2021年2月23日火曜日

2030年米中戦争が勃発すれば、こうなる。どちらが有利となるのか、どう終結させるか。

 

 

 

華人民共和国(PRC)と米国は貿易戦争の状態だ。結果は今後の経済秩序に影響を生みそうだ。だが今のところ両国で交戦に向かう兆候はなく、開戦を挑発したり正当化する動きはない。

 

とはいえ、変化が生まれる可能性はある。取るに足らないと思われる事態が時間がたつと緊急度を高めることがある。中国の軍事力増強で米国は小さいと思っていた問題が大きな結果に繋がりかねない事態に直面するだろう。一方で中国は米国の調達・近代化が長時間かかっている事態を好機と見るかもしれない。

 

2030年の軍事力の均衡や戦略の構図は今と異なるはずだ。では2030年に米中両国が開戦したらどんな様相になるだろうか。

 

 

開戦のきっかけは

衝突の根源は今と変わらない。中国の台頭に米国は警戒し、中国の軍事力増大は一見止まることがないようだが、国際秩序のルールづくりは依然として米国の手中にある。だがアテネの興隆を見たスパルタがペロポネソス戦争の原因となったように、世界を戦火に巻き込む結果が生まれかねない。PRC、米国の双方とも取るに足らない理由では本格交戦には至らないはずだ

 

米国同盟国の日本、韓国、インド、台湾あるいはフィリピンへの脅威は想像できる。各国と中国との紛争のたねはすでにまかれており、PRCは米国の介入を避けつつ各国を恫喝してくるだろう。日韓関係が軍事衝突に発展すれば米中両国も巻き込む対決が生まれる可能性がある。

 

投入される新軍事技術は

戦闘の実相は開戦理由により変わるが、重要な舞台は東シナ海、南シナ海だろう。両国ともここに空軍力海軍力を集中配備し、米陸軍・海兵隊はなんとかして「マルチドメイン戦」への貢献能力を整備しようと必死になっている。

 

軍事バランスが中国へ傾いてもおかしくない。だから中国が有利になるとは限らないが、時間はPRCに有利に働く。人民解放軍海軍(PLAN)の増強ぶりは米海軍を上回る。さらに人民解放軍空軍 (PLAAF)の装備近代化のペースは米空軍の先を行く。

 

とはいえ、双方とも相当量の従来型装備を保有している。中国は2030年には空母四隻を運用しているはずで、遼寧型STOBAR空母二隻と通常型CATOBAR空母二隻だ。米国は強襲揚陸艦まで含め数で凌駕し、戦力の中身でも上回るが、中国は局地的な優位性を開戦初期に確立するだろう。また中国の潜水艦、水上艦は数量面で優位で、しかも全世界的に配備する必要がない。これに対し、米海軍は不利な立場だが、双方とも優位性はそれほど大きくない。

 

航空戦力では米空軍、海軍、海兵隊のF-35が多数配備されている。空軍にはB-21レイダーステルス爆撃機も既存機種の爆撃機に加わっている。中国はJ-10、J-11戦闘機を増強し、数の上では米F-15、F-16、F/A-18に並ぶ。J-20に加え、導入を決めればJ-31も投入可能となる。中国の装備近代化では2030年でも米空軍の水準には至らないが、PLAAFは差を縮めているはずで、加えて莫大な数の基地があり、弾道・巡航・対空の各種ミサイルがある。

 

2030年の最大の変化は無人装備で、有人装備と併用され、あるいは単独で運用されるはずだ。この分野の変化は極めて早く、正確な予想が立てにくい。空中、海上、海中で無人装備が戦闘の大部分を実行する可能性がある。運用の前提は広範囲の偵察、通信機能であり、両陣営とも開戦直後からこれを妨害を狙してくるはずだ。

 

サイバー戦になるか

米中両国は社会、経済、軍事各面でサイバーでの接続性に依存している。接続を妨害すれば決定的な効果が生まれる。中国はインターネットへの依存度が高いが、接続の安全性を高めており、妨害を受けにくくなっている。20世紀のドイツ産業があれだけ空爆を受けても崩壊しなかったのは冗長性をもたせた内部体制が破壊されなかったためだ。これに対し、そこまで洗練されていなかった日本経済は海上封鎖と空爆で遥かに大きな打撃を受けた。ただし、複雑になることが必ずしも脆弱とはならず、経済でデジタル化が進めば攻撃しやすくなるわけでもない。

