2022年1月19日水曜日

主張 中国が北朝鮮に見切りをつける日が来る (北朝鮮現体制は存亡の危機にある)

 

 

North Korean missile test. Image Credit: KCNA.

 

朝鮮をめぐる議論で中国が大きな役割を果たすのは必然だ。中国と平壌は条約上の同盟国であり、北朝鮮の貿易の90%以上は中国を経由している。北朝鮮は中国と長い国境を接し、北京は当然ながら朝鮮半島情勢を懸念している。北朝鮮が崩壊したり、再び戦争となれば、中国にも影響が当然及ぶ。少なくとも、重大な危機が発生すれば、北朝鮮難民多数が国境を越え押し寄せてくるだろう。最悪の場合、中国と米国は崩壊後の北朝鮮の核兵器をめぐって、にらみあいの状態になる可能性もある。

 

 

しかし中朝関係は複雑である。北朝鮮は違法行為多数を行っており、兵器整備の資金が絡む犯罪取引のドルを中国の銀行に預けることが多い。北朝鮮制裁が強化されるにつれて、中国の銀行部門はアメリカから望ましくない注目を浴びるようになった。

 

また、北朝鮮は今月のミサイル実験のように、韓国や米国を挑発するのが日常茶飯事だ。このため中国は、国際社会が大量破壊兵器をカルト的でオーウェル的な専制政治の手に渡さないと願うにもかかわらず、ならず者国家の擁護という不愉快な立場にいつも立たされる。それゆえ、中国は北朝鮮と同盟関係にあるにもかかわらず、北朝鮮制裁の拡大を支持してきた。国連安保理は2006年から2017年にかけて制裁決議を9回決議したが、中国は毎回支持してきた。

 

中国が北朝鮮を支持してきた理由

 

朝鮮戦争以来、中国は北朝鮮を助けてきた。1950年秋、朝鮮戦争が北に不利になると、中国軍が介入し、政権を救った。アメリカ軍が半島に永久に駐留し、戦後日本にも駐留していたため、共産主義の中国は北朝鮮と正式条約を結び、両国は「唇と歯のように近い関係」と表現している。

 

両国関係は、冷戦中の出来事、特に中ソ分裂で揺れた。しかし、ソ連の崩壊後、中国は北の全面的な後援者の役割を果たすようになった。1990年代の一時期、北朝鮮は孤立していた。ソ連の支援は消え、中国は北朝鮮の悲惨な経済的機能不全を救済する十分な支援をしなかった。北朝鮮はこの時、崩壊寸前となり、人口の約10%が死亡する大飢饉に見舞われた。北京は、外部支援がなければ北朝鮮は崩壊する可能性が高いという教訓を得、それ以来、北京は平壌にさまざまなレベルの支援を提供している。

 

中国側も認めるように、北朝鮮が米国、韓国、日本との間で「緩衝材」になっている。北朝鮮は重度に軍国化されており、深い反米感情を抱いている。

 

中国が北朝鮮と決別する理由

 

中国エリート層は、カルト的で不透明かつオーウェル的専制政治体制の北朝鮮を支える意義を再考すべきである。ミサイルは、北朝鮮の内政に関与させないため北京にも向けられている。あるいは、これらのミサイル(あるいは少なくともその一部)は、好ましくないグループや国々に拡散されるかもしれないのだ。

 

バッファー理論とは、領土と軍事である。在韓米軍と日本の間には、120万人の兵士と数百万人の予備軍からなる反米軍が占拠する47,000平方マイルの領土がある。しかし、北朝鮮の通常兵力は大規模ではあるが、ますます時代遅れになっている。これが、北朝鮮が核武装に走った理由の一つだ。そして、核兵器保有国としての北朝鮮は、中国が望まない結果となる。

 

