2019年11月25日月曜日

イラン偵察に米軍はRQ-170センティネルを投入している


Yes, America Is Using Stealth Drones to Spy on Iran

It is very likely.
November 21, 2019  Topic: Security  Region: Middle East  Blog Brand: The Buzz  Tags: StealthStealth DronesRQ-170IranU.S. NavyU.S. Air Force 
Key point: Drones carry less risk to human pilots, but are easier to escalate with.
軍が中東で展開中の機材にはF-15E戦闘爆撃機、F-22・F-35ステルス戦闘機、B-52爆撃等がある。
だが米国と域内同盟国サウジアラビア等の緊張がエスカレートし、イランおよびイラン支援を受けるイエメンのフーシ反乱勢力が他方に控える中、別の機材を投入する検討があってしかるべきだ。
ペンタゴンはペルシア湾岸で広範囲な偵察情報収集活動を展開中で、衛星、無人機、地上及び海上配備のセンサー類を駆使している。
イランが2019年6月に米海軍のグローバルホーク無人機を撃墜し、この体制に陰りが見えた。だが、別のステルス機を投入すれば高高度飛行可能だが非ステルスのグローバルホークの補完ができる。
米空軍はアラブ首長国連邦でRQ-170センティネル・ステルススパイ機の運用にふさわしい航空基地を2010年に調査している。
情報の公開法でジャーナリスト、ジョー・トレヴィシックが入手した文書には空軍の航空戦闘軍団が内部メモを回覧しており、「配備前調査」としてアル・ダフラ航空基地にRQ-170を展開する調査をしたことがわかる。
RQ-170部隊は小規模ながら関係なく多忙だ。第30偵察飛行隊は空軍とCIAの共同部隊で通常はネヴァダ州トノパに駐留し、30機近くあるRQ-170を運用する。同期はロッキード・マーティンが2000年代初頭に製造した。
センティネル各機は2003年の米主導イラク侵攻で偵察活動を展開した。コウモリ形状の同機の写真をジャーナリストがカンダハール基地で2007年に撮影した。2009年に空軍はセンティネルの存在を公表したが、詳細は発表していない。RQ-170はネイヴィーSEALsによるオサマ・ビン・ラディン強襲作戦(2011年)でパキスタン上空を飛行していたと伝えられる。
2011年12月におそらくカンダハールを発進した同機がイランとパキスタン国境に墜落し、イラン軍が捕獲した。同機はイランへの偵察活動に従事していたと見られ、核兵器開発を監視していたのだろう。
イラン技術陣は同機を研究し、粗雑なコピー機を短時間で製造した。
航空戦闘軍団では2010年9月27日の日付で別文書も回覧されており、アル・ダフラ航空基地を同機の展開先と特定している。センティネルは非ステルス機のプレデターやリーパー同様に空軍がCIAと運用し、三機一組とし一機を対象上空に常時滞空させ、残りを整備あるいは移動させているようだ。
同基地をセンティネル運用場所として調査したことで、極秘無人機の運用体制の実現のめどがついたのは2010年10月7日のことで、米空軍代表団がUAF空軍関係者と会談している。同国空軍は米空軍の強力な強力相手で米製プレデターやF-16を運用している。
一連の調査や会談でセンティネルはアル・ダフラ基地からの運用が可能となった。ステルスの同機によりイランを取り巻く米軍の問題は解決した。イラン空軍がイラン領空付近で米無人機を迎撃する事例が増えていたのだ。
2012年11月にはイランのSu-25攻撃機がMQ-1プレデターに実弾射撃した事例が発生した。射撃は命中しなかった。2013年3月にイランのF-4戦闘機がまたもプレデターを迎撃したが、今度はF-22により追い払われた。
プレデター等では探知を逃れず、救援が必要となることもある。だがセンティネルは単独飛行し、探知が困難な機体形状を活かし、イランのレーダーもレーダー波吸収剤で無効にできる。
2019年にはステルス機投入の声が強まった。MQ-4Cをイランのミサイルが撃墜したためだ。その後はレーダー探知が困難なセンティネルがイラン周辺を飛行しているのは確実だろう。■
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This first appeared in September 2019.

