2020年6月28日日曜日

歴史に残らなかった機体18 コンソリデーテッドB-32は日本上空で最後の空戦に巻き込まれ歴史をつくったのだが....


ーイングB-29スーパーフォートレスは爆撃機として名声を得つつ、広島長崎の原爆投下で悪名が付いた。爆弾を大量搭載し、長距離飛行し、高高度を飛ぶ重爆撃機の開発は米国でも第二次大戦中で極度なまで高額につく事業となり、マンハッタン・プロジェクトより高くなった。

ただし、スーパーフォートレスには知名度が低いながら競合機種があった。メーカーのコンソリデーテッドはB-24リベレーター大量生産で知られる会社だった。スーパーフォートレスの性能が期待通り発揮できない場合に備え、B-32ドミネーターが発注された。ただしB-29が想定性能を発揮し太平洋戦線で活躍し始めた1944年にコンソリデーテッドは100機超のB-32を生産しており、同機は1945年中頃に配備された。

大型爆撃機開発は真珠湾攻撃以前に始まっていた。ただし、コンソリデーテッド案はB-24原型の企画でボーイングB-29より相当見劣りがする内容だった。同機の設計は何度も変更を受け、当初の尾翼二枚形状や20ミリ機関砲を各エンジンナセルに搭載し後方発射する奇抜な構想は削除されている。

最終的にB-32の外観上の特徴は10メートルという巨大な尾翼となった。性能面でドミネーターはB-29に匹敵する水準になった。両機種ともエンジンはライトR-3350-23サイクロン4発で共通し、最高速度358マイル毎時は大戦初期のBf-109E戦闘機と同程度で、20千ポンドという爆弾搭載量を誇った。B-32では防御用に有人操作の機関銃10門がついた。

コンソリデーテッドもB-29で採用した与圧式機体と遠隔操作式機関銃の搭載を狙ったが断念した。このためドミネーターは中低高度用爆撃機に区分された。

他方でB-32の航続距離は3,800マイルとB-29より2割長く、巡航速度も290マイルとB-29の230マイルを上回った。ドミネーターには反転ピッチプロペラの他、B-24譲りの分厚いデイヴィス式主翼がつき、低速での抗力を最小限に抑え、着陸時に威力を発揮した。

こうした良い面もあったが、陸軍航空軍はB-29の性能水準に概ね満足しており、B-32はフィリピンでの運用テストを第5空軍の要請で行ったのみの状態だった。最終的に386爆撃飛行隊に編入されたドミネーター各機はフィリピンで日本軍を爆撃した他、台湾でも任務を遂行した。台湾では製糖工場やアルコール工場を爆撃した。当時の米戦略爆撃の対象がいかに広範囲だったかがわかる。

386隊にB-32が揃ったのが7月で、8月に沖縄読谷飛行場へ転進し偵察飛行隊に改組された。8月15日に天皇が陸海軍へ抵抗中止を命じた。9月2日にUSSミズーリ艦上で日本軍が降伏文書に署名しても陸軍航空軍は東京上空で偵察飛行を続け、日本軍が本当に降伏しているか確かめるとともに東京の道路網を調査していた。

だが日本軍の戦闘機パイロットは上空を飛ぶ爆撃機を別の見方で眺めていた。日本のエースパイロット坂井三郎は米爆撃機は東京爆撃に飛来したと思い、攻撃は正当な行為と考えていたと後日述懐している。

別のエースパイロット小町定は米爆撃機が誰にも邪魔されずに首都上空を飛ぶのを見て、米空襲で甚大な破壊を受けた東京を想起していた。

こうして8月17日、日本軍戦闘機編隊が偵察任務のB-32編隊を迎撃し、二時間に渡り攻撃を加え、米機搭乗員は.50口径機関銃で応戦したのだった。双方に大きな損傷はなかった。驚いた爆撃飛行隊は翌18日にも偵察任務で機体を送り、迎撃案件が偶発発生だったのか確かめようとした。同日に千島列島の日本軍部隊もロシア機と空中戦していたのは興味深い事実だ。ロシア機は奇襲上陸作戦の支援にあたっていた。降伏後も停戦まで数日かかったということだ。

話を戻すと18日午前7時に、B-32二機が東京上空に飛来し、各機には20偵察飛行隊から引き抜いた写真偵察要員3名が追加されていた。追加搭乗員は普段F-7(B-24の偵察機型)に搭乗していた。

