2017年12月12日火曜日

★シリア上空でF-22を追い払ったとロシアが発表しているが....

U.S. F-22 Raptor Allegedly Interfered With Russian Su-25s Over Syria And “Chased Away” By Su-35S, Russian MoD Claims

シリア上空でロシアSu-25を妨害してきた米F-22ラプターをSu-35Sが追い払ったと
ロシア国防省が発表


Dec 09 2017 - 55 Comments




F-22一機とSu-25(2機)およびSu-35S(1機)がシリア上
空で遭遇する事件が数週間前に発生したのか。詳細は
不明だがCENTCOM(中央軍司令部)は「真実ではな
い」と述べている。
ロシア報道では遭遇場所はユーフラテス川西方で11
月23日のことだ。ロシア国防省報道官イゴール・コ
ナシェンコフ少将は「米国がロシア軍の任務をまた
妨害しようとした」と述べる。

ロシア報道ではF-22がイスラム国空爆中のSu-25編隊
を妨害してきたのでSu-35Sが緊急発進したとある。
スプートニクが以下伝えている。
「米F-22はロシアSu-25攻撃機二機の任務実施を妨害
してきた。F-22が熱フレアを放出しエアブレーキで
機体制御してきたのは戦闘同様だった」

ロシア国防省は「ロシアの多用途高性能戦闘機Su-
35Sが加わると米戦闘機は危険行為をやめ、イラク空
域に逃げていった」としている。

本当は何があったのか。以下の説明が必要だ。

  • そもそもF-22がなぜ単機で飛行していたのか(実はもう一機が近辺を飛んでいたのでは)
  • なぜステルス機のF-22がフレアを放出したうえ異常行動をとったのか (直接交信できないため米パイロットがロシア側に注意喚起したのか)
  • F-22は「力の示威」ミッションにあたっていたのか
  • シリア上空のRoE(交戦規則)はどう理解されていたのか
  • 近辺に別の連合軍機材は飛んでいなかったのか。何らかの関与はしていなかったのか。
  • フメイミム基地を緊急発進したSu-35がF-22を追い払うことが可能だったのか。フランカーがラプターの位置に加わり、空域からの退去を説得したのか。
追記
CENCOMより以下の電子メールが届き、言われるよ
うな事態はなかったとロシア発表を否定している。


「発表内容は真実ではない。2017年11月23日の飛行
記録によれば連合軍機材がユーフラテス川の先に飛ん
だ記録はない。言われている11月23日にロシア戦闘
機が逆にユーフラテス川を東に越えて連合軍の運用空
域に入る事態が9例あり、衝突回避の事前通話連絡は
なかったため連合軍とロシア軍の機材にリスクが生ま
れた。また連合軍の地上部隊の活動にも悪影響が出
た。
「連合軍がデーイシュを保護あるいはデーィシュ空爆
に消極的との主張は虚偽だ。発見しだい徹底的な空爆
を与えている。シリア空域でロシアとの衝突を積極的
に回避しているがデーイシュ敗北の目的に変わりはな
い。この点で各国と共通の目標だ。ロシア軍とは衝突
回避しながらデーイシュ空爆をシリア国内でも続けて
いく。

報道内容は2017年6月18日の事態を想起させるものが
あり、F/A-18Eスーパーホーネット(VFA-87 “Golden
Warriors所属、パイロット マイケル・トレメル少
佐)がシリアアラブ空軍所属Su-22フィッター一機を
レサファ(ラッカ南西40キロ地点)で撃墜してい
る。これはフィッターが連合軍の友軍の現地防衛隊を
爆撃したためである。その時点で合同任務部隊が発表
した声明文は「連合軍の任務はシリア政権との戦闘に
あらず、ロシアやその他勢力と戦うことでもないが、
連合軍の友軍をいかなる脅威から守ることについては
躊躇しない」
いずれにせよ確認が取れれば11月23日がシリア上空
でのF-22とF-35の初の「公式」接近遭遇であったこ
とになる。

