2017年8月25日金曜日

米海軍で相次ぐ衝突事故は某国ハッカーによるものなのか


これが本当なら軍艦の保安体制をいかに強固にしても民間商船を乗っ取れば海軍力を脅かすことができるはずです。商船の数は膨大でかつセキュリティ対策もばらばらなため狙われやすくなってしまいます。米海軍が世界の笑いものだとまで公言してはばからない国があり、まっさきに関与を疑われるでしょう。しかし日本近海でも発生した事案までハッカー集団のしわざとすれば、日本国内に実施能力を有する協力者がいることになります。思い当たる筋はありますが、口だけの反体制派であり、批判がすきなだけの人たちなのでこの説は怪しくなっていますね。


Could hackers be behind the US Navy collisions?

米海軍海上衝突事故の背後にハッカーがいるのか

USSフィッツジェラルドは2017年6月17日に民間商船と衝突事故に巻き込まれた。横須賀海軍基地へ帰港した事故翌日の姿
TYLER HLAVAC/STARS AND STRIPES


 
By ELIZABETH WEISE | USA Today | Published: August 24, 2017


SAN FRANCISCO (Tribune News Service) — 米海軍艦船で相次いで発生した民間商船との海上衝突事故の裏にハッカーがいるのか。専門家の意見では可能性は限りなく低いながら不可能ではないとし、米海軍が調査を開始した。
  1. ツイッターの噂では、衝突事件二件はサイバー攻撃あるいはジャミングが原因だ。今年に入り米海軍関連の事故が連続4件発生しており、うち二件が死亡事故になったが高度なコンピュータ装備を備えた軍艦で航法上の過ちが起こったことから世界規模の米政府へのサイバー攻撃へ懸念が生まれている。
  2. 海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将もツイッターで今週月曜日にサイバー侵入や妨害活動の証拠はないが、「想定できる可能性すべてを検討する」と述べた。
  3. 技術に詳しい専門家の言ではGPSがハッキングされ艦の航法装備が悪影響を受けるシナリオは可能としながら今回の海軍事例で攻撃の証拠はないと強調する。
  4. 「証拠が見つからないため今のところは乗員の不注意が理由と見ていますが、海軍艦艇が警戒していなかったとは思いたくありません」とテキサス大オースティン校のトッド・ハンフリーズ教授が述べている。教授はGPSのセキュリティが専門だ。

米海軍が調査に乗り出す

  1. 今週月曜日にUSSジョン・S・マケインがマレーシア沖合で民間タンカーと衝突し、乗員10名が行方不明、5名が重軽傷となった。6月17日にはUSSフィッツジェラルドが民間貨物船の衝突を受け7名が死亡している。
  2. 海軍は大混乱だ。水曜日にはジョセフ・オーコイン中将が第七艦隊司令長官を解任されて、月曜日に世界規模で艦艇運用を停止し安全点検させ根本原因を探ろうとした。
  3. 航法ソフトウェアの妨害あるいは誤作動を招く技術はすでに存在するが米海軍は強固な暗号化でGPSを使い、妨害は極めて困難なはずとハンフリーズ教授は述べる。
マラッカ海峡の衝突事故でUSSジョン・S・マケインの左舷に生じた損傷。同艦はチャンギ海軍基地(シンガポール)に到達した。
JOSHUA FULTON/U.S. NAVY

  1. 装備を出し抜くには「記録およびリプレイ攻撃」と呼ばれる技術を使うしかないと教授は述べる。つまり衛星経由で海軍艦船に送付される暗号化位置データを記録し少し遅れて記録内容を再生し艦船に指示するのだ。「これで艦船に実際の場所ではない情報を送ることになります」(ハンフリーズ)
  2. これはきわめて高度かつ実施困難なハッキング技術で航法関連のデータストリームを各方面で記録してから二か所以上から信号を送信する。近隣を航行中の艦船が誤った情報を受けとらないように送信は対象艦船のごく近い場所で送信する必要があり、無人機複数を投入することになるはずだ。

GPSハッキングは可能

  1. 非実現性な話に聞こえるが決して不可能ではないとハンフリーズ教授は述べる。2013年に教授は時価80百万ドルするヨットのGPS装備を欺瞞し数百ヤードも航路から外れた場所に移動させ危険性を立証している
  2. リチャードソン作戦部長も二か月未満で二回も「きわめて深刻な事件」が発生したことで「今のままでいいのかと重大な懸念が生まれた」と述べている。海軍はフィッツジェラルド事件の原因は当直乗組員の状況認識の欠如だとする。
  3. 米沿岸警備隊で海上運航装備を統括していたデイナ・ガワードもハッキングが米海軍の海上衝突事故の原因とは見ていない。
  4. 沿岸警備隊で艦長も務めた本人によれば長年の海上航法の経験からとくに交通量が多い地区では衝突につながる単純な過誤が容易に生まれるのだという。「人的エラーが発生しやすい困難な場所」だという。

