2020年1月14日火曜日

中国潜水艦はこうやって狩られる:P-8Aの役割は大きい




P-8ポセイドンが重要な機材であることがわかります。▶中国には目の上のたんこぶの様な存在でしょうか。中国としては早期に排除したい機体でしょう。▶航行の自由作戦の継続で、中国が偶発的にこうした機体を「誤って」撃墜する事態が来ないとも限りません。▶では我が道をゆく日本のP-1の性能はどうなのでしょうか。P-8Aと決定的に違うとは思いませんが、情報の共有のほうが重要なのでは。▶皆さんはどう思いますか。

国の核搭載弾道ミサイル潜水艦の活動範囲が広がっている。JL-2ミサイルは米国の一部を射程に収めると言われ、米海軍はその対応策として攻撃型潜水艦の建造強化、長距離無人機の配備、さらに対潜哨戒機P-8Aポセイドンの取得を続けている。
なかでもポセイドンの増強を加速化している。2020年度予算で海軍はポセイドン9機の調達を目指す。ボーイングには昨年24億ドル契約を交付しており19機の追加生産も決まっている。ポセイドン増強は太平洋戦域で航行の自由ミッションを平和裏にすすめる意図につながる。
太平洋の広大な地理条件に呼応しつつ中国潜水艦部隊の拡充に対抗すべく、海軍は議会に働きかけヴァージニア級潜水艦の建造ペースを高めようとしており、トライトン海上哨戒無人機もグアムへ配備された。
監視飛行にはポセイドン、RQ-4グローバルホーク、U-2ドラゴンレイディを投入している。
このうちポセイドンにはハイテク監視偵察任務が想定され、南シナ海に中国が造成した人工島の映像が数年前に公開されたことは記憶に新しい。さらに高性能センサー類、ソノブイ、兵装の搭載が中国を封じ込める戦略の一部になっていることは想像に難くない。中国の核搭載弾道ミサイル潜水艦(SSBN)部隊への抑止力なのだ。
PLA海軍は太平洋の外にまで活動範囲を広げている。中国のSSBNsが西太平洋沿岸から遠く離れた地点で確認される事例が増えている。JL-2に加え新しくJL-3ミサイルが登場し、米国に圧力をかけている。国家航空宇宙情報センターによれば中国は2017年時点でJL-2を48基潜水艦に搭載していた。JL-2の射程は4,500マイル超で米国にも脅威となる。
2018年、米太平洋艦隊で情報部長を務めたジェイムズ・ファンネル大佐は議会で中国の核ミサイル潜水艦の追尾及び抑止を訴えた。
「PLA海軍のSSBNが核パトロールに出動する度に、米海軍が追尾し核ICBMを我が国に発射する前に撃沈する準備をしておく必要がある」(ファンネル)
SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を発射してからの迎撃が困難なことから、より賢明な対応策は「中国SSBNがSLBMを発射する前にこれを撃破すること」という結論が出る。
ポセイドンはSSN攻撃型潜水艦と協調しながらのSSBN狩りに最適な機材のようだ。P-8の移動速度時速564マイルはP-3オライオンより相当高いが、燃料タンク6基の追加でポセイドンは広大な海洋上を移動し、脅威対象を捜索できる。海軍によればポセイドンは連続10時間の哨戒飛行が可能で1,200カイリを対象にできるという。長時間飛行に高速移動が加わったポセイドンは中国SSBNを広大な海域で見つけ出す機能で優れている。
P-8Aはボーイング737-800の海軍仕様で、魚雷やハープーンを搭載し、ソノブイ129個の他、空中給油で長距離飛行が可能だ。大深度まで潜水艦を探索し、各種攻撃手段が利用できる。高高度からソノブイを運用するP-8は敵の水上攻撃や小舟艇の集中攻撃から安全に運用できる。その他のISR機材や無人機と異なり、ポセイドンは敵潜水艦の探知にとどまらず、攻撃撃破まで可能だ。
AN/APY-10探査レーダー、MXシリーズ電子光学赤外線カメラで水面を探査する以外にソノブイをパラシュート投下し潜航中の敵艦を各種深度で捕捉できる。また対潜作戦に加わる各種装備のネットワークで「中継点」となり水上艦、無人水上艦艇、無人機の海上探査センサー、潜水艦を結ぶ。相互に接続した対潜ミッションの実際でポセイドンはアクティブ電子スキャンアレイ、合成開口レーダー、地上移動標的捕捉機能をフル活用する。
また水中聴音機、磁気コンパスを使い、情報を水上の発信機と有線で結べばポセイドンのソノブイは海中の音響エナジーを無線信号に変換し機内でコンピュータ処理にかける。
またソノブイは米海軍が整備した水中聴音機ネットワークにも有効活用される。中国北部からフィリン、さらにインドネシアにまで連続設置されているという。ポセイドンの対潜哨戒機能でこの「水中防衛ライン」の実効性があがり、中国SSBNsは探知されずに移動できなくなる。
ポセイドンがペンタゴンの核抑止力一助になっていることは興味深い。またペンタゴンが採る「攻撃力が最高の防衛手段」の思想にも合致し、核の三本柱抑止戦略に適応する。SSBNsの行動が制約されれば、中国は潜水艦発射ミサイルによる核攻撃が容易にできなくなる。その意味でポセイドンは水中、空中の核抑止力を結ぶ存在だ。ポセイドンは中国SSBNsを追尾する米水上艦、潜水艦に重要情報を提供する一方、核抑止力を強化する役割も果たしている。■


