2023年1月9日月曜日

ウクライナを支援するNATOのAWACSにカナダCBCが同乗取材---多国籍乗員によるISR活動の重要性がよく理解できます

 

ウクライナ戦で西側が物資のみならず情報でも有益な支援をウクライナに与え続けているのは、ロシアに取って目の上のたんこぶといったところでしょうか。カナダのCBCがNATOのE-3に同乗取材を許されました。


NATOと同盟諸国は、専用機に搭載された巨大なレーダーを使って、ウクライナの戦場をほぼ24時間体制で監視している。(David Common/CBC)

 

ウクライナ周辺におけるロシア軍を監視し、同盟国に情報を提供するNATOの高性能偵察機のおかげでウクライナは迅速対応が可能になっている。

 

NATOの空中警戒・司令機が、ポーランドとウクライナ国境のすぐ内側を飛行しているとき、実際の行動はその背後で起きている。戦時下のウクライナの奥深くをのぞき込む多数の機内レーダースクリーンに、監視員や武器管制官が群がっている。

 ロシアの軍事的な動きに関するリアルタイム情報は機密性が高いため、説明はない。しかし、高度な監視・通信機器を満載したE-3が搭載する巨大レーダードームを使って、何かを発見していることは明らかだ

 

 CBCニュースは10月中旬、ドイツに拠点を置くNATOの14機空中警戒管制システム(AWACS)の一機に搭乗する貴重な機会を得た。同機は陸海空のレーダーやその他監視技術を通じて日常的に情報を収集し、戦闘時にはNATO同盟国に戦場を見渡す情報を提供する。

 

ウクライナ全土のロシアの位置を示す機密レーダー画面を覗き込む隊員たち。CBCニュースは2022年10月中旬、NATOのドイツを拠点とする14機のうちの1機に搭乗する貴重なアクセスを得た。 (David Common/CBC)

 

ウクライナはロシア侵攻軍との戦いで領土を一部取り戻したが、西側情報が成功の重要要素であったのは明らかで、AWACSが提供する全体像もその一つだ。

 司令官たちは、航空機の400キロ先を「見る」ことができ、ウクライナ領空に接近するロシア戦闘機、攻撃に備える海軍船舶、ロシアの大型無人機を追跡できるシステムの能力を認めた。状況によっては、戦車など軍用車両も追尾している。

 AWACSは航空機以外に、ミサイルの進路も把握できるとカナダ王立陸軍大学のウォルター・ドーンWalter Dorn教授は言う。「解像度はガチョウの群れも追跡できるほどです」。

 

ウクライナ南部で今最も活発な活動

ジョアオ軍曹はその他乗組員と同様、保安上の理由でファーストネームしか名乗らない。ジョアオ軍曹は、南部で急増しているウクライナ反攻を押し返そうとするロシアの努力を認め、「クリミアで多くの活動が見られます」と述べた。

 公式には、情報は即座にNATO諸国にのみ送られる。しかし、NATO諸国には、情報をウクライナ軍と共有するところもある。ウクライナ軍は、迫り来る攻撃に対抗するため、また戦場全体におけるロシアの幅広い動きを理解するため、情報を利用していると広く認識されている。

 

「西側から、ウクライナはロシア軍のほぼリアルタイム画像を受け、効率的な戦闘作戦を組織できます」とカナダ地球問題研究所のアンドリュー・ラシウリスAndrew Rasiulisは言う。

 業務の性質上、乗組員が共有できる情報、およびCBCニュースが撮影できたレーダー画像は限られているが、同機に長年勤務するある隊員は、これを「自分のキャリアで最も有益な仕事」と表現している。

 また、この夏、ロシア機が黒海のスネーク島に接近し、爆撃を行った際に警告を発した。スネーク島はウクライナにとって非常に象徴的な島で、同島に配置された兵士が攻撃してきたロシア艦に無線で「ロシア軍艦よ、失せろ」と言ったことが知られている。

 最近では、ウクライナ軍が南部のロシア前線を突破し、クリミアからロシア戦闘機が出発する様子を、AWACS機がいち早く見届けている。

 

NATOは公式には、収集した情報を軍事同盟の加盟国だけで共有している。しかし、そのうちの何カ国かはすぐにウクライナ軍に情報を渡して、すぐに使えるようにしていることが広く知られている。. (David Common/CBC)

 

 

ロシア軍のサインが消えるのを目撃

数では圧倒的に劣るが、ウクライナ空軍はロシアの戦闘機や地上目標を攻撃し、機能し続けている。

 あるAWACS乗組員は、ウクライナ戦闘機とのドッグファイトや地対空ミサイルによる交戦の後、「ロシアのレーダー信号が消えていくのを見た」と述べた。

 NATO同盟国が、非同盟国のウクライナにリアルタイムの情報を提供することの微妙さを理由に、こうした行動における自分たちの役割を詳しく説明する者は皆無だった。

 しかし、多国籍乗組員のアメリカ人エリッサ上級曹長など、最近の出来事について話すことを許された者もいた。

 「ウクライナ戦闘機が離陸し、領空を守り、ロシア戦闘機を追いかけるのを見た」監視オペレーターは、地上と空中のロシアの位置を追跡する何百ものシンボルが散りばめられた照明付きスクリーンを前に、「彼らは反撃し、愛する国を支配しているのです」と言った。

