2016年12月9日金曜日

ヘッドラインニュース 12月9日


12月9日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。


韓国議会がF-35価格上昇に疑問を呈す
韓国国防部が提示した機体価格2割上昇を拒絶した。一方でF-16関連では提出案より予算増を認可している。韓国向けF-35の引き渡しは当初より遅れている。次年度国防予算は40.3兆ウォン(345億ドル)となる。


トランプ大統領を待ち受ける国防上の難題
米国防予算は10年間5000億ドルの削減を予算管理法で求められているが、トランプは選挙運動中、強制削減の撤廃、軍備の大幅拡張を公約していた。これには共和党内部でも実現は難しいとの声が上がっている。


国防総省は1,250億ドルを無駄遣いしていたのか
ワシントン・ポスト記事でホワイトハウスも対応を迫れているが、もともと2015年1月にDefesen Newsが報じていたもの。業務維持管理予算として省共通(870億ドル)、航空機(588億ドル)、陸上部隊(487億ドル)等が計上されていた。

米国はアフガニスタン軍向けMi-17ヘリをロシアから購入
購入は終わったが、ロシア製ヘリの保守管理予算をどう捻出するかが問題だ。ブラックホーク、カイユース両米製ヘリへの移行までの前提だったがアフガン軍は大型ミルヘリコプターを多用している。ただしロシア製機体の購入には怪しげなクレムリン関連企業が絡んでいる。

中国 新型対潜ミサイルが開発中か 
中国CCTV映像からのキャプチャーは不鮮明だが、空気取り入れ口があり、ターボジェットあるいはターボファンで発射後に飛翔するようだ。米アスロックと同様に潜水艦ソナー探知により目標近くで魚雷を投下する機能があると思われる。中国は軽量魚雷Yu-7を使用しており、40ノットの速度を確保しているとされる。


2016年12月8日木曜日

12月8日のヘッドラインニュース


12月8日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

トランプ次期大統領が新型大統領専用機調達に異議
ボーイングと価格交渉し、値下げにならなければ調達を取り消すと本人が12月7日述べた。ボーイングCEOムレンバーグと6日に電話会談していた。747-8を原型とする次期専用機の開発費は28.7億ドル、会計検査院の事業費見積もりは32億ドルだが、ボーイングは今のところ1.7億ドル契約しか交付されていない。仮に中止となればボーイングのみならず航空宇宙産業に大きな痛手となる。

国土安全保障省長官にケリー元将軍
トランプ次期大統領はマイク・ケリー退役海兵隊大将を任命する。ケリーは米南方軍司令官を最後に退役しており、マティス将軍同様に軍での活躍が知られている。ケリーはオバマ政権の中東へ地上軍は送らない政策、グアンタナモ基地の閉鎖方針にともに反対の姿勢を示していた。

新型バンカーバスターの要求性能水準を示した米空軍
現行のBLU-109/B、 BLU-109C/Bに代わる装備となるBLU-137/B貫通爆弾の要求性能が12月2日開示された。採用されれば15千発量産される。弾頭部は2千ポンドで従来型と同様だが、残存性、威力で向上するとだけ明らかになっている。


トランプ政権移行チームに反イラン派が集まる
安全保障専門家にイランに対して強硬な意見を有する者が多い。オバマ政権が進めたイラン政策にはかねてから反対意見があった。国防長官候補のマティス大将やCIA長官候補のマイク・ポンペノ下院議員(共カンザス)に加え安全保障担当補佐官に名前が上がるマイケル・フリン退役陸軍中将とつながる。


SM-3IIAの大気圏外迎撃テスト近づく
ミサイル防衛庁とレイセオンは新型迎撃ミサイルの試射に向けて準備中。SM-3をさらに大型化した新型ミサイルはヨーロッパの陸上ミサイル防衛施設への配備が期待されている。開発には日本も参加している。





2016年12月7日水曜日

★主張 真珠湾攻撃から75年で日本は破壊者から世界秩序の守護者に変容した



12月7日我真珠湾攻撃75周年であり、いろいろな考察が米国から出てきていますが、日本への視点も多様なようです。安倍首相の動きはともかく、ヴィエンチャン・ヴィジョンがなぜ日本国内で黙殺されているのか不思議ですね。著者の近刊End of Asian Centuryはどんな要旨なのか、興味を惹かれます。

