2022年6月18日土曜日

Know Your Enemy:「 台湾海峡は国際水域ではない、全域に中国主権が及ぶ」と中国が主張を始めた

 ご注意 以下はCCPの見解を代弁する環球時報英語版からのご紹介です。文中で赤字部分は環球時報の表現です。文中の見解、意見は当ブログの主張ではありません。

   

 

連海洋法条約(UNCLOS)に「国際水域」は存在しない、と中国外交部の王文斌Wang Wenbin報道官は1日の記者会見で明言した。アメリカは、普遍的に適用されるべき国際法のルールを、自分たちで作った一方的なルールに置き換えている。国際ルールと秩序の破壊者がどちらかは自明であると、国際法の専門家は述べている。

 

 

ブルームバーグが月曜日に報じたところによれば、数カ月にわたり、中国軍当局者がアメリカ側との会談席上で、台湾海峡は国際水域ではないと繰り返し主張しており、バイデン政権内に懸念を呼んでいる。

 

米国と同盟国が台湾海峡の大部分は「国際水域」であると主張しているのに対し、外交部の王報道官は、中国が台湾海峡の主権、主権的権利、管轄権を享受していると報道官は述べた。

 

中国は、他国が台湾海峡を口実に台湾関連の問題を操作し、中国の主権と安全を脅かすことに断固反対する、と報道官は付け加えた。

 

台湾は中国の領土の一部であり、台湾海峡の幅は狭いところで約70海里、広いところで220海里であると同報道官は述べた。国連海洋法条約と中国の法律によると、台湾海峡の海域は、両岸から海峡中央に向かい、内水面、領海、連続水域、排他的経済水域などの区域に分けられる。中国は台湾海峡に対して主権、主権的権利および管轄権を有する。同時に、関連水域における他国の合法的な権利を尊重するという。

 

米国務省のネッド・プライス Ned Price報道官は24日、ロイター通信へ電子メールで次のように述べた。「台湾海峡は国際水路であり、航行と上空飛行の自由を含む公海の自由が国際法の下で保証されている地域であることを意味する 」。

 

同報道官は中国による「台湾に関する攻撃的なレトリックと強圧的な活動」に対する米国の懸念を改めて示し、米国は「国際法が許す限り、飛行、航行、作戦を継続し、台湾海峡の通過も含む」と述べた。

 

しかし、元海軍大佐で、グローバル・ガバナンス研究所の創設者であり、国際軍事作戦法センター所長の田世珍Tian Shichenは、水曜日に環球時報に、世界各地の専門家は、米国がこの問題にでお茶を濁そうとしていると見ていると語った。米国が言ってきた「ルールに基づく国際秩序」の本質を露呈している、と田は述べた。

 

さらに、国際法に「国際水域」という言葉は存在しないと田は説明した。UNCLOSの非締約国である米国が、同法の義務を回避し、海洋覇権を維持するため考案した「万能薬」なのだ。

 

国際水域とは「米海軍司令官マニュアルで使われている軍事用語だ」と田は指摘する。

 

また、UNCLOSについて異なる解釈がある場合、米国は国連憲章第2条第3項の 「国際紛争を解決するための平和的手段によって」に言及したことはない。米国は世界で唯一、「航行の自由」計画をでっち上げており、「過度の海洋権益主張」をしていると考える国に対し軍事的威嚇を行い、国連憲章の基本規範を根本的に損なっていると田は指摘した。

 

「1982年国連海洋法条約に未加盟の国として、米国は自国の一方的なルールを普遍的に適用されるべき国際法のルールに置き換えている」(田)。

 

田は、米国は台湾海峡を「国際水域」とすることで、中国大陸が台湾を圧迫しているという幻想を形成しようとしているが、「中国は台湾海峡に主権と管轄権を持ち、同水域における他国の合法的権利と利益を尊重している」と事実は無視していると指摘した。

 

また、台湾海峡は「国際水域」ではないが、UNCLOS第36条により、事実上、国際航路として利用されている。米国を含む各国の軍艦は、排他的経済水域内で航行の自由を享受できるが、適用される沿岸国の規制と注意義務に従うと、田は強調した。

 

中国社会科学院アメリカ研究所副所長兼上級研究員の袁正Yuan Zhengは環球時報に、「中国は同海域での外国船舶の航行に反対したことはなく、台湾海峡は重要な国際水路であることを強調している」と述べた。

 

