2018年1月31日水曜日

大規模戦闘の課題に準備を開始した米陸軍は長期戦を覚悟

アフガニスタン、イラク等への展開が16年も続いており、米陸軍の戦力が小規模治安維持作戦に特化してしまったことに警鐘を鳴らしているのですね。


Chief: The Army has to start preparing for 'the big war'「大規模戦」対応を開始した米陸軍



101空挺師団第二旅団戦闘チームの隊員がフォートブリス(テキサス州)で演習中。, July 15th. (Army)



 By: Meghann Myers
陸軍は30年を要する大変身の途中にある。参謀総長マーク・ミレイ大将はこう語り、中心を治安維持作戦から米軍と戦力が互角の相手との長期地上戦に移す。
 陸軍は地上装甲車両、ヘリコプター、通信機器から各隊員の個人装備まで装備を一新させると大将と陸軍協会主催のイベントで語った。
 「この変革は文字通り抜本的で今この瞬間も続いており、戦争の性質の変化への対応します」
 陸軍が立ち上げた近代化本部にはパズルの各ピースを迅速かつ効果的に集める任務が課せられている。
 だが陸軍は戦闘時にまず必要となる装備の整備に最高優先度を与える必要があるとも述べた。
 「わが軍の隊員が最良の装備を受けて、訓練を受け、リーダーシップを強化してきたのはすべて人間中心だから可能であり、さらに我が国の経済が最強だからこそ可能なのだ。一人一人に至るまで世界最高だ」
 米国に匹敵する戦力を有した相手との「大規模戦闘」では長期戦を覚悟する必要があると述べた。「将来の戦闘環境、作戦環境では各隊員への要求が厳しくなりそうだ」
 エクソスケルトン状のボディアーマーを陸軍は長期地上戦で戦う隊員に導入する。もう一つは認識訓練 cognitive training で過酷状況に対処できるようにするという。
 さらに合成訓練 synthetic training で各部隊は実際の配備前に繰り返し訓練を受けるので費用対効果が高くなる。
 「シミュレーションで真の恐怖は再現できないのでどうしても限界がある。だが戦闘指揮官には意思決定が基本だ」
 仮想訓練で地形、天候、その他条件を変えて従来の演習地での訓練より多様な状態に備えることが可能となり、将来いかなる条件が生まれても対応可能となる。
 「あらゆる条件や環境、地形でも陸軍の現場指揮官は正しい戦術を元にした決定が可能となる。この技術がすでに実用化されている。これを繰り返し繰り返し実施していく」
 すべてが完璧な世界の想定では各部隊の訓練を最適化できる。
 「三時間から三時間半の体力トレーニングで最高の状態にする」とミレイ大将は一日の始め方を述べ、その後食事、繰り返し訓練、食事、そして訓練を行う。
将来への投資
 近代化に必要な予算について分かりやすく説明するべく、ミレイ大将はディック・コディ大将(退役)の話を持ち出した。砂漠の嵐作戦の開幕でAH-64アパッチ攻撃ヘリを操縦し、その後参謀本部次長を務めた。
 「ここまでやり遂げられたのは長年の訓練のたまものであり、70年代に『新型攻撃ヘリが欲しい。AH-1コブラの代替機材が欲しい』と声を上げてくれたためだ」
 同様にこれからの脅威への対応が今から必要だというのだ。「今にしがみつくと将来を失うことになり、10年15年後の世界で苦しむことになる」
 近いところでは政府予算の継続問題があり、長期的には陸軍には治安維持作戦と大規模戦闘の両方をこなすだけの兵員数がしかるべき訓練を受けていることが必要だ。
 「そのためには常時地上部隊の66パーセントを戦闘可能な状態に保つ必要がある」「その目標に向け全力を尽くす」
 ただし、ミレイ将軍は具体的に何名の規模が必要なのかに触れなかった。ジム・マティス国防長官が国家防衛戦略でこれから明らかにする前には口にできないのだろう。
 「正しい方向に向かっているし、そう言っておきたい」とだけ述べている。■

