2017年9月14日木曜日

次期コンパスコール機にG550採用、特殊任務機材の流れが変わりそう


流れが変わったと思います。大きければよいという発想ではなく、目的と経費を考えると当然の流れかもしれません。さらに電子装備での技術革新が加わるのでしょう。ボーイングには痛手となりました。737でも大きすぎるということでしょうか。コンパスコールとは搭載装備の名称だったのですね。


It's Official, the USAF's Next Jamming Plane Will Be a Gulfstream BizJet

米空軍次期ジャミング機はガルフストリームのビズジェトが選定された

The US military is finding this type of aircraft increasingly attractive for various specialized missions. 米軍の各種特殊任務機にビジネスジェット機が進出する予感

BY JOSEPH TREVITHICKSEPTEMBER 8, 2017
OWEN65 VIA WIKIMEDIA

  1. 議会・業界の反発を押しのけ米空軍が次期ジャミング機材にガルフストリームG550ビジネスジェットを選定した。老朽化進みながら依然重要な現行機材EC-130Hコンパスコールの後継機へ道が開けたが米各軍で同様の機材を特殊任務に採用する動きにつながる可能性が出てきた。
  2. 2017年9月7日に空軍がL3と契約成立させコンパスコール搭載機材を新型機に移し替えることになったと発表。契約内容には機材の最終選定権が契約企業に認められ、G550となった。
  3. 「L3が社内検討と空軍事業推進室との協議を経てガルフストリーム550を空中早期警戒機(AEW)として選定しました」と空軍報道官アン・ステファネックAnn Stefanekが述べている。「次期コンパスコール機はEC-Xと呼称されます」
  4. 事業経費総額が不明のままなのは、契約はいわゆる「非明確化」方式でL3は直ちに事業に取り掛かりつつ最終価格を空軍と交渉する形のためだ。現時点でコンパスコール機能の抜本的変更は想定されず、機材に焦点が集まっている。
GULFSTREAM
  1. G550空中早期警戒機には一体型空中早期警戒Conformal Airborne Early Warning機の名称もついている。
  2. 米空軍がEC-130H初号機を受領したのは1982年のことでC-130Hハーキュリーズを改装した。以来14機体制を維持し、二回にわたる大規模近代改装のほか小改良を受けている。
  3. 実際の性能や改修内容は極秘扱いだがコンパスコールのミッションは敵の通信、レーダー、他電子送信を妨害して空と地上双方の作戦を支援することだ。直近ではEC-130H部隊はイラク上空を飛行しISISの無線交信や携帯電話利用を妨害し、即席爆発装置の作動を食い止め小型無人機を墜落させているはずだ。
  4. コンパスコールの機内装備では妨害のため各種発信源を把握追跡する機能があるため限定的ながら敵の配置や進行方法の情報収集能力も実現している。米軍がISIS作戦を開始した前からEC-130Hはイラク、アフガニスタンで60千飛行時間にわたる活動を展開していた。.
  5. 残念なことに機体老朽化が進み保守管理が一層困難になっている。空軍も一時はコンパスコール機材半数を廃棄する検討をしたが後継機検討はしていなかった。
  6. ガルフストリームに単独調達契約を交付することには議会が反対した。2016年にはEC-37Bの名称をついていた。米空軍、海軍、沿岸警備隊は初期型のガルフストリームVやG550をVIP搬送用にC-37AならびにC-37Bとして運航中だ。
  7. 議員にはとくに選挙区に航空機メーカーがある議員から手続きを競争方式にせよとの圧力がかけられた。空軍はこれに対してL3に委託して近代化改修を行わせ同社に機材を選択させる奇策に出た。空軍は同社に既存EC-130Hの保守管理経費を支払っている。
USAF
EC-130H コンパスコール機
  1. さらに抗議の声を上げたのはボーイングとカナダのボンバルディアでそれぞれ737とグローバル6000の採用を期待していた。だが空軍は事業を先に進め、2017年8月25日に米会計検査院が両社の抗議を却下している。両社はL3は長年ガルフストリームで仕事しており最初からG550ありきの姿勢で偏向していると非難していた。
  2. もちろんガルフストリーム550やほかのビジネスジェット機で早期警戒管制や情報収集といった各種ミッションを行わせる構想は前からある。ガルフストリームも独自に特殊ミッション部がありイスラエル航空宇宙工業(IAI)と共同でこうした用途用の機材をイスラエル軍に提供しており、一体型空中早期警戒Conformal Airborne Early Warning (CAEW) 機と呼んでいる。これが空軍のEC-Xの原型になるはずだ。イタリア、シンガポールも独自にCAEW機を運用しており、オーストラリアもG550原型の電子戦機材の調達に向かっている。
  3. 手順が適正かは別にして今回の決定内容で今後の特殊任務機材に大きな意味が生まれた。G550のような比較的小型機材でコスト効果が大きくなっているのはジェットエンジン技術の改善効果が大きい。
  4. コンパスコールの次期機材更新は米海軍のNP-3D「ビルボード」機の更新案に続くものだ。ここでもガルフストリームG550を特殊用途に改装し、NC-37Bと呼称している。この機材はミサイルテストの監視の他各種研究調査にも投入し、あわせてテスト現場に望ましくない訪問者が来ないか監視の任務にも就く。
GULFSTREAM
米海軍のNC-37B想像図 
  1. 同時にL3とガルフストリームはノースロップ・グラマンと合同で空軍の求めるE-8C共用監視標的攻撃レーダーシステム(JSTARS)レーダー機の後継機事業にも提案している。共同事業体はここでもG550を提案しているが機体上部に「カヌー」と呼ぶ強力なレーダーを搭載しCAEWがレドームを付けているのと対照的だ。二機種で共通性があることからノースロップ・グラマン案には大きな訴求力がある。
  2. EC-Xと合わせてオーストラリアが前述のようにG550を電子攻撃装備で調達するのも大きな要素だ。ペンタゴンは海外軍事販売制度で進めようとしており、米軍が機材調達すればコストを下げる要因になる。空軍他も機材運営のシステム共通化に関心を示す中で有事対応を簡素かつ安全に合同実施したいとしている。
  3. 今後もビジネスジェット機を原型にした機材が空軍のE-11A戦場空中通信中継 Battlefield Airborne Communications Node (BACN)通信機材といsてボンバルディアのグローバル6000を原型に搭乗するはずだ。さらにVIP用機材は各軍で広がっており、先述したC-37以外にC-20Cを大統領も使っている。
  4. ビジネスジェット機がもっと多くの任務をこなすことになりそうだ。機体サイズからコスト面で現存の情報収集監視機材より有利となる。大型爆撃機を簡単な偵察任務に投入しているが、はるかに合理的な活用方法となる。
USAF
米空軍の E-11A BACN機
  1. 現時点で米陸軍は中古のボンバルディアダッシュ-8双発ターボプロップ機を低機能偵察機に転用する余地絵でRO-6Aとして2023年に稼働開始する。だが陸軍の使用機材ではすでに生産終了しているものがあり、G550のような機材に必要な装備を移したいと考えているのは米空軍のコンパスコール事例同様だ。
  2. 米特殊作戦司令部SOCOMも新型有人情報収集機材を調達して現状のU-28Aおよびビーチクラフト・キングエア原型のスパイ機の補助に充てる検討中だ。空軍の第645航空システムズ集団(特殊プロジェクト担当部門でビッグサファリの名称の方が知られている)と共同でSOCOMはドルニエDo-328ターボプロプ双発機をクーガーの名称で新型センサー他の装備試験用に飛ばしている。そのほかにも機密性の高い有人機装備があり、早晩後継機の検討に迫られるだろう。.
  3. G550をCAEWとして運用すればSOCOMにも情報集機材の選択肢が生まれそうだ。空軍特殊作戦軍団が供用中の機材は民間機原型でありビジネスジェットの投入はさらに訴求力を増すはずだ。
  4. 新型EC-Xは今後の米軍機材のトレンドの一部でビジネスジェットの大きさの機材がこれから特殊任務をより多くこなすことになりそうだ。■
Contact the author: jtrevithickpr@gmail.com