航行の自由が保障されている台湾海峡を、航行の自由に問題がある地域と呼ぶことで、米国は中国をルール破りの国として描き出す意図があると田は指摘した。

 

台湾の「外事」当局のスポークスマンJoanne Ouは、中国大陸の立場を 「誤り」と呼んだ。水曜には、台湾の「行政機関」のトップである蘇曾長Su Tseng-changが、海峡は「決して中国の内海ではない」と述べた。

 

国務院台湾事務弁公室の馬暁光Ma Xiaoguang報道官は同日、民進党当局が「外部勢力と協力して問題を誇大化している」との見方に反論した。

 

馬報道官は、「これは台湾海峡両岸の同胞の利益を損ない、中華民族の利益を裏切る卑劣な行為だ」と指摘した。■


'International waters' merely a unilateral colloquial term used by US Navy: experts - Global Times

By Guo Yuandan and Xu Yelu

Published: Jun 15, 2022 11:00 PM


IPEFには安全保障の意義もある。中国へ対抗する域内経済メカニズムの機能を正しく理解しよう。

 

NHK


IPEFは安全保障の意味を有する経済構造だ。


国へ対抗し、地域の経済的関与を促進するため米国が主導する取り組み「インド太平洋経済枠組み」が正式に始動した。インド、ベトナム、インドネシア、タイ、ブルネイ、フィリピンが、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシアが枠組み交渉に参加し、貿易を中国から米国に振り向けさせる。新協定が成功するためには、経済的要素や機会が新しく生まれる中で、既存の安全保障同盟枠組みを活用する必要がある。


経済同盟

インド太平洋を支配しようとする勢力にとり、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の参加は不可欠だ。だが米国は遅れを取り戻す必要がある。過去数十年間、米国は中東と北大西洋へ優先順位を置いてきた。アジア太平洋諸国は、米国からの経済支援は期待できないことを理解していた。中国にとってASEANは経済面で重要な同盟国だが、実はその真価は輸出志向の中国に海上アクセスを提供することにある。中国がASEANに注目するのは、偶然ではない。


ASEAN and the IPEF


 ASEAN諸国の経済発展には、強力な経済大国と同盟を結ぶしかない。中国の経済問題は、投資プロジェクトの停滞、貿易の不安定化、環境・社会問題による「一帯一路」構想の頓挫などがあり、信頼性が疑われている。COVID-19の大流行やウクライナ戦争などを考えれば、ASEANは安定したパートナーを必要とする。米国経済は比較的安定しており、米国は中国封じ込めのため、アジアに軸足を移そうとしている。

 インド太平洋経済枠組み(IPEF)は、ASEAN諸国を米国のルールや基準に合わせる方法だが、加盟国間の経済活動を活性化させるのが重要だ。IPEF参加国は、デジタル貿易と貿易円滑化、クリーンエナジーと脱炭素化、サプライチェーン強靭化、汚職防止と税金を対象の交渉を継続することだけ約束している。各分野で何を交渉するかは署名国が決定し、各分野でオプトインやオプトアウトが可能だ。(ASEAN加盟国は、中国を怒らせたり関係を危うくしたくないので、柔軟性が初期段階で重要となる。)


China-ASEAN Trade & Investment


礎石

しかし、IPEFに安全保障の要素があることは否定できない。加盟国の参加を確保しようとするワシントンの戦略は、安全保障上の利益の共有を軸に、既存同盟国の強化、インドとの関係改善、南シナ海の権利主張国との関係改善という3本の取組みで構成している。

 既存の安全保障上の同盟国がIPEFの自然な基盤となる。日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドなどだ。各国はいずれも、貿易の多様化や政治・軍事行動の活性化により、インド太平洋がより強く、より弾力的になるのを望んでいる。

 日本と韓国の地理的位置が特に重要だ。日本と韓国は黄海と東シナ海に面し、太平洋に直接アクセスする中国を制限するのに役立つ。日本と韓国は、歴史的な不満や中国への対抗で相違があるが、ともに地域における米国の軍事プレゼンスを支持し、経済が非常に発達しており、中国が地域覇権を握るのを阻止することに関心を持つ。IPEF枠組みを通じ、日本と韓国に有利な貿易ルートを開拓し、中国に依存してきた地域諸国を日本と韓国の経済軌道にしっかりと固定できる。

