2021年2月2日火曜日

イスラエル陸軍はこう戦う。周囲を敵に囲まれた同国の戦闘理論は一歩先をゆく。装備品から脳生理学まで、イスラエルの思考は参考になる。

 

 

 

スラエルの敵国はヒズボラのようにイスラエルの弱点をついてくるはずだ。そこでイスラエルは敵の先へ進もうとしている。

 

ヒズボラはイスラエル北部に構え、退避壕に武器を隠し、民間人に紛れ込む。イスラエルが2006年のレバノン南部への侵攻を再度試みれば、民間人の犠牲を回避しつつ、自軍の死傷者も最小にする必要がある。イスラエル国防軍は世界有数の高性能装備を導入し、こうした課題の解決が求められている。

 

脅威となるのは

 

IDF関係者と将来の戦闘にイスラエル地上部隊がどう対応するのかを話し、次の戦闘での課題と機会双方の見識が得られた。中東でここ数年緊張が高まっているのは、米国とイランに加えイランとイスラエルの関係で顕著だ。イランも無人機や弾道ミサイルといった新技術を実用化しようとしており、イスラエルも多層防空体制の実力を試している。

イスラエルは多年度防衛計画をモメンタムと称し、戦場に展開する隊員に最高の技術とあわせ、敵の脅威内容をきめこまかく伝える情報を利用可能にするとある。ただし、イスラエル陸軍にもその他民主主義国家同様の複雑な問題がある。国内が死傷者の発生に懸念し、国際社会も戦闘発生に懸念を示すことだ。

 

ヒズボラが連日ミサイル何千発をイスラエルに向け発射する予測がある。イスラエルはこの状況を実際に経験したが、当時のロケットは小さく精度も劣っていた。その後、イスラエルは米国の支援のもと各種防空装備を実用化した。デイヴィッズスリング、アロー、アイアンドームの各装備で、アイアンドームは米国に納入されている。

 

どの装備をどこに投入するか

 

イスラエル司令官には降下部隊、特殊部隊、歩兵旅団を最大活用する課題がある。イスラエル軍は大規模歩兵旅団が中心の構成で,装甲旅団三個が支援する。ここに降下部隊やエリート部隊が加わり、イスラエルの侵攻作戦で先鋒部隊となる。

 

今日の戦闘では敵の村落を占領するのでは不十分で、各種部隊や技術を組み合わせる勝負となる。昨年のゴラン高原演習を視察したが、イスラエルが戦車と歩兵部隊を村落を想定した地点に向かわせる様子がみられた。IDF関係者からはイスラエルは村落の平定といった戦術面の成功のみならず、特殊部隊や小規模部隊で敵脅威そのものを打破する必要もあるとの発言があった。

 

イスラエルの敵はイスラエルに通常戦で戦車対戦車、歩兵対歩兵の形で対決することはない。ヒズボラのようなテロ集団はイスラエルの弱点を模索している。同時にイスラエルも数年だけの兵役につく徴集隊員で構成する部隊を訓練する必要がある。新世代の兵士が毎年入隊し、新しい技量を提示する。例えば今日の18歳はスマートフォン、ヴィデオゲームを日常から駆使している。

 

イスラエル専門家もその他西側専門家と同じ用語、考え方を使う。つまり、人員機能最適化Human Performance Optimization (HPO)や神経可塑性neuroplasticityを利用し、脳機能が兵士の動きにどう影響するか理解しようとしている。最新技術で若年兵の技能と同じ効果が得られる。

 

脳機能を理解することでイスラエルは現代の戦闘兵士に適正な戦闘実施概念を与えたいとする。イスラエルが考慮する要素の一つが時間だ。今は1914年ではなく、塹壕戦を何年も繰り広げることはない。かわりにイスラエルは最良の技術を投入して最大限の速さで結果を実現したいとする。そこで、各旅団にシミュレーション多数を経験させ、コンピュータの活用で「デジタル背骨」を各部隊に実現させようとする。これは機動性のある司令所であり、各旅団を実弾の飛び交う任務に投入し、将校はシミュレーションで訓練することだ。

 

イスラエルはこう戦う

 

各国の軍部隊に新装備品が導入されている。IDFではF-35、サアル新型コルヴェットがある。だが歩兵部隊では以前とさしてかわらない。イスラエルではキャメル事業があり、次世代装甲戦闘車両の開発が続いているが、まだ実用化に至っていない。

 