午後2時、B-32編隊は東京上空の数回横断飛行を終えたが、高度20千フィートから日本戦闘機編隊が接近するのを見つけた。

記録によればA6Mゼロ戦14機、N1K-J紫電3機が横須賀基地から発進し迎撃に向かった。紫電は大戦中で最優秀性能の日本戦闘機で最高時速400マイル超で高速発射可能な20ミリ機関砲4門を備えたものの、高高度性能は芳しくなかった。

とはいえ、各機は大型B-32に群がり、機関銃機関砲を発射してきた。爆撃機には.50口径機関銃10門ずつが搭載されており、すぐ応戦を開始した。爆撃機、戦闘機の搭乗員は大戦で最後の空中戦の模様を回想している。真上から降下した小町機はB-32ホーボークイーンIIのエンジンに銃弾を命中させ、機体上部のプレキシグラス砲塔を粉砕し銃手ジミー・スマートが負傷した。別の日本機がホーボークイーンの胴体を銃撃し、写真偵察員ジョセフ・ラチャライトの両脚に銃弾が命中した。同偵察員は止血剤をふりかけ、同僚の写真偵察員アンソニー・マチオーネ軍曹により寝台に移された。

機関砲弾がホーボークイーンの胴体を貫通し、マチオーネの胸に命中した。他の搭乗員がかけつけ圧迫包帯を付け、血清と酸素を手配した。

B-32二機は急降下に入り、高速と慣性を活かし、日本戦闘機編隊より先に出た。両機が傷ついた姿で帰投したのは同日午後6時のことだ。ホーボークイーンIIはエンジン一基が破損、方向舵損傷、胴体に大きな穴30個がついた。ラチャライトは負傷の全快まで数年を要した。

マチオーネは失血で30分後に死亡。第二次大戦の戦闘で死亡した最後の航空兵となった。死亡通知を受けた家族は声を失った。翌日、日本軍は機体からプロペラを取り外し、事態の再発を防いだ。

陸軍航空軍はB-32生産を取り消し、生産済み116機の用途廃止を急ぎ開始した。B-29には多数の機体が残ったのと対照的だった。最後のドミネーターが1949年にスクラップ処分されると、生死をかけた最後の東京上空ミッションに投入された同機を物語る証拠は皆無になった。■

この記事は以下を再構成したものです。

B-32 Dominators Flew The Last Combat Mission Of World War II.


Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring. This piece was originally featured in February 2018 and is being republished due to reader's interest

Media: Wikipedia.

2020年6月27日土曜日

イージス・アショア頓挫で日本のミサイル防衛体制について米シンクタンクが提言


 

航空自衛隊がPAC-3対空迎撃ミサイル装備を米横田基地に展開し能力を実証した。 Aug. 29, 2017. (Eugene Hoshiko/AP)

