2015年2月12日木曜日

★★ズムワルト級駆逐艦でレイルガン搭載の可能性が出てきました



レーザー、レイルガン、さらには海水のジェット燃料加工などここのところ海軍の技術開発の話題が多いですが、火薬を使わない発射の仕組みは武器の体系を大きく変える可能性がありますね。これも注目の技術です。ズムワルト級は大幅に建造隻数を減らされ実験艦の性格が強い存在になりそうですが立派な攻撃能力を有しています。太平洋艦隊配属が決まっている一番艦は横須賀にその威容を示すことになるかもしれません。

Navy Considering Railgun for Third Zumwalt Destroyer

By: Sam LaGrone
February 5, 2015 4:13 PM

One of the two electromagnetic railgun prototypes on display aboard the joint high speed vessel USS Millinocket (JHSV 3) in port at Naval Station San Diego, Calif. US Navy Photo
電磁レイルガンの試作品は共用高速艇USSミリノケット(JHSVー3)に搭載されている。US Navy Photo
WASHINGTON, D.C. – ズムワルト級駆逐艦(DDG-1000) に電磁レイルガンを搭載する検討が海軍艦政本部 Naval Sea Systems Command で始まった。

  1. ズムワルト級で設置スペース、電力、冷却が可能かを検討し155ミリBAE製高性能主砲Advanced Gun Systems (AGS) の一基、あるいは二基を撤去することになる。NAVSEAを率いるウィリアム・ヒラリデス中将 Vice Adm. William Hilarides がUSNI Newsに明らかにした。
  2. 搭載は三号艦リンドン・B・ジョンソン Lyndon B. Johnson (DDG-1002)となりそうで、ジェネラル・ダイナミクスのバスアイアンワークスで建造中の同艦は2018年に就役予定だ。ズムワルト(DDG-1000)、マイケル・マンスール (DDG-1001) は工程の関係で検討対象外となった。
  3. 米海軍はレイルガン実証試験を開始しており、これまで砲弾の推進力源だった火薬を不要とし高出力の電磁パルスをレイルの間に走らせることで弾頭を超音速で発射する。
  4. 実証実験はBAEシステムズ製の試作型レイルガンを共用高速艇lミリノキットUSNS Millinocket (JHSV- 3) に搭載し来年より実施する。
ズムワルト級は排水量16,000トンで高出力のロールスロイスMT-30ガスタービン二基と小型ロールスロイスRR450ガスタービン二基を搭載し80メガワットの発電容量があり、従来の米海軍艦艇の規模を上回る。Zumwalt-class guided-missile destroyer DDG 1000 is floated out of dry dock at the General Dynamics Bath Iron Works shipyard on Oct. 28, 2013. US Navy Photo
ズムワルト級誘導ミサイル駆逐艦DDG-1000がジェネラル・ダイナミクスのバスアイアン造船所で乾ドックからでたところ 2013年10月28日撮影US Navy Photo

  1. ズムワルト級は三隻建造され、当初の構想ではAGSにより長距離陸上攻撃弾 Long-Range Land Attack Projectile (LRLAP) を75マイルの有効射程で発射することで海軍による火器支援の不足を補うことにしていた。AGSは2門搭載される。
  2. なお、一号艦ズムワルトは来年就役する。■


★T-50の引き渡しは今年から開始、ただしインドとの対立が高まる



ロシアのPAK-FAことT-50新型戦闘機ですが思ったよりも開発に手間取っているようです。さらに同機を元に共同開発を目指していたインドがロシア技術に愛想をつかそうとしているようで、両国の関係は微妙です。米国がインドに接近していますが、防衛装備共同開発はローテク製品に当面限るようなので、インドは近代的な戦闘機の調達では苦労しそうですね。

