2021年11月6日土曜日

2040年代退役が決まったF-22だが、ロッキードが性能改修などで100億ドル超の契約を獲得し2030年代初頭に完了するというのは、やはり予算投入する理由があるからなのでしょう。

  

F-22 Raptor. (Airman 1st Class Emily Smallwood/U.S. Air Force)

 

空軍は1F-22ラプター戦闘機の近代化改修契約109億ドルでロッキード・マーティン11月5日交付した。

 

F-22事業室がARES(高度ラプター改修維持計画)に基づき同機の維持、近代化を10年かけて進める。

 

国防総省発表によれば今回の契約ではラプターの性能向上、補修を進める。ロッキードは補給支援サービスや近代化用ハードウェアも供給する。

 

契約条項をすべて行使すると、2031年10月末までに業務完了となる。作業はテキサス州フォートワースで実施する。

 

契約はF-22メーカーのロッキードへの随意契約となった。

 

ただし、ARES事業でのF-22近代化が終わる時点で同機の供用期間は終わりに近づくことになる。

 

空参謀総長チャールズ・「CQ」ブラウン大将は5月に戦闘機の整理の一環でF-22は全機退役させると語っていた。

 

クリントン・ハイノート中将(空軍参謀次長、戦略統合要求内容担当)は5月にDefense Newsインタビューでラプターは次世代制空機が登場するまでの「つなぎ」だと語っていた。

 

ハイノートは2030年代になるとラプターは製造後40年になると指摘していた。同機の開発は1991年に始まっていた。

 

「台湾や日本、フィリピンの対中防衛任務に適した機材とはいえない。中国の軍事力整備を意識している」とハイノートは5月に述べていた。■

 

Lockheed wins $10.9B contract to modernize F-22

By Stephen Losey

 Nov 6, 07:13 AM

About Stephen Losey

Stephen Losey is the air warfare reporter at Defense News. He previously reported for Military.com, covering the Pentagon, special operations and air warfare. Before that, he covered U.S. Air Force leadership, personnel and operations for Air Force Times.

 


2021年11月5日金曜日

中国国防費はどこまで伸びる?公表数字はそのまま受け入れられず実態はGDP比1.7%相当か。米国に比べ低い水準がこのまま維持できるとは思えない。日本の防衛費議論にも影響が出るはず。

 

 


Chinese Military SpendingImage: Creative Commons.

Image: Creative Commons.

 

 

国は軍事費をどこまで伸ばすつもりなのかジェイムズ・ローレンスソン、チェンシン・ピン両名がAUKUSにからめ問いかけている。AUKUSは中国の軍事脅威を理由に戦略方向性の変更をねらったものだ。

 

 

直近のDoD中国軍事力レポートは国防費を2,090億ドルとしており、GDP比で1.3%にあたる。ただし、報告書では数字には裏があり実際の予算額はこの1.1倍から2倍の間としている。

 

ストックホルム国際平和研究所は中国国防支出をGDP比1.7%とみている。米国は絶対額、GDP比ともに中国を上回る規模の国防費となっている。軍事アナリスト陣からは米国にはグローバル規模での軍事行動がある一方、中国は今のところこの任務がなく、米軍の実戦部隊の規模も供用年数も高いことで差は説明できるとする。

 

とはいえ次の疑問が残る。「現状を変えようとする勢力はどこまで国防支出するものなのか」

 

急激に変化する国際システムに深入りしようとする国が現状に満足する国より防衛支出を増やすのは当然ともいえる。両大戦間の日本が好例だ。日本の経済規模に対し米国は5倍の差があったが、日本は一貫して米国に匹敵する軍事予算を計上した。米国は太平洋大西洋でプレゼンスを維持する必要があったが、日本は太平洋に専念できた。

 

日本は現状を大幅に変える勢力に写り実際に支出を続けた。だがソ連の軍事予算支出を見ると、GDP比15%を1980年代まで続けていた。ただし、USSRは1980年代に現状変化を求めず、自国防衛に高い警戒態勢を維持していた。現在の中国は日本ともソ連とも異なる。中国の軍事力に目を見張るものがあるが、今のところ現状を変え脅威を与えるものではない。

 

