2015年4月2日木曜日

新型中国商級原子力潜水艦は要注意 特殊作戦部隊用小型潜航艇を搭載



中国の特殊部隊が想定する任務がNavy Sealと同様とは思えませんが、ハードウェアが整備されているということはミッション想定があり、訓練も進んでいることを意味します。今後の選択肢として小規模のエリート部隊による強襲、撤収が加われば中国海軍=党も活用範囲が広がりますね。近隣諸国の我々には歓迎できないことですが。

New Chinese Nuclear Sub Design Includes Special Operations Mini-Sub

March 25, 2015 6:11 PM
A Computer generated image of a Type-93T or Shang-class nuclear attack submarine タイプ93-T 商級原子力攻撃潜水艦の想像図

最新鋭の中国原子力潜水艦はミニ潜航艇を搭載し、特殊部隊(SOF)運用が前提のようだ。
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  1. この艦はタイプ93T 商級 ShangでSOF用潜航艇の収納場所が特徴だ。3月17日付けの国営参考消息 Reference NewsではSEAL運用の米海軍潜水艦と同等としている。.
  2. 火曜日には Jane’s Defence Weekly が英語版ではじめて報道しているが、参考消息は米海軍のSEAL運搬移動機SEAL Delivery Vehicles (SDV)用とは異なり、商級潜水艦改良型の格納容器は潜航艇の船体3分の2を格納すると説明。
  3. 「そのためSDVへの移送は潜水艦が潜行中は容易ではない。特殊部隊要員は潜水艦へはヘリコプターで移動しているのが写真でわかる」とJane'sは報道している。
A U.S. Navy Seal Delivery Vehicle onboard Los Angeles-class attack submarine USS Dallas. US Navy Photoロサンジェルス級攻撃潜水艦USSダラス艦上に搭載されたNavy Seal移送機. US Navy Photo

  1. 今回の中国報道で運搬艇の説明は、これまでの中国の艦船設計の特徴と共通している、と U.S. Naval Institute’s Combat Fleets of the World 編者エリック・ワーサイムは説明している。「中国は西側の艦船設計を参考にしつつ我が方の潜水艦活用方法を研究し、自国の運用を実現している」とUSNI Newsに語っている。
  2. 人民解放軍海軍(PLAN)の誘導ミサイル駆逐艦(DDG)は驚くほど西側のDDGに類似している。SOF運用能力はともかく、商級改良型の出現でともすれば秘密のベールに隠れがちな中国の潜水艦建造に光が照らされる格好だ。
  3. 商級一号艦が進水したのは2002年だったが、翌年の二号艦進水のあと中国は一旦建造を中断していることが2014年に海軍情報局による中国艦船建造状況の評価報告で示されている。
  4. 「ほぼ10年が経過して中国は商級の改良型4隻の建造を開始し、その一号艦は2012年に進水している」と同上報告書は記述している。旧型のタイプ91漢級の後継艦の位置づけだが、原子炉の静粛化に手こずり改良型の開発が中断したとの報道が広く流布している。.
  5. 格納スペース以外に画像からは艦体側面にソナー格納部分と思われるものが4点あり、曳航式ソナーの取り付け装置も見られるとJane'sは分析している。
  6. 中国潜水艦部隊の能力が向上して作戦海域が本国海域から広がるのは近隣各国にとって気の休まる話ではない。
  7. イ商級SSN1隻がインド沿岸付近を昨年12月から2月にかけてパトロールしていた事実にンド海軍が憂慮しているとの報道が3月24日付のThe Telegraphに掲載されている。■


サウジ主導のイエメン空爆、決着の嵐作戦、で何が起こっているのか


この空爆作戦は名称はおろか、どんな機種が参加しているのかまではとても国内では報道されていないので様子を知るには貴重な内容ではないでしょうか。

Operation Decisive Storm -- Air Power Over Yemen

Mar 31, 2015 by Tony Osborne in Ares
サウジアラビア主導で中東、アフリカ諸国が参加した大規模な作戦が始まっており、イエメンのフーシ反乱勢力 Houthi rebels を空爆している。作戦名 Decisive Storm 決着の嵐の現状をお伝えする。
  1. フーシがイエメン政府を転覆させ大統領アブド・ラブー・マンスール・ハディAbd Rabbuh Mansur Hadi はアデンに避難を迫られたが、サウジ主導の多国籍軍が空爆で同国への介入を開始した。
  2. 決着の嵐作戦は3月26日開始され、近年でも例のない各国機材の集結が見られる。湾岸協議会加盟国ではオマーン以外の各国が参加しており、さらにモロッコ、エジプト、スーダンとヨルダンが機材を派遣している。
  3. サウジアラビア他隣国がフーシがアラビア半島南部で拡大することを看過できなくなっためだ。
  4. サウジアラビアは100機を派遣しており、サウジ王立空軍 (RSAF)のF-15Sストライクイーグルの一機が3月28日に機体に技術上の問題が発生しアデン湾に墜落したが乗員2名は脱出し米海軍が救助している。
Credit: Tony Osborne - Aviation Week
  1. バーレーンはF-16 を8機から12機の間で派遣し、カタールは12機保有のミラージュ2000のうち10機を参加させている。アラブ首長国連邦は30機、モロッコヨルダンは各6機のF-16を派遣している。ヨルダンの参加が注目を集めるのは同国がすでにイラクシリアでISISへの大規模作戦を実施中のためだ。報道ではクウェートもF/A-18を15機派遣している。
  2. エジプトの派遣規模は不明だが、隣国のスーダンの参加は予想外といってよく、スホイSu-24フェンサー三機を送り出している。
  3. ただしSu-24部隊がどこまで貢献できるかは不明、というのは同機が西側標準の弾薬を運用できないためだ。そのためスーダンは専用の爆弾ミサイルをサウジアラビアの前方基地まで自国で輸送している。
  4. パキスタンもサウジアラビア政府からの参加呼びかけを検討中だ。
  5. サウジアラビア国内のキング・ハリド空軍基地からの作戦の映像が入ってきた。3月31日公開の映像では サウジのF-15C、F-15S、トーネードIDS、タイフーン各機が発進している様子がわかり、その他クウェート、カタールの所属機さらにスーダンのSu-24も確認できる。アルアラビヤAl Arabiya テレビがYouTubeに公開した映像ではRSAFの第99飛行隊所属のAS532Sクーガーヘリコプターが戦闘捜索救難に投入されていることがわかる。また同テレビのカメラにはRSAFのF-15Sにグッドリッチ製DB-110偵察ポッドが機体下部に装着されているのがわかる。■