この記事は以下を参考に作成しました。

This Is How the U.S. Navy Hunts Nuclear-Armed Chinese Submarines

From the sky!
January 10, 2020  Topic: Security  Region: Pacific  Blog Brand: The Buzz  Tags: Anti-Submarine WarfareSSBNP-8 PoseidonPLA NavyJL-2


2020年1月13日月曜日

英空母の米国貸し出し構想は実現可能なのか

国防予算の先細り傾向が続けば、当然ながら新しい運用方法をひねり出す必要があります。仏独やNATOで高価な装備の共有が現実に始まっており、超大国以外の「普通の」一国で全て保有し運用することに限界が生まれつつあるのかもしれません。▶以前、ディーゼル電気推進方式攻撃型潜水艦を日米共同運用する構想を考えたことがありますが、空母で艦の貸し借りは可能でしょうか▶そもそも英国が空母二隻を建造してしまったことで全体戦力構造にしわ寄せが生まれている気がするのですが。▶また強襲揚陸艦がこれからの「空母」の標準になりそうですね。日本ではいずも級は「習作」の位置づけになると見ていますが、そうなると次の「本格的」空母に期待が集まりそうです。


国で空母一隻を米国にリースする案が検討に入ったと英メディアが伝えている。
かつては空母運用で世界をリードしていた英国だが、2016年以来空母がない状態になっていた。だがHMSクイーン・エリザベスが就役し、2021年に戦力化され、HMSプリンスオブウェールズも加わる。80億ドルを投じた各艦は最大36機のF-35Bを搭載可能で排水量は65千トンと米国最新鋭のフォード級原子力空母の100千トンに及ばないが、自動化が進んでいる。英国空母の乗組員は800名ほどでフォード級の2千600名より少ない。ただしここには航空部隊要員は含まない。
英海軍は新型空母を米空母部隊に統合しようと懸命になっている。「英米混合空母打撃群の運用構想は実証済み」と海軍幕僚長トニー・ラダキン大将がHMSクイーン・エリザベスの米東海岸来訪時に語っている。「構想を進めて、部隊の交換運用まで持っていきたい」
だが装備が異なるだけでなく、運用方針や伝統も異なる米海軍で英国空母は運用可能なのか。「米海軍で他国海軍から戦闘艦艇をリース運用した実績があるか。補給維持活動がまったく違う国同士だと艦艇の維持だけで課題だ」と話すのはシンクタンクRAND Corp.の海軍専門家ブラッドレイ・マーティンだ。「空母運用の支援・維持は米英で共通でも、艦艇は別だ。乗組員の配置そのものがちがう。米国のNCA(国家統帥権)で英国民に下令し危険な状況に対応させられるだろうか。リース案は実現するとは思えないし、米乗組員が英艦を運用するのも大変だ」
「米海軍の視点ではこの構想はまともに見えない」とワシントンに本拠を置くシンクタンク戦略予算評価センターの海軍専門家ブライアン・クラークは述べる。「米国には大型空母10隻以外に10隻の空母つまりLHA、LHD強襲揚陸艦がある。後者はクィーンエリザベス級よりわずかに小さい。米海軍ではLHA/LHDを対テロ作戦で中東投入が増えており、大型CVN(原子力空母)の負担を減らしつつF-35Bに対応させている。ただ米海軍では艦艇の維持費が課題で、別の艦をリースしてまで使える予算を減らす選択は考えにくい」
リースすれば英海軍に運用可能な空母がなくなる。「当初は英海軍は空母一隻を常時運用し、乗組員も一組で艦を交代する構想だった。一隻が補修に入ればもう一隻を配置し乗組員がやってくるはずだった。この方法では空母二隻分の運用維持経費は節約できないものの人員面で節減効果が生まれる。英海軍では人件費が大きな負担項目となっている。そこで空母を米海軍に貸し出せば、経費を賄う収入が生まれるものの英海軍の空母運用構想は実施不可能となり、運用可能な空母がない状態が一年続く状況が生まれる」(クラーク)
英米で艦艇貸し出しに前例がある。第二次大戦中に英国はレンド・リース方式で多額の援助をうけ、その中には米駆逐艦50隻の英海軍への貸与もあり、見返りに英海外領土に米海軍基地が設けられた。駆逐艦は旧式でナチUボート対応には非力だったが、単独でヒトラーに対抗していた1940年の英国には救いの神に写っただろう。
クラークは英空母に米海軍・海兵隊の機材・乗員が乗り込む方式を想定した。「英海軍は運用人員を削減し、米側も自国艦艇の整備中でも人員を有効活用し相互運用能力が向上する効果も期待できる」という。
マーティンも英空母リース案に一定のメリットはあるものの、そんなに大きなメリットではないという。「米側から見れば英空母の性能はCVNより劣るが、シナリオによっては有効活用できるだろう。たしかにリースのほうが新規建造より安価だ。だがそのまま実施が継続できるとは思えない」■


