2019年12月4日水曜日

次期戦闘機開発で日本がテンペスト事業に加わる可能性はあるのか。日本がめざす機体は超大型戦闘機になるのに

Aviation Week & Space Technology

Japan Could Pick And Choose Components From Tempest

日本がテンペスト開発に加わる可能性

Nov 29, 2019Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology

本は2030年代を視野にした次期戦闘機を国際協力で実現したいとしながら、開発の主導権は握っていきたいと言ってきた。ただし同国の戦闘機開発の知見は限られたものにすぎない。想定する機体は西側各国の機材より相当大型になる。米国からの共同開発の提案はない。

そうなると選択肢は国産開発しかないが、海外からの技術支援はありうる。

日本の参加を促す英国

とはいえ日本が英国のテンペスト開発事業に参画する可能性は残されている。テンペストには英空軍、BAEシステムズロールスロイスMBDAが加わり、日本他が加わる余地は残っていると英国防省で戦闘航空機開発を統括するダニエル・ストー空軍准将は語る。

ストーの示すモデルでは日本も自国用戦闘機の大きさを選択する柔軟度が残る。この手法だと日本は開発の主導権を確保しつつ開発費用の切り下げ効果を装備共有で実現できる。

日本は2018年に自国による戦闘機開発を公言しており、テンペストあるいは仏独共同開発の将来型戦闘航空機(FCAS)事業に参加しにくいように見える。だがテンペストと日本のめざす次期戦闘機に共通項があれば、日本も事業の主導権を握ったままの開発と言い張れるはずだ。

BAEシステムズはテンペストを東京で11月開催された防衛装備展示会で大々的に売出していた。FCAS陣営からはコンセプトの展示はなかった。展示会でストーは柔軟な開発協力体制を披露したが、日本側関係者はテンペストへの参加に論評を避けていた。

11月1日付けのフィナンシャルタイムズ取材で河野太郎防衛相は欧州で進む開発事業への参加について否定的なようで、日本としてはあらゆる可能性を希求しつつ米軍との共同作戦体制を維持していくと語っていた。ストー准将はこの点に触れ、米国との共同作業は英国にとっても高い優先事項だと強調した。

日本に残されているその他の国際協力には国産開発に外国企業の技術支援を得ることがある。ロッキード・マーティン韓国航空宇宙工業を支援し、KF-Xの実現をめざし、BAEはトルコ航空宇宙工業とTF-Xの開発を同様に進めている。

ロッキード・マーティン、ボーイング、あるいはノースロップ・グラマンとの共同作業で日本は米軍による日本防衛負担の一部を精算できる。だが技術支援経費として米国が得られる金額はわずかなものにすぎず、さらに次期戦闘機の前に日本はロッキード・マーティンF-35ライトニング147機の導入を決めている。

防衛省は次期戦闘機開発を令和2年度開始事業として予算要求している。ただし直ちに本格開発が始まるのか、小規模で次第に本格化していくのか方向性がはっきりしない。

fighter

BAEシステムズが DSEI Japanで展示したテンペストの模型. Credit: Bradley Perrett/AW&ST

 

これまで日本政府は遅くとも2024年3月までに開発を開始するとしていたが、三菱重工業始め日本企業側からは早期の開発開始を求める声が高い。各社ともF-2で培った技術の若手技術陣向け継承を期待している。英国はテンペストの本格開発開始は2025年以降とするが、部隊供用開始の目標2035年は日本と共通する。他方でFCASは2040年の就役を目標とする。スウェーデンとイタリアはテンペストの初期開発研究段階に加わる意向を示している。スペインはFCASに加わる決定を下している。今回提示の協力事業の構想だとこれまでの標準形態にかわるものとなる。パートナー国どうしで交渉に数年かけて各国に撮って受け入れられる設計に落ち着くというのがこれまでの形態とストーは解説。ただ最初から合意を目指さない形態で時間も予算も節約できるとし、自国向けの設計部分は自己負担とすることになるという。

