2019年3月24日日曜日

台湾が求める戦闘機増強にどう対応すべきか。トランプ政権はF-16販売を許可するのか

コメントは下にあります)

Trump Admin Will Reportedly Approve Sale Of New F-16s To Taiwan And China Will Absolutely Freak

トランプ政権が新規生産F-16の台湾向け販売認可に向かうとの報道あり、中国の発狂は必至

China has said sales of new F-16s to Taiwan is a "red line" issue for them and supposedly the Trump Administration is about to cross that line. 中国はF-16売却は「レッドライン」とするがトランプ政権はあえて踏み出す模様


BY TYLER ROGOWAYMARCH 22, 2019

TAIWAN GOVERNMENT
ルームバーグによればかねてから台湾が要請していた高性能型F-16ブロック70の60機販売をトランプ政権が承認する。売却が成立すれば台湾で現有のブロック20仕様のF-16A/Bの145機がF-16V仕様にアップグレードされる中で追加機材になる。中国はかねてから米国が新規製造の高性能F-16を台湾に売却すれば『レッドライン』を超えると警告してきた。案件が承認されれば、中国が怒リまくるのは必至だし、北朝鮮の核兵器放棄がゆきづまり、南シナ海で人工島運営の中、米中関係がさらに緊張しそうだ。
台湾の旧式F-16の性能改修はオバマ政権が台湾の新造F-16を購入希望を却下したための対策だ。改修で各機材は新造F-16とほぼ同様になり、AN/APG-83 SABRアクティブ電子スキャンアレイレーダー、コックピットディスプレイ更新、ミッションコンピュータ、共用ヘルメット搭載標的システム (JHMCS)、高性能防御装置、データリンク等々を導入する
LOCKHEED MARTIN

台湾で導入済みのF-16の共用年数が長くなっており、機体構造の改修も行う。これによりブロック70機体との相違はエンジン(推力29千ポンドから32千ポンド)、機体一体型燃料タンク、ならびに強化された機体構造のみとなる。総額53億ドル契約にはエンジン換装の検討も含む。いまのところF-16A/B型でエンジンの強化改修は行われていない。

米政府が売却対象装備一覧を以下のように公表している。
"The Taipei Economic and Cultural Representative Office in the United States has requested a retrofit of 145 F-16A/B aircraft that includes sale of: 176 Active Electronically Scanned Array (AESA) radars; 176 Embedded Global Positioning System Inertial Navigation Systems; 176 ALQ-213 Electronic Warfare Management systems; upgrade 82 ALQ-184 Electronic Countermeasures (ECM) pods to incorporate Digital Radio Frequency Memory (DRFM) technology or purchase new ECM pods (AN/ALQ-211(V)9 Airborne Integrated Defensive Electronic Warfare Suites (AIDEWS) with DRFM, or AN/ALQ-131 pods with DRFM); 86 tactical data link terminals; upgrade 28 electro-optical infrared targeting Sharpshooter pods; 26 AN/AAQ-33 SNIPER Targeting Systems or AN/AAQ-28 LITENING Targeting Systems; 128 Joint Helmet Mounted Cueing Systems; 128 Night Vision Goggles; 140 AIM-9X SIDEWINDER Missiles; 56 AIM-9X Captive Air Training Missiles; 5 AIM-9X Telemetry kits; 16 GBU-31V1 Joint Direct Attack Munitions (JDAMs) kits; 80 GBU-38 JDAM kits; Dual Mode/ Global Positioning System Laser-Guided Bombs (16 GBU-10 Enhanced PAVEWAY II or GBU-56 Laser JDAM, 80 GBU-12 Enhanced PAVEWAY II or GBU-54 Laser JDAM, 16 GBU-24 Enhanced PAVEWAY III); 64 CBU-105 Sensor Fused Weapons with Wind-Corrected Munition Dispensers (WDMD); 153 LAU-129 Launchers with missile interface; upgrade of 158 APX-113 Advanced Identification Friend or Foe Combined Interrogator Transponders; and HAVE GLASS II applications. Also included are: ammunition, alternate mission equipment, engineering and design study on replacing existing F100-PW-220 engines with F100-PW-229 engines, update of Modular Mission Computers, cockpit multifunction displays, communication equipment, Joint Mission Planning Systems, maintenance, construction, repair and return, aircraft tanker support, aircraft ferry services, aircraft and ground support equipment, spare and repair parts, publications and technical documentation, personnel training and training equipment, U.S. Government and contractor engineering, technical, and logistics support, test equipment, site surveys, and other related elements of logistics support."

