スキップしてメイン コンテンツに移動

イラン核施設の大規模爆発はサイバー攻撃の成果?

Credit: ISI

ランの重要核技術施設が広範囲に破壊された。「運動性サイバー」兵器を使う実態不明の攻撃によるものと専門家が話している。

イスラエルは世界に対しイランが核爆弾製造の動きを止めていないことを証明しようとここ数週間注力している。これがイラン国内の核関連施設で「インシデント」が多発している理由とする専門家があり、また核開発に深く関連した同国パーチンParchin秘密施設で発生した大規模爆発の原因だという。

パーチンで7月3日金曜日に発生した大爆発は衛星写真でわかる。イラン当局は最初は爆発はパーチン軍事基地の「一般地区」でガス漏れが発生したためと説明していた。イラン軍は同基地で核弾頭用の高性能爆薬をテストしていた。

ガス貯蔵施設はコジール Khojir ミサイル施設内にある。今回の爆発は固体燃料式ロケットのメーカー、シャヒド・バケリ産業グループShahid Bakeri Industrial Groupに大きな打撃となると述べる専門家がいる。同地の大型産業施設は衛星写真で識別可能であり、ミサイル組み立てを行う場所であるらしい。

さらにイラン政府関係者ははナタンズNatanz 原子力発電所近くの建物に損傷の発生を認め、「事故」が発生したと述べた。重要な遠心分離施設に損害はなかったとも述べた。

イスラエルは秘密施設での大規模爆発との関連を否定している。

だが複数筋が爆発は「運動性サイバー」攻撃を「大規模勢力」が行ったことで発生したと見ている。

サイバー専門家は匿名を条件にサイバーは多様な使い方をされると述べている。たとえば、保安監視カメラ全部を止め保安要員が状況を把握できなくなるようにするという。

イスラエル専門家はイランで核開発が加速してきたのは武器禁輸がこのまま続くと核爆弾製造に必要な物資やシステムの入手が困難になるとイランが見ているからだという。

昨年、米国防情報局はイランが中東で最大規模の地下施設を運用しており、「弾道ミサイルの大部分の支援、開発、運用も担当している」と発表していた。

テヘラン近郊のミサイル基地で発生した前回の大爆発で革命防衛隊のミサイル部門トップ、ハッサン・テヘラニ・モガダムHassan Tehrani Moghaddam.が死亡している。イラン当局は当初はこれも事故と述べ、やはりイスラエルの関与が疑われていた。

イラン核施設への大規模サイバー攻撃は2010年に始まり、イスラエルと米国がスタクスネットを使った。

マーティン・イヴェジック(サイバー専門家)はスタクスネットの原型は2007年に使用されたが標的に到達しなかったとペーパーに記している。おそらく当時は情報収集が目的だったのだろう。その後、改修を加え諜報活動に投入され、マルウェアが作られたようだ。

イヴェジックによるとイラン関連で得た情報ではスタクスネットをイランのエアーキャップ式(つまりインターネット非接続)のナタンズ施設に2009年送り込んだ。「このためにイラン企業5社を感染させた。ナタンズに装備納入した企業だ。各社の技術員がラップトップをナタンズに接続すると、知らないうちにスタクスネットがダウンロードされ、施設内に拡散していった。こうした間接接続でスタクスネット開発陣はマルウェアを2010年にかけアップロードしコマンドを出していた。ただし、施設と直接の接続はしていない」

スタクスネットはマルウェアとして史上最大の予算をつぎ込んだといわれ、規模から見て国家の関与がなければ実行不可能だ。またイランのウラニウム濃縮施設内の器具だけを狙う精密すぎる攻撃を行った。

この攻撃で遠心分離機ローターが2方面で損傷を受けた。まず分離機が安全速度を超える加速を始めたと思うと、今度は安全域以下の速度へ減速された。マルウェアはその後数週間潜伏し同じことの繰返しで探知されないようにした。2回目は複雑な手順で圧力を限度以上に加えて、ローター部分がストレスを受けた。

サイバー兵器の利用が増えている国がふたつある。イランはイスラエル居住区へ流れる水の塩素含有率を高めようと4月にサイバー攻撃したとフィナンシャルタイムズが報じている。

イスラエル国家サイバー局の局長はこの攻撃は回避できたが、実行されていれば塩素や他の化学成分が水源に注入されていたと語る。また水道ポンプの安全装置が働き作動が停止すれば熱波の中で数千世帯が断水していたはずという。

匿名のイスラエル関係者はこの攻撃のあとで「予測不能リスクのシナリオ」が作成され、民間への攻撃の繰り返しに対応しているとフィナンシャルタイムに語っている。両国とも実害の発生を今のところは回避している。■

この記事は以下を再構成したものです。

Cyber Strike By Foreign Force Caused Iran Explosion: Israeli Experts

Iranian officials confirmed damage to a building built near the Natanz nuclear power plant today, saying an "accident" occurred. Israel has denied any connection to the huge explosion in the secret facility.

By   ARIE EGOZI

on July 02, 2020 at 2:32 PM

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...