Su-35は4++世代戦闘機として高度の操縦性を誇る。
ステルスではないが、イルビス-EのPESA(パッシブ電
子スキャンアレイ)や長距離IRST(赤外線探査追
跡)を装備する。(ロシアによる説明だが)ステルス
戦闘機も90キロ先から探知可能と言われる。■


2017年12月11日月曜日

★F-22改修の最新動向

 

Beware, North Korea: The Air Force is Preparing the F-22 for 'War'

北朝鮮よ心せよ、空軍がF-22を「実戦」投入に向けて準備中


December 8, 2017


米空軍はF-22用の新ソフトウェアと兵装をテスト中で戦闘力がさらに高まる。
空軍関係者によるとF-22の機能改修を2019年までに開始し、AIM-120D、
AIM-9X空対空ミサイル運用のほか、高性能地上標的捕捉能力が実現する。
F-22が運用するAIM-9Xは現在ブロック1で改修でブロック2が使用可能となる。

 テストは3.2Bソフトウェアを対象に兵装のアップグレードに迅速対応できるかを
見ている。ロッキード・マーティンが重要なソフトウェア改修の作業中で2020年
までに完成する。

「F-22用の3.2Bプログラムではハードウェアとソフトウェア両面でF-22の威力を
高めるのが目的でAIM-120D、AIM-9Xを活用します。テスト結果は初期作戦テスト
評価段階 (IOT&E) に入りました。運用機材でテストしアップグレードの効果を
評価するとともにパイロット、整備陣の双方で扱えるかをみます。IOT&E結果で
本格製造を決めます」と空軍報道官エミリー・グラボウスキ大尉が語っている。

 AIM-9Xの開発元レイセオンによればブロック2では信管を再設計しデジタル式
安全装置により地上・飛行中で安全性が増した。電子系統も一新し発射後ロックオン
能力をデータリンクで実現し、視程外交戦も可能となった。

 AIM-120D高性能中距離空対空ミサイル(AMRAAM)は視程外で全天候運用可能となり、「打ちっぱなし」ミサイルにはアクティブレーダー誘導がついたと同社発表にある。
以前のAMRAAMより射程が延び、GPS誘導と慣性測距装置が付いた二方向データリンクが特徴だという。AIM-120Dには大角度視程外技術を応用し従来より広範囲の角度で使える。

 ソフトウェアとあわせてセンサーも一新する。データリンクの改良でF-22、F-35間の接続が楽になる。

 F-35もドッグファイトを想定しているが、同機の高性能センサーは敵脅威を遠距離で探知し、早期に遠距離からの敵撃破を助ける。360度探知可能なセンサーは分散開口システムと電子光学目標捕捉システムでいずれも遠距離で敵撃破を可能にするのでドッグファイトの必要は減るはずだ。

 F-35同様にF-22最新型にも合成開口レーダー、リンク16、レーダー警報受信機、目標捕捉技術が搭載されている。F-22は世界最強の空対空戦闘機だが、F-35とF-22でセンサー情報の交換を行えば今までにない戦術上の優位性が生まれる。

 例として両機はステルス機として敵領空に侵入し防空装備を破壊できる。安全な突入経路ができれば後続機が攻撃に加わる。その間はF-35が近接航空支援やISRミッションを行う想定だ。さらに両機がともに標的を識別しあえるので強みを合わせることができる。

F-35は長距離センサーと「センサー融合」能力で飛行中の標的を識別し、F-22が攻撃に特化するのだろう。

当然のことながら空軍関係者は中国のJ-20やロシアのPAK-FA Su-57を意識しており、米空軍の技術優位性の維持に懸命だ。

 その関連で、F-22とF-35は「ミッションデータファイル」と呼ぶ機内搭載識別データを地域別に利用可能で、データベースはレーダー警報受信機に統合され敵識別に活用される。