 

日本が考える次期戦闘機はここまで大きな機体となる

防衛省の研究では非常に大型の戦闘機として空虚重量が20トンという数字が出ており、これはロッキード・マーティンF-22を上回る規模だ。航続距離の長さと機内兵装庫の大きさが鍵だという。

西側が供用中の最大の戦闘機でもこの3分の2程度しかないが、ストー准将はテンペストの大型版も決して不可能ではないとする。2018年にファンボロ国際航空ショーで展示されたモックアップはF-22より大きかった。

ただし、英国はじめ欧州各国が求めるサイズはこれより小さい。とはいえ今回の協力形態なら日本は自由に機体を構成でき、エンジン、兵装、ソフトウェア、エイビオニクスを各国と共有できる。ソフトウェアのアーキテクチャは最初からオープンで各種プログラムが簡単に搭載できる。

テンペスト開発陣は搭載システムや性能の選択を検討しつつ、搭載する兵装や同時運用する無人機も検討する。

テンペストでは機内発電容量も相当必要になるとストーは述べ、兵装庫はペイロードベイとなり、追加燃料を搭載すれば航続距離も伸びるし、偵察装備の搭載もありうるという。

 

財務当局の思惑

日本の財務省が次期次期戦闘機開発に民間資金活用を主張しているのは、民間意欲を契約企業に享受させて開発失敗を回避したいためだ。契約企業各社は戦闘機開発で実用化した技術を民生用途に転用して利益を確保できるというのが財務省の説明だ。財務省は大きな影響力を有するとは言え、最終決定を下す省庁ではない。

「過去事例から次期戦闘機でも予算超過や日程遅延の危険は十分あるのはあきらか。とはいえ民間部門に恩恵が生まれるのも確実だ」と財務省は10月の財政諮問委員会で述べていた。「官民共同で資金その他を投入し万全の体制を構築したい」

三菱重工がF-2開発で実用化した技術をボーイング787の外側ウィングボックスの開発製造に導入した事例を取り上げ、財務省は参加企業は次期戦闘機開発で生まれる技術を民生事業に応用するチャンスに恵まれるはず、だから同事業に参加すべきなのだという。■


2019年12月2日月曜日

イランはF-14運用維持のためあらゆる手段で部品を入手している。米軍もF-14の存在を軽視していない。


イランと開戦となったら

イラン軍のF-14を米軍が恐れる理由


Why the U.S. Military Fears Facing Iran's F-14 Tomcats in War


Warrior Maven2019年12月1日
"To Join Warrior Maven Gold AI & CyberWar Circle CLICK HERE"
Warrior Maven Video Above: Army 4-Star Details Robotic Attacks to "Breach Complex Enemy Object."
By David Axe, The National Interest