The National Interest


75 Years after Pearl Harbor, Japan Is a Key Defender of Global Stability

Japan Maritime Self-Defense Force helicopter destroyer JS Kurama performs maneuvers during integrated maritime exercise Koa Kai. Wikimedia Commons/U.S. Navy
How Japan became a key force for order, not disorder.
December 6, 2016

75年前の今日、日本は西側諸国に奇襲攻撃を加え、太平洋での戦いの幕を切り帝国軍による戦争犯罪は四年度の広島、長崎への原爆投下で終焉を迎えた。米国では日曜日早朝の出来事として語り継がれる真珠湾攻撃で日本軍が狙ったのは欧米を東南アジアから一層し石油等資源禁輸を反故にすることで国力衰亡を食い止めることだった。同日中に香港、マラヤ、フィリピン、シンガポールは海空からの攻撃を受け翌1月にその他東南アジアも侵攻し、力の均衡を破り、日本主導の新しい地域内秩序が生まれた。
  1. 安倍晋三首相が12月後半に真珠湾を訪問しバラク・オバマ大統領に合流すると発表され、屈辱の日の歴史が閉じることになる。さらに11月には稲田朋美防衛相が日本-ASEAN間で初の防衛構想を立ち上げた。「ヴィエンチャン・ヴィジョン」として第二回日本ASEAN防衛相会談で発表されている。海洋安全保障と国際法支配をアジアで強化する目的で安倍首相は日本を戦後体制の守り手として位置づけようとしているのは、1941年の同国とはまさしく反対だ。
  2. 敗戦の灰燼と世界から受けた屈辱から始まった日本の戦後史は恩恵を多大に受けつつ貢献も果たしてきた自由な世界体制は米国はじめとする連合国の勝利の結果だ。1945年から1952年までの占領期の日本は部分的にせよ占領国を模範とし、戦時関係者を追放し、独占資本体制を解体していたが、1950年の朝鮮戦争勃発でこの動きが止まった。日本は米国の世界規模での政治軍事上のプレゼンスに不可欠な存在になった。
  3. 米国による占領後10年間は軍事力をほぼ放棄してきた日本は世界に例がない存在で、米国が起草した1946年憲法の有名な第九条がこの象徴として戦争を永遠に放棄するとしている。当時の吉田茂首相以後の総理大臣は日本防衛は米国任せとし、代わりに産業復興と市場確保に全力を費やしてきた。1964年に東京はオリンピック競技を開催し、戦後復興とともに世界最速の経済成長を見せつけた。その後、日本は世界第二位の経済規模となり、家電製品からジャストインタイムの在庫のしくみまで常識を書き換えた。国民の生活水準は世界最高の水準まで向上し、日本の美意識は自動車からインテリアまで影響を与えた。
  4. それでも日本は経済規模に見合った政治的影響力、軍事力をともに整備せず超大国をめざさなかった。憲法上の制約から平和国家となり大きな国際責任で経済発展が阻害されることを防ぐ日本は世界の中で閉じこもった観があった。1990年代に経済成長が止まると日本の対外影響力も同様に衰え、同時に中国が日本の経済規模を上回り、米国に真っ向から挑戦する国として登場した。
  5. 今日の日本は経済でも軍事力でも中国の後塵を拝するが、安倍首相は大胆に自国をアジア政治面で表舞台に立たせようとしている。このため従来は実施できなかった軍事協力活動を対外展開し、防衛予算を増額し、米国との同盟関係を深化させている。さらに防衛装備品を東南アジア諸国へ供与し始めた。インドとの関係を強化し、南シナ海での日本のプレゼンスを強め、今度はASEANとの防衛協力体制を立ち上げたのだ。
  6. 安倍首相の動きは国内外で問題視されている。特に中国はこれを自国による域内覇権への挑戦と受け止めている。だが安倍首相がひるむことなく目指すものは戦後自由国際秩序の強化であり、日本はいかなる国よりもこの恩恵を受けてきたとし、ロシア、ISIS、イラン、北朝鮮、中国が突きつける課題に対応しようとしている。歴代の前任者が過去の戦争の謝罪にとどまっていたのを先に進めることで日本を世界安定の守り手として位置づけようとしているのであり、70有余年前に世界を破壊する方向で動いたのとは真逆の姿勢なのだ。■
Michael Auslin, a resident scholar at the American Enterprise Institute, is the author of The End of the Asian Century, which will be released in January.
Image: Japan Maritime Self-Defense Force helicopter destroyer JS Kuramaperforms maneuvers during integrated maritime exercise Koa Kai. Wikimedia Commons/U.S. Navy