 

AWACSは、戦場での航空機の監視に特化して運用されるが、強力な監視ツールを備えているため、400km以上離れた場所まで詳細に見られる。ドローンや戦車などを追跡でき、リアルタイムで情報を提供するとともに、ロシアが何を計画しているのか、時間をかけて広く把握することができる。 (David Common/CBC)

 

情報共有は西側の役割の一部に過ぎない

ロシアは、ウクライナへの武器や情報の提供を声高に批判し、反撃に出ると脅している。AWACSのある乗組員は、ロシア戦闘機が時折、距離を取りながらも高速で向かってきたことがあると語った。

 「確かに状況は違う」と指揮官のウェイン少佐は言う。

彼は過去に米空軍で紛争地帯に隣接する空域で勤務したことがある。中東などでは、「我々が懸念するような有能な空軍の脅威はなかったが、ここでの脅威ははるかに大きい」という。

 

 

乗員はみな、公表内容に慎重だ。外国の諜報機関は、「私たちが言ったこと、報告されたことをパズルのピースのように捉えることができる」と、NATO機の機長ウェイン少佐は言う。 (David Common/CBC)

 

 

NATO機の自衛能力は限られており、戦闘機の護衛付きで飛行することもある。ウクライナ戦争中にロシア機がAWACS機に嫌がらせをするためNATO領空に侵入したことは、公には知られていない。

 木曜日、イギリスの国防大臣は、ロシア戦闘機が9月29日に黒海上の国際空域をパトロール中の非武装の英偵察機の近くにミサイルを発射したと発表した。ベン・ウォレス国防相は議会で、これは明らかな事故で、意図的な緊張の激化ではないと述べ、ロシア側が調査した結果、誤作動が原因であったと指摘した。

 ラシウリスは、ロシア側は現在、この戦争をNATOとロシアの事実上の戦争とみなしており、冷戦期の暗い時代を思い起こさせると指摘した。「重要なのは、常に米・NATOとロシアとの直接戦闘を避けることだ」。

 AWACSは12時間以上滞空し、飛行中に米空軍タンカーから燃料補給される。米国やフランスなど多国籍クルーが運用する偵察機と組み合わせ、ウクライナの戦場をほぼ24時間体制で把握することができる。

 陸上だけではない。

 「AWACSは黒海の船舶を追跡し、ウクライナに警告とターゲティングの両方の情報を提供できます」とドーンは指摘する。「海上での追跡は、西側によるロシア製品への制裁措置の実施にも役立つのです」。

 母国からの制約で名前を明かせない乗組員の一人は、「敵に変化を生じさせている実感がある」 と語っている。

 元国防省官僚のラシウリスは、プーチンの最近の行動と、ウクライナ戦争が冬の陣へ発展する中、NATOが継続的に行っている支援活動を説明してくれた。

 

ほぼ絶え間なく戦争の監視を続ける

AWACSに搭乗する唯一のカナダ人は、コリン・ワイリー大尉だ。この記事のためフルネーム掲載の許可を得た。監視活動の管制官として、すべての探知結果は彼のもとに送られ、確認された後、地上のオペレーションセンターに直ちに送信される。ワイリーは、ロシア機が「低空を飛行し、再び上昇する」のを何度もスクリーンで見てきた。

 

 

A man in a military uniform with a Canadian flag patch on his right shoulder wears headphones and watches a radar screen on an AWACS aircraft.

カナダ空軍のコリン・ワイリー大尉は、ドイツのガイレンキルヒェンにあるNATO AWACS基地に少なくとも3年間赴任している。少なくとも週に一度は監視管制官として空中で、ウクライナの広大な地域とロシアの軍事機器や軍隊の動きを監視している。(David Common/CBC)

 

非現実的な仕事だと彼は言う。

「朝、ベッドで起きて、東側へ飛び、戻って夜ベッドで寝る。(戦争から)離れられない人たちのことを考えさせられます」。

 AWACSが日の出前に始まり日没後に終わる任務を終えドイツのガイレンキルヒェン基地に戻ると、別のNATO監視機がすでに空中で、ウクライナの空などをほぼ常時監視している。■

 

Flying just outside Ukraine, NATO's sentinel planes warn of Russia's battlefield moves | CBC News

David Common · CBC News · Posted: Oct 22, 2022 4:00 AM ET | Last Updated: October 30, 2022

 

ABOUT THE AUTHOR

 

David Common

David Common covers a wide range of stories for CBC News, from war to disrupting scams. He is a host with the investigative consumer affairs program Marketplace, and a correspondent with The National. David has travelled to more than 85 countries for his work, has lived in cities across Canada, and been based as a foreign correspondent in the U.S. and Europe. He has won a number of awards, but a big career highlight remains an interview with Elmo. You can reach David at david.common@cbc.ca, Twitter: @davidcommon.