言い換えれば、北部の緩衝地帯は、もはや米国と同盟国の軍隊にとって、通常戦の障害にならない。逆に、この緩衝地帯は今や、展開が容易で、はるかに大きな損害を与え、海外の入札者に売りやすく、指揮統制や安全性などに大きなリスクを伴う危険な核・ロケット能力で武装されている。中国の国境にそのような国家が存在すれば、ある時点で、その価値以上に面倒なことになる。

 

中国は冷戦時代よりも軍事的にはるかに安全になっており、緩衝地帯の軍事的なメリットは減少している。中国は現在裕福であり、その経済規模は10年後にはアメリカより大きくなる可能性が高い。巨大な軍隊を含む大規模な近代的軍事力を有している。米国が中国を侵攻することはないだろうし、北朝鮮が崩壊すれば、朝鮮半島に米軍を駐留させる根拠はなくなる。

 

最後に、北朝鮮を解放すれば、中国の世界的なリーダーシップと信頼性を劇的に高める効果を生む。世界は中国の急速な近代化に敬服しているが、中国を信頼する国は皆無に近い。中国には同盟国がない。香港や台湾への圧力は、東アジア諸国を米国との同盟に向かわせ続ける。北朝鮮がなければ、この流れに歯止めをかけられる。

 

可能性は低いが、検討の価値はある

 

米中冷戦の激化に伴い、上記のシナリオはあり得ないと思われる。中国は伝統的に、アメリカ人を遠ざけ、国境に民族主義的な統一朝鮮国家が生まれるのを阻止するために、朝鮮半島統一に反対してきた。これは、中国の習近平国家主席の冷戦マインドに今でも説得力がある。しかし、北朝鮮の悪行をいつまでも救済する動きは弱まってきた。

 

中国が北朝鮮を支援すれば、世界の国々を遠ざけることになる。中国の原則的な、あるいは慈悲深いリーダーシップの効果が損なわれる。平壌の金一族が行う突拍子もない行為に対して、北京が部分的な責任を負わされる。北東アジアにおける米国の大規模なプレゼンスを正当化し続けることになる。北京の言うことを聞かず、グローバル・ガバナンスの最も基本的な規範に日常的に違反する核武装政権に力を与えることになる。中国の銀行システムや、北朝鮮とつながりのある党や軍のエリートに腐敗と腐敗を広げる。方程式は変化していく。■

 

Could China Cut North Korea Loose? - 19FortyFive

ByRobert Kelly

Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; website) is a professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan National University. Dr. Kelly is now a 1945 Contributing Editor as well. 



2022年1月18日火曜日

気になるニュース スウェーデンの原発はじめ重要施設上空に正体不明の無人機目撃談が相次ぐ。他方、バルト海のロシア軍の動向に地政学的関心が高まっている。

 

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VATTENFALL

 

原発以外にも機微施設上空で無人機の飛行目撃が続いており、スウェーデン警察当局が調査をはじめている。

 

ウェーデン警察は、フォルスマルク原子力発電所Forsmark Nuclear Power Plant付近で新たな無人機目撃があったと確認した。前日にスウェーデン当局が、同原発付近と国内のその他原子力施設2カ所付近で多数のドローン侵入事案があり調査中と発表していた。

 

 

一連の事件は「国家的特別事件」に分類され、スウェーデン当局がドローン操縦者の意図に懸念を抱いていることを浮き彫りにしている。スウェーデンでは、政府機関や空港など機密性の高い場所で相次いで無人機が目撃されている。

 

スウェーデン市民が、同国最大の発電施設フォルスマルクの上空で新たな物体を本日未明、発見し、警察に通報してきた。警察の広報担当者Jonas Eronenによると、現場に派遣された係官は自ら物体を観察し、無人機であると評価したという。目撃情報を受け、警察ヘリコプターと原子力発電所の現場警備隊が出動したが、無人機は捕捉されず、逮捕者は出ていないとスウェーデン国営公共テレビ放送SVTが報じた。

 

