前述したように、ロシアの同意なしに作戦を実行すると、NATOとロシア間で望ましくないエスカレーションが起こる可能性がある。従って、この危機を解決するためには、相互の合意が必要なのだ。

 国連がこの危機を克服できるかもしれない。世界各地の紛争と同様に、国連海上護衛部隊は、中立的な各国の海軍部隊で編成される。ロシアが安全保障上の懸念を感じないように、国連は商船に武器携行させていないと保証し、ロシア艦も国連部隊に参加できる。護衛部隊は、2つのサブグループで構成される。穀物を運ぶ商船を守る護衛部隊と、ウクライナ港湾に安全回廊を開くMCM部隊だ。


東地中海で訓練を行うUNIFIL海上任務部隊(UNIFIL撮影)。(UNIFIL photo)


 この部隊の司令部所在地で最も賢明な選択はトルコだろう。トルコはNATO加盟国であるだけでなく、ロシアやウクライナと良好な関係を保っている。特筆すべきは、トルコが戦争終結交渉を主催し、首脳(エルドアン、プーチン)間の電話外交でひまわり油危機を解決したことだ。したがって、トルコの提督が各国混成の護衛部隊とMCM部隊を率いて航路を開けば、双方に歓迎されるだろう。トルコ海軍は同様の部隊を率いた経験があり、この任務を遂行する十分な能力を有しているし、トルコは両当事国との関係に加え、地域的な優位性もある。

 原因はどうであれ、今回の事態は人道危機であると全員が認識すべきだ。飢餓を防ぐため必要な対応を、すべての国が行わなければならない。この危機は戦争と切り離して処理されるべきで、ウクライナの穀物を海上輸送するため海軍部隊を可及的速やかに創設するべきだ。同部隊には当事者双方の承認が必要で、外交が解決策を提供に最良の手段であることがわかる。■


Ukrainian grain: How to Lift Russia's Black Sea Blockade? - Naval News

Tayfun Ozberk  12 Jun 2022

 

AUTHORS

Posted by : Tayfun Ozberk

Tayfun Ozberk is a former naval officer who is expert in Above Water Warfare especially in Littoral Waters. He has a Bachelor Degree in Computer Science. After serving the Turkish Navy for 16 years, he started writing articles for several media. Tayfun also offers analysis services on global naval strategies. He's based in Mersin, Turkey.


ウクライナ戦の最新状況(現地時間6月12日現在) ウクライナ軍の損失増大、ロシア軍は逆に戦死者発生が減ってきた

 

英国国防省による6月12日時点の戦場の様子。(英国国防省)


シアの侵攻開始から109日。日曜日、セベロドネツクは、両陣営の激戦が続き、再び注目の的となった。


セベロドネツク攻防戦

ウクライナ軍はセベロドネツクの工業地帯に追い込まれ、市の約3分の1を支配している。両軍の激しい路上戦闘により、セベロドネツクは瓦礫の山と化した。

 一方、ウクライナ南部ではウクライナ軍が反攻を再開し、ウクライナ軍はケルソン北西部に進出した。

 「ロシア軍はセベロドネツク地区で地上攻撃を続けているが、6月11日現在、ウクライナの防衛隊が同市の工業地帯を掌握している。ロシア軍はスロビャンスクへの進軍を再開するため、イジュムの南西と南東の集落への攻撃を継続した」と戦争研究所は評価した。

ロシア軍犠牲者

ウクライナ軍は毎日、ロシア軍に与えたとする犠牲者数を発表している。発表の数字は公式の数字だが、個別検証されたものではない。

 しかし、西側の情報機関の評価や独立した報道は、ウクライナの主張する死傷者数をある程度裏付けている。例えば、オープンソースの情報調査ページ「オリックス」は、600両以上のロシア戦車の破壊または拿捕を目視で確認しており、この発言は英国国防省によって再確認されている。

 ウクライナのその他主張の多くでも、同様に独立した検証がある。米国防総省はロシア軍が戦車1,000両以上含むあらゆるタイプの戦闘車両、戦闘機やヘリコプター数十機のを喪失しているのを認めた。

 さらに、西側情報機関を引用した最近の報告によると、ロシア軍はこれまでの戦争で最大2万人の死者を出している。戦争の霧や、現場にいなければ正確な数字を確認するのが難しい他の要因を調整すると、西側の公式数字はウクライナの主張にかなり近い。