 オーストラリアとニュージーランドは、米国の安全保障機構にさらに密接に統合されている。英国、カナダとともに情報同盟「ファイブ・アイズ」のメンバー国であり、歴史的なルーツ、共通の文化、安全保障上の利益を共有している。米国と豪州は、太平洋の海洋問題で緊密に協力している。豪州は米国の海軍資産に戦略的拠点を提供し、米国は海上貿易に大きく依存する豪州の商業利益を守るため軍事支援を提供している。キャンベラは、北京に代わる存在としてIPEFに特に熱心だ。注目すべきは、ニュージーランドがIPEFにやや懐疑的なことだ。中国との貿易関係があるためだ。ニュージーランドは、潜在的な影響をもっと容易に判断できるよう、今後のIPEF交渉で選択肢の明確かつ詳細な定式化を望んでいる。協定は、ASEAN諸国との貿易リンクと新しいサプライチェーンを提供することで、中国に代わる実現可能な選択肢を提供する可能性を秘める。しかし、ニュージーランドには、韓国と同様に、対中関係を慎重に管理する必要がある。

 第二に、インドとの関係強化も重要だ。インドは地理的位置のため、中国を陸路で西に封じ込める米国戦略にとって極めて重要だ。インドは、米国、日本、オーストラリアとともに四極安全保障対話に参加しているが、グループ内で最も慎重な存在だった。米国は、IPEFが安全保障協力の促進につながる経済的インセンティブになるよう期待している。一方、インドはIPEFを、他の地域を走る輸送や供給ラインをIPEFに移動させることによって、自国影響力を東・南東に拡大する機会と考えている。さらに、IPEFの取り組みは、ネットゼロ経済への移行、電気自動車製造の世界的ハブとすること、クリーンな再生可能エナジーへの移行など、インドの国家経済開発イニシアティブの多くと合致している。

 また、インドがIPEFに参加することで、タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポールなど、インド貿易の重要性が増している国々の参加を促進することも重要だ。こうした各国はインフレが進んでおり、食料と燃料の安定的な輸入が必要だが、インドが提供できる。インドがIPEFを通じ提供できれば、4カ国は対中依存度を大きく下げられる。

 残るIPEF参加国であるフィリピン、ブルネイ、マレーシアは、中国の約束の失敗に幻滅している国であり、したがって米国には絶好のタイミングとなる。各国は安定した外国直接投資の流入でインフラの近代化を必要としている。一帯一路プロジェクトはフィリピンとマレーシアで停滞しており、ブルネイは約束額の投資を受けていない。米国、日本、韓国は自由で開かれたインド太平洋の枠組みを通じ、これらの国々における中国の一帯一路の取組みに対抗し、場当たり的な取り組みを進めている。この枠組みは、地域内国家の福利を向上させる意図では有望なものの、十分に構造化されていないままの仕組みとなっている。IPEFは、こうした各国の経済活動を改善し、インフラのニーズを満たすため先進国経済との結びつきの強化、アクセスを支援する。

 しかし、IPEF加盟のその他国と同様、経済関係の改善には安全保障の側面もある。この三カ国は、長引く南シナ海紛争で海洋領有権を主張している。もちろん、中国との関係で緊張を強いられる。だが、3カ国が単独で中国に対抗し、揺さぶりをかけることはほとんどない。米国や日本、韓国など安全保障上の強力な同盟国の支援があれば、中国から離れ、米国に接近するよう誘導できるだろう。

 IPEFに含まれていないASEANのメンバーもいる。カンボジア、ミャンマー、ラオスだ。各国はASEAN内で発展が遅れており、特に海外直接投資で中国に最大に依存しているため、参加要請を受けなかった。中国と関係が近すぎ、国内事情もワシントンにとって障害になりすぎるためだ。

 その他国も有望な候補であることは間違いないが、疑問がないわけでもない。その参加は、協定のルールと構造、裕福で熱心で地理的に便利なパートナーである中国を回避するのに本当に役立つのかにかかる。米国にとっては、これ以上ない好機といえよう。■


A New Trade Pact in the Indo-Pacific - Geopolitical Futures

By Victoria Herczegh -June 13, 2022


空母福建の進水をホームズ教授はこう見る-----戦力としての同艦の意義より地政学上の影響に注意。カンボジアの軍港整備が要注意だ。

  

Fujian

Fujian, China’s 3rd aircraft carrier. Image Credit: Creative Commons.