台湾は2018年10月に改修型F-16(現在はF-16Vと呼称)の一号機を受領しており、改修は現地で国営航空宇宙工業開発公司(AIDC)が担当している。
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First F-16V to be modified in Taiwan. 🇹🇼

台湾のヴァイパー改修の動きがあっても米中の地政学的対立は避けられた。だが台湾がF-16全機材を改修しさらに60機の新造F-16を導入すればまったくちがう様相となる。
LOCKHEED MARTIN
バーレイン向けブロック70のF-16想像図

トランプ政権誕生当時で台湾を同盟国として米国最大の貿易相手国の戦略的懸念との間の細い線上を進むやり方は完全に過去のものとなってしまった。一部にはトランプ政権の動きを歓迎する向きがある。他方でパキスタン向け武器販売規模にも及ばない台湾への武器引き渡し量は宥和策にほかならないとの指摘もある。また今回提案の武器取引が成立すれば米中台の微妙かつ複雑な地政学上の関係が荒れるだけではすまないと警告する向きもある。
同時に習近平主席が再統一の目標達成のため軍事力行使も排除しないと明確に発言している。台湾がこうした発言に敏感なのは中国の軍事力による包囲が日々強化していると感じているからだ。
台湾と米国は今年夏にも中国による統一の動きへの対応策を協議の予定で、この予定自体に北京は怒り狂っている。米国は軍事プレゼンスを同地区で強めており、台湾海峡で米軍艦の通航を繰り返している。
そこで米国が中国が言うレッドラインを踏みこえF-16販売を承認した場合に中国がどんな反応を示してくるか興味を惹かれるし、その結果から米中関係にどんな影響が出るかも関心事だ。
発注が成立すればロッキードの新設サウスカロライナF-16工場には大ニュースとなるのはまちがいない。同工場の生産ラインはフォートワースのラインを移転したもので、生産規模は縮小したが高効率を維持し、年間60機の製造能力があり今はバーレイン向け機材を生産している。
オバマ政権がF-16改修を承認してからドナルド・トランプが当選したが、当時台湾はF-35とくにB型の取得をめざしていた。短距離離陸垂直着陸性能が台湾の作戦構想に合い、大規模交戦の際に航空基地が中国の弾道ミサイル・巡航ミサイルの攻撃を浴びるのは必至だからだ。だが最終的に同機は開発段階が未成熟で台湾のニーズに合わないと判斷し、かつ取得・運用が高価なうえ、ワシントンの了承を得るのは至難の業と判斷した。そこで最新かつ最高性能のF-16の取得が再び台北の最大関心事になった。
台湾と中国が全面戦争に突入した場合、中国軍の強大な戦力に耐えられる戦闘機はあるのかとの疑問が出ている。だが一方で台湾に武器を手渡せば中国侵攻を招くとの声もある。米中貿易交渉が進む中で、トランプ政権がF-16売却を認可しても米中貿易協定の締結まで待つべき、あるいは何らかの大日程が終わるまで動くべきでないと考えるのが普通だろう。
そこでトランプ政権が高性能F-16の台湾売却を交渉で頑な態度の中国を屈服させる手段に使う可能性がある。だがそうだとしても、一度F-16売却を承認してから中国との事情から取り消すのではひどい前例を作ることになる。これでは貿易交渉のためなら米国は平気で友邦国を裏切る国になってしまう
TOSHIRO AOKI/WIKICOMMONS
Taiwanese F-16A taxiing.


もう一つ噂に上がっている選択肢がここに来て現実味を帯びてきた。AESAレーダー換装済みのF-15C/Dイーグル余剰機材のリースあるいは売却である。こうした機材では対地攻撃能力は限られるが空対空戦では最新型F-16を上回る性能がある。これが実現すれば台湾の空軍力はバランスがとれたものになる一方で中国に敗れる可能性も減る。同時に1米国は台湾に「防衛的性格」の兵器のみ売却できるとしている979年法に違反しない。
F-15C/Dは空対空ミサイル搭載量を増やす改修も可能で、一体型燃料タンク搭載もできる。これが実現すれば数の上で劣勢の台湾に理想的な機材になり、台湾海峡上空で待機できる。つまり改修型のF-15C/Dは台湾に最強の空対空戦闘機レーダーを入手し、長時間飛行、防空に有効に使える兵装運用能力を同時に実現してくれる機材になる。
USAF
F-15C.


F-15C/D余剰機材と言っても数は限られ、新型レーダー換装の機体は皆無だ。だがUSAFに新規製造F-15Xが導入されれば、余剰F-15C/D型を構造補強と技術改修を加えて台湾に売却すれば意味がある。
さらに海兵隊の余剰AV-8Bハリヤーを加えAESAレーダーへ換装の後台湾に渡せば、過酷な戦闘作戦環境で真価を発揮する。
ということで台湾向けの選択肢はたくさんあり、これまでより意味が大きくなっているものもある。
とはいえ、「台湾にもっと戦闘機を」との動きがこれから数週間のうちに大ニュースになりそうなのは明らかだ。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com

コメント F-15余剰機材といえば、航空自衛隊でデジタル改修に耐えられない旧型を米国に譲渡すると言う話がありましたよね。米国本土ではなく、米国経由で台湾に行く、としたらどうでしょうか。かつてF-104でも同様に台湾に渡った機体があったような。中国様に忠誠を誓う国会議員がこの動きを知ったらひっくり返りそうですが。中国が猛烈なネガティブキャンペーンを展開しそうですね。当方は「一つの中国」とは破綻した考え方で台湾は中国にあらずと考えていますので、台湾との国交回復を考えてもいいと思います。大陸とやりあうにはそれくらいのカードが合ってもいいと思うのですが。が皆さんはいかがですか。