米議会の求めでA-10とF-35の飛行実証試験が行われる


F-35がCAS機材として妥当なのか、実証で確認することは良案でしょう。ただし、妙な圧力で結果がゆがまなければいいのですが。新政権で財政事情が一夜にして好転するとは思えませんが、明らかにトランプの思考はこれまでの政権とは異なり、ビジネスの損得を国家財政に持ち込むもののようですので、ひょっとすると今後米経済が急転換する可能性もあります。そもそも予算が足りない(使い方が悪い)ためにA-10はじめ高性能装備の今後が見通せなくなっていたのです。

Aerospace Daily & Defense Report

Congress Wants A-10 vs. F-35 Flyoff

Dec 1, 2016Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report

USAF

米議会は米空軍にF-35と実地で比較検証したあとでA-10退役を決めたいとしている。
  1. この案はこのたび議会内調整できた総額6,187億ドルの2017年度国防政策法案に組み込まれており、A-10支持派には勝利と言える。ここ数年に渡り空軍とウォートホグ退役案で戦ってきたからだ。空軍がA-10退役予定を当面断念する結果になるとの予想もあり、すでに空軍上層部がAviation Weekにそれとなく暗示している。
  2. 上下両院で妥結を見た法案は11月30日に公表され、ペンタゴン試験部門にF-35とA-10の近接航空支援(CAS)での比較テスト実施を求める条項が加わった。ペンタゴン試験評価部門トップは試験結果に加えF-35の最終テスト段階の所見を初期運用評価(IOT&E)として議会に報告するよう求める。今後上下両院で議決に回される。
  3. また空軍長官がIOT&Eと比較検証の結果を議会に提出したのちに空軍がA-10退役を開始できると定めている。これでF-35の性能判定とともにCASミッションの実施能力も確保できるとする。
  4. これで空軍がA-10退役を始められるのは最短で2019年となった。F-35の共同事業推進室(JPO)はIOT&E開始を2018年と楽観的に見ているが、そもそも2017年8月の予定が実施不能となっている。ペンタゴンの試験評価部門長はAviation Weekに最終テスト開始は2019年初頭まで遅れると語った。
  5. 議会と一般からの反発で空軍はA-10退役を毎回後回しにしているが、ウォートホグ退役は純粋に予算上の措置だと空軍は説明しており、A-10とF-35の並列運用は財政事情から不可能だという。
  6. だが空軍案を葬る圧力が増してきた。空軍は多用途F-35を既存戦闘機全部の後継機だと説明するものの批判勢力はF-35はCAS専用機材として果たしてのA-10には及ばないとし、空軍上層部もこの見解は認めている。
  7. 米会計検査院が今年8月に出した報告書では空軍がウォートホッグ退役により生まれるリスクを真剣に評価していない、とくに即応体制で穴が生まれると考慮していないと批判している。
  8. 新政権が1月に発足すると国防総省はF-35、A-10の両方を維持できる予算を入手する可能性が生まれる。ドナルド・トランプは大統領就任100日以内に予算強制削減措置を撤廃し、空軍戦闘機材を1,200機体制にすると公言していた。
  9. 政府企画部門はA-10退役の時期とその影響を検討中だが、空軍整備部門はウォートホグを今後も飛行可能にする体制ができている。
  10. 空軍物資資材本部長のエレン・ポーリコウスキ大将は10月24日取材で「同機の運用が再度継続に向かう中で補給部門は部品供給体制を強化している。ほぼ無期限に同機を維持できる方向に向かっている」と述べている。■

12月7日のヘッドライン




12月7日のヘッドライン

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J-20を甘粛省に配備
民間商用衛星の画像により中国甘粛省Dingxi にJ-20が2機11月17日に到着しているのがわかった。同基地は米空軍ネリス基地に相当するウェポンスクールの所在地である。