2017年9月12日火曜日

世界最後のT-33が退役

T-33は原型P-80が第二次大戦中の機体なので長寿命機になりましたね。しかしこれで現役機体は見納めです。航空自衛隊は2000年まで供用していたのですか、大事に使いましたね。

Bolivia retires last T-33s trainer/attack aircraft, announces replacement

ボリビアが最後に残ったT-33練習攻撃機をついに退役させ、後継機調達を発表

Daniel Wasserbly and Jonathan R Olguin - IHS Jane's Defence Weekly
01 August 2017

ボリヴィア空軍(FAB)がロッキード/カナデアT-33で最後に残っていた4機を7月31日に退役させた。同機はFABの主力ジェット練習機兼軽攻撃機として44年間供用された。

ボリヴィアのT-33Mk3機材はカナダから1973年に購入しその後フランスからも導入した。2000年代初頭にカナダ企業が完全修理の上装備を近代化し供用期間を15年延長していた。同機種で最後まで運用された。
18機がデジタル式エイビオニクスなど近代化を受け、9機が2015年末まで運用されていた。重要部品が調達不可能となり早期に退役している。
7月31日の退役式典でボリヴィア大統領エヴォ・モラレスは「T-33でパイロット多数が養成され」て同国は「腕をこまねいたままでいられず引き続き装備品を軍に調達していく」と語った

2017年9月11日月曜日

☆中国が開発中の長距離精密巡航ミサイルに要注意



Images indicate possible precision-guided version of China's KD-20 LACM 中国が精密誘導型KD-20LACMを開発した模様

 Neil Gibson and Richard D Fisher Jr - IHS Jane's Defence Weekly
10 August 2017

PLAAF関連「青空」ウェブサイトで西安H-6KにKD-20LACM二発が搭載されており、先頭部のカバーは光学シーカーがついている証拠だ。 Source: Blue Sky web page