Russia To Receive 5th Gen Fighters This Year

By Jaroslaw Adamowski3:58 p.m. EST February 9, 2015
t-50(Photo: DMITRY KOSTYUKOV, AFP/Getty Images)
ロシア空軍はT-50 PAK FA新型戦闘機の初号機を今年中に受領すべく準備中だが共同開発の相手先インドとの間で緊張が高まってきた。
  1. 技術上の不備から導入が遅れているのも事実だ。現地筋によればインド軍部から共同開発への不満が強いという。.
  2. 「インド・ロシア間の軍事協力の一大事業として華々しく宣伝され、インドは初期設計開発費用の名目で295百万ドルを支払ったものの、ロシアは設計データの公開を渋っており、インドでは同機の評判は芳しくない」と陸上戦闘研究センター(ニューデリー)の上級研究員モニカ・チャンソナMonika Chansoriaは説明する。
  3. T-50は第五世代戦闘機整備事業の土台となる機体で、インド空軍も導入することになっている。両国は2007年に共同開発で合意し、ロシアの国営ロソボロネキスポートとスホイ、インドの国営ヒンドゥスタンエアロノーティクスリミテドが初期設計開発協定に調印している。設計開発費用は総額で100億ドル超と試算されている。
  4. 一方でこれから配備される機体ではエイビオニクス一式を新しくし、電子航法と高性能フェイズドアレイレーダーを一体化していると国営ユナイテッド・エアクラフトが説明している。新機能によりパイロット負担を軽減し、リアルタイムでのデータ共有を編隊内でも可能になるという。この内容は現地通信社イタルタスが報道している。同機の製造現場はコムソモルスク・ナ・アムーレKomsomolsk-on-Amurにあり、最高速度1,516マイルだという。
  5. 「インドからの度重なる要求でロシアもついに試作機で技術実証飛行を2014年6月に実施したが、試験飛行の最後で発火し、ジューコスフキイ試験施設に着陸した』(チャンソリア) 「ロシアが事故情報の公開を拒んで問題を複雑にし、現地にはインド空軍の技術評価チームがいたが事故機に近づくことを許されなかった」
  6. T-50はロシア第四世代機スホイSu-27とミコヤンMiG-29両機の後継機で、F-22とF-35のライバルといわれる。ただし機材の納入は大幅に遅れている。
  7. チャンソリア研究員によれば「インド国内での議論の種」は「技術問題の多発で実戦化まであと10年も待たされるのか」という点だった。
  8. ユナイテッド・エアクラフトによれば2020年までにロシア空軍が受領するT-50は55機になる。
  9. 同機事業はロシア・インド間の軍事協力の本体部分として期待されていた。インドは今もロシアの主要軍事装備販売先である。これ以外にもBrahMos超音速巡航ミサイルの共同開発があり、NPOマシノストロエニア NPO Mashinostroeyenia,とインド国営国防研究開発機構Defence Research and Development Organisation.が関与している。
  10. 2013年までインドはロシアの武器輸出の38%を購入しており、インドの武器輸入の75%がロシア製だったとチャンソリアは指摘する。ただし、FGFA事業で提携がうまくいくかは今後の両国間協力で試金石になるという。「両国で相違点を解決の上、事業のスピードアップをはかっていかねば」とチャンソリアは語る。■


2015年2月10日火曜日

オバマ訪印でインド都の戦略関係が深まったのか

オバマ大統領が乗り込んでインドとの防衛協力の話をまとめてきましたが、実施がスムーズに行くか微妙なようです。その裏にはロシアの影があるということですね。

India, US Advance Strategic Relations

By Vivek Raghuvanshi5:54 p.m. EST January 28, 2015
NEW DELHI — インドは米国とインド国内で低性能兵器を共同生産する。10年間有効の防衛枠組合意がバラク・オバマ大統領のインド訪問で成立した。
  1. 合意内容は今後10年間で分野を特定しており、兵器共同生産は国防技術貿易事業 Defense Trade and Technology Initiative (DTTI)を通じ技術移転と平行して実施される。
  2. ただし、専門家、現役制服組ともに即座に高性能兵器の共同開発、共同生産が実施するとは見ておらず、両国は低レベル装備でDTTIが本当に機能するか、行政手続きが障害にならないかを確認すべきだという。
  3. 低機能兵器とはレイヴンUAVやC-130Jスーパーハーキュリーズ(インドは2008年に導入済み)の偵察用モジュールの生産とインド国防省筋は説明する。来月にはフランク・ケンドール国防副長官が訪印し、その後の共同事業対象兵器を検討するという。
  4. ただしインドとロシアの関係がこれで希薄になるか専門家でも意見がわかれる。
  5. 「防衛関連除けばロシアからインドに提供出来る内容はわずか」とカーネギー平和財団の上席研究員アシュレー・テリスAshley Tellis は指摘する。「対米関係は広範だが、ロシアは分野が偏っている。インドはロシア依存を脱しようとしている」
  6. ただしバラト・カーナド教授 Bharat Karnad (インド政策研究大学)によればロシアとの防衛分野の連携は安定しているという。
  7. 「米国との関係は願望にすぎないが、ロシアとのつながりは確固たる事実。対露関係を犠牲にしてまで政策を変更する理由はない。とくにロシアは今後もインドのパートナーでありつづけるので、各種高性能兵器開発は微妙な問題だ」
  8. 「米国との技術共有には米国内法の規制があり、一方でインド側に技術を咀嚼する問題も発生する。ということは実効性のあるのは低技術兵器だけだろう」と語るのは退役インド陸軍准将ラフル・ボンスル Rahul Bhonsle(現防衛アナリスト)だ。米印国防関係で共同開発・生産の実績はない。この点でインドはロシアやイスラエルと経験を積んでいるという。
  9. 「米印共同生産の動きは緩慢だろう。なんといっても米国国内が防衛産業の最大の市場。反対にインドはロシアには2番目の市場規模だ。この違いは大きい」(テリス)
  10. これに対しジャワハラル・ネルー大国際研究大学院のチンタマニ・マハパトラ教授Chintamani Mahapatraは「米国防衛産業がインドに進出すればロシアの比率は必然的に下がる。とはいえ、米国がロシアをそのまま代替するわけではない。インドは調達先の多角化を模索するだろう」
  11. 米国はインド向け制裁措置を2001年に解除して以来インドは90億ドル相当の兵器類を購入している。
  12. 「ロシアもオバマ大統領の歓迎ぶりを注視しているが、安全保障、国防分野でただちにロシアが地位を滑り落ちる懸念はない」とボンスルは言う。
  13. だがテリスは楽観的だ。「ロシアのこれまでの重要度は認めても、ロシアはなんといっても過去の象徴であり、米国が未来の姿を表していると見ている」■

