2020年7月4日土曜日

イラン核施設の大規模爆発はサイバー攻撃の成果?

Credit: ISI

ランの重要核技術施設が広範囲に破壊された。「運動性サイバー」兵器を使う実態不明の攻撃によるものと専門家が話している。

イスラエルは世界に対しイランが核爆弾製造の動きを止めていないことを証明しようとここ数週間注力している。これがイラン国内の核関連施設で「インシデント」が多発している理由とする専門家があり、また核開発に深く関連した同国パーチンParchin秘密施設で発生した大規模爆発の原因だという。

パーチンで7月3日金曜日に発生した大爆発は衛星写真でわかる。イラン当局は最初は爆発はパーチン軍事基地の「一般地区」でガス漏れが発生したためと説明していた。イラン軍は同基地で核弾頭用の高性能爆薬をテストしていた。

ガス貯蔵施設はコジール Khojir ミサイル施設内にある。今回の爆発は固体燃料式ロケットのメーカー、シャヒド・バケリ産業グループShahid Bakeri Industrial Groupに大きな打撃となると述べる専門家がいる。同地の大型産業施設は衛星写真で識別可能であり、ミサイル組み立てを行う場所であるらしい。

さらにイラン政府関係者ははナタンズNatanz 原子力発電所近くの建物に損傷の発生を認め、「事故」が発生したと述べた。重要な遠心分離施設に損害はなかったとも述べた。

イスラエルは秘密施設での大規模爆発との関連を否定している。

だが複数筋が爆発は「運動性サイバー」攻撃を「大規模勢力」が行ったことで発生したと見ている。

サイバー専門家は匿名を条件にサイバーは多様な使い方をされると述べている。たとえば、保安監視カメラ全部を止め保安要員が状況を把握できなくなるようにするという。

イスラエル専門家はイランで核開発が加速してきたのは武器禁輸がこのまま続くと核爆弾製造に必要な物資やシステムの入手が困難になるとイランが見ているからだという。

昨年、米国防情報局はイランが中東で最大規模の地下施設を運用しており、「弾道ミサイルの大部分の支援、開発、運用も担当している」と発表していた。

テヘラン近郊のミサイル基地で発生した前回の大爆発で革命防衛隊のミサイル部門トップ、ハッサン・テヘラニ・モガダムHassan Tehrani Moghaddam.が死亡している。イラン当局は当初はこれも事故と述べ、やはりイスラエルの関与が疑われていた。

イラン核施設への大規模サイバー攻撃は2010年に始まり、イスラエルと米国がスタクスネットを使った。

マーティン・イヴェジック(サイバー専門家)はスタクスネットの原型は2007年に使用されたが標的に到達しなかったとペーパーに記している。おそらく当時は情報収集が目的だったのだろう。その後、改修を加え諜報活動に投入され、マルウェアが作られたようだ。

イヴェジックによるとイラン関連で得た情報ではスタクスネットをイランのエアーキャップ式(つまりインターネット非接続)のナタンズ施設に2009年送り込んだ。「このためにイラン企業5社を感染させた。ナタンズに装備納入した企業だ。各社の技術員がラップトップをナタンズに接続すると、知らないうちにスタクスネットがダウンロードされ、施設内に拡散していった。こうした間接接続でスタクスネット開発陣はマルウェアを2010年にかけアップロードしコマンドを出していた。ただし、施設と直接の接続はしていない」

スタクスネットはマルウェアとして史上最大の予算をつぎ込んだといわれ、規模から見て国家の関与がなければ実行不可能だ。またイランのウラニウム濃縮施設内の器具だけを狙う精密すぎる攻撃を行った。

この攻撃で遠心分離機ローターが2方面で損傷を受けた。まず分離機が安全速度を超える加速を始めたと思うと、今度は安全域以下の速度へ減速された。マルウェアはその後数週間潜伏し同じことの繰返しで探知されないようにした。2回目は複雑な手順で圧力を限度以上に加えて、ローター部分がストレスを受けた。

サイバー兵器の利用が増えている国がふたつある。イランはイスラエル居住区へ流れる水の塩素含有率を高めようと4月にサイバー攻撃したとフィナンシャルタイムズが報じている。

イスラエル国家サイバー局の局長はこの攻撃は回避できたが、実行されていれば塩素や他の化学成分が水源に注入されていたと語る。また水道ポンプの安全装置が働き作動が停止すれば熱波の中で数千世帯が断水していたはずという。

匿名のイスラエル関係者はこの攻撃のあとで「予測不能リスクのシナリオ」が作成され、民間への攻撃の繰り返しに対応しているとフィナンシャルタイムに語っている。両国とも実害の発生を今のところは回避している。■

この記事は以下を再構成したものです。

Cyber Strike By Foreign Force Caused Iran Explosion: Israeli Experts

Iranian officials confirmed damage to a building built near the Natanz nuclear power plant today, saying an "accident" occurred. Israel has denied any connection to the huge explosion in the secret facility.