スウェーデン語の頭文字をとってSäpo(セポ)とも呼ばれるスウェーデン保安局は、今回の目撃情報について、「現在の捜査対象に含まれていない」とコメントを控えている。警察のエローネン報道官は、さらに事件が彼らの仕事に加えられることは十分に予想されると述べた。Säpoは国家レベルの法執行・情報機関で、スパイ対策とテロ対策任務を一部担う点で米国の連邦捜査局(FBI)に類似している。

 

Säpo社はフォルスマルク上空での無人機目撃事件と、南部リンハルスRinghals原子力発電所とオスカルスハムンOskarshamn原子力発電所に関する調査を引き継いだと発表した。この調査が、最近報告されたバルセベックBarsebäck原子力発電所(2005年に廃炉となり、2028年までに取り壊される予定)付近の目撃情報も含むかは不明。

 

地元紙Aftonbladetによると、首都ストックホルム、およびキルナKiruna空港とルレオLuleå空港付近の政府機関上空を無人機が飛行したとの別々の報告について、地元当局は調査を続けるという。ストックホルムでは、国会議事堂(Riksdag)と、隣接する君主カール16世グスタフ国王の公邸であるストックホルム宮殿上空で無人航空機が目撃されたと報じられている。キルナはスウェーデン最北端の空港で、ルレオはスウェーデンの北東、ボスニア湾沿いに位置する空港。

 

各事件の無人機については、詳細は得られていない。Aftonbladet紙は匿名情報源を引用し、「小型のプロペラ機ではなく、少なくとも2メートル(~6.5フィート)の翼を持つ大型ドローンだ」と報じたが、これらの主張を立証する証拠は提供されていない。国内テレビ局TV2の以前の報道では、少なくとも1機は 「風に耐えられるほど大きな機体」だったと説明していた。

 

無人機目撃情報からは、一転除けば他にはほとんど何もわからないままだ。明らかに懸念されるのは、無人機操縦者が誰であれ、何らかの邪悪な意図を持っている可能性があると懸念される。潜在的な脅威としては、スウェーデンの原子力発電インフラや電力網等をスパイすることから、関連する無線ネットワークのサイバーセキュリティ上の脆弱性などの潜在的弱点を調べることまで、さまざまな可能性がある。物理的に限らず脆弱性を発見しておけば、将来の情報収集活動や攻撃に役立つ可能性がある。

 

市販改造型を含む無人機が、商用電力インフラをはじめ、民間の機密施設や、軍事目標にもたらす非常に現実的な脅威がすでに十分立証されている。The War Zoneは、2019年にアリゾナ州のパロベルデPalo Verde原子力発電所付近で発生した、同様に気になる、まだ説明のつかない一連のドローン目撃情報を最初に報告していた。現在公開されている米原子力規制委員会(NRC)資料によると、2015年から2019年の間に、パロベルデだけでなく、米国の原子力発電施設24か所で60件の無人機目撃事案があったことが判明している。

 

昨年末には、米国当局がペンシルベニア州の変電所付近に墜落した無人機が、未遂に終わった同州内電力網への攻撃に関与した可能性が高いと判断したことが明らかになっていた。

 

スウェーデンが隣接するロシアの活動へ地政学的な懸念を高める中で、こうした事件が発生した。スウェーデン軍は先週、ロシアの北方艦隊から3隻が到着したことを受け、バルト海の戦略的地点であるゴットランドGotland 島に装甲車、追加部隊数百人を配備した。スウェーデンはロシア海軍艦艇が同地域を離れたため、再び警戒態勢を敷いた。スウェーデン当局は、ロシアの動きが不規則であると感じており、海軍艦艇の配備とあわせヨーロッパの他の場所、特にウクライナとロシアの緊張の高まりとの関連性が議論の的となっている。

 

