2021年3月14日日曜日

中国の弱み 規模こそ巨大だが中国の空軍力にはまだ実力が不足しているのが現状だ。

 


 

ハイライト PLAAF ・PLANAFあわせた戦闘機材の三分の一が旧世代機で戦闘性能に制約がつく。一斉飽和攻撃しか活躍の余地がないといってよい。28%の機材が戦略爆撃機など性能は高いが第3世代設計の旧型機だ。

 

人民解放軍空軍PLAAF、人民解放軍海軍航空隊PLANAFと合計1.700機と相当な規模の戦闘機材を運用している。これを上回るのは3,400機供用する米国だけだ。中国は多様な機種を運用しており、一部は西側も把握できていない。

 

ただし、中国の軍用機は大部分がロシア、米国の設計をもとにしており、出自がわかれば性能の推定も困難ではない。

 

ソ連機のクローン

ソ連と共産中国は1950年代に最良の友好関係にあり、ソ連は戦車、ジェット戦闘機など大量の技術を移転してくれた。中国生産の初期機体にJ-6があり、これは超音速MiG-19のクローンだった。J-6は大量生産され、一部を除き今日でも供用が続いている。同機の派生型南昌Q-5は対地攻撃機で供用中で、精密誘導弾運用の改修を受けている。

 

ところが中ソ関係は1960年ごろから怪しくなった。それでも1962年にソ連は最新のMiG-21戦闘機を友好の証として贈与している。中国は甘い言葉にはつられず機材をリバースエンジニアリングで堅牢かつ重量を増やした成都J-7に変えた。文革の影響で生産開始が遅れたが、1978年から2013年にかけ数千機が生産され、現在も400機近くがPLAAF、PLANAFで供用中。

 

J-7は1950年代設計としては操縦性、速力がすぐれ、F-16並にマッハ2飛行も可能だが、燃料兵装の搭載量が少ない。J-7Gは2004年に登場し、イスラエル性ドップラーレーダー(探知距離37マイル)、改良型ミサイル、視界外対応能力、デジタル「グラスコックピット」を備える。

 

こうした機材では第4世代戦闘機へ対応は苦しいだろう。敵機には遠距離探知能力がある。仮説だが、一度に大量投入し敵を圧倒する攻撃形態を想定しているのだろう。

 

中国のB-52

もうひとつソ連時代のクローン機材が西安H-6双発戦略爆撃機で原型は1950年代初頭のTu-16バジャーだ。米B-52、ロシアTu-95ベアのような大型機と比べれば性能は劣るが、空中給油対応となったH-6Kは今も有効な機体で長距離大型巡航ミサイルを敵の防空圏外から発射できる。ただし、PLAAFはこの想定で同機への期待を捨てたようで、西安航空機では新形H-20戦略爆撃機の開発を進めていると言われる。だが同機の情報は皆無に等しい。

 

国産戦闘機の開発

中国は国産戦闘機開発を1960年代中に開始し、1979年に瀋陽J-8が生まれた。大型双発超音速迎撃機のJ-8は最高速度マッハ2.2を実現し、MiG-21とSu-15の中間の存在となった。ただし、エイビオニクスは旧型で操縦性も劣った。とはいえ、J-8IIではイスラエル製レーダーの導入でエイビオニクスを改良し、大量兵装を運用するところはF-4ファントムを思わせる。現在も150機が活躍している。

 

1992年に供用開始した西安JH-7飛豹は200機以上が第一線にあり、大型複座の海軍用戦闘爆撃機として20千ポンドのミサイル等を搭載し最大速度はマッハ1.75だ。ドッグファイトには不向きだが、対艦ミサイルを長距離発射すれば安全だ。

 

成都J-10猛竜は対照的に中国のF-16で、高度の操縦性能の軽量多任務戦闘機でフライ・バイ・ワイヤのエイビオニクスで空気力学上の不安定さを補正している。エンジンはロシア製AL-31Fターボファンに頼らざるを得ず、J-10B型が21世紀にふさわしいエイビオニクスとして赤外線探知追尾装備やアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダーを搭載し、後者はF-16でも一部にしか搭載されていない。250機ほど供用中のJ-10で死亡事故が数件発生しているのはフライ・バイ・ワイヤ関連で問題があるのか。