日曜日現在、ウクライナ国防省が主張するロシアの死傷者数は次の通り。


  • 戦死32,150人(負傷者、捕虜はその3倍程度)

  • 装甲兵員輸送車3,484

  • 車両および燃料タンク2,455

  • 戦車1,430

  • 大砲715

  • 戦術的無人航空機システム582機

  • 戦闘機、攻撃機、輸送機 212

  • 多連装ロケットシステム(MLRS)226

  • 攻撃・輸送用ヘリコプター178

  • 巡航ミサイル125

  • 対空砲台96

  • 架橋装置などの特殊装備53

  • ボートおよびカッター13

  • 移動式弾道ミサイル「イスカンダル」4


 この数週間、ドンバス地方での継続的な圧力と攻撃作戦にもかかわらず、ロシアの犠牲者の割合は大幅に減速している。このことは、2つのことを示唆している。1つ、ロシア軍の指揮官が攻撃作戦に慎重になっている、2つ、ウクライナ軍が戦闘力や弾薬を使い果たしつつある。最近の現地報告によると、ともに事実で、戦闘疲労が双方に及んでいるようだ。

 ウクライナ軍はセベロドネツク周辺からの撤退に力を入れており、これもロシア軍の死傷率が鈍化した理由かもしれない。

 ここ数週間、ロシア軍の死傷者が最多だったのは、スロビャンスク、クリビイリヒ、ザポリジャー地区だった。日が経つにつれ、激しい戦闘はスロビャンスクの南東バフムト方面、ウクライナの重要都市セベロドネツク、ライマン周辺に移行していった。

 その後、ウクライナ軍の反攻により、犠牲者多数が発生したのは、ヨーロッパ最大級の原子力発電所があるザポリジャー地区と再び西に移動した。

 日曜日、ウクライナ軍がセベロドネツク近郊で最多の死傷者を出したのは、過去数週間に及ぶ同地域での激戦を反映している。

 ロシア軍の新たな東部攻勢の目的は、ドネツクとルハンスクの親ロシア派の離脱地域を完全支配し、これらの地域と占領下のクリミアに陸上回廊を作り維持することと表明している。■



Your tactical update on Ukraine (June 12) - Sandboxx

Stavros Atlamazoglou | June 12, 2022

Stavros Atlamazoglou

Greek Army veteran (National service with 575th Marines Battalion and Army HQ). Johns Hopkins University. You will usually find him on the top of a mountain admiring the view and wondering how he got there.

 


2022年6月12日日曜日

ウクライナ戦から最初に得られた知見:統合防空ミサイル防衛体制への教訓

 Neptune Anti-Ship Missile

  ネプチューン対艦ミサイルImage Credit: Creative Commons.

 

シアとウクライナの死闘が新局面を迎えているが、米国と同盟国・同志国はこの熱い戦いから得られた重要かつ新しい洞察に耳を傾けるべきだ。100日以上にわたる激戦の後、米国と同盟国の統合防空ミサイル防衛(IAMD)に対する明確かつ説得力のある見解が明らかになってきた。ミサイルと無人航空機(UAS)双方に対抗するIAMDの有効性は、今回の紛争における重要要素で、発射側と防御側の競争は進化し続けている。この力学と得られる重要な教訓を明確に理解することは、米国と同盟国が欧州、インド太平洋、その他世界各地で作戦アプローチを強化・修正しながら、能力整備し能力不足を緩和するため不可欠だ。ただし、今回はオープンソース情報で得た初期の洞察と予備的な教訓であるため、詳細な評価とより完全なデータからの洞察と修正が今後予想される。

 

 

ミサイルの脅威とIAMD

ロシア=ウクライナ紛争では、大量のミサイルやUASによる攻撃例が確認されている。ロシアは弾道ミサイル(主に短距離弾道ミサイル(SRBM))、巡航ミサイル、極超音速ミサイル、空中発射弾道ミサイルの合計2,100発以上を発射している(2022年5月25日現在)。さらに、各種プロファイルを持つミサイルと補完的な能力(例えば、サイバーやUAS)を投入した大規模かつ複雑な一斉発射が、同時またはほぼ同時にターゲットを攻撃するため使用されている状況には懸念すべき理由がある。

