2016年3月4日金曜日

極超音速技術の開発で軍事優位性を狙う米国は中ロの追随を振り切れるか



Hypersonics could help Air Force thwart enemy anti-air defenses

By Phillip Swarts, Air Force Times2:38 p.m. EST March 1, 2016

X-51-Illustration.jpg(Photo: Air Force)
音速の五倍で飛ぶ極超音速ミサイルで米空軍は敵の高度防空体制を突破できると一部議員と専門家が3月1日に述べている。
  1. 「極超音速はバック・ロジャースの未来世界SFの話ではなくなった」と空軍研究所長を務めたカーティス・ベドゥケ退役少将は語る。「極超音速兵器はこちら側が開発すべきなのはもちろんですが、別の勢力も当然開発に乗り出してくるでしょう。真剣に対応が必要していかないとこちらが出遅れてしまいます」
  2. 超高速ミサイルが実現すれば米国は敵地奥深くを標的にし、高性能防空体制を克服できる。とくにロシアや中国に対し超高速ミサイルで防空網を突破し、脆弱な内陸目標を狙えれば有人機を敵地に侵攻させパイロットの生命を危険にさらさなくてもよくなる。
  3. 「敵の反応より一歩早く敵地に届けば勝ちだ」とスティーブ・ナイト下院議員(共、カリフォーニア)は語る。
  4. 米国は過去にも極超音速技術に投資している。直近では2013年にX-51ウェイブライダーがあり、テストでは三分間にわたり時速3,500 mph に近づいた。この成果はおおむね成功と受け止められたが、次のテストは2019年まで実施されないとベドゥケは述べる。
  5. それまでにロシアや中国が米国を追い越して極超音速技術の開発に成功するのを専門家は恐れる。防空ミサイルに応用されれば第四世代戦闘機は実質的に全機安全に飛行できなくなる。
  6. 「極超音速兵器は敵の防空体制に対応するため必要だ」とオリン・ハッチ上院議員(共、ユタ)は語る。「ロシアが危険な各国に武器を拡散させ、中国は技術開発で驚くべき成果を示している。中長期的には米軍は高性能装備を相手にせざるを得なくなる。そこで優位性を実現してくれる装備、つまり極超音速が必要だ」
  7. ハッチ議員は同僚議員に極超音速技術開発に予算を認めるよう要請しているものの予算環境は厳しい。
  8. ベドゥケと米空軍協会のミッチェル航空宇宙研究所は3月1日に報告書を公表し、極高音速ミサイルの意義を説いている。報告書は各議員、議員スタッフ、民間に配布され、議論を活性化させるのが目的だ。
  9. 「これからの道のりは決して予測不能でもなく、巨額予算にもならない」とベドゥケは述べ、「機会を無駄にしたのをくりかえすべきではない」と付け加えた。
  10. 「機会逸失」には極超音速技術は1960年代から存在したにもかかわらず真剣に試すまで30年を無駄にしたことがあるという。
  11. ナイト議員の実父ウィリアム・ナイトは60年代にX-15極超音速実験機のパイロットで、マッハ6.7の世界記録を保持している。
  12. 下院議員はその後極超音速の実績でほとんど進展がないと嘆く。「記録がずっと前に破られていて当然だ。父が生きていたらやはり同じことを言うだろう。先に進むつもりがあるのなら、新技術を手がけなければ、そうすれば技術を実用化できるのだ」■

2016年3月3日木曜日

国防装備に必須のレアアース供給に中国の影、日本近海の供給可能性は?


現在は価格が暴落しているので産業界にも危機感がないようですが、レーザーなど記事が指摘するように新技術の生死を決めかねない材料が中国に多いというのはなんという皮肉でしょう。レアアースはレアメタルよりさらに特殊な材料のようですね。実は日本近海が有望な開発地点として注目されており、今後中国がここに目をつけて日本の海洋主権に挑戦してくる可能性も出てくるでしょう。
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Pentagon Fails To Act On Crucial Rare Earth Minerals