 2021年に予定される追加アップグレードで第四世代、第五世代機材間でデジタル交信が可能となる。

ステルス効果の維持

 ロッキード・マーティンはF-22の低視認性ステルス表面塗装の整備も受託している。

「同機の塗装表面には定期的整備が必要で、これで第五世代機としての低視認性が確保できます」とロッキードは説明している。

F-22の投入が増えていることから塗装整備の頻度も高まっている。さらにロッキード・マーティンは表面解析、レーダー断面積整備、アンテナ統合化も含めた支援を提供している。
F-22 の攻撃、スーパークルーズ技術
現在は無人機のデータを地上局からF-22に中継している。ただし、コンピューター技術の進歩でF-22も無人機データを直接コックピットで見られるようになりそうだ。さらに機内から付近を飛ぶ無人機を指揮統制できるようになる。空軍科学技術主任グレッグ・ザカリアス Greg Zachariasが解説してる。

 その説明では第五世代戦闘機に無人機の指揮統制機能が追加される。これにより無人機に敵防空体制を試させたり、ISRミッションの範囲を広げる効果が生まれる。

 F-22には合成開口レーダー(SAR)がつき、地表の様子が把握でき標的の識別に役立つ。SAR技術は一回地上に電波を送り戻ってきた信号から地形、距離、特徴を分析する。

 また「スーパークルーズ」性能でアフターバーナーなしでマッハ1.5で飛行できる。

 搭載する20mm機関砲を空対空あるいは空対地用途に使い、その他に精密誘導爆弾として共用直接攻撃弾のGBU32、GBU39を運用する。

 製造はロッキード・マーティンとボーイングが行い、エンジンはプラット&ホイットニー
F119-PW-100ターボファン二基にアフターバーナーと二次元推力偏向ノズルをつけている。
全長62フィート、空虚重量43,430ポンド、最大離陸重量83,500ポンドだ。

 空軍は同機を2005年12月に実戦化し、機体価格は143百万ドルと空軍資料にある。

 2014年にシリアのISIS空爆で初めて実戦投入された。航空優勢ミッションから地上攻撃の支援に回ったわけだ。

 ISISに高性能防空装備も戦闘機もないためF-22は自由に飛行し、現在も重要な支援効果を提供していると軍は説明している。■

Image: Creative Commons/Flickr.

2017年12月10日日曜日

多難なKC-46が完成形になるのはいつのことなのか

Mattis warns he will not accept the USAF's flawed

new tankers

国防長官が完全な形でなければ新型給油機は受領するなとUSAFに厳命
(Concept image from Boeing)
Christopher Woody Business InsiderDec. 07,