 使用されたミサイル種類の決定的な内訳はまだない。戦前のロシアのSRBM用TEL(Transportable Erector Launcher)の在庫から、TELの大部分(約150基)はイスカンダル(NATO名称イスカンダルMまたはSS-26ストーンなど)用の可能性が高い。イスカンダル砲台はSRBMと巡航ミサイル双方を発射できるが、大半はSRBM用だろう。ロシアの巡航ミサイルは、地上(TELを使用)、爆撃機や戦闘機による空中発射、水上艦や潜水艦による海上発射が可能だ。このため、紛争前のSRBMミサイルの発射台数、初期のミサイル攻撃やミサイル攻撃報告(主に巡航ミサイル攻撃と思われる)に基づき、ウクライナに発射されたロシアのミサイルの60%以上が、各種の巡航ミサイルであった可能性が高い。ロシアが発射した巡航ミサイルは、100日目までに120発と約1割が撃墜されている(ウクライナ政府関係者)との報告から、1000発を超えているとの見方もある。

 以前の報告では、巡航ミサイルが高い比率で目標に命中していないとされていたが、最近の米北方軍司令官グレン・ヴァンヘルク大将General Glen VanHercの証言で、この点に疑問が持たれている。 ウクライナは巡航ミサイル撃墜に一定の成果を上げているが、発射元(あるいは「射手」)を攻撃する能力がない。ミサイル(「矢」)を1発ずつ撃ち落とすことは、対ロシアIAMDの長期戦略として効果的ではない。発射場、発射装置、関連機器(レーダー、BMC2など)の破壊に成功すれば、もっとインパクトがあり、民間人、軍人、重要資産を防護できる。

 米国と同盟国(欧州をはじめ世界各国)が学ぶべき重要な教訓は、適切なIAMD能力だけでは不十分であることだ。IAMDシステムは、十分な規模を獲得し、紛争が始まる前に十分な態勢を整え、攻撃から保護されるべきだ。健全な態勢を整えるには、資産の分散、冗長性のある指示や警告に基づく分散、保護が必要だ。IAMD資産(S-300、PAC-3、THAADなど)の保護には、硬化シェルターやカモフラージュ-コンシールメント-ディセプション(CCD)などの受動的防御手段、対UASや巡航ミサイル防衛などの能動的防御、発射直後の反撃能力、敵発射機に対する報復攻撃能力などが必要である。イスラエルのミサイル防衛計画の父であるウジ・ラビン博士 Dr. Uzi Rabinによると、ウクライナ軍は初期に「S-300ランチャー22基と他の短距離地上配備型航空防衛(GBAD)砲台17基を失った」。 Jane’sのオープンソースのバトル・ダメージ・アセスメント(BDA)では、ウクライナのIAMD資産の防御力が相当低かったのを、受動的能動的両面で示しており、ラビン博士の報告書もこれを検証し、「効果的な防御がないため、ウクライナの空軍基地、物流センター、弾薬庫はロシアの深部攻撃用精密巡航ミサイルに大きく晒された」と述べている。

 

教訓と今後の方向性

ウクライナの能動的な防空・ミサイル防衛は、ロシアの脅威と航空戦力に対し、多くの専門家が戦前に考えていた以上の成果を上げたようだ。原因をロシアの失敗とウクライナの成功に求めてる専門家が多いが、まだ確定していない。とはいえ、紛争初期の数週間で、IAMDシステムと主要航空基地を失ったにもかかわらず、ウクライナ全土の既成事実づくりを阻止する点でウクライナ側の成功が重要要素だったようだ。

 米国、同盟国・同志国は、今回の紛争の終了後も、IAMDの教訓を分析する必要がある。分析から、IAMD資産の受動的防衛と、UAS、巡航ミサイル、弾道ミサイルに対する複合的かつ能動的防衛に関する勧告が出る。発射システムを軽減または排除するため、JP 3-01に規定されているような残存装備からの発射および攻撃作戦のための強化されたアプローチと、報復攻撃能力を開発する必要がある。さらに、この紛争におけるUASと対UASの相互作用、IAMD資産防衛の意味について包括的評価が必要だ。

 

 