この記事は以下を参考に作成しました。

America Needs More Aircraft Carriers, And Britain's Royal Navy Has An Idea

Is leasing an option?

米空軍に第6世代戦闘機開発は財政的に無理なのか、F-35がF-22の代役になる?

米空軍の第6世代戦闘機は実現の可能性が遠のいているのではないか。であればこれから開発しようとする日本の事業に米国が多大な関心を寄せてくるのは必至だろう。
 いよいよ2020年代に突入し、将来予測は2030年代が中心になってきました。米空軍に第6世代機PCAを開発できないのであれば、日本が進めるNGF(F-3)の実現性が極めて重要になります。考えられるのは米国がNGF開発に協力する形を取りながら相当の注文を出してくることでしょうか。しかし本当に必要な機材を米国が開発できなくなる事態が本当にやってくるのか、疑問も残りますね。F-35だけでは西側の防衛体制には相当の欠陥が生まれるのではないでしょうか。

F-22ラプター後継機が2030年代の米空軍予算を食いつぶすと議会予算室(CBO)が指摘している。
空軍は新規機材調達に1980年から2018年までの各年に平均120億ドルを使ってきた。だがF-22を2030年代に更改すると年間230億ドルになると2018年12月のCBO報告書が結論している。
「必要とされる規模に比べ現行の空軍規模はあまりにも小さい」とヘザー・ウィルソン空軍長官(当時)が2018年9月に発言していた。米空軍が飛行隊数を現行312から386に増やすと新規機材調達経費は増加の一方だ。拡張案では戦闘機飛行隊を7個新規編成し、合計62隊になる。
CBO報告が空軍に一つの方向性を示した。F-22後継機としてF-35追加調達したほうが新型機の開発より予算が節約できるというのだ。
空軍の新規機材調達が最大規模になったのは1986年で290億ドルだったが、当時はソ連との欧州対決をまだ想定していた。
1991年にソ連崩壊で冷戦が終結すると米国防予算は急減した。1995年に空軍の機材調達予算が50億ドルになった。その後、予算は増えたが増え方は緩慢だった。2010年から2017年にかけ新規機材調達予算は年平均90億ドルとCBOがまとめている。
1980年代の大盤振る舞いの調達がその後の機材構成に影響を与えている。2018年時点で空軍機材5,500機中、1,500機は機齢26年から35年にで、F-15やF-16が大半だった。
80年代製機材の更新が必要だ。F-35がその更新用なのだが、機体単価は100百万ドル近くで、空軍は年間60機しか調達できず、F-35の1,800機調達目標実現に2040年までかかる。
2030年代になるとラプターの供用期間は40年に入り、F-22後継機含めステルス戦闘機二型式を調達するだけで年間140億ドルが必要となる。さらに輸送機、給油機、爆撃機も必要であり総額230億ドルが必要とCBOは警句を鳴らしている。
そこでF-22後継機にF-35が浮上する。「航空優勢2030フライトプラン」(2016年)では「侵攻型制空」(PCA)能力が必要としていた。言い換えると高性能の空対空戦闘機である。
だが研究では新型機開発を提言していない。F-22の老朽化にはF-35で対応すればよいとCBOが提言する。
PCA機材の位置づけに不明確な点があり、高価格のため、CBOは空軍総予算に影響が出ると分析している。例としてPCAで想定する高性能は高価になりすぎる、かわりにF-35追加調達する決定に至る可能性も残されている。
「F-35Aの推定機体単価は94百万ドルだがPCAは300百万ドルとなる予想で、新規機材調達のピークは2033年でPCAを実現しない場合は200億ドルとなるが、PCAが加わわれば260億ドルに膨らむ」という。
予算節約策で調達機数を減らす選択肢もある。が、これだと現行の作戦機材5,500機規模が維持できなくなる。さらに飛行隊数を増やす空軍方針で必要な機材数が減ることはありえない。■
この記事は以下を参考にしました。