イスラエルが実現をめざすのが「マルチディメンション」戦闘だ。各部隊に能力多数を盛り込み、多くの技術を導入し、火力支援を自由に活用させる。戦闘能力が高まった部隊は米海兵隊のようになり、独自に航空機材や艦船を利用する。

 

マルチディメンジョン部隊と指揮命令のコンセプトを使うイスラエル陸軍は決定的な勝利を、迅速に実現しようとするはずだ。ここで時間の要素がからむ。IDF司令官は1967年の6日間戦争でイスラエル軍の功績を覚えている。その際に数百名が戦死したが、現在では死傷者発生率が同様に高くなるのは甘受できない。本国では視聴者が戦場の様子を見ているはずだ。敵もこのことを理解している。

 

テロ活動を展開し脆弱地点を狙う敵に対抗するため、イスラエルは敵勢力にうまく対峙する必要がある。このため無人装備や人工知能を広域で常時監視・自動標的認識に投入すべく、イスラエル国防専門家が投入されている。兵員もこうした技術を駆使する訓練を受けるだろう。地上部隊隊員は空中装備へのアクセスを携帯し、指一本で正面の敵の状態を把握できるようになる。

 

戦闘の中の戦闘War Within a War

 

戦闘の中の戦闘とは時間の制約の中で知識を集結し、精密かつ決定的な戦闘効果を実現しつつ死傷者を減らすことを意味し、敵をいち早く探知し照準をあわせることにつながる。ヴィエトナム戦での米軍隊員には強力な火力の後ろ盾があったが、イスラエルではこれは利用できず、精密弾を使い、非対称的な手段で戦闘結果を実現する。

 

各種技術を戦場に投入したいとIDF関係者が述べている。つまり、無人機をもっと多く、人工知能も動員する。各兵員にもっと多くの技術を利用可能とする。敵も高水準技術を保有しており、無人機やスマートフォンを使うはずなので、イスラエルはこれに対応する必要がある。

 

イスラエルが使う用語は一般的かつ構想段階だが、これからの兵士に新技術を駆使させることにつながる。各国の軍で無人機やタブレットコンピューターやレーザーといった新装備の導入が遅れがちなのは調達が遅いためだ。さらに軍の通信は妨害に強く、暗号化の必要がある。つまり軍用無線は民生技術より遅れがちだ。イスラエルは軍事理論をこの数年で進展させたようだ。オープンアーキテクチャをイスラエル防衛産業は実現し、新技術を地上部隊に導入したいとする。イスラエルはこれで各隊員が展開する戦闘のありかたが根本的に変わると見ている。■

 

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Explained: Inside Israel’s Plans to Fight the Next Major War

January 31, 2021  Topic: Israel  Blog Brand: The Buzz  Tags: IsraelMilitaryF-35IranU.S. MilitaryMissiles

by Seth J. Frantzman

 

 

Seth J. Frantzman is a Jerusalem-based journalist who holds a Ph.D. from the Hebrew University of Jerusalem. He is the executive director of the Middle East Center for Reporting and Analysis and a writing fellow at the Middle East Forum. He is the author of After ISIS: America, Iran and the Struggle for the Middle East (Gefen Publishing) and Drone Wars: Pioneers, Killing Machines, Artificial Intelligence and the Battle for the Future (Forthcoming Bombardier Books). Follow him on Twitter at @sfrantzman.


2021年2月1日月曜日

F-117がKC-135の空中給油を受けられるようになった。「退役」したはずのナイトホークにはまだまだ役目がありそう。

 

USAF

初飛行から日が浅いF-117がKC-135から給油を受けている。A-7Dがチェイス機で飛んでいる。

手前のF-117は塗色が灰黒色の初号機。撮影時期は1984年。

 

 

空軍航空機動軍団(AMC)からKC-135ストラトタンカー全機にF-117ナイトホークへの空中給油を許可する正式通達が出た。

 

この通達でF-117向け空中給油は1980年代の状況に復帰することになり、まさしく『バックトゥザフューチャー」で、公式に退役後13年になるF-117は『ブラックジェット』でなくなった。

 

今回の通達は「KC-135,F-117機間の空中給油業務認可」の表題で、航空機動軍団司令部で作戦・戦略抑止・核装備統合担当のジョエル・D・ジャクソン少将が署名している。日付は2021年1月1日で同軍団の作戦・搭乗員標準化・評価部門A3Vの発出だ。

 