 ロシア・ウクライナ紛争は、米国、同盟国・同志国のIAMDへのアプローチ、特に巡航ミサイルと UASに対する能力格差が大きいことを露呈している。米国および同盟国の各軍は、現在のところ、短期解決策をほとんど提供していない。例えば、米陸軍の間接火器防護能力増分2-迎撃ブロック1(IFPC 2-I)は、巡航ミサイル防衛能力や能力を実戦配備しておらず、米国外での配備やプレゼンスに何年もかかっている。対UASでは、米陸軍はIM-SHORADを記録的な速さで配備し、機動低速小型無人航空機統合防衛システム(M-LIDS)など新しい対UASシステムを採用しており、陸軍長距離持続センサー(ALPS)など重要センサーの開発も大きく前進している。その他IAMD能力にも同じような緊急性を促すべきだ。さらに、IFPC 2-I の遅延による能力ギャップを埋めるために、米海兵隊のアイアンドーム、戦略能力局(SCO)の超高速地上兵器システム、国家最新鋭地対空ミサイルシステム、日本の陸上自衛隊の中SAM、指向エナジーソリューションなど、他の選択肢も検討する必要がある。最後に、フランス製ミストラルがロシア巡航ミサイル撃破に成功したなど、携帯型防空システムの報告も少なくない。こうした技術革新も分析すべきであり、米国、同盟国・同志国のため、より専門的なシステムが実戦配備されるまでのつなぎとして追求すべきものもある。

 米国、同盟国・同志国が欧州とインド太平洋における防衛能力を強化するためには、完全統合された戦闘管理指揮統制(BMC2)も開発、実戦配備せねばならない。BMC2は、弾道、巡航、UASの脅威に対する防空とミサイル防衛を統合するよう設計とし、各軍およびパートナー国の統合を含める必要がある。MDAは弾道ミサイル防衛分野で成功を収めており、複数のミサイル脅威に対する地域的な防衛設計をサポートするアーキテクチャの開発で大きな進展を遂げている。MDAは、米国欧州司令部(EUCOM)、米国インド太平洋司令部(INDOPACOM)、国土安全保障省の支援を進めている。進行中の開発は、JADC2(Joint All-Domain Command and Control)の構想を最も具現化したものと言えるそうだ。C-sUASと従来の航空・ミサイル防衛(AMD)をBMC2で接続し、各軍や同盟国を完全統合するため、さらに作業が必要だ。

 

Kalibr Cruise Missile

カリブル巡航ミサイルを発射するロシア艦Image Credit: Creative Commons.

 

限定的ながらウクライナでの能動的防空・ミサイル防衛の成功は、特に巡航ミサイル防衛と対UASのため、IAMDを大規模展開する強力な根拠となる。米国では、対UAS 能力の成功の道筋がいくつか見えてきているようだ。しかし、巡航ミサイル防衛については、本国、EUCOMやINDOPACOMのいずれでも進展がなく、米国具体的な行動はまだないままだし、BMC2による統合・合同IAMD資産を主要同盟国同志国と統合する重要性にも気づいていない。■

 

Integrated Air and Missile Defense: Early Lessons from the Russia-Ukraine War - 19FortyFive

ByCarl Rehberg

 

About the Author: Dr. Carl Rehberg is a Non-resident Senior Fellow at the Center for Strategic and Budgetary Assessments. Carl was founder and director of the Headquarters Air Force Asia-Pacific Cell, which played a pivotal role in the development of Air Force strategy, force development, planning, analysis and warfighting concepts supporting initiatives related to Asia-Pacific and the DoD Third Offset Strategy. Carl spearheaded the establishment of the China Aerospace Studies Institute (CASI) and led the development of innovative concepts and capability proposals to improve DoD’s joint resiliency and integrated air and missile defenses. Prior to this assignment, he was the Assistant Associate Director for AF Strategic Planning and Director, Analysis Division in the AF QDR organization, leading multiple assessments of future capabilities and force structure.


岸田平和ビジョンを発表。一方、日本周辺でのロシア軍の動きを警戒する自衛隊、安全保障環境は流動的だ

 


Newsweek

 

田文雄首相は、シンガポールで国際戦略研究所が主催のシャングリラ対話で講演し、インド太平洋地域での日本の役割に関し戦略構想を発表した。

 

 

岸田平和ビジョン

 岸田首相は、この戦略を「岸田平和ビジョン」と呼び、自由で開かれたインド太平洋に新たな展開をもたらす、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化する、日米同盟強化に伴う日本の防衛力の高度強化により安全保障を向上させる、その他の安全保障協力の強化を図るを、5本柱として掲げるとした。また、核兵器のない世界に向け現実的な取り組みの推進、国連安保理の改革に伴う国連機能の強化、経済安全保障などの新たな政策分野での国際協力の強化など、自由で開かれた国際秩序に向けた新たな展開をもたらすとした。