ストックホルムでの事件の調査結果と同様に、原子力発電所付近を飛ぶ無人機について、Säpoの調査から何が判明するかまだ不明だ。はっきりしているのは、スウェーデン政府が事態を非常に深刻に受け止めているということだ。■

 

Swedish Security Agency Declares A National Event As Drone Incursions Over Nuclear Sites Grow

 

BY JOSEPH TREVITHICK JANUARY 17, 2022


速報 フーシがアブダビを無人機で襲撃した模様 三名死亡

 breaking news 2x1


  • 1月18日にアブダビで燃料トラック爆発で3名が死亡した

  • 無人機による襲撃の可能性が浮上し、負傷者6名も発生

  • サウジアラビアに無人機攻撃を実行したフーシ派が犯行声明を出した

2022年1月18日、UAEのアブダビ空港付近で燃料運搬車が爆発し、少なくとも3名が死亡した。現地警察は無人機による襲撃事件の可能性を示唆している。


アブダビ警察は爆発で6名も負傷したとし、発生地点は石油企業ADNOCの貯蔵施設付近だったとUAE通信社WAMが報じている。

死亡したのはインド人2名、パキスタン人1名とWAMは伝えている。


アブダビ警察は「初期捜査から小型機の部品が見つかっており、無人機により爆発火災が発生した可能性がある」と述べている。


また同警察は「その他大きな損害は発生していない」と述べたとロイターが伝えている。


フーシ派はイエメン政権を2015年に放逐し、イランが支援していると糾弾されている。■



3 Dead As Abu Dhabi Fuel Trucks Explode in Suspected Drone Attack

 

Sinéad Baker


米海軍が次期フリゲート艦コンステレーション級の詳細情報を公表。日本の進めるFFMとは大きく方向がちがうことがわかりますね。

 

 

コンステレーション級フリゲート艦の最新の想像図NAVSEA / US Navy image.

 

 

海軍の次期フリゲート艦コンステレーション級の建造が今年始まる。開発主幹ケヴィン・スミス大佐から同級開発の最新状況が2022年1月11日から13日開催された水上海軍協会(SNA)年次総会で発表された。

 

 

 

発表でスミス大佐はコンステレーション級はあくまでもフリゲート艦であり駆逐艦ではない、またDDG同様の兵装は搭載しないと強調した。ただし、大佐は新型フリゲート艦の投入で重要艦艇の援護任務についているDDGの負担が緩和されると紹介した。

 

スミス大佐は建造契約はフィンカンティエリ・マリネット・マリンに2020年4月交付されており、現在は詳細設計段階にあると紹介した。大佐は主要装備となるイージス戦闘システムのベイスライン10などに取り組むとともに、電源供給、配管、消火などの各種サブシステムも進めていると述べた。

 

コンステレーション級建造は当初予想より遅れる

海軍長官は既に初期建造三隻の名称を発表している。コンステレーション(FFG-62)、コングレス(FFG-63)、チェサピーク(FFG-64)だ。フィンカンティエリがまず二隻を建造し、チェサピークは現予算年度でオプションとなる。事業の大日程でプレゼンテーションでは以下説明があった。

 

22年度の主眼点

– 詳細設計の完了:

           • Critical Design Review (CDR) 2QFY22

– 一番艦 (FFG 62) 建造の開始:

• Production Readiness Review (PRR) 3QFY22

– イージス戦闘システム開発と統合

– フィンカンティエリ設備投資をマリネットおよびスタージョンベイで完了する

– 推進系の陸上技術試験設備をフィラデルフィアに構築する

 

スミス大佐は報道陣に対し2022年4月を建造開始予定にしていると述べた。一年前にNaval NewsUSNI NewsはFFG-62建造開始は2021年と報じていた。

 

また、会場で一号艦建造の概要を以下紹介した。

  • 建造開始(SOC)2021年秋または2022年度Q1

  • 起工: Q1 FY2023

  • 進水: Q1 FY2025

  • 引渡し: Q3 FY2026

 

