イスラエルは米国製防衛装備を大量入手してきた。だがF-22ラプター戦闘機を導入できなかった理由とは何か。
米イスラエル協力をもっとも強く示すのがイスラエル版のロッキード・マーティンF-35ライトニングIIで、機体改装を許されたのはイスラエルのみで、すべて中東での使用を念頭にイスラエル装備を搭載するためだった。
だがイスラエルにはF-35より多数が配備されている米製機体がある。ロッキード・マーティンによればイスラエルはF-16を300機以上入手している。1990年代の米軍余剰機材の入手から始め、イスラエルは米国外で同機の最大使用国になった。
このように緊密な軍事関係が両国にあり、技術共同開発や演習もしているのにイスラエルは希望通りにF-22を入手できなかった。なぜか。
ロッキード・マーティンは米空軍が運用し、世界最高性能の有人戦闘機であることに議論の余地はない。ステルス性能ではF-35を上回り、そのF-35は米同盟国への輸出が認められ、日本、イスラエルも調達している。
当初はソ連軍用機を空で撃破する機体として構想され、ステルス技術の最高峰を投入され、敵レーダーによる探知を逃れたほか、推力変更エンジンを二基搭載し、操縦性能を高めたほか、エイビオにクスでは機内外のセンサーの情報を融合し一つにまとめて表示する能力を狙った。
F-22の輸出に道を閉ざしたのは通称「オベイ改正法案」だった。デイヴィッド・オベイ下院議員の懸念は機微かつ極秘のF-22技術が輸出され米国の敵の手に渡りリバースエンジニアリングされることだった。とくにステルス技術を念頭に置いていた。
1998年に同議員は1998年国防総省予算認可法案に追加条項を提案した。内容は次の一文だった。「同法案で支出可能となる予算でF-22高等戦術戦闘機の外国政府向け販売を承認あるいは許諾することはまかりならない」
F-22の開発期間中に米空軍は750機もの大量調達を想定していたが、結局187機になった。
オベイ法案以外にF-22の障害となったのはF-22に対抗できる脅威がなくなったことだった。F-22はソ連の高性能機材に対抗する目的で開発されたが、ソ連解体で一時的にせよ米国の一極支配が実現し、高性能戦闘機のF-22には出番がなくなったのだった。■
この記事は以下を再構成したものです。
July 17, 2020 Topic: Security Region: Middle East Blog Brand: The Reboot Tags: F-22MilitaryTechnologyWorldStealthIsrael
by Caleb Larson
Caleb Larson is a defense writer for the National Interest. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture. This article first appeared earlier this year and is reprinted due to reader interest.
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