 

週、中国は最新鋭の空母「003型」を進水させた。「福建」と命名された中国3番目の空母は、数年間の艤装工事を経て、2025年前後に戦力となる予定だ。福建は、ソビエト空母を改修した1号艦や、同じ基本設計をアップグレードして中国で建造した2号艦より大きい。003型はカタパルトを装備し(蒸気駆動ではなく電磁式と言われている)、艦首のスキージャンプで戦闘機を空へと舞い上がらせていた同型艦より重い航空機を扱える。

 中国の造船業者と人民解放軍海軍(PLAN)は、空母航空において米海軍と同等に飛躍すると主張してきた。福建には米国の最新空母フォード級に搭載された技術があり、同様に電磁式発艦・回収システムを採用している。また、その規模は、航空機、乗組員、物資・弾薬を満載した場合、8万〜10万トン級と、アメリカの超大型空母に匹敵する。戦闘力だけでなく、国家のプライドを保つためにも、大きさは重要だ。結局のところ、中国はアジアと世界の中心という自称にふさわしく、最大かつ最も多くを持たなければならないのである。

 

一騎当千の重要性

福建のデビューは、作戦上、戦略上、どのような意味を持つのか。中国の空母、戦術機、艦艇が、米国や同盟国の空母に技術的な面でやや及ばないことに変わりはない。情報専門家が敵対する軍隊の能力を把握するため綿密に調査している機密事項の外で、確かなことを言うのは難しい。しかし、不気味なタイプであっても、物事を正しく理解できる保証はない。平時の兵器システムはブラックボックスだ。ハイテクプラットフォームや兵器、センサーの外観をチェックできても、内部を覗き込み作動原理は確認できない。そのため、平時の航行や作戦、演習でのパフォーマンスを監視することで、能力を推測することになる。

 つまり、003型が戦闘でどの程度の能力を発揮するのか、大まかな目安を知るには時間がかかるということだ。福建を中心とした空母機動部隊が実戦でどのように、どの程度機能するかを知るには、PLA海軍自身がフラットトップ、航空団、護衛艦、支援艦を海上に連れ出さなければならない。戦闘艦は、他の工学システム同様に、仮説であり、工学に転写されたアイデアであり、実世界に送り出され、何がうまくいき、何がうまくいかないかを冷静に判断すべきものだ。その他仮説と同様に、中国の新型空母も実地試験で真価を見極めなければならない。

 

成功は決して予見できない。

フォード級空母、ズムワルト級駆逐艦、フリーダム級およびインディペンデンス級沿岸戦闘艦など、新型プラットフォームに新技術を多くの盛り込むとトラブルを招くというのが、過去20年間の米国海軍が得た厳しい教訓だ。中国の建造部門もこの論理から外れることはない。中国の厳しい報道統制のため、彼らの苦労が表沙汰にならないこともあるが。

 技術的な問題はさておき、「福建」は運用開始後、中国海軍にとって重要なマイルストーンになる。空母3隻を保有することで、中国海軍が常に1隻の空母を海上展開するか、または待機することになる。米海軍は、一隻を外国に駐留させるため、何隻の米軍艦艇を維持しなければならないかを予測するため、「駐留経費倍率」という厄介なラベルを使用している。この比率は、訓練、維持管理、大規模オーバーホールのリズムを考慮している。西海岸が拠点の空母が西太平洋に1隻駐留するため、約6隻という途方もない数字となる。しかし、前方展開する空母の場合、1.5になる。つまり、例えば横須賀に空母2隻を配備すれば、1隻は常にパトロールに従事し、米本土が母港の艦艇の助けは必要ない。これなら、はるかに管理しやすい数字だ。現状では、海軍は横須賀母港の部隊を本国よりの部隊で補い、プレゼンスを常に維持するようにしている。

 アメリカの基準から判断すると、中国海軍は、最初の空母001型遼寧をフルタイムの訓練任務にはりつけ、002型山東と003型福建で海上パトロールを交代させる余裕が生まれるだろう。中国共産党が最重要視する中国近隣海域に艦隊を「前方展開」する限り、このサイクルを維持できる。そこが最も可能性の高い戦場となる。もし、中国海軍が空母群を定期的に遠洋派遣するようになれば、駐留倍率の厳しさに直面することになる。そうなれば、中国共産党は、米海軍が世界各地で享受しているのと同じ特権を外国拠点で求めることになりかねない