By   ARIE EGOZI

on July 02, 2020 at 2:32 PM

未だに戦力を誇るSu-27フランカーファミリーの見分け方



Su-27SM、Su-30SMはともに頑丈な機体で長期間供用に耐える。両機とも製造は安価にでき、性能は新型Su-35と比べても遜色ない。

ロシア戦闘機ではSu-35が最高性能機とされるが、ロシア空軍の機材は大多数が旧式各型だ。国際戦略研究所(IISS)の「2018年度版軍事力バランス」ではロシアは旧型フランカー220機近くを運行し、Su-35Sが70機なので3倍の規模だ。「旧型」フランカーと言っても多様な機種があり、Su-27原型以外に改修型SMの他、複座型もある。だが旧型フランカーは今でも威力があるのか。一部はSu-35Sの性能に匹敵するのだろうか。

まずIISSが50機あるとする初期フランカーとは1985年に供用開始したSu-27Sのことだ。その他、複座型Su-27UBが10機ある。各機のレーダーはあまりにも旧式で現在の戦闘機と比べ見劣りがする。

Su-27Sだけがセミアクティブレーダーホーミングミサイルを発射できるが、R-27ミサイルの飛翔中は機首を標的に向けたままにする必要がある。R-27ERは射程が伸び、中間誘導機能がつくものの同機は最新の空対空戦術で用いるアクテイブレーダーホーミングミサイルは使用できない。

ただし近接距離でのドッグファイトとなれば機体の頑丈さとヘルメット搭載視野表示装置、さらにR-73ミサイルが強みを発揮する。オフボアサイト対応可能な赤外線ミサイルロッキングは登場当初こそ革命的と言われたが、その後登場の米機にはAIM-9Xと共用ヘルメット搭載照準システム(JHMCS)がつき、Su-27Sより幅広い角度で敵機をロックアップし撃破できる。

フランカーで初めて多任務機になったのはSu-27SMで47機ある。近代化改修機材として2003年登場した。近代化は大部分がエイビオニクス改修で既存装備の性能を引き上げた。

地図機能が追加され、誘導空対空兵装にはKABレーザー誘導爆弾、Kh-29型ミサイルが加わった。アクティブレーダーホーミング方式のR-77ミサイルも導入された。エンジンを新型に切り替える近代化改修が2007年から始まっている。

改修によりSu-27SMは真の多任務機となり、低費用で応急しのぎの改修を行ったと言える。さらに本格的改修を行ったのがSu-27SM3で14機が供用中だ。同機は近代化に加え、SM3標準で作り込まれた機体で、中国用に想定していた機体から製造したと解説する向きがある。Su-27SM3はそれまで輸出用フランカーだけが使っていた技術多数を採用している。

Su-27SM3には強力なイルビスEレーダーが搭載され、Su-35Sと共通する。新型エンジンは推力を上げ、航続距離が伸びた。ハードポイントは追加して合計12点になった。機体剛性を高め3トンに及ぶ追加装備の運用を可能にした。

コックピットもSu-27SM3で大幅に近代化し、多機能ディスプレイ4面とし、Su-27各型の古臭いダイアル式計器盤と好対照だ。さらに新型通信装置で安全に通信できるようになった。

Su-27単座機の流れではSu-27SM3が最高性能の機体だ。ロシアにはさらに高性能の複座型Su-30があり、それはSu-30M2とSu-30SMだ。

Su-30各型はほぼSM3に匹敵する高性能戦闘機だ。空対地兵装を搭載し、MFDをコックピットに導入し、エンジンは改良型で推力偏向効果により一定の条件では操縦性がさらに高まった。Su-30でも兵装用ハードポイントが12箇所あるが、イルビス-Eレーダーは積まず、長距離交戦能力は劣る。

Su-35Sは無論、こうした機材と一線を画す機体で、推力偏向性能を高めたエンジン双発、イルビス-Eレーダー、新鋭コックピットがあり、ロシアの空対地兵器すべてを運用できる。