By RICHARD WHITTLE on March 01, 2016 at 1:24 PM

Round Top (1) (004)テキサス州のラウンドトップ山は中国に代わりDoDの求めるレアアース材料の供給源になれるのだろうか。
このたび刊行された政府会計検査部門GAOの報告書では国防総省DoDがレアメタルの国家安全保障上の意義を理解していないと叱責している。レアメタルは中国が世界市場を支配しており、米国に必要量を確保する案を作成していない、関連部門の連携が取れていないと指摘している。これについてBreaking DefenseがDoDに照会したところは過誤はないとしながら善処を約束した。
  1. 「GAOによるDoDが重要資源獲得に尽力していないとの指摘に賛同しかねるが、継続改善の考えによりGAO報告書の提言は受け入れる」と報道官エリック・バジャー空軍中佐が述べた。
  2. ペンタゴン、防衛産業その他企業がレアアースで国防向けは100パーセント、民生用で85パーセントの供給を中国が支配している事実を都合よく無視しているという議論は低調なままだ。2010年に中国はこれを武器として日本向けレアアース供給を停止しレアアース価格は急騰した。
Fig 8 China-Japan zones
  1. 「南シナ海、東シナ海の状況を見ていると、中国が重要原材料を実行支配しているのを知る人がほとんど皆無なのは何とも皮肉だ」とテキサスレアアース資源会社 (TRER)のアンソニー・マーチーズ会長は指摘する。同社は投資元を募り、レアアース鉱脈を米国内で唯一の供給源テキサスで探査中だ。
  2. レアアースとは特殊な物性を有する17種類もの金属・成分で、強力な磁力や高度の耐熱性などを発揮できる。分類上は「軽い」レアアースと「重い」ものにわかれ、イットリウム、ネオジウム、ジプソジウムといった奇妙な名前がついているが、いったん不足すれば笑っていられなくなる。「最近の研究ではレアアースがないと米軍事装備の生産や運用ができなくなると判明」とGAOは述べている。「必要な資源に確実なアクセスを確保することがDoDに必要だ」
  3. ペンタゴンにとってこの資源がどうして必要なのか。(2012年度国防予算認可法で詳しく説明しているので引用する)
    • SSN-774ヴァージニア級原子力高速攻撃潜水艦一隻でおよそ9,200ポンドのレアアース材料が必要
    • DDG-51イージス駆逐艦では5,200ポンド
    • F-35共用打撃戦闘機なら920ポンド
    • 精密誘導弾、レーザー、衛星通信、レーダー、ソナー他装備にも必須と議会調査局が2013年に追加している
  4. 「レアアースは文字通り希少とは限らないが、地球表土で濃度が低いことが多い」と議会調査局は説明している。つまり採掘と処理が高価格になり、処理も多工程を必要とする。鉱石から酸化物成分に分離し、金属成分に精錬し、金属成分を合金に処理し、合金をデバイスや部品に加工し永久磁石として共用直接攻撃弾(JDAM)にの誘導部分に組み込むのは一例だ。
  5. GAOによればDoDで三部門がレアアースを所管している。国防補給局(DLA)の戦略物資室、生産産業基盤政策 (MIBP)室、戦略物資保護委員会 (SMPB) で、それぞれの製作方向性が「ばらばら」で「必須の」レアアース材料の定義でも共通認識がないという。GAOはSMPBが「国防安全保障上で必須なレアアースを定義し」供給がストップした際の影響をあらかじめ分析させたうえで「供給確保につながる戦略を展開させる」べきとアシュ・カーター国防長官へ提言している。また国防長官は「MIBPに対して確実な供給源を把握し、相当の期間にわたり確実な供給を確立するよう指示すべき」としている。
  6. 今回のGAO報告書はこの問題に関する政府報告書の最新版にすぎないが、これまでの報告書でも国防総省に迅速な行動をとるよう求めていなかった。またこの件に関し国防産業に対しても同じ姿勢だ。
  7. 「フォーチュン企業番付大手100社の主要企業と話しましたが、皆同じことを言っています。『何が問題なのか。必要なレアアースは低価格で調達するのに何の問題もないぞ』というのです」(マーチーズ) TRERは国防補給局が交付した契約により同社のラウンドトップ山(エルパソ南方)のレアアース鉱脈の時価評価を行っている。同社はイットリウム、イッテルビウムその他DLA指定のレアアースの分析用標本を製造しており、契約により秘匿条件を守っている。マーチーズによればラウンドトップ山から「将来のDoDレアアース材料の100パーセント供給は確実」だという。
  8. ただし、この問題を正しく認識すれば。■

2016年3月2日水曜日

★★F-35Aの空戦性能はすごい、と昨夏レポートと反対の感想がノルウェー空軍少佐から出ています




 