The Air Force Could Soon Be Saying Good Bye To America's Storied F-22

The F-35 is just too good.
by David Axe 
January 11, 2020  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-35MilitaryTechnologyWorld


2020年1月12日日曜日

F-15JSIの登場でF-35Aと性能の補完関係が生まれる・ステルス/非ステルスの混合運用が空軍機材構成の基本となる



本は保有するF-15J戦闘機のうち98機を大幅改修し、「日本向けスーパー迎撃機」(JSI)と呼ぶことになる。米国務省が2019年10月に日本政府要請を受け入れ総額45億ドル事業を認可した。
JSIはロッキード・マーティンF-35共用打撃戦闘機と補完し合う関係となる。米空軍もF-15、F-35の同時運用をめざしている。
両機種の機体単価はそれぞれ100百万ドルほどだが、性能はまったく異なる。
ステルス戦闘機の長所は敵の探知を逃れることのため兵装は機体内部に搭載する。だが機体内燃料搭載量が減る。このため航続距離やペイロードが非ステルス戦闘機より劣る。
非ステルス機はステルス機以上の兵装を搭載することが多い。ここに「極超音速」ミサイルも加わるだろう。
各国で両方の機体を備え均衡の取れた機材構成にするのが望ましいことに気づいている。日本がF-15近代化改修を目指すのもなんら不思議なことではない。
JSI改修は各種新装備として、レイセオンのAN/APG-82(V)1アクティブ電子スキャンアレイレーダー、BAEシステムのAN/ALQ-239デジタル電子戦装備つまり強力なレーダージャマーが中でも目立つ。JSIは新型ミサイルも装備する。
「日本には高性能AAM-4Bがあり、AESAシーカーを搭載しているが日本が米製AIM-120高性能中距離空対空ミサイルの入手も検討しているとの報道がある」とThe War Zoneのジョセフ・トレヴィシックが伝えている。
AIM-120はAAM-4Bより小型で有効射程も短いと言われるが、F-15JSIはミサイルを大量搭載し性能の不足分を補うだろう。
さらに日本はヨーロッパのミサイル事業コンソーシアムMBDAの英国事業部と共用新型空対空ミサイルを開発中だ。同ミサイルはAAM-4Bのシーカー等を流用しつつMBDA開発のラムジェット推進式メテオの性能も取り入れる。
日本はF-35AとF-35Bをそれぞれ105機、42機発注しており、米国、英国に次ぐ第三位のF-35運用国になる。2020年代中頃にはF-35とF-15JSIが日本の戦闘機の中心となる。
「F-15J・JSIは日本のF-35Aをうまく補完し、通常の防空任務をしっかりこなすだろう」「ステルスのJSFも改修型イーグルと同時運用で前方を飛行させ、後方の非ステルス機に標的情報を伝える機能を果たすだろう」(トレヴィシック)
米空軍も同様の相互補完効果をF-15、F-35で期待する。空軍は2020年度に完全新規生産のF-15EXを144機発注し、F-15Cと交代させる。F-35も納入され、最終的に同機は千機を超えるはずだ。
F-15EXは「現行F-15C/Dで確立済みのミッション以外に多数の任務をこなす他に類のない存在になる」とThe War Zone のタイラー・ロゴウェイが解説している。
「たとえば空の兵装トラックとして大型兵器となる極超音速ミサイルや超長距離空対空ミサイルを搭載すること、ステルス無人機多数を統制すること、ネットワーク中継機として第5世代機、第4世代機をつなぐこと等がある」
わずか数年前まで主要各国の空軍部隊では今後は全部ステルス機に移行するとの見方が支配的だった。だが今や混合型編成が普通になりつつある。米国、日本同様にロシア、中国もステルス機少数に加え非ステルス機の性能改修を進めている。■