 

フランカーの導入

ソ連崩壊後のロシアはキャッシュほしさにイデオロギー対立は捨てて、当時最新鋭のスホイSu-27を求める中国の要望を受け入れた。Su-27は双発で高度の操縦性を誇り、F-15イーグルに匹敵する長距離運用とペイロードを実現した。これが運命的な決定になった。今日、Su-27原型の各機が中国の新鋭戦闘機部隊の中心となっている。

 

Su-27を輸入した中国は国内生産ライセンスを購入し、瀋陽J-11が生まれたが、ロシアにとって悲報は中国がより高性能のJ-11B型、D型を勝手に製造したことだった。

 

ロシアは怒りつつ、さらに76機の新型対地攻撃仕様のSu-30MKK、海軍仕様のSu-30MK2を売却した。問題は中国がSu-30からも独自の派生型を瀋陽J-16紅鷲としてAESAレーダー搭載、空母運用用の瀋陽J-15飛鮫を製造したことだ。後者はウクライナから調達したSu-33が原型で約20機を001型空母遼寧で運用中。さらにJ-16Dはジャミングポッドを搭載した電子戦用機材で米海軍のEA-18グラウラーに匹敵する。

 

中国のスホイ派生型各機は理論上は第4世代機のF-15やF-16に対抗可能のはずだが国産WS-10ターボファンエンジンが整備性の悪さ、推力の性能不足で足を引っ張っている。ジェットエンジン技術が中国軍用機で大きな制約条件となっている。2016年に高性能版フランカーSu-35の24機を購入したのは、AL-41Fターボファンエンジン取得が目的だったのだろう。

 

ステルス戦闘機

驚くべき短期間で中国はステルス戦闘機2型式を開発した。成都J-20は20機がPLAAFで2017年から供用されている。J-20はF-22、F-35のいずれとも異なり大型双発の機体でスピードと航続距離、大量兵装を運用する狙いで操縦性は二の次にしている。

 

J-20は対地対艦の奇襲攻撃に最適だろう。ただし、機体後部のレーダー断面積の大きさが問題になりそうだ。あるいは敵陣営に忍び込み、脆弱な支援機材の給油機やAWACSレーダー機を狩るねらいがあるのか。任務特定型のステルス戦闘機として高度な作戦内容の実行を始めたばかりの中国には意味のある機体になりそうだ。

 

他方で、小型の瀋陽J-31シロハヤブサ(別名FC-31)はF-35ライトニングを双発にしたような機体だ。ロッキード社のコンピュータに侵入して得たデータを流用している可能性が高い。中国は垂直離着陸用の構造など空気力学を洗練させているが、ライトニング並みの高性能センサーやデータ融合機能は搭載していないはずだ。

 

J-31は今後登場する002型空母に搭載をするようだ。また輸出用にはF-35より相当低価格に設定されるだろう。ただし、同機もロシア製エンジンを搭載しており、中国製WS-13エンジンが信頼性十分になるまで本格生産はお預けのようだ。

 

展望

PLAAF・PLANAFの戦闘機材のほぼ三分の一が第2世代戦闘機や戦闘能力に限定がつく機材で、一斉攻撃に投入するしか使いみちがないはずだ。28%が戦略爆撃機など一定の性能はあるものの第3世代機だ。第4世代機は38%でF-15やF-16に対決可能な機材で、ステルス戦闘機は1%相当だ。

 

だが、機体の性能だけがすべてではない。同様に重要性を持ってくるのが訓練であり、組織の運用思想であり、支援体制だ。

 

中国にも情報収集機材があり、空母攻撃用のミサイルや機材があるのは事実だ。だが、各機材を一体運用しキルチェーンを構成するのは簡単ではない。2016年のRAND研究所レポートでは中国の訓練方法には現実的な状況設定が欠如し、地上海上部隊と一体化した運用経験は未確立とある。