この文書からF−117の活動範囲が広がっており、もはや退役機材として孤高の存在ではないことがわかる。実際に同機は退役後も飛行を継続している。遠隔地のトノパ試射場空港を根拠地とするF-117各機が視認される事例がこの数ヶ月増えている。さらに作戦基地に前方配備され、空母打撃群の演習も支援している。また白昼にネリス空軍基地でステルスアグレッサー役をこなし、レッドフラッグ演習に登場している。

 

公式退役後のF-117各機はエドワーズ空軍基地から移動し、トラヴィス空軍基地のコールサインシエラ99のKC-10から空中給油を受け極秘フライトテストを頻繁に行っていた。最近はKC-135がシエラ98のコールサインで給油役を交代しており、広大なネヴァダ試験訓練場で行動していた。

 

KC-135全機でF−117向け空中給油が可能となったことで、今後はナイトホークを大規模部隊展開 (LFE) 演習の訓練サイクルに投入できる。同時に配備基地から遥か離れた地点への移動も可能になり、東海岸でF-117が演習にステルス機として参加する姿も見られそうだ。

 

第5世代機あるいはステルス無人機で専任アグレッサー部隊が編成されるまでのつなぎとしてF-117にステルス・アグレッサーの役割が期待される。

 

とはいえ、公式には退役から13年が経過し、一部分解されモスボール状態だったはずのナイトホーク部隊(全45機)が運用の幅を広げていることに驚くしかない。ネリス基地ではレッドフラッグ演習が展開中であり、F-117が突如現れる姿を見られるかもしれない。その場合、同機は他のアグレッサー機同様に標準型KC-135Rの空中給油をうけるはずだ。

 

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中国の弱み③ 実戦経験が欠如し、硬直した訓練を繰り返す中国空軍部隊には西側の新戦術に対抗する技量が不足している。突き詰めれば形式主義の中国式思考習慣そのものに弱点があるのではないか。

 

 

機材が最新鋭でも、パイロット訓練内容に欠陥があり、実戦経験が欠如する国は性能を駆使できない。

 

 

2015年のタイとの合同演習で中国航空戦術の大きな欠陥が露呈した。

 

運用機材こそ新型だが、中国パイロットは遠距離からの攻撃に反応が遅れ、積極的な行動を取れず脆弱さを示した。▼この演習はファルコンストライク2015で同年11月に二週間に渡りコラット王立タイ空軍基地で展開され、初の両国共同訓練だった。

 

 

 

中国はJ-11戦闘機を持ち込んだ。▼タイ空軍はF-16に加え、グリペンも動員した。タイ空軍はJAS-39C/D型グリペン12機を供用する。

 

航空サイトAlert 5がその際の経緯をまっさきに報じた。最初の7日間にわたりJ-11はグリペンを苦しめた。▼J-11はロシアSu-27が原型でドッグファイターとして優秀性を見せつけた。▼模擬航空戦闘初日にJ-11とグリペンは視界距離で交戦した。結果は中国側の圧勝だった。▼強力な双発エンジンを搭載するJ-11は機関砲と赤外線誘導ミサイルPL-8でグリペン16機を撃破し、被撃墜は皆無だった。

 

一方、単発のグリペンは近接戦ではAIM-9赤外線ミサイルと機関砲を使用する。▼グリペンは推力重量比では他機種より劣り、ドッグファイトで制約がつく。▼だがグリペンには長距離攻撃性能が付与されている。

 

二日目になり中国パイロットは撃墜成果がなくなる。▼その後演習が進むと中国は初日の成果を再びあげようと必死になった。▼演習は視界外交戦のシナリオとなり、グリペンはAIM-120中距離ミサイルを搭載し、J-11の中距離ミサイルPL-12より性能がまさることを証明した。

 

三日目、タイ側はJ-11を19機「撃墜」し、グリペンの損失は3機だった。▼終盤の3日間でタイは中国の22機を撃破し、自軍の損失は3機だった。▼最終的に軍配はタイ空軍に下り、グリペンはJ-11を42機撃墜し、J-11はグリペン34機を撃墜した。

 

総合するとタイの撃墜成果の88%は19マイル以上の射程で発生しているが、同じ距離で中国の撃墜は14%だった。▼グリペンは31マイル以上の距離でも10機を撃墜しているが、この距離でJ-11は一機も撃墜できなかった。

 