☆デプチュラ中将の考えるF-2後継機種は....F-3ではありません

デプチュラ中将の論点は極めて明確ですが、明確すぎて国産F-3の夢を捨てきれない人たちにはブーイングされそうですね。空軍力が確かに国防の第一線であるのですが、中国が日本に挑戦するとすれば航空機だけではないはずです。ミサイル、サイバー、工作員、海の民兵、など多様なはずで、論考はあくまでも航空機の分野に限られていることに要注意です。サイバーや宇宙も含めると航空自衛隊と言う名称が限界にきているのかもしれません。航空宇宙自衛隊JASSDFにしてはどうでしょうか。それはともかく、厄介な隣国である中国に対して日本がどうしても譲れないのは領土はともかく思想・表現の自由など基本的人権を尊重する仕組みの堅持であり、資本主義といいながら高度に社会を大事にするシステムを守ることではないでしょうか。


The Japanese Air Force Needs an Upgrade 航空自衛隊の戦力整備が必要



Faced with China’s increasing aggression, Japan must invest in fifth-generation fighter jets to deter Beijing’s expansion.中国の脅威増加に対応して日本は第5世代戦闘機を整備し中国の野望を抑えるべきだ



BY DAVID A. DEPTULA | MARCH 18, 2019, 5:45 AM


Japanese Prime Minister Shinzo Abe (C) leaves after an inspection of a mock-up F35A fighter  during a review ceremony at the Japan Air Self-Defense Force's Hyakuri air base Ibaraki prefecture on Oct. 26, 2014.
F-35A戦闘機モックアップを茨城県百里航空自衛隊基地で視察する安倍晋三首相。 Oct. 26, 2014. (KAZUHIRO NOGI/AFP/GETTY IMAGES)

本の安全保障を根本から揺るがしかねない決断にまもなく迫られる。運用中のF-2戦闘機の後継機種選定だ。日本にしのびよる脅威がある。中国だ。中国が太平洋全域で強気になる背景に軍事力増強の進展が早いこと、最新装備の配備があり、決断に誤りは許されない。


日本は充分な抑止力整備で脅威へ対抗すべきだが、同時に有事に勝利をおさめるべく戦力拡充の必要もある。


このため高性能戦闘機、レーダーに探知されないステルス技術、高性能センサー、データ処理能力、安全にリアルタイム通信出来る能力に予算を回すべきだ。こうした性能をひとまとめに「第5世代」航空優勢戦闘機と呼ぶ。F-2後継機種にこうした性能が不可欠だ。ひとつでも不十分な性能のままだと日本はたちまち不利な立場になり第5世代機による兵力投射環境に対応できなくなる。


日本が147機のF-35を予定通り導入しても2030年までに中国の第5世代機は日本の二倍の規模になると予測される。日本の裏庭で中国が軍事力を増強しており日本も空軍力整備を最大規模で進めるべきだ。


周辺国への中国の脅威は現実のものだ。このままの流れを許せば、中国はさらに国際秩序を無視し領土所有に走るだろう。中国は南シナ海で実効支配地区を拡大し、1982年の国連海洋法を無視している。このために中国は3,200エイカー超の人工島を造成し軍事施設、センサー、航空基地、長距離対艦ミサイル陣地を構築した。


日本にとって気がかりなのはこの戦術が南シナ海に限定されず、中国は実効支配地区を東シナ海でも確保しようとしており、尖閣諸島の領有権をめぐり日本と対立し、沿岸警備隊艦艇や軍用機の哨戒を展開している。中国の目標は明白だ。日本の主権をなしくずしにするべく、継続かつ目に見える形で軍事圧力をかける。南シナ海のように中国の軍事プレゼンスが黙認されれば、即座に恒久的なプレゼンスとなり周辺国も事実上認めざるをえなくになる。


米国防総省は2018年の年次報告で中国の軍事戦略を「積極的防衛」で、「作戦上は攻撃姿勢」と記した。中国が国際規範を遵守するのであればこの表現で妥当と言える。だが中国が一方的に支配圏を拡大しておきながら軍事力で堂々と防御するのは受け入れがたい。2013年11月に中国が防空識別圏ADIZを拡大し、一部は国際的に認知されている日本のADIZと東シナ海上空で重複したが、これが中国の長期的姿勢を示している。


中国の野望を支えるのが人民解放軍空軍 (PLAAF)が運用する戦闘機1,700爆撃機400、輸送機475、特殊任務用途機115という数字だ。


これに対し米空軍の規模は戦闘機1,900、爆撃機157、輸送機570、特殊任務機140を世界に展開中であり、太平洋だけではない。中国は戦闘機材の近代化に注力し、Su-27やSu-30を原型とする第4世代機、国産J-10などを整備している。


第5世代機二型式のJ-20、J-31は米日両国の第4世代機部隊の強敵になりそうだ。推定では2030年までに中国は第5世代機を200ないし500機整備する。そうなると日本がF-35を予定通り調達しても数的に圧倒される。


さらに中国は高性能地対空ミサイルを配備し戦力を上乗せする。長距離攻撃手段整備を優先しており、2016年にPLAAF司令官(当時)馬騎天Ma Xiaotianが新型ステルス長距離爆撃機を開発中と発表した。米国防総省推定では同機は早ければ2025年に登場し、航続距離5千マイルと日本全土を攻撃範囲に収め脅威水準を文字通り破滅的な段階に押し上げるだろう。