新潜水艦「コロラド」
12月3日にコロラド州デンヴァー製発泡ワインを艦体に打ちあてて命名を完了した。同艦は2019年に就役し300隻体制を目指す米海軍の一部となる。ヴァージニア級攻撃潜水艦の15号艦の建造単価は27億ドル。コロラドの艦名はこれで四隻目。直近は第2次大戦の戦艦だった。

戦場で改良を続ける小型飛行船
常時情報提供のため小型飛行船がアフガニスタン等に投入され、有効性を証明している。無人機より費用が抑えられるのも魅力だ。従来の飛行船は低空に配置され脆弱だったが新技術で高空に数か月滞空できるようになっている。太陽光発電を応用してセンサーを使える。ただし軍は新政権の方針が出るまでは静観の立場だ。

米海軍がF/A-18E/F追加調達か
米海軍はF/A-18旧型ホーネットに代わりE/Fスーパーホーネット数十機程度の調達を検討していると判明した。決定となれば2018年度予算に盛り込む。旧型機の整備に手間がかかりF-35Cの供用開始が遅れていることもあり、70機程度のホーネット機体数が不足するという。

高性能無人ステルス偵察機を求める米空軍
米空軍はU-2やRQ-4グローバルホークを上回る性能のステルス無人ISR機材で内陸部の偵察飛行を実施する方策を求めている。すでにこの機体が完成している可能性もある。ではロッキード・マーティンRQ-170やノースロップ・グラマンRQ-180はどう運用されているのか。空軍は情報を一切開示していないが、嘉手納基地等が攻撃にさらされる可能性が増していることで長距離運用等の高性能化が必要なのは確実だ。

マティス次期国防長官候補に各界から賛意あいつぐ
「狂犬」と言われればいかにも恐れを招きそうだが、右派左派問わず同盟国からも人事を歓迎する声が強い。同大将の仕事ぶりを見てきた該当国でその傾向が強い。


2016年12月6日火曜日

ヘッドラインニュース12月6日


12月6日のヘッドライン

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Su-33が着艦失敗し機体海没、地中海、ロシア空母
12月5日、地中海で作戦中のロシア空母アドミラル・クズネツォフでSu-33が着艦に失敗し、機体は海に没した。パイロットは射出脱出し無事回収された。原因は拘束ワイヤーが切断したことによる。以前にMiG-29KRでも同様に着艦失敗で機体喪失している。

USSズムワルトがカリフォーニアへの回航を再開
主駆動軸の潤滑油の冷却装置が同艦を航行不能にした原因だった。海水が装置内に入ったことで故障したが、この現象は以前から報告があった。今回のパナマでの修理のため姉妹艦マイケル・マンソーから同型部品を慌てて空輸した。ズムワルトはサンディエゴに12月上旬に到着する。

自殺車両攻撃に苦しむイラク陸軍のモスル奪回作戦
ISISが用いる車両搭載即席爆発物による自殺攻撃が深刻なためモスル奪回を狙うイラク地上部隊が苦境に陥る中、連合軍は同市につながる橋梁5箇所のうち4箇所を空爆で壊滅させ、ISISガチグリス川東岸への移動を困難にする策に出た。

中国がDF-21ミサイル10発を同時に試射
トランプ次期大統領への力の示威なのか、中国が11月末に一斉発射下のは中距離弾道ミサイルDF-21でアジア太平洋地区の米軍基地を標的にすると新華社が説明する装備だった。専門家によれば今回発射されたのはDF-21Cで海上艦船を狙うDF-21Dはこの派生型。中国がミサイル発射を発表したタイミングはトランプがマティス退役海兵大将を次期国防長官に内定したと明らかにした直後のこと。中国は海軍演習も同時期に展開している。

2017年度国防予算で潜水艦へ破格の扱い
2017年度国防予算認可法案が下院を通過したが、米海軍の潜水艦建造関連予算を承認し、オハイオ級戦略ミサイル原潜後継艦予算は満額予算となり、ヴァージニア級攻撃潜水艦は年2隻建造のペースを維持するのは潜水艦の意義を正しく認めた結果だ。