KFX 第一回入札不成立に終わる


うーん、これは今後難航しそうですね。F-35選択でも何回も入札を繰り返し、各メーカーの忍耐を試すような展開がありましたが、大韓航空はやはり無理と判断したのでしょうか。 ボーイングもやる気の無さが見え見えです。この先どうなるか注目ですね。


IHS Jane's Defence Weekly

KFX stalls after only one bidder meets development deadline

Jon Grevatt, Bangkok and James Hardy, London - IHS Jane's Defence Weekly
08 February 2015

Only one company has lodged a bid to develop the KFX aircraft, according to South Korea's defence procurement agency. Source: IHS/James Hardy
韓国のKFX(韓国次期戦闘機調達計画)が2月9日に失速した。入札企業数が予定に達せず契約が成立しなくなったためだ。
  1. 韓国防衛事業庁Defense Acquisition Program Administration (DAPA) はIHS Jane'sに締め切りまで応募したのは一社だけと述べた。r.
  2. 韓国航空宇宙産業(KAI)を指していると思われる。同社はロッキード・マーティンと共同でKFX事業参画を画策していた。
  3. DAPAからは再入札は2月10日に開始され、月末で締め切ると追加情報が入った。最低でもあと一社の入札を求める。韓国の国防調達ルールでは一社入札での契約締結を禁じている。
  4. 大韓航空がエアバスと協力して入札をする準備中との報道があったが、締切日までに動きはなかった。韓国聯合通信はDAPA関係者が同社は2月末までに応募すると見ているとの発言を伝えている。KAIおよび大韓航空からはコメントが出ていない。
  5. 現地報道ではボーイングがF/A-18スーパーホーネット原型案で参入するとしている。ただし、ボーイング広報は IHS Jane's に「今回は時期が適当でない。期間が変更になれば、ボーイングも自社技術の投入を検討するかもしれない」と述べた。■


2015年2月9日月曜日

★T-Xを既存機改修から新型機案に切り替えたノースロップは真剣勝負



ノースロップにとってT-38がそこそこに売れて派生型のF-5がさらに多く各国に採用された成功体験があるので、この案件はなんとしても取る、という覚悟があるのでしょうね。スコーピオンとならび、維持費のかからない画期的な機体が生まれるかもしれません。当面注目です。そうなると韓国T-50他は分が悪くなりますかね。ノースロップにとっても戦闘機製造技術の継承をかけた重要な案件であることはまちがいないでしょう。負ければ撤退ですからね。
Northrop Developing New Design for T-X
By Aaron Mehta10:20 a.m. EST February 6, 2015

T-38 Sunset
(Photo: US Air Force)
ノースロップ・グラマンは米空軍向け次期練習機T-Xへ新型機案で入札することに決定した。同社はこれまでBAEホーク練習機を改修する案を提示すると見られていた。
実は米空軍がT-Xの要求性能を明らかにした2年前から設計開始していたと同社T-X事業を統括するマーク・リンズレー Marc Lindsley, Northrop's T-X program directorは言明。
同社はホーク案で準備していたが、新設計案で性能・価格両面を満足させられると判断したという。
同社は空軍に新方針をすでに連絡済だとリンズレーは述べ、方針転換は特定の要求内容のためではなくむしろ空軍からの情報をもとに判断したものと説明。
すでに新型機は組み立て中で、今年中に初飛行と見られる。ノースロップはこれ以上の日程観を言及していないが、6月のパリ航空ショーあるいは9月の空軍協会年次総会で新型機をお披露目するのは業界では普通だ。
T-Xは現行T-38練習機の後継機種として第五世代機をパイロット養成する高性能機となる。空軍は2016年第四四半期にRFPを公示し、正式契約を2017年秋に締結したいとする。
2016年度予算では研究開発予算11.4百万ドルが確保済みだ。2017年に12.2百万ドルに増額し、2018年は107.2百万ドル、19年は262.8百万ドル、2020年は275.9百万ドルと順次拡大していく。
ノースロップ発表前はT-Xに新設計機で臨むのはボーイングサーブチームだけと見られていた。ロッキード・マーティン韓国航空宇宙産業のT-50、ジェネラルダイナミクスアレニア・アエルマッキのM-346を改修したT-100、テクストロン・エアランドはスコーピオン改修型で参入を狙うとみられ、競争は厳しい。