ロシアのハッキング事例

  1. サイバー攻撃で衝突したと信じる向きは軍組織に能力があると知っているからだ。例としてガワードは悪意ある勢力が商船の非暗号化航法データに目を付け短時間のジャミングで海軍艦艇に向かわせる可能性があるという。あるいはハッカー集団が貨物船のGPSを乗っ取り航路を外すよう指示するという。
  2. 「一方にだけ責任があるはずがない」と英国王立航海大学の学長を務めたデイヴィッド・ラスト教授が述べる。「脆弱な方を攻撃すればいいのです。この場合は民間商船です。実際にそうだったと言うつもりはありませんが、もし自分が実行犯ならそうしますね」
  3. 北朝鮮、中国、ロシアの軍部にGPSジャミング能力があることは知られているとガワードは述べ、GPSのジャミング、欺瞞工作は以前からあり、実際に発生している。
  4. 6月に黒海を航行中の20隻以上の艦船からGPS装備が誤作動し航路より19マイルも外れたロシアのゲレンジック空港を表示したとの報告がある。「あたかも艦船が空港上に駐機している」ようだったとラスト教授がコメントしている。ハンフリーズ教授はこの事件はほぼ全なGPS攻撃事例であり、「今後も発生する」という。■

©2017 USA Today
Visit USA Today at www.usatoday.com

2017年8月23日水曜日

★米海軍で秘匿性最高のUSSジミー・カーターの内側



ジミー・カーターはまだ存命ですが、潜水艦勤務士官だった本人からすればこの命名に感じるものが多かったでしょうね。(原子力動力の原理を正しく理解する初の大統領だったはずです。)シーウルフ級はこうしてみるとバラバラな命名基準でもし予定通り多数建造していたら艦名の混乱が避けられてなかったでしょうね。

 


Inside the USS Jimmy Carter: America's Most Secret Attack Submarine Ever

USSジミー・カーターの内側、米海軍で最も秘匿度が高い攻撃型潜水艦
August 18, 2017


  1. 2013年1月20日、シーウルフ級攻撃型潜水艦USSジミー・カーターは母港ワシントン州バンゴーを出港し、ほぼ二か月後に真珠湾に修理のため入港した。
  2. 謎に包まれた航海だ。初の海上任務で同艦がどこに行ったのか、乗員150名が何をしたのか不明だ。シーウルフ級は米軍で最も秘匿性の高い装備であり、そもそも海軍の「沈黙の部隊」に関する情報を探すのは困難だ。
  3. ジミー・カーターが何らかの任務を行っていたことはわかる。同艦の公式年鑑ではミッション7とだけ記載されている。「外部支援が全くない中で極めて厳しいストレスがかかる環境で任務を遂行し、USSジミー・カーターの伝統たる死活的国益の追求における優秀な成果を続けた」。
  4. 同艦の公式記録ではミッションに関する記載に7月ピクニックとかハロウィーンパーティーが見られる。だがミッション7で大統領殊勲部隊章を受けており、「武装した敵相手に類まれな英雄的行動を示した」と公式海軍記録にある。
  5. シーウルフ級最終建造艦ジミー・カーターは唯一無二の存在だ。建造中にペンタゴンは艦に100フィート2,500トンのモジュール多用途プラットフォームを挿入し、水中無人艇、SEALs他の搭載能力が備わった。
  6. さらに重要なのは同部分は砂時計のような形で海中通信線を見つけ盗聴器を海底に敷設できるようになっていることだ。同艦がペンタゴンのステルススパイのひとつであることはまちがいない。
  7. もう一つのヒントがミッション7での大統領殊勲部隊章である。海軍でこれは海軍十字章に匹敵する、つまり上から二番目の賞だ。受賞基準としてミッションが「極めて困難かつ危険」であったことを意味する。だが海軍長官による同艦の2013年実績もあいまいな記述に終始している。
  8. 同様に目につきにくい水中研究開発分遣隊とともにジミー・カーターは「米国の国家安全保障上死活的な重要度を有する極めて難易度の高くかつ達成困難な潜水艦単独運用を無事達成した」という説明がある。両部隊が「数々の障害を乗り越え難易度高く複雑な任務を事故を安全理に実施した」のだという。