2016年12月5日月曜日

12月5日のヘッドラインニュース


12月5日のヘッドライン

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A-10対F-35のCAS効果比較実証を求める米議会
総額6187億ドルの2017年度国防予算案の一環で浮上した動きでA-10の実効性が明らかになれば同機の温存をかねてから主張している一派は有利となる。その結果、米空軍はA-10退役案を当面棚上げする可能性もある。

ベルと富士重工がUH-X開発から民生型投入も期待
ベル412を自衛隊向けUH-Xとして改修する案から機体重量が増えて民生向け派生型も生まれそうだ。ベルと富士重工は別個に民生型を生産することになりそうだ。

初の電子戦総合戦略をペンタゴンが作成
電子戦での優位性を再度確立することが急務な中、初めて電子戦関連の総合戦略構想がまとまり、カーター国防長官の承認をまっている。完成すれば実施案、ロードマップ除き公表される見通し。新技術の積極的導入が柱となる。また2018年度予算ではEW関連が大幅に増額される。具体的予算規模は2月以降明らかになる。

北朝鮮への先制攻撃が必要
シャープ退役陸軍大将(前駐韓米軍司令官)は北朝鮮への先制攻撃をトランプ政権は検討すべきと主張。これは北朝鮮が米国を狙う長距離ミサイル開発に完成する前に手を打つべきとの主張で、外交やミサイル防衛では不十分との考えを反映するもの。CSIS主催のパネル討論で発言した。国連安保理は討論の前日に北向け制裁策の強化を採択している。

テキサスではロシア軍装備も買える
クリスマス商戦がはじまっているが、ロシア製Mi-24ヘリコプターガンシップやSu-25フロッグフット対地攻撃機をお求めの向きはテキサス州にあるレッドフィッシュ・トレーディングhttp://www.redfishtradingcompany.com/ で購入可能。いずれも米国務省による許認可を受けてぬ入可能だという。その他対戦車ミサイル9М17P FALANGA ATGMが500発在庫あるとのことなので検討されてはいかが。


2016年12月4日日曜日

トランプの台湾電話会談の次に何が来るのか


南シナ海、東シナ海で現状維持に堂々と挑戦する中国がトランプ次期大統領の突然の台湾総統との電話会談で現状が破られることを危惧するのはなんという皮肉でしょうか。台湾の独立と繁栄を守るのが米国の大きな目標です。台湾内部の意識変化もあり、そろそろ台湾に国ではない扱いをするのを変える時期に来ているのでしょう。台湾が台湾としてのアイデンティティーを持てば(中国が一番忌避する考え)、一つの中国原則はそのままで、誰もが得をする結果になるのですが、計算高い中国人がこれに気づいていないはずはないのです。台湾侵攻のシナリオはたしかにありますが、何ら生産的な結果を招かないことも自明の理です。建前と本音をうまく使い分けられる中国人と台湾人がうまく並列できるといいですね。しかし今回の電話会談で一番びびったのは外交官僚であり親中派だったのは痛快ですね。

The National Interest

Donald Trump Talks to Taiwan: What Happens Next?

December 3, 2016


ドナルド・トランプ次期大統領が台湾総統蔡英文と12月2日に電話会談した。その事自体になんら誤りはなく、むしろ今後のアメリカの台湾政策で良い兆候となるだろう。
  1. 米台関係には中国と取り交わした3文書による一つの中国政策から制約を受けている。一部は1979年に正式に中華人民共和国を承認するため必要だったが、残りは必ずしも必要ではない。
  2. 新政権は両国交流に塞がる成約を見直し緩和にもっていくべきである。
  3. 台湾に親しみを感じる勢力がこのことを長年提唱してきた。マルコ・ルビオ上院議員(共フロリダ)やスティーヴ・チャボット下院議員(共オハイオ)はともに煩雑な制約に手をつける法案を提出しており、上院版の2017年度国防予算認可法案でも同じ内容が盛り込まれている。
  4. 米台関係では他の課題も目白押しだ。たとえば台湾向け潜水艦、戦闘機の調達は待ったなしだ。台湾関係法の理念を再度確認し、レーガン大統領が1982年に台湾に約束した「6つの保障」も活かすべきだ。
  5. また台湾の国際社会での地位拡大も模索すべきだ。これは議会が長年懸念している。
  6. 両国の軍組織の間には装備品の統合化が極めて重要でこれがないと中国の侵攻から台湾の防衛がままならい。
  7. トランプ政権は閣僚級高官を台湾に政権一年目に送り、今回の電話会談が偶発の結果ではなく今後を象徴する意味があったと証明すべきである。閣僚級人物が訪問した事例はある。迅速に行えば政策優先事項を米国が急いで見直そうとしているとがわかるはずだ。
  8. 今回の両者電話会談では同時に両国関係に制約条件も生まれる。
  9. 米国が堅持してきた一つの中国政策で手直しが必要だとしても廃止はすべきではない。これまでの中国との安定関係の礎になってきたからだ。安定は東アジアの平和と経済成長を下支えし、米国も大きく恩恵を受けている。
  10. 今後両首脳が再び電話をくりかえすとしても、あるいはその他政策変更が生まれても現状変更にはそのままつながらない。また台湾とはまだまだ実行可能な課題が多くあるのだ。■