Norwegian F-35 Pilot Counters Controversial ‘Dogfighting’ Report

Lara Seligman, Defense News6:03 p.m. EST March 1, 2016
WASHINGTON – 昨夏にF-35の空戦能力を巡り問題報告があったが、それ以来初めて接近距離でのドッグファイト・シナリオで実際にF-35を操縦したパイロットが感想を述べている。
  1. ノルウェー空軍のモーテン・「ドルビー」・ハンシェ少佐がノルウェーで初めてF-35を操縦し、同機のドッグファイト結果を3月1日付のブログに書いている。ブログはノルウェー国防省のウェブサイトに掲載された。(下参照)
  1. ハンシェ少佐は2015年発表の報告書とは一切関係がないが、先に出た報告書の匿名報告者の指摘点では多くの反論をしている。
  2. 2015年発表の報告書ではF-16との比較でF-35の出力不足、操縦性の不足を高い迎角での空戦演習で指摘していた。F-35は「旋回戦でエネルギー利用の点で大きく劣」っていると匿名作成者は指摘。また「ピッチ角速度も遅すぎる」としていた。
  3. これに反しハンシェはF-35が迎え角をF-16より大きく取れるので、パイロットは機首を思う方向に向ける範囲が大きいと書いている。
  4. 「機体を敵の方向へ向ける能力が向上しており、F-16より早く兵装を向かわせることが可能だ。このため敵は防御に回ることが多くなり、F-16より早く機体速度を減速できた」とハンシェは記している。ハンシェは米海軍テストパイロット教程を修了し、ロッキード・マーティンF-16で2,200時間のフライト経験があり、ルーク空軍基地(アリゾナ州)の第62戦闘機隊で飛行教官兼兵装支援士官を務めている。
  5. 防御にまわるとF-35は減速しつつ「むちのように」激しく移動できるとハンシェは書いている。自動車の緊急時ブレーキより早く減速できる。
  6. 迎え角を最大にとるとF-35はパイロットの「ペダル入力」より早い反応を示し、機首の移動はF-16より迅速だったとハンシェは伝えている。
  7. 「これで機体の方向を変える別の方法がわかった。敵を十分脅かすに足る。この『ペダルターン』で旋回は低速でも相当早くなるとわかった。防御に回る際にはこの『ペダルターン』で状況を好転させる、または逆転させることも可能だろう」
  8. F-35の性能には批判的な向きがあり、高g高迎角操縦で機体振動あるいは「バフェティング」が発生するという評価もあった。このバフェティングが原因となりパイロットがヘッズアップディスプレイの数字を読み取れない事例が発生していた。ただしハンシェは第三世代ヘルメットを着用しており、この問題には遭遇していない。
  9. ハンシェも匿名報告者も意見を同じくするのはヘッドレストのせいで機体後部が見えにくいことだ。ハンシェはF-16よりF-35コックピットの視野が狭いと感じたという。
  10. 「F-16のコックピットの視界はよかった。ほかのどの戦闘機よりもよかった。見回して反対側の翼端を視認でき、右に向けば機体後部を見ながら左翼端を覗くことができた。これはF-35では無理だ。ヘッドレストが視野の邪魔になるからだ」
  11. だがハンシェはシートを前方に移動し側方に体を傾けて視界を確保してから頭を回して後方を覗いてみた。これでシートの左右を見通すことができた。
  12. ハンシェ少佐は過激な操縦の間も敵側の機体を視認しつづけることができたと強調しており、コックピットの視界制約は「F-35だけの問題」ではないとする。
  13. 「とりあえず結論としてこの機体ならF-16よりもっと積極的に操縦制御できるとしておこう」「ドッグファイトになったらF-35はどう動くか。結論から言えば、今回の経験からF-35なら攻撃姿勢をやさしく維持でき、敵に兵装を向ける可能性も多くなる」■


米国防長官がISIS向けサイバー作戦でロシア、中国向け実力も磨いていると認める


大統領選挙のせいもあり、現政権はイラク、シリアでの功績を示さないと不利になります。苦し布ではないでしょうが、今回サイバー作戦の一部を公表しましたが、それでも内容はよくわからい形になっています。これをさらに各地で拡大するということですが、特定の場面で特定の方法を使うということでますますその内容はわかりにくいものになるでしょうね。
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Cyber War Against ISIL Hones Weapons Vs. Russia, China

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on February 29, 2016 at 2:26 PM