2023年1月8日日曜日

大晦日の夜に恐ろしい攻撃を受けロシア兵が大量に戦死した事件の背景。

 

HIMARS

HIMARS. Image Credit: British Army.

 

 

シアはウクライナ軍から致命的なロケット攻撃を受けたのを兵士の不注意のせいにしている。 戦闘中の休憩時間に個人の携帯電話の使用を控えるのは、どの兵士にとっても難しい。しかし今回は実際に、携帯電話の使用が命取りになったようだ。ウクライナ軍は携帯電話の位置情報を利用しロシア軍を収容する建物を攻撃し、元旦の真夜中過ぎに数十名が死亡したと伝えられている。

 ロシア国防省は、ウクライナのHIMARSから少なくとも25発のロケット弾が発射され、ロシア兵89人最大の戦死者と思われる。ウクライナは、死者数は数百人にのぼると考えている。

 

HIMARSの再攻撃 

ロシア兵は、ドネツク東部の町マキィフカの職業訓練校で休んでいたが、彼らの位置がウクライナによって追跡された。その後、HIMARSロケットがその場所に降り注ぎ、建物は完全に破壊された。

 ロシアの将軍は、携帯電話の使用は「無許可」なまま、広まっていると述べた。兵士たちは、携帯電話を使用すれば敵に見つかると警告を受けている。

 ロシアを批判する向きにとって、今回の事件は戦闘がうまくいっていない証拠だ。犠牲者は前線近くにいることに慣れていない徴募兵で、携帯端末を使う危険性を知らなかったのだ。

 

最も忠実なロシア人作家でさえ不満を感じている

ある親ロシア派のブロガーは、政府発表に不満を持ち、標的はウクライナのドローンや他の索敵装置により行われた可能性があると主張している。ロシアに有利なニュースを明らかにするセミョン・ペゴフSemyon Pegovは、国防省発表は 「説得力がない」、「非難の矛先を示す露骨な試み」だと述べた。

 ペゴフは、実際の死者数はロシア国防省発表より多いとみている。

 

弾薬庫の近くで休憩する兵士たち

他の独立系作家は、建物の選択について、弾薬庫の近くであったため、爆発がより強力になり、さらに兵士が殺されたと批判している。

 ロシア軍の陣地に深く入り込み、しばしば兵站や補給地を攻撃するHIMARSロケット弾に、軍はまだ慣れていない。米国が提供するHIMARSでウクライナ軍は驚きと勢いを得つつ、戦争における主導権を握っている。

  

ウクライナは電子戦に優れている 

今回の攻撃は、ウクライナが戦場でロシアを打ち負かすために高度な戦術を駆使しているあらわれだ。今回の標的は、NPOがウクライナに提供した高度な市販電子戦装備を使用することで嗅ぎつけられたようだ。

 

非営利団体から提供された機材が効果を発揮 

このシステムはSoftware Defined Radioと呼ばれ、5G携帯電話の会話やBluetoothを含む敵の無線通信を検知し、位置を特定できるという。また、Software Defined Radioは、敵のドローンや司令部に対しても使用される。

 ただし、このシステムは高価で、ウクライナ軍には手が届かないが、ニューヨークのAmerican Ukrainian Aid Foundationが提供しています。同キットは、各種無線システムを感知するソフトウェアを前線でプログラム可能で、ターゲットデータをHIMARSロケットランチャーに送る。

 

非対称戦の最たるもの

これは、ウクライナ軍が非対称戦争を巧みに利用しているもう一つの例で、ロシアが戦争中に直面すると考えもしなかったダビデ対ゴリアテのシナリオだ。送信場所を追跡され、ピンポイントで攻撃されたら、ロシア軍はどうやって通信するのだろうか。ロシアは通信手段を調整し、無線通信は短時間の使用にとどめ、個人的な携帯電話の使用は控える必要がある。

 戦争が長引けば長引くほど、ウクライナ戦闘員は、同盟国の政府だけでなく、時には公式な手段よりも早く高度装備を前線に送り出すNPOなど、西側の支援で熟練度をあげていく。

 ロシアが電子戦に不慣れかつ未熟な徴募兵に依存を深めれば、危険なHIMARSや通常砲撃に屈することになる。■

 

 

Putin Knows His War in Ukraine Is Falling Apart Fast - 19FortyFive

 

ByBrent M. Eastwood

Author Expertise and Experience: Serving as 19FortyFive’s Defense and National Security Editor, Dr. Brent M. Eastwood is the author of Humans, Machines, and Data: Future Trends in Warfare. He is an Emerging Threats expert and former U.S. Army Infantry officer. You can follow him on Twitter @BMEastwood. He holds a Ph.D. in Political Science and Foreign Policy/ International Relations.