12月4日のヘッドラインニュース



12月4日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

F-35開発推進室の存続はぎりぎりで認められた
2017年度国防予算許認可法案の政治的妥結でJPO共同開発推進室は廃止を免れたが、ペンタゴンは来年3月までに事業統括の代替策の提出を求められている。

ミニドローンを運用するオスプレイ
先行飛行させ着陸地点の情報を送る無人機をオスプレイに搭載する構想をペンタゴンが検討中。

EU防衛行動構想が公表された
加盟国の集団安全保障作として年間55億ユーロを基金に繰入れ、各国の防衛体制の変化を奨励する内容だ。既存の各国防衛方針の調整変更から装備調達までこれまでの方向性を変えようとするもの。

敵装備を乗っ取る新技術が開発中
米政府は産業界とともに敵通信制御を奪い、無人機など装備を自由に操る技術を開発中。これまでの技術は通信妨害に注力していたが、新技術Mesmerは通信の奪取が目標だ。
USSズムワルトの修理作業はどこまで進捗しているのか
パナマ運河で機関故障が発生し回航途中で修理を受けけている同艦だが、高性能誘導モーターからシャフト周りが浸水していた。出港の準備が整い、サンディエゴへ向かう。

ユーロファイター・タイフーンが南シナ海上空へ投入される
日本へ展開中のタイフーンを送る他、2020年に就航する英空母部隊も西太平洋に展開すると駐米英国大使が語った。ワシントンの会合での発言。駐米日本大使も同席し、日米英三国が安全保障で協議していることを明らかにした。タイフーンは10月末に日本へ到着している。




2016年12月3日土曜日

歴史のIF ② フォークランド戦争でアルゼンチン潜水艦の魚雷が機能していたら


ASWが困難であることに改めて驚かされます。もっとも英海軍はフォークランドでは対潜哨戒機を運用できず能力で限定があったのでしょうが、ディーゼル潜水艦とは言え大きな脅威になることを示していますね。

The National Interest


How the Falklands War (Thanks to a Stealthy Submarine) Could Have Gone Very Differently

November 27, 2016

1982年に発生した短期間ながら熾烈なフォークランド諸島(アルゼンチン名マルヴィナス)をめぐる戦闘は英国海軍力による勝利と受け止められている。英海軍任務部隊は激しい航空攻撃をものともせず南大西洋でアルゼンチンから領土を奪還した。

