North Korean missile test. Image Credit: KCNA.
北朝鮮をめぐる議論で中国が大きな役割を果たすのは必然だ。中国と平壌は条約上の同盟国であり、北朝鮮の貿易の90%以上は中国を経由している。北朝鮮は中国と長い国境を接し、北京は当然ながら朝鮮半島情勢を懸念している。北朝鮮が崩壊したり、再び戦争となれば、中国にも影響が当然及ぶ。少なくとも、重大な危機が発生すれば、北朝鮮難民多数が国境を越え押し寄せてくるだろう。最悪の場合、中国と米国は崩壊後の北朝鮮の核兵器をめぐって、にらみあいの状態になる可能性もある。
しかし中朝関係は複雑である。北朝鮮は違法行為多数を行っており、兵器整備の資金が絡む犯罪取引のドルを中国の銀行に預けることが多い。北朝鮮制裁が強化されるにつれて、中国の銀行部門はアメリカから望ましくない注目を浴びるようになった。
また、北朝鮮は今月のミサイル実験のように、韓国や米国を挑発するのが日常茶飯事だ。このため中国は、国際社会が大量破壊兵器をカルト的でオーウェル的な専制政治の手に渡さないと願うにもかかわらず、ならず者国家の擁護という不愉快な立場にいつも立たされる。それゆえ、中国は北朝鮮と同盟関係にあるにもかかわらず、北朝鮮制裁の拡大を支持してきた。国連安保理は2006年から2017年にかけて制裁決議を9回決議したが、中国は毎回支持してきた。
中国が北朝鮮を支持してきた理由
朝鮮戦争以来、中国は北朝鮮を助けてきた。1950年秋、朝鮮戦争が北に不利になると、中国軍が介入し、政権を救った。アメリカ軍が半島に永久に駐留し、戦後日本にも駐留していたため、共産主義の中国は北朝鮮と正式条約を結び、両国は「唇と歯のように近い関係」と表現している。
両国関係は、冷戦中の出来事、特に中ソ分裂で揺れた。しかし、ソ連の崩壊後、中国は北の全面的な後援者の役割を果たすようになった。1990年代の一時期、北朝鮮は孤立していた。ソ連の支援は消え、中国は北朝鮮の悲惨な経済的機能不全を救済する十分な支援をしなかった。北朝鮮はこの時、崩壊寸前となり、人口の約10%が死亡する大飢饉に見舞われた。北京は、外部支援がなければ北朝鮮は崩壊する可能性が高いという教訓を得、それ以来、北京は平壌にさまざまなレベルの支援を提供している。
中国側も認めるように、北朝鮮が米国、韓国、日本との間で「緩衝材」になっている。北朝鮮は重度に軍国化されており、深い反米感情を抱いている。
中国が北朝鮮と決別する理由
中国エリート層は、カルト的で不透明かつオーウェル的専制政治体制の北朝鮮を支える意義を再考すべきである。ミサイルは、北朝鮮の内政に関与させないため北京にも向けられている。あるいは、これらのミサイル(あるいは少なくともその一部)は、好ましくないグループや国々に拡散されるかもしれないのだ。
バッファー理論とは、領土と軍事である。在韓米軍と日本の間には、120万人の兵士と数百万人の予備軍からなる反米軍が占拠する47,000平方マイルの領土がある。しかし、北朝鮮の通常兵力は大規模ではあるが、ますます時代遅れになっている。これが、北朝鮮が核武装に走った理由の一つだ。そして、核兵器保有国としての北朝鮮は、中国が望まない結果となる。
言い換えれば、北部の緩衝地帯は、もはや米国と同盟国の軍隊にとって、通常戦の障害にならない。逆に、この緩衝地帯は今や、展開が容易で、はるかに大きな損害を与え、海外の入札者に売りやすく、指揮統制や安全性などに大きなリスクを伴う危険な核・ロケット能力で武装されている。中国の国境にそのような国家が存在すれば、ある時点で、その価値以上に面倒なことになる。