ランプ大統領がイラン核合意から一方的に脱退する決定を下して以来、ペルシア湾岸地域の緊張は高まったままだ。
2019年夏の民間商船攻撃はイラン勢力に夜犯行と米軍は断定し、米海軍はUSSエイブラハム・リンカン打撃群を同地域に派遣した。米空軍はB-52、F-22、F-35を展開した。
開戦となれば、米軍は湾岸上空の確保のためイラン空軍を撃滅するはずだ。イランイスラム共和国空軍(IRIAF)の常設部隊およびイラン革命防衛隊の空軍部隊はあわせて700機程度の機材を運用している。
米軍が最初に排除をねらうのはIRIAFが保有する1970年代製造のグラマンF-14だ。2019年時点でイランはF-14トムキャットを24機程度運用中とFlight Globalはまとめている。イランはイスラム革命前に79機を米国から調達している。
米海軍ではトムキャットは2006年に全機退役しているが、後続距離が長く強力なレーダーを搭載した同機は現在も強力な戦闘機である。このため、米国はイランのF-14を供用できないよう長年に渡り画策してきた。
イランイラク戦争が1988年に終結した時点でイランにはF-14が68機残っていた。米国に夜制裁措置によりイランは同機の補修部品を調達できなくなった。
そこでイランは自国内完結型を目指し、以前なら海外企業頼みだった部品供給の国内調達に切り替えた。
イランには豊富な石油資源があるがそれ以外にも農業、鉄鋼生産、発電、民間航空で自国だけで完結する仕組みを紫美した。
それでもイラン国内企業でトムキャット用の特殊部品すべての生産は無理だ。そこで闇市場に目を向け大金を払い、F-14用部品の密輸を始めた。
米当局は1998年の時点でこうした密貿易の存在に気づき、輸出管理法違反でF-14のTF-30エンジン用部品をオランダ経由で運び込もうとした動きを摘発した事例もある。
その後も逮捕事案が続いた。カリフォーニアのマルティコア社は税関当局調査で226万ドルを仲介業者に1995年から支払っていた事実が摘発された。部品の大半はシンガポール経由で運ばれた。連邦政府は同社に部品販売した18社も捜査対象とした。2003年9月にはおとり捜査でイラン国籍一名を逮捕している。
米当局がF-14用部品密輸を摘発しているが、イランは入手をあきらめていない。マルティコアが入手した部品を国防総省の余剰部品管理部門に照会したところ、軍から流出していたと判明した。
米海軍がF-14を用途廃止した2006年になると部品戦争はさらに激化し、元米海軍所属のF-14が4機カリフォーニアで当局により押収された。うち3機は博物館展示用、残り一機は軍をテーマとしたテレビ番組JAGでの使用用だったが、各機から有益な部品がただしく取り外されておらずイランの手に渡る恐れがあるというのが当局の説明だった。
ペンタゴンがあまりにもF-14部品の管理でずさんだと議会が怒り狂い、2008年にはトムキャット部品のイラン引き渡しをすべて禁止する法案が成立している。
.退役後のF-14およそ150機が解体処分されている。一部の旧型F-14は「非軍事化」したあとで全国の博物館で展示されている。しかし、有名なアリゾナの航空機の「墓場」には一機もない。
それでもトムキャット部品取引は今も地下で続いており、世界各地で使える部品はないか探し回る怪しげな企業がある。2016年にはF-14が2機もテキサスの私有地に残っているのが見つかった。調べたところ2機とも1980年代末に政府が民間業者に処分を依頼した機体だった。
.これを見つけた本人もこれだけ長く米政府の管理を逃れた機体がそのまま残っていたことに驚きつつ、イランがこの機種に強い関心を示すのと関連があるのではと疑っている。■
David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels War Fix, War Is Boring and Machete Squad.

2019年11月30日土曜日

防衛省がイージス・アショア用レーダーをロッキードに発注

Japan Awards Contract to Lockheed Martin for 2 Solid State Radars for Aegis Ashore Batteries
Credit: Lockheed MartinADVERTISEMENT

コメント 設置予定地への説明の不手際から不信感を持たれているイージス・アショアですが弾道ミサイル、巡航ミサイル防衛の整備のためにも「迷惑施設」ではないとの認識を現地の皆さんには持ってもらいたいものです。とはいえ、MDの整備を快く思わない外国勢力に同調する国内勢力も反対運動を展開してくるはずなので防衛省の力が試されますね。

Japan Awards Contract to Lockheed Martin for 2 Solid State Radars for Aegis Ashore Batteries

Japan’s defense ministry has awarded a contract for the delivery of two SSR antenna sets for two planned land-based Aegis Ashore ballistic missile defense systems.
防衛省がイージス・アショア基地2か所用のSSRアンテナを発注。