ム・マティス国防長官はペンタゴン調達部門に11月、
ボーイングから不完全なKC-46を受領する「つもりはない」と
述べたとブルームバーグが伝えている。
マティス長官はペンタゴンの兵器調達事業にはあまり関与して
こなかったが16年目に入った空軍の給油機更新について言及できる
地位にある。
ボーイングが新型機開発の契約交付を受けたのが2011年で空軍は
179機のKC-46を調達の見込みだ。だが、445億ドルの同事業は
技術と費用の両面で苦境にある。
政府契約によりボーイングは空軍の負担範囲を超えた分は
自社責任とされる。これまで同社は税引前で29億ドルを超過して
いる。
KC-46の納入は数年分遅れている。
2014年夏にはボーイングは機内配線で5億ドル相当の問題に直面
した。先に完成したテスト機材4機でこれが見つかった。テスト機
には給油装備はついていないままで2014年6月に初飛行予定だったが
実現できず、昨年末にやっとこぎつけた。
2015年には燃料系統でさらに5億ドルの自社負担になった。
2016年にはボーイングは契約上の義務である18機のKC-46の2017年8月
納期は技術問題のため実効不可能と発表した。F-16戦闘機への給油は
可能なのだが、問題は空軍の大型輸送機C-17への給油が「予想より高い」
圧力が給油ブームにかかることが判明した。
ブーム問題は解決が試みられたが、別の問題が浮上した。今度は
「カテゴリー1」問題でブームが給油中に機体をこする事態が発生したのだ。
機体損傷は軽微だったが、乗員にリスク要因となり、F-22やF-35に給油
すればステルス性の源泉たる機体表面塗装を傷めるかもしれない。KC-46の
給油ブームもステルス塗装で汚染されれば飛行できなくなる。ペンタゴンの
調達担当次官エレン・ロードは11月時点でこの問題は調査中と述べていた。
「カテゴリー1」問題が別に二つあり、深刻度はまだ低いものの見つかっている
が空軍はともに解決に向かっているという。
ボーイングの国防安全法相部門CEOは12月2日に自社設定した年内の
KC-46引き渡し開始は実施できそうもないと認めた。契約では2018年に
完全な機体18機と給油ポッド9基納入する義務がある。
マティス長官がボーイングの協力姿勢に触れている。
「空軍は契約が定めた形にない給油機を受領すべきではないと伝えてある」と
12月3日クウェートに向かう機内での記者会見で述べ他とブルームバーグが伝えている。
「空軍に正しい形の給油機はどうしても必要。納税者も給油機が正しい形に
なることを期待している。ボーイングには給油機を完成してもらう必要がある。
完成すれば世界最高の給油機になる」■

日曜特集 MiG-31ファイヤーフォックスのすべて

あなたはシャーロック・ホームズやホーンブロワー提督がお好きですか。そうでなければ今回の記事をお読みにならない方がいいでしょう。読んでも理解できない向きはコメントをお寄せにならないようお願いします。英国人が同じ記事を書いたらもっとおもしろくなるのでしょうかね。

 

The Story Of The MiG-31 “Firefox”: All You Need To Know About The Most Awesome (Fictional) Advanced High-Speed Interceptor Ever

MiG-31「ファイヤーフォックス」の物語:世界最高峰の(架空の)高速迎撃機のすべて

Dec 01 2017 - 0 Comments

 

  1. MiG-31について誤った情報が流布しているようなので訂正したい。
  2. クレイグ・トーマスが1977年に発表した小説「ファイヤーフォックス」はクリント・イーストウッド監督主演でテクノスリラーアクションとして映画化され、1982年に公開された。
  3. 航空好きなら一度は見たことがあるのではないか。
  4. 映画ではソ連のMiG-31(МиГ-31)を盗むプロットを中心にNATO名「ファイヤーフォックス」のステルス迎撃機はマッハ6飛行可能としていた。
  5. 機体外形は小説と映画で大きく異なる。小説版はMiG-25フォックスバットに似ており、これはその後本当のMiG-31フォックスハウンドで現実になった。映画版は当時噂のあった「ステルス戦闘機」のイメージに影響を受け未来的デザインになっている。
  6. 物語全体は実現性とは無縁だったが興味深いのはMiG-31の想定性能だ。(小説執筆時、映画化の時点で不可能だった内容がその後に実現している)敵レーダーから探知されず極超音速飛行するファイヤーフォックスではパイロットの脳波の思考制御で兵装運用していた。ただしロシア語による思考にのみ反応するのだった。機体にはカメラ多数が装備されパイロットは後方の様子も把握できた。
  7. MiG-31は試作機が二機製造された。一号機はミッチェル・ガント少佐(扮クリント・イーストウッド)がソ連から盗み出し追跡を振り切る。北極海の氷上に着陸し、潜水艦から補給を受けた。二号機が盗まれたファイヤーフォックスを追跡して接近したがドッグファイトでガント少佐が勝利した。
The MiG-31s involved in the dogfight. (Credit: Warner Bros)