本政府がイージス・アショア弾道ミサイル防衛導入を取りやめる決定をし日米同盟へ懸念が生まれている。ミサイル防衛推進派の反対意見が出てくるのは確実で、北朝鮮の弾道ミサイル攻撃対処では実効性がイージス駆逐艦部隊より高いと主張してくるはずだ。
その主張は部分的に正しい。というのはイージス・アショア設置費用が当初予定より倍増しているとはいえ各18億ドルと、単価16億ドルでイージス・アショアのかわりに導入する3隻ないし4隻より安くなるからだ。
日本の防衛相は取りやめの理由の第一に費用をあげたがもっと大きな理由に近隣住民の懸念がありミサイルの一部が落下する、高出力レーダーが健康に不安を与えるというものがあった。
こうした懸念の一部は根拠が怪しいが、安倍政権は中期防衛計画の実現のためイージス・アショア予算を「総合的対空対ミサイル防衛能力」の整備に流用し日本が直面する全方位脅威に対応するべきだ。
イージス・アショアがあれば日本を広範囲で弾道ミサイルから防衛できる。ただし、施設内のミサイル数で性能が限定され、配置場所が固定され攻撃を受ける可能性がある。北朝鮮は弾道ミサイルを相当数配備しており、おとりやその他補助手段も動員しイージス・アショアのミサイル24本に飽和攻撃を試みるはずだ。敵のミサイルに防衛側が迎撃ミサイル複数を発射すると見越しているためだ。中国やロシアはさらに大規模な攻撃をしてくるはずで、イージス・アショア施設自体も標的となる。
防衛省はイージス・アショア代替策として以下を検討中。SM-3ではブースターを洋上に落下させるプログラム作成、レーダー設置場所を海岸線近くに移動し、近隣住民への影響を抑える。またイージス・アショアそのものを艦船やはしけに搭載する案も検討している。こうした動きは社会の懸念に答えるものだが、費用は現行より高くなりそうだ。
弾道ミサイル防衛が不調に終わる内容に予算を増やすより、防衛省は総合的な防衛体制の防空、ミサイル防衛の実現を目指すべきだ。特に中国等との激しい競争に日本が直面していることを考えると、日本は抑止効果の観点からも早期警戒、標的捕捉の能力を引き上げ、巡航ミサイル・弾道ミサイルの双方に対応し、意思決定を迅速化し、防衛網をかいくぐるミサイルがあっても靭性を発揮すべきだろう。
では日本の防空・ミサイル防衛はどうあるべきか。以下要素が5つあり、一部は既に実現しており、実行に必要な予算を下げられる。イージス・アショアに行くはずだった予算で以下すべてが実現できる。.
  • 移動式、固定式双方のセンサー(パッシブ、アクティブ)で分散型ネットワークを構築する。海自イージス駆逐艦もこの一部とし、米衛星群、AN/TPY-2レーダーに加え現在計画中の長時間飛行可能無人機に赤外線センサーを搭載し弾道ミサイルや極超音速ミサイルの発射を早い段階で探知する
  • 迎撃手段は短中距離ミサイル対応を重視すべきだ。こうしたミサイルは小型で安価で性能が高い。対応は現行のSM-3、今後登場するSM-6を海上運用し、広域防衛させ敵機も迎撃させる。ペイトリオット性能向上型-3迎撃ミサイルは重要地区・基地施設の防衛にあて、 Rolling Airframe Missile (RAM)は局地防衛に投入する。さらに発射直後の北朝鮮ミサイルには今後登場するブースト方式空対空迎撃ミサイルで対応する。
  • 高出力マイクロ波、電子戦ジャマー、おとりの他重要施設周辺にレーザーを配備すれば無限の発射回数が実現し、既存の短距離迎撃手段や局地防衛手段を補完できる。
  • 指揮命令系統が攻撃を受けてもすぐ回復できるようにし、米軍ともデータを融合し、脅威に対し経済的な迎撃手段を選択することで防衛の効率を高める。
  • 受動防衛措置として防衛部隊のカモフラージュ、隠蔽、偽装の他、一部施設を強化、再整備し、敵の標的捕捉能力を劣化させつつ防衛部隊の継戦能力を確保すること
防衛能力の補完や代替策として攻撃作戦が話題になる事が多い。しかし、日本の攻撃能力では北朝鮮への先制攻撃はありえず、中国やロシアのミサイル発射装置や指揮命令所を実質的に使用不能にできない。
日本政府はイージス・アショア凍結で生まれた好機をとらえ総合的なアプローチにより日本を敵機、ミサイルから守るべく、各種防衛手段を組み合わせ、さらに指揮命令機能を引き上げ、弾力性を加え敵攻撃を抑止することが可能だ。これができないままだと日本の安全保障体制向上につながらないまま弾道ミサイル迎撃手段の夢を追い求めることになりかねない。■

この記事は以下を再構成したものです。

It's time to rethink Japan's missile defensesIt’s time to rethink Japan’s missile defensesBy: Bryan Clark and Timothy A. Walton 8 hours agoBryan Clark is a senior fellow at the Hudson Institute think tank, where Timothy A. Walton is a fellow.