ISIL militants
WASHINGTON: 米国が実施中のダーシュ(自称イスラム国)を狙うサイバー戦の概要を国防長官と統合参謀本部議長が明らかにしている。軍高官が米国がサイバー兵器を敵に投入している状況を認めたのはこれがはじめてではないか。もちろんサイバーは情報活動ではすでに投入されている。
  1. 「現在の使用方法は全く新しいもので、驚きの内容もあり、一部はISIL以外の他の課題にも世界各地で利用できる内容です」とカーター長官は報道陣に述べている。その「他の課題」とはイラン、北朝鮮、ロシア、中国であると長官は列挙している。
Ashton Carter
Ashton Carter
  1. 「サイバーの運用は特にシリアでISILの指揮統制をかく乱し通信連絡手段の信頼性を落とし、通信系統の負担を過大にして信頼を崩し機能を喪失させることであり、各地の部隊への指揮命令能力を妨害すること、占拠中の住民や経済への支配力を低下させることにある」とカーター長官は述べ、一言でいえばダーシュの軍事、政治、経済の中枢部分を攻撃しているという。
  2. 「通信系統の過負荷」というと通信が機能しなくなるようにしているようだが、ハッカーが簡単なプログラムで相手を狙い、処理能力以上の交信を試みることがある。またウイルスで相手のコンピュータを観戦させ処理能力を低下させることもある。ともに米サイバー司令部の仕事としてはお粗末に聞こえる。「相手のネットワークへの信頼を崩させる」とは高等手段が使用されている可能性を示唆し、偽情報を植え付けるとか、機能不全にすることが想定される。
  3. フォートミードに本拠を置くサイバー司令部(戦略軍隷下)は中央軍を支援してISILへのサイバー攻撃の先鋒を切る。カーター長官は「ISIL作戦の経験からすべての戦闘司令官が恩恵を受けている」と述べている。
  4. ではデーシュに向けたサイバー作戦は将来の作戦のお手本になるのか、と記者が質問した。これに対し統合参謀本部議長ジョセフ・ダンフォード大将はそこまで画一的ではないとし、「将来の各司令官に役立つツールを整備している」と答えた。つまり状況に応じ、敵の実態に応じた手段を使い分けるということだ。
Gen. Joseph Dunford
Gen. Joseph Dunford
  1. サイバー攻撃は昔から変わらない目標である敵の「通信線」を遮断する方法のひとつにすぎない。サイバー空間での攻撃と並行してイラク政府軍と米国はじめとする同盟軍は物理的に道路、建物、河川交通、砂漠通商路を地上で遮断している。
  2. 「モスル奪回作戦が開始された。この瞬間にもモスル包囲網を強化している。ラッカも同様だ」とダンフォード議長は述べている。モスルはダーシュが実効支配中のイラクで最大の都市だ。ラッカは同集団の実質的なシリア領内の首都だ。
  3. 一部のサイバー攻撃はあまりにも微妙でダーシュも攻撃の自覚を感じていないとダンフォードは表現する。「わが方の作戦で一部ストレスを感じているだろうが、情報化社会では普通のストレスもある。その違いを感じさせたくない」
  4. 仮にISILがオンライン接続を使えないと判断すればローテク手段に戻るのではないか。エドワード・スノウデンが国家安全保障局の盗聴暴露して以降テロリストは続々と携帯電話の利用をやめている。オサマ・ビン・ラーディンは昔ながらの密使に切り替えていた。
  5. 「ISILの通信をかく乱するためサイバー以外の手段もある」と電子戦の利用をカーター長官は認めており、「それ以外の方法も利用するが、どちらでも切断に成功している。そういった別手段で傍受が簡単にできる場合もある」
  6. カーター長官は当然ながら詳しく述べないが、ダーシュに高度暗号化された「ダークウェブ」チャンネルで携帯電話を使うよう追い込んでいるのだろう。これは朗報で携帯電話は小型の短距離無線機で、通信中継を必要とし、発信はすべて追跡可能だ。暗号解除しなくても電子戦操作員なら三角測量で発信元を特定できる。これは情報機関にも攻撃実施にも価値ある材料だ。
Jason Healey
Jason Healey
  1. その他の軍事作戦との統合効果が出ており、サイバー作戦を特別な存在にしているとコロンビア大の主任研究員ジェイソン・ヒーリーが指摘する。A Fierce Domain: Cyber Conflict, 1986 to 2012の著者ヒーリーは「サイバーを武力として使っていると事が新しい動きだ」とし、これまでサイバーを手段として認識したのと対照的とする。
  2. 「高度でない目標が多く、技術面では興味深い内容はありません」とヒーリーは述べており、ハッキング分野の傑作とされるスタックスネットと対比している。「ただし作戦上で興味を引くのは、作戦立案上で採用されていることですが、政治面でたぶん一番大きな意味があり、今回の発表で効果を認めたことです」とする。カーターが今朝ここまで率直に語った背景にはシリア、イラクで成果を出していないと現政権が非難をあびていることがある。
  3. スタックスネットは謀略活動の一部で、米国法で戦争行為を規定する連邦法規定第50巻の制約を受けない。だが現在進行中の作戦は軍の活動を規定する第10巻に従うもので、クラウゼビッツもいうように政治その他の手段の延長としての戦争行為なのである。■

米陸軍の次期中型垂直離陸機材調達事業

事業名が垂直航空機なのはヘリコプターになるかティルトローターになるか未定のためですね。ともあれ大型調達案件がスタートしそうです。今後も動向に要注目ですね。
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Aerospace Daily & Defense Report