もちろん、別の要因はある。中国の軍事力公表は巧みに重要戦力を隠す傾向があり、ストックホルム平和研究所でさえ欺かされている。国内の軍事産業はほぼ海外と無関係に活動しており、技術、資源、人材を米高水準より安く調達できる。また戦術面の要因もある。西太平洋の攻撃力防御力のバランスから恩恵を受けている。これはソ連が総じて軍事バランスでは不利なのに通常兵力で大きな優位を維持してきたのと似ている。中国が南シナ海を陸上基地発進の航空機、短距離運航の潜水艦、陸上配備のミサイルで支配してこれだけで軍事優位性を享受しており、圧倒的な軍事予算の投入は不要だ。

 

中国の軍事支出が比較的低水準のままだが、同国が整備中の軍事力を考えると維持できなくなる日が来る。艦艇、航空機、ミサイルをPLAが次々と調達し、整備、近代化、改修と支出が増える。中国の兵力を維持しようとすれば国防予算の増大は不可避だ。米国が中国軍事力を意識し反応し始めているをため、両国関係で悪化の兆しが表れている。1.7%でも大変なら、3.5%になったらどうなるのか。さらに大きな懸念材料は中国が両大戦間の日本同様に国防支出を増大するあるいは現在の米国並みにしたらどうなるのか。

 

米国は警鐘を鳴らしているが、中国はまだ実力行使をしていない。■

 

 

 

How Much Should China Spend On Its Military?

ByRobert Farley

https://www.19fortyfive.com/2021/11/how-much-should-china-spend-on-its-military/

 

Now a 1945 Contributing Editor, Dr. Robert Farley is a Senior Lecturer at the Patterson School at the University of Kentucky. Dr. Farley is the author of Grounded: The Case for Abolishing the United States Air Force (University Press of Kentucky, 2014), the Battleship Book (Wildside, 2016), and Patents for Power: Intellectual Property Law and the Diffusion of Military Technology (University of Chicago, 2020).

In this article:China, Chinese Military Spending, featured, Military History, U.S. Military Spending


2021年11月3日水曜日

ノースロップグラマンCMに写る興味深い新型機など。YouTubeと連携してますので本編もご覧ください。

 

Northrop Grumman Aircraft Stealth

YOUTUBE SCREENCAP

 

高機密度の詳細は見せず、ノースロップグラマンCMに同社がめざす次世代制空戦術戦闘機等の姿が垣間見える。

手な広告となると、ノースロップグラマンの思わせぶりな宣伝の右に出る企業はない。情報関連の装備品を陰影に隠しつつ、興味をかきたてるのがその手法だ。同社恒例のスーパーボウルCMでその後B-21となった長距離打撃爆撃機(LRS-B)が先に登場していたのが忘れがたい。今回の新しいCMで各種機材が登場している。当然ながら機密度が最高レベルの機材は出していない。それでも今回片鱗を見せた装備についてあれこれ想像してみるのは楽しい体験だ。

今回はハンガー内の設定でエレベーターのドアが開くと中にノースロップグラマン機材がそろい、現有のものから近未来に登場する機体が見える。まるでマイケル・ベイ監督作品のようだ。次のリンクでこのCMを見てもらいたい。

Welcome to Northrop Grumman | Defining Possible in Aerospace

ここから何を読み取るべきか。ハンガーは現在と未来に区別されているようだ。右は海軍、左は空軍用の機材だが、すべてその通りでもない。では左から右に詳しく見てみよう。

  • まず前方に次世代制空機(NGAD)の有人型が見える。空軍海軍は次世代機開発を並行して進めており、各種システムのファミリー構成となり、無人型、長距離有人型も含む。大型、ステルス機で無尾翼型となる。大きな背骨ラインから機体全体を覆う形状だ。空気取り入れ口もステルスを意識している。見えないが反対側にも空気取り入れ口があるのだろう。極秘のうちにテスト中のモデル401「Son of ARES」実証機(ノースロップグラマン子会社スケイルドコンポジッツが製造)に通じる形状が見られる。NGAD実証機は飛行開始しており、ノースロップ・グラマン製の可能性もあるが、NGADをめぐる商機は今後拡大する。他社も当然ながら事業に参画したいはずだ。