2015年4月1日水曜日

スコーピオンでまだ成約はないが楽観的なテキストロン CAS,T-X,海外採用の可能性


スコーピオンは言ってみれば常識破りの機体であり、既存の機種ヒエラルキーと無関係の期待でもあるので導入したくても一線が超えられずに結局今まで誰も購入していないのでしょう。機体に加えて支援システムもパッケージにして長期間の経済的な運用をうりものにしてみたらどうでしょうね。T-Xへの採用は難しいと見ていますが、どうなりますやら。

Textron Eyes Scorpion CAS, T-X Missions

By Aaron Mehta3:49 p.m. EDT March 31, 2015
Scorpion Atlantic Flight(Photo: Textron AirLand)
WASHINGTON — テキストロン・エアランド Textron AirLand のスコーピオンは正式採用がまだないが、ISRと軽攻撃を想定した同機の将来に同社は楽観的だ。
  1. 同社社長ビル・アンダーソン Bill Andersonは3月の取材時に機体を「公表18ヶ月でまだ成約がないが、社として同機を全面的に支援している」と語っていた。
  2. 「販売に大いに自信がある。予算は確保ずみで開発をここで中止する理由は見当たらない」
  3. スコーピオンがあらためて注目されたのはホーク・カーライル大将(米航空戦闘軍団司令官)が同機が近接航空支援(CAS)機材に最適と発言したためだ。
  4. 「ローエンドのCAS機材を模索する中で、飛行時間あたり費用が妥当ということで同機に注目し、検討をしている」
  5. アンダーソンはカーライル大将発言に勇気づけられ、スコーピオンで実施可能なミッション各種のデータを米空軍に提供しており、中にCASも含まれている。
  6. 「最初から想定している機能です。空対地攻撃ミッションで同機が有する多機能ISR性能と地上部隊との交信能力で難なく実施可能です」(アンダーソン)
  7. スコーピオンの設計思想はペイロードの柔軟選択で、六ケ所のハードポイントに各1,700ポンドを搭載できる。同社は各種の兵装搭載を想定し、小口径弾から誘導ロケット弾まで運用できる。
  8. またガンポッド搭載も可能で、50口径または20ミリ砲を想定するが、アンダーソンも空軍関係者と同様に将来のCASの実施手段は銃でなく、精密誘導弾と見ている。
  9. 「現代のCASで機関銃が最適な手段とは思えません。ただし地上部隊には銃を積んだ機材が必要で、機関銃搭載も想定しました。すべては作戦の中身次第であり、相手とする脅威の内容いかんですが」
  10. もうひとつスコーピオンが想定するのが米空軍向けT-X次期練習機への採用だ。テキストロンはスコーピオンの練習機改修を検討中。
  11. T-Xの要求性能が公表されたのは3月20日のことにすぎず練習機型の最終案は決定されていない。ただアンダーソンによればスコーピオンの飛行時間あたり費用3,000ドルは差別要因になるという。
  12. 「米空軍が求める機体の作成は可能」とアンダーソンは言う。「問題は費用がどれだけになり、開発がどれだけ長くなるかだ。鍵は運用費用であり、一時間あたりの飛行経費をいくらにしたいかだ」.
  13. 米空軍向け需要が同社の関心事であるが、防衛専門家の中には最初の成約は海外になるとの見方が多い。
  14. アンダーソンも海外顧客数カ国との商談は「とてもうまく進行している」とするが、具体的な国名の言及は避けている。
  15. 消息筋によればUAEが導入に前向きだが、顧客一号になるのは避けたいらしい。
  16. そこでローンチカスタマーとして数か国まとめての想定が可能かアンダーソンに聞いてみたところ、可能性を熟考していると答えた。
  17. 「ある小国の空軍参謀長が昨年のファーンボロショー会場で同機は数か国で共同導入したら素晴らしい機材だと語っている。数か国まとめての商談が発生すれば当社も対応する。規模の経済というメリットを顧客各国に還元できる」
  18. ただし、アンダーソンは「現時点で数か国共同の商談をしているわけでなない。対応は可能だが、まだ先のことだろう」と釘をさす。
  19. 今年の夏も各国がスコーピオンを検分するチャンスがある。パリ航空ショーとロイヤルインターナショナルエアタトゥーの両会場で地上展示される。■