U.S. Army Seeks Ideas On Medium-Lift, Scout/Attack FVL

Feb 24, 2016 Graham Warwick | Aerospace Daily & Defense Report

Boeing/Sikorsky

意表を突く形で米陸軍が高速軽量偵察・多用途および中型攻撃輸送用の回転翼機を検討中。国防総省の進める次世代垂直飛行機(FVL)の「ファミリー整備」構想によるもの。
  1. 米陸軍は2月22日に情報提供要請(RFI)をFVL性能セット1(CS1)とともにFVL中型と呼ぶセット3(CS3)で発出した。まずシコースキーUH-60ブラックホーク後継機を2030年代中ごろに作り、その後ボーイングAH-64アパッチ後継機種づくりをめざす。
  2. 中型FVLの前に位置づけられる共用多用途機(JMR)技術の実証事業でベルヘリコプターとボーイング/シコースキーがそれぞれ輸送用途の高速回転翼機を製作中で2017年末に初飛行の予定だ。
  3. RFIによればCS1は「一番機体が小さいが機動力が最高の機体」というのがFVLファミリーでの位置づけで、使用用途は「偵察、軽攻撃、軽襲撃撤収作戦用」としている。陸軍は「民生用、民生機の転用、軍事用あるいは概念上の機体技術」を広く求める。
  4. 性能要求原案には「地形追随あるいは地形回避で飛行速度200ノット超」で無給油で229カイリの飛行半径としている。この速度要求では通常型のヘリコプターは対応不能だがシコースキーの同軸リジッドローター方式S-97レイダー複合機はここに入る。
  5. S-97の設計速度は220ノットで陸軍の求める武装航空偵察機材の要求に合致し、現行のベルOH-58Dカイオワウォーリアーの後継機になるが、調達は先送りされており、退役が進むOH-58Dの代わりはAH-64Eアパッチ攻撃ヘリを用途追加して対応する。
  6. レイダー試作機は自社費用で二機が作られおり、一機目は2015年5月初飛行のあと性能限界の確認用に投入されている。二号機は顧客向け実証に使う。シコースキーはロッキードの傘下に入りミッションシステム技術の開発に入っている。
  7. もう一方のCS1は6名乗りで機動性に優れ、高度 6,000 ft. 温度95F  ( これを6k/95条件と呼ぶ)で地上ホバリング効果を発揮でき、偵察攻撃ミッションで滞空時間2時間で170カイリを移動し、強襲ミッションでは30分で229カイリとする。空中給油能力と艦載運用も求める。
  8. ただしRFIでは「情報の取得はCS1が調達段階に進むことを保証するものではない」と断っている。「現時点ではCS1をどう進めるかの決定はない」
  9. CS3ではUH-60、HH-60、MH-60、AH-64の各機種が実施中のミッションを想定する。RFIによればCS3では「多方面で活躍できる中型垂直離陸機」をめざし、強襲、攻撃、戦闘捜索救難などを想定任務に挙げる。
  10. CS3のRFIでは2030年供用開始の想定で技術内容を求め、巡航速度は230から310ノットとし既存ヘリコプターで対応不可能だ。ベルのV-280ヴァラーJMR実証機が280ノットのティルトローター機で、ボーイング/シコースキーのSB-1ディファイアントは230ノット同軸リジッドローター複合機の設定だ。
  11. その他の性能想定には無給油飛行半径が229から450カイリ、機動性、6k/95でのホバリング性能、機内に3,500-4,000-lb.または機外に6,000-8,000-lbのペイロード、空中給油能力と艦載運用がある。
  12. CS3のRFIは市場調査の意味もあり、機材開発決定 (MDD) に先立つ位置づけだ。陸軍の2017年度予算要求にはFVL中型機調達予算が計上されている。
  13. 予算案では10.4百万ドルで代替案検討(AOA)を始める。AoAは2018年度まで継続し、マイルストーンA決定で技術開発を開始すべきかを決め、2019年度に提案提出を求める。機体製造の契約交付は2021年度に想定している。■

2016年3月1日火曜日

中国の新型輸送機Y-20は今年中に供用開始か 機体の発展に要注意


開発中のC-2の最大ペイロードが30トンといわれていますので、Y-20は相当大きな搭載量があります。ただし、エンジンが非力なことと航続距離が短いのが欠点です。むしろ空中早期警戒機が派生して来ればそちらのほうが脅威になるかもしれません。
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China's Y-20 transport aircraft may enter service in 2016

Richard D Fisher Jr, Washington, DC - IHS Jane's Defence Weekly
29 February 2016
西安航空機Y-20大型輸送機が機体番号789をつけ、2月6日に初飛行したとの報道がある。Source: Chinese Internet
中国軍事関連ウェブサイトに西安航空機 (XAC) Y-20大型輸送機の試作型5号機が掲載されて人民解放軍空軍(PLAAF) での供用開始が今年中になるとの観測を呼んでいる。
今年2月6日に初飛行したと伝えられる5号機は機体番号789をつけている。4号機は788で中国ウェブサイトでは今年1月23日に登場している。判明している試作機のその他番号は781、783、785だ。
1月27日付の新華社記事ではテストパイロット Xu Yonglingの言として中国航空関係者はY-20の開発は2015年末に完了していると伝えている。Xuは成都航空機のJ-10戦闘機開発にも参加しており、Y-20は2016年にも就役するのではと語っている。
A fourth Y-20 prototype with bort number 788 appeared in January 2016, when there were also suggestions in the Chinese media that the PLA Navy Air Force might acquire the Y-20. (Chinese Internet)Y-20試作型4号機が機体番号788をつけて1月に姿を現した。中国報道では中国海軍が取得する可能性があるという。(Chinese Internet)

本年1月26日付人民日報で人民解放軍空軍統帥大学教授Chen HongはY-20のペイロードを60トンと述べており、ロシアのイリューシンIl-76Dの52トンより大きいことになる。Chenは同時にY-20を原型に空中早期警戒機、電子戦ジャミング機、空中給油機にそれぞれ発展できると指摘している。
同じ人民日報の1月22日付記事ではY-20が人民解放軍海軍に採用されると報じている。Y-20が加われば中国海軍は南シナ海に広がる各拠点の支援、防衛の実効性が高まるだろう。■


★米海軍研究部門が明かした新技術開発の最新状況



大脳生理学、学習機能、認知科学と来ましたか。電子技術と医学が融合していくようです。その先には全く違う戦争の在り方が待っているのでしょうか。指向性エネルギー兵器は相当の進展を示していることがうかがえますが、人工知能も同様のようですね。やはり軍用技術が民生技術をリードする形になるのか、民生と軍用の境目がなくなるのか、今後も注目です。
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ONR Winter to Congress: Navy Making Progress on Developing High-Energy Laser Weapons