 個人的には、福建が西太平洋でゲームチェンジャーになるとは思わない。潜在的な敵に占領された第一列島線という地政学的な課題に直面しているからだ。中国がこの連鎖を断ち切ることができない限り、海洋における中国の展望は限られたものにとどまる。ただし、第一列島線内で、福建機動部隊が何ができるかを考えてみてほしい。新たな能力が新たな戦略的展望を開く。例えば、北京はピカピカの新型空母を自国近海に留めておき、能力の劣る山東を遠征空母として、遠隔地に母港を置くこともできる。あるいは、中国共産党はすでに中国周辺を管理するのに十分な火力を持っているという論理で、福建を遠征空母にすることもできるだろう。

 

その他

遠征任務部隊はどこに拠点を置くのだろうか。最近、カンボジアと中国が、南シナ海の南部に隣接するカンボジアのリーム海軍基地を改良中というニュースが流れた。カンボジア政府関係者は中国艦船の受け入れを強く否定しているが、これはプノンペン側の単なる前フリかもしれない。タイ湾を拠点とする空母群が中国の海軍司令官に何をもたらすか考えてみてほしい。また、中国海軍の艦船に補給基地ができれば、南シナ海での北京の戦略的地位の向上にもつながる。

 要するに、中国の新型空母の出現とカンボジアにおける基地建設を、米国同盟国の情報アナリストが注意深く観察する必要がある。プノンペンや北京の言葉は無視して、真意を見極める必要がある。一つ重要な指標は、リームで行われている浚渫(しゅんせつ)、支援インフラ、その他の改善の度合いだ。整備された施設に喫水の深い軍艦を収容できるかが、アナリストの最大の関心事のはずだ。

 大規模港湾施設が整備されれば要注意だ。■

 

Fujian: China’s New Aircraft Carrier Is Important — But No Game-Changer

ByJames Holmes

 

A 1945 Contributing Editor, Dr. James Holmes holds the J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and served on the faculty of the University of Georgia School of Public and International Affairs. A former U.S. Navy surface warfare officer, he was the last gunnery officer in history to fire a battleship’s big guns in anger, during the first Gulf War in 1991. He earned the Naval War College Foundation Award in 1994, signifying the top graduate in his class. His books include Red Star over the Pacific, an Atlantic Monthly Best Book of 2010 and a fixture on the Navy Professional Reading List. General James Mattis deems him “troublesome.” The views voiced here are his alone. Holmes also blogs at the Naval Diplomat


ウクライナに勝利の可能性はない----軍事面の現実を直視しよう----侵略国ロシアを容認することはできないが

 Russia

Russian artillery firing. Image credit: Creative Commons.

 

増え続ける犠牲者...戦いの潮流はウクライナに不利に傾いているという冷酷な事実

 

 

シアによるウクライナへの侵略戦が始まり数週間後、ロシア軍がキーウ郊外で停滞していることが明らかになったため、欧米ではウクライナが最終的に勝利すると考えるのが普遍的に近くなった。識者の多くには、ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領率いるウクライナ軍に武器と弾薬を十分持たせるだけでよい、との主張まで登場した。しかし、4カ月が経過した今、状況はロシアに有利であると明らかになっている。

 軍事的に見れば、ウクライナが戦争に勝利できる合理的な道筋はない。軌道修正しなければ(しかもすぐに)、ウクライナ全土が最終的に危険になる可能性がある。

 開戦から数週間、ロシア軍兵士がキーウとハルキウ北部のウクライナ軍兵士に「大敗」した後、多くの識者がロシア軍を「無能」と断じ、勇敢さと技術が広く賞賛されるウクライナ軍(UAF)を破るのは不可能であると示唆した。

 4月下旬、キーウを訪れたオースティン国防長官は、西側諸国は「適切な装備」と「適切な支援」を提供できるとゼレンスキーに伝えた。オースティンは、ウクライナの勝利と「ロシアの弱体化」を望んでいた。戦場での直接支援に加え、西側はプーチンから継戦能力を奪う目的で経済的手段も行使していた。

 戦争の初期にバイデンは、ホワイトハウスが「史上最も影響力があり、協調的で、広範囲な経済制限」になると評した制裁を発動した。6月3日、欧州連合(EU)は第6弾として、ロシアの石油とガスの大半の輸入を一部禁止する制裁措置を発動した。こうした懲罰的な経済的措置のねらいは、プーチンがウクライナで戦争を続ける能力を弱め、停止させ、キーウが戦争に勝つため装備を整えることにあった。しかし、この戦略はともに失敗しているのが明らかになりつつある。