この記事は以下を参考にしました。

Japan Wants Even More Upgrades for Its Powerful F-15J Fighter

But why?
by David Axe 
January 7, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-15JapanF-15 FighterMilitaryTechnology



シンガポールのF-35B導入へGO、F-35導入国は合計12カ国へ

 

1月9日、米政府はシンガポールによるF-35共用打撃戦闘機の導入を正式承認し、売却が近く成立しそうだ。
シンガポールは昨年、米政府に対しF-35B型4機の導入意向を伝えており、12機までのB型購入予定があるとしていた。
同案件を米国務省が1月9日に承認し、シンガポールは総額27.5億ドルで導入が可能となったと国防安全保証協力庁(DSCA)が伝えている。
今回の売却では機体以外にプラット&ホイットニーF135エンジン13基、数量不詳の電子戦通信装備、訓練器材、自律型補給関連情報システム(ALIS)も含む。
「今回の売却案件は米国の外交政策、国家安全保障の目的に合致し他戦略的に重要な友邦国であり主要な安全保障上の提携国かつ政治面の安定並びに経済成長の進展がアジア太平洋地区で実現することにつながる」とDSCAは声明文を発表している。「F-35売却によりシンガポールの作戦機材は強化され、空対空ならびに空対地の自衛能力が向上する。さらに同国の領土防衛の面で抑止効果が高まり、その他同盟国提携国都の共同作戦にも資する」
シンガポールの購入方式は小規模単位となっている。同国がF-35導入に向かうと現行のロッキード・マーティンF-16C/Dブロック52/52+戦闘機と順次交代していくだろう。F-35発注は今後も増えるはずだ。
▶契約が成立すればシンガポールはF-35導入で12番めの国となり、オーストラリア、ベルギー、デンマーク、イスラエル、イタリア、日本、オランダ、ノルウェー、韓国、英国、米国に続く。F-35開発協力国のカナダは同機導入を決めていない。やはり協力国だったトルコはロシア製S-400防空システム導入を実行したため昨夏に排除されている。■
Mike Yeo in Melbourne, Australia, contributed to this report.
この記事は以下を参考にしています。

Singapore gets the green light to buy F-35s

By: Valerie Insinna 

インドネシアF-16が4機展開するとあわててEEZから退去した中国漁船団の事例から日本は何を学べるか

日本の排他的経済水域には北朝鮮漁船多数が毎日遊弋しており、海上保安庁は放水で退去させようと対応していますが、尖閣沖辺の展開もあり法執行体制が手薄なようです。法の下の支配を理解しようとしない勢力には実力行使が有効と改めて教えてくれる事例ですね。ただし、メンツを重んじる中国からすれば次回はこれまでと異なるアプローチをとってくるはずで、当面インドネシアも目が離せなくなります。とまれ、インドネシアの対応は有効でしたね。

の漁船、沿岸警備艦船が南シナ海南端に位置するインドネシア、ナトゥナ諸島沖の海域から退出した。ジョコ・ウィドド大統領が同地域を1月9日訪問し、国家主権の行使を公言した直後の展開となった。
それに先立ち中国船が同諸島沖合の排他的経済水域からの離脱を拒否するや、インドネシアはF-16戦闘機4機編隊および艦艇4隻を投入した。
インドネシア国軍は中国漁船の動向を監視すべく、派遣中の艦艇をそのまま留める。
ジョコ大統領は現地の艦艇、航空基地を1月8日視察しナトゥナ諸島沖合水域の同国主権は「交渉の余地がない」と述べ、中国が同水域での漁業操業は合法的と主張したことへ対抗していた。
先月インドネシア政府は在インドネシア中国大使を呼びつけ、インドネシアの排他的経済水域で中国漁船65隻の操業を非難した。国連によれば、排他的経済水域はインドネシア沿岸の基準点から200海里となる。
ジョコ大統領には国軍から中国艦船はインドネシア領海には侵入していない旨の報告が入っていた。
中国は同海域は歴史から見て中国の領海とする主張を展開しているが、インドネシアは国連海洋法に鑑みると中国の主張には根拠がないとしている。■
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この記事は以下を参考にしています。

Chinese ships leave disputed waters after Indonesia deploys 4 warships and F-16 fighter jets