★韓国KF-XはKAI-ロッキード連合が受注へ



S. Korea Opts for KAI-Lockheed in Fighter Deal

Agence France-Presse2:42 p.m. EDT March 30, 2015

SEOUL, South Korea — 韓国は韓国航空宇宙工業(KAI)と共同事業者ロッキード・マーティンをKF-X国産戦闘機120機の調達先に選定した。KF-Xは現有F-4、F-5の代替となる。
  1. 総額8.6兆ウォン(78億ドル)規模の事業獲得は提案内容が大韓航空ーエアバスチームより優れているためとみられる
  2. 「KAI提案を選定したのは費用、開発工程、開発能力の点で優れていたため」と国防調達事業庁 (DAPA) が声明で発表している。「正式契約の調印は今年上半期中を予定」としている。
  3. 韓国政府が開発費用の6割を負担し、残りはコンソーシアムとインドネシアが負担する。インドネシアは韓国との防衛協定に基づき事業に参画する。
  4. KAI-ロッキード連合はもともと有利と見られていた。韓国初の国産超音速練習機T-50を生産の実績もある。ロッキードはF-35A40機の販売にも成功しており、KF-Xでは中核技術を韓国に移転すると確約している。
  5. KALはユーロファイター生産の実績を有するコンソーシアムの一員エアバスとチームを組んで技術支援を売り物にしていた。エアバスは韓国向け空中給油機で13.8億ドル規模の成約を期待する。
  6. KF-Xでは韓国国防省は新型設計を求めているが、専門家の中には既存機種の大幅改造が現実的と見る向きが多い。
  7. また韓国は12.8億ドルでペイトリオットPAC-3ミサイルの導入も決め、北朝鮮の弾道ミサイルへの防衛体制を強化する。DAPA関係者はPAC-3ミサイル(数量不明)を2020年までに導入すると述べた。
  8. 韓国の現有PAC-2ではレイセオンが改修事業契約企業に選定されており、発射制御システムを改良しPAC-2、PAC-3双方を運用できるようにするという。■


2015年3月31日火曜日

F-35:2Bソフトウェア完成遅れるが海兵隊はIOCに向け努力中


ボグデン中将は率直な物の言い方をする人のようですね。これだけ大規模なトラブルにある事業を統括し続ける人だけに普通の神経ではないのかもしれません。しかし次から次に話と違う事態がF-35では発生しているようで目が離せません。

‘I Am Not A Salesman For F-35:’ Lt. Gen. Bogdan, F-35 PEO; 2B Software Delayed

By COLIN CLARKon March 25, 2015 at 6:53 PM


Offical Photo : MGen Christopher Bogdan

F-35事業を統括するクリストファー・ボグデン空軍中将が記者を前にF-35に関する正しい報道を行うよう求めた。その際に注目を集めた中将の発言は「自分はF-35のセールスマンではない。またF-35事業の提唱者でもない。最高の事業を運営するのが仕事だ」というもの。
兵器開発に当たる制服組は得てして自らが携わる兵装の信奉者になる。予算の獲得に奔走しながらどれだけうまく事業が推進されるかで昇進にも影響する。F-35取材の中ではロバート・ゲイツ元長官がボグデンの前任者だったデイビッド・ハインツ海兵隊少将を更迭した場面が記憶に新しい。2010年度予算の説明の際にハインツはF-35向け第二エンジン選択を批判し、ゲイツは公の場で自分の意見と対立する人を我慢できなかった。
ボグデンが取り組むのは米国史上最大の通常兵器開発事業だ。その彼が事業の信奉者ではないと公然と発言するのは勇気のいることだ。その同じ人物が当初はJPOとロッキード・マーティンの関係は「ここまでひどいものは見たことがない」と言っていた。つまりボグデンが心のなかを明らかにするのは前例があることになる。
記者も納税者であり、一言言わせてもらえばボグデンの発言を聞いて嬉しくなった。ただしそのままうけとめてはいけない。F-35事業の国際規模を考えると運営には演技力と雄弁ぶりが必要。
そこでボグデンが他にどんなことを行っているのか知りたくなる。
まず2Bソフトウェアは6月までに利用開始できない。この月に海兵隊は初期作戦能力(IOC)獲得を宣言する予定なので微調整が必要だ、とボグデンは発言。ソフトウェアが完成するのは秋の初め頃になりそうだ。
F-35ではデータ融合機能がもてはやされる。数学的にはアルゴリズムとソフトウェアの力で機内の各種センサーのデータを集め、脅威ライブラリーと比較対象して敵の正体を教え、同時に撃破のための最適な手段を示す。この融合機能が補修が必要になっている。
F-35は四機編隊で飛行し各機でデータを共有する設計だ。軍は詳しくこの点を話したくないのだが、編隊は密ではなく、数十ないし数百マイル離れての飛行を想定している。12月の実証実験では融合機能に問題が見つかった。F-35の一機がセンサーを作動して地上目標を探知した際には融合エンジンがうまく作動した。データ共有も2機でうまくいった。だが四機で共有しようとしたら実際は存在しない目標が表示されたほかボグデンが詳細を紹介したがらない異常が発生した。
問題ではあるが、ボグデンによれば海兵隊はIOC宣言を99日以内に実施するという。メーカーのロッキード・マーティンとしては完全作戦性能を実現するソフトウェア三種類(2B,3I,3F)を予定通り完成させないと300百万ドルの報奨金を受け取れず楽しくない状況だ。
海兵隊はボグデンが次善策とよぶ2機ずつ2組の機体でデータ共有する手段を使い、ロッキードがソフトウェア改修をするのを待つという。
また同機の運用・点検システム(ALIS)も大きな課題だとボグデンは言う。
気になる方のために現状での機体価格は以下のとおりだ。順に第六ロット、第7ロット、第8ロットの低率初期生産分の単価を示す。
  • F-35A $117 million; $112 million; $108 million
  • F-35B $145 million; $137 million; $134 million
  • F-35C $134 million; $130 million; $129 million