 

とはいえ、戦闘がサイバーに発展しないわけではない。むしろデジタル戦が民生部門より軍事部門に大きな影響を与えそうだ。米中両国はネット接続を探知、妨害しようと全力を上げるはずで、敵を目眩ましにしながら、敵のセンサーの利用を目指すはずだ。サイバー攻撃を「リアル世界の」軍事活動で最も巧妙に実施できる側が勝利を収めるだろう。

 

どう終結するか

米中戦の結末をめぐり多くの著作がある。2030年の戦闘では開戦理由が明確にならないと双方ともどこまで攻勢をかけるのか予測が難しい。2030年の世界で米国の産業力を恒常的に制圧できる通常戦力が中国に実現するとは極めて考えにくい。他方で、米国がPRCを完全打破するシナリオの実現も年をおうごとに困難になってきた。敗北させても政治危機はその後も続く。勝利条件はどちらが敵陣営の初期戦力を撃破できるかにかかってくるのであり、その手段に巧妙な奇襲攻撃あるいは消耗戦が考えられる。

 

海上封鎖は解決にならない。中国のエナジー消費は2030年に増加しているだろうが、同時に同国は戦略的脆弱性の克服にも注力しているはずだ。ロシアとパイプラインを追加建設し、代替エナジー源も模索すれば、PRCは対米戦の場合も余裕を持って対応できる。

 

いずれにせよ、2030年米中戦争の終結にはきめ細かな外交が必要となり、これが不調だと武力衝突の初期段階が21世紀を通じた戦争に発展しかねない。

 

結論

ほぼ40年にわたり米ソ戦は不可避だとアナリスト多数が論じてきた。危険な場面もあったが、結局開戦にはならなかった。米国と中国でも再度の軍事対決に至る事態の回避は可能であり、その確率は高い。とはいえ、両国間の戦力バランスが今後どう変わり、またどんな機会が両国に生まれるのか考えてみる価値はあろう。幸運とともに技量があれば、ワシントンと北京は2030年の世界でも開戦を回避できよう。だが両国の政策部門が武力衝突した際の影響を真剣に捉える姿勢を保つことが前提だ。■

 

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What Would War Between America and China Look Like in 2030?

https://nationalinterest.org/blog/reboot/what-would-war-between-america-and-china-look-2030-178628?page=0%2C1

February 22, 2021  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: WarAmericaChinaMilitaryTechnologyTrumpXi Jinping

by Robert Farley 



Robert Farley, a frequent contributor to the National Interest, is author of The Battleship Book. He serves as a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat.

 

2021年2月22日月曜日

米陸軍演習地でT-84戦車が運用されている。ウクライナから入手したのか。だが、いつ、どうやって

 

 

 

クライナのT-84主力戦車(MBT)一両がアリゾナ州ユマ実証場で運用されているが、目的は不明だ。同装備への対応訓練かもしれない。ソ連製T-80MBT派生型である同型戦車が米国内演習地で試験、訓練に投入される様子は以前も目撃されている。

 

米軍はウクライナから同型戦車4両を取得し、以後米陸軍アバディーン試験施設(メリーランド州)でテストしている。ユマに持ち込んだのはT-80UDを改修したT-84との報道がある。

 

 

昨春に流布された写真(上)では同戦車にドロッズ・アクティブ防御システムが搭載されているのがわかる。この車両はユマ演習地の教師装備標的シミュレーション場でその他ソ連、ロシア製戦闘車両に加わってた。ユマに海外製車両が登場し米軍部隊の訓練に供されるのはごく普通のことだが、今回はウクライナ軍が同戦車をテスト・訓練用に提供したようだ。

 