各型の近代改修には利点もある。Su-27SM3はSu-35よりずっと安価ながら事実上同じ水準の長距離戦闘能力を有する。Su-30はパイロット間で負担を分担し、対地攻撃に威力を発揮するだろう。

ひとつ問題なのは新設計のSu-30M2、SM、Su-27M3はフランカーの半分を占めるにすぎず、残る半分がSu-27S、SM、UBの各型で性能は相当落ちる。ただしこれも時間がかかるが解決に向かうだろう。新型Su-57の供用がはじまっているからだ。■

この記事は以下を再構成したものです

June 28, 2020  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Reboot  



2020年7月2日木曜日

米海軍がめざす第6世代機NGADの開発進捗状況;画期的技術の成熟化を待つか、既存機の改修を進めるか

海軍は現行のF/A-18と交代する新型第6世代艦載戦闘機の実現をめざし、機体構造、照準システム、人工知能を応用したセンサー、新型兵装やエンジン技術の分析を進めている。

海軍がめざす新型機は次世代航空制圧機(NGAD)と呼ばれ、構想段階はすでに終わり、試作機製造段階にあり、2030年以降に姿を現すはずだ。

海軍関係者は現在の検討対象に「機体設計、高性能エンジン、推進手段、兵装、ミッションシステム各種、電子戦」があると述べている。

現在は既存技術の延長線として兵装、センサー、ステルスによる性能向上を目指しており、これから登場する技術には長い時間を確保する。

ここ数年の米海軍は初期性能分析から作業を進めてきた。海軍の2021年度予算要求ではF/A-18の生産数を落としNGAD予算を捻出するとUSNI Newsが2月に伝えており、興味をひかれる。記事ではスーパーホーネット削減で最大40億ドルを第六世代艦載機の実現にあてるとある。

今後は未確立技術の成熟化を睨んで第6世代戦闘機に関する決定が進むはずだ。その例が開発中の次世代ステルス技術でレーダー波探知を逃れる設定、塗料素材、熱特徴削減技術が急速に実戦に投入できる水準に達しつつある。

だが各技術が成熟化するまで第6世代機の正式開発を開始しないほうがいいのか、あるいはつなぎとして現行機改修を進めたほうがいいのか悩ましい問題になっている。

2016年に出た論文には現行システムの中に長期にわたり有望な成果が期待できるものがあるとあり、「F-35を航空戦に最適化した新型機種」、B-21、無人機を発進するC-130「母機」、「武器を満載した重武装機」を現行技術の応用で最適化できる例にあげていた。

こうした装備品に無人戦闘機、人工知能で強化したセンサーやこれまでにない有効距離の新型兵装を加え、人工知能、処理速度、ソフトウェアアップグレード他の段階的改善が可能となる。

こうしてみると性能改修がうまく行っている装備品と新規装備品だが実現まで10年近くかかるものとの差は実は大きくないことになる。

最初から性能改修を想定しステルス技術を織り込んだ例がB-21であり、海軍航空部門にも同じ考え方が応用できるだろうか。この手法なら真の意味で「ブレイクスルー」となる内容を追求する際のリスクや負担を軽減しつつ、予算や資源を解放し長期的にパラダイムを変化させる画期的な航空戦闘技術の実現に投入できるはずだ。

さらに現行のセンサー、エイビオニクス、兵装の各システムは人工知能への依存を高めており、アルゴリズム更新やアナリティクス技術さらに処理速度を変更すれば大幅な性能向上が実現する。こうしてみると全くの新型機が本当に必要になるとすれば、いつまでを想定すべきかが問われる。2030年代でいいのか。検討は今も続く。■

この記事は以下を再構成したものです。

June 27, 2020  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarNavy


Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University. 

2020年7月1日水曜日

台湾領空への中国機進入相次ぐ。米軍がいなければ大変なことになる。日本はどう動くべきか。

中台で緊張が高まっていますが、日本も台湾だけの問題ではないと気づくべきでしょう。地政学というか視点をどこまで広げて考えられるかがポイントです。武漢ウィルスに気を取られてばかりでは流動的な安全保障環境についていけなくなりますね。

国軍用機がまたもや台湾領空を侵入し、情報収集や偵察を行った他、米偵察機の動向をつかもうとした。

中国政府がバックにつく環球時報は人民解放軍が台湾南西部の領空内に航空機を送ったのはこれで八回目と記している。記事ではミッション回数はっ増加中と堂々と述べ、訓練が目的であり、同時に対象空域内を飛ぶ米偵察機の監視もしているとある。

