VATTENFALL
原発以外にも機微施設上空で無人機の飛行目撃が続いており、スウェーデン警察当局が調査をはじめている。
スウェーデン警察は、フォルスマルク原子力発電所Forsmark Nuclear Power Plant付近で新たな無人機目撃があったと確認した。前日にスウェーデン当局が、同原発付近と国内のその他原子力施設2カ所付近で多数のドローン侵入事案があり調査中と発表していた。
一連の事件は「国家的特別事件」に分類され、スウェーデン当局がドローン操縦者の意図に懸念を抱いていることを浮き彫りにしている。スウェーデンでは、政府機関や空港など機密性の高い場所で相次いで無人機が目撃されている。
スウェーデン市民が、同国最大の発電施設フォルスマルクの上空で新たな物体を本日未明、発見し、警察に通報してきた。警察の広報担当者Jonas Eronenによると、現場に派遣された係官は自ら物体を観察し、無人機であると評価したという。目撃情報を受け、警察ヘリコプターと原子力発電所の現場警備隊が出動したが、無人機は捕捉されず、逮捕者は出ていないとスウェーデン国営公共テレビ放送SVTが報じた。
スウェーデン語の頭文字をとってSäpo(セポ)とも呼ばれるスウェーデン保安局は、今回の目撃情報について、「現在の捜査対象に含まれていない」とコメントを控えている。警察のエローネン報道官は、さらに事件が彼らの仕事に加えられることは十分に予想されると述べた。Säpoは国家レベルの法執行・情報機関で、スパイ対策とテロ対策任務を一部担う点で米国の連邦捜査局(FBI)に類似している。
Säpo社はフォルスマルク上空での無人機目撃事件と、南部リンハルスRinghals原子力発電所とオスカルスハムンOskarshamn原子力発電所に関する調査を引き継いだと発表した。この調査が、最近報告されたバルセベックBarsebäck原子力発電所(2005年に廃炉となり、2028年までに取り壊される予定)付近の目撃情報も含むかは不明。
地元紙Aftonbladetによると、首都ストックホルム、およびキルナKiruna空港とルレオLuleå空港付近の政府機関上空を無人機が飛行したとの別々の報告について、地元当局は調査を続けるという。ストックホルムでは、国会議事堂(Riksdag)と、隣接する君主カール16世グスタフ国王の公邸であるストックホルム宮殿上空で無人航空機が目撃されたと報じられている。キルナはスウェーデン最北端の空港で、ルレオはスウェーデンの北東、ボスニア湾沿いに位置する空港。
各事件の無人機については、詳細は得られていない。Aftonbladet紙は匿名情報源を引用し、「小型のプロペラ機ではなく、少なくとも2メートル(~6.5フィート)の翼を持つ大型ドローンだ」と報じたが、これらの主張を立証する証拠は提供されていない。国内テレビ局TV2の以前の報道では、少なくとも1機は 「風に耐えられるほど大きな機体」だったと説明していた。
無人機目撃情報からは、一転除けば他にはほとんど何もわからないままだ。明らかに懸念されるのは、無人機操縦者が誰であれ、何らかの邪悪な意図を持っている可能性があると懸念される。潜在的な脅威としては、スウェーデンの原子力発電インフラや電力網等をスパイすることから、関連する無線ネットワークのサイバーセキュリティ上の脆弱性などの潜在的弱点を調べることまで、さまざまな可能性がある。物理的に限らず脆弱性を発見しておけば、将来の情報収集活動や攻撃に役立つ可能性がある。
市販改造型を含む無人機が、商用電力インフラをはじめ、民間の機密施設や、軍事目標にもたらす非常に現実的な脅威がすでに十分立証されている。The War Zoneは、2019年にアリゾナ州のパロベルデPalo Verde原子力発電所付近で発生した、同様に気になる、まだ説明のつかない一連のドローン目撃情報を最初に報告していた。現在公開されている米原子力規制委員会(NRC)資料によると、2015年から2019年の間に、パロベルデだけでなく、米国の原子力発電施設24か所で60件の無人機目撃事案があったことが判明している。
昨年末には、米国当局がペンシルベニア州の変電所付近に墜落した無人機が、未遂に終わった同州内電力網への攻撃に関与した可能性が高いと判断したことが明らかになっていた。
スウェーデンが隣接するロシアの活動へ地政学的な懸念を高める中で、こうした事件が発生した。スウェーデン軍は先週、ロシアの北方艦隊から3隻が到着したことを受け、バルト海の戦略的地点であるゴットランドGotland 島に装甲車、追加部隊数百人を配備した。スウェーデンはロシア海軍艦艇が同地域を離れたため、再び警戒態勢を敷いた。スウェーデン当局は、ロシアの動きが不規則であると感じており、海軍艦艇の配備とあわせヨーロッパの他の場所、特にウクライナとロシアの緊張の高まりとの関連性が議論の的となっている。
ストックホルムでの事件の調査結果と同様に、原子力発電所付近を飛ぶ無人機について、Säpoの調査から何が判明するかまだ不明だ。はっきりしているのは、スウェーデン政府が事態を非常に深刻に受け止めているということだ。■
Swedish Security Agency Declares A National Event As Drone Incursions Over Nuclear Sites Grow
BY JOSEPH TREVITHICK JANUARY 17, 2022
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