2018年1月30日火曜日

中国空軍ボーイング737(?)が墜落 貴州省



Date:
Monday 29 January 2018
機種:
Silhouette image of generic B738 model; specific model in this crash may look slightly different
運航者:
機体登録番号:
registration unknown
C/n / msn:

First flight:

乗員:
Fatalities: / Occupants:
乗客:
Fatalities: / Occupants:
合計:
Fatalities: / Occupants:
機体損傷度:
Destroyed
機体処分:
Written off (damaged beyond repair)
発生地点:
Zhengchang, Suiyang County, Guizhou Province (   China)
事故時の状況:
En route (ENR)
種別:
Military
出発地空港:
?
目的地空港:
?


中国人民解放軍空軍(PLAAF)所属のジェット輸送’(機機種未確認)が貴州省綏陽近くで山地に墜落した。


中国国防関係筋から情報はほとんど出ていない。機種も発表されていないが、映像でボーイング737または類似した機体が低高度で飛行しているのが見える。


PLAAFはボーイング737-300、-700、-800を、VIP輸送から空中指揮命令所まで多様に運用している。

米核戦力の基礎知識(1)オハイオ級SSBN/巡航ミサイル運用艦SSGN

 

The Navy Has 1 Submarine That Could Destroy North Korea (On Its Own) 

北朝鮮はこの潜水艦一隻で破壊可能





January 24, 2018


島、長崎への原爆投下から9年後の映画「ゴジラ」が深海から目覚めた怪獣が日本を襲う状況を描いた。ただしもっと恐ろしい怪物がその後海中に展開した。つまり弾道ミサイル潜水艦、米海軍用語で「ブーマー」である。
 中でも一番恐ろしい海の怪獣がオハイオ級弾道ミサイル潜水艦で米国の核兵力半分以上を搭載する。
 計算すれば、オハイオ級が人類史上最大の破壊力を有しているのがわかる。全長170メートルの各艦で24本のトライデントII潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載し、水中から発射し最大7千マイル先の標的を狙う。
 トライデントIIは大気圏再突入後にマッハ24まで加速し独立再突入体8つに分離し各100-475キロトン核弾頭を搭載する。オハイオ級の一斉発射は1分未満で完了し、弾頭192発で24都市が地図から消える。悪夢の兵器と言ってよい。
 オハイオ級に一番近い競争相手はロシアで一隻のみ残る大型で24本のミサイル発射菅を有するタイフーン級潜水艦だ。中国、ロシア、英国、フランスがそれぞれ弾道ミサイル潜水艦を運用中だがオハイオ級並みの威力はない。
 国家そのものを消滅させかねないこれだけ大規模な兵器を運用する理由は何か。
 核抑止力の論理では先制攻撃で陸上配備ミサイルや爆撃機が全滅しても弾道ミサイル潜水艦が海中深くに潜んでいれば追尾探知が困難で残存性があることになる。このため弾道ミサイル潜水艦は核報復攻撃で誰も止められない手段となり、まともな相手なら第一撃の核攻撃をためらうことになる。少なくともそれが期待される。
 そのためトライデント搭載オハイオ級潜水艦にとって一発も発射しなければ任務は成功したことになる。
 オハイオ級の就役開始は1980年代で各艦潜航時の排水量は18千トンで米海軍最大の潜水艦だ。ヘンリー・M・ジャクソンを除き、各艦は州名がつき、かつての戦艦の伝統を引き継ぐ。
 核兵器が飛び交う事態になればブーマーには超低周波無線で発射命令が入る。ミサイルが目標設定してない場合は迅速に座標を入れる。オハイオ級初期建造の8隻はトライデントI C4弾道ミサイル運用の設計だったが現時点では全艦がトラインデントII D5運用可能となり、射程が50%伸び、精密攻撃が可能となったので第一次攻撃でも軍事施設を標的にできる。
 オハイオ級には21インチ発射菅4本もあり、マーク48魚雷を運用する。ただし、魚雷は防御用とされ、弾道ミサイル潜水艦の仕事は敵艦船攻撃ではなく可能な限り動きをせず静かに待機し探知を逃れることだ。原子炉により無制限の海中待機が可能で20ノット巡航でもノイズはごくわずかしか出ない。  
 危機が発生しても、原子力潜水艦は哨戒を続け交信は最小限とし可能な限りステルス性を維持する。オハイオ級は乗組員154名の2チームに、ゴールド、ブルーの名称がつけ、交互に哨戒にあたる。一回出港すると70日から90日潜航したままで、USSペンシルヴェイニアが140日の最長記録を樹立している。哨戒前後に一か月を置き、補給を受ける。
 ワシントン州バンゴーにブーマー9隻が配備され太平洋での哨戒にあたる。ジョージア州キングスベイには5隻があり大西洋で活動する。冷戦終結に伴い戦略兵器削減条約STARTで米核戦力は縮小された。当初は艦齢の高い艦から退役の予定だったが、海軍はオハイオ級18隻の4隻を改修し地上・海上目標に通常巡航ミサイル運用艦として活用することとした。USSオハイオがまず選ばれた。
 2011年に発効した新START条約に核兵器の数量制限が追加された。現在はオハイオ級12隻を現役運用し各トライデントII20本を搭載する。二隻は大修理に入り、常時ミサイル240本弾頭1,090個を戦力とする構想だ。これだけあれば世界を数回破壊できる威力があるので、タカ派の皆さんも心配は不要だ。
ハイオ級は2020年代末まで供用しつつステルス性を向上する改修も受ける予定だ。後継艦はコロンビア級と呼称され、単価40億から60億ドルで隻数は減るが新型原子炉の採用で途中の大修理燃料交換が不要となる。同級は2085年まで供用される予定だ。■
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