November 27, 2019
衛省はロッキード・マーティンに半導体レーダー(SSR)2基の製造納入を発注した。陸上配備のイージス・アショア施設用で現地設置は2020年代中頃になると同社は11月20日発表。
SSRは米政府制式名称AN/SPY-7(V)1でイージス・アショアシステムの一部となり、「高性能弾道ミサイルを探知、追尾、交戦」する「頼りになる装備」が日本に生まれるとし、従来のSPY-1の数倍の探知距離と感度で、標的多数に同時対応可能な実証ずみ装備と同社は説明。
日本はレイセオンのSPY-6レーダーと比較の上、SSRを2018年7月に採択した。SSRのライフサイクルコストの低さに加え総合的に性能が高いことが決め手となったと防衛省は説明していたが、別の理由があったのではないか。
日本がSSR採択に動いたのはSPY-6の輸出が2024年から2025年になりそうで、SSRのほうが早く入手できるというのも一つの理由だろう。
日本はイージス・アショア2箇所を2023年までに稼働開始したいとしており、今年7月30日の防衛省広報資料では契約調印から稼働開始まで6年間としていた。つまり現状では2024年から2025年に先送りとなる。
SSRの基礎技術はロッキード・マーティンが開発中の長距離識別レーダー(LRDR)と共通で、これは米本土を弾道ミサイル脅威から守る構想の地上配備中間段階ミサイル防衛(GMD)での使用を想定している。
イージス・アショアはSM-3ブロックIIA・ブロックIB迎撃ミサイルの他、SM-6対ミサイル迎撃弾も運用可能だ。設置箇所は秋田、山口の両県となる。
日本のイージス・アショアは海上自衛隊の艦船用現行装備と完全互換性を有するとロッキードは説明している。「脅威環境の進展と対応し、イージス・アショアジャパンは共通ソースライブラリ(CSL)で他のイージス装備と共通のソフトウェア・アップデートを続けていく」という。日本の最新型駆逐艦はイージスベイスラインJ7戦闘システムを搭載しており、これは米海軍のベイスライン9/BMD5.1仕様のイージス戦闘システムと同等の内容だ。
ロッキード・マーティンから今回の契約金額の説明、納入日程の説明がない。SSRシステムの調達、設置コストは23億ドル程度で、30年にわたる保守管理は41.8億ドル程度と防衛省は伝えている。■

2019年11月28日木曜日

JSI改修で、日本はF-15とF-35の併用でいっそうの防衛力整備を目指す

F-15JをJSI仕様に改修し、日本はF-35と任務棲み分けを模索するはず

はじめに

F-15Jの改修事業がいよいよ現実のものとなります。名付けてJSI。米空軍が導入するF-15EXと別のアプローチになりますが、一時は行く末が心配されながら老朽化だけ進行していた航空自衛隊のF-15に活路が生まれ、2030年代まで第一線の座についていてもおかしくありません。ただし、中国ロシアの相次ぐ領空接近事例のため各機の耐用年数をくいつぶしているわけで、F-15を引き続き稼働させればどこかの時点で日本も新造F-15の導入を検討することになるのでは。その際は生産ラインは米国にしか無いため、機材輸入となるのでしょうね。

Check Out Japan's Plans for a Souped-Up F-15J Fighter Jet

But will it happen? 
by David Axe 
November 28, 2019  Topic: Technology  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-15JapanF-15 FighterMilitaryTechnology

Key point: The F-15J is already very good, but Tokyo wants to upgrade them even more.