 日本は対立ではなく対話による安定した国際秩序を築くと約束する一方で、「ルールを守らず、武力や脅しで他国の平和と安全を踏みにじる存在」の出現に備えなければならないと岸田首相は述べた。そのような事態を防ぐため、日本は抑止力・対処力を強化しなければならないとした。

 日本周囲の状況が厳しさを増す中、岸田首相は、日本政府は新たな国家安全保障戦略を年末に発表すると述べた。今後5年以内に日本の防衛力を強化し、防衛予算の大幅な増額を確保する決意を述べた。また、反撃能力の獲得を含むいかなる選択肢も日本は排除しないと述べたが、平和愛好国の姿勢は変えておらず、いかなる取り組みも憲法と国際法に従い行っていくことを強調した。

 岸田首相は、ウクライナを侵攻中のロシアを批判し、日本がキエフを支援し、ロシアに制裁を加えると改めて表明した。首相は、今日のウクライナ情勢は明日の東アジア情勢になり得ると警告し、オブラートに包んだ一撃を中国に加えた。中国を名指しさえしなかったが、東シナ海や南シナ海での紛争や、台湾をめぐる緊張に触れた。東シナ海では、国際法違反の一方的な現状変更の試みが続いているとした。

 質疑応答では、岸田首相は友好的な姿勢を見せた。岸田首相は、人民解放軍の何磊中将 Lt. Gen. He Leiから日中関係のビジョンについて質問を受け、日中関係は日中両国だけでなく、地域や国際社会にも重要であると述べた。岸田は責任ある行動をとり、建設的な関係を築くよう中国に呼びかけた。また、北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返し、国連安保理決議に反し、核・ミサイル活動を強化しようとしていると指摘した。岸田首相は、それらの行動は「国際社会に対する明確かつ深刻な挑戦」とした。

 岸田首相は講演で、安全保障と経済の両面でインド太平洋各国を強化する日本の計画的な取り組みも語った。安全保障面では、巡視船の供与、海上法執行能力の強化、防衛装備品の提供や技術移転などを予定する。シンガポールは、日本と防衛装備品・技術移転協定を締結する国の一つ。

 

米中国防トップ会談

これに先立ち、ロイド・オースティン米国防長官は、シャングリラ対話と並行し、中国の魏鳳和国防相Gen. Wei Fengheと会談し、米中防衛関係について協議した。国防総省のニュースリリースによると、会談は30分の予定だったが、1時間弱続き、両名は主に台湾を話題にという。また、ロシアのウクライナ侵攻、北東アジアの問題、北朝鮮も話題となった。

 「オースティンとウェイ両名は、両軍の危機管理の必要性について協議した。オースティンは中国人民解放軍に対し、危機コミュニケーションと危機管理メカニズムにより積極的に参加するよう促した」と米国防総省は発表し、米国防省高官はウェイが「応えてくれた」と指摘した。

 中国国防部はこの会談について声明を発表し、その中で、中国は米国との健全で安定した主要国関係の確立を望んでいると述べ、米国は中国の発展と成長を合理的にとらえ、中国を攻撃・中傷せず、封じ込め・抑圧しようとせず、中国の内政に干渉せず、中国の利益を損なわなければならないと述べた。

 「安定した軍同士の関係は、二国間関係の発展に極めて重要であり、両軍は衝突や対立を避けるべきである」との声明を発表した。

 米国防総省は台湾について、「長官は台湾関係法の文言も読み上げ、台湾海峡の平和と安定が米国にとって『重大な懸念』であるという部分を強調した」と発表した。

「オースティンはウェイに、米国は同法が求める防衛的性格の武器を台湾に提供し続けると伝えた。また、この法律には、『米国は、台湾住民の安全を脅かす、いかなる武力行使にも抵抗できる能力を維持する』との文言も含まれている」と同関係者は続けた。

 魏鳳和は、台湾は離脱した省であり、米中関係の基礎はアメリカの「一つの中国」政策に根ざすとの北京の姿勢を繰り返した。魏は、米国が台北へ武器売却を続けることは、「中国の主権と安全保障の利益を損なう」と付け加えたと声明にある。