 

米海軍もXQ-58Aを評価試験用に導入。自律型無人機の運用はこれからの標準になる。日本の準備は大丈夫か。変化の早い今だからこそしっかり未来をにらんでいてほしい。

 艦載機特に戦闘機パイロットの存在意義をめぐり、無人機導入に抵抗があった米海軍でもここに来て無搭乗機材の活用は避けられないと開発試験を加速化しています。空軍に続き同じ機材を試験用とは言え導入するのは、海軍が空軍の知見を活用したいと思惑が見えてきます。さて、これまで無人機については及び腰だった日本ですが、遅れを取り戻すことができるのかが2030年代の安全保障環境に影響を与えそうですね。The Warzoneの記事です。


Navy Buys XQ-58A Valkyries For Secretive ‘Killer’ Drone ProjectUSAF

米海軍が導入するXQ-58Aは、敵防空網を突破する自律型ドローンの能力実証で役立つ 

米海軍がクレイトスのXQ-58A Valkyrieドローンの最新のオペレーターになる。海軍はPenetrating Affordable Autonomous Collaborative Killerと呼ぶ新プログラムの一環として、ステルス低価格の同型2機の購入契約を同社に交付した。現在のところ、XQ-58Aの唯一のユーザーが米空軍で、機密扱いの共同戦闘機プログラムプロジェクトを含む様々な試験目的で使用中だ。

海軍がXQ-58Aをどう使用するか詳細は不明だが、今回の無人機購入は、海軍の将来的な無人化へのビジョンと、拡大し続け、大きな利益を生む可能性があるこの市場におけるクレイトスの位置づけに関して、重要な進展と言える。

国防総省は2022年12月30日、毎日の契約通知で、海軍がXQ-58Aを2機購入する契約を確定させたと発表した。契約は、海軍航空システム本部(NAVAIR)の海軍航空戦機部門(NAWCAD)を通じ行われ、15百万ドルで、生産と配送、不特定の 「センサーと武器システムのペイロード」が対象。

通知によると、無人機は、「貫通型安価な自律型協調キラー - ポートフォリオの目標を達成する」ため使用される。これには「非経常的なエンジニアリングサービス、システム/サブシステムの統合、設置、試験、地上・飛行運用、ロジスティクス、メンテナンス、および政府試験場での飛行試験と実証実験のため政府所有のまま請負業者による運用」が含まれるとある。作業は、9月30日に終了する今年度中に完了するとある。

契約通知には、対象のXQ-58Aが改良型ブロック2バージョンかどうかは書かれていない。両機の正確な性能は不明だが、クレイトスのウェブサイトによると、ヴァルキリーは海抜45,000フィートまで飛行可能で、最大航続距離は3,000マイルという。ペイロードは同社によれば、最大6,000ポンドになる。XQ-58Aは、各種センサーやその他のシステムを迅速に統合できるよう、モジュール式のオープンアーキテクチャ設計だ。

米空軍のXQ-58Aが2021年にテストされた  USAF

XQ-58Aは、地上ランチャーからロケットアシスト方式で離陸し、パラシュートで地上に帰還する。これにより滑走路に依存しない。クレイトスは以前から、ヴァルキリーが容易に展開できるプラットフォームであると宣伝しており、コンテナ型ランチャーのコンセプトも示していた。

国防総省の契約通知には、海軍が合衆国法典第10編第4023節の権限を行使し、特に実験目的の各種調達に適用され、競争なしでクレイトスを指名したと書かれている。

「貫通型アフォーダブル自律協働キラー」という説明と、「センサーと兵器システムのペイロード」の両方についての言及から海軍のねらう中核的な目的で強いヒントがわかる。これは、敵防空網を突破し、高度自律性で活動できるステルス無人プラットフォームを複数開発する計画で、潜在的にはネットワーク化された群として、有人プラットフォームと共同し多様な任務を遂行すると示唆している。これには、情報、監視、偵察(ISR)または通信ノード(いずれの場合もメッシュ・ネットワークの一部として)として機能すること、電子戦ノードとして機能すること、その他、空や地上の敵脅威と直接交戦することなどが含まれる可能性がある。

空軍は、協調型戦闘航空機材Collaborative Combat Aircraft(CCA)プログラムの目標を説明するため、同一ではないにしても、多くの類似した用語を使用している。さらに、CCAは、空軍の大規模な次世代航空支配(NGAD)構想の一部でもある。NGADには、新型無人機以外に、第6世代有人戦闘機の開発や、新型い高度なセンサー、ネットワーキング、戦闘管理スイート、兵器システム、次世代ジェットエンジンなど、さまざまなプロジェクトが含まれる。

給油中の第6世代戦闘機の想像図。Lockheed Martin

ロッキード・マーチン

海軍は独自のNGADプログラムを持っており、機密扱いだが、F/A-XXと呼ぶ第6世代戦闘機を含め、空軍と多くの点で類似している。また、海軍関係者は過去に、将来の空母航空団の航空機の50%以上が無搭乗になる可能性があると発言している。そのため、NAVAIRによるXQ-58Aの2機購入が、同軍のNGADの取り組みのうち、CCAのようなサブコンポーネントと結びつく可能性は大いにあり得る。

2019年以来、空軍はXQ-58Aを使用して、高度な自律機能、通信およびデータ共有スイート、CCAプログラムで取得する可能性を含む将来の無人機につながるその他システム、ならびに乗員付きプラットフォームに関する作業をサポートしてきた。2022年11月、フロリダ州エグリン空軍基地の第96試験飛行隊は、2機のヴァルキリーが第40飛行試験飛行隊に加わり、自律機能関連の試験を開始したと発表した。