 開戦3カ月間、米国とウクライナ双方の指導層は、ウクライナ国内からロシアを「追い出す」と示唆し、キーウはいかなる領土もロシアに譲り渡す交渉解決は受け入れないと、ほぼ例外なく肯定的に発言していた。しかし、今週初め、ロンドンのThe Independent紙は、漏洩したウクライナ機密報告書の一部を公開し、これまでよりはるかに厳しい戦場の現実を暴露した。

 それによると、戦争開始から100日以上にわたるロシアのウクライナ軍への執拗な砲撃により、ソ連時代の装備の大部分が破壊され、砲弾の在庫も枯渇したという。その結果、ウクライナの前線部隊は、砲兵では20対1、砲弾では40対1という驚異的な劣勢に立たされている。航空戦力(1日あたり出撃最大300回、ウクライナは3〜5回)や兵力でもロシアが優位に立ち続けているのを考えれば、ウクライナがドンバスで手詰まりになっているのも無理はない。

 ウクライナのオレクシー・レズニコフOleksiy Reznikov国防相は、毎日100人以上のウクライナ戦死者(1日200人に近いという報告もある)、500人以上が負傷と認めている。ゼレンスキーは、ロシアがウクライナ領土の20%以上を占領しており、日に日に増えていると認めている。ウクライナ指導者が、侵略国に国土を譲り渡すつもりがないのは十分理解できるが、それ以外にも考慮すべき厳しい現実がある。

 つまり、ウクライナは領土を手放すべきか否かではなく、今すぐ領土を手放して被害をここで抑えるのか、それともいつの日か全土を取り戻す期待して戦い続けるのか、多大な犠牲を払いながら、領土をさらに失わない保証もない中で選択を迫られる。例えば、今日でもウクライナはドンバスの重要部分(北部のスラビャンスク/クラマトルスク峡谷、中央部のアブディフカ地域、南部のドネツク地域の大部分)を保持している。ハルキウやオデーサは今も完全にキーウの支配下にある。だが時間が経つにつれて、ウクライナが支配する都市リストは縮小していくだろう。

 欧米がウクライナに重火器とくに榴弾砲に必要な大量の大口径砲弾を提供しても、ウクライナの火力面での大きな劣勢を均衡させるのは、ほぼ不可能だろう。米英両国が最近供与した最新のロケットランチャーでも、バランスを大きく変えないだろう。

 ゼレンスキーとウクライナ国民は、戦闘継続は国民と都市と軍隊にさらなる死と破壊をもたらすだけで、敗北は食い止められない醜い見通しにまもなく直面する。軍事面の基礎条件と戦力は、モスクワに有利だ。キーウとその勇敢な人々の敗北を回避して、時間経過とともに各要因は好転しそうにない。これが戦争の醜く苦しい現実なのだ。■

 

There Is No Military Path for Ukraine To 'Defeat' Russia - 19FortyFive

ByDaniel Davis

 

Daniel L. Davis is a Senior Fellow for Defense Priorities and a former Lt. Col. in the U.S. Army who deployed into combat zones four times. He is the author of “The Eleventh Hour in 2020 America.” Follow him @DanielLDavis1.


ウクライナ戦の最新状況(現地時間6月17日現在)

 

ウクライナのゼレンスキー大統領は、6月16日(木)、キエフでフランスのマクロン大統領、ドイツのショルツ首相、イタリアのドラギ首相、ルーマニアのイオハニス大統領と会談した。EU首脳4人名は、ロシアが多数の戦争犯罪をしたとされるイルピンも訪問した。(フランス大統領府)



クライナ侵攻が始まり114日目となった金曜日、ロシア軍は地上攻撃を強行し、連絡する橋梁が破壊されたにもかかわらず、セベロドネツクはまだ持ちこたえている。



突破口の模索

セベロドネツク周辺で戦闘が続く中、ロシア軍は他の進攻軸からもドンバスでの突破口を探っている。

 セベロドネツク北西部では、ロシア軍がイジウムやライマン方面から攻撃を開始したが、成功していない。一方、ウクライナ側は側面を確保するため、同地域で反攻を準備しているようだ。


現地の状況 (ISW)


ウクライナ参謀本部のオレクシー・グロモフ副長官によると、ロシア軍はドンバスで戦術アプローチを転換し、大隊規模の戦術群をフルに戦場に投入せず、小隊や中隊規模で臨機応変に部隊編成している。