  9. 報告書添付の写真では艦長ブライアン・エルコウィッツ中佐他幹部が感状と付属三角旗を手にしている。海軍の検閲で他の幹部の顔は黒塗りされている。
  10. War Is Boringは情報の自由法により上記書類を入手した。海軍の全艦船、潜水艦、航空隊、戦闘部隊は海軍歴史伝統本部(ワシントンDC)へ年間記録の寄稿が義務付けられている。だが内容は特定かつ詳細に記載する必要はない。ジミー・カーターでは秘匿の壁がたえず取り巻いている。
  11. そもそも潜水艦の情報を守る壁がはだかるが、海軍はシーウルフ級について口を堅く閉ざしたままだ。最高性能の攻撃型潜水艦を目指した同級だが冷戦終結で建造隻数を削られ、ハイテクのソ連潜水艦の脅威も消えていた。30隻建造の予定がわずか3隻各30億ドルで調達した。潜航時排水量9,100トン超のシーウルフ級は史上最高額の攻撃型潜水艦となり潜水艦全体でも上から二番目の高額艦だ。
  12. 海軍はUSSシーウルフ、コネチカット、ジミー・カーターの三隻を潜水艦開発第五部隊に統合した。同隊の無味乾燥なウェブサイトでは新型水中聴音装置や遠隔操作潜航体の試験評価にあたるとある。同隊は北極海での新戦法開発も行っている。
  13. 同隊は情報収集について触れていないが、実験任務が専任のような名称だが海軍ではこの種の名称を特殊任務やエリート部隊につけることが多い。テロ集団を追い詰めているSEALのチームシックスが有名だが、公式には同隊は海軍特殊作戦開発集団である。海軍はスパイ艦を米空軍と共同して運用するが「ミサイル射程距離測定艦」と呼ぶ。大統領とその幕僚を輸送する飛行隊は海兵隊ヘリコプター第一飛行隊だが今でも略称はHMX-1であり、「実験」任務の出自を残している。
  14. ジミー・カーターが実際にスパイミッションをこなしていることを示すのが同様に謎に包まれたUSSパーチがジミー・カーター就航の四か月間に退役していることだ。海軍によればパーチは最多の受勲艦で大統領殊勲部隊章も数回受けている。
  15. 1974年に完成したスタージョン級攻撃型潜水艦のパーチはソ連通信情報の収集用に後年改装されている。1978年から1979年にかけ同艦は日本北方のオホーツク海に出動しアイヴィーベルズ作戦の呼称で通信線を盗聴した。
  16. 「海軍はNSAの支援をうけパーチをオホーツク海に送り録音ポッド二個目を設置したことで、盗聴地点が増えた」とシェリー・ソンタグとクリストファー・ドリュー共著のBlind Man’s Bluff: The Untold Story of American Submarine Espionageにある。「同艦は今まで誰も立ち寄れなった遠隔地の危険海域に派遣された」という。
  17. オホーツク海での成功によりさらに多くのミッションが混雑したそれだけ危険なバレンツ海で実施されることになった。ソ連の対潜部隊から身を隠すためパーチは氷山の下に潜み混雑した航路に侵入した。
  18. そのほぼ10年後に海軍はパーチを大修理した。1991年に工事が完了した同艦は潜水艦開発第五戦隊に加わった。
  19. ソンタグ-ドリューの共著は同艦退役前に出版されているがジミー・カーターの艦中央部の延長工事についてもパーチがソ連領海で使ったのと同様の装備を収めるためと説明している。海軍がNSAと共同でその後も改良を加えているのは疑う余地がない。
  20. 建造所のジェネラルダイナミクス・エレクトリックボートが艦体を組み立てている2001年委NSA長官マイケル・ヘイデン中将がウォールストリートジャーナル取材で海中ケーブル線切断任務の噂を一笑に付している。ただしジミー・カーターの任務内容ではそれ以上論評していない。
  21. その二年後に同紙は再び同艦の任務に水中盗聴があると「その筋に詳しい向き」の発言を引用している。就役後十年近くが経過しているが、同艦の任務内容はほとんどなにもわからないままだ。
  22. ジミー・カーターのミッション7の詳細内容や独特の運航実績はさらに10年以上待たないと何もわからないのだろうか。その場合も海軍公式発表よりもソンタグ-ドリュー共著作のような図書の方が情報量が多いのだろう。■
This first appeared in WarIsBoring back in early 2016.