  • 次にとがった白い機首が見え、ノースロップ・グラマンが目指す新型低価格の忠実なるウィングマン無人戦闘航空体(UCAV)コンセプトのようだ。原型が先に出たモデル401で、実際にモデル401を転用した機体もある。ノースロップグラマンはペンタゴンとあわせおそらく同盟国向けにこの系列の機体を作ろうとしている。

  • 左の一番奥に全翼機形状の無人戦闘航空体が見え、同社のX-47B実証機と酷似している。同機は海軍の空中給油・偵察機選定に漏れ、ボーイング案が採用されMQ-25スティングレイになった。ノースロップグラマンは二機残るX-47Bに新機能を盛り込むとしている。同機に好機が再び訪れることを祈りたい。ハイエンドステルスUCAVとなればよい。さらにMQ-9リーパー後継機として謎を呼ぶ空軍向け次期MQ機のノースロップグラマン構想図はX-47Bそっくりだ。とはいえ今回の映像にある機体は空母運用想定だと機首についたベアローンチバーでわかる。

  • 中央奥にB-2スピリットが見える。現在と今後をつなぐ存在としてなのだろう。遠景にB-21レイダーあるいはRQ-180が離陸しているのが見える。両機は外形が似ている。RQ-180は超極秘機なのでB-21の可能性が大だ。遠景では両機は違いがわからない。

  • 右後方にはEA-18Gグラウラーが見える。ノースロップグラマンは電子戦装備で大手企業だ。

  • 次にE-2Dホークアイの姿が見える。長年海軍で供用中の空中早期警戒統制機の最新型で米海軍向けに同社が製造している。. 

  • 最後にMQ-4Cトライトンがある。海洋監視用にグローバルホークを改装したものだ。

これで全部だ。ノースロップグラマンは進行中の機材も一部紹介してくれた。中には構想段階のものもあるが、余裕をもって示した。

ここには出ていない事業も多数あるとはいえ、ノースロップグラマンがめざす高性能機材の広告は目の保養になる。いつも同社機材は見れば見るほど欲しくなる。

追記

HD版のCMは下をクリック。航空機以外にサイバー、宇宙、水中部門の製品コンセプトが見られます。

Welcome to Northrop Grumman

Glitzy Northrop Grumman Ad Teases Totally Notional New Long-Range Stealth Fighter (Updated)

While it doesn't give away sensitive details, the ad points to Northrop Grumman's ambition to build the next-generation air dominance tactical jet.

BY TYLER ROGOWAY NOVEMBER 1, 2021


ファイブアイズはナインアイズへ。米国防予算法案に加盟国拡大が盛り込まれた。日、韓、インド、ドイツが追加候補国に。対中警戒網の強化が必要との認識。

 

 

中国への対抗には従来の英米中心の体制では不十分だとの米議会筋の見解が出ている。


  1. 米国主導の「ファイブアイズ」取り決めは第二次大戦の遺産であり、中国を相手に対抗するため改編が必要だと下院情報小委員会の有力議員が語っている。

  2. アリゾナ州選出民主党のルーベン・ゲラゴRep. Ruben Gallego下院軍事委員会特殊作戦・情報活動小委員会委員長は長年誰も手を触れなかった取り決めの拡充を実行すべきとの文言を今年の国防予算案に盛り込んだ。

  3. 条項では国家情報長官及び国防関連各省に「ファイブアイズ」加盟国(米、豪州、英国、ニュージーランド、カナダ)間の情報共有の現状及び欠陥に加え、日本、韓国、インド、ドイツを加盟させた場合の効果及びリスクについて報告を求めている。

  4. 「『ファイブアイズ』モデルは時代遅れだと思う」とゲラゴ委員長はDefense OneNextgov主催の2021年度国家安全保障フォーラムで発言した。「範囲の拡大が必要だ。今までの英米中心の情報共有では不十分だ」

  5. 同条項では「当委員会は脅威の構造がファイブアイズ誕生時の想定と大きく変わったと認識し、中国及びロシアの脅威を重視。当委員会は大国間対立に対応すべく、ファイブアイズ加盟各国は従来以上に密接に作業し、志を共有するその他民主国家と信頼の輪を共有すべきと考える」とある。



