2019年11月3日日曜日

要塞艦隊:外洋では米海軍に撃破される中国海軍のねらいは自軍に有利な近海部での海戦に持ち込むこと


Fire the Missiles! The U.S. Navy Is Ready To Sink China's New Aircraft Carriers

Here is how it could go down. 
November 2, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: NavyMilitaryChinaU.S. NavyDF-21DCarrier-KillerPLAN


Key point: The U.S. Navy remains stronger than the PLA Navy in open-sea battle. 米海軍がPLA海軍に対し優位性を発揮できるのは戦闘が外洋で発生した場合だ。

国は米原子力空母(CVNs)を駆逐する誘導ミサイル各種を「空母キラー」として永遠に喧伝するつもりなのか。注目されるのが対艦弾道ミサイル(ASBMs)のDF-21D、DF-26で人民解放軍(PLA)が接近阻止領域否定(A2/AD)防衛体制の要としている
中国政府はペンタゴン含む重要な相手に中国軍事力の威力をまんまと信じ込ませてしまった。事実、ペンタゴンによる直近の中国軍事力年次報告書でPLAがDF-21Dで「空母含む艦船を攻撃する」とあり、中国沿岸から900マイル地点でも攻撃可能としている。
だが米海軍にも空母キラーがある。正確に言えば艦船キラーというべきか。空母に打撃を与えたり撃沈できる兵器なら小型艦など簡単に相手にできる。また対艦兵器は射程、威力など多様に進化しており、米海軍は冷戦終結後の休日状態から覚醒しつつある。ではどちらの空母キラーが艦艇を撃破するのか。
まず空母キラーということばだが、中国のロケットが米海軍の誇りを遠距離から狙い、アジア域内の同盟国を支援する米国の努力を無にするとの響きがある。またPLAからすれば艦船を外洋に派遣せずに世界の歴史を変えることができると聞こえる。ASBMの発射ボタンを押せばいい、というわけか。
そうだろうか。射程距離にこだわる必要はあるのか。DF-21Dで900マイルとされるが、これは空母搭載機材の戦闘半径を超える。空母任務部隊はアジアの戦域に到達する前に排除されてしまうのか。さらに射程距離の食い違いからもっと悪い効果が生じる。今年秋の北京軍事パレードではDF-21の射程は1,800マイルから2,500マイルとされた。
技術が進めばPLAの弾道ミサイルがアジアの第二列島線にある米海軍や同盟国艦船に脅威になる日も来るかもしれない。DF-26の最大射程が伸びればASBMは事実上どこでも艦船を狙えるようになる。
グアム東の海上艦艇を中国沿岸部から狙うのは大西洋で言えばグリーンランド東にいる敵艦をワシントンDC中心部から狙うのに等しい。グアムまで射程に入れば空母部隊に危険な状況となり、グアムのみならず日本他西太平洋各地がミサイル攻撃の影に怯えることとなる。
重要なのはPLAがDF-21Dを海上標的に向け一回も試射していない事実で、配備から5年経つが何ら変化がない。DF-26でも実戦を意識した試射がない。平時に完成していない技術だと有事には失望しか産まない。
中国の技術で本当に機能すればASBMは有益な装備となる。米軍からは中国のASBMへの対抗手段はないとの発言が出ている。米国は条約によりDF-21DやDF-26に匹敵する中距離弾道ミサイルの開発を自ら禁じてきた。条約を破棄しても艦船攻撃用の弾道ミサイルをゼロから開発、試験、配備するには数年間必要だ。
とはいえ、米海軍に策がないわけではない。では米海軍は敵空母に戦闘になればどう対処するのか。その答えは筆者が海軍大学校でいつも述べている答えと同じだ。つまり状況次第。
まず戦闘の場所で変わる。艦体対決が公海の真ん中で中国から遠隔地であればPLAは米空母を攻撃できない。ASBM、巡航ミサイルともに機能しない。沿岸部や沖合島しょ部から飛び立つ航空機でも対応できない。
だが前者は艦体同士の対決の場合だ。両軍が実際に投入する火力が結果を左右し、人員の技量、戦術行動等が同じと仮定する。PLA指揮官は陸上配備装備を活用するだろう。だが同時に米海軍も同盟国の海軍部隊と共同で作戦展開するはずで、近海では日本、韓国、オーストラリア部隊を頼りにできる。中国と同様に各国部隊も陸上配備装備の威力を存分に発揮するはずだ。
戦闘の場所が異なれば状況も全く違う。近海部では偶発要素に左右されがちで状況も流動的だ。
遠海、近海問わず潜水艦戦が米海軍戦略で共通要素となりそうだ。原子力攻撃潜水艦(SSNs)は公海で水上艦を標的にできるし、A2/AD防衛ラインをすり抜け敵艦を沿海部でも狙える。
ということはSSNsが米海軍の作戦の中心となる。このことからも米議会がSSN部隊規模を現在の53隻から2029年に41隻にまで縮小したのは大きな過ちと言える。中国が原子力、通常型合わせて増強し、2020年に78隻になるといわれる中で米側が23%も戦力縮小するのだから。ロシアも潜水艦部隊の再整備に入っている。
米潜水艦に空母キラーの役目が与えられる。中国の空母戦闘集団と戦うというと近未来の響きがある。PLA海軍が供用中の空母は一隻で、旧ソ連艦を遼寧と命名している艦のみだ。同艦は練習用として今後も残ると見られ作戦用に遼寧を改良した艦の乗組員養成に使われるはずだ。
中国がPLA向け空母2番艦を完成したと仮定する。純国産建造艦となり、USSフォレスタルとしてニューポート・ニューズ造船が建造したのと寸法や機能はほぼ同じ艦となる。フォレスタル建造はわずか3年で完了した。
さらにPLA海軍が空母任務部隊の海上運用方法をマスターしたと仮定する。中国艦隊に空母が加わり、公海上の艦隊対決が2020年以降に実現するとしよう。
その時点でも空母航空部隊が米海軍の空母キラーの中心となる。米CVNは85機を搭載できる。中国の次の空母の搭載機数予測はばらつくが、最大規模で固定翼機回転翼機合計50機と想定しよう。控えめに言っても米CVNの航空戦力は中国海軍より70%大きいことになる。
また機材の比較でも米側が中国より強力だ。次のPLA海軍空母も遼寧と同様にスキージャンプ式の発艦となるようだ。この方式では空母発艦する機体の重量に制約がつき、燃料や兵装の搭載量が犠牲になる。
米CVNsでは蒸気または電磁方式カタパルトで重量の大きな機体を発艦させる。搭載兵装が多いとそれだけ攻撃力があり、燃料を多く搭載でき飛行距離や滞空時間が伸びる。
F-18E/Fスーパーホーネットの例では戦闘半径は400カイリ程度だが中国のJ-15艦載機も同程度だ。だがここでも米航空部隊が数の上で中国を上回り、それだけ攻撃力も高くなり米海軍が有利だ。
さらに2020年には対艦兵器として有望な装備の技術が成熟化し、供用開始する。現状の対艦兵器の中心は旧式ハープーン巡航ミサイルで射程は60マイル程度だ。PLA海軍のYJ-18が290カイリとの公称でいかにも頼りない性能だ。
このため米海軍の射程延長に技術陣が努力している。ボーイングはハープーンの射程を倍増する。ペンタゴンの戦略性能整備室はSM-6対空ミサイルを対艦用途に転用することに成功し、水上艦の攻撃射程は二倍3倍に伸びる。この流れは今後も続く。海軍はトマホーク巡航ミサイルの転用のテストも行った。冷戦時の長距離攻撃能力が復活しつつあり、新型長距離対艦ミサイルの開発も進んでいる。
新型ミサイルの配備もさることながら運用方法が海軍に重要な要素だ。「分散威力」の名称で火力を艦隊の各艦に展開しつつ標的に火力を集中させるのが海軍の構想だ。このため武装をこれまでより幅広い艦船に搭載することになり対艦ミサイルも同様だし、今後は電磁レイルガンや艦載レーザーがここに加わるはずだ。
そうなると米海軍の空母キラーとは単一の兵装ではなくなる。潜水艦、航空戦力に加えて新たな対水上艦戦の戦力が実現する。問題は外洋での戦闘が対中戦で一番発生の可能性が低いシナリオになりそうなことだ。太平洋のど真ん中で何を巡って戦うのか。またPLA海軍を火力の後ろ盾のある海域から遥か離れた地点まで呼び出すことが可能だろうか。
できないだろう。PLAの接近阻止兵器の有効射程内で艦隊行動が展開する可能性のほうが高い。列島線から大陸に向けての海域こそ中国が最も注視する部分である。また海上航行の自由の擁護者たる米国がアジアの同盟各国の安全保障の上でも海洋国家として勢力を維持すべき海域でもある。米中対立が更に進めば沖合の空海で両国の武力衝突が起こってもおかしくない。
だが現実になれば面倒な事態となる。米軍がアジア大陸部分に接近すれば、それだけA2/AD防衛網に接近することになる。空母を狙うASBMsが西太平洋で開戦初日に発射されれば展開中の米艦船には大変な事態になる。沖合で防御にあたる小型哨戒艇やディーゼル潜水艦が巡航ミサイルを発射するだろう。
さらに沿岸部に展開する対艦兵器はASBMだけではなく巡航ミサイルやミサイルを搭載した航空機も一斉に海に向かい出撃するだろう。その標的には陸上航空基地やミサイル陣地も含まれる。つまり、A2/ADは米艦の各艦長に頭の痛い戦術作戦問題になる。
PLAの海軍艦艇は西太平洋なら相当の威力を発揮できるが、その他の太平洋やインド洋さらに遠隔地となると話は別だ。つまりPLA海軍は現代版の要塞艦隊であり、中国艦艇は陸上の防御陣地の有効範囲内で安全に待機できる。
要塞艦隊が外洋部に出て防御の傘から外れると悲惨な運命に見舞われる。本国近くなら陸上の火力支援を受け安全だ。中国はこれを理解しているのだ。
歴史上の前例を簡単に見てみよう。要塞艦隊構想には前身がある。海洋権力の思想家アルフレッド・セイヤー・マハンによる名称だがロシア海軍が要塞砲の射程内に指揮する艦隊を留めて優勢な敵に対応した事実がある。この場合の艦隊は要塞の前衛を務めたが火力に劣る艦隊は要塞砲を頼りにしていた。
旅順港のことで渤海への出入り口にあたり、さらに中国の首都へもつながる地点の話だ。ロシア戦隊は東郷平八郎提督が率いる日本帝国海軍の連合艦隊との対決で要塞砲の防御を盾に港内から出ようとしなかった。
旅順港戦隊は要塞砲の射程内にいれば安全だったが、何も達成できなかった。結局、1904年8月に旅順港戦隊は外洋で戦闘に応じ消滅し、日本は1905年5月、対馬海峡でロシアバルチック艦隊を待ち受けた。
結果は日本の大勝に終わったが、旅順港防備隊が日本艦艇へ向けた火砲が数マイルどころか数百マイルまで有効だったらどうなっていたか。マハンの要塞艦隊概念が戦域全体に拡大するだろう。要塞からの火力支援が長距離に渡り有効ならロシア戦隊は逆に勝者になっていたはずだ。
これは正確な類推ではない。中国要塞は飛行施設や移動式対艦兵器を備え数百マイル先の海上を標的にできる。そう、米海軍は外洋戦ではPLAより強力だ。艦隊間の対決が陸上からの応援が期待できない地点で発生すれば米国に有利に事態は展開するはずだ。しかし、戦闘が広い外洋ではなく、限られた海域で発生する可能性のほうが高いため、この想定は意味を持たない。
米海軍は広い海面での戦闘実施に最適化した戦力構造だが、その発生の可能性は少ない。実現可能性が遥かに高いシナリオでどちらが勝者となるのかは不明だ。マハン時代から相当の年数が経っているが、空母を狙う兵器により要塞艦隊は懸念事項になってきた。そしてそれこそが中国の狙いである。■

James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College. This first appeared several years ago.

X-37Bが連続軌道周回飛行記録を更新し帰還:少しわかってきた同機の本当の活動

Air Force's Secretive Space Plane Touches Down After 2-Year Mission


The Air Force’s X-37B Orbital Test Vehicle Mission 5 successfully landed at NASA’s Kennedy Space Center Shuttle Landing Facility Oct. 27, 2019. (U.S. Air Force/Jeremy Webster)
2019年10月27日、NASAのケネディ宇宙センターのスペースシャトル着陸施設に帰還した空軍のX-37B軌道試験機。 (U.S. Air Force/Jeremy Webster)

28 Oct 2019
Military.com | By Oriana Pawlyk


空軍のX-37B軌道試験機が無人機による宇宙ミッションの記録を更新して地上に帰還した。

極秘試験宇宙機は2年超の軌道飛行を終え、NASAのケネディ宇宙センターのあるフロリダに10月27日に着陸したと空軍が発表。X-37Bの宇宙ミッションとして5回目で、前回は宇宙空間で718日を過ごし2017年5月に地上に帰還している。

「同機が軌道飛行の記録を更新し無事帰還できたのは政府と産業界の革新的な協力の産物」と空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将が声明を発表した。「空軍にとって空の限界はなくなった。議会承認が得られれば米宇宙軍にも同様となる」

X-37Bは2017年9月7日に打ち上げられた。

同機のペイロードや活動状況は大部分が秘密のままだが、空軍によれば今回は「空軍の研究実験用高性能構造組み込み型熱拡散装置(ASETS-II)がペイロードで電子装置の実験とともに熱パイプ振動実験を長期に渡る宇宙環境で試した」とある。

さらに同機は「軌道上で780日を過ごし、二年以上の軌道飛行として記録更新した」と発表している。これでX-37Bは通算2,865日を地球軌道上で飛行したことになる。

直近のミッション2回で同機の飛行性能限界がさらに押し上げられた。当初の想定は270日連続の地球周回軌道飛行を想定していた。

X-37Bは何をしているのか。空軍によれば同機は「再利用可能宇宙機技術」の技術を探索しながら、宇宙技術の実験をしているとある。

空軍迅速性能実現室が統括する同試験機は自律運用で大気圏再突入し着陸した。「世界唯一の再利用可能宇宙機として性能限界を今後も引き上げていく」と迅速性能実現室のランディ・ウォルデン部長が述べる。

「本日無事着陸したX-37Bは最長軌道飛行記録を更新し目的を達成した。今回のミッションで空軍研究本部の実験活動を支援し、その他にも小型衛星を搬送している」

今年7月に空軍の元文官から同機のミッションの片鱗をうかがわせる発言があった。

宇宙空間での状況認識と抑止効果についてヘザー・ウィルソン前長官がアスペン安全保障フォーラムで同機が「(NASAの)シャトルの小型版」と表現している。

「卵形状の軌道を周回し地球表面に近い地点では大気圏にかなり接近する」「敵としては心穏やかではないだろう」

ハーヴァード-スミソニアン宇宙物理学センターのジョナサン・マクダウェルはMilitary.comに対し、ウィルソン発言から「これまで極秘だった軌道関連活動に光がさした」と述べ、同機の動きに敵勢力がたとえ短期間であれ動揺していると説明している。

「大気圏をかすめると次回上空に戻ってくるまでのタイミングが変わります。そうなると追跡予測ができなくなるわけで、次回は最初からやり直しとなるのです」

.空軍は第六回目のX-37Bミッションを2020年にケープカナベラル空軍基地から打ち上げる準備に入った。■

-- Oriana Pawlyk can be reached at oriana.pawlyk@military.com. Follow her on Twitter @oriana0214.

2019年11月2日土曜日

JSI仕様のF-15Jはこんな機体になる。影を落とす10年前の政権の考え方とは

Japan gets US nod for $4.5 billion F-15 upgrade package

日本向けF-15改修45億ドルパッケージの内容とは

By: Mike Yeo  

F-15イーグル迎撃機約100機の改修事業に関する日本政府の要請を米国務省が承諾した。老朽化が進む日本の戦闘機部隊の性能向上に道が開かれた。
国防安全保障庁が10月29日発表したもので、海外軍事販売制度で実施し、試算45億ドル規模の事業になる。
今回承認されたのは98機までのF-15Jを「日本向けスーパー迎撃機(JSI)仕様」に改修する内容で高性能電子スキャンアレイ(AESA)レーダー、新型ミッションコンピュータ、電子戦装備のほか新型兵装の運用能力授与が内容だ。
このうち、新型レーダーはレイセオン製AN/APG-82(v)1 複合モードAESAで米空軍がF-15Eストライクイーグルで運用中のものだ。日本の要請は同レーダーに加え、ハネウェルの高性能ディスプレイコアプロセッサーII(ミッションコンピュータ)116基、BAEシステムズ製AN/ALQ-239デジタル電子戦装備101基の搭載の他、妨害に強いGPS装備もあり、より精密な航法、無線交信を実現する。
安全保障協力庁発表にある「機材と兵装の統合化および試験支援」は内容が不明だが、2018年発表の中期防衛整備計画はロッキード・マーティン製AGM-158共用空対地スタンドオフミサイル(JASSM)の導入を明記しており、長距離対地攻撃ミッションをF-15で実施する想定だ。
主契約企業はボーイングだが今回のF15JSI改修では直接民生販売(DCS)の要素も見られる。DCS部分では三菱重工業が主契約企業、ボーイングが二次契約企業となりFMSおよびDCS部分のサポートを行う。
航空自衛隊は単座F-15J及び複座F-15DJ合計200機程度を運用中。すべて防空任務仕様で対地攻撃はできない。訓練飛行隊、アグレッサー教導飛行隊以外に航空隊7個編成としている。
各機は1980年代製造で三菱重工業が大部分をライセンス生産し国産電子戦装備や双方向データリンクを搭載した。うち、90機が数回に渡る改修を受けており、エンジンの改良や対抗装置を搭載している。
これ以外にも改修の試みもあったが、予算や政治上の制約で日本は全機改修を行っていない。そのため仕様が異なる機材が存在している。
直近ではLink 16および共用ヘルメット搭載目標捕捉システム(JHMCS)の導入が2007年に始まったが、2009年に著しく平和志向の新政府に交代すると、この事業は終了されており、赤外線捜索追尾装備(IRST)や一部機材をスタンドオフ偵察任務に転用する案も途中で唐突に中止となった。
そのため今回のF-15改修は機材構成を整備しつつ日本の防衛ニーズに見合う機材にする好機となる。今回の要請ではLink 16およびデジタルコックピット仕様への切り替えが見当たらないが、可能性としてDCSでこの部分を実現するのではないか。三菱重工業はF-2事業でこの分野の知見を有している。
またIRSTでも日本が開発を続けていることがわかる。日本で投稿された写真ではF-4EJファントムIIテスト機が岐阜の実験航空隊で稼働していることが判明しており、主翼下のボッド先端にレンズらしきものが確認され、ロッキード・マーティンのIRST21(ボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネット用に開発)に類似している。

Photo thread of an F-4EJ Phantom II assigned to the JASDF's Air Development and Test Wing at Gifu carrying what looks to be a possible IRST pod on its starboard inner pylon #Japan


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IRST開発が成功すれば戦闘機は長距離からレーダーを使わずに敵機を捕捉交戦できるようになり自機の位置を知られるリスクが減る。また日本が進めるF-2後継機の開発にも役立つ。
日本はロッキード・マーティンF-35ライトニングII共用打撃戦闘機の導入では米国以外では最大規模となっており、F-35A105機、F-35B42機を導入する計画で最初の飛行隊がすでに稼働開始している。F-35はF-4EJファントムIIおよび初期型F-15の更新用の位置づけで、短距離離陸垂直着陸型のF-35Bはいずも級ヘリコプター駆逐艦での運用用に確保するものだ。■

コメント:今年の豪雨で露呈した旧民主党の影の影響ですが、F-15でも発生していたのですね。航空自衛隊にとっては「悪夢」の時代だったのでは。もちろん、現役自衛隊員は政治的発言はできないのですが、腹の底では苦々しい思いをされていたのでしょう。日本で意味のある政権交代ができるようになるのはいつのことなのでしょうか。

2019年10月30日水曜日

見えてきたF-15J後期型の改修、いよいよAESAを搭載したスーパー迎撃機(JSI)誕生へ

The Official Home of the Defense Security Cooperation Agency
Published on The Official Home of the Defense Security Cooperation Agency (https://www.dsca.mil)
Home > Japan – F-15J Modernization


Japan – F-15J Modernization

Media/Public Contact: 
pm-cpa@state.gov
Transmittal No: 
19-65
­­­WASHINGTON, October 29, 2019 -米国務省が日本向け海外軍事販売案件を承認した。最大98機のF-15Jを日本向けスーパー迎撃機(JSI)仕様に性能向上させる案件で総額は45億ドルの試算が出ている。国防安全保障協力庁が同案権の承認を求め関連資料を本日議会に送付した。
日本政府要望により最大98機のF-15Jを日本版スーパー迎撃機(JSI)に改修すべく、APG-82(V)1アクティブ電子スキャンアレイ(AESA)レーダー103基(予備5基含む)、高性能ディスプレイ・コアプロセッサーII(ADCP II)ミッションシステムコンピュータ116基、ALQ-239デジタル電子戦装備(DEWS)101基を提供する。また統合ミッション立案システム(JMPS)にソフトウェア、訓練、支援含め提供する。選択式盗聴対策ずみモジュール(SAASM)、ARC-210無線装置、航空機・装備品の統合及び試験支援、地上訓練装備(フライト、保守管理シミュレーター含む)、その他支援試験用装備にソフトウェアと予備部品、通信装備、施設建築の支援、技術文書の準備、人員訓練、戦術兵站支援、調査研究、その他関連補給活動や作戦支援を含め、総額45億ドルの試算がある。
今回の海外向け販売案件は米国の外交目標及び国家安全保障上の目的に合致するものであり、主要同盟国の安全をさらに引き上げる効果が理、政治安定性の確保に役立ち、アジア太平洋での経済成長に資する。日本が強力かつ効果的な自衛能力を維持することは米国の国家安全保障上で死活的な意味がある。
今回の案件により日本の防空体制がさらに強化され、日本本土並びに駐留米軍部隊の安全を守ることになる。改修F-15は日本に近づく空の脅威に対応が容易であり、防衛の効率が上がる。日本は装備品の導入と支援の展開に何ら問題を感じないはずだ。
今回の軍事装備品販売並びに支援活動により当該地区で力のバランスが変更となることはない。
今回のFMS案件の一次協力会社はボーイングエアクラフトカンパニー(本社ワシントン州エヴァレット)、日本では三菱重工業がボーイングを協力企業と位置づけ案件の実現を目指す。今回の売却に関し、一切の裏契約はないとされる。
本案件の実施に当たり米政府代表者一名が日本に駐在する。
また本案件の実施により米国防体制の即応対応に悪影響は生じない。

今回の告示は法により求められているものであり、案件が実際に締結されているわけではない。■

バグダディ強襲作戦で判明した興味深い事実

What We Know About The U.S. Raid on Abu Bakr al-Baghdadi in Syria. バグダディ強襲作戦で今わかっていること



今回の作戦に投入されたと見られるMH-60ブラックホーク特殊作戦仕様機。 (Photo: U.S. Army/160th SOAR)

大規模作戦に機材多数が動員され、綿密な作戦調整のもと電光石火の行動が展開された。


ISISの創設者にして指導者のアブ・バカ・アル-バグダディが米特殊作戦部隊の「危険かつ勇敢な夜間強襲」によりシリア国内で週末に殺害された。ドナルド・トランプ大統領は強襲作戦は「最高水準」の実施だったとし、米特殊作戦部隊を称賛している。
世界各地の報道機関が今回の展開を報じており、米大統領の報道発表の様子を中継した。今回の強襲作戦で興味深い内容が浮上している。
米軍は作戦内容について口をつぐんているが、大統領発言およびその他報道内容から実に興味深い点が推察できる。
アブ・バカ・アル-バグダディ (Photo: File via Wikipedia)

まずNBCの報道番組「報道陣に語る」で安全保障担当補佐官ロバート・オブライエンが作戦名称については公言していないものの、2015年にISISにより人質となった挙げ句殺害された米人道援助専門家カイラ・ミューラーからヒントを得ているとした。CNNのマイク・キャラハンは「NBC番組でオブライエンは『統合参謀本部議長がカイラ・ミューラーに由来を求めた作戦名称をつけた。本人が受けた苦しみが念頭にあった」とし、一般にも理解してもらえるはずと付け加えた」と報じた。
統合参謀本部の議長米陸軍大将マーク・A・ミリーとマーカス・エヴァンス准将(特殊作戦部隊副司令兼対テロJ-3統合参謀本部メンバー)がホワイトハウスの緊急事態対応室で強襲作戦の実況を見ている。作戦が米陸軍特殊部隊が中心で展開されたと考えてよいだろう。これはオサマ・ビン・ラディンを殺害したネプチューンスピア作戦(2011年)が米海軍の特殊部隊中心で展開されたのと好対照である。
今回の強襲作戦の実施場所 (Photo: via DailyMail)

CNN含む一部メディアでは米陸軍の特殊部隊作戦分遣隊D別名「SFOD-D]が実施したと伝えている。これは『デルタ』と一般社会で呼ばれる部隊だがデルタは米陸軍の制式名称ではない。
CNNのアナリストのひとりは米陸軍の第160特殊作戦航空連隊(第160 SOAR)『ナイトストーカーズ』が「ヘリコプター8機を投入し、特殊部隊をシリア北西部のバリシャ近郊に送り込んだ」と述べている。
特殊作戦向けの機材は3機種あり、あるいはその組合せで強襲作戦に投入されたのかもしれない。MV-22オスプレイは空軍の特殊作戦部隊の他海兵隊が運用している。MH-60ブラックホーク及びMH-47チヌークは陸軍の第160特殊作戦航空連隊が運用している。
ツイッターに出た映像は今回の強襲作戦のものとされる(Photo: via Twitter)

CNNのバーバラ・スターの報道では「今回の作戦を実行した米軍部隊の一部はイラク国内から発進しシリア北西部にヘリコプターで移動したと米軍筋から聞いた」とある。
米大統領は目標地点への飛行はおよそ「一時間10分」と述べており、特殊作戦用回転機がトルコのインチリック基地のような地点から出発すれば無給油で飛べる範囲だとわかる。キプロス島のRAFアクロティリ基地を発進したと述べる者もいる一方で、イラクのエルビルから飛んだとする向きもある。
8機が動員されたとすると特殊部隊隊員は60名から80名の規模となる。ここには特殊訓練を受けた軍用犬も含まれる。
その一頭が作戦中に傷を負ったと伝えられている。これはバグダディが地下トンネルに逃げてから「爆弾ベスト」を点火し、本人および「こども3名」が死亡した際のこととされる。該当軍用犬はその後無事脱出しているという。
バグダディ強襲作戦の現場とされる写真がツイッターに出た (Photo: via Twitter)

大統領発言からその他に判明しているのはリアルタイム及びほぼリアルタイムの情報活動が強襲作戦立案に役立っていることだ。大統領は「(バグダディが)そこにいることがわかっていた」とし、「現地の様子もわかっていた。トンネルがあることもわかっていた」という。こうした大統領発言から目標地点は相当詳しく偵察されてから強襲作戦に至ったことがわかる。また情報活動には人的情報収集(ヒューミント)や航空偵察が含まれていることがわかる。航空偵察には有人機が使われた可能性がある。
10月27日ニューヨーク現地時間14:32にニューヨーク・タイムズのエリック・シュミット、ヘレン・クーパー両名が「イスラム国指導者アブ・バカ・アル-バグダディの居場所はバグダディの妻の一人を逮捕し尋問したことで判明した米関係者二名画明らかにした」と報じた。
米大統領は強襲作戦のうらで展開された偵察活動を称賛し、作戦の様子は「明確かつ完璧に」目にすることができたと述べた。映画を見るようだったという。この大統領発言から軍務経験がないもののメディアに造詣が深い本人の言として特殊部隊がカメラ数台を現地に運び作戦の進行に合わせホワイトハウスに中継したが2011年のオサマ・ビン・ラディン強襲作戦時を上回る精細な映像を送ったのではないか。大統領からはさらに「夢中で見た」との感想を述べている。
大統領、副大統領、国家安全保障担当補佐官ロバート・オブライエン、マーク・エスパー国防長官、統合参謀本部議長マーク・ミリー大将が作戦実施を見守る写真がホワイトハウスから公表されているが、一部記者によればこの写真は事前に準備されたものだという。
大統領からはロシアの協力が大きかったと同国の動きを称賛する発言上がらい、また「トルコ、シリア、イラク、さらにシリア国内のクルド人」が今回の強襲作戦の成功を導いたと述べている。
大統領発言では強襲部隊は現地に到着した際に「銃火を浴びた」ものの目標地点に「二時間」とどまり、追加情報資料を押収しISISの動きの解明につながることが期待されるという。このことから強襲部隊には時間面の制約があり、利用機材の騒音が届かない別地点には着陸せずに奇襲攻撃の形をとったことがわかる。
今後さらに作戦の詳細が浮上する可能性は十分にある。ただし、今回の強襲作戦で得た情報から米軍等が地域内で別の目標を捕捉するとすれば、今回の強襲作戦は機密扱いのままとなるかもしれない。■