Alert 5は「中国軍パイロットは状況認識力が劣っていた」とし、「機体周囲より前方に注意を払いすぎた」と報じた。▼演習でJ-11は僚機をエスコートしていたが、「協調性が不足」していたという。▼中国パイロットについて「ミサイル攻撃の回避の経験不足」があったという。▼反応があまりにも機械的で、場面に応じたミサイルへの回避行動の判断を正しく下せなかった、とAlert 5にある。

 

中国もパイロット訓練の改善の必要は認識している。2005年頃の中国空軍は米空軍のレッドフラッグ演習に刺激を受けたため現実的な航空演習を採用している。▼だが演習から熟達した技量のパイロットが生まれておらず、中国製機材の性能を活かしきれていない。

 

「専門文献や中国軍高官の発言から従来の訓練では実戦に対応出きないことは承知しているようだ」と米国防情報局は2019年1月公表の中国軍事力評価で解説している。▼「非現実的な訓練内容により中国空軍の航空戦闘能力の発展が遅れている」▼中国軍も「自軍パイロットと『強豪国空軍部隊』パイロットの技量の差を認識している」とDIA評価が続く。▼「訓練の弱点を克服するべく、司令官の一人が空軍演習は威容を見せつけるのではなく『戦闘に備える』内容にすべきと発言した」とある。

 

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How a 2015 War Game Showed the Chinese Air Force’s Flaws

January 30, 2021  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaMilitaryAir ForceJ-11JAS-39 Gripen

by David Axe 

 

David Axe served as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This first appeared earlier and is being reposted due to reader interest.

Image: Wikipedia


2021年1月31日日曜日

米議会調査局報告書に見る南シナ海、東シナ海での米国国益の視点。こうした調査活動が米議会での審議のもとにあることに注意。翻って日本の国会議員はなにをもとに議論しているのでしょうか。

 米議会は精緻な言葉が展開される世界ですね。プロの調査部門から出てくる各種報告にもれなく目を通す議員が集まり、知的な議論が繰り広げられているようで、門限時間を超えた飲食に目くじらをたてる、言った言わないの押し問答を続ける某国議会と雲泥の差があります。議員が勉強したところで限界があるので、専門領域はプロの調査部門に任せるほうが効果的なはず。党派に影響を受けないプロの調査部門が国会にも必要と思います。US Naval Institute Newsからの記事です。



 

2021年1月28日、議会調査局が「南東シナ海における米中戦略競合状態及び議会の課題に関する報告書」を発表した。

以下報告書からの抜粋。

 

国際安全保障面で大国間競合状態の再来とされる中で、南シナ海 (SCS)が米中両国の戦略競合の舞台になっている。SCSでの両国の競合状態からトランプ政権は中国へ対決姿勢を強め、インド太平洋地域を自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の状態にするとした。

 

近年の中国のSCSでの行動としては、広範囲に人工島を構築し実効支配するスプラトリー諸島で海軍力によりフィリピン、ヴィエトナム含む近隣諸国に対し自国主張を強硬に主張する動きがあり、SCSが戦略、政治、経済各面で米国ならびに同盟友邦各国にとって重要な海域なため、中国がSCSで実効支配を確立する懸念をもって米国は注視している。中国海洋部隊が東シナ海 (ECS) で日本統治下にある尖閣諸島で展開中の行動にも米国は懸念を持って観察している。中国がSCS、ECSとあわせ黄海の近隣海域を支配すれば、インド太平洋地区ほか各所で米国の戦略・政治・経済各面の権益が損なわれかねない。

 

SCS、ECS双方での米中戦略競合で、米国の目標は次のとおり。条約国の日本、フィリピンを含み西太平洋における米国による安全保障の意思を完遂すること、同盟国・協力国を巻き込んだ米主導による西太平洋の安全保証の枠組みを維持強化すること、域内で力の均衡を同盟国・協力国を含み米国に有利な状態を維持すること、紛争の平和的解決原則を守り、国際問題での『力による解決』の応用へ抵抗すること、航行の自由原則を守ること、中国が東アジアで覇権国の座につくのを阻止すること、広義の米安全保障の一環として以上の各目標を希求し、中国と戦略的に対抗しつつ両国関係を制御することがある。

 