This first appeared in 2016.

2018年1月29日月曜日

平壌核攻撃で150万人死亡、金正恩はこの事態を回避できるのか

Bloggerが次々に仕様を変えているようで、以前の記事の画像が見えなくなるトラブルが発生しています。今回から画像のアップロード方法を変えますので解決になるはずですが、引き続きご指摘ください。


1.5 Million Dead: This Is What Would Happen If America Nuked North Korea's Capitol

北朝鮮首都を米核攻撃すれば死亡150万人








November 24, 2017


情報機関にとって北朝鮮は最も手ごわい情報収集対象だ。情報の収集解析は時間がかかり危険な作業で、現地協力者の確保には数か月数か年もかかる。中央情報局、国家安全保障庁、国家情報局も北朝鮮国内の情報源は極めて乏しい。ワシントンがあてにできるのは衛星画像や電子信号傍受だが国家情報局長ダン・コーツ Dan Coats も上院情報委員会で「成果は極めて限られている」と述べていた。
ただし、一つ確実なことがある。金正恩が核ICBMを米本土内の都市に向け発射命令を出す狂気のシナリオ(米攻撃すれば米国が折れると金正恩が信じるという前提)ではドナルド・トランプ大統領は躊躇せず「怒りと炎」の核報復攻撃を命令する。実施の可否は議論とならず、北朝鮮のどこを狙うかが議論対象だろう。
核報復攻撃では首都平壌が標的になるのはあきらかだ。金正恩は一族や軍高官と地下退避壕に隠れているはずだが、それでなにも違いは生まれない。米報復攻撃の目的は北朝鮮軍の指揮命令機能を崩壊させ、経済体制や統治機構を抹殺し、国家として金正恩が核攻撃を継続できなくすることにある。発射可能な核が残らないのが理想的だ。
アレックス・ウェラーステイン Alex Wellerstein の主宰するNukeMapウェブサイトを使い、米国が平壌中心部に750キロトン核兵器を投下した場合の人的被害を推定してみた。なお、米国で最大威力の核兵器はB83で1.2メガトンである。平壌は高密度都市のため150万人が死亡すると分かった。国連人口統計では北朝鮮人口は25.3百万人で、750キロトン核爆発一回で人口の6パーセントが消滅することになる。これを米国に当てはめれば19.3百万人が一度に死亡するのと同じ意味を有する。
推定負傷者855千名をくわえると合計死傷者は2.3百万人になる。
では平壌で消える地点、残る建造物はどこか。戦勝祖国解放戦争博物館が平壌北東部にあり、訪問中の人たちは50ないし90パーセントが死亡する。ケソン青少年公園では建物の崩壊で死亡するものが多数発生するだろう。大同江をはさむ模範労働者施設でも悲惨なん光景が展開する。熱と放射能の範囲内の住民は第三度の火傷で四肢切断しか生き残る手段がなくなる。その範囲は11.1キロ四方に広がる。金正恩の肝いりで生まれた高層建築物は無駄な投資になる。