昨年夏時点でノースロップはホーク案参加企業を発表していた。リンズレーによれば新型機開発になってもチーム構成は変えないという。BAEとは訓練システムの導入を協議中だが、L-3も地上訓練システムを供給する。
リンズレーは「とりあえず」ジェネラルエレクトリックのエンジンを試作機に使うと発言したが、量産機では言及を避けた。
新設計機体で生まれる利点の一つが提携企業を追加だ。ノースロップはKUKAシステムズ(デトロイト)と2012年にホーク想定の生産ラインの設計を依頼している。KUKAはF-35のパームデール工場(カリフォーニア州)のラインを設計した実績がある。
「機体設計では製造効率も考慮しています。製造部門代表が設計技術陣に最初から混じっています。整備時のアクセスパネルなど最初から良いものをつくれるわけです」(リンズレー)
「新型機には新式の製造方法だけでなく将来の発展可能性も盛り込んで設計します。それは新型機が対象とする現行機材が50年にわたり飛行していることも関係します」T-Xも長期間就役の想定なら改修が簡単に出来る構造にしておく必要がある。
とくにスケイルドコンポジッツ Scaled Compositesが重要さにかけては最右翼の存在だ。ノースロップは同社を2007年に買収したが、スケイルドは迅速試作部門として半場別会社のように動いている。ノースロップ以外の会社向けの仕事もしている。ノースロップのT-Xはスケイルドのモハーベ工場(カリフォーニア州)で設計作業中だ。
「スケイルドが迅速試作、開発段階を準備してノースロップの工場能力と一体化されえます。両社の間でシナジー効果を引き出すのです」
T-Xの生産場所は未定だと同社は言うが、可能性は二箇所で、ともにノースロップのManufacturing Centers of Excellenceでひとつはセント・オーガスティン(フロリダ州)で、もうひとつはパームデールで、KUKA開発によるF-35組立ラインが据え付けられている場所だ。
その先の海外販売についてリンズレーは将来的には当然検討するが、当面の焦点はT-X落札だという。■


★海上自衛隊は南シナ海を視野に入れることになるのか 中谷防衛相発言



このニュースは国内では否定的な発言と受け止められかねないトーンで報道されていましたが、USNI Newsではいかにも思わせぶりな感じになっていますね。第7艦隊司令官とも意思疎通があったのではないかと思われますがいかがでしょう。

Defense Minister Nakatani: South China Sea Has An Affect on Japanese Security

By: Sam LaGrone
February 5, 2015 12:45 PMUpdated: February 5, 2015 3:22 PM


中谷元防衛大臣が南シナ海での緊張増大は日本の安全保障に直結すると発言した。

  1. 防衛相は現時点で直ちに東シナ海で海上自衛隊が実施中の警戒活動と同等のパトロールを行う計画はないとしつつ、変更はありうると示した。
  2. 「現時点では同海域の監視活動は実施しておらず、その予定もないが、米国との防衛協力を深化させる中で南シナ海の状況がわが国の安全保障にも影響を与えつつあり、わが国としても対応を検討する必要が出るだろう」
  3. 防衛相発言は米第七艦隊司令官から日本が南シナ海を警戒対象に加えれば地域内安定につながると数日前に発言したのを受けた形だ。
  4. 自国の主権が及ぶと理解する南シナ海へ日本の活動が拡大することへ中国からは早速反感が表明されている。
  5. 「この地域外の各国は地域内各国が平和と安定を維持する努力を尊重すべきだ」と中国外務省報道官 華春瑩 Hua Chunying が発言した。
  6. 中谷防衛相は今年はじめにも中国人民解放軍による「危険行動」が東シナ海で行われた事例を避難する発言で中国をいらつかせている。防衛相は射撃管制レーダーを海上自衛隊艦艇にロックしたこと、領海侵犯、自衛隊機への急接近を例としてあげたが、中国側は全部否定している。■


2015年2月8日日曜日

☆中国がアルゼンチンに戦闘機供与をする動きで注意が必要



そう、アルゼンチンンは英国とフォークランド諸島の帰属をめぐりずっと対立関係にあり、中国が小規模とはいえ、新鋭戦闘攻撃機をアルゼンチンに供与することは英国の神経を逆なですることになります。アナロジーとしては尖閣諸島問題を中国は想起しているのでしょうか。今後の動向に注目ですね。