二号艦建造は2022年度Q3、三号艦は2023年Q3、四号艦は2024年度Q1と以後続く。

 

 


コンステレーション級の兵装とセンサー類(Screenshot from the presentation slides)

 

 

席上でスミス大佐から最新の同フリゲートの解説図が発表され、センサー兵装類の詳細も判明した。コンステレーション級の諸元は以下の通り。

 

  • 全長 – 496.1 ft (151.2 mt)

  • 艦幅 – 64.6 ft (19.69 mt)

  • 喫水 – 18 ft (5.48 mt)

  • 排水量 – 基準 6,016 tonnes, 満載7,291 tonnes

  • 出力 48,679 hp

  • 稼働期間 25 yrs


センサー、兵装、機関系

  • AEGIS B/L 10

  • レーダー – AN/SPY-6(V)3

  • 水中用 – AN/SQQ-89(V)16

  • MK 48 GWS

  • 1x MK 110 57mm Gun

  • 32-cell MK41 VLS

  • 16xNSM Weapon System

  • 1x MK 49 RAM Block III Point Defence Missile System

  • MK 53 MOD 9 NULKA Decoy Launching System

  • AN-SLQ-32(V)6 CM (SEWIP) BLK II EW System

  • Variable Depth Sonar, Multi-function Towed Array

  • Machinery: Combined Diesel-Electric and Gas (CODLAG) Propulsion Plant (LM2500+G4)

  • Aviation: 1xMH-60 Romeo, 1xMQ-8C UAV

  • 2xRHIBs

 

スミス大佐は米海軍の調達方針にも触れた。あくまでも設計変更せず、当初のRFPを堅持するとした。

 

スミス大佐は陸上設置技術試験設備についても触れ、推進系の操作運用含めリスク低減になると説明した。同様の構想がアーレイ・バーク級フライトIIIでもあったことに触れている。FFG-62級の初期作戦能力獲得(IOC)は2029年度が目標だ。米海軍はリードタイムが長い部品については調達を2022年度Q2から開始するとしている。■

 

US Navy's Constellation-Class: New Frigate to Start Construction This Year - Naval News

Tayfun Ozberk  15 Jan 2022

Tayfun Ozberk story with additional reporting by Xavier Vavasseur


2022年1月16日日曜日

中国の攻撃で既存基地機能喪失を想定し、非通常型地点への分散を進め、迅速に燃料等を再補給する米空軍のACE、FARP両作戦構想に注目。


大国間競合の現実を見てペンタゴンは従来の想定をあらため、互角の実力を有する敵国に対応する新方法を模索している。



米軍は中国やロシアが相手では、ここ20年間相手にしてきたアフガニスタン、イラク、シリアのような装備貧弱な戦闘員相手の戦いの再現にならないことを承知している。


中国軍・ロシア軍は米軍にとって現実かつ協力な脅威であり、全く違う戦闘に対応する必要がある。


まず、米軍は少なくとも紛争当初で、従来当たり前だった制空権を獲得できない。さらに、地上の米軍や基地も安全でなくなる。中国とロシアは、前方基地や国内の空軍基地を短距離、中距離、長距離の兵器システムで攻撃可能で、米国の防空設備を圧倒する数のミサイルを保有している。さらに極超音速兵器の出現で現時点の防空システムは防御不可能となったとされ、敵からの距離に関係なく基地の安全性は低下している。


ACEとFARP


そうなると、即席の空軍基地へ航空機を分散運用することが、ハイエンド戦で重要な意味を持ちそうだ。米空軍はこのことをよく理解し、2つの重要なコンセプトに取り組んでいる。アジャイル戦闘展開Agile Combat Employment (ACE)と前方兵装燃料補給拠点Forward Arming and Refueling Point (FARP)だ。


舗装未舗装の滑走路で空軍が有事に使用可能な地点を示す地図。ACE、FARPではこうした臨時飛行場を活用することになる。 (USAF via the War Zone).