2017年8月22日火曜日

ますます劣勢になる北朝鮮の通常兵力が核兵器依存につながる



F-35の配備でますます劣勢を自覚する北朝鮮が自暴自棄になり日韓両国にむけて先制攻撃をする可能性が増えないか心配です。逆に言えば北朝鮮に退路はもうないのですが。

Aerospace Daily & Defense Report

F-35 Is Newest Thorn In North Korea’s Side

F-35は北朝鮮から見れば最新の棘だ

Aug 16, 2017James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

ロッキード・マーティンF-35の日韓両国配備は北朝鮮の通常兵器での劣勢拡大を明らかにする効果がある: U.S. Marine Corps

  1. 米海兵隊は自らを「槍の先頭」と自慢するが東アジアでは「グリーンナイツ」の海兵戦闘攻撃第121飛行隊(VMFA-121)は氷山の頂点以上の存在で、実戦投入可能なロッキード・マーティンF-35最初の十数機を配備した飛行隊として今後数十年にわたり同地域に駐留することになりそうだ。
  2. 2020年代初頭には北朝鮮は米最新第五世代戦闘機100機超と対峙することになり、うち42機が日本、40機が韓国所属でここに米空軍・海兵隊・海軍の前方配備機材が加わる。
  3. 中国・ロシアの支援がなければ北朝鮮に共用打撃戦闘機部隊に対応する可能性は皆無となる。制空し、ミサイルを地上で捕捉破壊し、地上部隊の前進を支援するのが同部隊の任務となる。北朝鮮には旧ソ連製および自国開発レーダーや地対空ミサイルがあるが、ステルス機を事実上止められない。
  4. Randコーポレーションのセキュリティ専門家によればステルス機投入で北朝鮮の「通常兵器の著しい不利性」があらわになるという。だからこそ北朝鮮は核兵器とミサイル開発に躍起となっているのだ。
  5. 北朝鮮に核濃縮工場が三か所あるといわれ、核弾頭30ないし60個があるはずだ。大陸間弾道ミサイル三種類を同時開発中でこのうち二段式火星-14型を7月に二回発射した。
  6. 北朝鮮は核兵器を西側軍侵攻を食い止める究極の手段と見ており、連合軍が先制攻撃の兆候を見せれば一気に短距離ミサイルで韓国や日本国内の軍事施設や主要都市を攻撃するだろう。
  7. 「あちら側は通常兵器で相当不利と認識しており、特に航空兵力不足を痛感しています」とRandの上席国防政策研究員J・D・ウィリアムズは解説する。「現指導体制の狙いを見れば通常兵力で格差が広がる一方の中で一気に穴を核で埋めようとするのは明白です」
  8. 北朝鮮は核兵器、弾道ミサイルの他に特殊作戦集団の整備に注力しており、高性能機材や防空装備の調達は後回しにしている。朝鮮人民軍空軍には中国製ソ連製の旧式戦闘機多数があり、対空ミサイルの中心はベトナム戦当時のSA-3、SA-5が近代的なS-200を一部配備している。最新対空ミサイルはKN-06で今年初めに実証している。
  9. これに対する韓国空軍はノースロップF-5、ボーイングF-15K、ロッキードF-16、KAIのFA-50を運用する。日本の航空自衛隊は三菱F-2、F-15があり最近通常離着陸型のF-35Aの受領をはじめたところだ。
  10. ウィリアムズによれば北朝鮮は通常兵力で劣勢になる状況を認識するからこそ連合軍部隊に大損害または壊滅的被害を与える手段に目を向けているのだ。「そこでF-35が新しく登場すると動きが加速します。ただしこの傾向は前からあり同機が直接刺激するわけではありません」
  11. Randで北東アジア軍事情勢を専門とするブルース・ベネットは通常兵力面で北朝鮮が格差を広げている状況は不安定を招く効果があるという。「新型機が配備されたとしましょう。あちら側の地対空防衛能力では対応できませんので、『地上にある間に攻撃しなくては』と思うようになるでしょう」というのだ。「そのためミサイルや核兵器またはその他兵器を使い主要航空基地を攻撃し脅威を取り除こうとするでしょう。両陣営に先制攻撃に向かう同機があるのです」
  12. 海兵隊はVMFA-121は岩国基地で実戦投入可能な状態にあり、韓国には三月にはじめて移動し、フォールイーグル演習に参加したと認めている。「F-35Bを岩国海兵隊航空基地に常駐させ日本で作戦投入可能にしておくことで第三海兵遠征部隊による米国の同盟国への責務の遂行の支援が可能となります。第五世代機のステルス、精密攻撃、多機能センサーの各性能が短距離離陸垂直着陸を活かした前線運用能力に加わり強力な戦闘爆撃機になります」
  13. 空軍のF-35Aも数か月で太平洋地区に移動する予定だ。空軍はすでに今年初めにヒルAFB(ユタ州)の第34戦闘飛行隊を太平洋に展開すると発表していた。同隊は4月に初の海外展開を英国で行い、さらにバルト海諸国にも共同訓練の形で進出した。
  14. 米国防総省は空軍向けF-35Aを計1,763機、Stovl型と空母運用型を合計693機海兵隊・海軍向けに調達する予定。F-35Aは誘導方式B61-12熱核爆弾が搭載可能。
  15. 日本は2011年12月にF-35導入を決定し、海外軍事販売制度を利用し42機調達する。うち38機は国内生産で名古屋の生産施設で製造が今年始まっている。
  16. 韓国向け引き渡しの開始は来年で、一号機(AW-1)の生産がフォートワース製造ラインで始まった。引渡しは2021年まで行われる。■
あ、この理屈では北朝鮮は核兵器を放棄すれば貧弱な通常兵力しか残らず西側の方位の前に弱体をさらすことになります。貧者の核として核兵器による国体護持をねらっているのが現在の北朝鮮ですので、核を使えないままにされれば国が消滅しかねないのです。


2017年8月21日月曜日

USSジョン・マケイン衝突の第一報



UPDATED: USS John McCain Collides with Chemical Tanker in the South China Sea; 10 Sailors Missing, 4 Evacuated

USSジョン・マケインが化学タンカーと南シナ海で衝突、乗組員10名行方不明、4名搬送ずみ

August 20, 2017 8:17 PM • Updated: August 21, 2017 12:02 AM
写真 USSジョン・S・マケインが航行中。 June 17, 2017. US Navy Photo