中国軍事力に対抗し日本は防衛体制整備に注力し非対称的優位性の実現をめざすべきだ。日本の防衛と抑止力の第一線は航空自衛隊でありこれ以上に重要な存在はない。最新鋭第5世代戦闘機の導入が不可欠であるのは太平洋が広大で充分なペイロードがないと戦闘に対応できないからだ。中国が南シナ海で強硬になったのはまともな抵抗がなかったためだ。各国が非難を強め外交手段に訴えても中国が失う代償はごくわずかであり中国は喜んで支払う。日本は同じ手口にひっかかってはいけない。充分な戦力整備が中国の動きを制する唯一の手段だ。


このため日本のF-2(90機)の更新機材探しは重要だ。脅威環境に対応が難しくなってきたF-2は2030年代中頃に退役する。後継機に第四世代機の新規製造F-2、F-15、F-16、F/A-18、ユーロファイター・タイフーンをあてるのは賢明な選択と言い難い。中国が第4世代機で圧倒するからだ。


こうした機材で性能改修しても、ミッションを実行し無事帰還を裏付けるステルス性能がないことにかわりない。中国が第5世代機二型式の運用に向かいステルス爆撃機までも実用化する中で日本防衛の選択肢にならない。


幸いにも防衛省はF-2後継機として国産ステルス戦闘機の開発案を三菱重工業中心に検討している。さらに欧州との共同事業として英国主導のテンペストなど国際開発する案、米国の支援のもと第5世代機として既存機種の性能を織り込む派生型を世界最高性能の戦闘機とする案もある。


最初の二案は実現性で難がある。国際のF-2後継機は高コスト高リスクが技術開発上で心配される。欧州との協力事業では開発経費の抑制が実現するがあと10年で作戦投入できるかリスクもある。


ヨーロッパに第5世代機開発の実績はない。試作機さえもなく、生産ラインも存在しない。また新型機の開発生産を後押しする政治的支援もまだ未成立だ。中国が積極的に第5世代機の配備を進める中、欧州と組んでも時間の成約の中で日本に利点は生まれにくい。


対照的に「ハイブリッド」第5世代派生型機材の提案がロッキード・マーティンからありF-22ラプター、F-35ライトニングIIの実証済み技術を盛り込むとある。ステルスやデータ融合に加え日本特有の条件に合わせ、航続距離の増加で航空自衛隊の哨戒時間を空中給油なくても伸ばす事が可能だろう。


ハイブリッド構想が費用対効果と製造リードタイムで最も有望で、中国の脅威に対抗しながら日本が発注したF-35の147機も活用できる。さらに第5世代ハイブリッド機は日本の用途に合わせた機体になり、日本中心で生産できる。南シナ海での中国の台頭は無作為から生まれた痛い結果だ。これ以上の中国の横暴な動きを太平洋で食い止め日本の領土領海領空を守るべく実行力ある抑止力を実現するには予算と研究はよく考えて行う必要がある。


第5世代機はこの投資の重要部分となる。力の裏付けがある平和は確かだ。第5世代ハイブリッド戦闘機こそ日本の平和を実現する手段となる。


中国の兵力投射は空と海が中心だ。高性能第5世代ハイブリッドなら中国の兵力投射を迅速かつ決定的に打破できる。中国の脅威に全面的に対抗する実力が航空自衛隊に備われば、中国は侵攻を断念せざるを得なくなる。仮に誤算で戦火を開いても日本パイロットは第5世代ハイブリッド戦闘機でミッションを実施し無事帰還できるはずだ。■
David A. Deptula is a retired U.S. Air Force lieutenant general who previously commanded the joint force air component war-fighting headquarters of Pacific Command, served as vice commander of Pacific Air Forces, was stationed in Japan from 1979 to 1983 as an F-15 pilot, and is currently the dean of the Mitchell Institute for Aerospace Studies. Twitter: @Deptula_David

2019年3月23日土曜日

新型機登場 デファイアントはシコースキー・ボーイング合作の同軸ローター複合ヘリコプター


Watch Sikorsky And Boeing's SB>1 "Defiant" Compound Helicopter Fly For The First Time シコースキー、ボーイング合作のSB>1デファイアント複合ヘリコプターが初飛行

The long delayed flight is a big accomplishment for team Defiant and marks a new stage in the fight to own the Army's future helicopter order book. 待望の初飛行はデファイアント製作チームに大きな一歩、陸軍の次期ヘリコプター受注を狙う