  1. 映画版の機体をデザインしたカート・ベスウィックが自らファイヤーフォックスの詳細情報サイトを開設している。カートは技術諸元の「白書」もイラストにつけて公開しているが、「すべて映画からあるいは自分で作った情報なので真剣に取りすぎないでほしい。この形状では明らかに極超音速は無理であくまでも映画の世界」と伝えてきた。
  2. 白書から興味を惹かれる部分を抜き出し解説してみた。

開発の背景

  1. MiG-31ファイヤーフォックスの根本目的は西側が開発中のすべての機材を迎撃可能な戦闘機開発にあった。想定したのはSR-71ブラックバード、U-2BTR-1D-21無人機だった。冷戦は最高潮で、「相手を正直にふるまわせるため」米国はソ連上空でスパイ飛行していた。マッハ3.5のロッキードD-21無人機を「母機」SR-71から発射することがソ連の現実の悩みだった。米側は高度100千フィートから同無人機の運用に成功しており、ミコヤン-グレヴィッチはこれを標的に設定した。MiG-25フォックスバットの知見が使われ最高水準の機体が生まれた。ファイヤーフォックスは航空技術の最高峰であり、米国はこのことを認識していた。
  2. MiG-31予算は増大の一途で試作型2機以外の製造は期待薄となった。チタン加工法だけで当初の予算想定を超過する規模だったが関係者は構わず進めた。なによりも米国による上空飛行を許さないとの決意が強かった。ファイヤーフォックスは究極の高速高高度飛行迎撃機として設計されたのだ。

エンジン

  1. ファイヤーフォックスのエンジンはツマンスキ Tumansky RJ-15BD-600高バイパス比アフターバーナー付きターボジェット双発で推力は各50千ポンドだった。これはMiG-25フォックスバットで開発したエンジンを大幅に改良したものでSR-71ブラックバードの P&W J58(32,000lb)を上回った。
  2. エンジンには六基のソユーズ・コマノフ固体燃料ロケットブースターも付き、主エンジンを助けて15,900ポンドの追加推力を生んだ。重量満載時の離陸を補助したほか、高速加速効果も生んだ。テストパイロットがエンジンのフレームアウトが発生する高高度で作動させたこともあった。試作型一号機は131,079フィートまで上昇し、以前の世界記録Ye-266M123,492 ft.を更新した。
  3. コンプレッサーのブレイドはチタン製でロシア航空機産業で初の試みだった。燃料は冷却後にエンジンに供給され機体冷却にも役立てた。この技術についてはロシア情報部が入手したSR-71のシステムが参考になった。
  4. RJ-15BD-600は驚異の推力重量比を実現し、高高度でも空気取り入れ効率を維持してマッハ6を実現した。ただし燃料消費が高くなるため最高速度の長時間維持は不可能だった。巡航速度はマッハ3.8から4.8の間で実用高度は 95,000フィートから105,000フィートの間だった。
The Firefox at the rendezvous with a submarine in the arctic (Warner Bros).

機体

  1. 機体は大部分がチタンとSS-118ステンレススチール・ニッケル合金でフォックスバット後期型と同様だった。MiG-31はチタンを大幅に取り入れたソ連初の機体で、1970年代中頃までにソ連の製造技術はチタン工法を習熟していた。ただし、レーダー吸収剤の追加により機体表面の高温化が問題となった
  2. この解決策の一つとして機体のアスペクト比と前後縁は切り詰められロッキードF-104スターファイターと酷似した。機首とエンジンナセルは滑らかな平面とし空気摩擦を最小にしながら抗力を減らした。リベットは表面を滑らかにされ、機体表面に突出部はなく、センサー等は機体内部に搭載された。機体表面の高温化に対応し主翼内に拡張可能な結合構造が採用された。兵装搭載はすべて内部とし、ミサイルは引き込み式発射装置を左右に配置した。熱対策が各種試されたが、結局巨大ヒートシンクで解決し、MiG-25と方向が違っていた。
  3. 機体に「ステルス」特性もあったが、高速と高高度飛行を前面に立ててどちらを優先すべきかで議論の種となった。ステルス性には三段の対策がなされた。まず機体構造は角ばりレーダー波反射をねらった。さらに表面にレーダー吸収剤(RAM)が施され当時の米国の技術と同じだった。次にMiGには電子対抗装置(ECM)で敵早期警戒をジャミングできた。ただし、ツマンスキエンジンの冷却だけはどうしようもなく熱追尾ミサイルの格好の標的となる点は同機最大の弱点といわれた。

