2017年12月17日日曜日

★★潜水艦が一隻も使えないのはドイツ連邦軍の問題の氷山の一角だ

  • 几帳面がドイツでこうなっているとは意外な気もしますが、国防省の官僚的体質が災いのもとなのでしょうか。ドイツの安全保障に対する価値観にはやはり大戦中のトラウマがあるのでしょうか。日本はこの数年で意識がかわりつつあるのですがね。ドイツ国民に軍事アレルギーや防衛で主導的な立場を忌避する傾向があるのでしょうか。

 

Germany Does Not Have One Working Submarine

ドイツに作戦投入可能な潜水艦が一隻もない事態
December 16, 2017


  • 今年10月15日、ドイツ潜水艦U-35がノルウェー沖で潜航しようとしたところ、x字形の潜航舵が岩礁とぶつかり、損傷が甚大で単独帰港できなくなった。
  • ドイツ国防軍広報官ヨハネス・ドゥムレセ大佐 Capt. Johannes Dumrese はドイツ国内誌でU-35事故で異例の結果が生まれたと語っている。
  • 紙の上ではドイツ海軍に高性能大気非依存型推進式212A型潜水艦6隻が在籍し、各艦は二週間以上超静粛潜航を継続できることになっている。
  • だがドイツ海軍に作戦投入可能な潜水艦が一隻もない。
  • Uボートの大量投入による潜水艦作戦を初めて実用化したのがドイツ海軍で、連合国を二回の大戦で苦しめた。今日のUボート部隊はバルト海の防衛任務が主で規模もに小さい。212A型は水素燃料電池で二週間潜航でき、ディーゼル艦の数日間から飛躍的に伸びた。理論上はドイツ潜水艦はステルス短距離制海任務や情報収集に最適な装備で、コストは米原子力潜水艦の四分の一程度だ。
  • ただし、同型初号艦U-31は2014年から稼働不能のままで修理は2017年12月に完了予定だが再配備に公試数か月が必要だ。
  • U-32は2017年7月にノルウェー回航中にバッテリーが使えなくなった。修理用船台が空かず、U-34が次の順番を待つ中で修理のめどがつかない。
  • U-33は2018年2月まで整備中でその後公試に三四か月かかる。U-35の姉妹艦U-36は2017年10月に就役し、作戦投入可能は2018年5月だ。
  • なぜここまで時間がかかるのか。冷戦終結後のドイツ海軍は経費節減策で予備部品の大量保管を放棄し、部品は都度調達するか、非稼働中の艦から取り外してきた。遅延が重なる結果がここから生まれている。
  • ドイツ国防次官ハンス-ペーター・バルテルス Hans-Peter Bartels は以下発言している。「海軍には大変な災難だ。Uボートは最強戦力手段なのに数か月にわたり一隻も稼働できない状況ははじめて」で潜水艦乗員が運用経験が得られない。
  • 2018年なかごろに三隻が作戦投入可能となり、その後11月に4隻目が加わる予定だ。ただし6隻が稼働可能になっても全艦投入できない。バルテルスによれば訓練を積んだ乗員は三隻分しかない。
  • ドイツ国防軍は2011年から完全志願制に移行し、人員確保に苦労しており、若年層に魅力的に見えるようにフレックス勤務、居住環境の改善や育児施設まで充実してきた。女性隊員がUボート勤務できるとまで宣伝していたが、現状ではその活躍の場はない。
  • U-35とU-36は212A型でも最新設計だがダーシュピーゲルが最初の就航時に半ば悲喜劇ともいえる事態が発生していたとすっぱ抜いた。
  • 建造業者ティッセンクルップが212A型初期の建造で契約問題を引き起こしドイツ海軍は不満を感じている。U-35では海上公試でスクリューが「奇妙な...擦れて削るような音」を立てたのは中央線がずれていたためで、音響静粛性が台無しになった。初回の任務投入ではレーダーが連続故障し、業を煮やし民生用レーダーを取り外してきたほどだ。母港では25トンのクレーンで通信用マストがつぶれた。海上でカリスト通信ブイが繰り返し使用不能となった
  • U-36は2015年就役したが実際は部品多数を一時的に取り付けたで内輪では「臓器提供艦」と呼ばれるのは部品多数をU-35に提供しているからだ。
  • 低稼働率は国防軍の他部門でも悩みだ。ドイツ陸軍のレオパルド2戦車244両で戦闘投入可能なのは96両だけで89両は部品待ち、7両はR&Dに投入中、53両は整備改修が必要な状況だ。A400M輸送機は14機あるが一機も稼働できない状況が発生したこともあり、2017年2月には国防相ウルスラ・フォン・デアレイエン Ursula von der Leyenの搭乗中に故障している。トーネード攻撃機93機中で戦闘投入可能なのは30機しかないと2015年に暴露されている。
  • ドゥムレセ、バルテルス両名は報道陣に予備部品をその都度確保する方針は段階的に解消すると述べている。ティッセンクルップへの新規保守管理契約で予備部品供給の「成熟化」に「数年」かけてU-35やU-36の間違いを繰り返さないという。フォン・デアレイエン国防相も国防装備の即応体制の向上は2014年以来の優先事項と言うが、あきらかに改善は待ったなしだ。
  • ドイツが冷戦終結後に国防予算の比重を減らしたのは第二次大戦のナチドイツ時代の苦い記憶のためだろう。しかし、今や莫大な富を享受できる地位についたドイツはヨーロッパ連合で大きな地位を占め、モスクワが東ヨーロッパに軍事力を使いかねない状況ではヨーロッパ防衛貢献を一層求められている。そのドイツには軍事力拡大の前に予備部品や人員面の拡充が必要であり、航空機、艦船、装甲戦闘車量といった装備品の多数を戦闘投入な状態に維持する必要がある。■