 

いずれにせよ、中国に旧型機の更新を急ぐ様子はない。国内航空産業が実力をつけるまで大規模な新型機調達事業は待つという考えなのだろう。■

 

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Size Isn’t Everything: Why China’s Huge Air Force Is Not That Scary


March 10, 2021  Topic: China Air Force  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: ChinaMilitaryTechnologyWorldAir ForceJ-20J-10

Size Isn’t Everything: Why China’s Huge Air Force Is Not That Scary

by Sebastien Roblin

 

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring. (This first appeared several years ago.)

 


2021年3月13日土曜日

着実に進む日本と米国の宇宙空間安全保障協力....米宇宙軍、宇宙司令部との連携はここまで来ている

米ペイロードを日本の準天頂衛星で2回にわたり打上げる合意書に内閣府宇宙開発戦略推進事務局が署名する歴史的瞬間が生まれた。


本がフランス、ドイツに続き宇宙軍との連携を公認された。


「SPACECOMは日本との連携で合意書を取り交わす」と宇宙軍報道官が2021年3月21日認めた。


宇宙作戦部長ジェイ・レイモンド大将は日本を同軍の多国間連携事業に加える方針を2月の議会公聴会で表明していた。


「ヴァンデンバーグAFBの多国間宇宙連携室を強化し、ドイツ、フランス、英国の連絡官の常駐で政策及びTTP(戦術、技術、手順)の調整を図っている」「同室の業務拡大として日本、イタリア、南朝鮮を次に加えたい」


多国間宇宙連携室はSPACECOMの連合宇宙作戦センター(CSpOC)と別組織だが同じヴァンデンバーグAFB内に設置されている。CSpOCにはファイブアイズ対象国のオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国が米国関係者も米衛星運用を見守り、脅威対象のブリーフィングにも立ち会う。多国間連携部門はそれより軽度の機密情報を扱い、ファイブアイズ並の機密アクセスが認められない同盟国も加わることができる。


SPACECOMトップのジェイムズ・ディキンソン陸軍大将は多国間協力のネットワーク構築に前向きで、各国連絡官の常駐もめざす。


宇宙軍も国際協力へ焦点をあわせ、特にインド太平洋地区で中国の宇宙進出を警戒している。「ここ数年で各国との協力体制を大幅強化し、フランス、ドイツ、日本に加え大韓民国への拡大をめざしている」(宇宙軍作戦次長DT・トンプソン大将)


「世界各地で米国単独の実行はありえない。宇宙空間も同じだ」とニーナ・M・アーマニョ中将(宇宙軍幕僚長)が昨日発言していた。「宇宙でも同盟関係を構築することが宇宙軍の業務遂行に不可欠だ」


米国は日本と宇宙空間の状況認識能力拡充で協力を進めている。日本は米国製の宇宙状況認識 (SSA) センサーを搭載する準天頂衛星システム(QZSS)を静止軌道に打ち上げ、中国軍の宇宙活動へ監視を強める。


昨年12月宇宙軍は宇宙ミサイルシステムズセンター作成の光学センサーペイロードを日本の衛星に搭載し、種子島宇宙センターから2023年、2024年と連続打ち上げする正式合意を発表していた。


「宇宙ドメインでの状況認識能力向上は両国の宇宙協力を進める一歩に過ぎない」と空軍次官(国際分野)ケリー・シーボルトが報道会見で述べている。「今回の合意をもとに宇宙分野での協力を信頼が高い同盟国日本と進める」■


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SPACECOM To Tighten Ties To Japan

By   THERESA HITCHENS

on March 12, 2021 at 2:54 PM

https://breakingdefense.com/2021/03/spacecom-to-tighten-ties-to-japan/?_ga=2.33145150.1089004909.1615598621-1283241457.1614466581

2021年3月12日金曜日

この兵器はなぜ期待通りに機能しなかったのか② 米巡洋戦艦アラスカ(CB−1)級

 期待はずれに終わった装備品 ②米海軍巡洋戦艦アラスカ級


 