空軍は2021年、わずか3回の飛行を終えた最初のXQ-58Aを引退させ、博物館に送ると決定し、同機の設計が低コスト重視であることも浮き彫りになった。当時、空軍の広報担当者はAviation Week誌に対し、同無人機は 「大規模なアップグレードや修理 」を想定していなかったと語っている。

ヴァルキリーの正確な現在の単価は不明だ。クレイトスが昨年発表したデータでは、年間50機生産した場合、約400万ドルになるとされているが、同社は過去に、100機以上の生産では200万ドル以下になる可能性があると述べていた。

このように考えると、海軍が保有する2機のXQ-58Aも同様に試験支援用で、空軍の知見を活用できる可能性がある。逆に海軍の自律化技術は、空軍の様々な先進的なドローン開発に活用されている。米軍は無搭乗機とのチーミング・コンセプトに長年取り組んでおり、2015年には海兵隊のAV-8Bハリアー・ジャンプジェットとクレイトスUTAP-22マコ・ドローンを連結し飛ばすテストも行った。

同型のドローンが作戦行動機材に移行することは予見していないのかもしれないが、それでも今回の機材は、さらなるヴァルキリーや改良型につながるかもしれない、そうした能力への貴重な足がかりにもなるだろう。

もちろん、ロッキード・マーチンノースロップ・グラマンジェネラル・アトミックスボーイングレイセオンなど、米国の主要な防衛関連企業も最近、将来の無人プラットフォームと、さらに高度な自律性と乗員・無人チーム編成コンセプトを支える技術のビジョンを打ち出している。こうした作業の多くは、少なくとも部分的には、空軍で発展途上の CCA 要件を満たすのが目的のようだ。しかし、多くは、海軍の同様のプロジェクト、たとえば「貫通型安価な自律型共同殺人機」のポートフォリオにも適用できる。

はっきりしているのは、有人機やその他無人機と連携できる高度自律性があり、比較的安価な大量の高度無人機を、将来の米国の航空戦力の重要な構成要素と米軍がみなすようになってきたことだ。この視点は、特に中国やロシアといった潜在的な互角戦力を有するの敵対国に対する、将来の高度紛争の計画時に顕著になる。例えば、米政府と契約するシンクタンクなどは、XQ-58サイズやそれ以下のドローンを混合した高度に自律的な群れが、中国の台湾への軍事介入時でのアメリカの反応シナリオで、ゲームを変える可能性を一貫して示している。

高度な無人航空機と自律型テクノロジーの開発と実用化で大きく進歩している中国の国営航空産業や、米国の同盟国協力国多数も、同様の結論に達しているようだ。

以上を念頭に置き、2022年11月にクレイトスが発注元二箇所からXQ-58A受注を見込んでいると述べていたことが興味深い。うち1つが米国海軍だと判明した。もう1つは未公表のままだ。同社は当時、別の無名の「第4の新規顧客でヴァルキリーシステム複数と」と交渉中と述べていた。■

 

Navy Buys XQ-58A Valkyries For Secretive 'Killer' Drone Project

 

BYJOSEPH TREVITHICK|PUBLISHED JAN 2, 2023 6:28 PM

THE WAR ZONE

 


2023年1月7日土曜日

M2ブラッドレイ歩兵戦闘車両はウクライナ戦にどんな活躍をするのか。保守整備のインフラ確保が課題になる

 ウクライナ軍はブラッドレイ歩兵戦車を有効に活用できそうですね。これが突破口になれば次は主力戦車の供与も視野に入ってくるのでしょうか。ロシア軍がどう対抗するのか、冷戦時からの戦術の有効性が試されそうです。Task and Purpose記事からです。

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25mm砲を発射するブラッドレー戦闘車両 (Staff Sgt. Charles Porter/U.S. Army).

 

国政府はウクライナにブラッドレイ戦闘車を提供すると発表した。ブラッドレー戦闘車は、ロシアやソ連時代の車両よりウクライナ軍の保護と機動性が高くなると、専門家は語っている。

 


 国防総省報道官パトリック・ライダー空軍准将は、木曜日にウクライナへの次回米軍援助にブラッドレイ戦闘車両が含まれると確認したが、それ以上の詳細は不明だ。

 ブラッドレは、ソ連時代のBMPやBTRの旧型など、ロシアの侵攻以前からウクライナ側が保有する戦闘車両のほとんどと比較し、重要な利点があると、ランド研究所で防衛政策を研究しているJ.D.ウィリアムズ退役海兵隊大佐は言う。

 ウィリアムズは、ブラッドレは無限軌道車両で、車輪付き車両より機動性があり、特にウクライナの冬から春にかけての泥だらけの時期に威力を発揮すると語った。

 ブラッドレ戦闘車両は光学系、射撃システム、通信などでも、ソ連時代装備より進んだ戦闘システムを持っているという。ブラッドレーは25mm砲とTOW対戦車ミサイルを装備し、BMPやBTRよりも生存率が高い装甲アップグレードがつく。

