スキップしてメイン コンテンツに移動

地球規模で貨物人員を迅速に送り届けるロケット貨物輸送構想を米空軍は真剣に検討している。このためスペースXと契約が成立。

  

2021年5月5日、スペースXは試作型ロケット、スターシップの高高度テスト飛行および着陸回収に成功した。空軍研究本部は同ロケット含む再利用可能な商用ロケットで世界各地への貨物輸送が実現できると見ている。 (SpaceX)

 

空軍研究本部(AFRL)がスペースXと5か年契約を結び、宇宙打ち上げ手段を地点間輸送に活用した場合の制約条件ならびに実現可能性を検討する。

 

 

契約は102百万ドル相当で、AFRLは再利用可能ロケットでの貨物輸送ミッションのデータを入手し、民生仕様が国防総省用途に応用できるか検討する。民間の技術成熟化を待って政府が利用するのがねらいとAFRLは説明している。

 

米空軍2022年度予算要求ではAFRLヴァンガード計画として画期的技術で新しい輸送手段の実現を目指すとあった。

 

AFRLは、解析、素材研究、風洞検査装置の開発で民間企業に契約を交付してきたが、今回のスペースX向け契約は打ち上げ機企業で初の交付となった。AFRLはその他の打ち上げ手段提供企業との契約も検討する。

 

AFRLでは次の四分野を重視している。民生軌道打ち上げ着陸装備からデータを集める、米輸送本部規格コンテナの取り扱い可能な貨物搭載スペースを確保しつつ迅速な積み下ろしが実施できるか、各種地形に対応する着陸装置を研究する、大重量貨物の打ち上げ着陸の一連の作業を実証することだ。

 

着陸時の仕様及び輸送本部(TRANSCOM)規格コンテナの互換性、さらに貨物積み下ろし手順は重要要素となる。国防総省は地点間輸送をめざしており、民生輸送業務より広範な応用が想定されるからだ。民間企業は既存施設を使っての貨物運送に主眼を置くが、軍では未整備地点も使う物資補給や人道援助の搬送を目指す。

 

そのため、AFRLは上空通過問題を回避すべく特異な飛翔軌道を含む幅広い可能性を模索し、未整備地への着陸も想定するほか、医療品含む各種貨物を人口稠密地近くに送り込む想定もある。

 

AFRLは商用技術を利用するため、通常の開発日程でお決まりのマイルストーンは適用されない。

 

AFRLは独自装備を開発せず、スペースXのデータを集め、最終的に大型貨物輸送能力を実証する。

 

このようにAFRLがロケット貨物便構想を追求しているが、TRANSCOMも独自に民間企業と連携し、同技術の可能性を求めている。2020年に輸送本部は共同研究位開発契約cooperative research and development agreements (CRADAs)をスペースXおよびxArcとかわしている。xArcは宇宙アーキテクチャ技術企業だ。また先月にブルーオリジンともCRADA契約を結んだ。

 

CRADAはTRANSCOMが別個に締結しているが、AFRL事業にも参考になりそうだ。

 

米宇宙軍はAFRLの動きを注視しており、とくに経済性と実現可能性を重視する。宇宙軍の宇宙システムズ本部のジェイソン・コサーン准将は昨年6月に記者団に宇宙貨物輸送手段が民間部門で実現する様子に関心を寄せており、宇宙軍への導入にもつながると述べていた。■

 

AFRL partners with SpaceX to explore Rocket Cargo potential

By Courtney Albon

 Jan 21, 05:29 AM


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