海軍で最強の艦種となるはずの艦艇が役に立たなかったというのはなんとも皮肉である。

 

USSアラスカは姉妹艦USSグアムと第二次大戦中で最大規模の巡洋艦となり、実現しなかった脅威に対抗すべく建造された。高速力と強力な兵装を実現したが、航空戦力へ中心が移り、当初の想定から航空母艦の援護に投入された。

 

巡洋艦の概念は19世紀に生まれ、蒸気機関、砲弾その他海軍技術の革新が進む中で海軍力再定義の重要な要素とされた。巡洋艦の長所は高速、重兵装だが比較的薄い装甲艦として駆逐艦を撃破し、民間商船を防御史、偵察任務を遂行することだった。巡洋艦は「経済的な戦力実現」の選択肢となり、各国が重宝し、戦艦では過大な場面に投入された。

 

米海軍は巡洋艦を重視し、第二次大戦開始前に重巡洋艦18隻を建造していた。各艦は大戦初期に活躍し、とくガダルカナル戦では航空母艦整備が進み、航空戦力を十分活用できるまで戦闘の中心だった。

 

1930年代に米海軍は日本帝国海軍が大型水上艦艇を整備し、海上交通路の遮断を狙うと疑っていた。帝国海軍はドイツのシャルンホルスト級をお手本に高速重巡洋艦を建造中と見られていた。重武装艦が輸送部隊を襲撃すれば、連合軍の海上輸送に大きな脅威になると危惧された。

 

米海軍は対抗策として攻撃力を充実した大型巡洋艦CBの小規模建造で、日本海軍の通商破壊艦艇を撃破することとした。艦名は当時の米領土からとり、1号艦アラスカにつづき、グアム、ハワイ、フィリピン、プエルトリコ、サモアを建造し、通商破壊艦を殲滅する構想だった。高速、重装備で長距離移動可能なこの艦種は巡洋戦艦と呼ばれ、最小限の支援で敵を撃破する期待が寄せられた。

 

巡洋戦艦の全長808フィートはエセックス級空母より60フィート短く、満載排水量は34,253トンとエセックス級空母より大きい。各艦はバブコックアンドウィルコックスのボイラー8基を搭載し、ジェネラルエレクトリックのタービン4基を駆動した。航続距離は15ノット航行で12千カイリだった。最大速力は33ノットを誇った。

 

アラスカ及び姉妹艦は当時として相当の火力を有し、砲塔3基に各3門の12インチ主砲を搭載した。二次兵装として5インチ砲塔3基があり、小型水上艦、航空機に対応した。米航空力の勢力外でも単独行動可能とする構想で、このため対空火力は強力だった。40ミリ砲56門、20ミリ砲34門が搭載された。航空機カタパルト二基で4機搭載したヴォウトOS2U水上機を偵察任務に投入した。

 

アラスカ級で注目されたのは装甲だった。CBs は装甲を犠牲に速力を確保し、通商破壊艦を追尾しつつ敵火力を回避する想定だった。装甲は側面で5-9インチ、砲塔は12.8インチ、上部構造で4インチ、艦橋は10.6インチとなった。

 

初号艦は真珠湾攻撃の10日後に起工され、1943年8月15日にアラスカ (CB-1) として進水したが、その時点で日本には通商破壊手段がないことがあきらかになっていた。また、ドイツ戦艦ビスマルクが英巡洋戦艦フッドを撃沈し、各国海軍に衝撃が走っていた。別の英巡洋戦艦HMSレパルスが日本の航空戦力で沈められていた。軽装甲の大型水上戦闘艦のアラスカ級に不利な状況になった。米海軍は1943年に同級の未完成三隻フィリピン、プエルトリコ、サモアの建造を取りやめた。

 

想定した任務が取り消されたアラスカ、グアムの二隻は太平洋で高速空母任務部隊の援護に投入された。強力な対空装備が日本軍機の撃破で効果を示した。両艦は1947年に予備艦になり、1961年にスクラップ処分された。三号艦ハワイは終戦時で82%の完成度だった。一時は誘導ミサイル艦あるいは指揮統制艦に転用する案もあったが、結局スクラップになった。

