North Korea Ballistic Missile Test. Image Credit: North Korean State Media.
朝鮮労働党中央委員会の第四回総会閉幕で18,400語におよぶ声明文が発表されたが、そこには同国による敵対政策、米韓同盟による敵対政策についての言及はいずれもなかった。
全体基調は国内問題に当てられ、経済、食料不足、COVID-19予防をイデオロギー面で行い、朝鮮人民が直面する困難な状況を乗り切るとしていた。安全保障及び外交政策関連では一文のみあった。「不安定さを増す朝鮮半島の軍事環境及び国際政治から国防整備には一寸の遅れも許されない」
1月5日に金正恩は軍事力整備計画を「力強く前に進め」るべく、日本海に弾道ミサイルを発射した。だが、これは金正恩のメッセージだったようだ。終戦宣言をめぐる動きへの反対意思表明だ。米韓同盟が国内問題に集中する北政権を放置することへの反対意思だ。金正恩は米国、中国、ROK、日本の戦略競合関係をかきまわそうとしているようだ。可能性が高いのは70年に及ぶ金一族による政権が新たな挑発を始めたことだ。制裁緩和の見返りに非核化交渉への復帰を持ち掛けるような譲歩を米国に信じこませようとするのかもしれない。いつもの脅迫外交だ。
政策決定層は金一族による政権での政治闘争戦略がこの脅迫外交に強く依存している点を心に刻むべきだ。緊張を著しく高め、脅威、挑発で政治経済面の効果を手に入れようとする。情報工作、影響力強化の戦略の一部に北朝鮮による挑発は米国韓国の北朝鮮政策が失敗しているとの批判に対応することがある。
ROK及び米国は報道、識者、一般大衆がともにこうした動きが北朝鮮の戦略の基本部分であることを理解し、同国が特定の目的のため挑発行為を働いている点を理解すべきだ。これは政策の失敗のためではない。逆に金正恩が引き続き政治闘争戦略を続けていることのあらわれだ。したがって対応では以下の枠組みを考慮すべきである。
1. 過剰反応しない。だが軍事演習の終了を推奨するような声に屈してはならない。金正恩の戦略に対しては孫子の助言を思い出すべきだ。「戦役での最大の重要点は敵戦略を攻撃することにある。次善の策として敵の同盟を崩すことがある」 国際社会、報道機関、ROK及び米国の一般大衆ならびにエリート層さらに北に暮らす住民に金正恩が何をしているのか伝えるべきだ。
2. 北朝鮮関連で緊張が増大、脅迫、挑発があっても絶対に引き下がってはならない。
3. 同盟間の対応を調整する。良き警官悪い犯人という構図が当てはまる場合がある。米韓両国の国内での政治批判は抑えるべきだ。批判勢力により政治行動に否定的な影響が及ばないようにすべきだ。
4. 北朝鮮の弱点をつく。金正恩への国内圧力をエリート層・軍部に作る。党、エリート、軍部に抵抗勢力を作る努力を続ける。ただし、各層は相互に絡み合っており連関する構造なのでこれは難題だ。
5. 力と決意を示せ。軍事力の誇示を恐れてはいけない。北のプロパガンダを誤解するべきでもない。北朝鮮がめざすのは米韓両軍の即応体制の低下であり、共同演習の縮小など北の要求を呑んではいけない。北は脅威を理由に演習の終了を望んでいるわけではない。目指すのは米韓同盟の弱体化であり、在韓米軍の撤収だ。
6.挑発の性質によっては決定的な対応の準備が必要だ。その際は外交、軍事、経済、情報なびに影響工作、サイバーなどを組み合わせ行使する。
北朝鮮問題への決定策はない。したがって、長期にわたる安全保障と半島の繁栄を図る解決策が必要だ。これにはROK/米国の政治闘争戦略が求められる。何よりも北朝鮮問題の解決に集中すべきだ。例として「半島分断は不合理」(1953年休戦合意時のパラグラフ60)がある。この問題の解決ならびに核問題の解決や人権蹂躙問題の解決さらに人道上の犯罪の解決をめざす。
この先の道には統合抑止戦略があり、広範な戦略競合の一部として域内に実現すべきだ。北朝鮮に関し「プランB」ではROK/米国の防衛力を組み合わせ、政治闘争、強硬な外交、制裁、サイバー戦、情報影響力活動を組み合わせ、目標となる非核化により「北朝鮮問題」の究極の解決をめざす。南北統一も一つの例だ。その際には北の非核化が実現するためには朝鮮問題が解決され、朝鮮合同共和国United Republic of Korea (UROK)の発足で初めて可能となると理解すべきだ。■
North Korea's Ballistic Missile Test: A 6 Step Strategy to Respond - 19FortyFive
HERMIT KINGDOM
David Maxwell, a 1945 Contributing Editor, is a retired US Army Special Forces Colonel who has spent more than 20 years in Asia and specializes in North Korea and East Asia Security Affairs and irregular, unconventional, and political warfare. He is the editor of Small Wars Journal and a senior fellow at the Foundation for Defense of Democracies (FDD). FDD is a Washington, DC-based, nonpartisan research institute focusing on national security and foreign policy.
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