2025年11月21日金曜日

コロンビアからウクライナ、サウジアラビアまで、戦闘機商談が世界各地で進行中(Aviation Week)


このブログでは続けてドバイ航空ショーでの記者対談ポッドキャスト、サウジへのF-35販売に道が開いたことで地域内にどんな影響が出るか、をお伝えする予定です


Sukhoi Su-57E flying against skyトランプ大統領がロッキード・マーティンF-35のサウジアラビア向け販売を承認した後、アラブ首長国連邦のモハメッド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン大統領はドバイ航空ショーでスホーイ Su-57 の飛行展示を見学した

クレジット:Billypix

闘機の調達に関し今年は歴史に残る年になりそうだ。

11月中旬までに、画期的な契約数点が締結された。米国防総省はF-47の製造をボーイングに委託し、トルコは20機の新しいユーロファイター・タイフーンを購入し、ウクライナは100機のサーブ・グリペンを購入する決定を下した。しかし、ここ数日になり動きは次の段階へと進んだ。ホワイトハウスは、湾岸諸国への初のロッキード・マーティン F-35 輸出を承認し、ウクライナとフランスは 100 機のダッソー・アビアション・ラファール販売で合意に達し、グリペン E/F は 3 件目の海外受注をコロンビアから獲得した。

ドナルド・トランプ米大統領は11月17日、サウジアラビアへのF-35Aの販売を承認すると発表し、リヤドは「偉大な同盟国」であり、第5世代戦闘機の購入を希望していると付け加えた。11月18日のサウジアラビアのモハメッド・ビン・サルマン皇太子の訪問前夜にワシントンで発表されたこの声明に続き、ホワイトハウスはF-35含む防衛パッケージの同国への販売を公式に発表した。

  • ウクライナが100機のダッソー・ラファール購入を検討

  • コロンビアがサーブグリペン発注を確定

発表はドバイ航空ショーでも反響を呼んだ。トランプ大統領の公約は、この地域が待ち望んでいた F-35 の受注を確定するものではないが、他の関係を犠牲にしてまでも、ワシントンとリヤドの間の緊密な関係を象徴するものとなった。

F-35は、この地域では以前にも同様の状況になっていた。5年前、トランプ政権は、F-35Aの50機をアラブ首長国連邦(UAE)に輸出する 104 億ドルの契約を承認した。この承認は、UAEが湾岸諸国で初めて米国仲介の「アブラハム合意」に合意し、イスラエルとの関係正常化を進めた後に実現したものだ。しかしガザ地区での2年に及ぶ戦争に対するアラブ諸国や国際社会の反発により、この動きは緊張状態にある。

2021年9月、当時のジョー・バイデン大統領は、UAEが中国軍と結びつきを強めていることを理由に、同国へのF-35輸出案件を凍結した。この関係性の表れがドバイ航空ショーで明らかになった。UAE空軍の曲技飛行チーム「フールサン・アル・エミラート」が、2023年の前回ショーで発注を確定した後、初めて洪都L-15戦闘機で演技を披露したのである。

かつて米国政府に拒否されたUAE当局は、昨年トランプ政権再選の可能性が高まる中でも、F-35A取得に関心を失ったように見えた。2024年9月、UAEはトランプ氏が再選された場合でも、発注を確定する交渉の再開は行わないと決定した。


ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領(左)とフランスのエマニュエル・マクロン大統領が、パリ近郊で100機のラファール戦闘機などの契約について握手を交わした。提供:エリゼ宮

UAEはこれまで、米国とフランス両国のメーカーに発注を分散することで、地政学と戦闘機の取得のバランスを取ってきたが、いまやヘッジ戦略を拡大している。

一方、ロッキード・マーティンは、米国政府の複雑な武器輸出承認プロセスの完了を待つ中で同社幹部は、イスラエルと韓国の間の地域でついにF-35を販売できる見通しについて控えめになっている。

ロッキード・マーティンの航空事業部門国際事業開発担当副社長スティーブ・シーヒーは、ドバイ航空ショーで本誌に対し、「私が言えるのは、トランプ大統領が発表したということだけだ」と語った。「F-35 プログラムに対する大統領の支持に感謝している」。

米国は、サウジアラビアとのF-35取引の詳細、金額、武器パッケージの内容について明らかにしていない。

議会承認待ちのこの潜在的契約が、サウジで戦闘機ビジネスを狙う他社の見通しにどう影響するかも不明だ。ボーイングF-15EX、ユーロファイター・タイフーン、ダッソー・ラファールがリヤドからの大型発注を争っている。サウジは混合フリートによる空軍の近代化という選択肢も残している。

サウジアラビアは米国や欧州で進行中の次世代戦闘機プログラムへの参加意向も示している。米国におけるこうしたプログラムの機密性レベルを考慮すれば、サウジの関心は、欧州製戦闘機への販売や産業協力の扉を開いたままにしておく可能性があり、それは足がかりとなるだろう。