 

今週の日本周辺でのロシアの動き

防衛省統合幕僚監部(JSO)の報道発表によると、ロシア艦船が日本近海の国際水域で航行した。情報収集艦プリバルティカRFS Pribaltica(80)は同日午前7時、宗谷岬の北15キロの海域を西へ航行するのを目撃された。その後、ラ・ペルーズ海峡(宗谷海峡)を東に航行した。同発表によると、同艦は5月にラペルーズ海峡を西に航行していた。海上自衛隊八戸航空基地(青森県)に所属する第2航空集団のP-3Cオリオン海上哨戒機(MPA)が、ロシア艦を監視した。

 海上保安庁発表によると、プリバルティカは南下し、木曜日に北海道の奥尻島の南南西約90キロメートルを南東に航行しているのが確認された。同発表によると、同艦はその後、北海道と本州の間にある太平洋の津軽海峡を航行した。海上自衛隊の多用途支援艦「すおう」(AMS-4302)とミサイル艇「わかたか」(PG-825)、海上自衛隊八戸航空基地(青森県)に所属する第2航空集団のP-3CオリオンMPAがロシア船舶を監視した。

 金曜日、海上保安庁は、北海道根室半島の南東約170キロの海域で、ロシア海軍の駆逐艦1とフリゲート4が航行するのを発見した。駆逐艦「マーシャル・シャポシニコフ」、コルベット「RFSソベルシェヌイ」(333)、「RFSグロムキー」(335)、「RFSグレミャーシチー」(337)、「ロシア連邦の英雄アルダー・シデンツァポフ」(339)だと船体番号で特定されたと発表された。海上自衛隊の駆逐艦「ゆうだち」(DD-103)がロシア艦船を監視していたと発表にある。

 岸信夫防衛相は金曜日の記者会見で、ロシア国防省からロシア太平洋艦隊が6月3日から太平洋と千島列島近海で艦船40隻以上と航空機約20機を含む大規模演習を実施すると公表していたのを明らかにした。今回の艦船5隻は同演習に関連したものと防衛省は見ている。岸防衛相は、ロシアがウクライナ侵攻とあわせ極東で同時行動する能力を誇示しようとしていると防衛省は考え、ロシアの活動を引き続き監視していくと述べた。■

 

Japanese PM Kishida Lays Out Indo-Pacific Strategy in Shangri-La Speech - USNI News

By: Dzirhan Mahadzir

June 10, 2022 3:12 PM


練習艦隊が地中海でNATO水上部隊と共同訓練し、交流。世界一周航海でグローバルな視点を有する有為人材が育っていくのは心強い

 NATO Ships Exercise with JMSDF in the Mediterranean Sea

Italian Navy ITS Margottini (SNMG2 flagship) and Turkish Navy TCG Salihreis met the two Japanese ships, JS Kashima and JS Shimakaze, during their transit in the Mediterranean Sea (NATO MARCOM photo)

 

NATO MARCOM press release より

設NATO海上グループ2(SNMG2)は6月6日、地中海で海上自衛隊との共同訓練を実施した。

 イタリア海軍のITS Margottini(SNMG2旗艦)及びトルコ海軍のTCG Salihreisは、第66回遠洋練習航海の一環で地中海に入った「かしま」「しまかぜ」2隻と合流した。日本の2隻は4月24日に日本を出港してjた。

 日本練習艦隊の候補生は、NATO部隊と交流し、操船実習などの訓練活動を行う機会を得た。人事交流では、NATOの乗組員が日本の艦船に乗船し、その逆も行われた。この交流により、参加者全員がNATOと日本それぞれの海上での活動方法について理解を深め、部隊間の理解と相互運用性を育むことができた。

 小牟田秀覚練習艦隊司令官(海将補)は、イタリア海軍のマウロ・パネビアンコ司令官を「かしま」に迎え、NATOとのパートナーシップを強化でき嬉しく思うと述べた。パネビアンコ司令官は候補生と面会し、彼らのキャリアを祝福した。

 「本日の交流は、相互の協力とパートナーシップを強化する素晴らしい機会となった。私たちは、貴国の海軍と多くの価値観を共有しており、それゆえにこの協力関係は相互に有益なものとなっている。日本は、欧州大西洋地域以外で、NATOが関係を発展させている」。イタリア海軍少将 マウロ・パネビアンコ(SNMG2司令官)