 BMP-1やBMP-2は装甲が薄く、部隊が出入りする後部ドアに外装燃料タンクがあるため、後方の待ち伏せに弱いという。

 

2021年2月21日、リトアニア第21ドラグーン大隊との合同訓練に参加し、ブラッドレ戦闘車の後部から下車する歩兵部隊。(Sgt. Alexandra Shea/U.S. Army)

 

 

第1騎兵師団を率い、イラク多国籍軍団を率いたピーター・キアレリ退役陸軍大将retired Army Gen. Peter Chiarelliは、「ロシアは、乗員の生存率を我々ほどに真剣に考えない」と述べた。

 例えば、ソ連時代ロシアの戦車は共に砲塔基部に最大20発の弾薬が入るオートローダーがつくが、戦車が攻撃を受ければ全てが爆発する可能性があるとキアレリは指摘する。その際、戦車砲塔は空中に放り出され、「ジャック・イン・ザ・ボックス効果 」と呼ばれる恐ろしい爆発が発生する。

 ブラッドレ戦闘車両が乗員と車内の兵士を守ることは、ウクライナ軍の規模や戦歴を考えれば、特に重要であるとキアレッリは指摘する。

「歩兵に多大な監視を提供する」とキアレッリは言う。「比較的安全な車両で、有利な位置へ移動できるのです。ウクライナ軍は、我々ほど多くの装備がないので、より多くの兵士を乗せることができると確信している」。

 イラク戦争でブラッドレ戦闘車両は都市環境で真価を証明した、と彼は言う。

 

2020年12月16日、シリア北東部でのM2ブラッドレー歩兵戦闘車 (Spc. Tarako Braswell/U.S. Army Reserve)

 

 

ブラッドレはソ連やロシア装備より火器管制システムが優れていることもあり、ウクライナ軍がロシア軍を攻撃した場合、現在のBMPよりブラッドレ戦闘車の方が役に立つだろうと、ワシントンDCのジェームスタウン財団シンクタンクで働く防衛アナリストのフリブ・パーフォノフHlib Parfonovは言う。

 パーフォノフによれば、ブラッドレを修理し、維持するスペアパーツがウクライナ側に十分あるかが最大の課題だという。

 ウクライナ軍は、アメリカのM113ギャバン、イギリスのFV103スパルタン、フランスのVABなど、戦闘車両をすでに受け取っているだけでなく、BMP-3など、ロシアから鹵獲した車両も使用している。

 「UAF(ウクライナ軍)の整備は地獄と紙一重だ」とパーフォノフは言い、各種車両を「動物園」のように抱えているため、スペアパーツ確保が難しいと付け加えた。

 しかし、元米陸軍ヨーロッパ司令官ベン・ホッジス退役中将 retired Army Lt. Gen. Ben Hodgesは、米国にはブラッドレ戦闘車数千台があるので、ウクライナ軍向けスペアパーツの確保は大きな課題ではないと指摘する。

 ホッジスは、「ポーランドやドイツ、スロバキアなどに持ち帰るのではなく、ウクライナ国内で各種車両を修理できるメンテナンス能力の確立が必要だ」と述べた。

 ホッジスは、民間企業がウクライナ郡の能力を向上させ、各種軍用車両など装備の修理を支援するか、米国同盟国がウクライナ整備士を訓練し、ウクライナ国内で作業を行えるようにすることを提案している。

 最終的には、ウクライナによるブラッドレ修理を支援する方が、旧ソビエトやロシア車両のスペアパーツを見つけるより簡単かもしれない、とキアレッリは言う。

 また、キアレッリは、ウクライナ軍のブラッドレイの運用訓練には数ヶ月ではなく数週間かかるとも語っている。高機動ロケット砲装備HIMARS(High Mobility Artillery Rocket Systems)のような新技術の使い方を素早く習得することにウクライナは非常に長けていることが証明ずみだ。

 ブラッドレ戦闘車について覚えておくべき重要なことは、搭載歩兵隊と一緒に働くことだ、とキアレッリは言う。

 「ウクライナ軍は、私が遠くから見た限りでは、都市部での装甲歩兵チームの重要性を理解している」とキアレッリは言う。「ブラッドレは歩兵隊の監視役となり、歩兵は市街地でブラッドレを近接防御する。市街地では、どちらか一方が欠けてもうまくいきません。歩兵と装甲兵のチームが非常に効果的なのです」。■

 

 

Here's how Ukraine could use the Bradley Fighting Vehicles it's getting from the US, experts say

Bradley Fighting Vehicles proved their worth in urban environments during the Iraq War.

BY JEFF SCHOGOL | PUBLISHED JAN 5, 2023 3:19 PM

 

 

Jeff Schogol

Jeff Schogol is the senior Pentagon reporter for Task & Purpose. He has covered the military for 15 years. You can email him at schogol@taskandpurpose.com, direct message @JeffSchogol on Twitter, or reach him on WhatsApp


日本周辺の海上安全保障の状況 1月4日以降 PLAN水上行動部隊の動き、空母山東など

 

PLAN巡洋艦CNSラサ Lhasa(102)、駆逐艦CNS開封 Kaifeng(124)、補給艦CNS太湖 Taihu(889)の進路。JSDF Photo.

