Here's Our First Good Look At The Crazy Air Inlet Design On Boeing's MQ-25 Tanker Drone ボーイングのMQ-25無人給油機の特異な空気取り入れ口の詳細が初めて公表された
Boeing's MQ-25 has a classically problematic but low-observable flush-mounted intake, yet there are no low-observable requirements for the program.同機の空気取り入れ口は低探知性だが問題になりかねない形状。だが同機の要求性能に低探知性は入っていない
BY TYLER ROGOWAYAPRIL 9, 2018
ボーイング案のMQ-25スティングレイで新たな画像が公開されたが、ボート形状の艦載無人機が地上取り扱いテストを受ける場面で模擬カタパルトもある。また同機がブロックIII型スーパーホーネットに空中給油する様子のコンセプト映像も入手した。だがなんといっても同機の空気取入れ口の形状に目が行くのはそれが2017年12月末に存在を公表した同機の中で一番謎の部分だからだ。
ボーイングのMQ-25案には前身のステルス無人っ空母運用偵察攻撃機(UCLASS)構想の名残ともいえる特徴が残り、空気取り入れ口がそれにあたる。ボーイングのUCLASS試作機は2014年に完成しており、その後UCLASSは難易度を下げた給油機の空母搭載空中給油機(CBARS)事業に変わった。CBARSが現在はMQ-25スティングレイ事業になっているわけだ。同社が先に完成した試作機をどう改造して新しい仕様に対応させたのかは不明だ。
BOEING VIDEO SCREENCAP
ボーイングのMQ-25案に見られる空気取り入れ口は問題を起こしそうに見える。この形状では特に高迎え角飛行時に問題となることが知られ、空母着艦時もそのひとつだ。境界層の空流も問題になりどの場面でも安定して十分な量の空気をエンジンに供給できるかが大きな課題に見える。
ボーイングはMQ-25案ではロールスロイスAE3007Nを搭載すると先週発表している。このエンジンはノースロップ・グラマンRQ-4グローバルホーク、MQ-4Cトライトンでも採用されている実績があるエンジンだ。だが高高度を飛行する両機ならエンジンへの空気供給は十分に確保できるが、ボーイング案ではそうはいかないのではないか。
NORTHROP GRUMMAN
トライトンとグローバルホークは空気を大量に取り入れる形になっている。空気はそのままエンジンに連続で入る
9千ポンド級の同エンジンはサイテーションXやエンブラエル145にも搭載されている。ジェネラルアトミックスのMQ-25案ではプラット&ホイットニーPW815ターボファンで16千ポンドの推力を得る構想を特筆すべきだ。ボーイングは43%も低い推力のエンジンで同じミッションを本当に実現できるのだろうか不明だが、ジェネラルアトミックスは余裕を持たせた設計にしたと発表している。それでもこれだけエンジン出力に差がある。ロッキードは全翼機形状の構想機に搭載するエンジンを発表していない。
BOEING
ボーイングのUCLASS想像図ではそこまで奇妙な形のステルス型取り入れ口になっていなかった。逆に想像図ではむしろ大型の機体上部取り入れ口とS字形状のダクトがみられる。
ボーイングとしては当然こうした問題の解決策を考慮したのだろう。このような形状で空母搭載機の運用に支障が生まれないのであれば革命的な解決策となる。同社がこの設計をどう説明するのか興味を惹かれるし、MQ-25給油機の仕様では低視認性やレーダー反射の低減はまったく想定されていないのにこの案で同社がどう売り込むつもりなのかも知りたいところだ。
ボーイングのスティングレイ案がどう運用されるかも映像で見ることができる。映像に登場する機体が同社のMQ-25試作機にほぼ同じかたちになっているのも興味深い。ボーイングのMQ-25最終設計案が一度完成させた試作機から異なる形になるとしたら驚くことになる。一部にはこれで要求水準にある相当の航空燃料を搭載できるのかいぶかる向きもある。要求性能では燃料を満載して空母から500マイル地点に進出し、14千ポンドを給油してから自分で空母に帰ることとある。ボーイングが試作二号機の完成を急いでおり、同機が最終案になるとの観測もある。ただ同社が公開したコンセプト案を見るとこうした報道は的外れに終わる可能性もある。
BOEING VIDEO SCREENCAP
MQ-25がブロックIIIのスーパーホーネットに給油を開始するところの図。機首下のセンサーボールと外部燃料タンクに注意。
.コバムの給油ポッドが外部燃料タンクの横に搭載できるのかを確認する必要もある。
BOEING SCREENCAP
ボーイングのMQ-25案の前面はこうなる。UHF衛星通信アンテナが空気取り入れ口の後方につくことに注意。
ボーイングMQ-25案ではKuバンドやマイクロ波衛星通信装備がどこに搭載されるのか不明だ。ジェネラルアトミックス、ロッキード・マーティン両社の構想ではその搭載が明確に示されているのだが、ボーイング案でははっきりしない。機体胴部の前方に大きな膨らみを付けると空流がさらに複雑となり空気取り入れ口問題がさらに複雑になる。
一部には同機主翼上の「こぶ」が衛星通信アンテナを格納する場所ではと見る向きがある。これは可能性が低い、と言うのはこのふくらみは主翼折り畳み機構用だからだ。おそらくボーイングは空気取入れ口後方にアンテナ用のふくらみを受注決定後に追加するのではないか。
BOEING VIDEO SCREENCAP
.これが未来の姿なのか。MQ-25がブロックIIIのF7A-18Fに給油中
ボーイングのスティングレイ設計案にはまだ不明点があるが、同社としては試作機を完成させたのは同社だけであり受注につなげたいとする。ボーイングファントムワークスのドン・キャディス Don Gaddis(MQ-25事業主査)はFlightglobal取材で以下述べている。
「当社が特別の存在になっているのは実際に期待を製造したためだ。性能の多くはすでに実施済みだ。飛行甲板上の取り回し、ソフトウェア、ミッションコンピュータ、ロールスロイスエンジン等で実証済みのものが多い。飛行を除けばすでにほぼすべてが実施済みだ」.
そのとおりなのだろうが、設計案に関する疑問を考えると、いかにもすぐにでも飛びそうな試作機が飛行していないのは何か問題があるのだろう。望むらくはボーイングが方針を変更して同社設計案が飛行可能だと実証してもらいたいものだ。
MQ-25契約獲得を巡る三社競争から多くの事実が今後あきらかになるだろうが、公式な発表はまだ一社も行っていない。ただMQ-25事業をめぐっては一番大きな疑問はそもそも海軍内部で同機事業はどこまで支持を確保しているのかであり、本当にもっと費用対効果の高い代替策がないのかも釈然としない。■
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