飛行回数増加は「台湾の軍事情報を収集し、米日両国が宮古海峡、バシー水路を経由して増援部隊派遣に動く可能性を牽制するのが目的」と記事にある。また中国軍の動きは台湾南西部の軍事基地の監視を目指しているとの書きぶりもある。記事では機種が示されていないが、J-10、J-11、Su-30の各戦闘機およびY-8「特殊任務機材」が飛来している。

中国機の飛来そのものには驚くべき要素はないが、米国が太平洋全域で飛行ミッションを強化し、偵察行動、各国との共同訓練を展開する中で中国がフライトを実施していることに要注意だ。米議会は太平洋における米軍活動を強化すべく予算増を急いでおり、下院軍事委員会の有力議員マック・ソーンベリー下院議員(共、テキサス)提出の構想にはインド太平洋構想の名称がつき、太平洋方面での米軍活動向けに60億ドルの増額を求めている。

緊張の高まりに火を注ぐように環球時報では中国が行った米軍事力のアジアにおけるプレゼンスの分析結果にふれ、米海軍は6割の艦船をアジアで運用し、陸軍は55%、海兵隊は3分の2だとする。「85千名とハイテク装備新型装備を大量に前方配備した米軍はアジア太平洋で絶対的な優位を維持している」とある。

戦略面で米中の軍事力構成と活動の強化ぶりを見ると冷戦時代の枠組みが想起される。両国で多大の経費が発生し、不安を駆り立てられそうだ。ただし、興味を惹かれるのは米軍の増強で域内の安全安定が強化されやすくなる皮肉な結果で、抑止力の強化としてとらえられるからだ。前方配備装備も実戦で使用しないために現地展開しているのだ。相互にディエスカレーションがのぞましいのはいうまでもないが、力による平和との考え方にも一定の利点があるのは明白だ。■

この記事は以下を再構成したものです。

June 27, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarChina

Kris Osborn is the new Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.



2020年6月30日火曜日

韓国のグローバルホークはまもなく作戦運用可能になりそうだ

国空軍は高性能無人機グローバルホークの作戦運用を開始する準備に入っている。調達完了となる4号機の引き渡しも近づいている。
米国との2011年合意に基づき、韓国はRQ-4ブロック30仕様のグローバルホーク遠隔操縦機(RPA)4機を購入し、昨年12月の一号機以来これまで3機を受領している。▶「今年下半期にグローバルホークを作戦投入する。4号機がまもなく到着するが残りの機材をまず運用する」(韓国軍事筋)▶運用開始に備え運用部隊は飛行訓練を開始しているが、「中核戦略装備」にもかかわらず公式式典の予定はない。
別の筋によれば空軍は「10月末あるいは11月初頭の運用開始が目標だが、北朝鮮が10月に大きな動きを計画しており、配備を前倒しの可能性がある」という。▶北朝鮮は労働党創立75周年を祝う大規模軍事パレードを開催するようで、記念日は10月10日だ。
現地報道で韓国空軍が北朝鮮監視強化のため同機を本日飛行させたとあるが空軍は否定している。▶「グローバルホークが本日の飛行任務に投入された事実はない。本日のフライトも訓練の一環にすぎない」と空軍は述べており、「同機運用は通常通り行う」とした。
韓国が脱北者が反政府メッセージのビラを風船で飛ばすのを阻止しなかったため報復として北朝鮮は韓国を非難するビラを準備している。先週はケソンの南北連絡事務所を爆破している。
ノースロップ・グラマン製のグローバルホークは世界最高水準の情報収集機材で、およそ20キロの上空から40時間ほど偵察活動を継続できる。▶「マルチプラットフォームレーダー技術」による対地監視レーダーを搭載したグローバルホークは3千キロに及ぶ地点で30センチ大の物体を識別できる。
北朝鮮は高性能機材を導入した韓国に怒り狂っており対抗手段を取ると公言している。■
この記事は以下を再構成したものです。

(LEAD) S. Korea to deploy Global Hawk unmanned aircraft as early as next month: sources

All Headlines 15:58 June 22, 2020
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By Oh Seok-min

2020年6月29日月曜日

★★動き始めたReforge構想、まず訓練用F-22の用途変更、しかし各機種でトラブル続出



F-22 Raptor

空軍でパイロット養成に使用中の旧型F-22ラプター一部を戦闘対応機材に再区分する可能性が浮上している。航空戦闘軍団司令マイク・ホームズ大将が機材の稼働率向上策として言及している。