2019年11月24日日曜日

米英安全保障の新時代へ 英空母で米海兵隊機材を運用



UK, US Enter New Era: ‘Unprecedented’ Carrier-Sharing Plan

“We’re not talking about interoperability anymore, we’re talking about proper integration to a level we’ve never seen,” Fleet Commander Vice Adm. Jerry Kyd told me on the deck of the UK's new carrier. 

on October 21, 2019 at 1:44 PM

一国では十分な安全保障が実現できない時代になっているのでしょうか。これまでの同盟関係の先をゆく運用統合が始まっています。NATO加盟国によるAWACSや大型輸送機の共同運行、仏独両国の部隊運用に加え、イギリスの新鋭空母が米海兵隊のF-35B運用を始めます。価値観を共有する同盟国であることが第一の条件のようですが、翻って日本はだれと組めるでしょうか。

英海軍が自国保有機のVTOL着艦を新鋭空母で初めて実施した。. Pic: Paul McLeary)
<HMSクイーン・エリザベス艦上にて> 米海兵隊のF-35B部隊が英新鋭空母艦の処女航海で艦上展開をする。これだけ親密な同盟国同士でさえ「前例のない」一歩となる。
「共同作戦体制はもはや話題ではない。いままでにない統合体制の適正なレベルを話題にしています」と英艦隊司令官ジェリー・キッド中将が大西洋上で航空機の離着艦を訓練する同艦で語った。
英空母での米海兵隊運用は「開闢以来前例が無い」と同中将は述べ、「同じことができる別の2国の組み合わせはないでしょう」という。
キッド中将以下英海軍関係者は米英両国の「特別関係」を高評価する。米海軍トップは世界の反対側から両国海軍の密接な連携の理想を語っている。
「両国の作戦環境では共通の価値観とあわせ集団的対応が海洋安全保障で必要だ」と米海軍作戦部長マイク・ギルデイ大将がベニスのシーパワー会議で講演している。
同大将は英海軍の能力向上とともにNATO各国との海上共同作戦の増加に触れ、マイク・ミュレン元作戦部長が当時1,000隻体制の海軍力整備を提唱していたことにを言及し、「1万隻でもいいのではないか。志を共有できる協力国と海洋コモンズを自由かつ開かれた形で維持すべく一緒にもっと多くの仕事ができる」
同盟諸国部隊との連携強化に向かう背景には中国海軍の急速な増強と強硬な姿勢があり、予測が困難なロシアの存在もある。「こちらは国際規範を守り、グローバル経済の繁栄を促進し、世界各地の水路を航行する権利を保護している。小国が大国にいじめられることをなくすためにもこれは必要だ」
同様にキッド中将も統合強化は潜在脅威各種のため必然と見ている。「中核となる同盟国と統合をもっと進めるべきだ。法に基づく国際体制が脅威を受ける中で西側の価値観を強化しつつ共同作戦を進める必要がある」と語る。
キッド中将は昨年秋の公試で米東海岸まで航海したクイーン・エリザベスの指揮を取り、今は英海軍全体の運用を取り仕切っている。昨秋は米F-35を同艦から運用したが、英海軍パイロットは自国保有のF-35Bの同艦からの運用を始めており、同機を空母艦上で運用する米国以外で初の事例となった。
QEには今回新設のウェストラント19空母打撃群としてタイプ45駆逐艦HMSドラゴン、対潜艦HMSノーサンバーランド、給油艦RFAタイドフォーズが加わっている。