要約

  • 中国が新型光学誘導型のKD-20対地攻撃巡航ミサイルを開発した模様
  • H-6K爆撃機に搭載し長距離スタンドオフ攻撃に使われそうだ
人民解放軍空軍(PLAAF)関連ウェブサイト上の写真から中国が新型光学精密誘導版のCJ-10K/KD-20対地攻撃巡航ミサイル(LACM)を開発したようだ。 
7月にPLAAF協会の「青空」ウェブサイトに掲載された写真で西安航空機製H-6K爆撃機にKD-20、YJ-63/KD-63(LACM)が二発ずつ搭載される様子が見られ、このうちKD-20には先頭部に保護カバーがついている。これはミサイルの光学あるいは赤外線(IR)シーカーの保護措置だ。
PLAAFが新型誘導ミサイルのKD-20をどう使うのか、おそらくKD-20Aの制式名だろうがPLAAF専門家のHui Tongが自身のブログで解説している。同人は2013年にもPLAAFがKD-63テレビ式最終誘導ミサイル(射程180-200キロ)を画像IR(IIR)シーカー搭載に改良すると報じていた。
KD-20は射程1,500キロといわれ、慣性航法方式(INS)に地形追随レーダー高度計をつけた上に汎地球航法衛星方式(GNSS)も使うと報道されていた。IIRシーカー付きKD-20によりH-6Kは対空防衛のほとんどの有効射程外から攻撃を加えられる。■


2017年9月10日日曜日

MQ-25無人空中給油機に期待する米海軍航空部隊


すったもんだのあげく「給油機」で落ち着いた同機の構想ですが、果たして完全新型機なのか、それとも...というのは供用開始を最短で2019年と設定しているからですが、それにしてもMQという名称で給油機とするのにも違和感がありますね。ふつうはKでしょう。ここにはUCLASS事業以来米海軍が構想してペンタゴンとやりあった作戦構想でのごたごたがあるのでしょうか。また空母での無人機運用もX-47で実証したきりですからこれから運用体制(遠隔操縦パイロットの引き抜き、艦内の運用施設構築)さらに空中給油実施テストも行う必要があります。そうなると相当の加速度で事業を進めることになりますね。ま、それはともかくスーパーホーネット多数を空中給油用に酷使する現状が改善されるのはよいことではないでしょうか。

Boeing image of the company’s MQ-25A Stingray bid. USNI News Photo

MQ-25 Stingray Unmanned Aerial Tanker Could Almost Double Strike Range of U.S. Carrier Air Wing

MQ-25スティングレイ無人空中給油機により米空母航空隊の作戦半径はほぼ倍増する

 By: Sam LaGrone

August 31, 2017 7:09 PM • Updated: September 1, 2017 6:55 AM




  1. MQ-25スティングレイ無人空中給油機が空母航空隊に加われば打撃戦闘機部隊の有効打撃半径が最大で400カイリ増える効果が見込まれると海軍航空部隊トップが米海軍協会機関誌Proceedingsで以下述べている。
  2. 航空部隊を率いるエアボスのマイク・シューメイカー中将Vice Admiral Mike Shoemakerは初の無人艦載給油機は空母から500マイル地点で15千ポンドの燃料を打撃戦闘機部隊に補給し、各機の運用半径をほぼ倍増できる。
  3. 「MQ-25により航空隊は400マイル以上も先に展開可能となり、必要な機数を展開できるはず」とシューメイカー中将はProceedings9月号の独占インタビューで語っている。
  4. 空母航空隊の現状の作戦半径は450カイリ程度で、ボーイングF7A-18E/Fスーパーホーネットは空中給油なしでこの距離で運用可能だ。ここに300ないし400マイル上乗せすれば戦闘機部隊は700カイリ程度まで進出可能となる。
  5. これが実現すれば海軍航空隊として最大の行動半径が手に入る。退役済みのグラマンF-14Dトムキャットの650カイリがこれまで最長だった。
太平洋艦隊航空部長時代のマイク・シューメイカー中将。厚木基地にて。on March 23, 2016. US Navy Photo