2015年3月29日日曜日

★中国の新型飛行艇と南シナ海の関係




Seaplane Could Advance Chinese SCS Claims

By Wendell Minnick 12:55 p.m. EDT March 28, 2015
635630566172985247-DFN-China-airshow(Photo: Wendell Minnick/Staff)
TAIPEI — 現地専門家によれば新型飛行艇により中国は南シナ海の領有権主張を強めてくるだろう。
  1. 蛟竜 Jiaolong (Water Dragon) AG600は中航通用飞机有限责任公司 China Aviation Industry General Aircraft (CAIGA)が開発中で中国最大級の飛行艇となる。CAIGAは試作機の機体前部の組み立てが完了したと3月17日に発表している。
  2. 昨年の珠海航空ショーで配布された資料によれば、同機はターボプロップWJ-6を四基搭載し、航続距離は5.500キロあり、南シナ海(SCS)全域を飛行範囲に収める。スプラトリー諸島で中国はヒューズ礁、ジョンソンサウス礁、ゲイブン礁を拡張する工事を実施中だ
  3. 中国はSCSに戦略的な意義を認識し、飛行艇があれば同地域の実効支配を島伝いに広げられると考えている。
  4. 「飛行艇は中国が建設中の人工島への物資補給に最適」と指摘するのはシンガポールの S・ラジャラトナム国際研究所S. Rajaratnam School of International Studiesのリチャード・ビツィンガー Richard Bitzingerだ。「また各島はAG600による海上監視飛行の基地として利用できる」
  5. AG600の政治的意義を説明するのは台湾の中華民国戦略研究会ROC Society for Strategic Studiesの研究員チン・チャンChing Changだ。「領有権を主張するためには実効支配が必要だ」とし、AG600は「漁業活の監視、密漁の取り締まり、汚染予防、捜索救難、緊急医療移送、気象観測、地質調査と南シナ海を舞台に中国の政府による機能拡充に活用されるだろう」
  6. こうした活動の実施により中国がかねてから主張している南シナ海でのEEZ経済的排他水域の実現が近づく。
  7. CAIGA資料ではAG600は四種類のミッションを想定している。捜索救難(SAR)、消防飛行、人員輸送(50名)、海上監視飛行である。また軍用では情報収集、電子偵察にも投入できるはずとS・ラジャラトナム国際研究所のサム・ベイトマン Sam Bateman は見ている。ただし、ベイトマンも同機の登場でSCSの全般状況が一変することはないとみている。
  8. CAIGA資料では軍用用途について触れていないが、これまでの歴史を見れば水上機の商用需要が小さいことは明らかだ。大型飛行艇を製造中なのは日本とロシアだけで、SARや消防用の需要はごく限られている。両国は冷戦時の研究開発を活用しているが、中国が民間需要では多くを望めない機体を新設計し生産ラインを新設した理由は何か。軍事利用が念頭にあることは明らかだとみる筋もある。■

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2015年3月25日水曜日

インド国防相来日、US-2購入、安全保障枠組みで協議



Parrikar heading to Tokyo with US-2, closer strategic ties on the agenda

Rahul Bedi, New Delhi and James Hardy, London - IHS Jane's Defence Weekly
23 March 2015
  
インド国防相マノハル・パリカル Manohar Parrikar が3月30日に二日間の日程で東京を訪問するとインド政府関係者が明らかにした。二国間戦略防衛関係の強化が目的としている。
パルカル国防相は昨年11月に就任し、これが初の外遊となる。インド新政権はアジア各国との戦略的枠組みの拡大を大きな課題と捉えている。
関係筋によればパルカル国防相はかねてから進行中の新明和工業製US-2水陸両用捜索救難機計12機のインド海軍導入案件の協議をするという。
インドはUS-2iを完成機2機とライセンス生産10機で16.5 億ドルで調達したい意向で正式調印を2016年早々に執り行いたいとしている。■


2015年3月24日火曜日

★主張 南シナ海の平和維持のためインドネシアに国際海上作戦センターを設置すべきだ



インドネシア大統領が訪日していますので、ちょうどいいタイミングでしょう。南シナ海、インド洋を視野に入れた海上交通の安全確保の作戦基地をインドネシアに設置してはどうかという現役米海軍士官の意見です。またインドネシアへのテコ入れも視野に入っているようですが、海洋国家としてのアイデンティティに目覚めようという資源大国(最大のイスラム国家でもあります)のインドネシアを安定させ、中国の危険な動向に対する抑止力に巻き込むという構想にはなかなか面白いものがあります。集団的安全保障の典型例になるかもしれません。注目したいと思います。

Essay: U.S. Should Consider Establishing a South China Sea International Operations Center in Indonesia

March 9, 2015 7:15 AM • Updated: March 8, 2015 11:32 PM

Adm. Harry B. Harris Jr., commander of U.S. Pacific Fleet, walks with Japan Maritime Self-Defense Force Cmdr. Kazutaka Sugimoto on Feb. 6, 2015. US Navy Photo
太平洋艦隊司令官ハリー・B・ハリスジュニア大将が海上自衛隊杉本和孝二佐と基地内を歩くon Feb. 6, 2015. US Navy Photo


米太平洋軍U.S. Pacific Command (PACOM) の司令官に就任するハリー・B・ハリス大将は議会で昨年末証言し、「中国の台頭が軍事的には地域内で、経済的には全世界的に顕著となり、自己主張を全面に出した行動を域内各国に示すことで当方には機会になる一方で慎重な対処が必要だ。我慢強くこの最大課題に取り組む必要がある」と発言。
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その課題に答えるべく、米海軍は国際海洋作戦センターInternational Maritime Operations Center (IMOC) 司令部をインドネシアに置き、アジア太平洋地区での海軍の責任を示しつつ、南シナ海やインド洋の最新状況を監視し、中国の台頭に対応する新しい仕組みづくりに乗り出すべきだと考える。