英空母で米海兵隊機材を運用する意味

マイケル・アトレー准将は記者に対し、新型艦での新型機運用は「大きな前進の一歩であり、(空母運用の)復活だけの意味があるわけではない」と語る
F-35の先にウェストラント19空母打撃群のタイプ45駆逐艦HMSドラゴン、対潜艦HMSノーサンバーランドが随行している。
QEは今年7月から2021年の地中海中東方面への展開に備え準備中で、
英海軍が空母を運用するのは10年ぶりのことになる。
新型空母は最初からF-35運用を念頭に建造されており、
英関係者は「第五世代」艦としてインヴィンシブル級空母から大きな前進
になると強調。インヴィンシブルの退役は2010年で、誇り高き英海軍の伝統
の中で空母不在の時間が続いていた。
「本艦は英国の戦略で大きな意味があり、英国最大級の艦艇だが
米海兵隊との共同運用が可能であり、これも大きな推進力となる」
(キッド中将)
米海兵隊との統合と並行して海兵隊は米海軍とあらたな戦力構造評価を進め
ているなかで、今年末に評価がまとまり両軍の連携がさらに強化する見込み
だ。ほぼ20年間中東での地上戦に終止してきた海兵隊には大きな変化となる
海への回帰であり、無人機によりF-35Bの空中給油を試行し、太平洋地区の
未整備拠点での運用を目指しているのも伝統的な米国の海空での優越性
が消えつつある中での対応に過ぎない。
海兵隊上層部は将来の姿を模索する図上演習を実施すると先月発表したばかりで、
ギルディ大将は海兵隊総監デイヴィッド・バーガー大将とともに書簡をまとめ、
兵力投射の新しい姿を共同検討する。目標は両軍の教義の方向性を合わせ、
訓練や装備計画での補完機能の実現にあり、海軍は海兵隊部隊に移動手段と援護
だけを提供するだけにとどまらない姿勢を示している。
英海軍が米空母の不足状態を補完する?
QEが運用開始に備える中、英海軍がその中で大きな役割を演じる可能性
がでてきた。
QEの艦隊編入で「いきなり高度ネットワーク環境に入り、米軍と次の4、
5年にわたり、わずか10年前には想像もできなかった高性能機材の性能を
最大限活用する」とキッド中将は述べる。
英海軍のF-35運用2号艦HMSプリンス・オブ・ウェールズは北海で公試中
で2023年の初回配備に備えている。新鋭空母2隻が揃い、機材や任務を
米海軍、海兵隊と交換するのは米東海岸で配備の米空母がトラブルつづき
で予定通り出動できない中で大きな一歩となるのはまちがいない。

2019年11月23日土曜日

地味だが重大な内容の日豪防衛相会談結果、航空自衛隊の二国間演習規模が拡大へ、防衛省には報道発表の強化をお願いします

オーストラリアの防衛大臣が防衛省で河野防衛相との会談結果についてオーストリア国防省が以下公式発表しているのでお伝えします。

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2019 Japan-Australia Defence Ministers Kono/Reynolds joint statement on advancing defence cooperation