Argentina and China agree fighter aircraft working group

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
05 February 2015
Argentina and China have formed a working group to look at introd中国はアルゼンチンと共同しアルゼンチン空軍 (Fuerza Aérea Argentina - FAA)への中国製戦闘機導入を検討する。
  1. 作業部会の立ち上げがアルゼンチン大統領クリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネルの訪中(2月2日-5日)で協議されており、譲渡対象は成都航空機 Chengdu Aircraft Corporation (CAC) のFC-1/JF-17あるいはJ-10が候補だ。アルゼンチンは14機の受領を期待しているが、具体的な日程は明らかでない。
  2. これまでアルゼンチンは旧式化進む戦闘機部隊の機材ダッソー・ミラージュIIIEA、IAIダガー、マクダネル・ダグラスA-4スカイホークの更新を求めてきた。
  3. これより前にロシアがスホイSu-24フェンサーをリース提供する働きかけをしていた。英国防省は各報道内容を深刻に受け止めており、フォークランド諸島防衛体制の検討を開始している。Su-24がFAAで実用化されるとは考えにくいが、同様の機材がアルゼンチンの手に入れば、長引くウクライナ紛争をめぐりロシアと英国の政治ゲームになる。
  4. 別の可能性としてはスペインの余剰ミラージュF1、イスラエル航空宇宙工業(IAI)のクフィール、サーブのグリペンE/Fの導入が考えられたが、各案は政治経済的な理由から頓挫している。グリペン案は同機のシステム多数を製造する英国が巧みに拒否権を行使し実施できなくなった。
  5. 中国製FC-1/JF-17は以前からFAAも選択肢に入れており、今回の両国合意で再度浮上したことに関心が集まる。ただし、J-10は以前は検討の対象外だった。
  6. J-10は2006年に登場し、ヨーロッパのカナード付各機と類似しているが、実はIAIのラヴィをもとに開発したとされ、ラヴィもロッキード・マーティンのF-16をモデルとしたといわれる。
  7. 同機は単座単発仕様で最高速度は、マッハ1.8、実用高度限界は55,000 ftで +9/-3 gで運用が可能、作戦行動半径は300カイリで、ペイロードは6.6トンを計11か所のハードポイントに搭載する。搭載可能な兵器にはPL-8 (Python 3) やPL-11、 PL-12; Vympel R-73、 R-77の空対空ミサイル、C-801またはC-802空対地ミサイル、YJ-8K対艦ミサイル、YJ-9対レーダーミサイルがあり、レーザー誘導爆弾あるいは通常型爆弾は6発を搭載できる。
  8. 機内には23㎜機関砲を搭載し、中国独自開発の赤外線レーザー航法目標捕捉ポッドも利用可能。
  9. 人民解放軍空軍(PLAAF)はJ-10を300機導入するとみられ、FAAも導入すれば相当の戦力アップにつながるだろう。■


2015年2月7日土曜日

MUM-Tは米陸軍の有人機・無人機共同作戦コンセプト


無人機と有人機の融合では対地攻撃ミッションが多い陸軍が先行しているようです。ゆくゆくは敵地上空での空中戦闘や爆撃ミッションでもおなじような組み合わせがみられることになるでしょう。無人機の運用が遅れている日本は逆に早く成果を利用できるといいですね。