WIB SEA January 9, 2020 Staff Writer 0


2020年1月6日月曜日

北朝鮮のEMP攻撃は現実の脅威だ、防衛体制は整備できるか

北朝鮮の動きを見ているとEMP攻撃を想定しているように思えてなりません。全米が影響を受けるのには大規模な高高度核爆発数十発必要でしょうが、日本の場合はどうでしょう。例えば東京の中心部だけを狙ったEMP攻撃なら日本経済は機能不全となります。昨年の台風で停電が一番怖いことは国民も痛い体験をしています。太陽嵐もこわいのですが、ここは電力業界にもEMP対策としての強化策を真剣に実施してこそ国土強靭化が実現するのでは。米国全土で20億ドルなら日本はその数分の一程度でしょう。
本軍の真珠湾奇襲攻撃から78年目になったが、もっと恐ろしい奇襲攻撃の脅威が米本土で現実になりかねないことを忘れがちだ。米本土へのEMP攻撃の脅威の評価委員会は議会EMP委員会として知られ、2004年の時点で「米国を高高度核爆発による電磁パルス(EMP)で攻撃する能力を有する敵性国家があり、能力を整備中の国家もある。攻撃は西側諸国も狙うだろう」と指摘していた。
この十年でEMP攻撃の脅威に党派を超えた警戒意識が生まれた。2010年には民主党が多数を占める下院がGRID法案を賛成多数で通過させている。上院も批准し、20億ドルで全国電力網をEMPならびにスーパー太陽嵐から防御するものだ。2017年には重要インフラ防御法案が両党の圧倒的多数の賛成で成立している。
これだけ多数の議会人の賛同があるのに、フリーランス記者マシュー・ゴールトは2016年にEMPの脅威は非現実的と主張していた。EMP兵器が一度も試験されておらず、本当に専門家が述べるような壊滅的効果があるのか不明とも述べていた。これに対し米国の国防関係者、情報機関関係者のトップの面々さらにEMP委員会が反論した。これについてもNational Interestで「米国人死者数百万人:EMP攻撃への備えはできているか」との表題で以前記事が配信されており、巧妙に仕組まれたEMP攻撃を受ければ国家機能の喪失は十分有り得るとの見解が出ている。
別の記事「国防関連補佐官もEMPを正しく理解せず」で議会EMP委員会の首席補佐であり全国有数の核兵器EMP専門家であるピーター・プライ博士が寄稿しゴールト記者の誤りを論破した。プライは「高高度EMP攻撃は大気圏外で起こり、爆風・高熱・放射性降下物は地上に全く到達しない。EMPのみ到達する。そのためEMPより爆風やその他核兵器の影響のほうが恐ろしいとの記者の言い分はナンセンスだ」と述べていた。
プライ博士は同時に「EMP攻撃に高出力熱核兵器が必要というのは間違っている。EMP委員会ではいかなる核兵器もEMP脅威につながるとし、テロリストが用いる荒削りな装置でも同じだ。最大のEMP効果はスーパーEMP爆弾が生む。低出力ながらガンマ線を発生しこれがEMP効果となる。この場合の爆発規模は小さい。スーパーEMP兵器の出力は非常に低く10KT(キロトン)以下でよい。だがEMP磁界は100–200 KV/meterと25MT(メガトン兵器)の50KV/meterより高い」と説明。
ゴールト記者の最大の誤りは「北朝鮮には核兵器を米国まで飛ばすミサイルがない」と記したことだ。プライ博士は「国防総省の2015年版朝鮮民主人民共和国関連軍事安全保障面での進展報告書では北朝鮮が保有する核搭載の移動型ICBMのKN-08、KN-14での米国攻撃の可能性に触れている」と指摘しており、「EMP委員会、韓国軍事情報部、中国がそれぞれスーパーEMP兵器が北朝鮮に配備済みと警句を発している」とした。
また2017年10月に発表された「北朝鮮による核EMP攻撃の脅威は現実に存在する」の中でEMP委員会委員長ウィリアム・グラハム博士が議会にこんな警告を出していた。「EMP攻撃を北朝鮮衛星が今この瞬間にも行うかもしれない。超強力EMP兵器は比較的小さく軽量で北朝鮮の光明星-3、-4衛星の中に収まる。同衛星は米国上空を周回中だ。南極軌道にあるため米弾道ミサイル早期警戒レーダーや国家ミサイル防衛体制で探知できない」。またプライ博士は北朝鮮が超強力EMP衛星を遠隔起動できる。この形の攻撃だとあらかじめ探知できず、米指導部も誰の犯行か特定できない。ロシア、中国ともに同様の兵器を米国上空の軌道上に配備しているといわれる。