  1. 前国家情報長官ジョン・ラトククリフの補佐官を務めたダスティン・カーマックは米国はインド太平洋諸国と情報共有協力を強化しており、ファイブアイズの正式変更は「言うは易し実行は困難」とする。

  2. 「すでに相当の作業が舞台裏で実行されており、従来より良好な連携が生まれている」とカーマック(現ヘリテージ財団研究員)は述べた。

  3. 例として、米国は軍事通信情報や基地をインドと共有しており、オバマ政権トランプ政権による交渉の結果だという。

  4. カーマックはファイブアイズ拡大について「賛同する」としたが、ファイブアイズの情報源や収集方法を守ることができるか追加国の審査が必要と注意喚起している。

  5. ファイブアイズは第二次大戦中に生まれた英米間の情報収集合意が元で枢軸国の打破を目指した、その後三か国を加えた。合意は70年余も存続している。

  6. ここ数年は中国が加盟国を驚かすことが増えている。今夏の極超音速ミサイル実験もそのひとつで、ミサイルは地球を一周した。

  7. ガレゴ委員長は日本、韓国、インドを加えれば米国は情報網を拡充し、中国への監視機能が向上すると述べ、理由として該当国の文化・地理条件を上げた。

  8. 「韓国とは長年にわたり協力を続け、韓国は中国国内やアジアに優秀な情報源を有し、うまく機能させているが、米国は情報を英国との例と同様に共有している」

  9. ガレゴ委員長は長年続いている構造の変更は手続き面や慣行の面からきびしい戦いになり、候補各国の情報面での関係で精査が必要と指摘した。一方で外交関係や情報活動の効果の点で新規加盟を認める効果が生まれるとした。

  10. 「基本は中国への警戒と同時に各国を勇気づけることだ。つまり『信頼するからこそ情報共有の輪に迎える』と伝える」

  11. ファイブアイズ各国はヨーロッパにルーツを有する白人国であり、ガレゴは拡大には既存加盟国の抵抗が出るかもしれないとする。

  12. 「アジアの非白人国家との情報共有に抵抗する向きが想定できる。率直に言ってこうした感情は捨てるべきだと思う。なぜなら世界は一変しており、こうした友邦国と一緒に戦う必要があり、こうした国なしでは戦いたくないからだ」

  13. .ガレゴが中心となりまとめた条項は国防予算認可法案に盛込まれ、9月に可決された。上院通過はまだで、下院案との調整が必要だが、ジョー・バイデン大統領に送られ署名の上成立する。■

 

‘Nine Eyes’? Bill Would Look at Adding Four Countries to Intel-Sharing Pact

 

Lawmaker says current ‘Anglophile view’ is insufficient against China.

BY TARA COPP

SENIOR PENTAGON REPORTER, DEFENSE ONE

NOVEMBER 2, 2021 12:26 PM ET


2021年11月2日火曜日

USSコネティカットの事故調査結果が判明。水中地形に衝突していた。潜水艦修理設備の不足がこの事件で注目を集めている。

 


USS コネティカット (SSN-22) が横須賀に入港していた。July 31, 2021. US Navy Photo

 

 

USSコネティカット(SSN-22)の事故調査で同艦は南シナ海で海図に載っていない海山に衝突していたと判明した。

 

事故は10月2日発生し、調査は先週終了した。報告書は第七艦隊司令カール・トーマス中将へ回覧されており、追加措置が必要となるか待つ状態だ。

 

「調査によりUSSコネティカットは海図にない海山と接触したことが判明し、事故地点はインド太平洋の公海内だった」と第七艦隊報道官ヘイリー・シムズ中佐がUSNI Newsに11月1日述べている。

 

バラストタンクが損傷したコネティカットは潜航できなくなり一週間かけてグアムへ移動を余儀なくされた。米海軍は原子炉や推進機関に損傷がないと繰り返し発表している。

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同艦はグアムで初期修理工事を海軍海洋システムズ本部の監督下で進めており、ピュージェットサウンド海軍工廠から人員が派遣され、潜水艦補給艦USSエモリー・S・ランド(AS-39)が支援している。

 

海軍はまず同艦が追加修理のためグアムから安全に航行できるか判断する。最終的な修理の場所と時期は海軍整備部門の作業日程次第だ。

 

