スキップしてメイン コンテンツに移動

合成麻薬の大量流入で米政府がいよいよ中国企業・個人をその他麻薬生産国同様に厳しい制裁の対象とし、政府横断的な対応を展開することへ。

  NOVEMBER 30: U.S. Treasury Secretary Janet Yellen testifies during a hearing before Senate Banking, Housing and Urban Affairs Committee on Capitol Hill November 30, 2021 in Washington, DC.

財務長官ジャネット・イエレンが上院銀行住宅都市問題委員会で証言したJ November 30, 2021 in Washington, DC. PHOTO BY ALEX WONG


ェンタニル摂取による死亡数は米国でヘロイン過剰摂取死亡を上回っており、中国はフェンタニル製造の中心だ。


中国企業4社および中国市民1名が米財務省の制裁対象となった。バイデン政権は大統領令で合成薬品の過剰摂取による死亡例増加に歯止めをかけようとしている。

 

大統領令2通が本日発表された。「多国籍組織犯罪に関する米国審議会の設置」「世界規模の薬物不法取引に関係する外国人に制裁を課す」はともにフェンタニル製造元を追求する政府の業務を助けようと発出された。フェンタニルは圧倒的に中国製が多い。

 

財務省発表では制裁措置をメキシコ、ブラジル、コロンビア、中国の個人10名組織15団体に課すとある。このうち中国企業はYuancheng Gongchuang Technology Co., Shanghai Fast-Fine Chemicals Co, Hebei Huanhao Biotechnology Co.. 、Hebei Atun Trading Co.の各社で、個人としてはChuen Fat Yipの名前が挙がり、財務省は「フェンタニル、アナボリック・ステロイド等合成薬物を米国に流入させ、同時にフェンタニル前駆体を個人・組織に販売する企業集団をまとめている人物」とある。

 

大統領令で発足する多国籍組織犯罪対策協議会は「政府全体で多国籍組織犯罪の脅威に対応するべく企画立案を進めるとともに法執行機関情報機関に総合戦略対応策を立案させ政府全体として行動、運用、対応していく」とホワイトハウスが発表している。

 

過去20年にわたり、「麻薬対策としての制裁措置は海外麻薬中心人物特定法で実施されてきた」と政府高官が説明している。

 

その後登場したフェンタニルはじめとする合成薬品は中国製が圧倒的に多く、ヘロイン等に代わり死亡例を多数生んでいる。しかし米政府は変化に対応しきれていなかった。2020年の麻薬製造、販売の大手リストをホワイトハウスが作成したが、1961年海外援助法が根拠となっており、アフガニスタン、コロンビア、メキシコ、ヴェネズエラ他をヘロイン、アヘン、コカイン等に関係していると列挙していた。ただし、中国の名はなかった。

 

上記1961年法は「植物原料の麻薬製造者または流通者を対象としていたが、合成薬品は対象外だった」と別の政府高官が説明している。■


Chinese Firms Targeted by New Biden Orders Meant to Curb Fentanyl, Synthetic Drugs - Defense One

NOVEMBER 30: U.S. Treasury Secretary 

BY PATRICK TUCKER

TECHNOLOGY EDITOR

DECEMBER 15, 2021


コメント

  1. ぼたんのちから2022年1月11日 2:10

    フェンタニル等、オピオイド系薬物による米国での死者数が交通事故を上回り、これを非常事態であると宣言したのは、オバマでなく、トランプであり、2017年10月のことである。
    この時の主な問題は、フェンタニルが処方薬として濫用されていたことであり、このことはその後製薬会社等への巨額賠償となったが、この記事の問題点は、違法薬物としてのフェンタニル等の流通であり、その主な供給源がCCP中国であると言うことである。
    2019年8月にトランプは、「習は、米国に大量に流れる合成オピオイド「フェンタニル」を取り締まるとの約束を果たしていない」と非難している。この時点で、米国は、違法薬物の製造・流通ルートを把握しているはずである。
    しかし、CCP中国は、「アヘン戦争の復讐」と位置付け、取り締まるどころか、恐らく国家公安部辺りで管理させ、北米の犯罪組織に供給していると推測する。
    日本でオピオイド系はあまり使用されず、知られていないが、極めて危険な合成麻薬であり、アヘン系薬物の作用を、化学合成・修飾で強めたものであり、致死量は低く、簡単に死を導く薬物である。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