  1. 戦いの殆どでアルゼンチン海軍のディーゼル動力潜水艦サンルイが英海軍に立向かっていた。同艦へほぼ200発の対潜兵器が向けられたが無傷で帰港している。同艦は対潜フリゲート艦に2回も攻撃するチャンスがあり、兵装が正常に作動していれば英国の勝利は大きな代償を求められていただろう。
  2. アルゼンチン軍事政権はフォークランド諸島を占拠し、国内政治で点数稼ぎを狙った。実際に開戦になるとは考えなかった軍事政権は判断を誤り、英国首相マーガレット・サッチャーが事態をエスカレートし軍部隊を迅速に動員するとは予期していなかった。
  3. 作戦立案の不備を如実に語るのはアルゼンチン海軍の潜水艦部隊だ。機関不調で潜行できず、修理に入っている艦もあった。旧式のサンタフェがフロッグマン部隊を送り、4月2日の侵攻当日を支援したが、その時点で最新鋭のサンルイはその翌日に出港しマルヴィナス周辺で戦闘哨戒を実施する命令を受けた。
  4. サンルイはドイツの209型ディーゼル潜水艦で小型かつ費用対効果の高い潜水艦で大量に建造された途上国向けの艦だ。排水量は1,200トンで36名が乗り組む同艦はマーク37対潜魚雷14発とドイツ製SST-4有線誘導式対水上艦魚雷10初を搭載。潜行時に42キロ、浮上時に21キロの速度を誇り、500メートルまで潜行可能だ。
  5. 同艦乗員の技量が逸話になってているが、フォークランド戦争の時点でアルゼンチン海軍の最良の乗員はドイツにいた。かわりにサンルイには経験の浅い乗員が乗っていた。艦長フェルナンド・アズグエタ中佐は潜水艦のベテランだったが209型の経験は浅かった。
  6. さらにサンルイの艦の状態はひどいもので中途半端な修理を拙速で受けていた。シュノーケルは漏れ、排水ポンプは作動不良で4基あるディーゼルエンジンの一つは故障していた。潜水夫がほぼ一週間かけて艦体とプロペラからフジツボを除去しないと速度と静粛性が確保できなかった。
  7. 同艦は4月11日に出港し、政治状況が悪化する中、指定地点で待機に入った。最初から不具合にあう。火器管制装置は魚雷3本を同時に発射してしまう。出港後8日目で故障して、乗員は修理方法もわからない。手動有線誘導で一本の魚雷を発射するのがやっとだったが、サンルイはそのまま任務を続けた。
  8. 一方、サンタフェは第二次大戦中の旧米海軍潜水艦バラオ級で4月17日に海兵隊員及び技術要員をサウスジョージア島へ移送すべく派遣された。同島はアルゼンチンが占拠しており、同艦は4月25日に隊員を下船させていたが出港が遅れ、午前9時に英ウェセックスヘリコプターのレーダーで探知され、ただちにワスプ、リンクスのヘリコプター部隊が飛来した。サンタフェには二発の爆弾が命中し損傷したが、AS-12対艦ミサイルも命中した他、機関銃掃射を浴びてしまう。同艦は座礁したあと、英軍が捕獲した。サンタフェへの攻撃が英軍攻撃の幕開けとなった。
  9. 翌日サンルイは哨戒を命じられ、4月29日に英艦攻撃許可が出た。
  10. ただし英海軍はサンルイの通信内容を傍受しており、同艦を狩るヘリコプターとフリゲート部隊を準備した。英艦隊には対潜任務用のフリゲート、駆逐艦とヘリコプター空母一隻があり、潜水艦6隻も待機していた。
  11. 5月1日にサンルイのパッシブソナーが対潜フリゲートのHMSブリリアンとヤーマス二隻を探知した。アズクエタ艦長はSST-4魚雷一発を9キロ地点から発射したが直後に誘導線が切れた。艦長は急速潜航し海底で隠れようとした。ブリリアントが攻撃に気づき、フリゲート艦二隻はヘリコプターとソナー探知の正体を突き止めようとした。爆雷30発、魚雷数発を発射した英艦はクジラ数頭を殺しただけだった。
  12. その翌日、英潜水艦コンカラーがアルゼンチン巡洋艦へネラル・ベルグラーノを撃沈し乗員323名が犠牲になった。アルゼンチン水上艦はすべて本国近海に逃げ、英侵攻部隊に立ち向かうのはサンルイのみとなった。英部隊は各所でソナー探知と潜望鏡を目視したとし、サンルイがいない海域で魚雷発射していた。
  13. 一方でサンルイの乗員は5月8日に英潜水艦からの魚雷攻撃を受けたと思い込、回避行動をとり、マーク37魚雷を海中の探知目標に発射し、魚雷は爆発して目標は消えた。これもクジラと思われる。
  14. その二日後にサンルイはタイプ21対潜フリゲート艦HMSアローおよびアラクリティをフォークランド海峡の北方で探知した。高速走行するフリゲート艦が立てるノイズに隠れてサンルイはアラクリティから5キロ地点まで接近し、SST-4魚雷一発を発射し、次発の準備に入った。
  15. だが再びSST-4の誘導線が発射直後に切断してしまう。ただし、一部の説明ではこの魚雷はHMSアローの曳航していたおとりに命中したものの爆発しなかったとある。アズクエタ艦長は二発目発射を諦め、反撃を受けないうちに離脱を命じた。
  16. 英艦はそのまま航行を続け、攻撃に気づいていない。アラクリティ艦長に至っては終戦後になって初めて知ったということである。
  17. 落胆したアズクエタ艦長は本国に向けて魚雷が役立たずだと打電すると帰港許可の通信が入ったため5月19日に基地に戻った。アルゼンチン占領部隊が降伏したのは6月14日でサンルイは結局再度戦場に出動できなかった。15年後にサンルイは退役した。
  18. サンルイの魚雷で何が問題だったのだろうか。説明は多々あり、乗員のミスや技術上の不良がいわれる。メーカーのAEGからは魚雷発射が遠すぎたとの説明があったし、アルゼンチン乗員が誤ってジャイロの極性を反対にしてしまったとの説もある。このため魚雷が制御できなくなったという。ただし、魚雷の爆発部が活性化されず深度を維持できなかった証拠がある。そのせいか、AEGはフォークランド紛争後に同社魚雷の改良を数次に渡り実施している。
  19. サンルイは高性能潜水艦ではなく、乗員も卓越した技能はなかった。それでも有能な艦長の指揮下で通常戦術を駆使しながら対潜フリゲート艦から逃げ回ることができた。しかもフリゲート艦は世界有数の海軍国の所属だった。魚雷が予定通り作動していれば逆に数隻を撃沈していたかもしれない。
  20. 英海軍は高価な対潜兵器とヘリコプターを2,253ソーティ送り出して実際に存在しない探知目標を狩ろうとし、サンルイは結局探知できていない。
  21. 第二次大戦後の潜水艦戦は幸いにもきわめて事例が少ない。フォークランド戦争の教訓から安価なディーゼル潜水艦でも乗員が有能で装備がよく整備されていれば侮れない敵になることがわかったのである。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: South African Type 209 naval submarine SAS Charlotte Maxeke. Wikimedia Commons/LA(Phot) Caroline Davies/MOD