 

当初の期待と裏腹にアラスカ級は過酷な運命に直面した。建造開始前から旧式化していたが、6隻建造の決断は裏付けのない憶測を根拠とし、過誤だったのは明らかだ。航空戦力が主役になると、巡洋艦は空母戦力の護衛役に変更され、存在が陳腐化した。にもかかわらず、アラスカ級巡洋戦艦は優秀な艦種であり、当初の想定なら十分な効果を発揮しただろう。日本海軍の通商破壊艦艇の憶測が事実でなかったのが悔やまれる。■

 

 

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The Sad Tale of That One U.S. Battlecruiser That Did Nothing


March 11, 2021  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarNavy

The Sad Tale of That One U.S. Battlecruiser That Did Nothing

by Kyle Mizokami

 

Kyle Mizokami is a defense and national-security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.

This first appeared in early August 2019 and is being republished due to reader interest.


2021年3月11日木曜日

F-15EX導入を急ぐ米空軍の姿勢に懸念がある理由

 

 

 

週の報道ではボーイングF-15EXは残存性テストを免除となるとあり、国防長官官房がテスト免除を決め、経費108百万ドルに加え実施期間まるまる一年以上の節約をねらっている。

 

ペンタゴン内部メモをもとにこれを伝えたInside Defenseでは、この措置は前政権で調達部門トップのエレン・ロードが退任数日前に承認したとある。

 

トランプ政権は新たに近代化改修したF-15EXの8機を11億ドルで導入する提案を昨年9月にしており、この後合計144機を調達する。空軍が同型機導入をかねてから模索し、1974年に導入開始したF−15イーグル旧型との交代を狙う。

 

空軍はF-15各型合計453機を供用中で、うち最新機体は2001発注分だ。F-15はその後も各国向けに製造が続いている。

 

 

新造機材を空軍が導入することにしたのは、F-15EXに「今後の寿命」が長いためで、既存機の改修より費用が節約できるためだ。合わせて、旧型機を用途廃止できる。新造F−15EXは今後数十年に渡り供用が可能であり、部品の7割ちかくが現行のF-15C型E型と共通すると空軍は見ている。セントルイスの生産ラインも残せるし、訓練施設、整備補給処等インフラをそのままF-15EXに使える。

 

問題はF-15EX導入を高ピッチで進めることでどんなしわよせが生じるかだ。

 

Inside Defense記事にあるように残存性試験免除でF-15EXがロシアや中国の地対空装備にどこまで対応できるのかが逆に疑問となる。さらに、ロシア、中国ともに防空装備の輸出を続けているので、F-15EXは世界各地で新鋭装備の脅威に直面する可能性がある。F-15で防空装備の脅威に対する脆弱性が試されたのは2008年が最後だ。

 

その後、ロシア、中国の防空能力は確実に改善されている。

 

空軍が第5世代戦闘機のみ整備するとした方針を再考している。F-15EXは費用対効果は高い機材だが、F-15EX導入を受け入れられない向きもあるのは事実で、長く供用されれば、敵の新鋭装備の前に一蹴される危惧がある。

 

「第5世代戦闘機は今後発生する危機事態対応で中心装備となり、第一、第二列島線の各所で必要となる機材だ」との上院軍事委員会での現状報告でインド太平洋軍司令官フィリップ・デイヴィッドソン海軍大将発言をInside Defenseが伝えている。■

 

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Rushing Boeing's F-15EX Fighter Into the Sky Could be A Big Mistake

March 10, 2021  Topic: F-15EX Test  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-15EXF-35MilitaryDefenseRussiaChina

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.

