今年中にトランプ政権からなんらかの答えが出るのではないでしょうか。北朝鮮に比べると中国の軍事力の方がはるかに強力でたちの悪い勢力になっているのは明らかで、台湾は最前線ということですね。日本もうかうかしていられないのですが。仮に台湾向けF-35B供給が販売かリース化で実現したとしても生産が間に合わず先に日本向け機材が完成していたら、また台湾情勢が風雲急となれば日本は台湾に機材を提供する懐の深さを示せるでしょうか。
Here's Why Taiwan Wants America's F-35 これが台湾がF-35を求める理由だ
March 31, 2018
米上院の有力議員二名が連名でトランプ政権にF-35共用打撃戦闘機の台湾への売却を求めている。
3月26日付の書簡でジョン・コーニン、ジェイムズ・インホフェ両議員がF-35Bの台湾売却を政権に求めた。無理ならF-16Vを売却すべきと主張している。
「F-35Bとその搭載する長距離センサーで台湾は中国のミサイル迎撃が可能となり、抑止力を2020年代も有効に維持できる。F-35Bは第五世代戦闘機と言うだけではなく、次世代の継戦能力を強化する効果がある」と両議員は述べている。書簡は米台ビジネス協議会が公開した。「ただし、F-35Bの台湾向け提供が時期尚早と判断される場合はF-16Vの追加提供で質量ともに台湾の戦闘機部隊の能力向上を実現することを期待したい」
書簡はいきなり出現したわけではない。台湾はF-35B導入の意向から照会を2002年から始めていた。その時点でDefense Newsによれば台湾はペンタゴンにF-35B導入の場合の価格および機材調達可能性の照会を当時の台北経済文化代表部(台湾の事実上の在ワシントン大使館)の国防調達部門長Wang Chi-linの署名入りで発送していた。
F-35Bが実戦配備に近づいた2017年春に台湾は改めて米国に同機売却を迫り、台湾国防相が公式に同機調達の意向を米国に示そうとしたとの報道がある。実際に台湾が公式要請を発出した形跡はないが、逆になぜそうしなかったのかはっきりしない。今でも台湾は同機導入を狙っており国防相Yen Teh-faは国会で「F-35には垂直離着陸能力があり台湾空軍当局の要求水準を満たす。実際に本件は米国に提起ずみだ」と答弁している。
台湾がF-35Bを指名する理由は理解できる。台湾国防省によれば中国には弾道ミサイル1,500発が台湾に照準をあわせている。またRANDコーポレーションの研究によれば台湾国内のジェット戦闘機運用可能な滑走路全部の破壊に必要な弾道ミサイルは155発ですむという。これに対して単距離陸垂直着陸可能なF-35Bは有事の際に短時間で各地に分散展開できる。これがあれば機体を無駄に地上で破壊されずにすむ。F-35Bなら台湾各地の短い民生用滑走路から運用できる。
F-35Bには別の効果も台湾で実現する。National Interest で今年1月に「同機のステルス性能があれば敵機多数と遭遇しても残存の可能性が高い。また強力な電子戦能力で敵レーダーを探知妨害でき台湾側機材が有効に戦闘しつつ残存できる」とマイケル・マッザとゲアリー・シュミットの両名が寄稿していた。
台湾の現有戦闘機部隊はF-CK-1、F-16、ミラージュ2000で構成される。このうち国産のAIDC製F-CK-1經國號戰機は1989年に配備が始まり、130機が生産され、近年も改修が続いている。Aviation Weekは「F-CK-1/Dの49機が改修を終えており、残る95機が改修待ちでF-CK-1A/Bのままだ。台湾空軍は改修予定を口にしているが結局何機が対象かは不明だ」とまとめていた。
米国はF-16A/Bブロック20計150機の売却で1990年代に合意していた。オバマ政権当時に台湾から新型F-16C/D66機購入の要望が出たが、米側が口を濁し結局導入済みF-16およそ140機の改修でF-16V仕様にすることで話がまとまった。改修ではアクティブ電子スキャンアレイ方式のノースロップ・グラマンAN/APG-83 拡張型アジャイルビームレーダーがある。台湾はフランスから1990年代末にミラージュ2000を60機導入し、現在も55機を供用中で、これについても近代化改修を模索している。さらに新型国産戦闘機開発の話もある。
台湾は中国本土からの圧力をここにきて強く感じている。中国軍の装備近代化ならびに高圧的な行動がその理由だ。コーニン議員も「1950年代以来初めて中国が台湾を対象にした戦闘能力を装備近代化で獲得した」と指摘している。
中国は台湾近辺に軍用機を飛行させることが増えている。War on the Rocksで昨年9月に出た分析では「戦略爆撃機の台湾周回飛行が2016年末に二回行われ、その後テンポがあがり、5回の周回飛行が行われている」とある。まだこの飛行は続いており、先週も実施されたばかりだ。
トランプ政権が両上院議員の要望をどう処理するかはまだわからない。■
Image: Wikimedia Commons
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