  1. USSジョン・マケイン(DDG-56)がリベリア船籍の化学タンカーアルニックMC(3万トン)と現地時間月曜日5:24 a.m(日本時間6:24a.m.)、シンガポールに近い南シナ海で衝突した。同艦は現在自力でシンガポールのチャンギ海軍基地に向かっている。乗組員5名が負傷し、10名が行方不明だ。
  2. 第七艦隊が以下発表している。
  3. 「負傷した乗員のうち4名はシンガポール共和国海軍のピューマヘリコプターでシンガポール病院へ搬送され深刻な状況ではない。「五名目の乗員は医療手当はこれ以上不要な状態だ」
  4. 残る乗員が浸水箇所数点に奮闘中だと海軍関係者がUSNI Newsに日曜日夜に伝えている。推進力、電力は限定的だが移動途中の同艦の通信状態は良好だ。強襲揚陸艦USSアメリカ(LHA-6)が接近し支援を行っている。
  5. 「第一報ではジョン・S・マケインは左舷後方を損傷したとある」と第七艦隊は声明文を発表。「艦の損傷度と乗員安否を確認中で事故調査は今後実施する」
  6. 第七艦隊によればシンガポール海軍からSSギャラント(97)、ヘリコプター数機と沿岸警備隊バスキング・シャーク(55)が救援中。USSアメリカのMV-22、MH-60も事故対応にあたっている。
  7. 今年6月17日にはUSSフィッツジェラルド(DDG-62)が商船ACXクリスタルと衝突し、第七艦隊は当時当直中の乗員数名をけん責処分にしたばかりだった。
  8. マケインは前方配備部隊の一員として日本から運用中。艦名は米太平洋軍司令官を務めたジョン・S・マケインJr大将に由来する。■

★米海軍レイルガンの現在の課題は連続発射の実証だ---戦闘艦への導入大日程



Navy Rail Gun to Test Rapid Fire & Move Closer to Combat

海軍のレイルガンの反復射撃テストで戦闘投入が一歩近づく
(コメントは下にあります)

U.S. Navy
Visit Warrior By Kris Osborn Scout Warrior - Aug 16, 3:23 PM


電流の力でマッハ7.5でレイルガンから発射される米海軍の高速度発射体は敵の艦船、航空機、ミサイルを最大100カイリで撃破できる...

  1. この未来兵器はもはや空想やSF映画の世界でなく、実戦投入段階が近づく装備だ。これだけの威力、速度、有効距離を実現する兵器が出現すれば敵攻撃を遠距離で食い止める効果が生まれる。  
  2. 海軍研究本部Office of Naval Researchは電磁レイルガンを実験室から外に持ち出し海軍水上戦センターのダールグレン施設のレイルガン用反復射撃テスト場で実用試験を行う。
  3. 「初期のレップレート(反復射撃率)は低砲口出力で成功しており、次は発射エネルギーを徐々に上げて集中砲撃の発射回数にもっていくのが目的」とONRは発表している。
  4. レイルガンのレップレートテストでは今夏終わりまでに20メガジュール、来年までに32メガジュールが目標だ。ちなみに1メガジュールは車重1トンのクルマを時速250キロで動かすのに相当する。
  5. 「レイルガンはじめ指向性エネルギー兵器は将来の海上戦で優位性を約束する」とトーマス・ビュートナー博士(ONR海軍航空戦兵器開発部門長)が述べている。「米海軍が飛躍的技術を先に導入し敵対勢力への優越性を維持することが求められる」
  6. この兵器の作動にはパルス生成ネットワークを充電する必要がある。パルス生成ネットワークには非常に大きなエネルギーを極めて短時間に放出するコンデンサーが必要だ。
  7. 一回の作動で3から5百万アンペアの放電が発生する。これは1,200ボルトを千万分の一秒に放出するのに等しいと専門家が説明する。つまり約45ポンドの物体を静止状態から時速5千マイルまで100分の一秒で加速するのに等しいと海軍関係者が述べる。
  8. 時速5,600マイル(約8,900キロ)に達する高速度発射体は純粋な運動エネルギ-弾頭となる。つまり爆発物は不要だ。毎秒2千メートルの速度は通常の弾薬の三倍に近い。開発陣の説明では発射回数は毎分10発だ。
  9. 運動エネルギーを利用する超高速弾頭で製造費用と運用経費が下がる効果が期待できる。巡航ミサイル迎撃能力があり艦船に多数を搭載することが可能だ。超高速発射弾の費用は一回当たり25千ドルで済みミサイルより格段下がる。  
  10. レイルガンには大量の電力あるいは大型バッテリーが必要となる。システム構成は5つにわかれ発射装置本体、エネルギー貯蔵システム、パルス生成ネットワーク、超高速弾頭、砲台だ。
  11. 現在は固定標的へ砲弾をGPS誘導する構想だが、将来のレイルガンは移動目標の撃破も可能になると海軍は長年説明してきた。
  12. 海軍、DoDさらに陸軍がレイルガンの超高速砲弾を既存装備の海軍の5インチ砲や陸軍のりゅう弾砲に使えないか検討している。海軍駆逐艦へのレイルガン導入が可能なはずでDDG-1000級ハイテク駆逐艦に2020年代中頃に導入する検討が始まっている。DDG-1000の統合発電システムで艦内には十分な電力が利用できレイルガンにも最適と海軍開発陣は見ている。
  13. DDG-51アーレイ・バーク級駆逐艦への導入も可能となる日が来るだろう。装備の必要条件を考えるとこのサイズの艦体でも技術的にふさわしいといえる。逆に沿海戦闘艦には搭載できないはずだ。■

-- Kris Osborn can be reached at Kris.Osborn@Scout.com

なるほど、今回は作動原理やシステム構成が分かりました。しかしズムワルト級でなくても新型フォード級空母でも統合電力発電給電システムがありしかも原子炉から潤沢な電力供給が可能なはずで航空戦力とともにレイルガンが加われば恐るべき打撃力が実現するのではないでしょうか。今回は触れていませんが、砲身の耐久性も重要な分野で日本の冶金工学と製造能力が生かせませんかねえ。


2017年8月20日日曜日

金正恩の一言は緊張緩和への第一歩なのか?