くりかえすが、T-84の原型は1980年代のT-80UDだ。ソ連崩壊後の1990年代にウクライナとパキスタンがT-80UD改良の契約を獲得したが、ソ連時代の軍事産業企業が旧共和国数カ国に分散したたため実施は困難を極めた。このため、ウクライナは国内生産に切り替えることとし、1995年にT-84が実現した。

 

 

新制式名T-84となった同戦車にはT-80、T-80UDから各種の改良が施されているが、資金難のためウクライナは自国用途には大量採用できず、一部には6ないし10両しか軍に納入されていないという筋もある。このため、ウクライナ製T-84の高性能ぶりを認識しつつ、T-64のような旧型戦車の修理、改修に集中した。

 

T-84の兵装はT-80UD同様の125ミリ平滑砲で自動装填式となっている。また9K119M対戦車誘導ミサイルも搭載している。その他兵装には同軸7.62ミリ機関銃、砲塔に12.7ミリ重機関銃を各1門装備する。

 

動力減は6TD-2ターボチャージ・ディーゼルエンジンで1,200馬力を出す。装甲も良好で、全溶接式の砲塔には爆発式反応装甲ブロックをつけ、シュトラ-1対抗装置による防御機能もある。

 

これだけの性能の同戦車がごく少量しか供用されていないのは車両価格のためだが、疑問は米国が一体どうやって入手してユマに投入しているのかだ。ウクライナはタイへ輸出実績があるがこれも少数となりコストダウンが実現できなかった。米国は一両を正価で購入した可能性がある。■

 

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Secret Is Out? Did a Ukrainian T-84 Arrive in Arizona For Testing?

February 9, 2021  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTrainingUkraineTanksTechnology

by Peter Suciu

 

Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He regularly writes about military small arms, and is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com.

Image: Reuters


2021年2月20日土曜日

B-1Bの退役が始まった。B-21導入のための措置で、ここ20年酷使された機体から退役させる。

  

 

The first of 17 B-1Bs to be retired by the USAF prepares to depart from its home station of Ellsworth AFB in South Dakota. The service fields 62 B-1Bs, meaning that 45 will remain operational once this initial divestment is complete (though four of the 17 will be stored in a reclaimable condition, should they be needed again). (US Air Force)

今回退役対象となった第一陣の最初の機体が配属先のサウスダコタ州エルスワースAFBを

出発した。(US Air Force)

 

空軍でロックウェルB-1Bランサー戦略爆撃機の削減が始まり、ノースロップ・グラマンB-21レイダーの導入に向けた準備が進んでいる。

-1Bの第一期退役機材17機が2月17日、配属先のエルスワース空軍基地(サウスダコタ州)を出発した。

米空軍は同型機合計62機を運用中なので、対象機の退役が完了すると45機の戦力となる。ただし、今回対象の17機中、4機は必要に応じ再復帰できる状態に保存される。

「長年活躍してきた同機を退役させるのはB-21レイダー運用を始めるため」とグローバル打撃軍団 (AFGSC)司令ティム・レイ大将が述べている。「ここ20年間酷使されてきたB-1で疲労摩耗が目立っており、原状復帰させようとすれば機体整備は各機数百万ドルにつく。しかもこれは判明している事象のみの対応だ。今後は退役を加速していく」

米空軍が認める通り、B-1はここ20年間連続して戦闘投入された影響が機体構造面で現れている。現時点でB-1Bの機体再整備には一機につき10-30百万ドルかかるとされるが、実施の場合、B-21導入段階と重なる。

今回対象となるのは機体寿命に余裕がない機材で、レイ大将は「B-1削減は近い将来の戦力増強につながる一歩」と強調している。■

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USAF begins B-1B retirements

19 FEBRUARY 2021 by Gareth Jennings


AFGSC paving way for B-21, begins retirement of B-1 aircraft

By Air Force Global Strike Command Public Affairs / Published February 17, 2021



E-4B後継機も747原型になる可能性が濃厚。ただし、新規製造機体の取得は困難なので中古機材でもよいとする米空軍。大統領専用機材は747-8iで装備品等のコスト削減も視野に入っている模様。

 

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An E-4B Nightwatch aircraft.