 交流を終えた2隻の日本艦は8月に終了予定の世界一周航海を再開した。NATOの二艦MargottiniとSalihreisも、地中海での活動を再開し、公海上の平和と安全を維持するため、強力なプレゼンスを示し、高レベルの準備態勢を維持する。■


NATO Ships exercise with JMSDF in the Mediterranean Sea - Naval News

Naval News Staff  10 Jun 2022


2022年6月11日土曜日

岸田総理はシャングリラ対話で何を語ったのか

 

シンガポールで開催中のシャングリラ対話で基調講演をした岸田文雄首相。

June 10, 2022. (Roslan Rahman/AFP via Getty Images)

 

シアがウクライナに核兵器を使用する恐れがある中、日本は防衛予算増額を5年間続けると、首相が表明した。

 

 

 岸田文雄首相は、6月10日開催されたシャングリラ・ダイアログのオープニングイブニングで基調講演をした。ロンドンに本部を置くシンクタンク国際戦略研究所がシンガポールで開催する同フォーラムは、アジア太平洋地域の安全保障上に焦点を当てる。

 岸田首相は、防衛費増額は日本が攻撃された場合に沿岸部や陸上標的を攻撃する反撃能力の取得につながると繰り返した。日本の平和主義憲法でのこれまでの解釈では、政府はそのような軍事能力を取得することを禁じているとされてきた。

 また、日本の安全保障上の利益を向上するべく、日米安全保障同盟を強化する努力を継続すると約束し、日米安全保障同盟は地域の安全保障の要であり、同様の考えを持つ国々と多層的な安全保障協力を推進する足掛かりとなり得るとの見解を示した。

 また、地域諸国への支援の取り組みにも触れ、日本が特に海洋分野での能力強化のための支援を継続していくと指摘した。この支援には、今後3年間、少なくとも20カ国において、巡視船、法執行能力、無人航空機、800名の訓練などを提供する。

 日本、オーストラリア、インド、米国で構成されるいわゆるクアッドグループを通じ提供される支援の金額は、30億ドルに上ると推定される。日本は航空機やスペアパーツの形でフィリピンを支援した実績がある。

 首相は、今後予定されているその他支援策として、地域全体で1,500名への法の支配と統治に関する訓練が含まれると述べた。

 岸田首相はロシアによるウクライナ侵攻は「他人事」にあらずと警告し、国際秩序の根幹を揺るがすものだと述べた。

 国際法があっても、他国の平和と安全を踏みにじる事態が、この地域の近隣でも起こることを覚悟すべき、と述べた。

 岸田首相は、核兵器の配備と潜在的な使用に対する反対と懸念も基調講演で大きく取り上げた。第二次世界大戦中、米国は広島と長崎に核兵器二発を投下した。

 岸田首相は「核兵器のない世界を目指す」と各国に呼びかけ、核攻撃の脅威を与え続けるロシアや北朝鮮を批判した。ロシアがウクライナに侵攻した直後の2月下旬、クレムリンは核部隊に厳戒態勢を敷いた。

 あわえて、世界の核保有国に対し、保有する兵器の申告を求め、核軍縮と軍備管理をめぐる米中の二国間対話を促した。■

 

Japan to continue increasing defense spending over next five years

By Mike Yeo

 Jun 11, 01:37 AM

 

 

About Mike Yeo

Mike Yeo is the Asia correspondent for Defense News. He wrote his first defense-related magazine article in 1998 before pursuing an aerospace engineering degree at the Royal Melbourne Institute of Technology in Australia. Following a stint in engineering, he became a freelance defense reporter in 2013 and has written for several media outlets.


コメントシャングリラ対話での岸田スピーチは国内メディアが積極的に取り上げていないようで、内容も上の記事の5年間連続増額ではなく5年後に、となっているものさえある有様です。防衛費増額では整備費用、部品調達、弾薬調達を増やす絶好の機会なので、財務省の壁を突破し、本当に必要な防衛力の実現につなげてもらいたいものです。


ウクライナ戦の最新状況(現地時間6月10日現在)ロシア軍の損害状況のウクライナ発表はどこまで信憑性があるのかなど

 