ゲームは高度化しています。金正恩対トランプのレトリック勝負は金正恩がリードしているようですが、米政権がこのまま劣勢を甘んじるはずはなく、いつどんなどんでん返しが起こってもおかしくないと思います。むしろメッセージを読み間違えることの危険の方が怖いのですが、日本はこの点ナイーブな受け止め方をしがちなのでリスクがあります。またいくら北朝鮮が悪の態勢だとしても存在を認めざるを得ない状況になってきたらどうするのか、いまからしっかり考えておく必要があると思いますが、読者諸賢のご意見はいかがですか。


Kim Jong-un Leaves an Opening for De-escalation. Should the United States Take It?

金正恩が示す緊張緩和の選択肢を米国は受け入れるべきだろうか
A B-1B Lancer aircraft sits in the aircraft parking area at Ellsworth Air Force Base, S.D.
August 19, 2017



  1. 「炎と怒り」の一週間で北朝鮮がグアム攻撃をちらつかせたが、平壌とワシントンが緊張緩和に向かう好機が来ているのかもしれない。
  2. 国営朝鮮中央通信(KCNA)によれば金正恩は火星-12中距離弾道ミサイル数発をグアム島周囲に射撃する案の説明を受けたが実施命令を下さず「ヤンキーがさらに愚行に走るのを静観」し将来の実施に含みを持たせることにしたという。
  3. 今回のKCNA報道の第一報はいつもの米朝二国間の言葉の応酬の延長に写ったが、米政策決定層も最高指導者が延々と続ける空虚な発言の真意を理解できれば緊張緩和の機会がきたとわかるはずだ。
  4. 最新のKCNA報道や先週発表の北朝鮮戦略軍報道官の声明を見ればグアム島周囲にミサイルを撃ち込む目的は北朝鮮へ対する米軍軍事行動に先手を打つことだとわかる。B-1B爆撃機がグアムから出撃すれば、金はグアム島周囲にミサイルを撃ち込み、その気になれば同島を制圧できる力を誇示する。ただしこの戦術の欠点は米軍が爆撃機運用を停止すれば北朝鮮はミサイルを発射できないことだ。さらに北朝鮮は米国へ韓国との大規模合同軍事演習の中止も求めている。予定では8月末に始まる。高圧外交の典型例だ。
  5. 今やボールは米側にあり、トランプ政権に選択肢はふたつある。まず、北朝鮮の脅威はこけおどしで政策変更に値しないと判断し爆撃機、演習は予定通り実施する。もうひとつは軍事行動を変更し、北朝鮮を宥和し緊張緩和の機会ととらえ利用することだ。いずれもリスクを伴うが、後者の方が損失は低く手に入る効果は前者より高い。
  6. 方向転換よりも倍掛けを好むトランプの気性から北朝鮮脅威に強硬策を取る可能性が高い。北朝鮮が挑発に出れば米軍が圧倒的な報復攻撃を実施できるので、北朝鮮もグアムに手を出して支払う代償を考えれば行動しにくくなるはずだ。さらに北朝鮮に恭順な態度を示せば同国を勇み足にしてさらに高圧的な脅迫を将来してくるだろう。
  7. 北朝鮮の高圧的態度を拒否すれば比較的低リスクのオプションとなるがあくまでも北朝鮮がグアム包囲ミサイル発射策を追求しない限りにおいての話だ。脅威の効果を信用させるには能力と意思のふたつの要素が必要だ。北朝鮮ミサイル技術がここにきて進展を示しており脅迫の実行能力があることを意味する。だが実行を貫徹する意思があるのか見極めるのは困難だ。トランプ政権はまさか米国の報復攻撃を招く事態を北朝鮮が招くはずはないと考えている様子が明白にわかる。しかし、この計算が間違っていれば米国を一層のエスカレーションに走らせ、米国の権益に逆効果になる。
  8. もし米国にとって軍事行動を変更しても失うものより得られる結果が大きいければ、北朝鮮を是認する政策選択が妥当となる。平壌が米国に中止を求めているのはB-1Bのグアム島からの運用と大規模米韓軍事演習のふたつだ。双方とも中止しても米国の負担はわずかなですむ。
  9. 北朝鮮がB-1Bを恐れる理由の中心は核兵器運用機材とみているからだ。この脅威論はいかにも現実的のようだが、実は北朝鮮の高圧外交に妨げとなる。米国は北朝鮮の恐怖を逆手に取ればよい。B-1B運用を一時的に停止すれば平壌に大きな貸しを売ることとなるが、その他の装備で北朝鮮への抑止効果が維持でき米側に損は少ない。B-1B飛行停止に同意すれば北朝鮮が本当に緊張緩和に真剣なのか低コストで確認できる。
  10. 毎年恒例の米韓軍事演習を中止することも北朝鮮の高圧外交の目標のひとつだが、実現性は少ない。演習の一部でも変更すれば平壌の勝利となり、完全中止でなくてもいいのだ。たとえば今年前半のフォールイーグル演習でF-35と米韓特殊部隊が北朝鮮核ミサイル施設強襲作戦を実施したが、この部分だけでも次回演習から中止すれば米韓両国は将来の北朝鮮核兵力破壊の実施に困難をきたす。だが現在の北朝鮮は核兵器が有事の初期段階で「使うか、破壊されるか」の悩みがあり、この措置で悩みを減る。
  11. 北朝鮮の高圧外交は米国にリスクのある選択になる。ただし一部にせよ北朝鮮の要求に応じれば逆に同国の交渉態度や真剣さが分かる貴重な情報が得られるし、米国は恭順さの代償も最小限にできる。
  12. 北朝鮮の要求への譲歩を拒絶すれば平壌は引きさがるざるはずと考えるのは間違っている。むしろ米国は今以上の緊張を生み出すエスカレーションへ進まざるを得なくなる。金正恩からトランプ政権に危機状況をこれ以上エスカレートさせない機会が提供されているのだ。それを真に受けてもリスクはあるがいまのままの道を進むことで勝利実現しそうもない。■
Eric Gomez is a policy analyst for defense and foreign-policy
studies at the Cato Institute.
Image: Department of Defense