SIKORSKY

SB>1デファイアントが初飛行した。同軸ローター複合ヘリコプターの同機はシコースキーのウェストパームビーチ工場を3月21日7:47 AM離陸し、およそ三十分飛行し低速での操縦性を試した。推進用プロペラは今回は運転していない。初飛行成功はシコースキー=ボーイングチームに大きな一歩となりSB>1は陸軍の次期垂直飛行機材への採用で量産化を期待し、それ以外の需要も狙う。
同機開発には技術障壁が立ちふさがり、初飛行も一年以上遅れた。 他方で競合相手ベルのV-280ヴァラーが第二世代ティルトローター機として陸軍への採用を狙い、現時点で15ヶ月の飛行実績を有し、280ノットの前方飛行速度を達成したばかりだ。
シコースキー副社長(次期垂直輸送機担当)ダン・スプアは以下の報道発表をした。
「デファイアントは従来のヘリコプターのほぼ二倍の速度で二倍の距離を飛ぶ設計でありながら低速性能やホバリング性能はこれまでのヘリコプターに遜色ない。同機を敵地に送っても高い操縦性、生存性、柔軟性を発揮できる。本日の初飛行結果に高揚感を覚えつつ今後の飛行テストに期待している」
デファイアントはシコースキーの前作X2技術実証機のユニークな機体設計を拡大している。同じく同社がX2から発展させたS-97レイダー武装偵察同軸ローター複合ヘリコプターもSB>1開発の参考となったが、こちらはすでに数年前から飛行中で試作2機がテストに入っている。ロッキード・マーティンがシコースキーを傘下に収めたが、現在もシコースキーはブランドを残し独立事業体として運営されている。
デファイアントとヴァラーは米陸軍の共用多用途(JMR)技術実証機として競合する立場だ。陸軍は当初2017年12月にテストフライトを開始の予定だったがSB>1の製造が遅れ日程を先送りしてきた。
陸軍の狙いはJMRから次世代垂直飛行輸送機(FVL)の要求性能をまとめることにある。SB>1とV-280あるいは改良型がこのうち「中型機」の位置づけでUH-60ブラックホーク、AH-64アパッチ数百機の更新機材となる。シコースキー=ボーイングチームはデファイアントをブラックホーク後継機として売り込み、ガンシップ改装案をアパッチ後継機としたいとする。
LOCKHEED MARTIN
シコースキーのめざす高性能複合ヘリコプターの進展を示す図でSB>1からFVLに発展するとある。また「小型版」FVLはS-97から発展させるとある。


シコースキー=ボーイングチームは以前は2018年12月に初飛行を予定していたがテスト機に見つかった技術問題で先送りしており、その時点でも日程は遅れていた。
2019年1月末にロッキード・マーティンからデファイアントの地上運転状況を示す映像資料が公開された。
米陸軍はブラックホーク後継機の導入は2030年頃と見ている。
V-280 と SB>1がともに飛行可能となり、実入りが多い中型ヘリコプターの採用につながるため両社の競合は加熱するはずだ。他の競合相手の参入の余地はあるもののティルトローター技術が成熟化したとはいえ競合相手が登場し、陸軍以外の需要、外国軍への輸出、さらに民生分野でも大きな需要が期待される。
いいかえれば今回登場の試作機に大きな期待が寄せられている。■

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米空軍のAIウィングマン構想の名称がスカイボーグになった

Defense Newsが伝えるAIについての記事です。忠実なるウィングマンやヴァルキリーなどの機体はあくまでもハードウェア主体の装備で、操縦制御や作戦実施をし、有人機とやりとりするAIをスカイボーグと呼ぶことにしたようです。Sky +Cyborg ということでしょうか。新語辞典でもまだカバーしていない言葉を皆さんと共有しましたね。


Introducing Skyborg, your new AI wingman

これからのウィングマン、スカイボーグ登場

By: Valerie Insinna 3 days ago

XQ-58Aヴァルキリー長距離亜音速実証機が2019年3月5日にアリゾナ州ユマで初飛行に成功した。 (DoD)

「お前ならいつでも俺のウィングマンにしてやるぜ」、『トップガン』のアイスマンのせりふは人工知能版のマーヴェリックにむけられそうだ。
空軍研究開発本部AFRLがこれをスカイボーグ Skyborg 事業で実現させようとしている。
ウィル・ローパー空軍次官補(調達・技術・兵站担当)が想定するAIウィングマンのスカイボーグはパイロットと訓練で学習して技を磨き、パイロットのニーズに応え生身の人間では処理が困難な脅威に真正面から取り組む存在になる。
開発はまだ初期段階でAFRLは学界とAIの構築作業中だ。だがローパーによれば実現に向けた予算は確保済みで空軍はスカイボーグを無人機のボーイングQF-16、クレイトスのXQ-58ヴァルキリーやBQM標的機に統合する。ただし、今後の話だ。
「実験で終わらせるつもりはない。正式な事業にしたい」とローバーは報道陣に3月13日語った。「数年以内に実用に耐えるか本格的実証でみてみたい。もっとはやく実施させたい」
ローパーはスカイボーグをR2-D2になぞらえた。スターウォーズでルーク・スカイウォーカーがX-Wing機を操縦する際の助手だ。またワトソンの名もあげた。IBM開発のAIでクイズ番組でチャンピオンよりすぐれた回答をした。
スカイボーグを低コストで消耗品扱いのヴァルキリーに統合すれば、パイロットは敵機だらけの空域に無人機を送り込み、自分は危険から距離を置ける。AIは脅威へ人間より迅速反応できる。
あるいはアップルのSiriのようにコックピットでパイロットの指示に音声対応させるのも可能とローバーは言う。
「初期段階では映画のようなすごい光景は期待できませんが、これまでの常識を一変させますよ」
実証内容は未定だ。スカイボーグについてローパーはシミュレーターで生身のパイロットと訓練させたいとする。またAIを無人機に搭載し飛行中に各種物体をどこまで認識できデータをパイロットに伝えられるかを見たいという。
とはいえローバーも生身のパイロットが消えるとは見ていない。
「パイロットはむしろ重要になります。機体操縦だけでなくパイロットに求められる範囲が増えます。操縦しながら無人機部隊の司令塔になればパイロットは仕事に熱中するはず」という。
スカイボーグの進展で解決すべき課題が空軍で増えるとローパーは見る。
その一つがどこまでの責任をAIウィングマンに期待していいのか。どんなミッションを与えるべきかだ。兵装運用の決定を自律的にさせていいのか。稼働期間を通じたシステムの学習に変更を許していいのか。
「ひとつずつ答えをだしていきたい」とローパーは述べ、スカイボーグのテスト結果からペンタゴンも自律運用をどこまでの容認できるかわかるので答えが出ない問題ではないという。
「戦闘投入し二律背反する事態を解決できるAIは現時点では存在しない」とし、「実現すれば、技術の進歩に政策面で追いつくのが難しくなり、政策がなければ現場でバラバラな決断してしまう」
もう一つの課題にスカイボーグ事業が本格化したら空軍内のどの部署が統括するのかという点がある。機体のソフトウェアは通常は該当機種の担当部署が受け持つ。だがスカイボーグがQF-16に搭載されてQF-16担当にまかせると空軍がデータを別用途に使おうとすれば不都合になるというのだ。
こうした課題を空軍は中国との競争を念頭に解決しリスク低減の必要がある。中国も人工知能を最重要分野にしている。
「将来は凄い世界になります。今までにない技術が登場しますので既存の調達のしくみでは対応困難な初期段階を乗り越える必要があります」「第一線使用を開始すれば全く新しい機会が生まれるでしょう」■