エイビオニクス

  1. ファイヤーフォックスは思考制御による兵装運用を初めて効果的に実施した機体だった。機構は簡易かつ地味な構造で、ヘルメットを中央コンピューターに光ファイバーで接続していた。パイロットが兵器選択を考えると(ロシア語で)、その通りにミサイルを発射する仕組みで、EEGフィードバックと呼ばれた。操縦は思考とは別で、兵装運用だけに応用した。当時はフライバイワイヤは新技術とみなされていたが、思考制御は革命的だった。ミコヤン-グレヴィッチは合成開口レーダーも開発し偵察ミッションにも柔軟に使われた。
The MiG-31 Firefox had a range of 3,000 miles. (Warner Bros).

 

ファイヤーフォックスのその後

  1. クレイグ・トーマスの小説版のファイヤーフォックスのその後の経緯とは異なる。あれだけ苦労して盗み出した機体が(次作「ファイヤーフォックスダウン」で)墜落してしまうとはあまりにも荒唐無稽なためだ。代わりに判明している事実に従ってその後の経緯を伝える。映画では実寸大のファイヤーフォックスのモックアップがエドワーズ空軍基地周辺で使った。そこで同機の「経緯」を以下の通りだ。「ソ連から盗んだ機体を米軍幹部はどうするだろうか」と考えてみた。まず機体は映画の最後でアラスカに向かい飛行したので北部カリフォーニアに秘密基地があると考えるとビールAFBが設備が整い立地も遠隔地だ。(実際に同基地でSR-71TR-1が運用されていた) 同基地で初期点検と研究がなされただろう。その後、グルームレイクに移動し、ロシア製軍事装備を運用する「レッド・ハット」飛行隊に加わったはずだ。
  2. 機体は大部分が分解されリバースエンジニアリングされたはずだ。最終的にエドワーズAFBに併設したドライデンフライトリサーチセンターに移動し、高速飛行テストと合金技術の研究用に使われその生涯を終えたはずだ。思考制御方式が関心を呼んだことは間違いない。そこからの可能性は無限で、おそらくF-22ラプターも今とは大きく異なる方向に進んでいただろう。

結論

  1. ミコヤン-グレヴィッチ設計局はロシア軍用機の特徴である「荒っぽいやり方」を使い西側の追随を許さない航空機を一貫して実現してきた。同設計局は当時可能な選択肢で多様な方法を試した。西側は同機が開発段階にある段階からこの事を察し、完成した同機を盗み出すことに成功し、あと一機のみ残るMiG-31試作型の破壊にも成功した。
  2. 両機を喪失したため支出済み予算はムダとなり、主要技術陣も他界したため、ミコヤン-グレビッチはファイヤーフォックスの再起を断念した。このため世界最強かつ最高の技術を盛り込んだ機体は二度とこの世にあらわれなかった。以上がファイヤーフォックスの語られることのない側面だ。同機に関する全記録は製造装置含め同機が盗み出された直後に廃棄されており、ロシア航空関係の文献では同機に関する言及は皆無だ。ロシア高官にとってここまでの性能がありながらばつの悪い終わり方になった同機の存在は都合の悪い話になのだろう。■

https://theaviationist.com/2017/12/01/the-story-of-the-mig-31-firefox-all-you-need-to-know-about-the-most-awesome-fictional-advanced-high-speed-interceptor-ever/#5RfQqZwgL5D1TtSg.99 で詳細を読む