Image: Reuters


新INDO-PACOM司令官は海軍パイロットでキャリアを上り詰めたアキリーノ大将へ。


第79回真珠湾回想記念日でスピーチする米太平洋艦隊司令官ジョン・アキリーノ大将。真珠湾国立記念館にて。US Navy Photo

 

 

ンタゴンは米太平洋艦隊司令官ジョン・アキリーノJohn Aquilino大将がインド太平洋米軍部隊の総司令官に就任すると3月6日発表した。

 

今回の発表はトランプ政権が昨年12月にアキリーノを米海軍最大規模の戦闘部隊司令に抜擢したことを裏書きする形になった。バイデン政権は前政権人事を再検討し発表につなげたとUSNI Newsは複数筋から知った。

 

1984年兵学校卒のアキリーノは2018年5月からPACFLTのトップで、F-14トムキャット、F/A-18Cホーネット、F/A-18E/Fスーパーホーネットを操縦した。第五艦隊司令官もつとめ、作戦戦略担当の海軍作戦次長(OPNAV N3/N5)でもあった。

 

現INDO-PACOM司令官のフィル・デイビッドソンPhil Davidson大将は退官する。

 

同発表では第五艦隊司令官サミュエル・パパーロ中将がアキリーノの後任として大将昇格後に太平洋艦隊の司令官になるともある。

 

米第五艦隊ならびに海兵隊部隊司令官のサミュエル・パパーロ中将。Nov. 3, 2020. US Navy Photo

 

パパーロは中東地区米海軍部隊司令官として昨年8月に就任し、以前は米中央軍で作戦次長だった。ヴィラノヴァ大卒で1987年に任官。同じく航空畑でF-14トムキャット、F/A-18ホーネットを操縦した他、交換プログラmづえ米空軍のF-15Cを71戦闘飛行隊で操縦し、サウジアラビア、アイスランドに展開した。

 

太平洋方面の新人事に加え、ペンタゴンは南部軍、輸送軍団の新トップ人事も発表した。

 

陸軍中将ローラ・リチャードソンがSOUTHCOMの新司令官となり、クレイグ・フォーラー海軍大将と交代する。フォーラーは2018年11月に現職に就任し、今回の人事で退官する。リチャードソンは米北方軍の陸軍部門Army Northの司令を務める。

 

航空機動軍団司令のジャクリン・ヴァン・オヴォスト大将が米輸送司令部のトップに内定した。ヴァン・オヴォストは現司令官の陸軍大将スティーブン・リヨンズ(2018年8月より現職)に交代する。■

 

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Pentagon Announces Nominees to Lead INDO-PACOM, Pacific Fleet - USNI News

By: Sam LaGrone

March 6, 2021 5:27 PM

 

2021年3月10日水曜日

謎の無人シャトル機X-37Bの技術、運用面の意義を大胆に予想。極超音速ミサイルにも有益な宇宙空間での運用技術。次代宇宙機に道を開く存在なのか。

 

 

 

宇宙軍のX-37B軌道上実験無人機の任務そして運用構想とは何か。対衛星攻撃用の宇宙機なのか。飛翔中のミサイルを追尾し撃破できるのか。一向に回答がない中で疑問ばかりがたまっている。

 

ボーイング製の同機は技術成熟度を高め、通常の運用段階に入ろうとしている。NASAのシャトルオービター以来となる地球往還機X-37Bの試験解析をペンタゴンは続けてきた。

 

「地上から指令を受けるとOTVは大気圏再突入を自律的に行い、地上滑走路へ通常の型で着陸する」と米空軍は説明していた。

 

空軍はさらに試行対象の技術として高性能誘導方式・航法制御、熱保護、エイビオニクス、高温対応構造・密閉技術、一体型再利用可能絶縁技術、軽量電気機械式飛行制御、高性能エンジン、高性能素材、自律軌道飛行、再突入着陸機能を列挙していた。

 

 

上記の各技術は検証段階となっており、外部の関心・好奇心を呼んでいる。一部が超高速運用を狙ったものであり、高温度環境も想定しているからだ。「熱保護」は宇宙空間での運用に不可欠だ。大陸間弾道ミサイルや極超音速ミサイルの飛翔を安定させるのに必須な技術となるからだ。さらに、熱保護、熱絶縁技術は今後の有人宇宙飛行にも必要だ。武装有人高速宇宙機が大気圏外からの攻撃手段として将来登場する可能性がある。