もちろんこのような人の手による大災害の発生を望むものはない。人命をここまで簡単に消失させるのはそれぞれの人生の可能性を否定し全くの無駄であり、道義上も問題がある。世界のいかなる地点であれ核攻撃は人類文明の進展を止め、医学が進歩したといえども21世紀の住民は穴居人並みに原始的であることが判明する。
朝鮮は幻想をいだくべきではない。米本土を核攻撃する常軌を逸した決断をすれば、自国の消滅を覚悟せねばならない。ドナルド・トランプには強力な核報復攻撃しか選択がないはずだ。■
Daniel DePetris is a fellow at Defense Priorities.



日本は核ICBMを整備できるが、しないのか、すべきなのか

議論にタブーはあってはなりません。できる、と する は違う話ですが平和とは何かと言う本質の議論含め、核兵器はあくまで手段であり目的ではないことを冷静に議論できますかねえ。



Japan Could Have an ICBM in "Less Than a Year", Says Expert

日本はICBMを「一年以内に」保有できる




January 23, 2018


プシロンロケットで日本が地球観測衛星をで打ち上げに1月17日成功した。
イプシロンは固体燃料ロケットで科学衛星打ち上げを目的に開発され、1.2トンのペイロード打ち上げ能力がある。


イプシロンロケットはICBMに転用できる
宇宙安全保障専門家ジョン・パイクJohn Pikeによれば同ロケットは平和利用以外に核兵器運搬用に利用可能と指摘。
「その気になれば日本は一年未満で完成できる」とパイクはAsia Timesに語る。「イプシロンは大型固体燃料ロケットです。衛星の代わりに弾頭を乗せればいいのです」
パイクがこう説明するのは衛星と核弾頭の打ち上げ能力は同じなのは公然の事実だからだ。「冷戦中はミサイルと衛星打ち上げ機の違いは打ち上げ高度ではなく狙いだけと言っていましたね」
実際に米国、中国、ソ連はそれぞれICBMをで衛星を軌道に乗せていた。直近の例が北朝鮮で、2016年2月7日打ち上げの衛星は弾道ミサイルテストの隠蔽に使われた。
日本にプルトニウム核分裂物質が大量に保管されているのは周知の事実で、民間原子力発電産業に保管中の量で核弾頭の製造は可能だ。北朝鮮、インド、パキスタン他が同じ方法で遠心分離他の装置を使い核兵器製造に成功している。日本の技術力なら使用済み核燃料の兵器転換は数か月で十分との分析もある。
原子力発電所の原子炉一基から年間250-300キロのプルトニウムが生まれる。(日本の民間原子炉は合計54基あるが現在43基が運転休止中)
核武装すべきかとの議論が日本に出てきたのは北朝鮮や中国の脅威が認識されているからだ。安倍晋三首相はアジアの安全保障環境が変化する中で日本も新兵器開発に乗り出すべきとの持論だ。