MUM-T Is The Word For AH-64E: Helos Fly, Use Drones

By RICHARD WHITTLEon January 28, 2015 at 4:32 PM

Apache AH-64E in Afghanistan
米陸軍に無人機革命が到来したようだ。新型装甲偵察ヘリも旧型ヘリの転用でも予算がない陸軍は、かわりにMUM-T Manned Unmanned Teaming 有人ヘリ無人機のチーム運用を前面に打ち出している。アフガニスタンではパット・デイビス中佐 Lt. Col. Pat Davis のAH-64Eアパッチ大隊では銃撃ミッションの6割で無人機の支援を得ているという。中佐は自身の経験をボーイング主催の報道陣向け朝食会で語ってくれた。
  1. 「性能にはすごいものがあります」と中佐はAH-64Eの威力にどれだけ惚れ込んでいるか語ってくれた。E型は重武装攻撃ヘリの最新型で、タリバンは「怪物」と呼んでいるという。
  2. AH-64Dから飛行速度、航続距離が伸びただけでなくE型では陸軍のMQ-1Cグレイイーグル無人機に「話す」ことができるという。これによりアパッチエコーの乗員は敵地のフルモーションビデオを目的地到着前に見られる。
grey-eagle-uav-in-iraq
  1. 「作戦テンポはとても早かった」とデイビス中佐は言う。現地での7ヶ月中に配下の1-229攻撃偵察大隊はアフガニスタンでE型を戦闘投入するs最初の部隊になった。24機のアパッチで合計11千時間の戦闘飛行を3月から11月の間に実施し、任務完全実施率は87%という堂々たる成績だったという。
  2. 大隊にはOH-58Dカイオワウォリアー偵察ヘリコプター15機、UH-60Mブラックホーク多用途ヘリコプター10機も配属されている。このうちOH-58Dは予算強制削減による航空機再編成事業Aviation Restructure Initiative (ARI)で退役が決まっている。デイビス中佐には直属の無人機がなかったが、E型乗員は戦術共通データリンクTactical Common Data Linkを使い、グレイイーグルの撮影したビデオ映像を見るだけでなく、センサーを操作したり、ヘルファイヤーミサイルを発射できた。
  3. アパッチからはこれ以外の無人機も操作できる。小型のスキャンイーグル、RQ-7シャドウからプレデターやMQ-9リーパーまでが対象だという。リーパーはプレデターやグレイイーグルより強力な武装を搭載し、ヘルファイヤー4発、500ポンド爆弾2発を運ぶ。
  4. AH-64Hからグレイイーグルを操作しMUM-TではLol 3(Level of Interoperability 3 相互運用度3)と呼ばれるセンサーを動かした。中佐によればアフガニスタン移動前の訓練でもグレイイーグルとの協同作戦をLol 4で行い、ヘリコプターから無人機を操作し、武器を投下させている。.
  5. 陸軍は各師団にグレイイーグル一個中隊を配属し、カイオワウォリアーは退役させる方針。これもARIの一環だが、州軍に配属中のアパッチ全機を正規部隊に編入すべきかとの議論もあり、州軍にはかわりにLUH-72ラコタとブラックホーク多用途ヘリで我慢してもらう構想だ。
  6. ジェフ・ホワイト大佐Col. Jeff Whiteは陸軍訓練教導本部 Army Training and Doctrine Command (TRADOC) で偵察攻撃ヘリコプターの責任者で、ボーイング朝食会の席上で「有人無人協同運用はカイオワウォリアーが退役するつなぎとして重要な存在」と発言。ただしホワイト大佐は陸軍はまだMUM-Tで学ぶことが多いと付け加えた。
  7. たしかにデイビス中佐の1-229飛行隊のアパッチエコー各機は利用可能な装備をその場で使ったのが現実で最初から想定した使用方法ではない。「どの機体がその場にあるか次第」とデイビス中佐も言う。「その場に無人機が飛んでいてリンクできた場合もあり、その場にいなければ呼ぶしかなかった」
  8. では指揮官としてOH-58Dと無人機のどちらが偵察用途でお気に入りだったのだろうか。「ミッションの条件次第ですね」と言う。有人ヘリコプターで敵地に入れば状況認識ははるかに詳しく可能。だが無人機をはるかに高高度(1万から1万5千フィート)に上昇させても同じ偵察が可能なら敵に見つかるることのないスタンドオフでいられる。この利点は大きいですね」■