  1. 行動半径が伸びる以外にシューメイカー中将はスティングレイの投入で現在空中給油任務にあたるスーパーホーネットの負担が減る効果が大きいと述べる。現在、スーパーホーネットの23割が僚機への給油にあたっている。「MQ-25はライノ(スーパーホーネット)より効率よく給油でき、相当先の地点で4機から6機に給油可能です」
  2. 「またサイクル運用時にはリカバリー給油機の機能も期待できる。少なくともサイクル三回分の実施が可能だろう。一機発進させ、上空を飛び攻撃後、リカバリー地点に戻り、ふたたび高高度で待機し次のリカバリーを待つ。スーパーホーネットを給油任務につけて機体の消耗を防げるのはいいことだ。飛行距離を延長しつつ給油任務機材の消耗をふせぐことをめざしている。今はライノしか給油機がないからね」
  3. これに加えて精密着艦モードを可能とするマジックカーペットの導入が期待される。予備給油機の必要が減る効果があるからだ。「スーパーホーネットとグラウラーに精密着艦モードが使えるようになると着艦操作が大幅に簡略化できます。飛行に使える燃料が増えて精密着艦が可能となると給油機数も減らせる」
  4. シューメイカー中将はさらにスティングレイの運用方針に触れ、海軍のヘリコプター部門がMQ-8B/CファイヤースカウトUAVと並行運用すると述べている。「MQ-25スティングレイも同様の形で運用し、小規模分遣隊で運用するでしょう」「パイロットはホーネット、E-2、グラウラー、F-35部隊から集めます」
  5. シューメイカー中将の発言はこれまでのところ最も詳細にMQ-25Aを使う空中給油内容に触れたものである。海軍航空システムズ本部NAVAIRはあいまいな発言しかしていない。
  6. USNI Newsとの7月のインタビューでマーク・ダラー少将Rear Adm. Mark Darrah(無人航空機攻撃兵器体系開発主幹)ならびにボー・デュアルテ大佐Capt. Beau Duarte(MQ-25A事業主任)は飛行距離など詳細のかわりに代表的性能指標二つを発表すると述べていた。
  7. 「空母運用への適合性があります。空母から運用し空母搭載のあらゆるサブシステムと統合します。カタパルトや回収装置などですね」(デュアルテ大佐)「次がミッション用給油能力です。洋上で十分な給油を提供する必要があります」
  8. ダラー少将はNAVAIRは価格面を公表しないと述べた。「数値目標を出すとその数字に近づくのは本当に不思議な現象ですが、開発がどんどん遅らせてその数字にしていくのです。今回は今までとは違く方法を取ります」
  9. 「今の段階では価格を決めませんが、各社にはインプット数字の提示を求め、適正かつ正確に事業が進められるかを判断させてもらいます」
  10. NAVAIRはMQ-25Aの機体関連部分の提案要求原案をく評しており、今年秋と見られる完成版RFPをノースロップ・グラマン、ジェネラルアトミックス、ボーイング、ロッキード・マ―ティンの各社に提示する。海軍はデータリンクおよび地上制御装備を開発する。
  11. USNI Newsは海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将が求めるスティングレイの空母運用開始は最短で2019年と理解している。■

2017年9月9日土曜日

★★朝鮮戦争2.0になればこうなる 元米軍関係者の見立て



9月は緊張が高まる月になりそうです。そこで自然災害が多発しているのも気になりますし、民間航空機の死亡事故が過去平均を今のところ大幅に下回っているのも気になります。9月は変動の月になりそうです。韓国は大変なことになります。自分が許可しなければ開戦はあり得ないと言っている大統領が韓国にいるそうですが、事態はもっと先にいきなり進展しそうですね。日本には戦後初めて攻撃を受けるリスクが現実のものなっているのは読者の皆さんも感じているでしょう。