民解放軍海軍(PLAN)の水上アクショングループと監視艦が、太平洋から東シナ海に戻った。

防衛省統合幕僚監部(JSO)の1月4日報道発表によると、月曜日午後11時に、PLAN艦3隻が与那国島の南東160km海域を北西に航行するのを発見した。与那国島は台湾東海岸から108キロ。画像と船体番号から、巡洋艦CNSラサLhasa(102)、駆逐艦CNS開封Kaifeng(124)、補給艦CNS太湖Taihu(889)と確認された。

発表によると、PLAN水上アクショングループは火曜日、与那国島と西表島間の海域を北東に航行するのを目撃され、その後、日本が領有し中国と台湾が主張する尖閣諸島の一部、魚釣島の西70km海域を北へ航行していた。

海上自衛隊の護衛艦「とね」(DE-234)、海上自衛隊鹿屋航空基地所属の第1航空団のP-1海上哨戒機、那覇航空基地所属の第5航空団のP-3CオライオンMPAがPLAN艦を監視した。

また、海上保安庁によると、同日午前4時頃、宮古島の東60キロ海域を北上するPLAN東調級監視船が目撃された。船体番号と画像から、CNS凱陽興 Kaiyangxing (796)であると確認された。発表によれば、PLAN艦艇はその後、宮古海峡を北上し、東シナ海に向かった。第5艦隊航空団の海上自衛隊P-3CオライオンがPLAN艦を追尾した。

一方、中国国防省は 14 日、空母 CNS山東 Shandong(17)から J-15 戦闘機が南シナ海で飛行作戦を行っている様子を映した ビデオを公開した。動画で、同国防省は空母が最近、南シナ海で戦闘訓練を行い、「J-15戦闘機多数が空母から発艦し、空中で激しく戦った」と述べるにとどめた。空母の飛行甲板では、アレスティングギアの故障に取り組む緊急対応訓練が同時に行われた」と同省は述べている。

日本では金曜日、浜田靖一防衛相が林芳正外相と、1月11日にワシントンDCで日米安全保障協議委員会(2+2)を開催すると発表した。ロイド・オースティン国防長官、アントニー・ブリンケン国務長官と会談する。また、浜田とオースティン両名は日米防衛大臣会合を開催する。

ホワイトハウスのニュースリリースによると、2つのイベントは1月13日にワシントンで行われるバイデン大統領と岸田文雄首相の会談の前に行われ、「朝鮮民主主義人民共和国の大量破壊兵器と弾道ミサイル計画、ロシアによるウクライナに対する残虐な戦争、台湾海峡の平和と安定維持など地域と世界の諸問題について話し合う」。

韓国では、韓国海軍(ROKN)が金曜日に、3艦隊の戦闘準備態勢の年次評価の一環として、水曜日に分隊レベルの訓練を実施したと発表した。韓国第 2 艦隊は、泰安半島の西 80 キロメートルの黄海海域で訓練を実施した。

訓練を実施した艦船は、駆逐艦「乙支文徳」 Eulji Mundeok(DDH-972)、フリゲート「京畿」Gyeonggi(FFG-812)、ミサイル哨戒艦「洪秀」Hong Siuk(PKG-723)、グムドクスリ級哨戒艦、およびAW-159 Wildcat ヘリコプター。訓練では、ヘリコプターの発着、戦術的な演習、対艦・対空艦砲撃が行われた。一方、第1艦隊と第3艦隊は、フリゲート艦の大邱Daegu(FFG-818)、東海Donghae(FFG-822)、光州Gwangju(FFG-817)、ミサイル哨戒艦の林炳瑞Lim Byeongrae(PKG-722)、金昌鶴(PKG-727)、李炳春Kim Changhak(PKG-733)とゴムドック級哨戒艦で東海と黄海で合同訓練を実施し、各艦は戦術操艦と砲撃訓練を行った。

オーストラリア国防総省は 1 日、ノルウェーのコングスベルグと、オーストラリア海軍のアンザック級フリゲート8隻とホバート級駆逐艦 3 隻でハープーンミサイルを代替する海軍打 撃ミサイル(NSM)の購入契約を締結し、2024年から同システムが運用を始めると発表した。NSMとオーストラリア陸軍の高機動砲ロケットシステム(HIMARS)システムの購入で、オーストラリア国防省は10億豪ドル(約677億円)を支出すると発表した。■

PLAN Surface Action Group Operating in East China Sea; Japan and U.S. to Hold Security Talks

By: Dzirhan Mahadzir

January 6, 2023 4:09 PM

https://news.usni.org/2023/01/06/plan-surface-action-group-operating-in-east-china-sea-japan-and-u-s-to-hold-security-talks

 


2023年の展望② ウクライナ戦の決定要因は弾薬数だ。西側防衛産業は増産が不可避となる

2023年の展望。ウクライナ戦は消耗戦へ。

西側兵器産業の増産は避けられない。

Image: Russian State Media.