2019年3月22日金曜日

米海軍はステルス攻撃機事業を復活し、長距離打撃能力を中国を睨み実現すべきだ

このタイトルだけで勘の良い方はすぐA-12のことだとわかるでしょう。もし、あの機体が実現していれば....という妄想ではなく、現実世界でせっかくの企画をどう実現するかを考えるほうが遥かに前向きですね。技術がともなわずに流産したのがA-12なら、必要な技術がそろい要求性能を実現できる今からA-XXを作れば良いということですかね。

The Navy Tried to Build a Stealth Bomber for Its Aircraft Carriers. It Ended Badly. 米海軍の艦載ステルス爆撃機構想は残念な結果に終わった

During the closing stages of the Cold War, the United States Navy was developing a new long-range stealth bomber that could strike at even the most heavily defended targets from the deck of an aircraft carrier.
冷戦末期の米海軍が空母運用型の新型長距離ステルス攻撃機を開発し、最も強固な目標の攻撃も可能にしようとしていた
March 21, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: A-12 AvengerNavyMilitaryTechnologyWorld

戦末期の米海軍に長距離ステルス攻撃機を空母運用し最も強固な目標の攻撃も可能にする新型機開発案件があった。だが同事業は中止され、今も続く能力ギャップが海軍航空部隊に生まれている。
高性能戦術航空機(ATA)事業にマクダネル・ダグラス/ジェネラル・ダイナミクスA-12アヴェンジャーIIの呼称がついた同機はグラマンA-6Eイントルーダーの後継機のはずだった。だがソ連の脅威が消えると当時の国防長官ディック・チェイニーがA-12を1991年1月7日に取り消しとした。理由は大幅な価格上昇、日程遅延ならびに技術上の問題だった。ステルス爆撃機A-12で問題があったにせよ、同機の消滅により海軍は今日まで問題を引きずっている。空母航空隊に接近阻止領域拒否(A2AD)を突破できる長距離機がないことだ。
ロッキード・マーティンF-35C共用打撃戦闘機によりXバンドステルス技術が空母で利用可能となり、今後登場するMQ-スティングレイ無人給油機で既存機材の運用半径が広がるが、両機種とも敵中心地を攻撃する長距離大規模攻撃性能はない。F-35、MQ-25がそろっても海軍航空部隊が西太平洋地区で中国を攻撃すれば相当のリスクを覚悟せねばならない。中国は米空母への睨みに対艦弾道ミサイルのDF-21DやDF-26を整備し、後者は有効射程2000カイリといわれ、水上艦部隊はさらに遠い地点での活動を強いられる。
1980年代にソ連軍事力を念頭に米海軍は空母艦載機での遠隔地攻撃能力が必要と考えた。自身も海軍航空士官だったジェリー・ヘンドリックスによればA-12の当初の要求性能は戦闘半径1,700カイリ、機内兵装搭載量6千ポンドでレーダー断面積はノースロップB-2スピリット戦略爆撃機と同程度とするというものだった。
A-12事業が存続していれば、米海軍は長距離侵攻打撃艦載機を実現していたはずだ。だが技術問題と要求性能変更から、攻撃能力が下がり、戦闘半径は1000カイリに785カイリへと下がり、技術問題も解決の糸口が見えず、チェイニー長官は事業中止を選択せざるを得なくなったのだ。
当時はすぐ認識できなかったが、A-12中止とA-6E退役で米海軍の長距離攻撃能力を喪失した。冷戦終結直後には問題視されなかったが、その後ロシアが戦力復興し中国が大国に台頭すると空母部隊戦力の実効性が問われるようになった。A-12が実現していれば空母航空部隊の大きな戦力となっていたのではないか。
アナリスト陣は長距離ステルス無人攻撃機で敵地侵攻型長距離攻撃力の欠如を埋める構想を出してきた。ただしペンタゴンでは自律兵器が人間にかわり決断することは許しておらず、無人機が敵地奥深くに侵攻する際も操作員による制御が必要だ。ロシアや中国はデータリンクの脆弱さを狙い、無人機の制御を断ち切るべく電子攻撃、サイバー戦、あるいは各種手段を組み合わせてくるだろう。無人機が乗っ取られたことも実際に発生しており、制御の確実な保証はないのが現実だ。
生身のパイロットならハッキングされずその場で判斷し攻撃するか、目標を変更できる。そうなると海軍で長距離侵攻型攻撃能力を実現するには有人艦載機の復活が一策だろう。より進歩した今日の技術として素材、センサー、高性能の適応サイクルエンジンを搭載すれば当時のA-12で問題となった課題を解決できる。
このうち開発中の適応サイクルエンジンが実現すれば、燃料消費は35%減り、空母搭載爆撃機として目標の1100カイリ性能が実現できる。そのため海軍は次世代長距離侵攻攻撃機を企画すべきだ。当初のATAではボーイングF-15Eに交代する構想もあったが、再復活する新型機がストライクイーグル後継機になり、ボーイングF/A-18E/FスーパーホーネットやF-35Cとも交代し空母艦上に姿を現すかもしれない。決して安価にはならないがドナルド・トランプ大統領に国防に予算を重点的に回す決意があれば、海軍としても検討に値する選択肢になるはずだ。■