 大隊戦術群は、装甲、機械化歩兵、砲兵、戦闘工兵、電子戦、防空などを組み合わせた任務部隊で、ロシア軍の地上戦術の中心的な部隊である。


ロシア軍の損失

ウクライナ軍は毎日、ロシア軍の死傷者数を発表している。これらの数字は公式の数字であり、個別に検証されてはいない。

しかし、西側の情報機関の評価と独立した報道は、ウクライナの主張する死傷者数をある程度裏付けている。例えば、オープンソースの情報調査ページ「オリックス」は、約800台のロシア戦車を破壊または拿捕したことを目視で確認しており、この評価は英国国防省によって確認されている。

 ウクライナ側のその他主張のほとんどでも、同じような独立した検証が存在する。つい最近、米国防総省は、ロシア軍が1,000両以上の戦車、数十機の戦闘機やヘリコプターを含むあらゆる種類の戦闘車両数千台を失ったことを認めた。

 さらに、西側情報機関の関係者を引用した最近の報道では、ロシア軍はこれまでの戦争で最大2万人の死者を出しているという。

実際の数字を確認するのは、現地にいないと非常に難しい。しかし、戦争の霧やその他の要因を調整した後、西側の公式数字はウクライナの主張とかなり近いという。

 金曜日時点で、ウクライナ国防省が主張するロシアの犠牲者は以下の通り。

  • 戦死33,150(負傷、捕虜は約3倍)

  • 装甲兵員輸送車3,563台

  • 車両および燃料タンク2,496

  • 戦車1,456

  • 大砲734

  • 戦術的な無人航空機システム593

  • 戦闘機、攻撃機、輸送機 215

  • 多連装ロケットシステム(MLRS) 233

  • 攻撃・輸送用ヘリコプター180

  • 撃墜した巡航ミサイル129

  • 対空砲台96基

  • 架橋装置などの特殊装備55

  • ボートおよびカッター13

  • 移動式イスカンダル弾道ミサイル4


 過去数週間、ドンバス地方での継続的な圧力と攻撃作戦にもかかわらず、ロシアの犠牲者の割合は大幅に減少している。これは2つのことを示唆している。ひとつは、ロシア軍の指揮官が攻撃作戦に慎重になっていること、もうひとつは、ウクライナ軍が戦闘力や弾薬を使い果たしつつあること、これは3カ月以上にわたってロシア軍と戦ってきた結果、予想されることである。最近の現地からの報告によると、この2つの要因はいずれも事実であり、戦いの疲労が双方に追いついてきているようだ。

 先月はスロビャンスク、クリビヤリ、ザポリジャー周辺で激しい戦闘が続いたため、ロシア軍の死傷者が最も多かった。日が経つにつれ、激しい戦闘はスロビャンスクの南東にあるバフムト方面、ウクライナの重要な町セベロドネツク、ライマン周辺に多く移行していった。

 その後、ヨーロッパ最大の原子力発電所があるザポリジヤ周辺でのウクライナ軍の反攻により、最も多くの犠牲者が出た場所は再び西へ移動した。

 金曜日、ウクライナ軍は、ロシア軍が進攻しセベロドネツクを後方から遮断しようとしているバフムト付近で最も大きな犠牲を出した。

 ロシア軍の東部での再攻撃の目的は、ドネツクとルハンスクの親ロシア派の離脱地域を完全に支配し、これらの地域と占領したクリミアとの間に陸上回廊を作り維持することであると表明している。■


Your tactical update on Ukraine (June 17) - Sandboxx

Stavros Atlamazoglou | June 17, 2022



2022年6月17日金曜日

【速報】中国003型大型空母が6月17日上海で進水。「福建」Fujianと命名された。

 

2022年6月17日、中国・上海で「空母福建」(通称:003型)が進水した。米海軍のニミッツ級やフォード級に匹敵する大きさの空母だ。


洋海軍整備をねらう中国の野望で、航空母艦はますます重要になっている。新空母、003型が進水した。米海軍フォード級、ニミッツ級超大型空母に近い大きさだ。米国以外の国でこれに匹敵する空母は世界初だ。



 オープンソースインテリジェンス(OSINT)によると、「福建」Fujianと命名された同空母は、6月17日に上海で進水した。Naval Newsは進水前からその建造を追い、建造進展の兆候を観測してきた。

 中国が最初の空母を就役させて10年、003型「福建」は中国海軍の能力をさらに拡大し、成熟させる。太平洋で、全世界で活動する、真の外洋海軍へ進化する一歩となる。

 衛星画像に写る、進水式のため艦に書かれたスローガンには、「強く、近代的な海軍を構築し、強い軍隊という中国の夢の実現に強力なサポートを提供する」とある。新時代に合致した軍の強化という党の目標を実現し、人民軍を全方位的に世界的な軍隊に作り上げることをめざしている。

