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無害な輸送機が恐るべきガンシップに進化した。AC-130のこれまでの推移、実戦経験と中国ロシア相手の将来の戦闘場面での役割について。

 




間の近接航空支援で米軍特殊部隊の最高の友、敵にとっては最悪の相手はAC-130ガンシップ以外にない。


60年近くにわたりAC-130の多様な型式が特殊作戦、通常部隊をほぼあらゆる戦場で支援してきた。


空軍が中国、ロシアとの将来の対決を想定して現実を重視する中、AC-130への関心がまた高まっている。


インドシナのジャングルからすべてはじまった


AC-130のルーツはヴィエトナム、カンボジア、ラオスのジャングルにさかのぼる。そこに最初のAC-130EスペクターがAC-47「マジックドラゴン・パフ」とともに初の実戦を体験し、地上部隊を支援した。


AC-47のヴィエトナム上空での活躍からニックネームが生まれた (YouTube).


その後、夜間性能が向上し、地上部隊が北ヴィエトナム軍やヴィエトコン部隊により壊滅されそうな場合を救う場面が増えた。ヴィエトナム戦争中にガンシップにより敵車両10千台を撃破している。


ヴィエトナム戦が終わったが、AC-130の供用は続き、他では得難い夜間近接航空支援の威力を発揮した。これまで6型式が生まれた。AC-130A、AC-130E、AC-130H、AC-130U、AC-130Jである。


特殊作戦で大活躍  


AC-130には三通りの主ミッションが設定されている。航空制圧、武装偵察、近接航空支援で、さらに二次的ミッションとして戦闘捜索救難、前線航空管制、情報収集監視偵察任務がある。


端的に言ってAC-130は空飛ぶ砲兵陣地となり、「パイロンターン」操縦で目標上空を大きな輪を描いて飛ぶ。これにより大量の砲火を標的に浴びせる。この方法だと機体に危険が及び、夜間運用にも制約が生まれるのは容易に地上から攻撃の的になってしまうからだ。


搭載する火力とセンサーが強力なためAC-130は火力の雨を降らせ、同時に貴重な情報を地上部隊に伝えるといった活躍ぶりを発揮する。AC-130Jゴーストライダーが最新型ガンシップで30mm、105mm砲を搭載し、スマート弾としてGBU-39小口径爆弾、GBU-69小型滑空弾、AGM-114ヘルファイヤミサイル、AGM-176グリフィンミサイルを発射する。


これだけ多様な兵装類を機内に収めると、一つ選ぶのが大変だ。通常は作戦の必要に応じ選択している。


「AC-130U時代の経験だが、25mmGAU、40mmボフォース砲、105mmりゅう弾砲を使う醍醐味を感じていた」とかつてAC-130で砲手を務めた元隊員が匿名で取材に応じてくれた。「その後の新型では新装備が開発されているね。だがなんといっても105mm砲が今も使用されている。105mm砲では使う砲弾により地上部隊支援の効果が違うが、敵に最大の被害を与えることが可能だ。物理的損害とともに心理的な効果も大きい。最も重要なのは、機内で砲弾を装てんし、ロックし、射撃し、次の装填へ移る作業の楽しかったことだね」


AC-130機内の強力なセンサー装備で有益な情報収集監視偵察機能が実現する。 (Wikimedia.org).


最新のAC-130の最高時速は415マイルで行動半径は3,000マイルでさらに空中給油を受けられる。


近接航空支援では現地上空での滞空時間が長いほど望ましい結果が生まれる。このため共用現地航空統制機Joint Terminal Air Controllers (JTACs) がAC-130ガンシップを誘導し、空中給油によりさらに滞空時間を延長できる機能を活用している。F-16では火力が少ないことに加え現地上空で滞空時間は30分しか期待できない。


第四特殊作戦飛行隊のAC-130Uガンシップ。AC-130U「スプーキー」はH型の改良型で機体側面から25mm、40mm、105mm火砲を運用する


AC-130の存在意義は地上戦闘部隊の支援につきる。正確、ときには接近し航空支援を提供することだ。AC-130乗員にとって米軍エリート特殊部隊への支援は特別な体験となる。「電子メールでは実際の体験だをとても伝えられない。昼間に起床してフライトスーツを着用し、装備をつかみ、搭乗すると離陸だ。一時間後にはストレスいっぱいの任務が待っている」と上記匿名の元乗組員が語る。


「ことにTIC(連絡先部隊)に対応し、こちらが現地に到着するまで米軍や同盟国軍部隊が抹殺されかねない状態だった」

AC-130の火砲に装てんする乗員(Wikimedia.org).


「現地に到着するや敵へ向かい、一時間かそこらで105mmを100発、40mmを256発発射すると、バグラム基地に帰投する。アドレナリンが大量に出る体験となった。味方を助けたものの、全員が無事帰還できることにならないんだ」「結局こんな感じだ。爽快感、やりがい感とともに罪の意識だね」


AC-130の今後の供用で大きな懸念が一つある。米軍や同盟軍が制空権を確保できない環境で同機が生き残り活躍できるのか。米軍はここ20年にわたり航空優勢があるのが当たり前の環境に浸ってきた。


「空の支配を敵と分け合うような状態になってもAC-130は有効な兵器となると信じている」「高速の敵機との交戦となればAC-130に勝ち目がないので、高速機編隊を低速爆撃機の援護にあたらせたWW2の再現となる」


空軍特殊作戦軍団(AFSOC)では特殊作戦用機材の限界を理解したうえで、敵が高性能機材や優秀な対空装備を展開する状況を想定し、AC-130の弱点を覆す装備品の開発が進行中だ。


一例としてAFSOCはAC-130で運用する巡航ミサイルの開発に取り組んでおり、ガンシップの輸送型MC-130コマンドーIIでも運用を想定する。巡航ミサイルが実用化されれば、AC-130の攻撃距離が大きく伸び、敵の対空戦範囲外からの攻撃に道が開く。これによりAC-130の生存性が高まる。


地上に連絡相手となる部隊が展開し、夜闇の中で圧倒的優位な敵を前に勝ち目がないと思われるとき、AC-130ほど頼りになる機材は他になく、105mm砲を機体から突き出した姿がすべてを物語る。■


AC-130: The cargo plane that became an arsenal in the sky - Sandboxx

Stavros Atlamazoglou | January 4, 2022


Stavros Atlamazoglou

Greek Army veteran (National service with 575th Marines Battalion and Army HQ). Johns Hopkins University. You will usually find him on the top of a mountain admiring the view and wondering how he got there.


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