核は厄介な問題なのか
だが安倍首相には憲法改正で国内で根強い反対が控え、兵器開発でも同様だ。また日本が核武装に乗り出せば北京、平壌が軍事反応を示すことも考えられる。
スタンフォード大のウォルター・H・ショレンスタイン・アジア太平洋研究所のダニエル・C・スナイダーDaniel C. Sneider研究副部長は日本が核兵器開発に乗り出す可能性は「当面ない」と断言する。「能力の問題ではない」と日本特派員経験が長い本人は語る。「日本人の大部分は憲法改正にも反対だ。日本が核武装するとしたら米国との同盟関係が消えた時だけだろう。トランプでさえこれは実施しないと思う」


技術は障壁にならない
だがパイクもイプシロンロケットに核弾頭を搭載するのは技術面で問題はなく十分実用に耐えるICBMは実現可能と指摘する。「日本は再突入用の素材も試験済み」で「核弾頭用に転用できる」という。一つ残るハードルは核弾頭本体と付属機構の製造だが日本の技術力なら難なくこなせるとパイクは見る。また日本政府にイプシロンの核ミサイル転用案があるともいう。
ICBMにイプシロンを転用した場合の利点は固体燃料で、事前に待機させ長期間保管しながら迅速に発射できる。液体燃料では高揮発性燃料の注入など発射前の準備に相当の時間が必要だ。
パイクは軍用イプシロンに高精度誘導は不要とする。日本のICBM標的が中国あるいは北朝鮮の都市なら、精密照準は不要だが、強化ミサイルサイロ他軍事施設を標的とする場合は別だ。
また日本国内の防衛産業もロケットを難なく転用すると見ている。「製造は可能で少なくとも月産一基のペースで進むのではないか」


MIRVも
さらに単独弾頭から複数独立再突入体(MIRV)への進化も日本は容易に実現させるだろう。パイクは日本が複数衛星の打ち上げを実用化していることを論拠にしている。
鉄道車両に搭載すれば先制攻撃に耐えられる。「日本の鉄道路線網は発達しており、固定発射基地は標的になるだけだ」とパイクは述べ、中国他が高速鉄道をミサイル発射手段に利用しようとしていると指摘。
「課題は時間と予算だけだ」「必要な技術と技術陣はすでにあるので集めればよいだけだ」(パイク)■
This first appeared in AsiaTimes here.
Image: JAXA

うーん、最後の部分はどうなんでしょう。イプシロンの全長は26メートル直径2.6メートルです。新幹線車両は25メートルほどですので無理でしょう。米国の大型車両とはわけがちがいます。整備するならやはり潜水艦でしょうね。それ以前に秘密のうちに核戦力を整備するだけの胆力がある首相は日本にはあらわれないでしょう。

2018年1月28日日曜日

レッドフラッグ演習で米西部でGPSが正常作動しなくなる理由

USAF Is Jamming GPS In The Western U.S. For Largest Ever Red Flag Air War Exercise

過去最大規模のレッドフラッグ演習でUSAFが米西部でGPSを妨害

The use of the mysterious jamming technology will impact the navigation of aircraft operating as far away from the Nevada as Colorado.