パリ近郊では、別の大型戦闘機契約が並行して進展した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、キーウがラファールF4を100機購入する意向表明書に署名した。11月17日にヴィラクーブライ空軍基地で発表されたこの調達契約は、120億ユーロ(139億ドル)以上の規模となり、機体数ベースではラファールで最大の輸出契約となる見込みだ。

ウクライナ大統領府によれば、この合意には技術移転の可能性やウクライナ国内でのラファール組立が含まれる。契約には空対空ミサイルや誘導爆弾からなる戦闘機用兵器も含まれる。ウクライナは既にサフラン・ハンマー誘導爆弾キットを使用しており、新契約でさらに供給を受けることになる。

ゼレンスキー大統領は「両国にとって特別な、真に歴史的な瞬間になたt。新たな航空機、新たな増強、我が軍と国家を強化する新たな一歩だ」と述べた。

キーウはユーロサム製地上配備型防空システム「SAMP/T NG」とレーダーも取得する。ゼレンスキーは両国が今年中に低コスト迎撃ドローンの共同生産プロジェクトを開始し、「ウクライナ製ドローンに統合可能な重要技術・部品の開発」に取り組むと述べた。

和平協定の有無にかかわらず、ウクライナはロシアの脅威に対処するために近代的な戦闘機を取得する必要がある。ソ連時代の戦闘機スホーイ Su-24、Su-25、Su-27、ミコヤンMiG-29は時代遅れだからだ。ベルギー、デンマーク、オランダから購入した中古のロッキード・マーティン F-16、およびフランスから購入したダッソー ミラージュ 2000 では、将来のロシア戦闘機に対抗し続けることは難しいかもしれない。

10月下旬、ウクライナはスウェーデン政府と、単発エンジンのサーブ・グリペンEを購入する意向書に署名した。この契約は、ウクライナが戦闘機に慣れることができるよう、最大150機の航空機と、スウェーデンの在庫から余剰となりそうなグリペンC/Dを対象としている。当局者によると、最初のグリペンEの納入は3年後になる見通しだ。

両戦闘機契約の資金調達には、巨額の費用とウクライナの脆弱な経済状況から、依然として大きな疑問が残る。政府が検討している選択肢の一つとして欧州の銀行に凍結されているロシア資産の活用がある。

ドバイ航空ショー前夜、サーブはコロンビアとの間で約31億ユーロの契約を最終決定した。17機のグリペンE/F(単座型グリペンE15機、複座型グリペンF2機)を購入する。これらの機体は老朽化したイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ製クフール戦闘機の代替となり、2026年から2032年にかけて納入される予定だ。

グリペン受注の活発な一年をこの動きが締めくくる。8月にはタイ空軍が4機の契約を最終決定した。タイはさらに追加購入を計画している。

サーブのミカエル・ヨハンソンCEOは、需要に対応するためグリペンの生産拡大が必要であり、第三の最終組立拠点の追加も検討していると述べた。ユーロファイターとダッソーも受注増加に対応するため生産拡大を進めている。

エンブラエルは、ブラジル空軍の戦闘機発注の一部として15機のグリペンEを組み立てる計画だ。同社はコロンビア向け機体の一部を、ブラジル・ガヴィアオ・ペイショトの防衛製造拠点で組み立てる。残りはスウェーデン・リンシェーピングのサーブ工場から納入される。

Su-57のドバイ展示はロシア国外での3度目であり、内部兵器ベイを公開したのは今回が初めてだ。ロステックのチェメゾフCEOは、潜在的な輸出顧客からの「膨大な需要」があると述べたが、長年購入候補と目されてきたアルジェリアが顧客になったどうかには言及しなかった。

ロステックが2021年にドバイで単発機Su-75(通称チェックメイト)のモックアップを初公開してから4年が経過し、同戦闘機は初飛行に向けて進展しているとチェメゾフは語った。■

—ワシントン、ブライアン・エバースティンとの共同取材

スティーブ・トリムブル

スティーブはワシントンDCを拠点に、アビエーション・ウィーク・ネットワークで軍事航空、ミサイル、宇宙分野を担当している。

トニー・オズボーン

ロンドンを拠点とするトニーは欧州防衛プログラムを担当。2012年11月にアビエーション・ウィーク入社前はシェパード・メディア・グループに在籍し、『ローターハブ』誌と『ディフェンス・ヘリコプター』誌の副編集長を務めた。

ロバート・ウォール

ロバート・ウォールは防衛・宇宙担当編集長。ロンドンを拠点に、米国・欧州・アジア太平洋地域の軍事・宇宙ジャーナリストチームを統括している。


From Colombia To Ukraine To Saudi Arabia, Fighter Deals Are On

Steve Trimble Tony Osborne Robert Wall November 20, 2025

https://aviationweek.com/defense/aircraft-propulsion/colombia-ukraine-saudi-arabia-fighter-deals-are




Zelenskyy and Macron shaking handsUkrainian President Volodymyr Zelenskyy (left) and French President Emmanuel Macron shook hands near Paris on a deal for 100 Rafales and more. Credit: Elysee Palace


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