機体はロッキード・マーティンF-35Bのようだ (Left image courtesy of the U.S. Marine Corps)
2021年11月、英海軍のF-35が最新鋭空母の旗艦HMSクイーン・エリザベスを発艦直後に海上墜落した。今回、事故機が地中海から回収された様子の写真がオンライン上に現れた。
画像は英海軍が公式確認しないまま、ツイッターに投稿されたが、その後削除された。投稿者を追跡すると写真撮影者ではないことがわかり、かつ投稿は先にあったこともわかる。ここに掲載したのはRedditユーザーのu/Longsheepのものだ。
ソーシャルメディアに登場した画像は墜落した英海軍所属F-35の機体下部であることは明らかだ
正式に認証されておらず、出所もあやしいが、たしかに英海軍が運用するF-35B型に見える。また、上下さかさまで甲板上に乗るF-35など多くあるはずもなく、画像が本物だと思わせるのに十分だ。
確かにひどい状態だが、画像ではステルス機の特徴がわかり、一体型兵装庫の扉も空いたままになっている。全体形状、塗装、主翼フラップ付近や前縁部のレーダー波吸収剤の色など総合するとF-35であることがわかる。ただし、英軍所属機なのかは断言できない。
画像が本物なら、今回の墜落事故関連で二回目のリークとなる。事故発生の数週間後に墜落時の動画がオンライン上に出現し、携帯電話で撮影した動画で艦内の監視カメラに流れた映像のようだ。リークは問題だが、映像を見ると墜落原因として整備時に空気取り入れ口カバーを取り外すのを忘れたとする説明の裏付けとなる。
同上映像を見ると、問題のF-35が飛行甲板末端のランプに近づく中、最悪のタイミングで減速しているように見える。ランプ末端に近づいたが、前方移動の勢いを喪失しているようで、パイロットは機体が機首から地中海に落下する寸前に射出脱出している。
F-35もその他軍用機同様に非稼働時には空気取り入れ口やエンジンにカバーをつけ、各所には安全ピンでエンジン他重要な部分をデブリや天候から保護している。中でも安全ピンは各種の安全対策としてつけられており、すべてに「飛行前に取り外せ」との赤色タグがつく。
駐機中のF-35Aに赤色タグがついている((U.S. Air Force photo/Airman 1st Class Caleb Worpel))
F-35でもフライト前手順としてカバーやピン全部を取り外すのだが、重要なのは全点取り外したか確認するチェックだ。最終的にパイロットも機体周りを歩き手順通りになっているか確認してから機体に乗り込む。
「レッドギアがエンジンに吸い込まれた場合は考えても恐ろしい。飛行中に発生することはあり得ない」と海兵隊退役でSandboxx News編集員のトニー・リッチが述べている。リッチは英海軍のF-35Bに先立ち登場したマクダネルダグラスAV-8BハリヤーIIの整備を担当した。
「FOD(異物デブリ)対策が整備員の存在意義のひとつだ。この対策は武器の安全規則への対応と同様の意味がある。この取り扱いがいい加減だと悪夢となる」
雨天用カバーなどが空気取り入れ口についたままだったなら今回のF-35墜落事故の原因として理解できる。カバーがエンジンに入り、内部を損傷し、エンジン一基搭載の同期では必要な推力が得られず離陸不能となった。また、大型リフトファンが損傷を受ければ、短距離離陸型のF-35Bで高度が確保できなくなったのだろう。
逆さまの英国F-35と思われるこの画像は、本物かどうかはさておき、目を離すことはできない。1億3400万ドル相当の国家機密がここまで無防備にさらされた姿は、そうそう見られるものではない。■
Image of British F-35 fished out of sea seems to emerge online - Sandboxx
Alex Hollings | January 21, 2022
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