「初期生産ブロックのF-22は後期型並に改修しなくても十分戦闘に対応可能な機体だ。戦闘投入するならレガシー機材よりラプターを選択するのは明らかだ」とホームズ大将はミッチェル研究所で語った。「戦闘機訓練部隊の要求内容を減らせば、訓練用機材の一部を実戦対応に転換できる」


また正規訓練部隊(FTU)の一部を戦闘任務に転用するには、進めようとしている「リフォージ」つまり鍛錬再構築の訓練再構築構想を使えば可能とも述べた。リフォージには戦闘機パイロット養成期間を半減させる狙いがある。


ただし、ホームズ大将は用途変更について「航空戦闘軍団内部の検討対象にすぎない」とし、実際に何機を転用するか触れなかった。目標は「予算を使わずにどこまで多くの戦力を確保できるか」だという。
ラプターについて現時点の「課題は要求に対応できるエンジン数の確保で、F-22は想定以上の稼働になっているからだ」とする。特に、空軍はF-22をシリアで「想定外の用途に」投入しているという。


ただしホームズ大将はエンジン不足問題に関し悲観していない。メーカーのプラット・アンド・ホイットニーと対処中という。


空軍は機材近代化のニーズと経年化が進む機材の維持コストのバランスに苦慮しているが、各戦闘指揮官からはロシア、中国の挑戦に対し航空兵力への需要は強まるばかりだ。「戦力規模と近代化の両方にはさまれた格好だ」とホームズも認める。


機材維持でF-22エンジン問題以外に以下の課題をホームズが指摘した。
  • F-15:キャノピーシルのロンジロンに亀裂が見つかっており、機体にキャノピーを固定する重要部材で安全に関係する。「摩耗しており、耐用年数を超えたため交換が必要だがその間は機材が利用できなくなる」(ホームズ大将)
  • A-10ウォートホグ:各機の主翼で交換が必要な状態。
  • F-16ファイティング・ファルコン:ホームズ大将は耐用年数は残るものの「近代化改修を相当しないと現在の脅威に対応できない」とし、改修すれば長期間稼働不能となる。
  • F-35共用打撃戦闘機:主契約企業ロッキード・マーティンは部品不足のため生産維持に苦慮しているが、空軍は同機で稼働率が向上しており楽観視している。同機についてホームズ大将は「負担可能な経費で長期にわたり維持する方法を模索する」のが課題としている。
  • 情報収集監視偵察(ISR)用途機材ではボーイング707を原型とするE-8JSTARSやAWACSがあるが、エンジン不足に悩み、エンジン換装となれば整備時間が必要となる。


空軍には議会の反発も立ちふさがる。議会はA-10など既存機種の用途廃止には常に反発し、近代化改修経費が犠牲になっている。優先度が高いのが共用全ドメイン指揮統制(JADC2)事業で「全攻撃機材の各センサー」をつなぎ、全ドメイン作戦を実行可能にする構想だ。


例として上院軍事委員会の2021年度版国家防衛認可法案ではA-10退役を禁じており、作戦可能戦力として386飛行隊体制の維持を空軍に求めている。(現在の空軍の飛行隊総数はこれ以下)


ホームズ大将も戦闘司令部の要求内容に議会が理解と懸念を示してくれるのはありがたいとしながらも、必要な近代化改修を進め脅威へ対応することと現行の戦力維持の二律背反は解決する必要があると述べた。


「要求内容は多岐にわたり、使える手段をすべて使っても足りない」「近代化改修に優先順位を付ける必要がある」と述べた。


この記事は以下を再構成したものです。


Air Force Eyes Moving Older F-22s From Training To Combat Units


on June 22, 2020 at 6:14 PM

2020年6月28日日曜日

空母ロウズベルトの「撃沈」は米海軍ASW強化の強い警告になった (2015年)

海軍の対潜技術レベルは冷戦終結後に急低下している。

フランスの原子力攻撃型潜水艦がサフィールはUSSセオドア・ローズベルト空母打撃群の防御網を突破し、魚雷発射シミュレーションに成功したとフランス海軍が伝えたが、内容はその後削除されている。

2015年3月4日、フランス海軍がサフィール(サファイヤの意味)が空母ロウズベルトの追尾、攻撃シミュレーションに成功したとブログで伝えた。シミュレーションとはいえ原子力空母の撃沈は初めてであり、隻数不明だが護衛部隊も同時に撃沈されている。