シアによるウクライナ侵攻が始まって107日目の金曜日、戦略的な都市セベロドネツクの戦いは続いている。


現地からの最新報告によると、ロシア軍は市街地の大部分を制圧しているが、完全な包囲には至っていない。



セベロドネツク

セベロドネツク市と周辺では、戦闘が続いている。ロシア軍はこの戦略的都市の大部分を支配しているが、完全に攻略できていない。ウクライナ軍は断固として防衛を続けているが、長い戦いで完全に劣勢に立たされている。


ウクライナ政府関係者は、ウクライナ軍は大砲で15~20対1、砲弾で40対1の不利な状況にあると述べている。その結果、砲撃回数や時間が減少中だ。


戦争研究所(ISW)によると、現地の状況は以下の通り。



反対に、ロシア軍は開戦当初からの戦術を完全に転換し、装甲車両や機械化大隊による戦術集団が前進する前に、砲兵で目標を軟化させる方法をとっている。この戦術で、ロシア軍戦車が登場する頃には対抗するウクライナ軍が残らないため、ウクライナ軍が享受してきた対優位性が大きく否定される。



ロシア軍の死傷者数

ウクライナ軍はロシア軍の死傷者数を毎日発表している。公式発表の数字は個別に検証されたものではない。


しかし、西側情報機関の評価と独立した報道は、ウクライナが主張する死傷者数をある程度裏付けている。例えば、オープンソースの情報調査ページ「オリックス」は、600両以上のロシア戦車を破壊または拿捕したのを目視で確認しており、英国国防省が再確認している。


ウクライナの主張の多くにも、同様の独立した検証が存在する。米国防総省は、ロシア軍が1,000両以上の戦車、数十機の戦闘機やヘリコプターを含むあらゆるタイプの戦闘車両を失ったことを認めたばかりだ。


さらに、西側情報機関を引用した報告によると、ロシア軍はこれまで最大2万人の戦死者を出しているという。現場にいないと正確な数字を確認するのは難しいが、西側の公式数字はウクライナ発表とかなり近い。


金曜日時点で、ウクライナ国防省は以下のロシア軍損害を主張している。

  • 戦死31,900人(負傷者・捕虜は約3倍)。

  • 装甲兵員輸送車3,450台を破壊

  • その他車両および燃料タンク2,438

  • 戦車1,409

  • 大砲712

  • 戦術的無人航空機システム 572

  • 戦闘機、攻撃機、輸送機 212

  • 多連装ロケットシステム(MLRS)222

  • 攻撃・輸送用ヘリコプター178

  • 巡航ミサイル125をウクライナ防空隊が撃墜

  • 対空砲台97

  • 架橋装置などの特殊装備プラットフォーム54

  • ボートおよびカッター13

  • 移動式弾道ミサイルシステム「イスカンダル」4


ドンバス地方での継続的な圧力と攻撃作戦にもかかわらず、ロシアの死傷者発生は大幅減少している。このことは、2つを示唆する。1つ目は、ロシア軍指揮官が攻撃作戦に慎重になっている、2つ目は、ウクライナ軍が戦闘力や弾薬を使い果たしつつあることだ。最近の現地からの報告では、ともに事実であり、戦いの疲労が双方に深まってきていることがうかがえる。


ウクライナ軍はセベロドネツク周辺からの撤退に重点を置いており、これもロシア軍の死傷率が鈍化している理由かもしれない。

 ここ数週間、ロシア軍の死傷者が最も多かったのは、スロビャンスク、クリビイリヒ、ザポリジャー地区で、各地での激戦を反映していた。日が経つにつれ、激しい戦闘はスロビャンスクの南東、ウクライナの重要な町セベロドネツク、ライマン周辺のバフムト方面に移った。

 ここ数日でウクライナ軍の反攻により、最も多くの犠牲者が出た場所は、ヨーロッパ最大の原子力発電所があるザポリジャとなっており、再び西に移動している。金曜日、ウクライナ軍がセベロドネツク近郊で最大の死傷者を出したのは同地域での激しい戦闘を反映している。


ロシア軍が東部で再攻撃している目的は、ドネツク、ルハンスクの親ロシア派地域を完全に支配し、各地域と占領中のクリミアの間に陸上回廊を作り維持するためと表明している。■



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Stavros Atlamazoglou | June 10, 2022


Stavros Atlamazoglou

Greek Army veteran (National service with 575th Marines Battalion and Army HQ). Johns Hopkins University. You will usually find him on the top of a mountain admiring the view and wondering how he got there.

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