2020年6月24日水曜日

F-3国際開発で今年中に政府が方針を決定か

本政府がF-3開発の国際協力について決定に近づいているようだ。
防衛装備庁(ALTA)は英国、米国との協力は現時点でも検討対象としているという。次期戦闘機の開発は英国のテンペストをめぐる国際間の動きと並列しており、米国でも「第6世代」機開発が話題になっている。▶「開発協力国の基本枠組みは令和3年度予算が国会で承認されるまでには決めたい」(ALTA)
日本政府と防衛上で関係が強い米国政府も同事業に大きな関心を寄せている。2月には米空軍のケリー・シーボルトがFlightGlobal に米軍との共同作戦能力が米側の最大関心事と述べている。ALTAも同盟各国との共同作戦実施能力を中核的要求性能と捉えている。
だがALTAは次世代戦闘機は完全新設計機にすると今年早々に確認している。▶これによりロッキード・マーティン提案は日の目をあびなくなった。同社はF-22改修型にF-35技術を織り込む提案を出していた。▶ミッチェル研究所による報告書(2019年)でも日本の次世代戦闘機はFB-22構想を下敷きにするとあり、F-22の爆撃機転用型で大型機内兵装庫を売り物にするはずだった機体に言及。日本向け機材ではミサイルの大量搭載と長距離飛行性能がカギになると見られる。
日本は技術開発に相当の資源を投入している。X-2技術実証機は2016年から2017年にかけ34回の飛行したが、さらに14通りの別事業があり兵装庫扉、センサー、データリンク等、今後の高性能機に必要な技術要素の研究が進んでいる。IHIもこの関連でXF9-1試験エンジンを製作した。
日本政府は次期戦闘機で無人機との共同作戦能力を実現することを重要視している。無人機編隊に指示命令を与える能力を設計に織り込み有人機、無人機混合運用を2030年代に実現したいとする。▶「人工知能等の無人機関連技術が急進展しており、こうした技術の成熟化により高性能技術を応用した有人機無人機の共同運用で可能性が高まっている」(ALTA) ▶Tealグループのアナリスト、リチャード・アブラフィアによれば新しく登場する戦闘機の開発では有人操縦がまだ見られるが、無人機との共同運用能力が要求性能で中心となると述べている。■
この記事は以下を再構成したものです。

Tokyo edges toward Future Fighter framework | News | Flight Global

By Greg Waldron24 June 2020

2020年6月23日火曜日

スホイを勝手にコピーして生まれた中国のJ-15は欠陥艦載機だ

https://www.reutersconnect.com/all?id=tag%3Areuters.com%2C2013%3Anewsml_GM1E92Q1GPM01&share=true



シアのことわざに詐欺師に繁盛なし、というものがある。

ロシアの兵器数点が中国にリバースエンジニアリングされているが、当然ロシアはうれしくないはずだ。

ロシアの艦上ジェット機を中国が勝手にコピーした事実をご存知だろうか。同機での墜落事故が相次いでいるがロシアは同情のそぶりもないようだ。

ロシアと中国は親密な仲で、共同演習もするが、ロシアのスプートニクニュースが辛辣な記事を配信している。題して「中国海軍の艦載機不足、問題多発のJ-15のみ利用可能」とある。J-15とは正式ライセンスなしでコピーしたSu-33艦載機のことで、原型はSu-27K陸上戦闘機で1980年代に登場した機体だ。中国はウクライナからSu-33の試作型T-10K-3一機を入手し、リバースエンジニアリングした。

他人の不幸を喜ぶ素振りを隠そうともせず、スプートニクニユースは「第4世代機J-15に愛着の情は中国で皆無に近い」と伝え、「中国メディアが同機を無用の存在と報じ、空母での運用が不安定なため『跳ね魚』と呼ぶ。中国空母では艦載機は自機の推進力で傾斜ランプから離空するがJ-15のエンジン性能不足と自重が大きいため同機の運用効率は大きく損なわれている。空虚重量は17.5トンと世界の空母運用戦闘機で一番重い。米海軍のF-18は14.5トンに過ぎない」と伝えている。

eBayやアマゾンで買い物する人なら「ライセンスなし」の商品を買えば結果はご承知だろう。ロシアによる原設計がどこまで責任があるのかと尋ねる向きもあろう。いずれにせよJ-15の相当数が墜落炎上事故を起こしており、中国は新型艦載機J-31の開発を急いでいる。

J-15の欠陥についてスプートニクニュースはロシア軍事専門家ワシリー・カシンの意見を尋ねたが、許可なく他国の機材をコピーすべきではないという。

「中国は費用を節約しようと、ロシアからSu-33実機を導入し正式にライセンス生産するかわりにウクライナからSu-33試作型一機を購入した。

「J-15開発は予想より長期化し予算も多く必要となり、初期の生産機体は信頼性に欠いていた。さらに時間と予算を投入し中国は問題を解決したようで現在の機体は信頼性、性能ともに向上している」

ここまできて、ソ連及びソ連崩壊後のロシアに西側技術を同意を得ずに「取得する」傾向があったと記しておく必要があろう。原子爆弾からスペースシャトルさらにビデオゲームまで多数の例がある。自国内に技術革新を引き起こす能力が欠如している国なのだ。

中国にも同じ性癖があることで罰が下っているというのはなんとも皮肉な事実というしかない。■

この記事は以下を再構成したものです。

June 22, 2020  Topic: Technology  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: Su-33J-15Air ForceMilitaryTechnologyRussiaChina

Yes, This Chinese Fighter Plane Is a Copy Take From Russia



And Moscow still isn't happy about it.