謎のジャミングでネヴァダ、コロラドまで飛行中の航空機に影響が出る恐れも

USAF
 BY TYLER ROGOWAYJANUARY 25, 2018


年第一回目のレッドフラッグ演習が本日ネリス空軍基地で幕を開けた。だが今年はこれまでと違う点がある。まず過去42年で最大規模であるがそれだけでなくUSAFがネヴァダテスト訓練場でGPSを無効にし、各機乗員に現実味あふれた環境で模擬戦闘にあたらせる。この事は事前に広く広報されており、米西部上空を広く飛行する航空機にGPSが断続的に中断する可能性があると警告している。
「NBAA指令センターから米軍が訓練をネヴァダ試験訓練場で連日0400Zから0700Z にかけて行うと通報あり。訓練により米西部で広範な地区で影響がでる可能性があり、カリフォーニア、ネヴァダ、オレゴン、ワイオミング、アリゾナ、ユタ、コロラド、モンタナ、ニューメキシコを含む。FAAの飛行経路ATCセンターで影響が出そうなのはAlbuquerque (ZAB), Denver (ZDV)、 Los Angeles (ZLA)、 Salt Lake (ZLC)、Oakland (ZOA)、Seattle (ZSE)の各局。
「ラスベガス出発到着の各機にはLAS近辺で正常な運航ができなくなる場合があるので南方東方へ経路変更がある。ロサンジェルス(ZLA)センター空域内を飛行の各機は航法に異常が発生する可能性あり....」
公告にある日付はレッドフラッグ18-1と完全に一致している。影響が出そうな時間帯の案内も夜間出撃帰投訓練の時間と一致する。演習期間中は連日二回にわたり大規模訓練が行われ、各2,3時間におよぶ。
 今回のレッドフラッグにはUSAF, USMC、オーストラリア、英国からの参加がある。米国が最大限の信頼を置く同盟国だけを招へいしているのは今回のレッドフラッグがハイエンド内容かつ機微性能を試す場だとを示している。USAF発表でこれを裏付ける内容が第414戦闘訓練隊隊長が語っている。
「レッドフラッグ18-1で新規の試みがある。まず参加人員が最大規模のレッドフラッグになることで、訓練効率とミッション効果を両立させる。レッドフラッグ18-1では訓練を主眼に置いた攻撃パッケージを中心にし指揮統制機能を加え合同運用部隊としての作戦を展開する。ネリス空軍基地を舞台に攻撃ミッションにすべての機能を投入する」
 GPS機能の停止は米軍立案部門でも大きな問題となっている。特にロシアが念頭にあり、相手国がGPS妨害戦術を実際に演習で使っていることを意識している。この点は前から指摘されており、汎地球位置データが利用不可能になった場合に米軍や同盟軍に出る影響は大きな議論の的だ。その場合にどう対応するかも重要な検討課題だ。
 ペンタゴンはGPS妨害技術を秘密のうちに試験しており、その効果は広範囲に及ぶ。これがレッドフラッグ18-1でネリス試験場で使われているのか。訓練空域の外でも影響が出るかもしれない。GPS妨害技術はモハービ砂漠の反対側にあるチャイナレイク海軍兵器基地で開発中のようだ。公表された下図はジャマーの見通し線での有効範囲を示している。


FAA
2016年6月のGPS妨害テストの際に発表された米国南西部における影響予測地図。
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 今回の演習で国防総省が広範囲におよぶGPS妨害を実験するのは逆に電子戦の脅威がいかに大きくなっているかを示している。レッドフラッグ終了後にUSAFが同技術が実際に使われたと公表すれば面白いことになるが、GPSが戦闘中に使用不可能となる想定で位置、航法、タイミングつまりPNTの技術開発が進んでいることから、今回民間向けに発表された公告は今後は演習のたびに当たり前になるのではないか。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com


GPS技術を我々は当たり前のものとして使っていますが、有事には敵の妨害でGPSが使えなくなる想定をしておかないと軍が機能出来なくなるとの危機感があるのですね。現在はGPSを無料でみんなが使っていますが、少額でもライセンス料として徴収すればUSAFの予算問題など吹き飛んでしまうのでは。そういう勘定項目がないのなら作ればどうでしょうか。

北朝鮮戦でA-10はどんな活躍をするのか。そのA-10が削減されつつあるのはなぜか。

 



The A-10 Warthog Could Ravage North Korea. So Why Does the Air Force Hate It?