クライナ戦争は、2カ月足らずで1周年を迎える。ウクライナ軍の戦果とウクライナ国民の総合的な回復力が予想を超えた事実で祝福されるべきだろう。ウクライナの決意は揺るぎないが、同時に、プーチンとモスクワのとりまきたちは、勝利にむけたコミットメントを倍加させているように映る。

 

 

 これはもはや消耗戦であり、人口や領土の面ではモスクワが有利に見えるものの、この戦争では人的要因と弾薬が決定的となる可能性がある。

 ウクライナ戦争は、戦争における人的要因の決定的な重要性を示している。独裁者の誇大妄想がいかに危険で破壊的であるか、特に長期にわたって権力を握ってきた者がいかに危険な存在かを明らかにしている。また、ロシア伝統の腐敗が、自国の軍事力について歪んだ情報評価を常に生み出し、プーチンに行き過ぎた行動を取らせている。

 何よりも、政治学の「現実主義」パラダイムに反し、故郷が攻撃され、同胞が殺害される事態に対し、動員された自由と愛国心のある人々が何を成し遂げられるかをウクライナは、再び示している。

 しかし、ウクライナ戦争は急速に数の戦争になりつつある。簡単に言えば、弾薬量の問題だ。これはロシア側にもウクライナ側にも当てはまる。ロシア自慢の弾薬は、NATOとの全面戦争に備え、ソ連時代に計画されたものだが今や恐ろしい速度で枯渇しつつある。夏の最盛期、ソ連の戦術書に従い大規模な砲撃で作戦を遂行したとき、ロシア軍は1日に約6万発、ときにはそれ以上の弾丸を発射していた。現在、ロシアは1日にせいぜい2万発、時にはそれ以下しか撃てず、その限られた量を維持するために備蓄から蔵出ししている。一方で、ロシアはイランや北朝鮮をはじめ、世界各地で軍需品の買い付けを行っている。

 さらに、ロシアがベラルーシから持ち込んだ弾薬の備蓄は、ほぼ使い尽くされたようで、モスクワにとって状況は厳しい。「ソ連流の戦争方式」を維持できる軍産複合体かが問われている。

 ロシアが新たな30万人規模の攻撃部隊を訓練する準備を進めている中で直面しているもう一つの問題は、新編成部隊が、昨年2月にウクライナで活動した部隊の質に及ばない可能性だ。ヴァレリー・ゲラシモフ将軍の改革が生み出したロシア軍は、ウクライナのような従来型の消耗戦にミスマッチであると判明している。2022年のキーウの戦い以来、ロシアが戦場に投入した部隊は、訓練も装備も不十分で、下士官も不足し、何よりも最も自慢のロシアの新兵器プラットフォームの配備ができない。プーチンの新部隊は、この戦争における第1軍、第2軍と同じ運命をたどるかもしれない。そうなれば、ウクライナが求めている戦略的突破口が現実のものになる。

 しかし、ウクライナ側もピンチだ。欧州供与の備蓄は底をつき、ほとんどの欧州政府はウクライナの武器弾薬を補う戦時生産にまだ移行していない。米国でさえも、優先順位をつける必要性を感じ始めている。例えば、155mm榴弾砲の弾薬で、米国は毎月約1万4000発を生産しているが、ウクライナの報告によると、1日平均約5000発を発射しているという。

 米国防総省は最近、春までに155mm砲弾を月産2万発に増産し、2025年に3倍とする計画を発表した。ウクライナ弾薬以上に重要な問題はない。ウクライナ軍が防衛を維持し、再攻撃と多くの国土の解放に向け勢いをつけるには、1日の使用量の2倍の備蓄が少なくとも必要だ。

 というわけで、今年の課題は単純明快だ。欧州各国政府は、ロシアの進出を阻止し続け、その後、ロシアを撃破して主導権を握り、国土のすべてを解放するねらいのウクライナのため、ウクライナのニーズに合わせて軍需品や装備品の生産を加速させる契約を交付し、資金を投入するかどうかの判断に迫られる。

 米国は軍需品生産を加速させているが、ワシントンには台湾などへの供給契約を含め、未達の兵器契約があるため、欧州各国への期待が高まる。つまり、ヨーロッパが負担しなければならない。

 ウクライナ紛争は、その結果が今後の欧州大陸の安全保障を変革させる戦争である。東側諸国だけでなく、すべての欧州の政府が、何が危機に瀕しているかを理解し、行動する時だ。これは、数のゲームなのだ。■

 

Numbers Game: 2023 Could Be a Decisive Year for Ukraine - 19FortyFive

ByAndrew A. Michta

 

Dr. Andrew A. Michta is Dean of the College of International and Security Studies at the George C. Marshall European Center for Security Studies in Garmisch, Germany and a Nonresident Senior Fellow at the Scowcroft Strategy Initiative in the Atlantic Council’s Scowcroft Center for Strategy and Security. Michta is also a 19FortyFive Contributing Editor. 

The opinions expressed here are those of the author and do not reflect the official policy or position of the George C. Marshall European Center for Security Studies, the U.S. Department of Defense, or the U.S. government.