米国務省は総額45億ドルで98機のボーイングF-15J戦闘機を新仕様で大幅性能向上した「日本向けスーパーインターセプター」(JSI)に改修する日本政府の要望を2019年10月採択した。
JSIは航空自衛隊で調達が始まっているロッキード・マーティンF-35と併用されることなり、相互に補完する見込みだ。一方で米空軍もF-15とF-35の混合部隊の運用を模索している。
日米両国の空軍部隊はステルス機非ステルス機の長所短所のバランスを取ろうとしている。両機種とも単価100百万ドル近くだがそれぞれ別の性能を実現している。
ステルス戦闘機は探知を逃れるため兵装は機内に搭載する。だが兵装庫を確保すれば燃料搭載量が減る。そのためステルス機の航続距離、ペイロードはいずれも非ステルス機の水準に及ばない。
これに対し非ステルス機の搭載兵装量はステルス機より多いのが通常だ。さらに「極超音速」ミサイルの搭載も可能だろう。
各国政府が空軍戦力をバランスよく整備するべく、双方の型式の戦闘機が必要と気づいている。そこで日本がF-15の近代化改装に踏み切るのは当然だろう。
JSI改修には各種新装備が盛り込まれ、レイセオンのAN/APG-82(V)1アクティブ電子スキャンアレイレーダー、BAEシステムズのAN/ALQ-239デジタル電子戦装備(強力なレーダー妨害装置)もその一部。また新型ミサイルも搭載する。
「日本には高性能AAM-4Bがあり、AESAシーカーを搭載したミサイルだが一部報道で米製AIM-120高性能中距離空対空ミサイルの導入とも伝えられている」とWar Zoneのジョセフ・トレヴィチックが以下伝えている。
「AIM-120はAAM-4Bより小型で交戦最大距離も短いといわれるが、F-15JのJSI仕様は米製ミサイルを今より多く搭載することで威力を高める。
さらに日本はヨーロッパのミサイル事業体MBDAの英国事業所と共用新型空対空ミサイル開発に取り組んでいる。新ミサイルにはAAM-4Bのシーカー等を流用し、MBDAのラムジェット推進指揮メテオの性能も盛り込むという」
日本はF-35AとF-35Bをそれぞれ105機、42機発注している。F-35とF-15JSI仕様は2020年代なかごろに日本の主力戦闘機の座についているはずだ。
「F-15JのJSI仕様機材はF-35に大切な相棒にして、防空任務で相互に補完する機材となる。ステルスのJSFが改修型イーグルの先をとべば、標的情報を非ステルス機につたえ、ペイロード量で威力のある非ステルス機の性能を最大限に発揮できる」(トレビチック)
米空軍でも同様のF-15、F-35併用体制を構築しようとしている。2020年時点で完全新型生産のF-15EXを144機発注して1980年代までさかのぼるF-15Cと交代させる案がある。米空軍ではF-35発注も増やしてステルス機の千機体制をめざしている。
おなじくWar Zoneでタイラー・ロゴウェイはF-15EXが「F-15C/D部隊のミッション以外の用途にも投入される他に代えがたい機体になる可能性がある、と伝えている。
「その例としてミサイル多数を搭載する空の兵装トラックとすること、極超音速巡航ミサイルや超長距離空対空ミサイルといった長尺兵装の搭載からステルス無人戦闘航空機の大群を制御すること、第5世代機と第4世代機をつなぐネットワーク機能も期待されている」
わずか数年前までは空軍は全ステルス機材に移行するとの見方型違反だったのに、現在は混合編成があたりまえになってきた。日米両国と同様にロシア、中国もステルス機は少数で非ステルスながら性能アップした機体とともに運用しようとしている

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels  War Fix, War Is Boring and Machete Squad. This first appeared in October 2019

2019年11月27日水曜日

20年度国防予算が未成立でもボーイングはF-15EX事業を推進中

ボーイングがF-15EX事業の進捗状況を報道陣に公開
Image: Boeing rendering of a digital model of an F-15

はじめに

ボーイングのF-15EX事業は国防予算の行方がスッキリしない中でも同社が進めているようです。デジタル製造技術が進展してきたことで機体は同じでも製造工程はガラリと変わりそうですね。その効果が本当に宣伝文句通りなのか注視したいところです。National Defense 記事をご紹介します。