By: John Grady
February 25, 2016 9:33 AM

高エネルギーレーザー兵器が「大きく進展を示している」と海軍研究部門トップが下院軍事委員会新規脅威対応戦力整備小委員会で2月24日に証言している。

  1. マシアス・ウィンター少将は各軍と国防総省が緊密に連携し効率よく作業が進展していると述べた。ただし、海中での指向性エネルギー利用など海軍特有の課題があると認めた。
  2. 冒頭声明で少将は「技術、戦術を戦略に結び付けることが必須」と海軍での研究内容の性格を述べた。高エネルギーレーザー兵器の例では30キロワット級を150キロワットに拡大する作業が海軍と海兵隊向けに進行中と紹介している。
  3. 海軍は国防高等研究プロジェクト庁と共同で無人水中艇、水上艇を開発中でこれが委員会の関心を呼んだ。DARPA長官アラティ・プラバカーが概要を紹介し、ウィンター少将は無人水中艇をサンディエゴからサンフランシスコまで今年中に試験航行させると述べている。
  4. 国防次官補スティーブン・ウェルビー(研究技術開発担当)は一連の作業をペンタゴンが進める「第三相殺」戦略の一部と述べ、米国の優位性を維持するのが目的と説明した。第三相殺戦略は米国の将来の戦闘能力の「目標」であり、「米国が優位性を維持していく」ことだと述べた。
  5. ウェルビーはこれからの20年間を展望すると「まだよちよち歩きだが根本的な変化」が無人装備の自律運用能力で実現すると発言。
  6. ウィンター少将は自律運用に関し、「今はまだ初歩段階」と述べたが、「大脳生理学に基づく学習機能のモデル化」に期待し、認知人工知能の実用化が近づいていると述べた。
  7. プラバカール長官は「社会行動への理解が根本的に変わる」と予見し、武力紛争の認識自体が変わると述べた。
  8. ウェルビーは「生物学を技術に応用し」製造方法や無限のエネルギー供給など国防総省が「波を乗りこなす」努力を目指していると語った。■


2016年2月29日月曜日

★海軍無人機CBARSあらためRAQ-25、さらにスティングレイの名称? 



海軍無人機の用兵構想がいまだに混乱しているようです。RAQという呼称なら偵察攻撃用ではないでしょうか。給油用という説明に合致していないのですが。何でもできる機体は何にもできない機体になりかねず、議論百出で結果が出なければ時間の空費に終わります。本当にブラック機体の開発があるのならいいのですが、ここは一つ一つ着実な無人機開発をお願いしたいところです。
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 Navy Pushing New Name for Unmanned Aerial Tanker: RAQ-25 Stingray

By: Sam LaGrone
February 27, 2016 10:39 AM

An X-47B Unmanned Combat Air System (UCAS) demonstrator sits on an aircraft elevator of the aircraft carrier USS George H.W. Bush (CVN-77) on May 6, 2013. US Navy Photo
X-47B 無人戦闘航空機Unmanned Combat Air System (UCAS) の実証機が空母USSジョージ・H・W・ブッシュ (CVN-77)の昇降機で搬送されている。 2013年5月6日撮影。 US Navy Photo

艦載無人空中給油機にペンタゴンがつけたRAQ-25の制式名称を米海軍は独自の名称スティングレイを加えたいとしている。
  1. 海軍省案予算の審議に先立ち提出された草稿ではRAQ-25スティングレイの名称が頻繁に出ている。
  2. 名称変更は予想外でもない。海軍関係者はUSNI NewsにCBARS艦載空中給油機の名称では今一身が入らないと今月初めに述べていた。
  3. 「CBARSよりいい名前がほしい」とジョン・リチャードソン作戦部長も2月12日に発言していた。
  4. 新名称スティングレイの前にCBARS、UCLASS、N-UCAS、J-UCASの呼称があり、三か月で三度の名称変更はNAVAIR海軍航空システムズ本部の混乱ぶりを示している。
  5. 国防長官官房が中心に進めた各軍のUAV各機の評価でRAQ-25では攻撃およびISRの高性能部分はいったん保留し、ボーイング F-18E/F スーパーホーネットを給油機にしている現状を緩和するほうが先だと結論付けた。
  6. 「ハイエンド部分は一部落としても生存性を増やし、将来の発展にかける」とジョセフ・マロイ中将(海軍作戦副部長)がUSNI Newsに今月初めに話していた。「空中給油を重視し、ISRは限定的に、兵装は後日装備とし、まずは空のトラック機能を重視する」
  7. 見直しの象徴としてCBARSが昨年12月に2017年度予算案の発表前にペンタゴン上層部により選ばれたとマロイ中将は説明。NAVAIRはUSNI Newsの照会に対してまだコメントを返していない。
  8. 海軍長官レイ・メイバスの報道官は名称変更を確認していない。長官が海軍装備の名称を取り仕切っている。
  9. スティングレイの名称でメイバス長官も関与したかは不明だ。長官は無人機推進派として知られ、F-35ライトニングIIが海軍が調達する最後の有人戦術戦闘機になると述べている。
  10. 海軍で名称を巡る微妙な駆け引きは今に始まったことではない。
  11. 海軍は合同要求性能検討評議会で新型スティングレイの要求性能のプレゼンテーションをすべく準備中で、提案要求(RfP)原案を今年中に出し、RAQ-25はジェネラルアトミックス、ボーイング、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンの四社が競合する見込みだ。■