North Korea missile test

What War With North Korea Would Look Like: 20K NK Dead A Day

北朝鮮との戦闘はこうなる:北朝鮮は毎日2万名が戦死する
By ROB GIVENSon September 06, 2017 at 4:01 AM


北朝鮮と米国・韓国及び国連軍が開戦となった場合どうなるのか詳細が分かる米国人はごく少ない。その一人がロブ・ギヴンスRob Givensで在韓米軍で参謀長次長、統合参謀本部議長の補佐官も務めた。そこで本人の考える開戦時の状況説明に目を通してもらいたい。両陣営で毎日数万名が死亡負傷する惨憺たる構図になり、核兵器投入の可能性さえある。以下はジム・マティス国防長官やレックス・ティラーソン国務長官に議会にて話してもらいたい内容そのものだ。編集部
  1. よく北朝鮮との戦争は「想像できない」と言う人がいるが、北朝鮮が核兵器・ミサイルのテストを急いでいる中で想定外の事態が発生する可能性が増えている。統合参謀本部議長ジョー・ダンフォード大将は開戦の可能性について「恐ろしい」とまで言っている。もはや想定内に入った戦争はどんな様相になるのか。
  2. 武力衝突の兆候は十分予測できる。
  3. 数千機もの航空機が朝鮮半島全土で飛び回るだろう。米空軍の戦闘航空団二個に100機を超える戦闘機が韓国に常駐しており、ここに韓国軍が加わり開戦数分間で北朝鮮の数だけは豊富だが旧式な航空戦力を圧倒し、同時にミサイル陣地、砲兵陣地を粉砕するはずだ。
  4. 北朝鮮が主導権を握ればこちら側が航空優勢を確保する前に高いリスクが生まれる。つまり相当の損害を覚悟しなければならない。短期的には在韓米空軍に米海軍、海兵隊、沖縄の空軍部隊、さらに日本からの増派部隊が加わる。米爆撃機が各地から召集されるだろう。北朝鮮全土が攻撃範囲に入る。
  5. 北朝鮮の死傷者は驚くほどの規模になる。試算では一日20千名にのぼる。.
  6. 連合国側の海軍戦力は70隻以上ある北朝鮮潜水艦を狩り防御する困難な任務に直面するはずだ。各艦は小型だが威力は対艦ミサイル同様にあなどれない。戦力では優勢だが連合軍にも喪失艦が発生し、残念だが乗組員も死亡する。北朝鮮は機雷、魚雷、対艦ミサイルで民間商船も狙い韓国から海路で脱出する外国人にはリスクとなる。
  7. 非武装地帯に沿って配置された地上部隊では肉弾戦となるだろう。地形が険しく、狭いため動き回る余地がない。イラクで1991年、2003年に見たような機動戦は水田や山地の多い朝鮮では不可能だ。圧倒的な火力で両陣営に多数の死者が出るだろう。地形の成約とともに北朝鮮が前線を突破して侵入するはずで両軍がつかみ合う戦闘も発生しそうだ。地上戦が北に進展すれば兵員数がもっと必要だ。北朝鮮住民からすればこちら側は占領軍の立場になり、解放者とは見られないはずだ。そのため投入兵員数を増やす必要が生まれる。
  8. 「恐怖」は数千名単位が死傷して現実となる。開戦の場合、北朝鮮は初めの数日で毎日20千名をソウルで失うとの試算がある。付随被害を抑える努力が中東の各戦闘で見られるが、ここでは不可能だ。軍事作戦の陰で一般市民多数の犠牲も回避できなくなる。これは北朝鮮がどこに軍備を配置するあるいは隠すかによって変わってくる。
  9. わが方はクラスター兵器で小型爆発弾を散布するだろう。敵の発砲があれば反撃する。軍事条件がそろえば都市部の標的を攻撃するので民間人の犠牲は避けられない。ミサイルは移動車台ごと破壊する。たとえ微妙な場所に停車していても躊躇しない。地上部隊は敵撃破のため全力を投入し、損害にかまっている暇はない。いかなる近年の事例より大規模な範囲で目標を爆撃する。
  10. 第二次大戦の無差別都市破壊の再来にはならないが、北朝鮮軍の集結移動地点の攻撃に全力を投入する。北朝鮮軍が移動、発砲あるいはこちらに被害を与えれば、こちらは相手を全滅させるだけだ。北がどんな戦い方をするかは想定ずみだ。
  11. ソウルは人口10百万人が暮らすが、北朝鮮砲兵隊の火砲ロケット砲11千門の射程内に入っている。北の潜水艦は黄海、日本海に潜むだろう。すきあれば連合軍艦船を沈めようとするはずだ。また特殊部隊を南に侵入させるだろう。その場合、米軍にも被害が生まれるはずだ。弾道ミサイルを無差別に発射すれば米軍基地も標的になり、各国大使館も被害を免れない。生物化学兵器投入に踏み切れば軍部隊に大きな損害にならなくても民間人に大損害が発生する。
  12. 自暴自棄になれば核兵器を韓国のみならず日本にも投入する可能性もある。その場合のこちら側の反撃を想像してもらいたい。
  13. 戦場経験を積んだつもりだが、筆者にいわせれば戦争とはすべて「恐ろしい」ものであるとはいえ、次に朝鮮戦争が発生すれば全く新しい水準の破壊絵図となるだけでなく過去16年におよぶ中東で今も続く先頭など比較にならなくなるだろう。■
Rob Givens is a national security expert at Defense Priorities, a Washington think tank. A former Air Force brigadier general, he served as special assistant to the Chairman of the Joint Chiefs of Staff, as well as the deputy assistant chief of staff for operations of U.S. Forces Korea.


2017年9月8日金曜日

北朝鮮EMP攻撃で米軍はどんな被害を受けるのか


朝鮮半島での戦闘で核が投入され地上部隊にEMP効果が出るのかという疑問ですね。戦略核兵器運用の体系では核戦争を想定して何重にも通信命令が行き交う構造になっているようですが、野戦部隊ではそうはいかないでしょう。そうなると通常部隊が行動能力を失い、戦略部隊が自由に動く環境になってしまいます。一方で本当にEMP効果があるのか、今の段階では何とも言えません。日本が再び実験場にならないことを祈るばかりです。


EMP: North Korea's Ultimate Weapon Against America?