 

次に、「高性能素材」は宇宙空間での運用に不可欠だ。機体、部材、推進系を厳しい環境で保護し、宇宙飛行を可能とする。この種の素材技術は急速に成熟化しており、極超音速兵器の基礎となる。飛翔中の安定性を維持する以外に、ミサイルあるいは宇宙機の機体構造の維持にも必要だ。

 

宇宙空間での自律運用機能に大きな意味がある。アルゴリズムの高度化で自律宇宙飛行の幅が広がり、今後無人宇宙装備による衛星通信網が拡大する他、地上からの指令で兵装を発射する機材も登場するだろう。

 

X-37はNASAプロジェクトとして1999年に生まれ、2004年にDARPAへ移管された。■

 

 

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Top Secret: Why No One Knows the X-37B Space Plane’s True Purpose

March 9, 2021  Topic: X-37B  Region: Space  Blog Brand: The Reboot  Tags: X-37BDroneU.S. Air ForceU.S. Space ForceMilitary

by Kris Osborn

 

Kris Osborn is the new Defense Editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University. This article first appeared last year.

Image: Reuters

Image: Reuters


2021年3月9日火曜日

またもや中国発の首をかしげたくなるニュース。香港マカオ出身者にPLA入隊を認めるべきとの発言が全人代台湾代表からあった模様。

  

   まともには受け止められないような意見ですが、こうした戯言を真剣に展開するのが共産党支配下の中国の言論空間なのでしょう。あやしい団体も出てきますが、中国共産党の言う同胞、愛国者とは共産党に賛同するもののみということに注意が必要です。中国のあまりにもひどい発言やニュースはいずれターミナル5にしてまとめていきたいと思いますが、読者がつくでしょうかね。それにしても台湾でビジネスを営みながら、北京の全人代に参加する台湾代表がいて、自由に往来しているんですね。

 

 

A fighter jet attached to a naval aviation brigade under the PLA Southern Theater Command takes off for a 2-day continuous flight training exercise from February 24 to 25. Multi types of fighter jets participated in the flight training mission which included various offense and defense operations.   Photo:China Military Online

A fighter jet attached to a naval aviation brigade under the PLA Southern Theater Command takes off for a 2-day continuous flight training exercise from February 24 to 25. Multi types of fighter jets participated in the flight training mission which included various offense and defense operations. Photo:China Military Online

 

港、マカオ、台湾出身の若年層にも人民解放軍(PLA)入隊を認め、国防強化の一助にすべきとの声が全人代で台湾代表から出た。

 

台湾の全人代委員Cai Peihuiは実業家で、香港出身者で中国本土に居住するものの間に軍学校に入りPLA入隊することで市民としての責務を果たし、国防に貢献したいとの声があると紹介した。これは環球時報に送られてきた全中国台湾同胞連合All-China Federation of Taiwan Compatriotsの声明文の紹介である。

 

国民としての自覚を引き上げ、軍事教練を経て社会建設に貢献したいとする希望を尊重するべきとCaiは発言した。

 

香港、マカオ出身の若年層にPLA入隊を許す提案は2018年にも出ていた。 

 

香港の発展と向上を目指す民主連合Democratic Alliance for the Betterment and Progress of Hong Kong は2018年の全人代で香港出身で中国本土の大学で学ぶ学生にPLA入隊の道を開き、学費免除など優遇策を与える提案を出していた。

 

国防省報道官Wu Qianは2018年8月の報道会見で1997年の香港の本土復帰以後、香港住民はPLAへの理解を高めている、とし、香港同胞にPLA入隊を希望する声があると述べた。

 

「香港住民の愛国感情を歓迎し関連機関がこの件を検討中だ」とWuは発言した。■

 

 

Youth from HK, Macao and Taiwan should be allowed to join PLA: deputy

By Zhang Hui and Shan Jie

Published: Mar 08, 2021 08:33 PM