20 November 20

河野太郎防衛相はリンダ・レイノルズ豪防衛相の東京公式訪問で11月20日、二国間防衛協力の推進を確認し、インド太平洋地区の安全保障面の動向を重大課題と強調し、日豪協力を強化するとした。
両大臣は本年に入って防衛関係での進展を認識し、ジェット戦闘機部隊間の演習BUSHIDO GUARDIANの初実施と航空自衛隊が米豪合同演習TALISMAN SABREに過去最大規模で加わった。
両大臣は2020年に向け今回の覚書の実現をめざし、特別戦略提携関係を深化させ、自由で開かれたインド太平洋地区での包括的かつ繁栄の実現に努める。
さらに両大臣は防衛協力推進を確認し、演習、人事交流、宇宙サイバー空間での方策、防衛技術分野を列挙した。この目標に向け、両大臣は以下を確認した。
  • 航空自衛隊によるPITCH BLACK演習参加を2020年に開始する。同演習はオーストラリアで実施する。BUSHIDO GUARDIAN演習は日本国内で実施する。
  • オーストラリア陸軍の連絡事務所を陸上自衛隊内に設置し、共同作戦実施体制を進める。 
  • 国防関連研究者技術者の交流をめざした事業を開始し、両国による国防研究開発の実効性を高める。日本からは防衛装備庁が、オーストラリアからは国防科学技術グループが担当する。
両大臣は両国の共同作戦ならびに演習の企画、実施、法的措置に関する双方向アクセス体制の実施に向けた努力を今後も続ける点で合意。
両大臣はインド太平洋地区での二国間協力で国防安全保障関係を強化し、能力整備、海洋安遠保証、人道援助、災害救難での今後の取組を再確認した。
両大臣は日、豪、米参加国の防衛協力の推進を再確認した。
両大臣は域内問題として南シナ海、東シナ海、北朝鮮で見解を交換した。
両大臣は一連の弾道ミサイル発射を実行した北朝鮮について意見交換し、域内安全保障への重大な脅威とし、ミサイル発射は国連安全保障理事会決議への違反とした。
両大臣は北朝鮮に完全かつ検証可能で不可逆的な形で大量破壊兵器ならびに全種類の弾道ミサイルの廃棄を実行させる姿勢を保持し、関連する国連安全保障会決議全てを遵守させ、国際的取り決めの完全実施を求める。
両大臣は両国が関連国連安全保障理事会決議の実施として船舶間の洋上受渡しなど不法行為の抑止、途絶、撲滅に向けた国際協力の継続を歓迎・評価した。■


本件、防衛省では結果について何ら声明文が出ていませんね。一部メディアは
  • 河野太郎防衛相とオーストラリアのレイノルズ国防相は20日、防衛省で会談し、安全保障面の協力を進展させることで一致した。日本で実施する戦闘機の共同訓練の定例化や、オーストラリアで来年開催される多国間訓練に航空自衛隊が初参加することでも合意し、共同声明を発表した。
  • 河野氏は、北朝鮮船が別の船に物資を積み替える「瀬取り」への対処など日豪の協力事例を紹介し「法の支配」の重要性を訴えた。レイノルズ氏は「両国はかつてないほど強固な関係を築いている」と応じた。
  • 相手国内で共同訓練を実施するため、隊員の法的地位を定める新協定の締結に向けて努力することも申し合わせた (山陽新聞)

と要点を伝えていますが、豪国防省と比べ防衛省の発信がないのが気になります。省内の姿勢もあるのでしょうが、国際社会では発信力が問われますので逐一情報を伝えてもらいたいものです。

中国が開発中といわれるJH-XX戦闘爆撃機はアジア太平洋で脅威となるのか



China's Mysterious Stealth JH-XX Bomber: A Threat to the U.S. Military?
Here is everything we know about it. 
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by Mark Episkopos
November 22, 2019  Topic: Security Blog Brand: The Buzz  Tags: JH-XX BomberJH-XXStealthStealth Bomber


はじめに

中国がH-20戦略爆撃機を開発中との情報が前から出ているが、戦闘爆撃機JH-XXも同時に開発中といわれるので、あらためて今わかっている情報をとりまとめてみた。
  1. JH-XXとは

中国人民解放軍空軍(PLAAF)が開発中のステルス爆撃機は二形式と国防情報局(DIA)が今年初めに報告書を発表した。その後の情報からひとつがH-20、長距離全翼型ステルス爆撃機で電子対抗装備をふんだんに搭載し、センサー融合機能も実現する。だが中国国防筋もPLAAFの二番目の機種については口を閉ざしている。.
DIAが「戦闘爆撃機」とするJH-XXはH-20が戦略爆撃機なのに対し戦術機の位置づけで、2018年に出た中国国防雑誌「航空宇宙知識」の表紙に描かれた機体がそれだという。そのとおりなら、機体は極めて通常形式ながら操縦性に優れた超音速爆撃機で兵装庫を備えている夜釣あ。JH-XXの想像図では双発エンジンのノズルや空気取り入れ口がステルス性能に配慮していることがわかる。
H-20ではステルスを最上段に構えた設計だが、JH-XXでは低探知性と速力、限定付きながらドッグファイト性能をバランスさせている。長距離対空ミサイルPL-15を搭載するではないか。また戦闘行動半径も2,000キロの性能となる。
.超音速域内爆撃機としてステルス長距離迎撃任務もこなすとされる。対艦、対空両面の性能が実現すれば、米空母戦闘群への対抗手段としてH-20より頼もしい存在になる。その点で中国の太平洋戦略に対応した機材で、第一列島線で十分な抑止力となり中国の台湾侵攻に介入を試みる外国勢力ににらみを効かせる。H-20とあわせ、つぎは第二列島線での中国軍事力の展開を実現し、グアムの米軍基地に脅威を与えるだろう。