EMPは北朝鮮の切り札になるのか
September 5, 2017


  1. 朝鮮半島で開戦となれば北朝鮮が進めてきた長距離弾道ミサイル(ICBM)と熱核爆弾開発が原因だろうが、結果として発生する武力衝突は通常兵器だけの応酬にとどまっても壊滅的な被害を発生するはずだ。核兵器投入で最終的には終末にまでエスカレートしかねない。
  2. 核兵器が大都市など人口稠密地帯に投入された場合の被害は甚大だが、戦術核兵器がともすれば無視されがちだ。平壌の場合、戦術核兵器で米国中心の軍事侵攻を食い止める構想があるはずだが、その場合に電磁パルスEMPの効果に注目する必要がある。EMPは電気系統が対応措置ない場合に大きな被害をあたえる。米軍の場合はネットワークや高性能センサー装備に依存するだけに脆弱性が隠し切れない。
  3. 国防専門家や軍関係者はこの問題が深刻なだけに発言に慎重になっているがEMP効果の対策済みのハードウェアが米軍、同盟軍で少数にとどまるのが事実だ。
  4. 空軍退役中将でミッチェル研究所長のデイヴィッド・デプチュラDavid Deptulaは「対策済み装備もある一方で何もないものもあり...装備ごとで全く違う」とNational Interestに以前述べていた。
  5. 「克服すべき別の課題です。EMP対策はとても高くつくので、この分野は高い優先は与えられていません」
  6. ブライアン・クラークBryan Clarkは戦略予算評価センター上席研究員でもっとはっきりと述べている。
  7. 「EMP対応で強化策を導入した装備はほとんどない状態だ。一部冷戦時の旧式装備はEMPの被害を受けないはずだ」とNational Interestに語っている。「高高度核爆発で深刻なEMPが低高度部分に発生するのかはっきりしない。北朝鮮がそのような攻撃を加えてきた場合に軍にどんな影響がでるのかわからない」
  8. マーク・ガンジンガ―Mark Gunzingerも戦略予算評価センターで航空兵力の専門家であるが、自身はボーイングB-52戦略爆撃機のパイロットを務めており、National Interestにペンタゴンはこのような非対称的脅威をある程度予期していたが予算手当ては難題と語る。
  9. 「過去十年間のDoD(米国防総省)は『ハイブリッド』脅威を相手が通常兵器、非通常兵器の組み合わせで実現するのを懸念し、非対称的な脅威がWMD(大量破壊兵器)含め実現するのを恐れてきました」「DoDの兵力装備の性能向上には相当の予算が必要で、WMD投入後の環境でも作戦行動可能な実力の整備が必要です」
  10. 北朝鮮問題についてガンジンガ―はEMPでは北朝鮮軍にも影響が出るが、米軍の方が一層大きな被害を受けると述べている。「北朝鮮がさほど完成度の高くないとしてもEMP兵器を朝鮮半島上空で使えば自軍にも影響が出ておそらく防空指揮命令系統も機能を失うだろう」
  11. ではネットワーク機能や高性能センサー装備に多くを依存する米軍部隊がもっと大きな影響を受けるのかとの質問にガンジンガ―は可能性が高いと断言した。
  12. 「極めて可能性が高いです。あまり深く触れたくないですね」
  13. 「軍用装備やネットワークで機能低下の効果が出てくるでしょう。同盟国にも同様の効果が避けれません」
  14. ただしもし北朝鮮が都市や人口稠密地帯の攻撃に核兵器を投入する代わりに同盟軍側部隊にEMP攻撃を実施した場合、米軍は核兵器で反撃に出る可能性は大いにありうる。
  15. 「誰かが超強力なEMPで北米の送電網を使えなくしたら、大統領が肩をすくめて『何もできることはないのか』という状況を想像できますか」とジョシュア・H・ポラックJoshua H. Pollack、Nonproliferation Review編集長腱ジェイムズ・マーティン非拡散研究センター上級研究員はNational Interestに問題提起している。
  16. 「このコンセプトは実際より評価されすぎですよ。1.4メガトン爆弾がホノルルの見通し線上で爆発して街路灯が消える効果が昔ありましたが、EMP委員会の想定が現実的なのでしょうか。抑止力体制にどんな影響が出るか不明です。核兵器攻撃を受ければ相当の被害が発生しますね。お返しの攻撃となれば、やはり相当の被害になります」
  17. いずれにせよいったん米軍が平壌の政権変更を目指し介入して来たら北朝鮮が自制心を保つことはありえない。
  18. 「完成した核兵器を高高度EMP効果の実験に使うとはまったくの無駄でしょう。都市攻撃に投入するはずです」と軍縮問題専門家のジョセフ・シリンシオンJoseph CirincioneもNational Interestに語ってくれた。
  19. 「EMPとは狂った発想です。一度敵が核兵器をいかなる理由であれ投入してしまえば核使用へのためらいは消え、更なる核の応酬を呼ぶでしょう。米軍司令官は『敵は空中炸裂させたのでこちらも同じ形で返してやろう』とは言わないはずです。やられたら圧倒的な核の反撃をするはずです。そしてこちらの核兵器の指揮命令系統は核戦争でも機能するようになっていますが、EMP爆発なんて軟弱なものは取るに足りません」
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @Davemajumdar.

2017年9月7日木曜日

KC-135を2040年代まで供用するための米空軍の対応について


KC-46Aは日本も導入予定なのですが、今のところ稼働のめどがつかないのですかね。次々に問題が生まれているようです。そうなるとKC-135にまだまだかんばってもらうことになります。60年-90年も飛び続けるとはすごいです。窓がないことが機体の強度をたもっているのですが、当時のボーイングの設計がしっかりしているのでしょうね。そのボーイングがKC-46でてこずっているのは何とも皮肉です。


USAF Breathing New Life Into Ancient KC-135 Tankers With This New Glass Cockpit

古参兵KC-135給油機に新型グラスコックピットで新しい息を吹き込む

Digital displays and other systems, along with improved software, could keep the aircraft going for more than 80 years.