 003型は、アメリカ海軍のニミッツ級やフォード級に匹敵する大きさで、設計面で多く類似点がある。中国海軍の最初の2隻はソ連技術で建造され、今回の空母は進化したものとなる。

 1隻目の001型遼寧 Liáoníng(CV-16)は、旧クズネツォフ級空母Varyagである。未完成だった同艦は1998年にスクラップとして中国に売却され、完成され2012年に中国での運用を開始した。2隻目の空母002型 山東(CV-17)は現地建造された。1番艦から小さな改良が多数あるとはいえ総合的に同等の艦だ。

 003型で最も目につく違いは、スキージャンプからカタパルトに変更されたことだ。旧型艦は飛行甲板前部のランプから自力で航空機を発進させていた。003型は米海軍の空母と同じようにカタパルト3基を持つ。


21世紀への飛躍

中国の設計者は、他国が何十年にもわたって行ってきた研究開発の成果を、後発国として享受している。この新型空母は、中間段階の進化を省き、最新の考え方を一気に多数取り入れている。

 米海軍のフォード級空母と同様、カタパルトにEMALS(電磁式航空機発射システム)が採用される。蒸気の代わりに電気を使用するもので、同システムは、場所を取らず、より高速に航空機を発進させるはずだ。

 中国海軍を過小評価すべきではない。空母をすでに10年間運用しており、訓練、手順、インフラを整備してきた。

ここ数カ月、空母「遼寧」が西太平洋の外洋で運用されていた。日本の防衛当局者は、延べ100回以上の航空機発艦が行われたと指摘している。これは、かなりの作戦テンポで、空母運用に自信と信頼が高まっていることを示している。

 同時に中国は、空母用インフラを整備している。南シナ海の海南省三亜Sanyaと楡林Yulinの両海軍基地は拡張された。空母を収容できる巨大な乾ドックが新たに建設された。また、空母の入港時に航空機を受け入れる、霊水Lingshui 航空基地も整備されている。


成長する中国の海軍力の象徴として

003型空母は、中国で最新かつ最高の空母となる。F-35CライトニングIIに対する中国の回答、最新のJ-35戦闘機を搭載する期待がある。J-35は双発機で、伝統的に海軍の作戦に好まれる特徴を持っている。

新型空母の意義は、従来の空母に対する漸進的な改良にあるのではない。空母3隻を保有することで、中国海軍は戦力投射能力を拡張できる。外洋艦隊として、中国は空母戦闘群をより頻繁に展開できるようになる。また、空母戦闘群複数を状況に応じ投入できるようになる。これが戦術的、戦略的な意味を発揮する可能性がある。

 防衛専門家で中国軍に関する複数の著作があるアンドレアス・ルプレヒトは、このような大型空母は米海軍の専売特許だったと指摘する。「新しい能力を探求するための次の大きなステップです。そして、今後数年間、多くの経験を積むことになる。PLANは、運用開始からやっと10年が経過したところであることをよく認識している。米海軍の知識や理解には到底及ばない。しかし、歩こうとする者は、まず這うことから始めなければならない、...003型はそのためにあるのです」。

 世界的に空母の能力が向上している。アメリカ海軍は依然として圧倒的リードを保っているが、中国は数と規模の点で2番手につく。しかし、中国は競争に直面する。イギリスはかつて先駆的だった空母運用能力を復活させており、フランスは中国と同レベルの新型空母を建造中だ。

 しかし、中国の空母建造は3隻で終わりではないようだ。原子力空母を保有するのはアメリカとフランスだけだが、国防アナリストは、003型に続く中国の原子力空母に注目している。■


China Launches First Aircraft Carrier Which Rivals US Navy's - Naval News

H I Sutton  17 Jun 2022


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Posted by : H I Sutton

H I Sutton writes about the secretive and under-reported submarines, seeking out unusual and interesting vessels and technologies involved in fighting beneath the waves. Submarines, capabilities, naval special forces underwater vehicles and the changing world of underwater warfare and seabed warfare. To do this he combines the latest Open Source Intelligence (OSINT) with the traditional art and science of defense analysis. He occasionally writes non-fiction books on these topics and draws analysis-based illustrations to bring the subject to life. In addition, H I Sutton is a naval history buff and data geek. His personal website about these topics is Covert Shores (www.hisutton.com)