アイアンダガー演習


日本で最近展開したアイアンダガーIron Dagger演習を見れば、米空軍がインド太平洋で中国相手に展開する戦闘の様相を示している。同時にACE、FARPの実戦の重要性が浮かび上がってくる。


アイアンダガー演習で空軍は354航空遠征航空団所属のF-35A編隊を事前通告ほぼなしの状態で岩国海兵隊航空基地に短時間で移動させた。これはアジャイル戦闘展開の実証となり、燃料、兵装の再補給を短時間で整備されていない環境で実施し、前方兵装燃料補給拠点の実効性を示した。


354航空遠征団司令デビッド・バークランド米空軍大佐Colonel David Berklandは、「今回の動的戦力展開(DFE)運用では、第5世代航空兵力をすばやく動員し、インド太平洋戦域に展開する能力を示せた」と述べた。「354航空団にとって、ACE運用を洗練させ、パートナーシップを強化し、共同相互運用性を研ぎ澄ます素晴らしい機会となった」。


演習では第18兵たん即応体制隊、第一特殊作戦飛行隊の空軍隊員がFARP部分の運用を支援した。


F-35A型B型はACE対応の認証を受けており、これまでも各種演習に投入されいるが、FARP能力の実証を今回取り入れたことで、実戦で敵を奇襲攻撃したり、敵の作戦立案を混乱させる効果が生まれると空軍は見る。


アジャイル戦闘展開では戦闘機の迅速展開運用能力を有する部隊を前提としている。


主要基地数か所に縛られず、戦域内に柔軟に戦力を展開する能力で地上の作戦状況に流動的に適応できることが、互角戦力を有する相手の打破をめざす部隊に最重要となる。


昨年の国防戦略方針が十分な戦闘力を迅速に展開する必要を明記している。陸海空軍は必要地域に迅速展開し、分散運用を維持する必要があるとしている。つまり、未整備地点や臨時航空施設からの運用を想定し、大型軍事拠点は真っ先に攻撃の標的になると想定している。


特殊戦術空軍隊員がA-10サンダーボルトIIを誘導している。高速道路を臨時滑走路とした。こうした対応がACE、FARP運用に必要だ。


例として中国と戦闘となった場合にインド太平洋地区の空軍部隊は機材を分散させ、中国ミサイルの攻撃で多数が地上で壊滅する最悪のシナリオを回避する。こうした攻撃では航空機を破壊しなくても作戦展開を不可能にすれば効果を発揮する。


ミサイル数発をうまく滑走路に打ち込めば、深刻な損害や破壊でき、直撃弾でなくても航空機が使用不能となる。空軍は滑走路の修理時間を短縮方法を模索しているが、滑走路の一部または全部が破壊されれば、修理完了まで基地の機材は地上に残ることになる。


この懸念は今に始まったことではないが、次の世界大戦の初期に空軍基地が攻撃される可能性は高まる一方だ。


機材を分散させ、迅速に移動させ空軍は生存力を高め、敵による壊滅を難しくできる。この方法なら、滑走路不要の特殊航空機の開発よりも、費用対効果が高く、実用的だ。

しかし、航空機に必要なのは滑走路だけではない。そこで登場したのが、FARPコンセプトだ。


FARP(前方兵装燃料補給拠点)作戦の基本は、スピードだ。F1のピットストップのように、一刻も早く戦闘復帰させるのが目標となる。FARP運用では、弾薬を使い切った戦闘機が着陸し、エンジンをかけたまま支援要員が燃料を送り込む「ホット燃料補給」を実施する。同時に、他の隊員も素早く武装を再装填し、すぐ戦闘復帰できるようにする。


F1レースでは、ピットクルーには世界レベルのアスリートでが多く、チーム内で特定の役割を果たすため、ディビジョン1の大学スポーツ部から直接採用されることが多い。FARPでも同様に、身体能力と精神力を必要とする。しかし、戦争のストレスに匹敵する体験は皆無だ。


FARP実行が技術的に難しいと認識し、空軍は有資格者を認証している。さらに、FARP部隊は一部の施設でのみ活動するとした。


F-22へホット燃料補給する空軍隊員。ACE とFARP により空軍は大国の脅威に対抗しつつ運用を続けられるとする。(DVIDS).