2016年2月28日日曜日

★主張:次期主力戦闘機の姿はこうあるべき




Aviation Week & Space Technology

Opinion: Defining The Next Fighter

It’s the process, stupid
Feb 25, 2016 Bill Sweetman | Aviation Week & Space Technology

第六世代戦闘機でまっさきにすべきことは第六世代戦闘機の呼称をやめることだ。ロッキード・マーティンが「第五世代」の呼び方を一昔前にロシアから借りてきて以来、この呼称が論争の種となっている。「高帯域ステルスにこそ資金投入すべきでその他機種は陳腐化する」と言ってきたが実証されていない。
  1. 名称はともあれ、F-35共用打撃戦闘機(JSF)の後継機種の話題が盛り上がりつつある。特に米海軍は切迫している。なぜならF-35CはF/A-18A型からD型のクラシック・ホーネットの後継機種であり、スーパーホーネットが残るからだ。空軍が想定する1,763機のF-35調達は2040年代まで続くが、その間にF-22ラプターの供用期間途中の改修 (MLU) あるいは新型機への交代が避けて通れなくなる。
  2. 超音速巡航、長距離運用が可能で俊敏な機体に全方位広帯域ステルス性能を与え、可変サイクルエンジンを搭載すると考えると興奮してくるが、既存のメーカーしか手がけられない事業になる。他社の参入は不可能で高水準の利益が期待できる。問題は長距離打撃爆撃機(LRS-B)より少ない予算で驚異の機体が実現できるのかという点だ。
  3. 開発開始が2020年代となるとJSFからほぼ30年後になるが、JSF自体が高性能戦術戦闘機・高性能戦術攻撃機構想(F-22と取り消しになったA-12アヴェンジャーIIにつながった)の10年後に立ち上がっている。第四世代戦闘機も依然として活躍しているはずで、SaabのJAS38Eが供用開始、ラファールとタイフーンがMLUの検討対象になっているだろう。
  4. 新型機開発では過去の過ちから教訓を得るべきだ。機動性、ステルス、超音速巡航の要求からF-22は大型尾翼、推力方向変更式エンジンノズルとともに期待を下回る飛行距離の機体になった。1995年には短距離離陸垂直着陸型のJSFの制約条件が他型に影響を与えないと楽観的な見方が主流であった。現実は違っている。
  5. 新型有人戦闘機の仕様が決まる時点で無人航空機(UAV)が普通に運用され、無人戦闘機(UCAV)が実用化されているはずだ。UCAVが有人機にとってかわることはないが、次期戦闘機の設計に影響を及ぼすのは必至で、実際に一部のミッションは無人機が肩代わりしているだろう。敵防空網の制圧・破壊や接近電子攻撃などだ。海軍のRAQ-25艦載空中給油無人機構想で議論となるのは戦闘攻撃機の有効飛行距離と威力を拡大するかどうかだ。
  6. 指向性エネルギー兵器は現実のものになるだろう。技術革新はすぐそこまできている。もっと可能性があるのは大型機でミサイル防御など実現しやすい装備が実用化されれば一気に新しい応用がひろがるだろうし、技術改良や生産面での進歩は1990年代末の照準ポッド開発の事例と似た様相を示すはずだ。
  7. 投下後は自律飛行する小型精密誘導爆弾では現実になっている。将来の戦闘機が一個2,000-lb.の大型爆弾二発しか搭載せずに小型兵器多数を運用する可能性は高い。搭載兵装の見直しもありうる。JSFの兵装庫はMk. 84爆弾(1946年設計の低抗力外部搭載兵器でだれももう覚えていないダグラスA2Dスカイシャーク用に想定された)の運用が前提で設計されている。
  8. LRS-B経費を青天井にしないため空軍は偵察攻撃能力もひとつにまとめた。新型戦闘機でも同様になるだろう。より多くの機能を与え、UAV各機と連携させ、長距離攻撃が可能でジャミングに強い兵器を運用させれば、自機のセンサーを使わず生存性も高くなる。自律運用も可能となるだろうが、運用の中心モードににはならないだろう。
  9. そして適応力がなんといっても大事だ。JSFが登場した二十年前の中国の軍装備は1950年代ソ連製が中心で、携帯電話は大都市限定で、イラクのフセイン大統領の封じ込めは面倒な仕事だとみられていた。業界ではデジタル機能搭載戦闘機第一世代のMLU構想を練り始めたところで、「陳腐化」という語句は深刻ではなかった。
  10. 2036年の世界は想像できないので、適応するしか方法がない。オープンアーキテクチャのみを使い、電子装置のハードウェア・ソフトウェアを迅速にアップグレードし、新しい生産方式の採用で機体を変更していくのだ。
  11. 実施は容易ではない。何十年も事業を継続できるチャンスはもう生まれないが基本的に良いことだ。また業界を活性化するのもいいことだ。■

この記事の著者ビル・スィートマンは40年にわたり航空宇宙、防衛分野のジャーナリストをつとめ、当時はうさん臭かったヨーロッパのエアバスの可能性に初めて着目し、ボーイングの7J7やソニッククルーザーは名ばかりの存在と見抜いた。またRQ-170やRQ-180といったUAVやオサマ・ビン・ラディン殺害の際に投入されたステルスヘリコプターの存在を初めて伝えている。またステルス技術にも明るくJSFでもそのコメントが都度注目を集めている。


2016年2月27日土曜日

やはりすごい。Darpa研究に注目を。 極超音速、新型エンジン、超小型無人機、自動運転他



意外に各案件の予算要求が慎ましい規模になのがわかります。つまり概念設計や実証がこの程度でできる基礎技術力があるということなのでしょう。逆に運用を想定した開発ではF-35のように超大規模な予算が必要になるのはどうしたものでしょうか。
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Aerospace Daily & Defense Report

Hypersonics Stay High On Darpa’s List For 2017

Feb 22, 2016 Graham Warwick | Aerospace Daily & Defense Report

Tern: Darpa
Darpa国防高等プロジェクト庁の2017年度予算要求を見ると大型実証案件とともに継続案件がわかる。
  1. 新規事業に高性能全範囲作動エンジンAdvanced Full-Range Engine (AFRE) がある。ターボジェットからラムジェットへ切り替え可能なタービン・コンバインドサイクル (TBCC) 式エンジンだ。Darpaは初期設計に9百万ドルを要求。
  2. TBCCは将来の極超音速長距離攻撃用手段、高速偵察用再利用可能宇宙往復機の実現のカギを握り、AFREでは既存のタービンエンジンを使用し運転切り替えの地上試験を行う。
  3. AFREは打ち切りになったモード切替プロジェクトMoTrを引き継ぐようだ。MoTrの前にはFacetコンバインドサイクルエンジン開発事業があり、炭化水素燃料でマッハ3から6のラムジェット・スクラムジェット推進を狙っていた。
  4. 超高速分野では極超音速空気取り入れ式兵器構想 Hypersonic Air-breathing Weapon Concept (HAWC) の初期設計審査があり、空中発射式長距離攻撃ミサイルの開発を2016年第一四半期中に目指す。
  5. Darpaは49.5百万ドルでこれの実証飛翔体で重要設計審査critical design review (CDR) を2017年第二四半期に行い、実寸大自由噴流地上テストで炭化水素燃料スクラムジェットエンジンの開発を目指す。
  6. また22.8百万ドルで戦術推進滑空体 Tactical Boost Glide (TBG) の飛行テストを行う。これは空中発射式のロケット推進極超音速滑空兵器の想定でCDRは2016年第四四半期、飛行実証を2017年とする。TBGは既存の空軍機から空中発射するもので、海軍の垂直ミサイル発射装置と互換性を持たせる。
  7. HAWCおよびTBGはDarpaと米空軍の共同事業で、空軍研究所が進めてきたボーイングX-51ウェイヴライダー・スクラムジェットエンジン実証事業を引き継ぐ。ボーイング、ロッキード・マーティンレイセオン各社が競作中だがDarpaは参入希望企業を拒まない姿勢だ。
  8. 別の飛行実証事業ではXS-1実験宇宙機事業に50.5百万ドルを要求する。この予算でCDRを完了し、小型再利用可能な打ち上げ機の製作をめざす。目標は打ち上げ10回を10日以内に実現することだ。
  9. さらに52百万ドルで垂直離陸着陸(VTOL)方式のXプレーン事業をめざし、高性能のホバリング、水平飛行を高速かつ実用的なペイロードで実現する。本四半期中に調達先選定をすませ、機体製作は2017年度に行う。
  10. 新規事業には無人機対抗防御装備Counter Unmanned Air  Systems and Force Protection (CFP) もあり9百万ドルを2017年に要求している。CFPでは小型UASやロケット推進手りゅう弾、対戦車兵器他に対抗できる探知、追尾、迎撃手段を研究する。
  11. 継続案件ではノースロップ・グラマンの全翼機VTOL型UASのTern(アジサシ)事業のCDRと機体組立てに12百万ドルを要求。プレデターとほぼ同寸の機体で駆逐艦など小型艦艇で運用する構想だ。
  12. グレムリン事業には36百万ドルを要求する。空中で発進・回収し再利用可能な小型UAV多数を輸送機から一斉発進させる構想だ。2017年度予算でPDRを完了し実証機材の製作に向かう。
  13. その他継続事業に対潜戦連続無人試験艇 Anti-Submarine Warfare Continuous Trial Unmanned Vessel (Actuv)があり、全長132フィートの実艇を海軍研究所に2017年に引き渡す。
  14. エイリアス事業は乗員による任務を自動化する構想で飛行実証を2016年度に行う。一部技術内容の応用は2017年末の予定。■