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.

Image: A submarine at the German shipyard Howaldtswerke-Deutsche Werft GmbH in Kiel. Reuters/Fabian Bimmer.

ボーイング謎の機体の正体を推定する(19日発表が待ちきれず)

Could "Phantom Swift" Be The Aircraft Boeing

Defense Is Set To Reveal Next Week?


ボーイングディフェンスが発表しようとしているのは「ファントムスイフト」なのか

BOEING RENDERING
BY TYLER ROGOWAYDECEMBER 15, 2017

  • ボーイング・ディフェンスがツイッターに思わせぶりに黒布で覆った謎の機体を公開し関心を集めて憶測が飛んでいるが、ここにきてあまり聞きなれない「ファントムスイフト」の名前が浮上してきた。垂直離着陸機(VTOL)の研究開発プロジェクトだ。


Robust? Check
Ready? Check
Changing future air power? Check it out!
See the reveal 12/19! #PhantomWorks

  • ファントムスイフトとはボーイングのファントムワークスの事業で国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)向けのVTOL Xプレーンだ。
  • 2013年にボーイングが以下説明していた。
  • 国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)の高速飛行が可能で効率よくホバリングしながら大量の貨物を運搬可能な垂直離着陸機の求めに応じて迅速試作技術 rapid prototypingによりボーイングのファントムワークス技術者がフィラデルフィアで飛行可能な縮小モデルを設計製作し、ファントムスイフトと命名しボーイングからのDARPAの要求するXプレーンに提案します
  • 設計案を見ると大型ファン二基が機体に埋め込まれ垂直揚力を得ており、翼端の回転式ファンでホバリング中の機体安定ならびに前方方向の推力を得ている。ジェネラルエレクトリックCT7-8タービン一基ないし二基で各ファンを電動駆動させるらしい。ただし初期試作機は完全なハイブリッド電動駆動方式ではなかった可能性がある。ボーイングはこの方式で通常のヘリコプターより高効率を実現し、DARPA想定の300ノット超の速度と貨物4千ポンドを運ぶ性能を実現するという。完全サイズのファントムスイフトはスーパーキングエアと同じ寸法だという。
  • ボーイングはDARPA選定前から同機開発を政府資金でおこなっており、この構想がオーロラフライトサイエンシズの流麗なライトニングストライク(写真下)になった。同社が実寸大試作機の製造に取り組んだことで以下の記事を筆者は書いている。

  • 「VTOLのXプレーン構想の背後にあるのは製造やミッション投入ではなく新技術のパッケージをはやく熟成させながらリスク低減が目的だろう。技術内容は拡大縮小し可能とのことで、大型機、小型無人機に投入できる。ライトニングストライクの軍用民生用の応用範囲は高速飛行しながらどこにでも離発着できるので大きいだろう」