USAF

 

 

空軍が実現を急ぐのがSAOCすなわち残存可能空中作戦センター機で、老朽化してきた現行E-4Bナイトウォッチの後継機をめざす。

 

NAOC国家空中作戦センターとも呼ばれるSAOCの仕様は極秘扱いだが、空軍は後継機もE-4Bとほぼ同サイズの四発機を想定する。

 

空軍ライフ・サイクル管理センター (AFLCMC)の大統領専用機局がSAOC事業も担当し、契約公告を2021年2月17日に発表した。「政府は引き続き、超大型機を利用してのウェポンシステムの調達戦略を完全かつ開かれた形で希求する」とある。

 

USAF

E-4Bナイトウォッチは国家空中作戦センターとも呼ばれる。

 

 

これに先立ち、企業から民間機改装によるSAOC提案を募集する告示が2020年12月にあった。空軍から具体的情報の開示はないままで、関連のシステム要求内容文書(SRD) は極秘扱いとなっている。

 

Aviation Weekの防衛記事編集者スティーブ・トリンブルが中古民間機の利用の可能性に昨年触れていた。現時点でトリンブルは「超大型機体」との規定を見てジャンボジェット原型案の実現可能性が非常に高いと見ている。

 

SAOCの要求内容に物理的な内容があり、必要なエンジン数も定めており、極めて厳格に管理されているのは驚くにあたらない。よく「審判の日の機材」と呼ばれるE-4Bは四機あり、堅固かつ残存性が高い機体として大統領に国家統帥権(NCA)の実現として核攻撃命令を下す手段となる。その他の軍事作戦でも指揮統制を行い、必要に応じ大規模自然災害でも機能するのが役割だ。

 

大統領がVC-25Aエアフォースワンで海外移動する際にはE-4Bの一機が随行することが多い。E-4Bは国防長官の外国出張にもよく利用されている。

 

4機あるE-4Bのうち3機はE-4A高性能空中指揮所(AACP)として1970年代中頃に供用開始し、1980年代にNAOC仕様に改造された。4機目はNAOCとして取得した。全機が747-200B型を原型とする。なお、2機あるVC-25Aも同様に747-200Bを改修した。

 

空軍が747原型とするSAOCの実現に傾いている兆候は別にある。2017年に米海軍とともにE-4B、E-6Bマーキュリー、C-32Aを共通機材で更新する構想が浮上していた。

 

E-6Bも戦略指令機で、核爆撃機部隊、弾道ミサイル潜水艦やICBM部隊への通信を維持するための代替手段となる。この任務を空軍はABNCP、海軍はTACAMOと呼称している。

USAF

An E-6B Mercury.

 

C-32Aはエアフォースツゥーと呼ばれ、大統領も条件により使用することがあるが、通常は副大統領が使用する。

 

TYLER ROGOWAY

A C-32A Air Force Two.

 

2019年に空軍はNAOC、高官専用機、ABNCP、TACAMOを合わせたNEATの実現を棚上げし、SAOCとしてE-4B後継機の実現に集中するとした。2020年に海軍は次期TACAMOにC-130Jを検討中と発表した。

 

C-32Aは双発のボーイング757が原型で、E-6Bはボーイング707を元にしている。各機材で要求性能が異なり、機材統合案は実現しなかった。

 

次期エアフォースワンVC-25Bの例にも通じるものがある。破綻したロシア航空会社向け747-8i旅客機を改装する決定もこうして下されたのだろう。

 

MATT HARTMAN/SHOREALONE FILMS

この747-8i がVC-25B へ改装される。

 

 

2016年に当選を決めたドナルド・トランプに空軍はVC-25Bが四発機である意義を説明していた。エンジン一基が作動しなくなった場合、双発機では「ただちに着陸」を迫られる、と説明資料にある。トランプへのエアフォースワン後継機調達構想について空軍の説明資料を情報の自由法に基づく情報公開で入手した。

USAF VIA FOIA

エアフォースワンについて空軍が2016年当選したばかりのドナルド・トランプに説明した資料の一部。大統領専用機にしかない要求内容として双発機ではなく四発機が必要とのくだりがある。

 