SCSおよびECSを舞台とする米中戦略競合状態での米国の個別目標として以下があるがこれに限定されるものではない。SCSではこれ以上の基地構築を進めさせず、SCS実効支配拠点へこれ以上の人員、装備、補給品搬入を断念させること、SCSスカボロ礁での人工島構築あるいは基地構築を断念させること、SCS内で陸塁を中心とする直線的な中国の領有権主張を撤回させること、SCSに防空識別圏(ADIZ)を設定させないこと、ECSにおいては尖閣諸島での中国海洋武力を削減あるいは撤退させること、フィリピンの実効支配下にあるスプラトリー諸島拠点への圧力をかける行動を中止させ、フィリピン漁民にスカボロ礁あるいはスプラトリー諸島での操業を容易にさせること、米国や西側の海洋交通の自由原則を採用させ、2016年のSCSをめぐるフィリピン対中国の仲裁裁判所裁定を受け入れさせ遵守させることがある。

 

米議会の課題は以下の通り。バイデン政権のSCSならびにECSにおける対中競合戦略がトランプ政権の方向性と異なるのか、バイデン政権の採択する戦略が妥当かつ正しい裏付けがとれているのか、また議会として戦略、実施用の資源のいずれかあるいは双方を承認、棄却、修正すべきか、である。

 

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Report on US-China Competition in East, South China Sea - USNI News

January 29, 2021 9:26 AM


T・ロウズヴェルト空母打撃群を模擬攻撃していたPLA爆撃機。台湾、南シナ海をめぐり、米中間で動きが活発になっている。

 



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  • 米空母打撃群が先週土曜日から南シナ海入りしている。 
  • 同日に戦闘機、爆撃機含む中国軍用機多数が台湾付近を飛行した。
  • 中国機は移動中の米空母に対し模擬攻撃行動をとったとするフィナンシャル・タイムズ記事を米軍が認めた。

国爆撃機部隊が南シナ海の米空母を模擬攻撃したとのフィナンシャル・タイムズの記事内容を米軍が1月29日に認めた。


セオドア・ロウズヴェルト空母打撃群が1月23日に南シナ海へ移動したが、中国軍はH-6Kを8機、J-16戦闘機4機、Y-8対潜哨戒機1機を台湾海峡から南下させた。


米空母打撃群はバシー海峡経由で南シナ海に移動中で、中国軍機は台湾の防空識別圏を横切り飛行した。


翌日になり身元不詳の中国国内の軍事専門家が国営環球時報に中国軍機は「米空母へのPLA戦闘能力を増強する」目的の演習で、爆撃機編隊が米艦隊への飽和攻撃を模擬実施したと明らかにした。


A Chinese Air Force H-6K bomber

A Chinese Air Force H-6K bomber Xinhua/Guo Wei via Getty Images


これに対し、1月29日、フィナンシャル・タイムズが米情報機関に近い筋の話として中国機がセオドア・ロウズヴェルト空母打撃群を模擬攻撃したと伝えた。中国爆撃機パイロットが攻撃命令を受領し、対艦ミサイル発射をシミュレートする様子を傍受したという。


インド太平洋軍報道官マイク・カフカ大佐はメールで「セオドア・ロウズヴェルト空母打撃群は人民解放軍海軍(PLAN) ・空軍(PLAAF) の行動を逐一傍受しており、中国機から米海軍艦船、乗組員に危害は生じていない」と当誌に回答してきた。


別の国防筋によれば中国機は米海軍部隊から250マイル以上距離を保ち、H-6K搭載のYJ-12対艦巡航ミサイルの射程外だ。ただ、模擬攻撃は実際に実行されたと同筋は述べている。


INDOPACOM発表でカフカ大佐は「今回の事態は攻撃的かつ平和安定を損ないかねない一連のPLAによる行動の一環」と述べた。


同報道官は「PLAが軍事力を使い、国際海路や空域で自由を脅かし自国の意図をゴリ押しする傾向が背景にあり、隣接国や領土をめぐり同国と対立する国が困っている」とし、「米国は国際法の許す範囲で飛行、航行、作戦活動を続け、各地でのプレゼンスを通じ決意を示していく」とした。


米海軍は1月24日発表でセオドア・ロウズヴェルト空母打撃群は第7艦隊担当区域で海上安全保障作戦に通常の形で展開中とした。


中国は米軍が南シナ海に姿を定期的に現すことに反対しているが、自国は同海域で長年にわたり作戦を展開している。


「米国が頻繁に軍艦航空機を送り武力を誇示すると南シナ海域内の平和安定に悪影響が生まれる」と中国外務省報道官趙立堅Zhao Lijianが1月25日の報道会見で述べた。


今回の南シナ海での事態は新生バイデン政権が中国、中国の軍事力拡大にどう対処するかが問われる中で発生した。


新政権は中国と台湾問題をめぐり早速ジャブの応酬をした。米国務省が台湾へ軍事経済外交の各面で圧力をかける中国の動きを先に批判した。すると同日の報道会見で趙報道官は「部隊を派遣し『台湾独立』の動きに誤った信号を送り中米関係ならびに台湾海峡の平和安定を傷つけるのは自制すべきだ」と米国に求めてきた。


一方、中国国防省報道官呉謙Wu Qianは1月28日、台湾付近の中国軍の活動は必要とし、台湾が中国からの独立を求めれば戦争になるとまで発言した。


バイデン政権初の国防総省報道会見でジョン・カービー報道官はあらためて米国が台湾防衛を支援する姿勢を確認したが、緊張から「対立にエスカレートさせてはいけない」と述べた。■


この記事は以下を再構成したものです。



Chinese bombers simulated an attack on a US Navy aircraft carrier in the South China Sea

Ryan Pickrell 


2021年1月30日土曜日

ドイツ空軍の戦力減退:予算不足>整備できず>訓練不足にくわえ、パイロットが空軍を去る事態、ドイツはこの悪循環を断ち切れるか

 

イツ空軍パイロットがNATO基準の訓練時間を計上できていない。

 

訓練方法に問題があるわけではない。問題はドイツ空軍に飛行可能機材が足りないことだ。とドイツ空軍参謀長インゴ・ゲルハルト中将が述べている。▼「空軍パイロット半数近くでNATO基準の180時間を昨年達成できていないのは、整備問題で機材が運用できなかったため」と英デイリー・テレグラフが伝えている。▼空軍パイロット875名で飛行時間基準に達したのは512名とドイツ政府官報にある。

 

 

「ドイツ空軍はどん底状態」「機材は交換部品がないため飛行できない、あるいは整備が終わらず地上に残っている」とドイツ空軍参謀長インゴ・ゲルハルト中将が述べている。

 

第二次大戦中に恐れられ、冷戦中に敬意を集めたドイツ軍がここ数年は予算不足のため、かろうじて機能する組織になっている。▼2018年夏にドイツのユーロファイター128機中で部品不足が原因で飛行可能だったのはわずか10機だった。▼2019年2月は39機になり、トーネード戦闘機93機は26機しか戦闘あるいは訓練に投入できなかった、とテレグラフは伝えている。▼今度はパイロットが軍を去り、支障を生じる事態が危惧されている。▼この5年間で11名が去ったが、昨年上半期だけでパイロット6名が退職している。

 

冷戦終結でソ連の脅威が消えてドイツ軍事力は減衰している。▼喫緊の問題は国防支出で、NATO目標のGDP2%に対し、1.3%にとどまっている。▼ただし、欧州内NATO加盟国で目標を達成している国は少数だ。

▼2018年にドイツ海軍潜水艦で出動可能な艦が皆無となり、新型ヘリコプターや輸送機で飛行不能事態が生まれ、装甲車両が稼働できなくなった。▼ロシアがバルト海諸国に侵攻しても、ドイツは一個旅団の派遣準備にさえ一ヶ月かかるとの米調査結果もある。

 

といってドイツがパイロット訓練不足を甘受していいわけではない。▼米国、イスラエルの第二次大戦後の成功はすべて訓練を十分受けた搭乗員が要因だ。▼ロシア軍パイロットは訓練時間が西側より長くなっているとの分析もある。▼ドイツ軍パイロットの訓練内容がこのままの状況ではNATOはロシアへの優位性を失いかねない。

 

訓練不足がナチ時代のドイツ空軍崩壊につながったのは皮肉な事実だ。▼1939年のドイツ空軍パイロットは実戦前に200時間飛行しており、各国より長い訓練を受けていた。▼これによりドイツは大きな撃墜成果を上げた。▼1944年に燃料不足で訓練に支障が出ると、損害が多大になり、ドイツは50-100時間程度の訓練でパイロットを送り出した。▼これに対し、英米軍では300時間以上を訓練にあてていた。▼その結果、悪循環となり、パイロット不足でルフトバッフェは未熟パイロットを動員し、すぐ撃墜されてしまい、更に多くの新米パイロットが戦場に送られた。

 

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Why Pilots are Quitting the German Air Force

January 28, 2021  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Reboot  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarStealth

by Michael Peck

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook. This article first appeared last year.

Image: Reuters.