JUST IN: Boeing Says F-15EX Initiative Progressing Despite Budget Impasse

11/22/2019
ーイングはF-15EX試験機合計2機の2020年末納入に向け作業を続けているが、議会で成立の目処がついていない予算を意識している。
2020会計年度の国防再出法案は未通過のままのため、ペンタゴン始め連邦政府は10月1日からは継続予算決議(CR)で機能中だ。ただし継続措置のためF-15EXはじめ新規事業が抑制されるのが国防総省に悩みのたねとなっている。
空軍は今後5年で同型機80機を調達予定で、最終的に144機にする。
「全機分の契約が下ればいいのですが、歳出法案が決議されないと実現しません」とボーイング・ディフェンス・スペース・セキュリティ副社長プラット・クマールが11月18日セントルイス本社で記者団に語っている。「現在は状況把握に努めており、当社はCRとは別に先行して投資支出しており、契約交付を見越した動きを展開してます」
議会は予想通り別の継続予算決議を採択し、12月20日まで2019会計年度と同等の予算執行が可能となった。
「継続措置が長引けば当社にはテスト機材の納入でプレッシャーになります」(クマール)同社は3月での契約交付を期待し、9ヶ月以内に2機を納入したいという。
EXは現行のF-15から相当の性能向上型となる。高性能コックピットシステムとして大型ディスプレイ、フライ・バイ・ワイヤによる空力特性の改良、9Gに耐える性能、完全統合型電子装備・アクティブ電子スキャンアレイレーダーによる残存性改良、空対空ミサイル最大12本、空対地兵装15本搭載による威力の向上、ミッションシステム改良としてコアプロセッサーII、作戦飛行プログラム9.1X一式を搭載するとボーイングでF-15EX事業を統括するローリー・シュナイダーがプレゼンしてくれた。
「EXはカタール発注のF-15Eをさらに強化し、空軍が期待する近代化改修すべてを完全に統合した機体」になるという。
またオープン・ミッションシステムの採用で新技術が実用化されればすぐに搭載できるとも説明。
システムアップグレードにより「量産一号機も再集合機と同一の性能になる」という。
空軍は新型び空中発射型極超音速兵器の開発中で、マッハ5超かつ高度の飛翔制御能力で敵防空体制に対応させる。
「F-15EXはこれから登場する新兵器の運用で効果を発揮します。ペイロードはずばぬけた規模で今後登場する極超音速兵器はじめ各種多数を搭載できます』(クマール)
ボーイングはデジタルモデリング技術や高度生産技術を駆使し、機体製造工程そのものを変えようとしている。F-15の場合は同社はデジタル機体構造digital airframeと呼ぶ方法を推進している。
新技術はF-15の主翼、機首、前方中央の機体に投入されている。フットプリント(投入資源量)、作業工数が大幅に削減され、他方で製造品質が向上しているとクマールは説明。主翼ではフットプリントは50%減、工数は70%減という。
この技術は機体前方部分にも投入され、さらに機体後部の生産にも応用するという。
「その結果として完全デジタル機体構造が実現し、製造が容易かつ安価でありながら高品質が実現します。新技術導入が今までより迅速になる効果が生まれます。兵装庫の再設計が不要となるためです」(クマール)
他方でボーイングとしては議会が2020年度予算を通過させれば、すぐにでも契約交付を受けたいところだ。予算が成立すれば空軍は提案要求(RFP)を交付し、ボーイングが予算割当の前に回答を提出する手はずだ。一連の作業には相当の書類作成が必要となる。
「空軍とは今年春からずっと密接に作業を進めており、最終RFPが交付されればすぐに対応できる準備ができています」とシュナイダーは述べている。。
国防支出のとりまとめをおこなう議会委員会、小委員会はF-15EX関連予算を2020年度歳出認可法案に盛り込んでいるが、成立していない。現時点で保証はまったくないとクマールも指摘。
「予算法案にそのまま残ることについて極めて楽観視しています。ただし、成立するまではリスクが有るのは事実です」(クマール)

2019年11月26日火曜日

台湾はなぜM1エイブラムズ戦車100両売却を米国に要望したのか---中国の台湾侵攻の可能性は?

Why Does Taiwan Need M-1 Abrams Tanks? 