E-4Bでも空軍が同じ結論にたどり着いたのは想像に難くない。NEAT構想は続いていており、KC−46ペガサス給油機改装案もあったが、同機は双発のボーイング767が原型だ。 

 

次期大統領専用機VC-25Bで747-8i を改装することになったのもE-4B後継機構想に影響している。ナイトウォッチでは充実した通信装備に加え、核爆発で発生する電磁パルス対策等が施されており、新エアフォースワンの改装内容を応用すれば747-8i原型のSAOCで費用節減につながるはずだ。

 

さらに空軍が中古民間機もSAOCに転用可能と発表したのはボーイングから747生産は現時点で受注済みの機体を持って終了するとの発表があったことが大きい。そうなると、今後登場する747原型の空中指揮所機材は中古ジャンボを改装する可能性が高くなる。ボーイングが政府向け機材生産のため生産ライン閉鎖を先送りする選択肢もあるが、その可能性はどんどん小さくなっている。

 

空軍の求める「超大型機」では747以外の選択肢がない。トリンブルは「中古のエアバスA380は対象外」と断言している。エアバスは同機生産を今年をもって終了する予定で、製造機数は17年で300機未満だが、747なら各型合わせ1,500機をボーイングは製造している。A380のサポート基盤は遥かに小さい。また空軍がSAOCを外国製機材にして安全保障や政治面で問題を起こしたくないはずだ。

 

ロッキードから巨大輸送機C-5ギャラクシーの改装提案が出ているのに注目したい。同機も生産は終了しているが、E-6Bの後継機になる可能性がある。

 

無論、空軍がどの機材をSAOCに選択するかは未定だが、747原型案に傾く兆候があちこちに現れているのは事実だ。■

 

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Requirements For New Air Force Doomsday Planes Seem To Preclude Anything But 747s

BY JOSEPH TREVITHICK FEBRUARY 17, 2021


2021年2月19日金曜日

中国がY-20輸送機を空中給油機に改装し、量産開始した模様。空軍戦力の投射効果を増大させそうだ。中国空軍の実戦力不足を侮れなくなりそう。

 Overhead imagery of an airfield in Xi’an-Yanliang, China shows four Y-20s with the shadows of refueling pods on their outer wings, indicating these are Y-20U tankers. (Courtesy of Planet Labs)

西安閻良飛行場の衛星画像でY-20四機で主翼外側に給油ポッドの影が写っており、給油機仕様のY-20Uだとわかる。(Courtesy of Planet Labs)

 

星画像から西安Y-20輸送機を改造した空中給油機が量産開始していると判明した。空中給油能力の欠如が中国の弱点といわれてきた。

2020年12月30日撮影の衛星写真では西安閻良飛行施設で4機のY-20の主翼に給油ポッドの影が見られ、Y-20U給油機であることがわかる。Y-20Uは給油ポイント3箇所をY-20に装着し、両主翼のポッド、機体後部から給油をおこなう。

Overhead imagery of an airfield in Xi’an-Yanliang, China, taken Dec. 30, 2020. (Courtesy of Planet Labs)

西安閻良飛行場の衛星画像。2020年12月30日撮影。 (Courtesy of Planet Labs)

 

給油はホース・ドローグ方式で、被給油機がプローブをホース端に給油用バスケットに差し込み給油を受ける。

Y-20試作機は2018年初飛行しており、今回Y-20が4機揃ったことから試験飛行段階が完了し、量産段階に入っているとみられる。ただし、Y-20が専用給油機なのか輸送能力も同時に保持しているかは不明だ。

Y-20、Y-20Uともにエンジンはロシア製ソロヴィエフD-30KP-2ターボファンを搭載しているが、中国はY-20用にWS-20高バイパス比エンジンを開発中だが生産は2024年以降になるとみられる。

A Y-20 strategic transport plane takes flight Oct. 29, 2016, in Zhuhai, China. The Y-20 is China's first domestically developed heavy-lift transport aircraft. (Getty Images)

Y-20は中国国産開発の大型輸送機だ。(Getty Images)

 