  1. JH-XXは本当に開発中なのか

中国が次世代軍用機二型式を並行開発しているとうすれば要注意だ。H-20は公式に存在を発表する寸前まで来ており、PLAAFには2020年代中に編入される。一方のJH-XXは実際に開発が進んでいない可能性もある。「航空宇宙知識」誌の伝えた内容も結局は初期構想段階をそのまま伝えたものに過ぎない可能性もある。戦略、戦術両面の隙間を埋める存在になるとしてもJH-XXあるいは別の機体がすぐに実現する保証はない。
Image: Chinese Internet.

2019年11月19日火曜日

B-21導入まで米爆撃機各型はこうして運用される。B-52、B-1Bを中心に動向を解説

Air Force Maps it Future Path to 100 New B-21 Bombers

by
B-52に長距離核巡航ミサイルを搭載、B-2には最新の防空体制を突破させ、B-1Bは極超音速兵器を運用する....これは空軍が今後数十年にわたる運用構想が現実となった場合の話だ。
空軍の装備開発部門は各爆撃機が今後も戦力として活躍できよう懸命に企画中だ。兵装追加、エイビオニクスやネットワーク技術の導入に加え新型B-21の実戦化も課題だ。
上層部が『爆撃機不足』と呼ぶ現状への対応が企画の中心で、供用中機材の性能を最大限活用させるのがねらいだ。
「西側に爆撃機は156機しかなく、全部米国の保有機だ。長距離打撃能力の要求拡大に対応していく」とグローバル打撃軍団のティモシー・レイ大将が空軍協会主催のイベントで9月に発言。
現在B-2は20機あり、B-21は100機を導入する。
「B-21導入に向かう際の問題はどう実現するかだ。ロードマップはあるのか。今後数ヶ月、データをにらみながら可能な策を考える。保有機材の多くで今後は維持管理が課題となるので、費用対効果が最大な形で維持できるよう分析が必要だ」(レイ大将)
B-21の導入の進展が不明なままでは詳細面が決まらないが、構想では75機あるB-52は2040年代まで供用し、B-1は最低でもあと10年あるいは20年残し、B-2は大幅改修するとある。
「現時点ではB-21を100機とB-52の75機を想定する。昨年はこの構想が実施可能かをずっと検証してきた。B-1にも新装備を搭載すれば、B-52の負担が減らせる。問題は現有機材を賢く運用しながらロードマップを準備し規模拡大にそなえることだ」(レイ大将)
構想が成功するかは現有機材の近代化改修にかかっているとレイ大将は述べ、センサー、エイビオニクス、兵装、通信技術で就役後数十年経過した爆撃機を次の10年も活躍できるようにすることだという。
「B-21の機数が十分揃うまでは現有機材をうまく稼働できると信じる。外部ハードポイント追加、爆弾倉拡大が実現できるとよい」(レイ大将)
通常の整備に加え新規装備の統合に向けた努力も並行して進んでいる。空軍研究本部で空軍科学技術戦略をとりまとめるティム・サクリッチがWarriorに紹介してくれたのは空軍の科学技術部門では新技術の導入を加速化しつつ既存機材に応用する姿勢で、例として軽量複合素材、レーザーや極超音速といった新兵器、次世代ネットワーク装備等がある。
B-2とB-52で近代化改修が進んでいるのはこの構想の一部で、旧型機を全く新しい機材にする。自律化運用とAIを既存機種に折り込めば機能面で全く違う機体になり、残存性が高まり、攻撃方法にも選択肢が広がる。