さらにプライ博士はEMP効果について、「高度30キロ以上での核爆発でEMPが発生する」としている。「EMP効果は発生が不安定でテストされたことがない」と言われることに対し、「EMP効果は半世紀にわたり確認されており、サイバー戦より理解度は高い」と述べている。シンガー博士は高性能ICBMでEMP攻撃の実施が想定されるが、EMP委員会は各種手段で実施可能で衛星、中長距離ミサイル、短距離ミサイルを貨物船から発射、巡航ミサイル・対艦ミサイルの利用、民間旅客機の利用、さらに気象観測用気球も考えられる。ICBMを利用する場合だが、精密誘導は必要なく、大気圏再突入の必要もない。
ゴールト記者はこれまでEMP攻撃の実施が皆無なのは核戦争につながる恐れがあるためと記しているが、プライ博士の指摘の通り、ロシア、中国、北朝鮮、さらにイランの軍事指導教義はすべて低出力EMP兵器は核攻撃とみなさずサイバー戦の一部だと明白に解説している。米国や同盟国に対する決定的な勝利を最小限の負担で実現できるとある。となると米国にこうした兵器を投入するしきい値は実はこちらの想定よりずっと低いのかもしれない。
安全保証に詳しいビル・ガーツはワシントンフリービーコン紙に昨年1月「中国、ロシアがスーパーEMP爆弾を開発中で『停電戦』を狙っている」との記事を発表した。「中国、ロシア等が強力な核兵器で超大型電磁パルスを発生させ電子製品全般を数百マイルに及ぶ範囲で使用不可能にしようとしているとの議会調査結果がある」とあり、この調査は「核EMP攻撃のシナリオおよび各種サイバー戦」でEMP委員会がまとめた。「核EMP攻撃はロシア、中国、北朝鮮、イランの軍事方針、演習で既定方針となっており、軍事部隊や民間重要インフラに対する画期的な新型戦としてサイバー、妨害工作と並びEMPが掲げられている」と報告書は述べている。更にガーツはロシアがEMP攻撃を宇宙空間から行う新戦略を採用し、大規模な破壊的効果を与え敵は抵抗できなくなると考えているのだという。
ガーツは「中国あるいはロシアとの大規模戦となれば第一発は宇宙空間でスーパーEMP兵器を起動し米国の核指揮命令系統や核兵器を使用不可能にするだろう」と述べ、「スーパーEMP兵器はすでにロシア、北朝鮮が保有しており、もっとも有効な防御を施した米装備でさえ影響は不可避で米核抑止力も機能維持が危うくなる」とも書いている。さらにガーツは機密解除になったEMP委員会研究内容からロシア原子力ミサイル潜水艦一隻ないし二隻でスーパーEMP兵器による奇襲攻撃に出れば米国の核・非核兵力が使用不能となり電力網への攻撃で大規模停電となる他、ミサイル防衛体制が不能となり、指揮命令センターがダウンし、NORADや核爆撃機基地、核潜水艦基地が被害を受ける。ここまで大規模なEMP攻撃でも事前警告はほぼなく、数分で効果が発生する。スーパーEMPを大気圏外で起動すれば爆発後の痕跡が残らず犯行元を探知されずに米重要インフラを破壊し、米国民数千万人の生命を奪える。同研究ではロシアがNATOを制圧しヨーロッパを占領する際、あるいは中国が台湾の防衛体制を破壊し、米空母戦闘群をノックアウトし、台湾侵攻を実行する際にも投入の可能性があると指摘している。
EMP委員会は別の資料も発表しており、大規模EMP攻撃が米本土を狙った場合、米国人口の9割が一年以内に死に直面するとしている。これは食品流通が崩壊し飢餓が広がり、飢餓から疾病が蔓延するなど悪効果が生まれるためだ。ゴールト記者はこの試算を疑い大げさと一蹴している。だが米国民数千万人を死に追いやる可能性のある危険をゴールト記者が読者に信じてもらいたい「想像の世界だけの存在」のままとしていいのだろうか。
米国に立ちふさがる脅威には全面核戦争からその存在が疑わしい人工気候変動まであるが、EMP攻撃が中でも財政的に対応が一番容易だ。全米の配電網の防御はわずか20億ドルで可能だ。米指導部は核兵器体系を再編し、国家ミサイル防衛を広げ、電力網をEMPの脅威に耐えるよう強化すべきだ。しかも迅速に。これで核ミサイル・EMP攻撃に対する備えができ、そうした攻撃を加えようとする敵への抑止効果も生まれる。米国も独自にスーパーEMP兵器の開発に踏み出すべきで、同様の兵器による米国攻撃を企てる勢力に対する抑止効果を柔軟に生み出すべきだ。■