デジタル画面他の装備、ソフトウェア換装で80年以上の供用期間を目指す

BY JOSEPH TREVITHICKAUGUST 31, 2017

USAF




  1. 米軍の力の根源に世界いずれの場所で発生した危機状況に短期間で対応できることがある。この実現の裏には空中給油機の活躍がある。米空軍がKC-135Rストラトタンカーをあと最低20年間供用し、場合によってはそれ以降の運用を狙っているのは驚くべきことではない。
  2. 2017年8月25日、アイオワ州軍航空隊第185空中給油飛行隊のKC-135Rの一機が改修を受けブロック45仕様機体となった。完全グラスコックピットとなり大型デジタル画面が中央についており、無線高度計、オートパイロット、デジタル飛行制御の性能があがり、コンピュータ関連でも機能を引き上げている。
  3. 「この機体は1958年製造で搭載装備は当時のほとんどのは当時のままです」とショーン・シトレック中佐Lieutenant Colonel Shawn Streck(第185飛行隊整備責任者)は述べる。「改修で機体は民間機と同じ水準になりました」
  4. ブロック45改修の中心は民生部品の大幅採用で経費を下げつつ改修作業を簡素化したことで平均二か月で完了している。改修で安全性は高まり、信頼度もあがり、老朽装備を更新できた。
USAF
ブロック45改修後のKC-135Rコックピット
  1. 具体的にはKC-135改修機材には民間航空管制、航法とシームレスにつながる機能がつき、事故の心配なく民間空域も軍用空域同様に飛行できる。デジタルコンピューターにより地上要員もソフトウェア改修のインストールが簡単になった。
  2. そのうえ、新装備でこれまで乗員による主導業務が自動化されたのが大きい。たとえば情報の受渡しがアナログ装備からデジタルになった。また整備面での注意喚起も正確になり、データが確かになったため万一故障が発生しても修理が迅速になる。
USAF
従来型のKC-135Rのコックピットはアナログ計器が満載
  1. 「トラブル対応で何が悪いのかシステムを見るのではなく、システムの方で何が問題か教えてくれる」とダニエル・スワインハート上級兵曹Staff Sergeant Daniel Swinehart第507航空機整備隊として507給油飛行隊と一緒に活動、は語っている。「完全デジタルになりアナログデジタル変換は不要になりました」
  2. 空軍はこうした改修で機体は2040会計年度まで飛行が可能となり、おそらくその後10年も供用できるはずと見る。2014年時点で空軍はKC-135を約400機保有し、現役部隊、予備隊、州軍に分散していた。
  3. 現在の構想ではKC-135全機を2024年までに新仕様に変更する。機材の稼働年数と高い需要を考慮するとブロック45改修の持つ意味は無視できない。
  4. KC-135Rは旧式KC-135の改修型でボーイングの製造ラインを最終機が出たのは1960年代初頭だ。一番大きな変更点はエンジンでプラット&ホイットニーJ57四基を出力が高く効率がすぐれるCFM-56四基に換装している。
USAF
KC-135R

  1. エイビオニクスやその他コックピット装備では変更がないのはボーイング技術陣の1950年代初頭の設計がいかに正しかったかの証明だ。エンジン改修以外にここ数年小刻みの改修が続いてきた。その最新のものが1997年から2001年にかけて続いたペイサー・クラッグPacer Cragでコックピット内あちこちと燃料制御まわりを交換した。
  2. 2001年には9/11テロ襲撃事件が発生しほぼ20年に及ぶ武力衝突が開幕したが、給油機支援の需要が中東、中央アジアからアフリカにかけ急増した。それ以上にヨーロッパと太平洋でも安全保障問題を反映し給油回数が増えているのはテロ問題だけが理由ではない。
  3. だがKC-135が何と言っても空中給油の大半を実施している。空軍のKC-10エクステンダーも60機未満だが大きな存在だ。海兵隊と並び空軍にもC-130ハーキュリーズ原型の小型給油機が少数あるがヘリコプター支援を主な任務とする。
  4. そこで空軍はブロック45になった作業の開発を開始した。2010年から2016年にかけて空軍は900百万ドルを研究開発に投じ、KC-135改修の方向性を探り、試作をしてから改修キットを各方面に供給した。185隊の機体もその一部だ。
  5. 機齢のため新型装備の搭載は実は大変だ。技術陣は相当の時間をかけ冷戦時の機材にどう搭載すべきかを検討した。
  6. 「古い配線を取り換えて液晶ディスプレイやその他装置を付けるのは数人分の仕事です」とティンカー基地でブロック45改修の主任を務めたベリンダ・シャンツBelinda Schantzが空軍広報誌2017年1月号の取材で語っている。「搭載をややこしくしたのはスロットルやトリム操作輪がフライトデックの中央についていることだった」
  7. だが2016年末になると事業は大きく進展し、45機を新仕様に改修できた。その前年に空軍はそれまでロックウェル・コリンズで行っていた改修作業を全部ティンカー空軍基地に集約した。
  8. 現時点でロックウェル・コリンズに105百万ドル相当の改修作業が残っているが、当初の契約通りにKC-135全機の改修をするのか不明だ。それでも長期事業のうまみがあることがユナイテッドテクノロジーズ(エンジンで有名なプラット&ホイットニーも傘下に収める航空関連巨大サプライヤー)がロックウェル・コリンズの買収に意欲を示している理由なのだろう。
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ブロック45改修に先立ちKC-135Rのコックピットで配線まわりの段取りをする技術員 
  1. いかに先進的な装備を搭載してもKC-135の基本構造が対応できなくなる可能性を心配する向きがある。KC-135は2016年で60歳を迎えた。空軍が同機運用を2050年まで継続するのであれば製造が一番新しい機材でも90歳となる。
  2. 長距離統合防空体制と低視認性多機能戦闘航空機材の登場の前に非ステルス支援機材がどれだけ脆弱な存在であるかを論じるのはいかにも正しく聞こえる。だからと言って今後の世界でKC-135に出番がなくなるわけではない。防護体制の十分な空域でなら今後も十分に有用性を発揮するはずだ。試験訓練用途にも投入されよう。
  3. また空軍がステルス給油機開発に乗り出さないのであれば、戦術面、調達面で変化する今日の戦闘状況に対応させる必要がある。KC-135にも防御装備が搭載されるかもしれない。電子戦装備や監視装置で脅威対象をよりよく把握できるはずだ。あるいはレーザー防御装備も今や可能性の域に入っている。
  4. 大事なのは需要が増える一方で、空軍は新型給油機の調達に苦労していることだ。遅延が重なるボーイングのKC-46Aペガサスはいまだに第一線投入のめどがつかない状況だ。その間KC-135部隊の負担は軽減されない。
  5. 現状では米空軍のKC-46A調達数は180機ほどで第一陣の稼働開始は2018年の予定だ。委託業者が自ら運用する給油機が現在KC-135が務めるミッションの一部を肩代わりする可能性もあるが、400機でこなす分の完全代替は不可能だ。
  6. ということは世界情勢が劇的に変化しない限り、KC-135多数で当面需要が消えることはなく、ブロック45改修で対応せざるを得ない。■
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2017年9月6日水曜日