「ネットワーク化兵装やシステムを有人・無人機混合運用で使う際はAIに依存することになる。運用面で違いが生まれるかを実証中だ。ネットワーク化兵装を実地運用し、戦闘状況で標的に向け発射し通信機能、最適化効果を見ているところだ」(サクリッチ)
B-1の今後
空軍はB-1に2つの方向性を想定し、機体改修案とB-21導入に伴う即時退役も考えている。
この2つは一見矛盾しているようだが、同機の威力を最大限にしつつ、B-21への機種転換の負担を軽減するねらいがある空軍関係者がWarrior Mavenに語ってくれた。B-21の就役は2020年代中頃の想定だがはっきりきまったわけではなく、B-1の完全退役は2030年代になりそうだ。またレイ大将からはB-1Bの爆弾倉で極超音速兵器を運用する実証の話題が出ている。
関係者はB-1史上で最大規模の技術改修が進行中とし、兵装運用能力の拡大とともにエイビオニクス、通信機材、エンジンを更新するという。エンジンについては当初の性能水準を維持し、標的捕捉機能、情報機能を新型にするという。
統合戦闘ステーションには乗員用画像装置、通信リンクがあり、飛行中にデータ共有できる。これと別に完全統合型標的捕捉ポッドがあり標的捕捉ポッドの制御と画像フィードをコックピットに送る。また500ポンド級兵装の搭載量を6割拡大する改装を行う。B-1の実戦デビューは1998年の砂漠の狐作戦で、JDAM数千発をイラク、アフガニスタンで投下した。高度40千フィートでマッハ1.25まで出せる同機の実用高度上限は60千フィートだ。搭載可能爆弾はJDAMの他、GBU-31、GBU-38、GBU-54がある。また小口径爆弾GBU-38も運用可能だ。
B-52は2040年まで供用 
B-52全機にデジタルデータリンク、移動式地図表示機能、次世代英日にオニクス、新型通信機をそれぞれ搭載し、さらに機内兵装搭載量の拡大と新型ハイテク兵装の導入が進んでいる。.
レイ大将はエンジン換装に向け作業が進んでおり、新型かつ燃料消費で優れたエンジンが各機に搭載されると強調。
B-52の機体構造が頑丈にできており2040年代更にその先までも飛行可能となるため空軍は最新式エイビオニクスや兵装など技術導入で十分な戦力を維持する。
またB-52の兵装搭載量も増加させるべく技術面で進展が進んでいる。
内部兵装庫改修(IWBU)により最新「Jシリーズ」爆弾を最大8発まで搭載しつつ、主翼下に6発を取り付ける。IWBUではデジタルインターフェースで回転式発射装置を運用し、ペイロードを増加させている。
B-52は以前からJDAM兵器を外部搭載してきたが、IWBUにより機体内部に最新式精密誘導方式のJDAMと共用空対地スタンドオフミサイル等を搭載可能となる。
また内部兵装庫の運用能力が拡大することで燃料効率の妨げとなる機外搭載を機内へ移し抗力が減る。
IWBU改修ではレーザー誘導JDAMの運用が最初に実現する。次に共用空対地スタンドオフミサイルJASSM運用が始まる。JASSM射程拡大型(ER)とミニチュア空中発射型囮装置(MALD)が続く。MALD-J「ジャマー」もB-52搭載されれば敵レーダー妨害に役立つはずだ。
ヴィエトナム戦争での爆撃ミッションが有名だが、近年もアフガニスタンで地上戦支援を行っており、この際はグアムから発進していた。
B-52も砂漠の嵐作戦に投入され、空軍は「B-52が敵兵力集中、固定目標、地下掩壕の広範囲に及ぶ攻撃に投入され、イラク革命防衛隊は戦意喪失した」とまとめている。

