2022年4月4日月曜日

公開待たれるB-21レイダーと並行し、無人機版の開発構想を空軍長官が明らかにした.....

 

USAF/MODIFIED

 

米空軍長官がB-21と同様の航続距離を有する完全無人機版の構想を明らかにした

 

空軍は、B-21レイダーを補完する将来の無人爆撃機開発の可能性を模索しており、数年内で作業開始の可能性がある。このプロジェクトは、現在構想中の米空軍のスカイボーグ構想、DARPA国防高等プロジェクト計画局のAir Combat Evolutionプログラム、オーストラリアのAirpower Teaming System 「忠実なるウィングマン」無人機プロジェクトがめざす最先端の自律型無人機および人工知能システムに関する研究を活用する。

 

 

フランク・ケンドール空軍長官は、先週開催された空軍協会(AFA)シンポジウムの基調講演で、無人爆撃機のコンセプトを明らかにした。また、次世代航空優勢機材(NGAD)プログラムに無人戦闘機(UCAV)が存在していると強調した。ケンドール長官は、NGADの無人機版の開発状況は、「空軍の戦術的航空計画の一部とするには...時期尚早」と述べた。長官が言及した無人システムが、2021年12月に存在を明らかにされた機密無人機プロジェクトに関連しているかは不明だ。

 

NGADは「有人型と、低価格自律型無人戦闘機を組み合わせ、センサー、武器、その他のミッション機器を分散使用する」とケンドール長官は説明し、さらに、「システム多数で構成するシステム」コンセプトであり、個々の機材に焦点を当てる取り組みではない、と発言した。

 

ケンドール長官は、無人爆撃機コンセプトについて「まだ未完成」とし、「熟考が必要」と説明し、基本コンセプトを固める段階にあると述べた。

 

しかし、長官は、B-21は当初から任意有人飛行が可能な設計で、無人機版を言及しているわけではないと明らかにした。長官は、少なくとも現時点の無人爆撃機の基本想定は、レイダー同等の航続距離を持つとしながら、「ペイロードは未定」とした。

 

これと別に、B-21プログラムを担当する空軍の迅速戦力整備室Rapid Capabilities Office(RCO)の責任者ランドール・ウォルデンRandall Waldenは、Air Force Magazineに対し、ケンドール長官の無人爆撃機コンセプトは、レイダー同様の「航続距離、耐久性、スピード」が必須とした。

 

特に重要なのは、無人爆撃機を「作戦上価値があり、費用対効果が高い」機体にすることだとケンドール長官は発言した。2016年、空軍はまず100機のB-21の購入予算として約800億ドル、2022年ドルで940億ドルと見積もったが、この数字には開発費や運用・保守費は含まれていない。昨年、ブルームバーグは、100機購入し、2050年まで運用すると約2030億ドルかかるとの試算を報じた。だが試算は、長官が進めたい45機購入計画は考慮していないようだ。

 

「B-21の機体単価を半分以下にしたい。4分の1か8分の1にしたい」と、ケンドール長官は記者団に語った。「現時点で目標の最低ラインは、現在の価格帯の半分だ」と付け加えた。

 

「兵器システムと費用について豊かな経験がある」 空軍長官は、現在のコストの2分の1を目標とした理由を尋ねられて、このように述べた。2019年、2011年から2017年にかけて国防次官(調達・技術・兵站担当)を務めた後で、ケンドールは、B-21のスケジュールとコストに疑問を呈していた。

 

あらゆる観点でB-21は、先進的航空機として、予想コストとスケジュールを可能な限り守る模範的な調達プログラムとなっている。現在、生産段階の6機のうち1機の初期試作機は、初飛行に向けた校正テストに入っている。

 

RCOのウォルデンはAir Force Magazine取材に応じ、レイダーの推定単価は、2010年に中止となった次世代爆撃機プログラムの想定の約半分である明らかにした。

 

とはいえ、B-21より能力が多少劣っても、補完効果があり、ステルスの低コスト無人爆撃機に空軍が興味を持たないはずはない。このような航空機は、有人B-21と同時運用し、追加攻撃能力を提供したり、純粋な無人部隊として重要な効果を実現できる。

 

RCOのウォルデンは、「有人システムほど高価でない無人システムがリスクを多く負うことになる」とAir Force Magazineに説明し、B-21の前方を飛び「攻撃能力を拡張」できると付け加えた。同時に、将来のハイエンド紛争シナリオでステルスのレイダーの生存性を空軍がどう考えているかがわかる。

 

無人爆撃機が通常兵器のみの武装なら、ステルス性の高い侵攻機材が必要となるミッション多数に活用される可能性がある。これにより、空軍は、核三本柱の爆撃機部分となるB-21の総数を削減しながら、非抑止的任務に利用可能な高性能機材数を確保できる。

 

無人爆撃機は多機能機になるかもしれない。空軍は過去に、B-21のような機材を、半自動の「忠実なるウイングマン」無人機と協調運用する大型空対空プラットフォームとして使用する可能性を提起していた。強力な統合防空網を突破し、敵陣深くにステルスで侵入できる爆撃機サイズの無人機は、情報収集、監視、偵察(ISR)機材、あるいは電子戦機や通信中継機などに利用できる可能性を十分に備えている。レイダー自体も、多用途に投入されるという予想がある。

 

無人爆撃機に、スカイボーグとAir Combat Evolution (ACE) の作業を活用できるという指摘から、ケンドール長官が本当に注目しているのは、爆撃機版の「システム多数で構成するシステム」としてのNGADかも知れない。Skyborgの一部として無人機が開発されている一方で、ACEやその他の取り組みもあり、すべて、各種の有人・無人機用の拡張性のあるシステムと基礎技術開発に重きを置くものだ。

 

また、「各プログラムが具体的にどう移行していくかは、未整理だ」「しかし、明らかに、この方向に進むことを決めた際の全体像の一部だ」(ケンドール長官)

 

オーストラリアのATSプログラムも一部であるとするケンドール長官は、無人爆撃機が同盟国に輸出できるかとの疑問を提起している、B-21では極めて難しい。昨年、今後の太平洋地域における安全保障環境で、中国の脅威が増大することから、オーストラリアがレイダーを取得するべきという、議論が一部に出たのを思い出すと、二重に興味深い。

 

無人爆撃機コンセプトは進化し続けているが、ケンドール長官は、2024年予算から開発が具体化されることを望むと述べた。このプロジェクトは高度にまで機密案件なので、新情報が出るかは不明だ。

 

いずれにせよ、空軍が新無人化コンセプトを模索していることをケンドール自らが明らかにしたのは、重要な進展であり、空軍の爆撃機部隊の今後の姿に大きな影響を与える可能性がある。■

 

 

Stealth Bomber Drone To Complement The B-21 Raider Could Be Pushed Into Development Soon

The Secretary of the Air Force outlined a vision for a strictly unmanned aircraft with the same range as the B-21 stealth bomber.

BY JOSEPH TREVITHICK MARCH 8, 2022


よくわからないのですが、有人、無人機の組み合わせ用の「機能省略形」の機体になるのでしょうか。消耗覚悟の無人機ではないようですが、もともとLRS-Bとして構想されているのがB-21であり、有人爆撃機型以外のモデルを指しているのかもしれません。B-21は派生型含め相当数の調達事業になりそうですね。


2022年4月3日日曜日

2023年度国防予算要求の概要② 米海軍省の艦艇、航空機関連の動向

 

今回退役の対象とされる巡洋艦は5隻

海軍は、5年間で36億ドルを節約するため、来年度に艦船24隻を退役させたいと発表した。

2023年度予算要で、海軍はフリーダム級沿海域戦闘艦(LSC)9隻、タイコンデロガ級巡洋艦5隻、ロサンゼルス級潜水艦2隻、揚陸ドック艦4隻、給油艦2隻、遠征転送ドック2隻を退役させる。

LCSの退役について、海軍予算担当副次官補ジョン・ガンブルトンJohn Gumbleton は、コンステレーション級フリゲート艦が対潜能力を持つため、LCSの対潜戦任務が不要となるとした。

「LCSのASW能力を見ての決定です。ASWのミッション・モジュールは、大きな課題を抱えたまま、うまくいきそうにありません。浮いた予算で4隻目のフリゲート艦を導入します。4隻目には効果的なASW能力があると思われるので、LCSポートフォリオでリスクを取ることにした」と、ガンブルトンは記者団に語っている。

コンステレーション級フリゲート初号艦は2026年の納入予定であり、初期運用能力獲得は2030年となる。

「フリーダム級には、駆動系で問題があります。ただしその修正は法外な金額ではありません」と、ガンブルトンは9隻のLCSに言及した。「しかし、艦種2つを維持する代わりに、艦種を一つに絞れば、節約が可能になります。それで今回の決定になったのです」

USSフォートワース(LCS-3)は、海軍が退役させたいLCS9隻の1隻。海軍は2021年度と2022年度にフォートワースを退役させようとしたが、議会が阻止した。フォートワースは2012年に就役した。フリーダム級LCSは、ガスタービンとディーゼルエンジンを結合するコンバイニングギアで問題が発生したが、フォートワースには別のコンバイニングギア機構を備えている。

海軍次官メレディス・バーガーMeredith Bergerは、LCSの9隻退役について聞かれ、「費用のかかる修理やメンテナンスから解放される」と述べた。

海軍関係者は、2023年度予算要求について、改訂版の国家防衛戦略、カルロス・デルトロ Carlos Del Toro海軍長官の目標、海軍作戦部長マイク・ギルデー大将Adm. Mike Gildayの優先事項である即応性、近代化、能力を満たすものと説明している。

 

「この環境下で、艦隊を持続可能とする決定をした。そのため、予算内で維持不可能な対象には予算をつけていない」と、バーガーは記者団に語った。「また迫りつつある脅威に対し、最高度に有能かつ準備の整った艦隊と部隊を作るため、現有装備の調整を確実に進める。そのため、短期的には、準備体制があがり、より致命的で、より能力の高い艦隊が生まれる。長期的には、艦隊の規模も増える」。

艦船合計24隻を退役させると、海軍は将来防衛計画(国防総省の5年間の支出見通し)全体で36億ドル節約できると、ガンブルトンは述べた。

ただ、24隻のうち16隻は耐用年数に達しておらず、海軍は特例を求める必要がある、とガンブルトンは指摘する。

「巡洋艦も注目されていますが、5隻中4隻が耐用年数に達しています。早期退役を求めるのは1隻のみ」と述べた。

USSフォートワース(LCS-3)、カリフォーニア州サンディエゴ海軍基地にて。 Feb. 15, 2022

だが今後数年間で、艦隊規模は縮小する。米海軍の戦闘艦艇数は2022年度に297隻だが、2023年度には285隻、2024年度2025年度は287隻、2026年度に284隻、2027年度には280隻に減少する。

2023年度の海軍造船会計では、アーレイ・バーク級フライトIII 駆逐艦 2隻、バージニア級攻撃型潜水艦 2隻、コンステレーション級フリゲート 1 隻、サンアントニオ級揚陸輸送艦1 隻、アメリカ級強襲呂揚陸艦1隻、 T-AO-205 ジョンルイス級給油艦1隻、T-ATS6 ナバホ級救難艦1隻、計9隻を 279 億ドルで購入する。

海軍省の 2023 年度予算要求は、海軍が 1,805 億ドル、海兵隊が 503 億ドルで、合計 2,308 億ドル。海軍は2023年度比5.4%増の533億5千万ドルの調達資金を要求する。また、運用・整備費に614億2000万ドル、人件費に411億9000万ドル、研究開発費に210億2000万ドル、軍事建設費・家族住宅費に31億3000万ドルを要求している。

海兵隊は、調達費に122億3000万ドル、運用・保守費163億ドル、人件費172億9000万ドル、軍建設・家族住宅資金14億6ドル、研究・開発資金306億ドルを要求。

ガンブルトン氏によれば、要求はインフレを考慮し、海軍は5%、海兵隊は2%の「実質成長」となる。海軍省によると、海軍の要求額1805億1000万ドルは、2022年度の1722億6000万ドルに対し4.8%の増加、海兵隊の要求総額503億ドルは、1.8%の増加となる。

海軍は、耐用年数延長プログラムで上陸用舟艇エアクッション2機のオーバーホールと、艦船海岸接続装置2基と中古輸送船2隻の購入も要求している。

2023年度には、コロンビア級弾道ミサイル潜水艦計画やフォード級空母の購入はないが、海軍は両計画で段階的な資金投入を必要としている。ガンブルトンによると、海軍はフォード級で増予算29億ドルを要求している。フォード級空母は現在、ハンティントン・インガルス工業Huntington Ingalls Industriesのニューポート・ニューズ造船所Newport News Shipbuildingで3隻建造中。

今回の計画では次世代駆逐艦 DDG(X) の開発に取り組む中で、アーレイ・バーク級フライト III駆逐艦の複数年調達を再度実施する可能性が出てきたことがわかる。また、2023年度から2027年度にかけて、バージニア級攻撃型潜水艦を年間2隻購入する予測だ。

 

航空機材調達勘定では、海軍省は168億ドルを要求する。 内訳は、海軍が F-35C ライトニング II 共用打撃戦闘機JSF(9)、海兵隊が F-35C(4)、F-35B 短距離離陸・垂直着陸機(15)、海軍のE-2Dアドバンストホークアイ(5)、多発訓練システム機(6)、海兵隊向け多発式訓練システム(4)、海兵隊向けKC-130J(5)、海兵隊向けCH-53Kキングスタリオンヘリコプター(10)、海軍向けTH-73A訓練ヘリコプター(21)、TH-73A訓練ヘリコプター(5)機、海軍向けMQ-4Cトライトン(3)、海軍向けMQ-25Aスティングレイ(4)、海兵隊向けMQ-9Aリーパー(5)の合計96 機で168 億ドルの調達となる。

F-35Cの要求は、海軍のこれまでの想定から減少している。2022年度予算で議会に提出した説明資料では、2023年度に20機のF-35Cを購入を予測していたが、今回の要求では海軍海兵隊で13機しか求めていない。

「JSFの要求を下げたのは、バランスのためです。つまり、艦船建造のポートフォリオ、航空ポートフォリオ、兵器、研究開発とバランスをとるということ」とガンブルトンは「JSFを増やしたかったが、バランスを重視した」と記者団に語った。

兵器調達については、2023年度は、海兵隊に115基、海軍に39基の海軍打撃ミサイルを含む総額47億ドルを求める。

人員については、海軍は2023年度から2027年度に約1万人の乗員を削減する。

インフラ面では、造船所インフラ最適化計画(SIOP)で2023年度に17億ドルを要求しており、海軍の公的造船施設改修210億ドルの一部となる。

要求には、軍人と民間人双方向け4.6%賃上げの予算も含まれている。■

FY 23 Budget: Navy Wants to Shed 24 Ships for $3.6B in Savings Over Next Five Years - USNI News

By: Mallory Shelbourne

March 28, 2022 1:35 PM • Updated: March 28, 2022 5:20 PM

 



2022年4月2日土曜日

ウクライナ戦の最新状況。旧ドイツ軍のBMP-1歩兵戦闘車をチェコから移送。ウクライナが捕獲した興味深いロシア装備品。ウクライナMi-24がロシア領内を攻撃か。など

 A row of Swedish Pbv-501 infantry fighting vehicles, which are modified BMP-1s. The Czech Republic is set to transfer 56 Pbv-501s it acquired from Sweden to Ukraine.

ARSENALEN, SVERIGES FÖRSVARSFORDONSMUSEUM

 

クライナ紛争は6週目に入った。ロシア政府は、ウクライナ軍がMi-24 ハインド攻撃ヘリでベルゴロド市の燃料貯蔵所を国境越えで襲撃したと非難している。ウクライナ側は、コメントを控えている。ウクライナ軍が作戦を実行したのなら、朝鮮戦争以来、ロシア領土が敵国の有人航空機で攻撃された初のケースとなる。

 

 

 ウクライナ北東部におけるロシアの軍事態勢が変化し、南東部での攻勢を強化しているのが明らかになった。一方、ウクライナ軍は複数地域で反撃を続けており、特に首都キーウ近郊の奪還が進んでいる。交渉による停戦への実質的な進展は、依然として見られない。

 ウクライナ政府は、ロシア軍を阻止し、さらに追い詰めるために、追加軍事支援を各国に要請し続けている。今日、ドイツ当局は、旧東ドイツ軍のBMP-1の改良型歩兵戦闘車Pbv-501計56台をチェコ共和国からウクライナへ移送する計画を承認したと発表した。ヴォロディミル・ゼレンスキー大統領などは、ロシア侵攻への抵抗を続けるために、戦車など重装甲車両や対艦・対空ミサイルなどの武器・装備の増備を公然と求めている。

 ドイツ政府は、Pbv-501計56両のウクライナ譲渡を承認したとされる。ドイツ当局が承認する必要があるのは、東ドイツ軍から引き継いだソ連時代の車両をスウェーデンに売却したためだ。スウェーデン政府はその後、チェコに売却した。現状では、ある程度改修しないと現役に戻れないともいわれる。

 ドイツ軍はスウェーデンへの売却前から、ソ連製BMP-1を西側安全基準に合わせる改造を行い、BMP-1A1 Ostsと改名した。BMP-1は1966年からソビエトで使用された。ドイツ側の改造は、兵員室後部ドアに内蔵された燃料タンクが満タンにできないようにしたのが特徴。

 

JUERGEN SCHIFFMANN VIA WIKIMEDIA

A BMP-1A1 Ost, painted in colors of the unified German military, which remains in running condition, but is now part of the collection at the German Tank Museum in Munster.

 

 スウェーデン軍はPbv-501との独自呼称をつけ再度アップグレードを実施した。エンジンやドライブトレインの改良、車内のアスベスト除去など、さまざまな改良が施された。

 Pbv-501は、73mm2A28砲と同軸の7.62x54mmR PKT機関銃を搭載したBMP-1オリジナルの砲塔を使用している。しかし、誘導式対戦車ミサイル発射システムは取り外された。

 

 

JOSHUA06 VIA WIKIMEDIA

A top-down look at a Pbv-501 now on display at the Swedish Tank Museum in Strangnas.

 

 ウクライナ軍もロシア軍同様に、BMP-1系統の車両を運用している。そのため、比較的容易に部隊編入できる。運用可能状態に戻すのに問題があったとしても、スペアパーツ供給用として重宝されるだろう。ウクライナ軍は、ロシア軍との戦闘でBMP-1の一部を喪失しているため、新たに加わる車両は歓迎されよう。

 前述のように、ゼレンスキー大統領はじめウクライナ当局は、これまでの戦闘で喪失した戦車や装甲車の補充を要求している。また、ウクライナ軍が上空を制圧するために不可欠な地上配備型防空兵器の追加も要請している。

 本日公開された動画では、ロシアのMi-28Nハボック攻撃ヘリコプターを地対空ミサイル(おそらく肩撃ちマンパッドシステム)で劇的に撃墜する様子が撮影されている。

 英国国防省は、今週初めにウクライナ北東部での作戦を緩和すると公式に約束したにもかかわらず、ロシア軍が空爆とミサイル攻撃を続けていると評価した。ウクライナ軍も反撃しており、ある程度の成果を上げている。

 ウクライナ軍がキーウ郊外の支配権を取り戻したことで、惨状を示す新たな映像が出てきた。首都キーウ郊外のホストメル(ゴストメル)空港の被害状況や、破壊された車両など戦争の名残を示す新たな映像が続々と公開されている。同空港では、ロシア軍が空挺部隊の橋頭堡として確保しようと試み失敗し、数週間にわたる大規模戦闘の場となっていた。同空港には、史上最大の航空機An-225 Mriya貨物機があったが、破壊されている。

 米国政府によると、一部のロシア軍はまだキーウ周辺に留まっているという。米政府高官は、キーウ北西部の教会と隣接住宅地が、作戦継続の中継地点として利用される可能性を強調している。

 ロシア軍はウクライナ南東部での作戦を強化している様子が確認されており、空爆が急増している。

 ロシア国防省が公開した映像では、ロシア黒海艦隊に所属する地上配備型対艦ミサイルシステム「バスティオンP」が、陸上攻撃に使用されている。ロシア当局によると、同ミサイルはウクライナの指揮所攻撃に成功したとあるが、裏付けとなる証拠はない。

 赤十字は、アゾフ海に面するウクライナ南部の港町マリウポリから、民間人避難を支援しようとしたが、失敗に終わったとしている。ロシア軍はここ数週間、マリウポリを包囲しているが、いまだに完全に確保していない。ウクライナの地元当局によると、市内の病院や学校の90%が被害を受け、街全体では40%が破壊されたという。

 以下のツイートの動画は、ウクライナ軍が市販の小型無人航空機を採用し、ロシア軍部隊に対する砲撃の指示や調整に役立てていると報じています。極右の超国家主義者集団「右翼セクター」部隊含む有志の領土防衛部隊が、こうした戦術を採用している中に含まれています。

 キーウからポーランド国境に伸びる高速道路の一部で、ウクライナ軍が地雷を足で動かしている映像がネットに出ている。地雷除去の方法としては最適とは言えないが、この地雷はTM-62または同様の対戦車地雷のようで、作動には数百ポンドの圧力が必要で、少なくとも取り扱いは多少安全である。

 ウクライナ軍はチェルニヒフ市付近でレーダー搭載の防空指揮所用車両PPRU-1 Ovod-M-SVと思われるものを破損させた。ウクライナ軍がここ数週間で、バルナウルTシステムの9S932-1 MRU-B(レーダー装備の防空指揮所車両)を捕獲した例と同様に、重要な情報価値を持つ可能性がある。

 ウクライナ軍はまた、ロシアのTOS-1A多連装ロケットランチャーシステムも捕獲したと伝えられている。同装備は220mmサーモバリックロケットを発射する破壊的な武器である。

 ロシア軍はウクライナで無人地雷除去車ウラン6を使用中と伝えられている。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、同国の保安局(SBU)の幹部2人を国家反逆罪で解任したと発表した。さらに、他にも同様の人物が残っており、「処罰する」と述べた。

 ロシアでは、オンライン飛行追跡ソフトウェアが、ロシヤ特別飛行分遣隊所属のヘリコプターで興味深いフライトを探知した。同ヘリコプターはモスクワ北部を出発し、連邦保護局(FSO)の施設に移動していた。■

 


Ukraine Situation Report: Czech Republic To Transfer 56 Upgraded BMP-1 Armored Vehicles To Ukraine

The Soviet-era ex-East German BMP-1s will have changed hands four times by the time they arrive in Ukraine.

BY JOSEPH TREVITHICK APRIL 1, 2022

(訂正版)F-22で30機超の退役案を米空軍が発表。F-22の残り時間が減っていく。NGADの開発は順調な模様。

 retire f-22ラプターの退役はまだ始まっていないが、残された時間は減りつつある。 (U.S. Air Force Photo by Staff Sgt. Kaylee Dubois)




ンタゴンは先週2023年度予算要求を発表し、ロッキード・マーティンF-22ラプター30機超の供用終了が目立つ。同機は現時点で最高性能の制空戦闘機と言われる。米国は同機生産を186機で終了し全機が引き渡し済みなので、今回の削減でラプターのほぼ2割が姿を消すことになる。



F-22は航空優勢確保に特化し生まれた機体で米国の競合相手が有する高性能戦闘機の打破をめざしたものだ。第5世代戦闘機としては最古の存在となっているが、高性能、センサー有効範囲、極めて低い視認性により今日の制空戦闘機のベンチマークとなっている。


F-22は航空戦闘で今も優位性をほこるものの、空軍は未来を展望し、あらたな制空戦闘機をシステムとして開発中だ。これが次世代制空(NGAD)事業だ。空軍は最古参のF-22計33機を用途廃止して今後8年で18億ドルを確保し、残る153機の性能改修に使う。これによりNGADに次ぐラプターの高性能を維持できる。


F-22 Raptor > Air Force > Fact Sheet Display(U.S. Air Force photo)


F-22は世界最高峰のステルス性能を持ち、レーダー断面積(RCS)はF-35の0.0015平方メートルの10分の一とされる。F-22、F-35はともに低視認性で他国機の一歩先にあり、J-20は1980年代のF-117ナイトホーク(0.025平方メートル)程度とされ、ロシアのSu-57は0.5平方メートルとステルス性能が劣る。


言い換えれば、正面方向でのレーダーでF-22はビー玉程度、Su-57はiPad13台分の大きさに映るはずだ。


ただし、レーダー断面積は一定のままではない。F-22は正面方向でのRCSを最小限とする設計だが、角度によってはレーダー反射が増える。ただこれは、ステルス戦闘機全般で同じでF-22のみではない。とはいえ、レーダーをかいくぐり忍び込む性能でF-22がその他機種より優れていたのは事実だろう。


ステルスの威力が戦闘で実証されたのが2013年のことで、イランのF-4ファントム編隊が米MQ-1プレデターに嫌がらせをしている場面にF-22単機が接近した。F-22のケヴィン・「ショータイム」・サターフィールド中佐は探知されずに自機をイラン編隊に移動させ、相手の搭載兵装を確認したあと、機首を上げファントム編隊に並び、「もう帰投したほうがいいぜ」と告げたのだった。イランパイロットは新世代機につきまとわれていたことにはじめて気づきパニックとなった。


Yes, It's True, The F-22 Isn't In The Air Force Chief's Future Fighter Plans(U.S. Air Force photo)


米ステルス戦闘機各機が世界最高峰の戦術機であるのは事実だが、運用経費も高いのは公然の事実だ。


F-16ファイティングファルコンは米空軍で広く使用され、第4世代で最大の成功作といわれるがフライト時間経費は$8,278で、ここに燃料費から保守整備人件費まで含む。


国防総省は2018年にF-35Aで毎時$28,455、F-22は $33,538と発表している。外部独立分析でこれを低すぎると見る向きもあるが、いずれにせよF-22が恐るべき水準の運行経費を必要とする機体であるのは確かだ。


ここまで経費が高くなった大きな理由に脆弱なレーダー波吸収塗料がある。ステルス機はレーダー波の反射だけではレーダー探知を逃れられない。そのため、機体をポリマー素材で被覆し、照射レーダー波の電磁エナジーの80%を吸収する。この素材によりステルス効果が増える一方で、熱による劣化に非常に弱い。超音速飛行で機体は高熱にさらされる。補修は手間がかかる作業でF-22はこの問題に終始悩まされてきた。


retire f-22 (U.S. Air Force photo by Christian Turner)


米空軍にはF-22を当初750機と大量導入し、さらに戦闘爆撃機型FB-22まで150機調達する構想もあった。だが、2006年に国防の優先事項が超大国相手の戦いから対テロ戦に移り、ステルスに頼る制空機能のみが売り物の戦闘機の出番が減ったため、F-22生産は186機で打ち切りとなり、生産設備等はF-35へ転用された。


とはいえF-22の186機の意味を理解する必要がある。戦闘機生産は段階を追って進展し、これをブロックと呼び、各ブロックで改良点や調整が行われる。ロッキード・マーティンはブロック20仕様の36機をまず納入したが、戦闘装備は完全ではなく、訓練用途に適合していた。その後、ブロック30、ブロック35で戦闘投入可能なF-22が製造された。


その後少なくとも4機喪失したが、残る機材も老朽化もすすみ、実戦投入可能な機体は更に少なくなった。ブロック20の訓練用ラプターを実戦対応仕様に改装する案もあったが、費用があまりにも高額になり合理性がないと判断された。


そこでブロック20機材を退役させ、浮いた経費で戦闘仕様機を改良する。ということは、戦闘仕様機材も訓練に投入して機体の摩耗疲労が増え、飛行時間も消費することになる。


F-22の設計寿命は8千時間で、近代化改修で倍増されたといわれるが、そもそも残る機数がここまで減ると各機に残る時間も減りそうだ。


そうなると、実弾を一回も発射しないまま退役するラプターが生まれそうだ。高額な予算を投じた機体なので失策に聞こえるが、実は勝利と言える。F-22のような高度装備品は競合相手への抑止効果をねらったもので、F-22の勝利とは第三次大戦で航空戦闘を展開することではなく、そもそも開戦を防ぐことにあるためだ。


訓練用F-22の退役によりラプターの供用そのものも終了に近づく。必要な訓練用フライト時間を残る機材にふりむけるためだ。だが同機供用が終わっても米国の航空優勢確保機材の今後には明るい未来がある。


米空軍でドッグファイトや航空優勢を確保する次の機材がNGADでラプターの優位性を引き継ぎ、一機種ではなく各種用途に応じた多様な機種構成となり、有人操縦のステルス戦闘機以外に無人機も生まれる。無人型機でセンサー有効範囲が広がり、モジュラー式のペイロードを採用し、有人機を護衛する無人機も生まれる。■


Why the Air Force wants to retire nearly 1/5 of its F-22 fleet - Sandboxx

Alex Hollings | April 1, 2022

 

Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.


F-22のほぼ2割が2023年に供用を終了。米空軍2023年度予算要求の背景。NGADは順調に開発が進んでいる模様。

retire f-22ラプターの退役はまだ始まっていないが、残された時間は減りつつある。 (U.S. Air Force Photo by Staff Sgt. Kaylee Dubois)


ンタゴンは先週2023年度予算要求を発表し、ロッキード・マーティンF-22ラプター30機超の供用終了が目立つ。同機は現時点で最高性能の制空戦闘機と言われる。米国は同機生産を186機で終了し全機が引き渡し済みなので、今回の削減でラプターのほぼ2割が姿を消すことになる。


F-22は航空優勢確保に特化し生まれた機体で米国の競合相手が有する高性能戦闘機の打破をめざしたものだ。第5世代戦闘機としては最古の存在となっているが、高性能、センサー有効範囲、極めて低い視認性により今日の制空戦闘機のベンチマークとなっている。


F-22は航空戦闘で今も優位性をほこるものの、空軍は未来を展望し、あらたな制空戦闘機をシステムとして開発中だ。これが次世代制空(NGAD)事業だ。空軍は最古参のF-22計33機を用途廃止して今後8年で18億ドルを確保し、残る153機の性能改修に使う。これによりNGADに次ぐラプターの高性能を維持できる。


F-22 Raptor > Air Force > Fact Sheet Display

(U.S. Air Force photo)


F-22は世界最高峰のステルス性能を持ち、レーダー断面積(RCS)はF-35の0.0015平方メートルの10分の一とされる。F-22、F-35はともに低視認性で他国機の一歩先にあり、J-20は1980年代のF-117ナイトホーク(0.025平方メートル)程度とされ、ロシアのSu-57は0.5平方メートルとステルス性能が劣る。


言い換えれば、正面方向でのレーダーでF-22はビー玉程度、Su-57はiPad13台分の大きさに映るはずだ。


ただし、レーダー断面積は一定のままではない。F-22は正面方向でのRCSを最小限とする設計だが、角度によってはレーダー反射が増える。ただこれは、ステルス戦闘機全般で同じでF-22のみではない。とはいえ、レーダーをかいくぐり忍び込む性能でF-22がその他機種より優れていたのは事実だろう。


ステルスの威力が戦闘で実証されたのが2013年のことで、イランのF-4ファントム編隊が米MQ-1プレデターに嫌がらせをしている場面にF-22単機が接近した。F-22のケヴィン・「ショータイム」・サターフィールド中佐は探知されずに自機をイラン編隊に移動させ、相手の搭載兵装を確認したあと、機首を上げファントム編隊に並び、「もう帰投したほうがいいぜ」と告げたのだった。イランパイロットは新世代機につきまとわれていたことにはじめて気づきパニックとなった。


Yes, It's True, The F-22 Isn't In The Air Force Chief's Future Fighter Plans

(U.S. Air Force photo)


米ステルス戦闘機各機が世界最高峰の戦術機であるのは事実だが、運用経費も高いのは公然の事実だ。


F-16ファイティングファルコンは米空軍で広く使用され、第4世代で最大の成功作といわれるがフライト時間経費は$8,278で、ここに燃料費から保守整備人件費まで含む。


国防総省は2018年にF-35Aで毎時$28,455、F-22は $33,538と発表している。外部独立分析でこれを低すぎると見る向きもあるが、いずれにせよF-22が恐るべき水準の運行経費を必要とする機体であるのは確かだ。


ここまで経費が高くなった大きな理由に脆弱なレーダー波吸収塗料がある。ステルス機はレーダー波の反射だけではレーダー探知を逃れられない。そのため、機体をポリマー素材で被覆し、照射レーダー波の電磁エナジーの80%を吸収する。この素材によりステルス効果が増える一方で、熱による劣化に非常に弱い。超音速飛行で機体は高熱にさらされる。補修は手間がかかる作業でF-22はこの問題に終始悩まされてきた。


retire f-22 (U.S. Air Force photo by Christian Turner)


米空軍にはF-22を当初750機と大量導入し、さらに戦闘爆撃機型FB-22まで150機調達する構想もあった。だが、2006年に国防の優先事項が超大国相手の戦いから対テロ戦に移り、ステルスに頼る制空機能のみが売り物の戦闘機の出番が減ったため、F-22生産は186機で打ち切りとなり、生産設備等はF-35へ転用された。


とはいえF-22の186機の意味を理解する必要がある。戦闘機生産は段階を追って進展し、これをブロックと呼び、各ブロックで改良点や調整が行われる。ロッキード・マーティンはブロック20仕様の36機をまず納入したが、戦闘装備は完全ではなく、訓練用途に適合していた。その後、ブロック30、ブロック35で戦闘投入可能なF-22が製造された。


その後少なくとも4機喪失したが、残る機材も老朽化もすすみ、実戦投入可能な機体は更に少なくなった。ブロック20の訓練用ラプターを実戦対応仕様に改装する案もあったが、費用があまりにも高額になり合理性がないと判断された。


そこでブロック20機材を退役させ、浮いた経費で戦闘仕様機を改良する。ということは、戦闘仕様機材も訓練に投入して機体の摩耗疲労が増え、飛行時間も消費することになる。


F-22の設計寿命は8千時間で、近代化改修で倍増されたといわれるが、そもそも残る機数がここまで減ると各機に残る時間も減りそうだ。


そうなると、実弾を一回も発射しないまま退役するラプターが生まれそうだ。高額な予算を投じた機体なので失策に聞こえるが、実は勝利と言える。F-22のような高度装備品は競合相手への抑止効果をねらったもので、F-22の勝利とは第三次大戦で航空戦闘を展開することではなく、そもそも開戦を防ぐことにあるためだ。


訓練用F-22の退役によりラプターの供用そのものも終了に近づく。必要な訓練用フライト時間を残る機材にふりむけるためだ。だが同機供用が終わっても米国の航空優勢確保機材の今後には明るい未来がある。


米空軍でドッグファイトや航空優勢を確保する次の機材がNGADでラプターの優位性を引き継ぎ、一機種ではなく各種用途に応じた多様な機種構成となり、有人操縦のステルス戦闘機以外に無人機も生まれる。無人型機でセンサー有効範囲が広がり、モジュラー式のペイロードを採用し、有人機を護衛する無人機も生まれる。■


Why the Air Force wants to retire nearly 1/5 of its F-22 fleet - Sandboxx

Alex Hollings | April 1, 2022

 

Alex Hollings

Alex Hollings is a writer, dad, and Marine veteran who specializes in foreign policy and defense technology analysis. He holds a master’s degree in Communications from Southern New Hampshire University, as well as a bachelor’s degree in Corporate and Organizational Communications from Framingham State University.