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
This first appeared in 2018 and is being reposted due to reader interest.
Image: Reuters

歴史に残る機体26 ノースアメリカンB-25ミッチェル

歴史に残る機体26

ースアメリカンB-25ミッチェルは米軍に多大な貢献を残した。頑丈な構造で第二次大戦で米国を勝利に導いた。
B-25は1940年に設計が完了し、米陸軍航空軍で中型爆撃機として活躍が期待された。B-25には目立つ特徴がない。双発で胴体は鉛筆型で爆弾搭載量もさして多くない。それでも欠点がないことが特徴だった。▶第二次大戦中のB-25生産数は1万機という驚くべき規模になった。設計に柔軟度が十分あり、改修型多数が各種任務に投入され、米国以外でも供用された。レンド-リース戦時物資共有合意でB-25は英国、ソ連に送られ、戦後もカナダ、オランダ、オーストラリア等に引き渡された。▶同機の設計自体は完璧と程遠かったが、搭乗員から頑丈かつ高信頼性の評価を勝ち取り、銃弾多数を浴びエンジンが片方止まっても飛行を続けられた。供用期間を通じ多数の損傷を修理しながら飛行を続けた機体は多い。

搭乗員が指摘した同機の数少ない欠点にエンジン騒音があった。エンジン取り付け位置が胴体に近く、エンジン排気管の配置がコックピットに向いていた。B-25パイロットや搭乗員多数が戦後に難聴に苦しんだ。

米国は各戦域でB-25を投入したが、最も活躍したのが太平洋方面だった。戦闘の拡大につれ、B-25の機首に大型機関銃が追加された。爆撃能力は中程度だったことがジャングル内に潜む敵攻撃に有益となった。B-25の低高度爆撃と機関銃掃射が強力だったためだ。低高度機関銃掃射を対艦攻撃に応用したB-25もあらわれ、大きな戦果を上げた。


ガンシップへ改装

B-25の設計はガンシップとして最適と評価された。ガンシップに改装された機体は大火力で敵を攻撃した。ガンシップ試作型は.50口径重機関銃4門を機首に搭載し、75ミリ砲も別に搭載した。さらに側部に.50機関銃4門をポッドに入れて搭載し、コックピット後方旋回砲塔に2門があった。胴体両側に一門ずつ、さらに後部銃手が2門を扱い、合計14門にのぼった。


エンパイヤステートビルに激突(1945年)

B-25はニューヨークのエンパイヤステートビルに激突する事故も起こした。事故当時は深い霧で、ニューアーク空港(ニュージャージー)から移動途中の機体はビル北側側面に激突し、機内の4名、ビルの11名が死亡した。



ドーリットル空襲

第二次大戦中のB-25で最も記憶に残るのがドーリットル攻撃隊だろう。真珠湾攻撃から4ヶ月後にジミー・ドーリットル中佐以下16機が日本本土を空襲した。攻撃は成功したものの物理的な損害はごくわずかで、米国民の戦意高揚の効果が高かった。本土は爆撃をうけることはないとたかを括っていた日本側にも心理的に大きな一撃となった。ドーリットル空襲後に日本は艦船や兵力を日本本土近辺に再配備し、米空襲から本土を守る体制を強めた。


アメリカのアイコン

目立つ特徴はないものの、B-25は大戦中に大活躍し、飛び続けた。堅牢な機体設計が世界各地で米国を勝利に導き、特に太平洋方面での活躍が特筆される。米軍事力の象徴に脱帽である。■

この記事は以下を再構成したものです。


June 20, 2020  Topic: History  Blog Brand: The Buzz  Tags: World War IIB-25MilitaryAir ForceWar

Caleb Larson is a Defense Writer with The National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture.

Image: Wikimedia Commons.

