米海軍は現行のF/A-18と交代する新型第6世代艦載戦闘機の実現をめざし、機体構造、照準システム、人工知能を応用したセンサー、新型兵装やエンジン技術の分析を進めている。
海軍がめざす新型機は次世代航空制圧機(NGAD)と呼ばれ、構想段階はすでに終わり、試作機製造段階にあり、2030年以降に姿を現すはずだ。
海軍関係者は現在の検討対象に「機体設計、高性能エンジン、推進手段、兵装、ミッションシステム各種、電子戦」があると述べている。
現在は既存技術の延長線として兵装、センサー、ステルスによる性能向上を目指しており、これから登場する技術には長い時間を確保する。
ここ数年の米海軍は初期性能分析から作業を進めてきた。海軍の2021年度予算要求ではF/A-18の生産数を落としNGAD予算を捻出するとUSNI Newsが2月に伝えており、興味をひかれる。記事ではスーパーホーネット削減で最大40億ドルを第六世代艦載機の実現にあてるとある。
今後は未確立技術の成熟化を睨んで第6世代戦闘機に関する決定が進むはずだ。その例が開発中の次世代ステルス技術でレーダー波探知を逃れる設定、塗料素材、熱特徴削減技術が急速に実戦に投入できる水準に達しつつある。
だが各技術が成熟化するまで第6世代機の正式開発を開始しないほうがいいのか、あるいはつなぎとして現行機改修を進めたほうがいいのか悩ましい問題になっている。
2016年に出た論文には現行システムの中に長期にわたり有望な成果が期待できるものがあるとあり、「F-35を航空戦に最適化した新型機種」、B-21、無人機を発進するC-130「母機」、「武器を満載した重武装機」を現行技術の応用で最適化できる例にあげていた。
こうした装備品に無人戦闘機、人工知能で強化したセンサーやこれまでにない有効距離の新型兵装を加え、人工知能、処理速度、ソフトウェアアップグレード他の段階的改善が可能となる。
こうしてみると性能改修がうまく行っている装備品と新規装備品だが実現まで10年近くかかるものとの差は実は大きくないことになる。
最初から性能改修を想定しステルス技術を織り込んだ例がB-21であり、海軍航空部門にも同じ考え方が応用できるだろうか。この手法なら真の意味で「ブレイクスルー」となる内容を追求する際のリスクや負担を軽減しつつ、予算や資源を解放し長期的にパラダイムを変化させる画期的な航空戦闘技術の実現に投入できるはずだ。
さらに現行のセンサー、エイビオニクス、兵装の各システムは人工知能への依存を高めており、アルゴリズム更新やアナリティクス技術さらに処理速度を変更すれば大幅な性能向上が実現する。こうしてみると全くの新型機が本当に必要になるとすれば、いつまでを想定すべきかが問われる。2030年代でいいのか。検討は今も続く。■
この記事は以下を再構成したものです。
June 27, 2020 Topic: Security Region: Americas Blog Brand: The Buzz Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarNavy
by Kris Osborn
Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.
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