A-10ウォートホグは北朝鮮に猛威を振るえるのに米空軍が忌み嫌うのはなぜなのか。





January 26, 2018


朝鮮と開戦となればA-10サンダーボルト対地攻撃機が救いの神になるはずである。しかし米空軍はそのA-10を処分しようと100機分の維持に必要な予算を要求せず、機体は廃棄処分されそうだ。
北朝鮮と対決となれば米韓連合軍の目的は北朝鮮核兵器、ミサイルの除去だ。当然戦略爆撃機やステルス機の出番となるが北朝鮮も韓国攻撃に踏み切るはずで国内の基地、空港、補給処がまず狙われる。
北朝鮮は350万もの兵力を有しているが、その実力には疑問がつく。装甲車両は相当の規模で、戦車4,200両、装甲兵員輸送車2,200両、火砲8,600門、多連装ロケット発射車両4,800両がある。大部分が旧式だが、北朝鮮が正しい位置に装備を移動させDMZを超えれば韓国を迅速に破るのは十分可能だ。
北朝鮮が本当にそう思っていれば米空軍力の存在を無視することになる。その場合に最大の損失を与えそうなのがA-10だ。
A-10はもともとNATO軍がソ連の攻撃に対応する想定で作られ配備されていた機体だ。戦車等装甲車両の撃破を目的に作られた。
ソ連の攻撃はソ連自体の崩壊で現実にならなくなった。そのためA-10は用途変更しCOIN(対ゲリラ戦)任務でアフガニスタン、イラクで大量に投入され地上部隊に近接航空支援を提供した。
北朝鮮の脅威は大量攻勢方式でソ連時代の想定とさして変わらない。A-10はこのミッションに完璧な機体だ。
A-10の中核はGAU-8 30ミリ機関砲の威力だ。GAU-8には「アヴェンジャー」の名称がつき、7本の砲をまとめたガトリング砲で一分間4,200発の発射でき二種類の銃弾を使う。装甲貫徹弾には劣化ウランを芯に入れる。もうひとつが焼夷弾で北朝鮮の有する装甲は全部撃破できる。
米空軍はA-10を処分しようとしてきた。空軍の主張では他機種で同機の役割が果たせるし、整備されている防空体制ではA-10は生き残れないとする。
もちろんA-10が生まれた段階でも敵の防空体制はあった。エジプト、シリアとの1973年の第四次中東戦争で大規模陸戦が発生し、航空制空権の確保がイスラエルに死活的となった。
イスラエル空軍はSA-6対空ミサイルとZSU23ミリ砲四連装に直面し、ともに移動式でエジプト装甲部隊が引き連れていた。これを除去しようとしたA-4は多大な損害を出した。(主にZSU対空砲の犠牲になった)A-4が爆弾投下後に上段階で一番脆弱なところを狙われた。
北朝鮮は近代的防空装備を有しており、とくにS-75とKN-06が手ごわい。S-75はロシアのSA-2にほぼ匹敵する。KN-06はロシアS-300初期型にほぼ匹敵すると見られる北朝鮮国産装備だ。
こうした装備はF-35やF-22の格好の標的となるが、妨害を受けたりB-1のような長距離爆撃機でも除去されそうだ。
空軍は議論を避けているが、米軍機は単独で飛行しない。F-22は長距離戦略ステルス戦闘爆機となる。F-35はステルス戦術機で北朝鮮ミサイル装備をねらうはずだ。その他北朝鮮の旧式装備はF-15やF-16で片を付ける。
なにごとも宣伝されるとおりには作動しないものだが、連合軍機材が制空権を確立して戦略目標に何の問題なく近づけれれば、A-10は北朝鮮戦略部隊攻撃に専念できる。
金正恩の朝鮮半島制圧構想を打破する手段としてA-10は完璧な機材だ。北朝鮮軍が撃滅され、金がまだ生き残っていればA-10の存在は忘れることができないだろう。■
This first appeared in AsiaTimes here.