★中国で出回る謎の機体の正体を推論する



No, That Satellite Image Going Around Social Media Isn't Of China's New Stealth Bomber ソーシャルメディアに出回った衛星画像は中国の新型ステルス爆撃機ではない

China's new stealthy bomber could emerge at anytime, but this isn't it. 中国の新型ステルス爆撃機はそのうち登場するが、今回は別の機体

 BY TYLER ROGOWAYAUGUST 19, 2017
View image on TwitterView image on Twitter
GOOGLE EARTH
高碑店近郊のRCS試験設備

  1. 中国が新型戦略爆撃機の最終開発段階にあるのは各種情報から間違いない。噂では全翼機形状のステルス機の試作型が6月に極秘裏にロールアウトしたという。中国関係者が同機開発を何度も言及してきたので可能性はあるがソーシャルメディアで出回っている画像はこれとは別だ。
  2. 問題の衛星画像(上)は成都で撮影されたといわれる。同地には成都航空機があり、J-10、Su-27フランカーの模倣機、J-20ステルス迎撃戦闘機等を製造している。だがそれは誤りだ。実は北京南西30マイルほどの高碑店市Gaobeidianで撮影されたものだ。同地にはレーダー断面積性能測定施設がある。
  3. 問題の機体はノースロップ・グラマンのX-47Bに似ているが、翼幅25フィート程度の小型機近くに駐機している。このため翼幅50フィートと述べているする記事に疑問が出る。X-47Bの翼幅は62フィートだ。
  4. そうなるとこれは中国の新型ステルス爆撃機ではない。本当なら翼幅は少なくとも写真で見える機材の三倍になるはずだからだ。また運用支援用の航空基地にいるのもおかしい。ただしレーダー断面積測定専用の縮小モックアップの可能性があり実機形状を反映しているのかもしれない。また機体の大きさからみて進行中の無人機開発プロジェクトで、各種各種形状の違いをレーダー断面積測定テストで比べようとしているのかもしれない。中国が米軍の高機能機材をそっくりまねたり、縮小モデルをつくることで定評があり、自国機でも同じことをする傾向がある。
  5. 該当機材が最高機密の扱いを受けていない証拠がある。Terraserver.comによれば同機は7月9日から7月12日にかけ外部で駐機していた。同基地は海外衛星の重要監視対象であり、中国は米国に意図的に同機を見せようとしたのかもしれない。
  6. 米国防企業多数がレーダー断面積測定で多用するのがパームビーチ(フロリダ)またはボードマン(フロリダ)の大型施設で航空機各種、ミサイルのすべての測定を行っている。こうした施設から米国発のステルス爆撃機の前身も生まれている。各施設は将来登場するはずの機材開発に使われている。中国がステルスで革命的な変化を模索する中、米国と同様の方法を試すのではないか。
  7. 中国の新型爆撃機試作型が遠からぬ将来に登場する可能性は十分ある。その場合、中国の軍事力の飛躍的進歩というよりも機体製造や素材面で大きな進展になるはずだ。今回の記事は中国が急速に進めつつある無人戦闘航空機材の開発の一面を示しているととらえるべきではないか。その例として「Star GlorySG-1CH-805が知られている。このうちStar Gloryが今回の衛星画像で見られる機体と酷似しており、機体寸法も近い。■
Contact the author: Tyler@thedrive.com


リーパー訓練基地を米空軍がメディアに公開した


いいな、こんな機会があって。こっちも見てみたいですが、どこまで現実に感じられるでしょうか。ドローンという表現は無人機(英語では人=男性)の言葉を嫌ったヒラリーが意図的に使ったことばで米空軍では一貫して遠隔操縦機と正式に読んでいます。ヒラリーが落選してもドローンはまだ残っていますね。当ブログではヒラリーが嫌いなこともありドローンの表現は使っていません。航空自衛隊は大型のグローバルホークをまず導入し、プレデターは使わないのでしょうか。朝鮮半島攻撃用に使い勝手のいい機材のはずですが、運用態勢の整備が大掛かりですぐには間にあわないでしょうし、パイロット頂点としたヒエラルキーにひびが入るのは組織上抵抗があるのでしょうか。今は遠隔操縦ですが、自律飛行の機種の登場も待ったなしで悠長なことは言ってられないのですけどね。