衛星写真の4機中3機は暗灰色塗装が施され、残り1機は最終塗装がない。灰色塗色の1機は試作機あるいは試験機材で、3機は量産機材のようだ。

Y-20U4機も含め閻良飛行場にY−20が16機見られる。西安航空機XACが同飛行場に生産施設を保有している他、航空関連産業が集積している。

中国の空中給油能力強化の意味

人民解放軍空軍PLAAFは現在20機程度の給油機を運用中だが、大多数はH-6U・海軍仕様のH-6DUで西安H-6爆撃機が原型で、もとは1950年代のロシアのツボレフTu-16だ。

PLAAFはイリューシンIl-78MP給油機も3機ウクライナから調達したが、Il-76輸送機の給油機改装には手こずったようだ。

Il-78が少数でH-6の給油能力も限定付きのため、中国の空中給油能力は僅かと見られてきた。

ただし、Y-20U投入で空中給油能力の不足が解消されると、中国航空戦力を増大する効果を生み、兵力投射能力を拡大するはずである。■

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Satellite images suggest China's new tanker aircraft is under production

By: Mike Yeo   

 


2021年2月18日木曜日

変貌するレッドフラッグ演習----もはやドッグファイトの鍛錬だけではなく、キーワードはネットワーク化とデータ共有に。

 

 

 

ッドフラッグ演習で米空軍は近接航空支援、精密誘導爆弾投下、空対空ドッグファイト、偵察行動、敵防空体制の制圧を展開してきた。

 

近年のレッドフラッグ演習はさらに拡大し、サイバー、EW 、宇宙、航空地上間の相互作戦といった新たなドメインに加え、GPSが妨害された環境下での作戦等の課題もとりいれてきた。今年のレッドフラッグで上記すべてを実施することはないが、データ共有、戦闘ネットワーク化、センサー・攻撃手段の最適化などあらたな手法を試す。詳細は不明だが、兵装機材間のネットワーク化が重要となると考えて間違いない。

 

空軍発表によればレッドフラッグ21-1には全米20州および三カ国の人員2,400名、F-22、F-16、F-15E、A-10、KC-135以外にB-1、B-2の爆撃機も加わる。演習はハイテク大国間戦闘を再現し、敵役の「レッドチーム」が米空軍部隊に対抗する。空軍は「ネットワーク化」戦闘をあらゆるドメインで展開する重要性をレッドフラッグで強調する。

 

「レッドフラッグ21-1では全方面での国家安全保障を宇宙電子戦能力により支援し、サイバー攻撃で敵ネットワークを妨害し、データ伝達や機能を正常に行えなくします」(414戦闘訓練飛行隊ケイリー・テイラー大尉、非運動性兵力統合担当)Fighter Doesn't Have 


機材改良ではネットワーク化、通信機能、指揮統制を中心に航空機材、地上指揮所、無人機、宇宙誘導式兵装で進めている。さらに高度戦闘管理システムを爆撃機、無人機、戦闘機、地上情報収集装備に導入し、各機材を同時接続している。最近の実験で高度な監視ネットワーク機能によりセンサー情報取得から兵装発射までの時間短縮を実現し、榴弾砲で超高速弾を発射し飛来する巡航ミサイルの撃破に成功した。防空機能はあらたな次元に入ったといえる。

 

F−15、B−2、第5世代戦闘機間のネットワーク機能がさらに改良が続いており、各装備がつながると戦術面が一変しそうだ。各装備が結節点として各ドメインで活動すれば、標的情報等を即座に共有し、距離は関係なくなる。LINK 16利用等通信環境の改善でF-22とF-35で相互通信が実現すれば、F-35搭載のセンサーで迅速に敵を発見し、F-22で撃滅させることも可能となる。


F-15、B-2では処理能力を高めたコンピュータが導入されており、B-2では従来の1,000倍もの処理速度が可能なコンピュータに換装され、敵機探知センサー技術の向上結果も受けられるようになる。■

 

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Red Flag: How B-2 Bombers and F-22 Stealth Fighters Train for War


February 16, 2021  Topic: Red Flag  Blog Brand: The Buzz  Tags: Red FlagF-22F-16Networked WarfareMilitaryU.S. Militar

by Kris Osborn

 

Kris Osborn is the defense editor for the National Interest. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University