フランス海軍の新鋭艦サフィールは配備前にロウズベルト空母打撃群と演習中だった。空母の護衛にタイコンデロガ級誘導ミサイル巡洋艦、アーレイ・バーク級駆逐艦が数隻とロサンジェルス級原子力攻撃型潜水艦一隻があたっていた。

USNI Newsによれば、空母打撃群(CSG)12はノーフォーク海軍基地、メイポート海軍基地から3月5日に出港し、中東の配備先に移動中だった。CSG12の護衛部隊は巡洋艦USSノーマンディ、駆逐艦ウィンストン・S・チャーチル、フォレスト・シャーマン、ファラガットで構成。

配備前訓練場所はフロリダ沖合で、二段階構成とブログは説明している。第一段階でサフィールは米海軍部隊に加わり、敵潜水艦を探知しデータを対潜部隊に送った。「敵潜水艦」とはCSG 12に配備されていたロサンジェルス級原子力潜水艦だろう。

第二段階でサフィールは役目を変え、敵軍になった。サフィールはロウズベルトを突き止め撃沈可能な位置につくのが目標だった。演習シナリオが撃ち合いの様相を示すとサフィールに攻撃許可が下り、同艦はロウズベルトを「撃沈」し、護衛部隊の「大部分」も撃破したことになっている。

フランス海軍によるブログ投稿は3月4日のことでツイッターに掲載されたが即座に削除された。防衛関係サイト数点が投稿に気づき、保存した。ロシアのRTは「重大な脆弱性」のためサフィールはロウズベルト打撃群を突破できたと伝えた。ただしこれは完全な推測で、フランス海軍も脆弱性に言及していない。

とはいえ、本件は実際に発生していたようだ。ブログ削除のもっともらしい説明は単純に米側にバツの悪い内容だったからだろう。

サフィールはルビ級原子力攻撃型潜水艦6隻の二番艦で、同級はフランス初の原子力攻撃型潜水艦だ。1980年代初頭までフランスの攻撃型潜水艦は通常型だった。潜航時排水量が2,630トン、全長241フィートというルビ級は原子力潜水艦として世界最小だろう。乗員はわずか70名でK48加圧水型反応炉で水中速度25ノットを実現した。艦首魚雷発射管は4門でF17 Mod 2魚雷及びMM39エクゾセ対艦ミサイルを発射する。

ここまで小型の潜水艦で50倍の大きさの空母を撃沈できただろうか。ロウズベルト護衛部隊は対潜戦センサーを全て稼働していたのだろうか。作動に何らかの制約を加えていたのだろうか、あるいは演習のため使用不能扱いと想定の装備があったのだろうか。

二番目に、「撃沈」と引用符を振ったのには理由がある。フランスのF17魚雷は551ポンドのHBX-3高性能弾頭がつく。同時発射しても最大4本にしかならないのは同艦の発射管が4門のためだ。551ポンド魚雷一発ではタイコンデロガもバーク級も沈めるのは無理だが、損傷を与えるのは確実だろう。ニミッツ級スーパー空母の撃沈は絶対に無理だ。また空母を守る4隻とロウズベルトが搭載する対潜ヘリコプターが周囲を固める中でサフィールは魚雷4本の発射が精一杯ですぐ撤退を余儀なくされたはずだ。

サフィールがロウズベルトおよび援護艦3隻を攻撃対象に選択していたとすれば、4隻が損傷を受けた可能性はあるが、沈んだのは皆無だっただろう。護衛部隊が行動不能に陥った可能性はある。ロウズベルトに命中したのが魚雷一発のみなら、同艦は作戦を継続できていたはずだ。

米海軍の対潜戦技量は冷戦終結後に急低下し、とくに9/11後にその傾向が強い。地上戦を重視する方向になり、海軍は熱情も予算も別に向けてしまった。中国海軍が増強を続け、ロシア海軍も地中海やバルト海で横暴さを増す中、ASWのレベルアップは当然の優先事項だ。セオドア・ロウズベルトの「喪失」は海軍の誇りへ打撃となるが、現実に目を覚ますのが大切だ。次回、外国潜水艦が米海軍空母にまとわりつけば、空母に乗る6千名近くにとって生死を分ける話になる。■


Fact: A French Nuclear Submarine 'Sunk' an American Aircraft Carrier


Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.
This article first appeared in 2016 and is reprinted here due to reader interest. 

Image: Reuters