この記事は以下を参考にしています。

The Threat of EMP Attack is Very Real

This can't be minimized--this is a threat to the American people that must be taken seriously.
December 15, 2019  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: EMPEMP AttackAmericaFaraday CageNuclear Attack


2020年1月5日日曜日

Tu-95近代化改修を続けるロシアの狙いは長距離スタンドオフミサイル攻撃にあり

 B-52とならび長寿のTu-95ですが、比較的最近にも新規製造があった点が異なります。B-52も当初はターボプロップ搭載案があったようですが、ジェットかターボプロップかで比較検討されていたのでしょうね。長距離スタンドオフ攻撃はやっかいな作戦になりそうですが、数千キロというのはロシア流の誇張では。航法衛星や支援装備がなければ無用の長物ですね。
Tu-95はロシア空軍で最古参の機体である。プロペラ反転式ターボプロップエンジンを搭載し、現役爆撃機として世界唯一のプロペラ推進機だ。退役の兆候もなく、ロシア空軍は逆にTu-95MSM近代化改修を実施し性能を向上させている。
ロシア戦略爆撃機部隊の中心がTu-95MSである。空対地ミサイル新型の搭載を狙った同型はこれまでの流れを継承している。ソ連時代から空対地ミサイル実験は1950年代に始まり、Tu-95Kが生まれた。冷戦時もこの流れは続き、Tu-95MSが1981年に登場した。同型はTu-95原型を近代化し、機関銃やレーダーに至るまで当初の装備を廃止した。ねらいは長距離から空対地ミサイルを発射することだった。旧型機材では近代化に耐えられないため、生産ラインが1980年に再開され新造のTu-95MSが生まれた。このため供用中の同機は一部NATO機材より機齢が若い。
Tu-95MSの主要兵装はKh-55空中発射式巡航ミサイル(ALCM)で、亜音速で2,500キロの飛翔距離がある。現在は核弾頭付きKh-55SMとして、射程が3,500キロに伸びた。その通常型はKh-555で2,000キロ先を攻撃できる。Kh-555はシリア戦線でTu-95MSから発射された。通常のTu-95MS6は機内に6発搭載する他、主翼下パイロンに最大10発を運用することで16発の発射が可能。2018年版の核兵器ノートブック(原子力科学者年報編)によればロシア空軍はTu-95MS6を25機、Tu-95MS16を30機運用中だ。ただしTu-95MSM近代化改修の対象機数の言及がなく、「おそらく44機」としている。
Tu-95MSM近代化改修の狙いはKh-101、Kh-102巡航ミサイル運用能力をTu-95MSに付与することにある。全長が伸びたKh-10(X)はTu-95MSの機内回転式弾倉に入らない。このためTu-95MSMではパイロン4つを追加し、同ミサイル4発を搭載する。パイロンは新型ミサイル、Kh-55ミサイル双方に対応する。Kh-101、Kh-102は有効射程が5,000キロまで伸び、レーダー探知されにくくなり性能が相当向上している。Kh-101もシリアで実戦投入済みで、2015年11月17日にTu-160が発射しており、その後も使用が続いている。
Tu-95MSMは機体構造の改良により主翼が強化されたことで新型ミサイル搭載が可能となった。その他筋によればエンジン、プロペラの改良も含まれ、飛行性能が向上しているという。Tu-95MSのエンジンは生産が終了しており、今後は予備部品と整備の確保が課題だ。新型レーダーとデータ表示システムも近代化された。
Tu-95MSMで興味深い点はロシア戦略爆撃部隊の規模縮小の一端がわかる点だ。前記年報やロシア筋によればMSM改修はTu-95MS全機が対象ではない。Tu-160生産が細々と進む中で、ロシア爆撃機部隊は新型PAK-DA爆撃機が登場するまで規模縮小となる。並行して陸上配備ICBMの重視が進んでおり、ICBMサイロにはアクティブ防御装備が導入されていることに注意が必要だ。MSM改修では通常兵器運用能力の向上もねらい、部隊は運用訓練を重ねている。Kh-101がスタンドオフ性能や精密攻撃能力で大きな兵力増強手段となる。■

Charlie Gao studied political and computer science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national-security issues.

Russia Is Upgrading Its Old, Propeller-Driven Tu-95 Bombers

Why?

 January 4, 2020  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: RussiaMoscowPutinMilitaryTechnologyBomberAir Force