あまり意味のないトランプ大統領の日韓向け武器売却拡大発言


これも言葉の遊びでしょうか。今必要なのは日米を中心に韓国もしっかりと抑止体制を示すことのはずで、空母打撃群、爆撃機、ミサイル潜水艦など目に見える形の示威行動をすることのはずです。いきなり大量の武器を買えるわけでもなく大統領の発言は空虚ですね。


Trump pledges new weapon sales for Japan, South Korea

トランプ大統領が日本、韓国への新規防衛装備売却に前向き姿勢を示す

A model of the Lockheed Martin F-35 Lightning II is displayed during a press day of the Seoul International Aerospace and Defense Exhibition in Goyang, north of Seoul, on October 28, 2013. Both South Korea and Japan have agreed to purchase the jet, which could be used to strike at North Korea. (Jung Yeon-Je/AFP/Getty Images)



WASHINGTON —  北朝鮮第六回目の核実験を受けてドナルド・トランプ大統領は日本、韓国向け防衛装備販売の増加を確約している。
  1. 9月5日午前のツイッターでトランプ大統領は「日本及び韓国に今以上の量の高性能軍事装備を米国から売却する」と述べた。月曜日には韓国大統領文在寅との電話会談でトランプ大統領は「数十億ドル相当の軍用装備および機器を米国が韓国に販売する」と述べていた。
  2. ホワイトハウス発表では米国は韓国向け兵器のペイロード制限を解除するともある。
  3. 韓国、日本ともに米国に近い軍事同盟国であり防衛装備購入の常連でもある。ハイエンド装備として米国が両国に売却中の装備にF-35共用打撃戦闘機がある。
  4. 韓国はこの動きを歓迎するだろうが、両国に数週間で一気に多量の防衛装備が売却されるわけではない。
  5. 海外軍事販売制度はその性格から見てトランプが売却を認めてもすぐ両国にに引き渡しできるわけではない。FMSでは海外国はまず購入希望の対象を伝える必要があり、その要望を国務省が検討し、購入希望品が法規に触れないか、その他規制面での処理を終えてから議会に通告し承認を受ける必要があるのだ。
  6. その後、該当国はペンタゴンと価格、数量を交渉し、業界とは日程調整に入るが、数年に及ぶこともある。妥結次第、産業界が生産に入る。このため該当国が購入希望表明から供用開始まで数年かかるのは普通だ。
  7. とはいえ、かねてから導入を検討中の装備が両国にあるのも事実だ。
  8. 注目は米国が韓国に圧力をかけているTHAAD最終段階高高度広域防衛ミサイルシステムの完全配備が実現するかだ。現状では発射機6基配備予定のところ2基しか設置できていないためだ。韓国に誕生した新政権の懐疑的な態度が配備の遅れの原因だ。
  9. 日本はミサイル防衛技術に関心を示すだろう。8月17日にワシントンを訪れた小野寺五典防衛相は「新型装備の取得」の推進に期待しているとミサイル防衛を念頭に発言しており、日本メディアはイージス・アショアの調達のことと解説している。
  10. 北朝鮮の7月ミサイル発射を受けて文大統領は国内メディアに「一時的に」THAADシステム6基体制の配備を検討すると発言していた。平壌がさらに核実験を実施したことでホワイトハウスが文政権に圧力をかけ完全配備を恒常的に認めさせるのではないか。
  11. 今回のトランプ大統領のツイートの前には米国が「北朝鮮とビジネスを続けるすべての国との交易を停止する選択肢を検討している」と述べていた。.
  12. 経済に詳しい専門家はさっそくこれを実施するのは機能的に不可能と指摘している。北朝鮮の貿易相手国にはインド、パキスタン、ブラジル、サウジアラビアがあり、なんと言っても中国が控えている。■
Updated 9/5/17 at 11:25 AM EST with more information.