中国は冷戦時代よりも軍事的にはるかに安全になっており、緩衝地帯の軍事的なメリットは減少している。中国は現在裕福であり、その経済規模は10年後にはアメリカより大きくなる可能性が高い。巨大な軍隊を含む大規模な近代的軍事力を有している。米国が中国を侵攻することはないだろうし、北朝鮮が崩壊すれば、朝鮮半島に米軍を駐留させる根拠はなくなる。
最後に、北朝鮮を解放すれば、中国の世界的なリーダーシップと信頼性を劇的に高める効果を生む。世界は中国の急速な近代化に敬服しているが、中国を信頼する国は皆無に近い。中国には同盟国がない。香港や台湾への圧力は、東アジア諸国を米国との同盟に向かわせ続ける。北朝鮮がなければ、この流れに歯止めをかけられる。
可能性は低いが、検討の価値はある
米中冷戦の激化に伴い、上記のシナリオはあり得ないと思われる。中国は伝統的に、アメリカ人を遠ざけ、国境に民族主義的な統一朝鮮国家が生まれるのを阻止するために、朝鮮半島統一に反対してきた。これは、中国の習近平国家主席の冷戦マインドに今でも説得力がある。しかし、北朝鮮の悪行をいつまでも救済する動きは弱まってきた。
中国が北朝鮮を支援すれば、世界の国々を遠ざけることになる。中国の原則的な、あるいは慈悲深いリーダーシップの効果が損なわれる。平壌の金一族が行う突拍子もない行為に対して、北京が部分的な責任を負わされる。北東アジアにおける米国の大規模なプレゼンスを正当化し続けることになる。北京の言うことを聞かず、グローバル・ガバナンスの最も基本的な規範に日常的に違反する核武装政権に力を与えることになる。中国の銀行システムや、北朝鮮とつながりのある党や軍のエリートに腐敗と腐敗を広げる。方程式は変化していく。■
Could China Cut North Korea Loose? - 19FortyFive
Dr. Robert E. Kelly (@Robert_E_Kelly; website) is a professor of international relations in the Department of Political Science at Pusan National University. Dr. Kelly is now a 1945 Contributing Editor as well.
中国にとって北朝鮮は放置できる国家でなく、常に注意を払うべき国である。記事のように中国が北朝鮮を見放すことは絶対有り得ない。
返信削除その理由は、大きく二つあり、共に中国が最も避けたい状況である。一つ目は、北朝鮮が戦争を引き起こし、あるいは親米宥和政策を採り、米軍が進駐し、鴨緑江を挟んでにらみ合いになることである。
もう一つは、南北朝鮮が統一し、民族主義国家ができ、中国東北部の朝鮮族にまで手を出し、反中姿勢をとることである。過去、朝鮮との戦争により、国が傾き滅亡した隋のような中華帝国があり、また、近世には清のように中国東北部からの侵略により中国全土が占領された。中国の東北部、及び朝鮮半島は、中国にとってまさしく鬼門である。
このように考えると、中国にとって最善なのは、朝鮮が南北に分裂し、北朝鮮の国力が弱く、なおかつ緩衝国となることであり、現在の北朝鮮の状況は、最も良いものと考えているだろう。中国は、北朝鮮が中国に依存し、生かさず殺さずの状態に置くことに最も注意を払っている。
さらに注意すべきは、中国が北朝鮮の核兵器、及びミサイル開発を容認し、それらを他国に流すことも放置していることである。これらは本来中国の力で根絶やしにできるはずである。例えば北朝鮮からイランへの核、及びミサイル、及びその技術の主な輸送ルートは、航空機によるものであり、中国経由である。個人的にはこれらの危険な横流しは、北京が取り仕切っていると考えている。
このように考えると、中国が北朝鮮の扱いに手を抜くなどあり得ないことである。