(ボーイング発表の縮小モデルの映像は下を見てください。)
  • ボーイングはそのオーロラフライトサイエンシズを10月に買収したばかりでオーロラは実寸大のライトニングストライク機をXV-24Aとして製造中だ。だがファントムスイフトが仮にDARPAのXプレーン競合に敗れてもボーイングは自社資金で別途開発を続けるのではないか。
  • ボーイングはX-45CファントムレイUCAVの事例で同じことをしている。その他回転翼内VTOL機でガス電気ハイブリッド推進方式が今後有望な技術といわれており、開発中の機体が画期的な設計になっており、早期に市場の主流を確保すべく各種のコンセプトのリスク低減を図るのではないか。またコンセプトの比較検証も目的だろう。

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Interesting conversation over on our new Boeing Phantom Works aircraft unveil tease post. Got me thinking, could this thing be a full-scale Phantom Swift? Haven't heard much about this thing lately. Pretty exciting if so! Looks pretty close. http://www.thedrive.com/the-war-zone/16984/boeing-defense-teases-mystery-aircraft-unveiling-by-hiding-it-under-a-black-sheet …10:20 AM - Dec 16, 2017
  • 上のツイッター投稿写真で判るようにファントムスイフトの最新版が今回ボーイングが黒布で隠した機体に似ている。機体上部の空気取り入れ口を閉じれば胴体はそっくりで、V字形尾翼もそうだ。同社発表の映像では主翼部分は全くうかがえないが頑健な降着装備はVTOL機として必要なのだろう。
  • 実寸大のファントムスイフトの活躍場面はほぼ無限といってよい。DoDはすでに大金を投入しこの技術を洋上、陸上ともに応用を目指している。
  • だからといってこれがボーイングが発表しようとしている機体と同一であると言いたいのではない。結局全く違う形のコンセプトなのかもしれない。海軍の求めるCBARS無人給油機の可能性もあり、あるいは全く違う可能性もある。
  • ボーイングが自社資金で実寸大のファントムスイフトを開発しながらオーロラフライトサイエンシズを買収したのなら同社は従来型の大型回転翼を使わない形のVTOL機の姿を模索し、従来の制約条件から自由な形の飛行を示そうとしているのか。

ボーイングは謎の機体を12月19日公表する。

Contact the author: Tyler@thedrive.com

中国の戦略機材となりそうなY-20改装空中給油機の動向に注意


‘Chubby Girl’s’ sister to boost China’s military capability

「太っちょ娘」の姉妹が中国軍の戦力を増強させる

A refueling version of the Y-20 cargo plane will extend

the reach of PLAAF aircraft and pierce the Pacific's

Second Island Chain to threaten US allies

Y-20を元に空中給油機が出現すればPLAAF機材の行動範囲が広がり、
第二列島線まで突破されれば米、同盟国に脅威となる

The Chinese military is developing an aerial-refueling version of its  Y-20. Photo: PLAAF
中国空軍はY-20の給油機型を開発中だ。Photo: PLAAF
By ASIA TIMES STAFF DECEMBER 14, 2017 6:20 PM (UTC+8)
  • 今週初めの「島しょ周回警戒飛行」を台湾対象に戦闘機、爆撃機、偵察機で実施した中国は改めて空中給油機拡充の必要性を痛感した。
  • 人民解放軍空軍(PLAAF)は西太平洋で訓練を増やしており、空中給油が課題だ。
  • 人民日報はPLA北部方面司令部が行う演習で空中給油訓練を重視していると伝えている。しかしこのために中国は給油機そのものを増やす必要がある。
  • PLA海軍将官から軍事評論家になったYin Zhuoは国営CCTVでH-6Kバジャー爆撃機編隊は空中給油があれば第二列島線突破は容易になると指摘している。
  • これは太平洋で中国を戦略的に抑え込む線のことで、小笠原諸島から米領マリアナ諸島までを結ぶものだ。

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エアショーで飛行展示した. Photo: PLAAF
  • Yinの発言から新型輸送機Y-20の改装型が給油機として配備されるとの見方が一気に広まった。Y-20は2013年に貨物機運用がはじまり、「丸ぽちゃ娘」の愛称がつく。
  • 給油機に改装されれば12機残る1950年代製のH-6U給油機の後継機となる。H-6Uでは長距離作戦機の支援に力不足なのだ。
  • 「第一列島線以内と台湾東部で航空優勢を確保していたとして、Y-20による空中給油があればH-6K爆撃機は長距離ミサイルを運用で米国とその仲間の軍は第二列島線以東のアラスカやハワイでも作戦が安全でなくなる」との米太平洋艦隊情報将校の経験があるディビッド・バーの発言をNational Interestが紹介している。
  • Y-20は国営の中国航空宇宙工業が開発し、大型の胴体があるため「太っちょ娘」の愛称がついた。高翼構造で頑丈な降着装置がつく。

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Y-20’の大きさを車両と比較してほしい。Photo: PLAAF
  • 同機の最大離陸重量は242トンでエンジンはD-30KP-2を四基搭載する。給油機にしたばあは燃料110トン搭載でき、J-10戦闘機20機分に相当するとYinが解説していた。

A photo dispatched by the PLAAF shows an H-6K bomber above the Taiwan Strait. Photo: PLA
台湾海峡上空を飛行するH-6K爆撃機  Photo: PLAAF

  • さらにPLAAFはこれまでもH-6K爆撃機の訓練で空中給油も取り上げていた。■


2017年12月16日土曜日

ドイツ制服組はF-35に期待し、国防省はヨーロッパ製品第一を掲げる

ヨーロッパが自信をつけすぎたのか、米国が信用を無くしているのかわかりませんが、
空軍将官の見方と官僚の価値観がことなっているということでしょうか。
EUの頭でっかちな官僚主義(EU指令)を思い起こすものもありますね。
末尾で出てくるB61核爆弾はNATOが共同運用することになっている核抑止力ですね。
実際には米国が運用のカギを握っており、ここも考えると米製装備が圧倒的に有利なはず
なのですが。

U.S. still sees prospects for German fighter jet sales 

ドイツ次期戦闘機選定に期待する米側の思惑

Tornado - RIAT 2009 (3794714860)
By Tim Felce (Airwolfhound) (Tornado – RIAT 2009) [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons
http://alert5.com/2017/12/15/americans-still-believe-theres-a-chance-to-replace-german-tornados-with-u-s-fighters/#KZILdzB5XmbT2YHy.99 で詳細を読む

BERLIN, Dec 14 (Reuters) -
  • ドイツ国防省がトーネード(85機)の後継機種にユーロファイター・タイフーンを検討と発表したが米軍関係者は米戦闘機売却の可能性に依然として期待する。
  • 国防省は12月11日に空軍参謀総長カール・ミュルナー中将Air Force Chief of Staff Lieutenant General Karl Muellnerの談話から距離を置いた。参謀総長はステルス性能、長距離攻撃能力からロッキード・マーティンF-35が望ましいと以前発言していた。
  • 同省は参謀総長の見解に合意せず、第一義的にヨーロッパ製装備を検討し、米製戦闘機三機種は二次的な選択肢に過ぎないとした。また総合的な判断で決定すると述べた。
  • ワシントンは来年3月31日までにドイツが発出したF-35、並びにボーイングのF-15、F/A-18E/F各機の情報開示請求への回答を迫られる。なお、ドイツはユーロファイターへも同様の請求をしている。
  • 同省はトーネード後継機候補の評価結果を伝えるとも述べている。トーネードは2030年ごろ退役予定で、「2020年代の調達を前提で提案を募りたい」としている。
  • 米軍関係者の一人は選定手続きは実質上もう始まっていると見ている。「米国は米国製装備が十分競争力ある対象だと自信を持っている」という。
  • 米国法体系により米政府は海外における選定競合では米国製品をすべて平等に扱う義務がある。
  • ロッキードはドイツ国内でロビー活動を大々的に展開しており、F-35シミュレーター体験を国防省関係者や議会関係者にさせているほか、ドイツ空軍の要求内容に同社製品は十分応える「実証済み性能」があると述べている。
  • 同社はまたベルリン上空を飛ぶF-35の合成大判写真を展示している。「当社は開かれて公平な競争を期待します」と同社広報は述べている。「F-35がNATO空軍力に最適の選択であり信頼できる抑止力効果を将来にも実現する」と見ている。ボーイングからはコメントは出ていない。
  • 米政府はドイツ側にボーイング各機の戦闘能力を先月開示し、ロッキード製品については7月に先行実施していた。
  • ドイツでユーロファイターの代理店となるエアバスは書簡についてコメントを拒否している。
  • ユーロファイター事業は英国もBAEシステムズが、イタリアはレオナルドを通じて参加しており、ドイツ軍に機体の更なる開発でどこまで能力を増強できるかの情報を提示済みだという。
  • ドイツがNATO貢献で重視するのがドイツ西方の基地に厳重保管中の米核兵器B61爆弾の運用能力だ。
  • ユーロファイターでは核爆弾運用に改装と運用証明が必要となり、ワシントンが素直に首を振るとは思えない。F-15はすでに証明取得済みで、F-35は2020年代初頭にこの能力を獲得する見込みだ。■



米陸軍の新型ストライカー戦闘車両は火砲強化でロシアに対抗する

当方陸上装備には疎いのですが、エイブラムズ主力戦車、ブラドレー戦闘車両、
ストライカー歩兵戦闘車と言うのが米陸軍の現行主力装備と言う理解で
いいのでしょうかね。ロシアの存在がヨーロッパに暗い影を落とす中で米陸軍も大変
ですね。イラク等で鍛えられた車両がさらに重装備にして行けば相当の戦力になりそう
です。

New upgunned Strykers arrive in Germany


火力強化型ストライカーがドイツに到着


火砲強化型ストライカーの30mm機関砲は包装されたまま第二騎兵連隊に
2017年12月13日に到着した
MARTIN EGNASH/STARS AND STRIPES

By MARTIN EGNASH | STARS AND STRIPESPublished: December 15, 2017

VILSECK, Germany — 米陸軍第二騎兵連隊にクリスマスが早くや
ってきた。火砲強化型ストライカーの第一陣が今週到着し、
主砲の包装はついたままだ。

  • 同連隊は強化型の装甲歩兵戦闘車両をヨーロッパで先駆けて受領した。ジェネラルダイナミクス製の8輪走行ストライカーには30mm自動機関砲が搭載され、これまでのM2 50口径機関銃から火力が大幅強化された
  • ストライカー強化型開発が決まったのは2015年でロシアがウクライナ介入をうけてのことだった。分析をはじめると機関銃搭載のストライカーではロシアのBMP-3軌道歩兵戦闘車両の100mm低速機関砲やBTR-82車輪走行式輸送車両の30mm自動機関砲や120mm迫撃砲に対抗できないことがわかった。

第二騎兵連隊向けのストライカー火力増強型の二両。
Vilseck, Germany, Wednesday, Dec. 13, 2017.
MARTIN EGNASH/STARS AND STRIPES

  • 新型30mm機関砲を搭載した「ドラグーン」ストライカー車両は装甲貫徹型高性能空中破裂弾を発射可能。有効射程は機関銃から倍増し騎兵連隊は精密度と威力を増やす。
  • 「ヨーロッパでの脅威は機械化部隊です」と騎兵第二連隊指揮官パトリック・エリス大佐 Col. Patrick Ellisが述べる。「BMPに遭遇すればこちらの威力がものをいいます」
  • ストライカー戦闘車への批判に火力不足がある。新型ストライカーで火力は増加したとはいえ戦車並みの破壊力はないが、30mm機関砲で装甲戦闘車や軽戦車への攻撃力は大幅に増えたと言える。
  • ストライカーの主任務は歩兵部隊輸送であることは変わりなく、9名までの隊員を戦場に移動させる。もともと敵装甲車両との直接対決は意図しておらず、歩兵部隊の携行する対戦車兵器を活用する構想だ。「敵戦車を追うのが任務でなければ配備の意味がない。こちらの利点は機動力で歩兵部隊を迅速に送り届けることにあります」とエリス大佐は解説してくれた。■

egnash.martin@stripes.com

@Marty_Stripes

Su-57に高優先順位を置けないロシア空軍の実情

 


  • Russia's New Su-57 Stealth Fighter Has A Big Problem That Won't Be Fixed Until 2025 ロシアのSu-57ステルス戦闘機の問題解決は2025年以降に

December 13, 2017


  • ロシアがスホイSu-57PAK-FA第五世代戦闘機に新世代サトゥルン製イズデリエ30エンジンを搭載してテストを開始した。今後数年間続く。一方でロシアは暫定的にサトゥルンAL-41F1アフターバーナー付きターボファン(推力32,500lbs)を搭載し運用テストも行う。
  • サトゥルン製イズデリエ30エンジンの詳細は不明だが通常24,054lbs、アフターバーナーで39,566lbsとの予想がある。ただし供用開始は2025年ごろになる。ロシア空軍はSu-57を160機程度調達する予定で、新型エンジン搭載をもくろむ。
  • 現時点では12機のみ購入し、納入は2019年予想だ。初期型のSu-57の調達規模は60機未満だろう。
  • Su-57初期型にロシアが前向きでないのは搭載エンジンAL-41F1が原因だ。同エンジンはSu-35Sフランカー-Eにも搭載されている。
  • ステルス性能を除けば、最新型フランカーでSu-57とほぼ同じ性能が実現している。そうなるとロシアがごくわずかしか性能が上がらない機体に大金を払いたくない気持ちがわかる。
  • Su-35S制空戦闘機やSu-34フルバック爆撃機を導入中のロシアがSu-57を大量導入するとしたら2027年以降だろう。
  • 「Su-57の本格生産は新エンジン換装がないと始まらず、それは2027年以降だ」「今後8年間でロシアはテスト用に小数機を導入するでしょう」とドミトリ・ゴレンブルグDmitry Gorenburg(Center for Naval Analys主任研究員)が‘PONARS Policy Memoに書いている。
  • 生産は続いても、ロシア空軍は他機種に重点を置くだろう。
  • 「新鋭戦闘機が多数ある中で同機調達を減速し他機種導入を優先するはず」とゴレンブルグも述べる。「同様なことは軍用ヘリコプターにもあてはまり、ロシア軍向け新型高速ヘリの開発は2027年すぎないと始まらないだろう」
  • 今後のロシア空軍は大型輸送機、情報収集偵察監視機など支援機材に重点を置きそうだ。さらにロシアは空中給油能力不足を常に抱えている。■

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.

Image Credit: Creative Commons.

2017年12月15日金曜日

新型スタンドオフ対艦ミサイルLRASM試射に成功


  • 今月に入り一般ニュースでも出てきたJASSM-ER(ジャサマと発音するのでは)の派生型巡航ミサイルの話題ですね。Jointというのが日本人に今一理解されていなかったのですが、今回米空軍が海軍のミサイルを発射した事実が中身をよく説明しているのではないでしょうか。


B-1 Bombers Attacked “Multiple Moving Maritime

Targets” in Test of New Missile 

B-1爆撃機発射で新型ミサイルが「複数移動海上目標」

攻撃に成功


December 14, 2017


12月8日、米海軍がロッキード・マーティンの新型AGM-
158C長距離ステルス対艦巡航ミサイルLong Range Anti-Ship
MissilesLRASM)を米空軍B-1Bランサー超音速戦略爆撃機
からの発射にカリフォーニア州沖合のポイントマグ海上
試射場で成功した。巡航ミサイル複数は「移動海上標的
複数」に初めて命中したと海軍が発表。

「テスト成功で対艦攻撃力整備の早期達成に官民合同で
成功した」と海軍航空システムズ本部(NAVAIR)でLRASM
を主管するトッド・フーバー大佐Capt.Todd Huberが声明を
発表している。.
 この事は海軍が新兵器の配備に一歩近づいたことを意味する。LRASMの供用開始で柔軟に長距離で高度の対艦
撃能力が実現する。
「公海領域への軍事アクセス作戦展開を確実にし、沿海
域でも同様に遠距からで敵艦船を撃破する能力が実現す
る」とNAVAIRは説明。
 LRASMは原型がAGM-158B共用空対地スタンドオフミサイ
ル-射程拡大版 (JASSM-ER) 巡航ステルスミサイルで、国
防高等研究プロジェクト庁(DARPA)が海軍の要望に応え
開発したものだ。海軍はLRASMを対艦戦能力向上策第一
段階の実現手段として配備する計画だ。
 さらに第二段階での対艦ミサイルが想定されており、
LRASMの後継装備が2024年に供用開始される。LRASM自体
もこの競合に加わり、AGM-158Cは潜水艦発射も可能とな
る。
 一方で海軍はLRASMの艦隊導入を急いでおり、来年に
開始となる見込みだ。「LRASMの初期作戦能力展開は
2018年まず米空軍B-1で、2019年に米海軍F/A-18E/Fスーパー
ーネットで実現する」とNAVAIRは説明している。
 米海軍にとって中国海軍の脅威は現実なのでLRASM
用開始はうれしいニュースになる。■

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.