人民解放軍海軍The People’s Liberation Army Navy (PLAN) は潜水艦・水上艦建造に注力しており、三隻の空母を運用する計画で、艦船を標的とするDF-21D弾道ミサイルを整備している。とくに潜水艦部隊の増強が接近阻止領域拒否作戦の中心的手段だ。2020年までにPLANはアジア太平洋地区の各国の二倍の規模の潜水艦隊を運用する。単に隻数だけでなく各種任務の内容や作戦の地理的条件も重要な要素だ。

PLANは艦船の作戦範囲をこれまでの中国本土沿岸から広げており、今後も拡大傾向は続くだろう。PLANは2009年以来、艦船の作戦継続能力を誇示しており、海上物資補給をインド洋でも行っている。2013年から14年にかけて、インド洋に原子力・通常型双方の潜水艦を三回派遣している。

インド洋まで活動範囲に収めた中国は同時に南シナ海で商船団の規模を拡大している。国家海洋局 State Oceanic Administration (SOA)は中国共産党傘下の巨大機関でその役割の2つに注視が必要だ。ひとつが領海と主張する範囲での法執行であり、海底探査測量がもうひとつだ。SOAは中国の沿岸警備隊(CCG)他海洋関連機関を司っており、2020年までに500隻の艦船を投入する。SOAは共産党に「先制使用方針」を実現する手段となっている。つまりスカーボロー環礁の例のようにCCGをまず領海主張の手段とし、紛争に発展すればPLANの強力な威力を投入する。法執行の一方でSOA所属艦船は海中探査を行い資源探査とともに潜水艦作戦に適した海中の状況も調査している。

また南シナ海・インド洋で中は別の軍事活動を開始しており、プレゼンスを強めている。PLANはフィアリー・クロス礁(スプラトリー諸島)で浚渫、港湾設備拡張を実施中で、水上艦・潜水艦用の補給拠点とすることをねらっているようだ。さらに滑走路は航空作戦に利用し、兵器を設置し防御、攻撃双方に想定しているようだ。2014年にはPLAN司令官呉勝利提督 Wu Shengli が立ち寄り本人が南シナ艦隊司令官だった2004年当時に打ち上げた構想の実現度合いを視察、習近平国家主席President Xi Jinping が同年にスリランカ訪問した際にはPLANは同国を潜水艦の遠距離補給基地とすることを認めている。PLANにはインド洋では恒久的海軍基地がないが、スリランカ、イエメン、パキスタン等とは経済連携を強めており、海軍部隊の前進配備の支援が出来る体制を整備してきた。

米国政府は戦略的な地域再配備を重点としてきたが、オバマ政権は2015年度版国家安全保障戦略でこれを明記している。新戦略案では中国の軍備近代化と領土恫喝の可能性に着目している。また米国が「力の立場から競合状態を管理下に置くこと」を提言する一方、「中国軍の近代化とアジア内プレゼンス拡大を注意深く監視し、誤解や誤算による不測の事態の発生が起こらないよう努力する」ことを求めている。

Cmdr. Steven Foley, left, commanding officer of the guided-missile destroyer USS Sampson (DDG 102), and Gen. Moeldoko, commander of the Indonesian national defense forces.
Cmdr. Steven Foley, left, commanding officer of the guided-missile destroyer USS Sampson (DDG 102), and Gen. Moeldoko, commander of the Indonesian national defense forces.


再配備戦略の一環として米海軍はIMOCをジャカルタに設置し、インド洋と南シナ海の両方に目を光らせるべきだ。IMOCはインド、インドネシアはじめ東南アジア各国の海軍と協力する作戦センターとなる。この各国海軍が共同して運営する作戦センター構想は前例があり、バーレーンに司令部を置く合同海上部隊が存在する。また英国ノーウッドにはNATOの連合海上司令部が海軍作戦と商船部隊の双方で調整業務を24時間運用している。

IMOCはアジア太平洋の商船通航の保護もできる。2015年度版国家安全保障戦略では米国は「通商航海の自由航行を保証し、緊急時に迅速に対応し敵意ある行動を取るものを阻止すべき」としている。海上交通の重要性は数字の上でも十分明らかだ。世界交易の9割以上が海上で運ばれ、そのうち3割近く、金額で5兆ドル相当が南シナ海を通過している。

中国も南シナ海、インド洋双方の経済的重要性を理解している。中国の必要とするエネルギーの84%がマラッカ海峡を通過する。習主席は海洋力整備を21世紀の海上シルクロード構築ととらえ、港湾、インフラ整備、特別経済地区をセットで東南アジアと北部インド洋に建設する、としている。南シナ海、インド洋での中国の経済開発が加速化している。2014年にはベトナム付近で海上石油掘削施設を稼働させた際にはCCG艦船数隻が近隣を保護の名目で遊弋している。習主席はスリランカ、モルディブ訪問で数十億ドル規模のインフラ投資を行っている。2012年には東アジア地域包括的経済連携 Regional Economic Comprehensive Partnership (RCEP) を提唱し、ASEAN加盟国等を取り込む自由貿易協定体制を目指しているが、米国は参加していない。

Why Indonesia?