A-12の想像図。Wikipediaより

F-15EX調達に警戒するロッキードと議会ロビイストの戦いが始まった

Lockheed Martin is Waging War on Boeing’s F-15EX

 ロッキード・マーティンがボーイングF-15EXに宣戦布告

A U.S. Air Force F-15C Eagle, an earlier variant of the proposed F-15EX, flies in support of Combined Joint Task Force – Operation Inherent Resolve Feb. 11, 2019.
U.S. AIR FORCE PHOTO BY STAFF SGT. CLAYTON CUPIT

  • BY MARCUS WEISGERBERGLOBAL BUSINESS EDITORREAD BIO
MARCH 15, 2019
The F-35 makers sees the Pentagon’s plans to buy new F-15s for the first time in 19 years as a threat.

F-35生産関連企業にとってペンタゴンが新規生産F-15導入を決めたのは19年間ではじめての脅威となった

F-35共用打撃戦闘機はネヴァダ上空の空戦演習で旧型機を次々に獲物にしたといわれる。その中に104対ゼロと圧倒的な実績を誇るF-15も含む。この二機種が今や熾烈なドッグファイトに向かう。ただし、ミサイルや銃は使わない。

ロッキード・マーティンF-35とボーイングF-15EXの戦いを演じるのは議会内外のロビイストでペンタゴンの2020年度予算要求が戦いの口火を切る。今後10年間で数百億ドルが手に入るかの瀬戸際だ。

今週ペンタゴンから新規製造F-15を2001年以来初めて調達するとの発表があったが、空軍トップは2週間前にどうしても必要な機材ではないと発言している。ほぼ二十年近く、空軍はいわゆる第四世代の調達はしないと公言し、ステルスの第5世代機導入を優先してきた。

今回のF-15調達は小規模で2020年に8機、2024年までに80機だ。反面F-35は2020年に78機でうち48機が空軍向けだ。

だがペンタゴンの予算関連書類から空軍はF-15を今後10年で数百機調達する構想がわかる。まず144機を冷戦時のF-15Cに交替させる。さらにF-15C/DやF-15Eの更新も視野に入れると400機になる。

これにロッキードが反応した。発表の翌日、同社幹部が第4世代機に対し「F-35の決定的な優位性」を詳細に語る文書を発出した。

ロッキードの主張は出費に見合う価値があるのか、という点にまとめられる。F-35の機体価格はまもなくF-15と同程度あるいはそれ以下になる。運航コストはF-15を下回り、より多くのミッションをこなせるとする。

ボーイングの主張:F-35は空対空任務のF-15Cの代わりになれないが、F-15EXはそのまま任務を拡張できる。パイロットに追加訓練は不要だ。兵装を大量搭載し、運用基地のインフラも改修なく使える。さらにF-15EXは多任務機材でF-15Eストライクイーグルと類似点が多い、つまり対空、対地、対艦攻撃も可能だ。

ボーイングは新規生産F-15の売り込みを10年にわたり展開し、同様の機材をサウジアラビアやカタールに売り込んだ。昨年夏から今のような調子の営業活動がはじまった。
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空軍の一部では評価されたが上層部では別だった。空軍長官ヘザー・ウィルソンは2月28日に同機は空軍の初期予算案に盛り込まれないと発言していた。