2020年6月22日月曜日

USAF: 戦闘機パイロット養成期間の大幅短縮に向けた改革案出る

空軍は新しい戦闘機パイロット養成課程をテストし、パイロット学生から戦闘機パイロットへの養成期間を現状の40ヶ月から22ヶ月に短縮したいとする。
新運用コンセプト(CONOPS)では新練習機ボーイングT-7レッドホークを仮想現実や人工知能を導入したシミュレーションと組み合わせ期間短縮をめざす。
「鍛錬再構築」を短く “Reforge”と呼ぶCONOPSは6月2日に航空戦闘軍団司令マイク・ホームズ大将が署名し、好結果と確認されれば、戦闘機パイロット養成で1950年代以降最大規模の変革となる。1980年代に導入した専門パイロット学生養成訓練課程Specialized Undergraduate Pilot Training(SUPT)もここまで大きな変革ではなかった。
新制度では戦闘機材パイロット誕生までの期間を将来は18ヶ月まで短縮するねらいがある。
上)ボーイングT-7レッドホークの「グラスコックピット」では表示設定が変更可能で実際と同じセンサー操作や兵装投下を訓練できる。下)T-38Cでもデジタル改修が進んだが、アナログ計器が多数残り、高度な訓練は実施できない。Boeing video screenshot and USAF photo.
現行の教育科目構成は60年供用中のT-38が前提のため、新制度では不足部分を補うことに加え、第一線機材を使った飛行時間を可能とし、現実世界に対応させる。新CONOPSでは仮想現実、シミュレーション技術に加え、T-7レッドホーク高等練習機が有するインフライトシミュレーション機能も活用する。ボーイングは機体製造以外に教材となるコースウェアとシミュレーターも製造する。
新CONPSではT-7の追加引き渡しを前提とている。現行契約ではオプション調達100機が想定され、341機の契約規模を増やせる。Reforgeで必要なT-7はパイロット学生訓練用の機材と別の制式名称TF-7(例)となり、エンジニアリング開発で別の存在となろう。 
専門パイロット学生養成課程の所要期間は現在12ヶ月。その後、戦闘機パイロットをめざすものは戦闘機基礎コースFighter Fundamentalsに進み、T-38操縦後に正式訓練部隊Formal Training Unit (FTU)で戦闘機を操縦する。全体で40ヶ月かけて配属場所を異動しながら戦闘機パイロット資格を得る。新規CONOPSでは初期戦術訓練コース Initial Tactical Training Course(ITT)として現行2課程を統合し、約1年分を短縮する。
ITT修了生の戦闘機パイロット資格取得は「半分の時間で可能」とACCは見ている。正式訓練部隊への配属時点で「戦術技量は高くなっており」高価格ハイエンド戦闘機で教えるべき内容を大幅に減らせるという。
新構想での経費節減効果は未実証だが、費用削減が目標ではないとACCでCONOPSを共同執筆したデイヴィッド・ティムは述べている。.”
「F-22部隊では飛行回数の6割7割を新人パイロットへの基本技量や能力向上訓練に使っている」とティムは指摘。「同じ内容を早期に教えれば、高度内容の訓練を50%減らせるし、F-22の飛行回数の6割をFTU訓練に使い、浮いた時間を戦闘訓練に使える」
新CONOPSではFTU訓練時間を半減し、パイロット養成規模を2倍にする。これで空軍のパイロット不足を解消したいとティムは述べる。
「時間短縮が狙いではない。有効活用が狙いだ」とルーク・シュナイダー中佐もCONOPS共同執筆者として述べている。「時間を削っても、稼働体制がそのまま増加するわけではない」(シュナイダー)狙いは浮いた時間の有効活用で、「離着陸の仕方」を教えるかわりに、機体の性能をフルに発揮する方法をパイロットに教える。
今回のCONOPSは戦闘機パイロット養成再構築の第一歩であり、現行課程が「現在の状況に適合しておらず将来も同様」の状況だとティムは説明。戦闘機部隊が基本技能訓練に時間を取られると超大国間戦に向けた準備ができず実戦で機能しなくなると言う。
ITT課程では拡張現実、仮想現実、人工知能を応用した内容を加え、パイロットが最適な内容を学ぶ機会を増やす。シュナイダー中佐はAIで個人別教程が実現し、習得済みの学生には飛行回数やシミュレーター使用を減らし、かわりに必要分野の時間数を増やせると見ている。シミュレーションで現実を忠実に再現しているため、実機使用よりずっと安価に進められる。
技術の進歩によりセンサー信号多数を合成して単純な戦術表示が実用化され、操縦は簡単になったとCONOPSは指摘。シュナイダー中佐はT-7は各種機材を「模倣」できると発言している。パイロット学生は電子装置で訓練を受け快適に学習しながら高度技術を体得でき、ここでも訓練時間短縮が可能となる。これに対しT-38では「大量の時間をかけ学生が死なないよう指導している」という。