International Monetary Fund (IMF) Data Comparing Population and GDP Source: http://www.imf.org/external/datamapper/index.php
International Monetary Fund (IMF) Data Comparing Population and GDP


アジア太平洋地区にはシンガポールのようにIMOC本部設置に適した場所は多いが、インドネシアはユニークな戦略的な特徴を有している。まず、その他アジア太平洋諸国との比較でインドネシア経済は中国、日本、インドに次ぐ第四位の規模を有している。インドネシアの経済影響力を考えると、米政府も同国との二国間貿易改善とともにインドネシアを環太平洋経済連携協定 Trans Pacific Partnershipに組み入れるべきである。域内11ヶ国が参加する同協定はオバマ政権のアジア太平洋での経済政策の要である。

第二に新大統領ジョコ・ウィドドJoko “Jokowi” Widodoの元でインドネシア はを海洋国家として主要メンバー入りを目指している。大統領就任後、「海洋国家としてのインドネシアは世界規模の海洋国として主張を強めるべきだ。その地位が確立できれば域内、国際協力により国民の繁栄が実現する」と発言している。そのためジョコウィ大統領は軍事支出を対GDP比で1.5%まで増加させるとし、さらに5点からなる海洋戦略教義を打ち出し、同国を海洋国家にしようとしている。

ジョコウィ大統領は自国予算が乏しい中、海外投資が構想実現に大きな存在だと認識しており、「投資が必要だ。投資家が必要だ。それで経済が成長路線に入り、港湾が拡大し、空港が建設できる」と発言。バラク・オバマ大統領が任期最後の数年に入る中で意味のある関係をインドネシアとの間に築く戦略的なチャンスが今ある。経済開発が進み、海洋安全保障も実現できる。オバマ大統領はインドネシアと個人的なつながりが強く、自身も幼少期のころに同国に住んだことがあり、実母も20年間以上に渡り同国内で働いていた。オバマ大統領が行動に出ることがジョコウィ大統領の構想実現に不可欠であるが、条件は米国議会がインドネシア経済のテコ入れに賛同することだ。

第三にインドネシアが民主制度の指標となる可能性がある。東南アジアではタイ国のように政治不安が続いているが、インドネシアはインド、米国に次ぐ世界第三位の民主主義大国である。2014年の数字では全国民の50パーセントが30歳以下で、労働人口はこれから2020年までに14.8百万人増加する。このため民主主義の理想追求とともに市場開放経済の効果を発揮できる一大チャンスが到来する。

第四にインドネシアにIMOCが設置されればその立地条件はアジア太平洋の海上作戦で中心的位置になる。米海軍は横須賀の艦隊司令部だけで合計48百万平方カイリ(89百万平方キロ)の地域を統括させ、域内35ヶ国との関係を維持している。これだけ広範な責任を求めるため、域内に数カ所の拠点が必要。インドネシアのIMOCが加わると、海軍は域内各国海軍と共同して各方面の海上範囲を監視できる。

このようにインドネシアでIMOCの戦略的な意味が実現しそうだが、同時にインドネシアにも欠点がある。特に港湾と道路網を指摘したい。世界銀行は昨年にインドネシア経済開発政策の評価を行い、インフラ整備の遅れを指摘している。また国内港湾施設の能力不足は相当深刻と評価し、他のアジア各国と比較しても劣悪とした。さらに道路網整備がこれまで数十年間放置されて、深刻な容量不足、渋滞問題、物流問題を引き起こしているとした。道路網改善に世銀は1,200億ドル規模の投資が必要と試算している。

ジョコウィ大統領はインドネシアのインフラ改善を正しく理解しているようだが、厳しいハードルに直面している。まず労働人口内の技能格差を縮めなければならない。公的・私的市場機能の改善も必要だし、国際テロリズムの脅威にも屈せず、汚職を追放し、およそ220百万人のイスラム教徒の支持を維持し、その他少数派で700もの言語を話す国内各派でも同じだ。2014年のインドネシアは国連に対して人権面での違反事項があったことを報告できなかったため、本当に人権問題解決の姿勢があるのか疑問視された。欠点はあるものの、インドネシアは前例のない歴史的なチャンスにあり、アジア太平洋で急成長する可能性がある。

米国がアジア太平洋へ勢力を再配備するのは困難な挑戦であり、中国の海洋力整備を監視していくのも大変な仕事だ。オバマ大統領は20111年のオーストラリア訪問時に「21世紀のアジア太平洋で米国がすべての局面に関与していくことに疑いをもたれないようにしたい」と発言。もし米国が「すべての局面で」関与するのであれば、中国が南シナ海・インド洋で権益拡大を狙う中で米海軍は議会ならびに政権の支持のもと、一層大きな役割を求めていくべきである。■



米空軍次期練習機T-Xの要求内容 久々の大型案件に各社しのぎをけずる


予算環境がきびしいので練習機として一定の数(350機)を調達しながら、拡張性もあらかじめ確保して練習機以外の用途も想定(仮想敵国部隊用機材とか軽攻撃任務?)したいのが米空軍の虫の良い考え方ですが、はたして都合の良い機材が選定できるのか。また採用後に大幅にコストが上がる要因がそもそも包含されていないのかとても心配です。裏には予算強制削減の影響で単一任務しかこなせない機材は非効率という強迫観念があるのではないかと思われます。なお、スコーピオンが採用になる可能性は低いですが、注目されてしかるべきだと思います