だが統合参謀本部及びペンタゴンの費用評価事業評価部門が「実際の航空戦で必要とする性能諸般」からF-15EXの調達を推奨してきたと防衛関係者が述べている。

ペンタゴンの監理官次長エレイン・マカスカーは3月12日、F-15EXを予算要求に盛り込む決定はジム・マティス前国防長官のものと明かした。

議会がF-15EXの存在意義を認めるかは不明だ。2月に全員ロッキードF-35生産あるいは配備基地とのつながりをもつ共和党上院議員5名がF-15EX導入に反対の趣旨の書簡をトランプ大統領に送りつけた。

「ここ数年にわたりDoDがF-35事業予算を減らしており重大な懸念を感じる中、議会による予算追加頼みで生産、配備、改修を進めてきたのが現状だ」と代表してジョン・コーニン上院議員(共、テキサス)が述べている。「国家安全保障戦略で掲げた目標達成にはF-35へ投資し妥当な経費負担で航空優勢戦闘機の威力を発揮し残存させる必要があり、今が一番肝要な時期だ」

F-35の2020年度予算要求は112億ドルで78機調達に加え完成機材の改修も行う。これまで議会が独自にペンタゴン要求枠を上乗せした予算修正してきた。昨年は国防総省の要求77機に16機追加した。

F-15EXでは2020年度要求に8機調達として11億ドルを計上している。予算額には生産ライン整備費用も含む。


ブルームバーグが昨年12月に8機のF-15EX調達が予算要求に入ると報じ一ヶ月してロッキードCEOのマリリン・ヒューソンがペンタゴンからF-15導入でF-35予算は減額しないと聞いていると述べている。
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「威力を実証ずみのF-35こそ国家防衛戦略の体現で、同事業は引き続きペンタゴン、各軍、議会、ホワイトハウスから強い支持をうけていく」と同社は声明文を発表していた。

ペンタゴンからはF-15EX調達でF-35導入機数が減ることはないと繰り返し発言があり、F-35の総合計調達数は2,443機だ。

「議会で全部F-35にしてくれるんならわからないことはない」とペンタゴンで戦略構想担当の統合参謀本部次長室のデイヴィッド・クラム少将がミッチェル研究所で述べている。「だが今ある財源と装備の運用費用を考えるとこの国の空軍には現案が最良の策だろう。また機能と規模を考えるとこれがベストなのでは」

「もっと財源があれば望ましい方向について真剣に議論すべきと思う。だが今ある財源からすれば正しい方向に向かっていると思う」■

2019年3月21日木曜日

次の戦争は宇宙から始まる? 周回中の衛星多数への中国攻撃を想定する米国

War Is Boring記事のご紹介です。宇宙分野の戦いは目に見えませんが中国が先制攻撃で脆弱な衛星群を使えなくしたら米軍の活動は想定どおり展開できなくなります。もともと宇宙分野での軍拡をすすめないため米ロ両国は合意していましたが、ここでも中国が無関係に台頭してきたためINF条約同様に宇宙での装備展開の制約は早晩消えるでしょう。中国のなりふりかまわぬ進出はいたるところで世界に緊張を与えていますね

China looks to the stars to steal more power away from the U.S.

中国の狙いは宇宙で米国を弱体化させることだ




球周回中の衛星は現在1,957基あり、うち849基は米国が打ち上げているが、その中で外国勢力によるジャミングに耐えられる衛星は昨年打ち上げられた一基のみである。
そう述べると米国で警戒の念が強まるが、より多くの関心を寄せる国が別にある。中華人民共和国である。
人民解放軍は大幅な戦力増強中で、装備能力のみならず人工知能、衛星攻撃能力の技術面、さらに世界各地に米国同様に兵力投射する能力も着実に整備してきた。
多方面に手を伸ばした格好の中国だが宇宙分野でも活動を展開しデブリ除去もそのひとつとするが米国防情報局(DIA)はこれは米衛星をねらう作戦のカバーと見ている。
「中国の衛星運用は高度化しており軍民両用技術として対衛星攻撃に使うつもりだろう」とDIA報告書にある。
米衛星への奇襲攻撃の可能性について同報告書が中国が今後打ち上げる各種衛星について考察している。
「中国は各種衛星攻撃能力の開発を進め敵国の宇宙配備装備を有事の際に使用不能あるいは機能低下させるのがねらいだ」(DIA報告書)
衛星ジャマーや指向性エネルギー兵器以外に中国は運動エネルギー兵器も作成中で、2014年にテストした対衛星ミサイルもその一環だとする。
米国最大の優位点であり最大の弱点に中国は焦点をあわせているようだ。
「PLA著作物では『敵偵察能力の破壊、破損、妨害』の必要性を強調している」と同報告書にあり、「通信衛星や航法衛星、早期警戒衛星が『敵の聴覚視覚潰し』攻撃の標的だろう」とする。
報告書ではPLAが米国と同等の規模、性能、技術水準の確保をめざし、技術成果を自国外で獲得し開発工程を省略しようとしていると指摘している。知的財産を盗み、諜報活動やリバースエンジニアリングで米国に匹敵する技術水準を中国政府は近年確保している。ただし、「パズルのピースを盗み」ながらピース全部を入手しないため結果はばらついているともいう。
中国の台頭が続く中で、米国としてもサイバーセキュリティの強化、衛星ネットワークの防御をはかるが、次の戦争が「旧態依然」の方法で展開される可能性に備える必要がある。■
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