空軍は Reforge Proof of Concept (RFX) でCONOPSを試す。3月にはロッキード/韓国航空宇宙工業T-50高等練習機あるいはレオナードM346練習機をリースし、5年の予定でCONOPSのテスト・実証をを開始した。機材選定は現在進行中だがReforge のテスト基地は未定だ。まず教官パイロットを対象にモデルを仕上げていく。
ホームズ大将は「T-7量産が始まるまで実証を待てない」様子だとシュナイダー中佐は述べており、「8機の借り上げ....はPOMで想定外の出費」と予算関連文書の計画目的覚書rogram Objective Memorandaに言及している。契約を成立させRFXを実施に移すのがReforgeの「次の段階」だという。
戦闘機パイロット養成時間の大幅短縮以外に訓練期間中の配属基地異動を減らしパイロット学生が安定感を得られる。飛行資格の取得後に異動し、ITTは飛行隊基地で行う。
ACCが求める稼働率並びにパイロット養成目標の達成に直結するのはReforgeしかないと同文書にある。
共同執筆者は新技術の利用に加え、深刻になってきたパイロット不足も解決できるとする。「戦闘機パイロット養成に長時間かかっているだけでなく、定着も十分でないのが現状」と見ている。
パイロット不足には養成、吸収、定着の「3つの観点がある」とシュナイダー中佐は説明。Reforgeは各解決策として新規パイロット数を増加し、短時間で経験値を高め、配属異動頻度を減らし、生活の質を高めて定着を図る。
今日のパイロットは15年前と同等の飛行時間を計上できず、「戦闘部隊に配属された時点で飛行時間も経験値も十分でない」という。これがその後の制約となる。「編隊長を未経験だと、次の任務が大きく制約される」ので、Reforgeでこの問題に取り組み、解決できれば空軍に定着し、キャリア上の不満も減るはずとする。
パイロット次期訓練PTNの一環でパイロット学生が仮想現実技術を応用したフライトシミュレーターで訓練中。2020年3月5日。テキサス州サンアントニオ-ランドルフ共用基地にて。PTNは空軍教育訓練軍団の進める訓練再構築の一部である。Photo: Sarayuth Pinthong/USAF
今回のCONOPSは戦闘機パイロット養成だけに焦点を当てている。空軍教育訓練軍団(AETC)の養成課程の変更や中止は求めていない。ただし、シュナイダー中佐は「AETCと9ヶ月共同作業し....ACC限定の構想ではなく、AETCでT-7運用をする際の全般で関係する。AETCの邪魔をするつもりはない」と述べている。AETC司令ブラッド・ウェブ中将もReforge案を「前向きに支持」しているという。AETCも初等パイロット訓練全体の改正に取り組んでおり、やはり新技術を利用したいとする。
空軍参謀長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将はAir Force Magazineの7月/8月号で2020年に除隊予定だったパイロット多数が除隊を撤回する意向を示しており、民間エアライン各社の採用停止が理由とする。ただし、新型コロナウィルスの大量流行が原因であり、パイロット不足の恒久的解決策にならないと認識している。
「人員規模を十分に維持する必要がある」とし、「能力あるパイロットには空軍に残ってもらいたい。経験値が有益だからだが...それで全て解決にならず、年齢構成のバランスが悪く、年長組が多く、新規パイロット養成が継続していない」と指摘。
大量流行を受けパイロット養成は半分程度に削減されたが、USAFでは6月末で流行前の8割程度に戻す予定だ。
新制度で空軍はパイロット数の増加が期待できる。各パイロットの最初の10年間勤務で養成期間の短縮化により、戦闘任務時間を10パーセント増加できるとシュナイダー中佐が説明。さらに基本技能訓練では第一線機材各機で年間300時間短縮できる。そのため戦闘機部隊全体での稼働率向上効果は「莫大」だという。
Reforgeによる大幅改良が必要な理由として、新技術に「現行の戦術訓練が対応していない」と同文書に記載がある。
戦闘機パイロット養成で以下の2点が大きな「ギャップ」とCONOPSは指摘する。
  1. 旧式化したT-38を基礎パイロット訓練に使っており、戦闘機パイロットが操縦する機体との差が大きく、突如として「複雑さが変更される」こと
  2. FTUから実戦部隊で複雑度が急激に増えること。この原因に敵性勢力の実力の急増がある。戦闘機パイロットが制空能力を維持するため今以上に早く、かつ楽に学習内容を消化する必要がある。
ホームズ大将からはT-7は本土防衛任務でアグレッサー機材として活用でき、その他同盟国等でも運用できる機材になるとの期待も出ている。
「T-7は今後の改良と柔軟性を最初から想定した設計となっている」とボーイング広報は述べている。「航空戦闘軍団のReforge事業で追加性能が必要と結論が出れば、当社はその要望に応えていきます」■