Is this just a total waste of money or a powerful weapon to stop China if they invade?  

予算の無駄使いなのかそれとも中国侵攻の阻止で威力を発揮するのか
November 23, 2019  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: TaiwanAbrams TankU.S. MilitaryChinaWar

はじめに

トランプ政権により台湾への武器輸出が大幅に増えそうです。F-16Vにつづく目玉がM1エイブラムズ戦車なのですが、台湾でなぜと感じた向きもすくなからずあったはずです。あらためて今回の案件の背景を見てみあしょう。

NATIONAL INTERESTによる解説 

米国務省が台湾の要請に応じM1A2Tエイブラムズ戦車108両の売却を承認した。総額20億ドルで、M88A2ハーキュリーズ戦車回収車両14台、120ミリ各種砲弾も含む。
国防安全保障協力庁は今回の売却で域内軍事バランスに変化が生じないと説明。台湾を中央の指示に反した一地方とみなす中国は、猛烈な反発を示している。
 だが本質的な疑問がある。台湾が中国による侵攻から自国防御にあたるのはいいとしても主力戦車がリストのトップに来る必要があるのだろうか。
 まず、台湾は島国である。台湾を武力制圧するため中国は幅110マイルの台湾海峡をはさみミサイル、空爆、揚陸作戦、空挺部隊で圧倒的な威力の攻撃を実施してくるはずだ。台湾に一定の部隊を上陸させても台湾さらに米国の防衛体制にさらされるはずだ。そうなるとM1A2の108両と旧型M60A3、M48の約500両が沿岸地区で反撃に出る。ナチス・ドイツがノーマンデイで悟ったように、防御は用意ではない。攻撃側は奇襲により局地的な優越性を得られるが、防衛側は砲撃爆撃にさらされ、弾道ミサイルも飛来するはずだ。中国には対戦車兵器は余るほどあり、人民解放軍陸戦隊や空挺部隊にも対戦車ロケット砲や揚陸走行車両や軽戦車も配備されている。さらに中国ではミサイル装備無人機の開発が進行中で戦車を狙い撃ちしてくるだろう。台湾に数個師団を上陸させるのに成功すれば、台湾には大災難となる。
 現時点の中国には台湾を本格侵攻する揚陸能力はないようだ。だがこのままで終わらない。中国は揚陸能力増強のため新型075型強襲揚陸艦を9月から運用開始しており、同艦は陸戦隊900名を車両、ヘリコプターとあわせ収容できる。更に垂直離着陸型戦闘機も搭載するだろう。075型はさらに建造が進み、中国は空挺師団3個とヘリコプター強襲連隊数個を展開できる。
戦闘力のバランスを見る限り、中国の台湾侵攻は用意ではない。だが中国の経済力とともに戦力構造がハイテク21世紀型部隊に変貌しつつある現場を見ると、侵攻の実施条件をらくらく満たす可能性も少なからず出てくる。
戦車が役に立たないわけではない。M1A2が100両あれば、米陸軍の装甲連隊戦闘チームの戦力に匹敵し、正しく運用すれば相当の兵力になる。中国の台湾侵攻は楽勝にならない。台湾の地形は平坦でないうえ、台湾空軍さらに米軍の航空機、艦船が防御する台湾海峡が盾となる。
 ただし、台湾が運用する冷戦時の戦車500両では中国侵攻への対抗として不十分なら、M1A2の100両が加われば状況は変わる。台湾に接近阻止力が増強されるからだ。対艦・滞空ミサイル、弾道ミサイル防衛、機雷、潜水艦、航空機により中国の侵攻部隊を阻止、あるいは抑止することになる。台湾の経済力からすればミサイルや機雷は低コスト装備であり、整備に成約はないだろう。
 ノーマンディからフォークランド諸島へ、さらに台湾へと揚陸部隊侵攻の阻止で最善策は侵攻部隊に上陸をさせないことだ。■
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: Creative Commons.