オーストラリア空軍の質的向上効果はイラクで発揮中



By ROBBIN LAIRDon February 03, 2015 at 3:56 PM

米政府は共通の防衛対象で同盟国の貢献に不満を述べることが多い。全く欠如していると指摘する。だが一部同盟国は着実に21世紀の兵器体系に投資をし、21世紀型の脅威に対応しているのも事実だ。
  1. その好例がオーストラリア空軍 (RAAF) で、イラク国内で対ISIS作戦を展開中。本国から中東まで自国給油機により機材を派遣しており、空輸も行っている。21世紀に入ったばかりの段階でRAAF機材は旧式化が目立っていた。大転換はC-17輸送機からはじまった。”
  2. 「南太平洋地域なら12時間以内にオーストラリア国旗を誇示し、24時間以内に再度機材を派遣できる能力が実現した」と在ワシントン大使館の空軍武官ゲーリー・マーティン准将が説明する。「以前は3日ないし4日かかっていたが12時間単位で運用可能になった。戦術空輸から戦略空輸への質的転換だ。C-130では国外に飛ぶのに一日かかり、同じ地点に飛ぶにはもう一日必要だった。C-17ならオーストラリア国内どこからでも貨物を積み込み、国外ヘ飛び、一日以内に戻ってこられる。RAAFおよび政府にとってこの違いは大きい。」
  3. その次に変化を実現した機材がA330MRTT給油機で、同機によりオーストラリア軍の到達範囲や航続時間を伸ばすことができるようになった。
  1. さらにウェッジェテイル高性能航空戦闘統制機材がある。同機は米空軍が導入を断念したE-10と同等と言ってよい機材だ。多用途電子スキャンアレイMulti-Role Electronically Scanned Array (MESA)方式のレーダーを搭載するウェッジテイルはAWACSとは別の存在で、従来の航空戦闘の統制管制概念を変える。
  2. イラクではウェッジェテイルが新記録を樹立し、オーストラリア国防省は以下発表している。
  3. 「E-7Aウェッジテイルが連合軍航空機多数を指揮統制し、ISILへの各国の航空作戦をイラク領空内で実施した。オーストラリア飛行部隊指揮官スティーブ・ロバートン准将が指揮をとった。
  4. 「すでに数時間滞空中だったオーストラリ空軍ウェッジェテイル機の乗員に多国籍軍機材の到着が遅れると知らされていた。ロバートン准将はただちに判断し空中給油させ滞空時間延長を決めた
  5. 「ウェッジテイルとKC-30Aはイラクで始めて作戦投入された。両機によりオーストラリア軍はイラク空爆を一貫シて実施でき、連合各国と密接に協調行動できたのである。
  6. 「RAAF機材をオーストラリアからイラクまで移動する長距離航程を短時間で自国だけで実現できたことが大きい。KC-30AとC-17があってこそ可能であった」
  7. 1月半ば時点でKC-30A各機が10百万ポンド超の燃料をオーストラリア軍のほか連合国機に空中給油している。戦闘拡大で各機の給油対象も拡大し米国、フランス、英国、カナダ、サウジアラビアの各国機が対象になっている。
  8. 「米海軍はKC-30Aの自動空中給油(AAR)を見て尻込みしていたが、昨年秋にNAVAIR関係者がオーストラリアにやってきてF-18で給油を実験したところ、結果良好と判明し、現在は米海軍機にもKC-30から相当の量を給油している」(オーストラリア空軍マクドナルド准将)
  9. ウェッジテイルとKC-30Aに加え、数年すればF-35が加わる。この機材導入は空軍参謀総長がジェリコプランと呼び、RAAFはさらに共同作戦、同盟国支援に向けて変貌を遂げることになる。
  10. 新型機の相次ぐ導入でRAAFは各国の中でも最新機材をそろえることになる。■

2015年2月6日金曜日

★見えてきた米海軍のF/A-XXのあらまし



米海軍が想定する次期戦闘機の姿はこれまでと相当違ったものになりそうですね。NIFC-CAの理解が重要になりますね。これでは空軍が求めるF-Xとは折り合いがつきそうもありませんね。おそらく空軍はF-15、F-22の延長線を想定しているはずですから。さて、そうなると日本のF-3構想はどうなりますかね。


CNO Greenert: Navy’s Next Fighter Might Not Need Stealth, High Speed

By: Sam LaGrone
February 4, 2015 10:14 AM

A Boeing artist's conception of a potential design for F/A-XX. Boeing Photo
ボーイングが発表したF/A-XX構想図 Boeing Photo

WASHINGTON, D.C. – 米海軍の次期主力戦闘機ではスピード、ステルスともに重視しないと海軍トップが発言した。

  1. 海軍作戦部長ジョナサン・グリナート大将 Adm. Jonathan Greenert はF-A-XXでは敵防空網制圧が目標だが、逃げ隠れは目指さないという。
  2. 「ステルスは過大評価気味。ステルスが不要というつもりはないが、高速飛行で敵防空網を混乱させ、エンジンが熱を放射すれば探知されるのは必然だ」
  3. 今後登場する脅威に対応できる兵器の開発も必要だ。「現時点ではレーダーだが別の装備が出現するだろう」
  4. 対空兵器が高速化すれば機体自体の飛行速度を無理やり引き上げる必要はないと発言。「結局ミサイルを高速で振り切るのは不可能」
  5. また基本が無人機で必要に応じ有人操縦可能となるという。「パイロット分の重量はむだ。その分センサーを搭載できる」「モジュラー構成になりそうだと言っておく」
  6. 発言は海軍がF/A-XXで選択肢検討を開始するタイミングで出てきた格好だ。F/A-XXは2030年代を想定し現行のボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットのあとを継ぐ。ロッキード・マーティン、ボーイングがそれぞれコンセプト案を発表している。
  7. 海軍ではF-35CライトニングIIが最新鋭機となるが、USNI Newsはこれまでの情報から空母航空隊の今後の役割は前方からセンサー情報を空母打撃群に伝える接続機能と理解。目標情報は海軍が開発中のNIFC-CA海軍統合火器管制防空システムで伝えられる。
  8. F/A-XXではスーパーホーネットと同等あるいはそれ以上のペイロードを搭載すると海軍は発表している。■