この記事は以下を再構成したものです。

ACC Aims to Cut Pilot Training Time By Up to Half


June 18, 2020 | By John A. Tirpak

大型ステルス駆逐艦055型の第一線配備が近づく

055型誘導ミサイル駆逐艦初号艦の就役式典時の様子。山東省青島にて。 Photo: Xinhua
国人民解放軍海軍(PLAN)が新型ステルス重武装の055型駆逐艦の供用開始を準備中で、空母や揚陸艦を外海で支援する狙いがうかがえる。
中国国内報道では1号艦は南昌と命名され、対艦ミサイル、対空ミサイル、対潜ミサイル、対地ミサイルを運用するとある。中国は現在2隻ある空母の護衛に新型駆逐艦を投入する意図があるのが明らかだ。
同艦は今年1月に就役しており、今回初の外洋訓練を終えた。興味深いのは同艦にはステルス性能を追求した形状の艦体艦首の一体化、なめらかな外形、大型マストの欠如、甲板上の兵装類を最小にしている特徴が見られる。米海軍のステルス艦USSズムウォルトと似た存在だ。南昌の主砲や艦橋はUSSズムウォルトを思わせるものがあり、直線基調だが内側に傾斜をつけ、艦体と艦橋はつながっている。指揮統制用の窓は小型化されており、USSズムウォルト同様にレーダーパネルが側方につく。艦橋を中央部に配置し、後方部を一体化したのは重心を調整し、荒天時に転覆を防ぐ狙いもあるのだろう。
同艦のステルス性能推定については 2018年にThe Diplomat誌が解説しており、「艦体はステルス性のため艦首を一体化」し、投錨装備は格納式になっている。艦橋の形状はレーダー特性を減らす意図のためであり、兵装も角度をつけず、貫通する形状にもなっていない。マスト本数も最小限になっている。
ただし、USSズムウォルトにはVLS(垂直発射装置)を分散配置しているが、Diplomat誌では055型駆逐艦では「64セルの集中配備型VLS」になっているという。VLSを集中して命中弾を受けると破滅的な損害となりそうだが、VLSを周囲に分散させれば一部が損傷を受けたり、攻撃が命中しても残りの稼働が可能となる。また集中配備型VLSはミサイル同時発射で熱発生が大きくなる欠点もある。
また南昌の艦後部はUSSズムウォルトよりごちゃごちゃしている。南昌にはヘリコプター発着用のスペースは確保されておらず、かわりに小型アンテナ各種、兵装、センサー類が乗っている。USSズムウォルトよりステルス性は劣るのではないか。ただし、近接交戦時に火力は大きい。Diplomat記事ではH/PJ-11 30mm近接兵装システムが搭載されているが、USSズムウォルトの甲板上には近接防御用装備はない。CIWSは最終防御手段として重要な存在で無人機や小型舟艇による襲撃を近接距離で撃破する意義がある。
後部のアンテナ多数は同艦の電磁特性を減らす意味もあるのだろう。送信の方向性を限定する効果があるからだ。南昌では甲板上に主砲が搭載されているが、USSズムウォルトの砲塔ほどの形状へのこだわりは見られない。こうしてみると、南昌はUSSズムウォルトのステルスとアーレイ・バーク級駆逐艦の兵装を組み合わせたように見える。
中国海軍は現在360隻を運用中で、米海軍の297隻を凌駕していると最新の議会調査報告が指摘。2020年5月度の議会調査局報告書は「中国海軍の近代化の現状、米海軍戦力への意味」とあり、揚陸艦船、潜水艦、空母近代化を特に取り上げている。報告書ではPLANは2025年までに400隻規模となり、空母は3ないし4隻に増えるとある。■

この記事は以下を再構成したものです。

China to Deploy New Heavily-Armed, Stealthy Destroyer

China to Deploy New Heavily-Armed, Stealthy Destroyer

By Kris Osborn - Warrior Maven Warrior Maven

2020年6月5日