「公的海軍施設で作業を行うことになれば進行中の作業日程が影響を受ける」と海軍次官補代理ジェイ・ステファニーが下院軍事委員会で先週発言していた。

 

同艦の修理工事で潜水艦部隊の保全整備の作業残があらためて注目を集めている。

 

下院軍事委員会シーパワー・兵力投射小委員会を仕切るジョー・コートニー議員(民 コネティカット)は潜水艦用乾ドック施設がハワイ以西に不足していると指摘した。

 

「グアムにもドックがなく、潜水艦補給艦が代行している。想定外の事態になれば修理施設が必要になる」

 

「攻撃型潜水艦の公的海軍施設での修理活動は優先順位が低くなっているが、シーウルフ級は世界各地で重要なミッションについており他に代えがたいはずだ」

 

コネティカットはシーウルフ級攻撃型潜水艦三隻の一つで冷戦時に深海でソ連潜水艦を狩るべく開発された。冷戦終結で各艦は改修を受け、海軍で最も機微なミッションの実施に投入されている。■

 

Investigation Concludes USS Connecticut Grounded on Uncharted Seamount in South China Sea - USNI News

By: Sam LaGrone

November 1, 2021 1:55 PM • Updated: November 1, 2021 5:55 PM


KC-46A一号機が航空自衛隊美保基地に到着。日本が米国外で初の同機運航国となった。ただし、未解決の問題が残ったまま。

(Boeing)

ーイングが日本発注のKC-46A空中給油機4機の一号機を航空自衛隊へ納入し、米国外で初の引き渡しとなった。

同機はシリアルナンバー14-3611がつき、コールサインREACH 46でシアトルのボーイング施設から太平洋を横断し、10月29日に美保基地に到着した。

ボーイングジャパン社長ウィル・シャファーは「日本がKC-46A給油機を導入したことは米日両国が取り組むインド太平洋地区協力で大きな一歩となり、両国の同盟関係で重要な役割を実現する」との談話を発表した。力もあることから日本の災害救難人道援助任務の支援にも投入できると加えた。

また、航空自衛隊のみならず米空軍海軍海兵隊の機材への給油も可能で「強力な防御手段と戦術状況認識装備を備える」とボーイングは説明している。

日本向けKC-46の4機販売は2016年9月に国務省に承認され、FMS制度を使い2017年12月に一号機の契約289百万ドル相当が成立し二号機のオプションを2018年12月に行使していた。

その後三号機四号機のオプションが総額342百万ドルで2020年10月に行使された。

日本向け二号機は現在ボーイングが767ラインのあるワシントン州エヴァレットで製造中で、同社によれば機体構造の16%は日本が製造している。

KC-46A飛行隊を美保基地に新設し、既存の404飛行隊(小牧)のKC-767(4機)、KC-130H(2機)に加える。

KC-46はボーイング767を原型とし、貨物人員輸送にも投入でき、軍用標準パレットは最大18個輸送できる。

米空軍にこれまで48機が納入済みだが、KC-46開発は技術問題で遅延してきた。重要欠陥が6点残っており完全作戦能力宣言ができないままだ。

中でも深刻なのが遠隔視認システム(RVS)で、これはカメラとセンサーによりブームを給油を受ける機体に向け安全に操作するため映像をとらえる装備だ。米空軍は現行RVSでは映像が見にくくなる場合があり、ブーム操作員が相手機を損傷するリスクが残っているという。

ボーイングは固定価格契約を結んでおり、RVS問題の解決は自社負担となる。

ただし、航空自衛隊向けKC-46に新型RVが搭載されるのか、さらに問題解決が実施されるのかはっきりしない。実施の場合、日本は追加支払いを求められそうだ。ボーイングはこの点についてコメントを拒んでおり、米空軍に照会してほしいとしている。米空軍は航空自衛隊の問題だとしている。

日本向けKC-46でも問題が残ったままだ。

米空軍は今年4月ボーイングに88百万ドルで日本に代わりKC-46予備部品の調達を求めた。だが、その後国防総省の求める「公正かつ順当な」調達基準の実現には追加10百万ドルが必要と認めた。

ボーイングの主張はパンデミックのため一部部材の価格上昇が発生しており、米空軍が以前支払った価格の15倍に部品もあるが、以前の販売単価が誤っていたと同社は説明している。