USAF Issues T-X Requirements

By Aaron Mehta12:09 p.m. EDT March 20, 2015

t-38(Photo: Tech. Sgt. Matthew Hannen/US Air Force)
WASHINGTON — 米空軍が次世代練習機T-Xの要求性能を公表した。
  1. 連邦政府ウェブサイトに3月18日掲載された内容から参入を計画中の5社は現行のT-38の後継機種となる高等練習機350機及び関連システムの採用を目指してしのぎをけずることになる。空軍への締め切りは5月10日。
  2. 本事業は「コスト曲線を曲げる」"Bending the Cost Curve" 構想をはじめて現実に移す第一弾となる。これは空軍長官デボラ・リー・ジェイムズDeborah Lee Jamesが進める調達改革の一環で大きな一歩となる。
  3. 文書には要求項目が100点以上あるが、空軍報道内容では重点は3つに絞られる。高G状態の保持、シミュレータ視覚効果の正確度・精度、機体の長期間稼働だ。
  4. その他として空中給油、T-38比較で10%の燃料消費率削減、最小離陸距離として8千フィート、高高度基地からの離陸の場合は追い風10ノットで7,400フィートとされる。
  5. 注目すべきはアグレッサー部隊用の「赤軍」要求はないことだ。空軍関係者は今後の検討課題だという。
  6. とは言え空軍がT-Xの性能拡張を想定していないわけではない。中でも「現設計でどこまで将来の性能改修に対応できるか」等の設問項目が関心を呼んでおり、主翼パイロン、レーダー、データリンク、機体防御で「現設計案で将来のシステム改修の妨げになるものがないか」との質問も関心を集めている。
  7. さる2月には空軍教育訓練軍団司令官のロビン・ランド大将Gen. Robin Randが次期練習機に性能拡張の余地があるかに関心ありと発言していた。「後悔するような買い物は避けたい。要求性能どおりなら新型機はあれこれ他の仕事もこなせるはず。将来の性能拡大の余地も残し、安価に実施すべきだ」
  8. 現行のT-38に代わる新型機をめぐり5社が競争する構図だが、うち2社は完全新型機でボーイング・「Saabチームおよびノースロップ・グラマン主導でBAEシステムズとL-3が参加する。
  9. これに対抗するのが既存機種をベースにした陣営で、ロッキード・マーティンは韓国航空宇宙工業のT-50を、ジェネラル・ダイナミクスとアレニア・アエルマッキはM-346を原型にした案で参画する。
  10. 読めないのがテキストロン・エアランドのスコーピオンだ。ISRと軽攻撃ミッション用の新型機の同機から、練習機型を派生型として作成するという。
  11. 空軍は研究開発費用として2016年度に11.4百万ドルを準備しているが、これは17年度は12.2百万ドル、さらに18年度には107.2百万ドルに跳ね上がり、19年度は262.8百万ドル、20年度は275.9百万ドルになる。
  12. 正式な契約交付は2017年秋の予定。■

2015年3月23日月曜日

★オスプレイ追加調達を日本に期待するベル



なるほど,MV-22だと一機で20名の移動が可能なので、現在は20名x17機=350名程度の輸送規模(最大です)を想定しているわけですね。オスプレイ部隊の輸送能力はコマンド部隊の侵入用途と考えればそんなに不足しているとは思えませんが。もっとも作戦に投入できる機材が全体の3分の一と一気に120名程度に落ちますので、確かに不足といえば不足ですが、きびしい財政状況の中で査定はどうなりますかね。また自衛隊に運用コンセプトから配備機材数を増やす要求を堂々とできるか今後が注目です。


Japan, Australia Could Add To Osprey Order Book

Mar 17, 2015Bradley Perrett Aerospace Daily & Defense Report

V-22: Rupa Haria
ベル・ヘリコプターは日本がMV-22オスプレイを追加調達すると期待している。日本は先行して17機の調達予算を計上している。
  1. オーストラリアも有望と同社は見ている。これはベル副社長(海外軍事営業担当)のリチャード・ハリスの発言。
  2. 日本が同機に期待するのは島嶼部分への兵員物資輸送の高速化だが、領土へ侵攻があった際の対応策という想定なので、17機では不足するはずと同社は見る。
  3. 日本には次期多用途ヘリ調達のUH-X事業があり、双発ヘリコプター150機を整備して島嶼部への輸送を強化するねらいがある。ただし想定する機体は総重量が5ないし6トンでオスプレイに比べるとペイロード、航続距離、飛行速度いずれも見劣りがする。
  4. 日本が想定する島嶼部分を公式に一度も明らかにしていないが、尖閣諸島であるのは明らかだ。
  5. オーストラリアには同種のミッションの想定はないが、業界筋によればMV-22なら同国の特殊部隊の効力を引き上げることが可能という。オーストラリア特殊部隊は同盟国との関係で同国が提供できる貢献の中核部分となる。ベルはオーストラリアの調達機数を10機と想定している。
  6. ただしオーストラリアのシンクタンク、オーストラリア戦略政策研究所は同国がすでにボーイングCH-47チヌークを供用中でアレニア・エアrマッキC-27スパータン軽輸送機を発注中のためオスプレイ導入の理由は薄弱と指摘している。■


2015年3月20日金曜日

★KC-46A 日本も導入か 



これまでKC-46Aの開発難航は対岸の火事だったのですが、本当に日本も同機を調達(KC-767の補完?)する予定になっていれば無関心ではいられなくなりますね。これまでは機内配線が仕様どおりでなかったとのことでしたが別の問題があるのかもしれません。

