

Aviationweek.com 2月13日掲載
ボーイングはC-17の今後の販売方針を検討し、製造コストの低減に努力を移す戦略を選択した。新しい方針は海外販売の可能性が大きくなっているためで、原因はEADSのA400M開発遅延に失望する各国からのC-17への関心が高まっていることがある。
ボーイング軍事航空機部門のクリス・チャドウィック社長が業務見直しを昨年実施し、C-17の年間生産数が現在の12から15機から削減され場合の効果を検討させた。その際に米空軍からの追加購入がないとしても現行の生産数を維持することが可能と明らかになった。議会は繰り返しもっと多くのC-17が必要として予算を計上したがブッシュ政権が毎回反対してきた。一方、議会が確保した予算で米空軍向けC-17が15機2008年度補正予算で新造されることで、海外からの関心は高まっている。
米空軍向けの受注数は合計205機。加えて、英国は6機発注、オーストラリアとカナダが各4機購入、NATOが3機分の契約をサインしたところ。さらにカタールが発注しているが、ボーイングは機数を明らかにしていないものの2機確定2機オプションと思われる。 関係者筋によると米空軍向け追加販売を検討中で最大60機を想定。ただし、これはペンタゴンで実施中の機動展開必要量の検討内容如何に左右される。ボーイングは地上兵力9万2千名の増強で空輸能力の増強が必要となると見込む。
チャドウィックの考え方は最近になり変化して今はコスト削減を模索している。現行の生産量を維持するだけの需要があると見ているためだ。コスト削減の対象は管理費、設計、構造、部品メーカーの各方面におよぶ。
同機の国際販売価格は約2.2億ドルで米空軍向け価格は2億ドルをわずかに上回るもの。アラブ首長国連邦との商談が進行中であり、英国・オーストラリア向け追加販売も可能であると同社は見ている。さらにフランス、リビア、インドがそれぞれ関心を示しており、A400Mで各国の協力を求めるべく苦労するフランスが鍵となる可能性がある。
コメント: 民間機ではエアバスと商戦を続けるボーイングですが、大型軍用輸送機ではずいぶんと楽な状況にありますね。問いって油断している余裕はないはずですが。それにしてもC-17の輸送能力が各国に支持されるのはいままでの地域内空輸作戦の概念がグローバルリーチになってきたためでしょう。わが国のCX開発は諸々の事情のため停滞していますが、川崎CXの想定37トン4,000マイルとC-17の60トン2,800マイル(ただし同機は空中給油能力あり)を考えるとCX(C-2となるのでしょうか)を比較すると実はC-17と競合する力があるのではないかと思えてきます。初飛行に何とか早くこぎつけてもらいたいものです。(写真 下 C-17Aと 上 まだ初飛行にたどり着いていない川崎C-X)
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