日米両国は初号機の引き渡しをにらみ、契約を先に進めることとし航空自衛隊向け予備部品の確保を優先する。■


Japan becomes first non-American operator of KC-46A tanker

By Mike Yeo

 

Trick Or Treat: Japan Accepts Its First KC-46 Tanker

By   VALERIE INSINNA


 

新型フリゲート艦コンステレーションに高性能57mm砲Mk 110の採用が決まった。沿岸警備隊にも。毎分220発発射で対空、対艦、対地砲撃に対応。

 

コンステレーション級フリゲート艦の最新想像図Fincantieri image

 

BASEシステムズは26百万ドル契約で米海軍向けコンステレーション級フリゲート艦に完全自動57mmMk 110砲を供給する。

 

契約交付は10月初めで、USSコンステレーション(FFG 62)、USSコングレス(FFG 63)にMk 110砲2門を供給する。コンステレーション級は多任務誘導ミサイルフリゲート艦となり外洋のみならず沿海域でも活動し、前方配備海軍戦力を増強する一助となる。

 

Mk 110砲システムは国際的にはボフォース57 Mk 3として知られ、多任務中口径の艦載砲として対空、対艦、対地攻撃に対応しながら、各種砲弾の切り替えが不要だ。毎分220発を最大9カイリ発射でき、BAEシステムズの6モードのプログラム可能・事前断片化・近接信管(3P)砲弾を使う。

 

ボフォース57 Mk3 中口径砲guns (Credit: BAE Systems)

 

 

「Mk 110が米海軍のコンステレーション級フリゲート艦に採用されたのはこの砲への信頼度とあわせ、現在将来の艦艇防御能力を買われたからだ。Mk 110砲と新世代フリゲート艦の組み合わせで水上艦艇への恩恵は大きい」(BAEシステムズの兵装システム製造担当副社長ブレント・ブッチャー)

 

今回の契約では同時にMk 110システムを沿岸警備隊のアーガス級外洋哨戒カッター三号艦となるUSCGCインガムにも搭載する。海軍海上システムズ本部の統合戦闘システム(NAVSEA IWSが契約主体となり、2023年からの搭載を予定する。

 

57mm砲Mk110は米海軍では沿海域戦闘艦(LCS)、沿岸警備隊のナショナルセキュリティカッターで採用されている。これまで米海軍向けには36門、沿岸警備隊には15門をBAEシステムズが供給している。世界では9か国向けにMk110は103門がすで引き渡されている。■

 

U.S. Navy Selects 57mm Mk 110 As Main Gun For New Constellation-Class Frigates

https://www.navalnews.com/naval-news/2021/10/u-s-navy-selects-57mm-mk-110-as-main-gun-for-new-constellation-class-frigates/

Naval News Staff  30 Oct 2021

 


2021年11月1日月曜日

F-15EX向けエンジンはF110-GE-129に統一し、ジェネラルエレクトリックが供給することになった。

 


The first F-15EX arrives at Eglin AFB, Florida, after production at a Boeing facility in St. Louis, Missouri, March 11, 2021. (Master Sgt. Tristan McIntire/U.S. Air Force)


 

ェネラルエレクトリックがF-15EXイーグルIIエンジンを独占供給することになった。米空軍契約は15.8億ドルの規模となる。

固定金額契約の形態で同社はF110-GE-129エンジン29基をボーイングF-15EX12機に供給する。契約にはエンジン取付や予備部品も含まれると空軍は発表。

供給開始は2023年10月で、GEがオプション7通りを全部行使すると329基を供給することになる。136機のF-15EXが製造されると最終納品は2031年になる。

「米空軍はジェネラルエレクトリックと組み最新かつ高性能のF-15機のエンジンを調達する」とデイル・ホワイト准将(空軍ライフサイクル管理センター)が空軍公表資料で述べている。「老朽化しているF-15C/D型の後継機として維持費を下げるだけでなく、新たな戦力となりこれからの空軍力の補完勢力となる」

GEはプラット&ホイットニーを破り選定された。プラットはF-100-PW-229の採用を狙っていた。■

GE will provide all F-15EX engines under $1.6B contract

By Stephen Losey

 Oct 30, 08:42 AM