ニューメキシコの澄んだ青空から飛び出したMQ-9リーパーがホローマンAFBにいる記者の頭上を通過した。

Don’t Fear the Reaper: A Rare Look inside Remotely Piloted Aircraft Operations at Holloman Air Force Base 

リーパーを運用するホローマン空軍基地内の遠隔操縦機の運用状況を視察する貴重な機会を得た


 Aug 17 2017 - By Tom Demerly

 

  1. 何も聞こえなかった。雲一つない明るいニューメキシコ砂漠上空にバス車内からきらりと光るものが一瞬見えた気がした。もう一度眺めてみたが何もない。音もない。空には何もなかった。するともう一度光るものが見えた。今度は場所が分かった。だが遅すぎた。リーパーはすでに頭上にいた。
  2. ジェネラルアトミックスMQ-9リーパー戦闘航空機の飛行する様子は初めて見た。この経験はジェット戦闘機の雷鳴のような飛行、ターボプロップのうなりとは別格だ。わずか900馬力のハネウェル製ターボプロップの回転音はおもちゃのようだ。米軍装備で最高の威力がある機体の動力とは思えないほどだ。
  3. ホローマンAFBはニューメキシコにあり、米空軍第49遠隔操縦航空機(RPA)飛行団の本拠地だ。同隊には第6、第9、そして特徴ある第29攻撃飛行隊があり、MQ-9リーパー遠隔操縦機材の新規パイロット養成学校としてリーパー運用に必要なパイロット二人体制の初期資格につながる訓練を行う。第29攻撃飛行隊(ATKS)はMQ-9飛行要員の養成機関として全米唯一の存在と言われる。このため同隊は高い需要に対応している。
  4. 遠隔操縦機は誤解の対象となってきた。「ドローン」のフィクションや人的制御を離れて勝手に作動するとの危惧からだ。リーパーのような遠隔操縦機にフライバイワイヤで操縦する有人機以上の機能があるわけではない。
  5. 敵側が遠隔操縦機に電波妨害や制御を乗っ取りをしかける数少ない例が2011年12月に発生し、RQ-170センティネル遠隔操縦機をイラン軍が捕獲している。この事件は極めて異例で有人機のハイジャック(9/11米国襲撃事件など)のリスクの方が高い。
  6. 通信の保安措置により機体と飛行要員の接続状況は高度化し常に改良されている。遠隔操縦機が破壊されても操縦要員の生命に危害はない。この例が2009年のアフガニスタンで発生し飛行中に機体制御不良を起こした遠隔操縦機が米軍機により破壊されている。
  7. 先週のことTheAviationist.comはメディア向け視察の招待を受けてホローマン基地のRPA訓練運用施設を目にすることができた。同訓練校ではジェネラルアトミックスMQ-9リーパー各型を使い、プレデター運航要員の訓練を主に行っている。
ホローマンAFBで訓練ミッションに使うリーパー各機の遠景。

  1. 施設内見学では要員が各自の名札に半透明テープを貼り保安対策していた。訓練では現実世界を想定していた。プレデターパイロット向け訓練で正式な資格を取得したあとわずか37分後に実弾を戦闘地区内の実際の標的に向け発射すると教官が述べている。ここまでの戦闘即応度は現在の多術航空作戦で他に例がない。
氏名をテープで隠した米空軍MQ-9リーパーのパイロットがホローマンAFB上空を飛行する機体からのビデオ画像を説明してくれた。.
  1. プレデターの運用要員と機体は保安体制の上に保安措置を講じたニューメキシコ遠隔地の背後に配置されている。遠隔操縦機の投入で展開時間は限りなくゼロにちかづくため、ホローマン基地内の制御用コンテナにいると戦闘地区の前線滑走路の上に立つのと同じだ。
MQ-9機首下のセンサーボールの中に各種光学センサー、カメラが収まり、飛行要員んに飛行運用の様子を伝える

  1. ブリーフィングでは光学センサーや飛行制御計器のコックピット用画像情報が実際の飛行中機体からモニターに写されていた。軽飛行機のように見えるが実はステルスの戦闘航空機MQ-9プレデターなのだ。見ているとMQ-9は着陸アプローチ訓練をしており、パイロットの飛行制御入力に機体が反応する様子がわかった。これは実は高性能軽戦闘航空機なのだ。
MQ-9リーパー遠隔操縦機の「コックピット」を見るのは貴重な機会
  1. 2017年3月に米空軍ダリル・ロバートソン中将が空軍協会主催航空戦シンポジウムの報道円卓会議で「米空軍ではMQ-1プレデターやMQ-9リーパーの任務が他機種より多くなっている」と語ったとウェブサイトMilitary.comが伝えていた。
  2. 遠隔操縦機の運用拡大とあわせ飛行乗員の需要が高まることから第49飛行団が多忙な拠点になるのは当然だろう。■
運用上重要であることを反映してリーパー制御コンテナまわりの保安体制は厳重だ。