KC-46A First Flight Facing Delay

By Aaron Mehta5:31 p.m. EDT March 17, 2015
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(Photo: Paul Gordon/Boeing)
WASHINGTON — 開発中のKC-46Aペガサス空中給油機は初飛行予定が4月になっているが、開発責任者は「安心できない」と胸中を語っている。
  1. 同機開発を主管するデューク・リチャードソン准将Brig. Gen. Duke Richardsonは予定を第二四半期中のいつかと6月末までに変更したい意向だ。
  2. 「日程確定を避けています」と准将はクレディスイス・マッカリーズ共催の会合で発言した。「第二四半期中と言っておくのが安全でしょうね」
  3. KC-46Aは179機調達する予定だが、先行18機を2017年までに稼働させる調達契約では大幅な費用超過が発生しても空軍には追加負担が生じない。
  4. エンジニアリング、製造、開発チェック用(EMD)の機材は昨年12月に初飛行している。完全仕様のKC-46Aは4月に初飛行の予定だが遅れる公算が大となってきた。
  5. リチャードソンは日程が各種テストの実施でプレッシャーになっていると認め、EMD機材で確保していた6ヶ月の余裕期間はすでに消費ずみだという。
  6. 「非常に深刻に受け止めています。なんとか日程に余裕が生まれるようにがんばっているのですが」 工程表がきついため、本来なら初飛行も一日も早く実施したいのだが、その場合は給油機としての完成度を無視することになるか、その時点で要求通りの機体になっているかのいずれかだ。
  7. 「一刻も早く飛行させたい。飛行は安全に実施できると思うが、その時点で完全な機体になっていなくてもよい。安全に飛行できる機体であればまず飛ばせて、飛行性能のデータをそれから集めればよい」
  8. これに対して主契約社ボーイングの広報は同社が初飛行実施に向けて毎日努力しているとし、優秀なチームが奮闘している。準備出来しだい初飛行できる、と発言。
  9. ただしリチャードソンは明るい話題にも触れている。事業全体としては「非常に健全」で要求性能水準が変動していないことのメリットが生まれているという。
  10. また海外向け販売の可能性が二国にあると紹介。ひとつは韓国向けの直接販売で日本は有償軍事援助による導入を検討しているという。このうち韓国は5月にも選定に入ると見られ、日本のRFPが4月に出てるとリチャードソンは言う。■


2015年3月19日木曜日

★F/A-18E/F海外受注に最後の望みをかけるボーイングは 米国防航空産業基盤の弱体化の例なのか



かつて日本の産業政策は米国からさんざん攻撃されていましたが、今や国防関連航空産業の基盤を国防総省自らが保護する必要が有るのが現状というのはなんという皮肉でしょうか。スーパーホーネットは米海軍も希望しないのであれば、海外でそのまま販売できるとは思えないのですが。泣いても笑ってもあと数ヶ月で命運が決まるのでしょうね。

USN Hornet Push Reshapes Cost, Export Picture

By Christopher P. Cavas2:24 p.m. EDT March 15, 2015
Super Hornets(Photo: US Navy)
米海軍の需要と無関係に、ボーイングがスーパーホーネット生産を継続するとコスト問題が発生しても海外販売の可能性自体はあるとみられる。
  1. 米海軍関係者はF/A-18を二三十機追加する追加予算要求する想定を先週提示した。
  2. ただし「どこからその予算を確保するのか」と疑問を提示したのはキャピタルアルファパートナーズのバイロン・キャランで、強制削減関連の支出制限が蔓延する中でワシントンには同じ疑問を投げる向きが多い。
  3. 「これはボーイングの生産ラインを維持して共用打撃戦闘機が打ち切りになっても何か残るようにするにはどうしたらいいのか、という疑問への回答だ」と語るのは戦略予算評価センターの国防アナリスト、ジェリー・ヘンドリックスだ。言及しているのは海軍がF-35の680機調達を減らす決定をする可能性のことだが、海軍は激しくこれを否定している。
  4. 海外での戦闘機調達事業にスーパーホーネットが参入する可能性がある。デンマークは今夏にもF-16後継機を決定し、クウェートは数ヶ月以内に戦闘機選定案を公表する見込み。両国ともに調達規模は24機ないし36機程度と見られる。
  5. ベルギーやアラブ首長国連邦も戦闘機選定の初期段階にあり、カナダは現在もF/A-18を供用中だがF-35事業への参画をめぐり議論中だ。
  6. 産業面で見れば、ボーイングのセントルイス事業所で従業員1,200名がジェット戦闘機生産に関係している。またほぼ同数の社員が各地でその他支援業務に従事しているという。これが全国規模になると6万人規模、800社、全米44州に分布するという。
  7. 米海軍はボーイングの視点ではなくあくまでも海軍のニーズで決めるだろうが、ボーイングはあと一二年でもラインを維持したい。そのためボーイングはなんとしても海外案件の受注がほしいところだ。
  8. 米海軍発注の最後のF/A18-E/Fのひきわたしは2016年末以降だが、議会がEA-18G追加発注を認めれば2017年まで生産ラインは維持できる。オーストラリア向けグラウラー12機の生産もあるが、ボーイングは2016年から納入ペースを月3機から2機に落とす。
  9. ライン維持には月産2機がぎりぎりだという。むしろ生産数が上下することを避けたい、というのがボーイングの本音だ。
  10. 今夏中に新規受注機材用のサプライチェーンの取り扱い方針をボーイングは決めねばならない。発注は数ヶ月先行する必要があり、場合によっては一年前に発注する場合もある。
  11. その内で一番リードタイムが長いのがチタン製構造部材で、APG-79AESAレーダー(レイセオン製)も同様だという。
  12. 正式な受注前の機材部品はボーイングが全額費用負担する。グラウラーの場合はノースロップ・グラマン他電子部品メーカーに15機分発注済みだが、米海軍との正式契約は未締結のままだ。
  13. 航空産業の基盤を維持する問題もある。盛況時が過ぎて、メーカーの廃業、統廃合が進んでいる。大手はロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマンのみというのが現状だ。
  14. そこで米空軍の長距離戦略爆撃機案件に大きな関心が寄せられているのが現状とヘンドリックスは指摘する。「今後、給油機、爆撃機、戦闘機の受注企業が決まり業界を撤退する企業が出るでしょう。そうなるとペンタゴンが介入して産業基盤保護に出るかもしれません」
  15. 「生き残れない企業が出ると考えると不安に駆られます。航空産業の基盤は海軍向け産業基盤よりも薄くなっています」
  16. ただこの問題に長い時間を掛ける余裕はない。タイミングが問題で、一度閉鎖したら元には戻せない。■