ヘッドラインニュース12月3日


12月3日のヘッドライン

筆者が注目する記事の要約を掲載しています。時差・掲載時間の関係でその後進展した内容と食い違うことがあります。

中国J-16戦闘機の供用開始か
Su-30MKKを参考にしたといわれるJ-16がまず少数中国海軍に配備開始した。今後、海軍向け機材、電子戦機材を加え、J-20等を補完する戦闘機部隊の中核になることが期待されている。
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韓国がフィリピン向けF-50PH二号機三号機を納入
KAI韓国航空宇宙工業がフィリピン空軍用に製造した高等練習機F-50PH2機が台湾高雄空港に11月30日到着し、フィリピンに12月1日到着する。

ボーイングT-X初飛行の準備進む
ボーイングがSaabと共同で開発中の米空軍向け次期練習機案T-Xが年末の初飛行に向けて順調に準備作業を進めている。米空軍からの最終提案要領は12月に提示されると予想され、初飛行と同時並行になりそうだ。ボーイングは将来は同機の派生型追加を予想している。

極超音速ミサイルの脅威
中国、ロシアが整備を進めていると言われる制御可能な極超音速ミサイルの脅威と対応策をまとめた報告書を米空軍が発表。中国の飛翔体DF-ZFは今年4月に実験をしており、ロシアもYu-71飛翔体の開発を進め、2020年ごろには実用化されるとの予測もある。対応策としてロッキード・マーテインはTHAAD改良型を提案している。

Operational flight information for high-speed maneuvering weapons

次のアジア内武力衝突は水資源をめぐる戦いになる
源流を管理する中国に対して南アジア、東南アジア、中央アジアが強い警戒心を抱いている。


F-16はまだ商売になると意欲を見せるロッキード
F-35生産が軌道に乗らないままだが隣のF-16生産ラインを閉じる予定はまだない。最新のV型をアジアから中東にかけて売り込み中だが、人権問題を理由にバーレーン向け商談は国務省が首を縦に振ってくれず、パキスタン案件は財務保証がつかず暗礁に乗り上げている。