FARPコンセプトは一見斬新に見えるが、新規の発想ではない。特殊作戦部隊が何十年以前から運用している。第160特殊作戦航空連隊「ナイトストーカーズ」の精鋭パイロットは、アフガニスタン戦争の緒戦で、FARPコンセプトで作戦を持続展開した。ナイトストーカーのAH-6リトルバードは、アルカイダやタリバンの戦闘員を毎夜追いまわしたが、FARPがあったからこそ可能になっていた。 


アイアン・ダガー作戦参加のF-35AライトニングIIのパイロットは、「FARPでアイアン・ダガー参加のパイロットに利点が多く生まれた」と述べている。「滑走路さえあればどこにでも着陸し、迅速に燃料補給し再び離陸し、戦闘を継続する実体験と訓練を提供する場になった」「FARPの実行で敵の計算を複雑にする。FARPは、どこでも燃料補給し、戦いに参加する能力を示す」。


ACE とFARP は回転翼機にも応用される。写真はナイトストーカー隊のAH-6リトルバード (DVIDS).


固定翼機、回転翼機双方でFARPの恩恵を受けることができ、国防総省ではF-22ラプター、F-35共用打撃戦闘機、A-10サンダーボルトII、AH-1Zバイパー、F-15C、MQ-9リーパー、AH-6リトルバード、CV-22オスプレイなどの機材でFARPを採用、テストしている。


ACEとFARPで空軍部隊は戦略的に予測可能となり、作戦的に予測不可能になる。■


 

How the Air Force plans to re-arm fighters in the streets in a near-peer war - Sandboxx

Stavros Atlamazoglou | January 6, 2022


Stavros Atlamazoglou

Greek Army veteran (National service with 575th Marines Battalion and Army HQ). Johns Hopkins University. You will usually find him on the top of a mountain admiring the view and wondering how he got there.


 

2022年1月15日土曜日

【速報】1月4日F-35A胴体着陸の原因はバードストライクだった、韓国空軍予備調査結果を発表。

 

韓国聯合通信の記事からです。


胴体着陸の原因はバードストライクと空軍が発表


今月初め、緊急胴体着陸したF-35A戦闘機について南朝鮮空軍は左エンジン吸気口に鳥が衝突しためと1月14日発表し、正確な事故原因の追跡調査を行うとした。▼事故は1月4日にソウルの南151キロ瑞山基地の滑走路で発生し、パイロットは無傷だった。▼韓米共同での予備調査の結果を公表した。▼米国の専門家チームが訪韓し同機の航空電子システムおよび着陸装置が作動しなかった理由含む技術的な追加調査をすると空軍は付け加えた。▼米空軍は同機の胴体着陸について「憶測による」報道を控えるよう地元メディアに要請し、問題の重要性を考慮する姿勢を示している。▼韓国はこれまで、F-35A戦闘機30機以上を米国から受領し、合計40機を配備する。


An F-35A stealth fighter conducts a flying display during the opening ceremony of the Seoul International Aerospace & Defense Exhibition (ADEX) at Seoul Air Base, east of Seoul, in this file photo dated Oct. 15, 2019. (Yonhap)

An F-35A stealth fighter conducts a flying display during the opening ceremony of the Seoul International Aerospace & Defense Exhibition (ADEX) at Seoul Air Base, east of Seoul, in this file photo dated Oct. 15, 2019. (Yonhap)



Bird strike confirmed in connection with F-35A fighter's belly landing: Air Force | Yonhap News Agency