2015年2月5日木曜日

16年度米海軍予算のハイライト



Navy FY 2016 Budget Request Funds Washington Carrier Refueling, 12th San Antonio

By: Sam LaGrone
February 2, 2015 1:17 PM • Updated: February 2, 2015 7:49 PM

An E/A-18G Growler from the Scorpions of Electronic Attack Squadron (VAQ) 132 flies by the Nimitz-class aircraft carrier USS George Washington (CVN-73). 電子攻撃飛行隊VAQ-132スコーピオンズ所属のE/A-18GグラウラーがUSSジョージ・ワシントン(CVN-73)を通過飛行している。

PENTAGON – 2016年度予算で海軍省I(DoN)は1,680億ドル、前年度5%超の増額で要求した。直近5年間の国防予算削減を覆すペンタゴン予算増の一貫だ。

DoNは大部分の予算項目で増額要求をし、人件費、艦建造、航空機調達、作戦、保守保全いずれも前年実績を上回っている。

艦艇建造

USS Arlington (LPD-24) under construction at Ingalls Shipbuilding. Huntington Ingalls Industries PhotoUSS アーリントン (LPD-24)がインガルス造船で建造中。Huntington Ingalls Industries Photo


先送りになっていた課題へ明確な回答をしているのが特徴で、空母ジョージ・ワシントンの燃料交換に予算を計上した他、サンアントニオ級揚陸艦の12号艦の予算全額計上をしている。166億ドルで9隻を建造する他、USSジョージ・ワシントン(CVN-73)の燃料交換と大修理を実施する。

ヴァージニア級潜水艦は各年2隻のペースを維持し、31億ドルでアーレー・バーク級 (DDG-51) 駆逐艦2隻を、14億ドルで沿海戦闘艦3隻、サンアントニオ級揚陸艦第12号艦、次世代艦隊給油艦 T-AO(X)の初号艦を建造する。また、2.56億ドルでLCACに代わる新型揚陸艇Ship-to-Shore connectors5隻も調達する。25億ドルはジェラルド・R・フォード級空母の二号艦ジョン・F・ケネディ(CVN-79)の設計建造およびその三号艦エンタープライズの予算として確保。

航空関係

An E-2D lands on the aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower (CVN-69). US Navy PhotoUSSドワイト・D・アイゼンハワー (CVN-69)に着艦するE-2D. US Navy Photo


海軍・海兵隊はロッキード・マーティンF-35ライトニングII共用打撃戦闘機(JSF)を計13機調達する。うち、海兵隊のB型短距離陸垂直着陸型は9機、空母運用型のC型が4機だ。

ボーイングP-8Aポセイドン海上監視機は16機導入し、ノースロップ・グラマンE-2Dアドバンスト・ホークアイは5機、ロッキード・マーティンKC-130J輸送機2機(海兵隊用)を購入する。

ボーイングEA-18Gグラウラー電子攻撃機の追加調達は見送られた。

ヘリコプターではMH-60Rは29機調達の要求だ。海兵隊はAH-1ヴァイパー、UH-1Yヴェノムを計28機、MV-22Bオスプレイを19機導入する。

2018年度から海軍がV-22を8機調達し、C-2Aグレイハウンドと交代させる。

.
無人機(UAV)では海軍はMQ-4トライトンを3機、MQ-8Cファイヤースカウト2機とともに海兵隊にはブラック・ジャックを調達する。

研究開発

Afloat Forward Staging Base (Interim) USS Ponce (ASB(I) 15) conducts an operational demonstration of the Office of Naval Research (ONR)-sponsored Laser Weapon System (LaWS). US Navy Photo前方海上拠点基地(暫定名称)(ASB(i) 15  USS ポンセが運表実証中しているのは海軍研究所(ONR)が進めるレーザー兵器システム (LaWS) だ。US Navy Photo


179億ドルを研究開発費に計上する。これは前年からほぼ20億ドル増。このうち13.9億ドルをオハイオ級ミサイル原潜の後継艦向けR&Dに、2.83億ドルをヴァージニア・ペイロード・モジュール(VPM)(ヴァージニア級潜水艦のミサイル運用能力拡大)に投じ、ブロックV艦からの実用化を目指す。

2.42億ドルで対空・ミサイル防衛レーダー Air and Missile Defense Radar (AMDR) のフライトIIIアーレー・バーク級誘導ミサイル駆逐艦への搭載を研究する。
.
UCLASS(無人艦載偵察攻撃機)には1.35億ドルと控えめな金額が計上されており、昨年中は議会となにかと議論のたねになっていたことを反映か。昨年度は4.03億ドルが計上されていた。

人件費、作戦運用予算、保守管理予算

海軍の人件費予算はほぼ10億ドル増で283億ドルと最上位項目となり、これで33万名を維持する。海兵隊は131億ドルを要求し、18万2千名体制を維持する。


海軍は作戦および保守管理費用といsて422億ドルを計上し、海兵隊 
62億ドルとした。ともに2015年度水準から増額している。■