2001年の不朽の自由作戦のアフガニスタンで近接航空支援にB-52を投入している。イラクの自由作戦では2003年3月21日、B-52H編隊で約100発のCALCM(通常型空中発射巡航ミサイル)を夜間ミッションで発射している。■

2019年11月18日月曜日

そうりゅう級最終型が搭載したリチウムイオンバッテリーに注目が集まる


Japan’s Got a Stealthy New Submarine (With Some Very Interesting 'Batteries')

by David Axe 

2019年11月6日、日本で進水した潜水艦は従来型と異なるバッテリーを搭載し、潜航時の行動半径が拡大する。
川崎重工業がそうりゅう級ディーゼル電気推進攻撃型潜水艦とうりゅうを神戸で進水させた。全長275フィートの同艦はそうりゅう級12隻の最終艦であるとともに、姉妹艦おうりゅうに続きリチウムイオンパッテリーを搭載した。各艦はディーゼル発電機も補助動力用に備える。
そうりゅう級の潜航時最大速力は20ノット、浮上時は12ノットとされる。艦首533ミリ発射管6門から国産89式大型魚雷の他、ハープーン対艦ミサイルも発射できる。
とうりゅうは海上公試を経て海上自衛隊に早ければ2021年3月に編入される。日本は潜水艦19隻を運用中で、今後は22隻まで増強し中国の潜水艦増強に対抗する。
とうりゅうが搭載する新型バッテリーで哨戒期間が長くなるが、リスクもある。「リチウムイオンバッテリーというとスマートフォン、ノートパソコン他消費者向け製品でおなじみです」とH.I.サットンがフォーブスに寄稿している。
出力密度で従来型バッテリーを凌ぎ、小型化が可能となり、形状の自由度が高いため艦内におさまる。それでも潜水艦での普及は迅速とは言い難い。
それには理由がある。サムソンがギャラクシーノート7で苦しんだようにリチウムイオンバッテリーは発火しやすい。バッテリー発火が潜水艦で発生すれば直ちに深刻な事態となる。直近ではロシアのエリート潜水艦乗組員14名がバッテリー区画の火災で死亡している。
ただしこの事故は従来型で安全度が高いと言われる鉛バッテリーの場合だ。日本はリチウムイオンバッテリーの安全度を担保して洋上に出動させる方策を見つけたにちがいない。
潜水艦用の新型バッテリー開発では日本以外に、韓国も2020年代初頭の就役をめざす新型潜水艦にリチウムイオンバッテリー搭載を企画している。KSS-IIIバッチIとして3隻の建造が予定され、初号艦は2018年9月に進水している。
韓国の新型潜水艦は魚雷の他、垂直発射管を備え、対地攻撃用巡航ミサイルを発射する。同艦の潜航時最大速力は20ノットになる。
韓国は民生部門に続き潜水艦建造でもリチウムイオンの利点を活かしたいとする。だがリチウムイオンバッテリー技術があっても日本はオーストラリア向け潜水艦建造案件を受注できなず、オーストラリアはフランス案を採択した。
台湾は日本からの技術援助を期待している。同国は1980年代の旧型艦の更新にむけ苦しんでいる。台湾は潜水艦戦での遅れを自覚しており、米国、日本他の技術支援が必要と痛感している。
台湾政府が予算全額を計上すれば、海外技術を応用した潜水艦建造が始まり、台湾海軍の新世代潜水艦1号艦は早ければ2026年に就役する。
日本は次世代潜水艦用バッテリー開発に取り組んでおり、さらに技術面で進展が生まれそうだ。リチウムイオンバッテリーの改良により、ディーゼル発電機が不要となる潜水艦を日本が建造するようだ。
日本が進める次世代艦29SSはリチウムイオンバッテリーのみを搭載するとサットンは報じている。■

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad.