2018年1月13日土曜日

日曜特集 日本が橘花をもっと早く実戦化していたら太平洋戦はどうなっていたか

良くも悪くも当時の日本の技術を体現しているのが橘花ですが、そもそもジェットエンジンが注目されたのが粗悪な燃料でも運用可能なこと、精密な内燃機よりも構造が簡単なためであったはずで、ひっ迫する状況の日本では論理的に正しい選択だったのですね。また、戦時末期に陸軍、海軍の航空兵力を統合する構想があと一歩で実現しそうだったのですが、この「空軍」が橘花から派生したもっと高性能機を運用していたらと考えるのは楽しいですね。

Could This Japanese Jet Fighter Have Won the Pacific War?

このジェット戦闘機で日本は太平洋戦争に勝利した可能性があったのか
January 12, 2018


二次大戦でジェット戦闘機開発に成功したのはドイツだけというのは誤りだ。ドイツが最先端を行っていたのは事実だが、主要国はすべて戦時中に開発を進めていた。日本も例外ではない。
よく知られており、実戦投入された日本機は桜花だけだが、これはロケット推進で有人操縦のカミカゼ兵器だった。だがもう一つ日本には終戦までに飛行にこぎつけたジェット機があり、その時点で終戦しなければ戦闘投入されていたはずなのが中島の橘花である。
日本の科学陣はジェットエンジンを1930年代から研究していたが、政府の支援はほとんどないままで1943年にはターボジェットを完成していた。日本はドイツでMe-262ジェット戦闘機が1942年に開発されたことは承知していたが、1944年夏に米B-29爆撃隊が日本本土を空襲するに至り、日本海軍は皇国兵器第二号橘花の実現を求めた。
橘花がMe-262に似ているのは偶然ではない。また単なる模倣でもあない。日本のジェット機開発は多くをドイツの研究成果に依存していたが支援はほとんど得ていない。1944年7月にルフトヴァッフェ司令ヘルマン・ゲーリングの命令で日本にMe-262の青写真、ユンカース・ユモ004、BMW003の両ターボジェットエンジンの青写真、さらにMe-262実機も提供することになった。
だがドイツから日本へ運送中の潜水艦数隻が米軍に沈められてしまうが、BMW003エンジンの断面図のみ日本に届く。(当時はエンジンの信頼性が低くエンジン情報の方が重要視された) これだけで日本技術陣はネ-20ターボジェットエンジンを製造し、橘花が当初搭載を酔え地下純国産のネ-12より高性能と判明した。
橘花に驚くべき点が二つある。まず同機はMe-262小型版に見えることだ。類似点は内部にもみられる。橘花はMe-262の後退角主翼は採用していない。もう一つは同機がもともとカミカゼ攻撃用に設計されたことだ。「神風(しんぷう)攻撃に合わせ初期設計には着陸装置はなく、RATO(ロケット補助離陸)でカタパルト発進を想定していた」と航空史家エドウイン・ダイヤ―が記している。「計算上の飛行距離は204キロしかなかったのはネ-12エンジンの燃料消費がすざましかったためだ。海面上最高速度は639km/hだった。爆弾一発を搭載するだけの武装で、主翼は折り畳み式で洞穴などに隠し攻撃を避ける構想だった」
1945年3月に橘花の任務は戦術爆撃機さらに迎撃機に変更され、30mm機関砲を搭載しネ-20エンジンに変更された。(ただし金属材料の不足でネ-20エンジンの性能が制約されていた) だが難関は生産だった。本土空襲が続く中で機体、エンジンの製造工場も被害を受けていた。それでも同年8月7日に高岡中佐が初飛行に成功した。8月11日の第二回飛行で着陸に失敗し、試作機は修復不可能になってしまう。
計画では1945年末時点で橘花500機を製造するはずだったが、8月15日の日本降伏で実現しなかった。結局完成した機体は一機だけだった。
橘花はMe-262と比較するとどうなるか。Me-2262A1Aの最高速度は540マイルで米軍P-51Dマスタング(最高速度437マイル)を引き離した。橘花の迎撃機型は最高速度443マイルを想定していたので、ほぼマスタングと同等で、しかも第二次大戦時のジェット機は機体操縦性とエンジン信頼性が劣っていた。
しかしそもそもこの日本ジェット機で太平洋戦争の行方が変わっていただろうか。その答えではドイツを見るのが一番わかりやすい。Me-262は1,400機が製造され、一部が1944年11月から1945年5月にかけて戦闘投入された。連合軍には厄介な存在であったが、結局第三帝国を救うことはできなかった。連合軍機が多すぎたこと、英米空軍部隊がMe-262基地を常時哨戒し脆弱な離着陸時をねらったこと、それにドイツ本土が連合軍戦車部隊に席巻されたことが理由だ。
ドイツより日本の燃料事情、原材料供給は厳しく、ドイツ以上の活躍はできなかっただろう。橘花は米軍機に圧倒されていたはずだ。もし実戦化が早期に実現していれば、1944年のフィリピン戦線などで結果が違っていたかもしれない。ただし橘花の航続距離が短いため太平洋戦線で必要とされた長距離戦には不向きだっただろう。橘花は本土防空専用とし昼間のB-29空襲を迎撃していただろうが、米軍が夜間空襲に切り替えたためレーダーを搭載しない橘花は対応できなかっただろう。
Me-262同様に橘花もあまりにも機数が少なく登場が遅かった。ご関心の向きはダイヤ―の著書をご覧ください。

Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: Wikimedia Commons

★ドイツ空軍トーネード後継機巡る意見対立を考える

ドイツがめざすトーネード後継機については前もお伝えしていますが、今回は任務から考えてみようというIISSの提案です。自由落下式の核爆弾運用など自殺行為にしか思えないのですが、NATOとしては自らの主張として米核戦力の一部であってもその存在そのものに意味があるのでしょうね。そして文末にあるように今や独仏でさえ戦闘機を共同開発する時代になっているのですね。

Dogfight over Berlin: Germany’s Tornado replacement aspirations

ベルリン空中戦:ドイツのトーネード後継機候補を巡る意見対立

Germany’s selection of a future combat aircraft for the air force may not be a binary choice.


ドイツの選択は二者択一にならないかも


German Tornado jet. Cedit: CARSTEN REHDER/AFP/Getty Images
By Douglas Barrie, Senior Fellow for Military Aerospace
Date: 21 December 2017


フトヴァッフェ上層部とドイツ国防省の間でトーネード後継機にヨーロッパ産米国産いずれの機材を導入すべきかで意見が分かれている。空軍側はF-35を、国防省はタイフーンをそれぞれ推す。ただし議論の出発点がまちがっている。
機種より任務で考えた方が選定の透明度が高まる。ルフトヴァッフェでトーネードは核・非核両用のペイロードを搭載する。核任務はNATOの重要な機能でトーネードはB61核爆弾を搭載する。ドイツがこの任務を続けるのであればトーネード後継機にも同機能が必要となる。
ルフトヴァッフェで運用中のユーロファイター・タイフーンは核兵器運用配線がない。この事は開発当初から認識されていたが実装されなかった。タイフーンに核爆弾投下能力を付与するのは可能だがコストがかかる。ヨーロッパ産業界は3億から5億ユーロと見ている。また米側が同機の構造・システムに細かくアクセスを求めてくる可能性もある。さらに関係者は型式証明が長くて7年かかると見る。仮に型式証明がスムーズに行ってもルフトヴァッフェ工程表ではトーネード後継機導入開始を2025年と見ており、2030年までに完全に交代させる想定なのだ。
ドイツ空軍のトーネードが核・非核両用になっていることがNATOの核抑止力の一部であり、その効力を有効にするためには十分な信頼性が必要だ。運用が自由落下式核爆弾なら戦闘航空機や高性能地対空ミサイルが候補になる。長距離スタンドオフ兵器は想定外で、低視認性戦闘機材なら目標地へ接近すしやすくなる。
ただし考え方を変えればトーネードの核・非核任務を少数のF-35とそれよりは多いタイフーンに分担させれば、空軍と国防省の対立は解消できる。前者に核運搬任務でB61-12爆弾を搭載し、通常攻撃にも低視認性を利用してあたらせる。一方でトーネードが行っている対地攻撃はタイフーンに任せる。
にもかかわらずルフトヴァッフェはトーネード後継機探し以外に、タイフーン後継機も長期的に模索することになる。次世代戦闘航空システム(FCAS)の検討作業で当初は新型戦闘航空機材の導入を2035年開始と見て対地攻撃能力を重視していたのはトーネード後継機を意識したためだ。だが考えたかが2017年に変化しF-35が支持を集めるようになった。ドイツの長期的戦闘航空機材の要求内容ではタイフーン後継機に空対空戦闘能力の実現が求められている。就役開始は2045年に先送りされている。
FCAS検討はフランスと共同作業で、就役開始時期はフランスの求めるラファール後継機の供用開始時期にあわせているが、F-35の導入コストと新型戦闘機の調達のコストで格差が拡大する傾向にある。■



This analysis originally featured on the Military Balance+, the new IISS online database that enables users in government, the armed forces and the private sector, as well as academia and the media, to make faster and better-informed decisions. The Military Balance+ allows users to customise, view, compare and download data instantly, anywhere, anytime

2018年1月12日金曜日

ロシアが海中ケーブルを切断したらインターネットはどうなるのか

では本当にロシアが海底ケーブルを切断したらどうなるか。点にご関心の向きは以下をご覧ください。米誌Wiredの記事です


WHAT WOULD REALLY HAPPEN IF RUSSIA ATTACKED UNDERSEA INTERNET CABLES

ロシアが海中インターネットケーブル線を切断したらどうなるのか

デンマークを通過するロシア原子力潜水艦Dmitrij Donskoj July 2017.
 MICHAEL BAGER/AFP/GETTY IMAGES
01.05.18
07:00 AM


夢のシナリオになる。テロリスト集団あるいは極悪国家が世界のインターネット利用を妨害しようと海中の光ケーブルを切断したとしよう。
 米海軍は何年も前からロシアが海底ケーブルを攻撃対象にしたら大変な事態になると警告している。ロシアがケーブル敷設場所付近をうろつくのが目撃されている。英国の最高位軍人も12月にロシアが回線を切断すれば「ただちに壊滅的になる可能性のある」効果が生じると述べた。NATOは冷戦時と同様の指揮所を復活させロシアのケーブル付近での活動状況を北大西洋で監視しようとしている。
 グローバルに伸びるインターネットが使用不能になれば、恐ろしいことだ。だがロシア他がケーブル数本を切断してもその結果は軍部が言うほどの結果にならないと述べる専門家もいる。確かに世界のインターネットインフラは脆弱だが最大脅威はロシアではない。
 「妨害工作でケーブルが妨害工作を受ければ不安だというのは誇張しすぎだ」と語るのはニコール・スタロシエルスキ Nicole Starosielski・ニューヨーク大教授でインタネットケーブル研究に詳しく著書もある。「システムの作動原理を理解して正しく攻撃されればシステム全体が妨害される。しかしその可能性は極めて小さい。懸念と恐れは理解できるが実際の脅威とは全く違う」
 たとえばケーブルの亀裂は普通に発生している。推定428本ある海底ケーブル世界網では毎日どこかで損傷は発生している。ほぼ全数が事故であり意図的ではない。海底地震、地滑り、投錨や舟艇による損傷だ。だからと言ってケーブルの人為的妨害が不可能なわけではない。ヴィエトナム沖合で2007年に漁民が27マイルに及ぶ光ケーブルを引き上げてしまい、数か月もインターネット運用に影響が出たことがある。(この場合も途絶ではない。同国はもう一本ケーブルが利用できたためだ)
 ケーブルに故障があっても気づくことはない。とくに米国のような国に暮らすと利用中のサービスはただちに別ルートに迂回するためだ。ルーマニアのような国に住む友人とスカイプでやり取りしている間に漁船あるいは錨がケーブルを裂くと三分の二までなら作動し、通話は単純に別回線を介して続く。ヨーロッパ、米国、東アジアでは多数のケーブルが同じ経路上に走る。地図で確認したい向きはhereここをクリックしてほしい。
 つまりロシアが大西洋でケーブル数本を切断すべく潜水艦を位置につけても世界規模でのインターネット運用にほとんど影響を受けない。仮に大西洋のケーブルを一本ずつ全部切断してもすべて太平洋経由に迂回される。
 「作動状況は最高といかず通信品質も下がりますが全くの不通になりません」と語るアラン・モールディンAlan Mauldin は市場調査企業TeleGeographyの調査部長だ。同社は通信分野とくに海底ケーブルを専門とする。
 仮にロシアが米国両岸の敷設ケーブル全部を切断したら、インターネットは光速で作動しなくなる。米国国内では地上線を活用できるが海外通信は利用できなくなる。
 「海底ケーブル全部を喪失しても米国内ならメールは送れるでしょう。ただヨーロッパではアメリカらフェイスブックに投稿した内容は見られなくなります」(モールディン)
 故障は日常茶飯事のためケーブル修復船が世界各国の海域で活躍している。もしロシアが切断に動けばこうした船舶が直ちに修理する。またロシアによるケーブル攻撃の仮説だが自国民も被害の対象になる。「ロシアにも損害が生まれ、しかもアメリカへの打撃以上になるのでは。というのはコンテンツの大部分は現地に局部的に蓄積されていますから」と上級アナリストのジョナサン・ヒヘンボ Jonathan Hjembo が述べる。
 だからと言って世界の海底ケーブルに危険がないわけではないし、防護が不要でもない。アフリカや一部東南アジアのようにインターネットインフラが貧弱な地域で要注意で、故障が発生すれば影響はもっと深刻でインターネットが遮断されかねない。
 「ケーブル損傷は深刻な問題ですが、ケーブルへのアクセスが困難な場所では接続が困難になるでしょう」とモールディンが述べる。2011年に地中のケーブルを老女がスライス状に切断してアルメニア全土でインターネット接続が遮断された事例が発生している。この時の衝撃は大きく、アルメニアに代わりジョージアが同国のアクセスほぼ全部を肩代わりし、文字通り一本のケーブルに同国は全部依存していることがあきらかになったことがある。
 ケーブル一本が文字通り「死活」を握ることもあり、例として一部では海底ケーブルは多数国との国境線付近の狭い場所を通る。マラッカ海峡や紅海がその例だ。こうした場所では投錨のリスクが大きい。また地政学的な紛争による影響もあり、ケーブルに関心を寄せる国や企業が多数あらわれる。
 ケーブル多数のハブとなる場所もあり、こうした場所がリスクだ。エジプトの海底ケーブルが断裂すれば、世界のインターネットの三分の一が使えなくなる可能性をスタロシエルスキの研究が明らかにしている。ブラジル北部のフォルタレザは海底ケーブルの一大拠点で南北アメリカを結ぶ地点になっており、同地が侵入されればブラジルから米国へ往復するデータ全部が取られてしまう。
 世界規模のインターネット危機は投錨ではなく政策の誤りから大きな危険にさらされる。2011年の例としてスタロシエルスキはインドネシアが同国水域内のケーブル修理にはインドネシア国籍技術者の乗った船しか投入できないと要求してきた。問題はそのような船が存在しないことで、修理が大きく遅延すると影響は同国のみならず付近を経由する通信全体にあらわれた。
シアによるケーブル断裂事故は一件も発生していない。プーチンは少なくとも今は海底ケーブルに手をかけていないようだ。その一方でわれわれはインターネットインフラの脆弱性解決に努力すべきだ。■
仮に全部切断しても米国には影響がないということですか。であればロシアの狙いは通信線の遮断ではなく、サイバー攻撃や情報の盗み取りでしょうか。いずれにせよ全艦がケーブル線にかかりきりになるわけでなく、言われるようなインターネット暗黒時代は到来しないようですね。

ボーイングCAVは短距離自律貨物機の新しい方向への第一歩

電動、自律運航がみそで、試作段階ですが技術がここまで来ているということでしょう。ボーイングの説明では概念設計から三か月で完成したということで、特注バッテリーの耐久時間等は公表されていませんが、将来は10-20マイルで500ポンド程度の貨物を運ぶ狙いがあるようです。小口運輸の需要があると見ている証拠ですね。各種技術を統合するところにボーイングの強みがあるのでしょう。

 

Unmanned cargo lifter deepens Boeing's push on autonomy

無人貨物VTOL機に見るボーイングの目指す自律飛行技術

Asset Image
Boeing
10 JANUARY, 2018 SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
BY: STEPHEN TRIMBLE
WASHINGTON DC
CAV
ーイングが無人貨物輸送機 unmanned cargo air vehicle(CAV)の試作機を1月10日公開した。500ポンド(227キログラム)までのペイロードを搭載する同機はボーイングが自律運送需要への対応を目指す戦略の表れだ。
CAVは電動で初飛行をボーイング技術研究部門内の協調自律システムズ研究室のあるミズーリ州で行ったと同社が発表。
CAVは電動垂直離着陸(eVTOL) 試作機としてボーイングがこの度買収したオーロラフライトサイエンシズが進める技術の一部となる。また同社のヴェンチャー部門ボーイング・ホライゾンXによる投資から生まれた自律ソフトウェアも利用しており、テキサスのSparkCognitionによる人工知能、ペンシルヴァニアのNear Earth Autonomyによる自律航法技術、シアトルのZunum Aeroの電動推進方式があり、オーララ技術も使う。
「この貨物無人機はボーイングのめざすeVTOL戦略の第一歩です」とボーイングの最高技術責任者グレッグ・ハイスロップ Greg Hyslopが語る。「空の旅、運輸の在り方を一変する機会となり後世はその一歩を踏み出した日として今日のことを記憶するでしょう」
自律型VTOL機は滑走路を使う無人機より難易度が高い。安全に飛行することに加え無人VTOL機は着陸地点に障害物がないことを確認する必要がある。
「無人機システムに安全性を組み込むのが肝要でこれではじめて可能性を発揮できます。ボーイングには他社の追随を許さない実績があり、規制の知見があり、システム対応でソリューションを提供し未来の自立飛行の実現に向かいます」(ボーイング・ホライゾンX副社長スティーヴ・ノードランド Steve Nordlund)
ボーイングとオーロラは自律貨物機開発に取り組み、最初はAH-6リトルバードヘリコプターの無人版から始めた。オーロラフライトサイエンシズも米海軍研究本部とともに自律空中貨物多用途システム(AACUS)開発に参加していた。■
今後が期待できますね。軍用に投入したら戦術輸送で空飛ぶジープのようになるのではないでしょうか。

平昌へ北朝鮮代表団が参加するのはいいが問題は実務面だ。その先には?

韓国のことなのでと放置しておけません。東京五輪は3年後のことで、同じ問題は日本で発生するのです。(北朝鮮がまだ存続しているとして)国連制裁決議との兼ね合いで韓国は自国民(韓国は北も自国としていますよね)なのでと強弁すると思われますがいかなる便宜供与も違反事項になるのではないでしょうか。そうなると国際オリンピック委も同様ですね。これも日本はよく見ておく必要がありますね。

 

North Korea is sending a huge delegation to the Winter Olympics — but getting them there will be tricky 北朝鮮が大規模代表団を冬季五輪に送り込むが実施方法はやっかいだ



south korea olympics
South Koreans perform on stage during the Pyeongchang 2018 Winter Olympic Games torch relay on November 4, 2017 in Busan, South Korea. Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images

  • 北朝鮮は平昌オリンピック大会に代表団を送ると表明
  • 北朝鮮代表団の渡航などロジは複雑になりそうだ。両国は交戦中の扱いのため
  • 北朝鮮代表団の韓国入国方法、宿泊先、安全の各方法など検討課題が浮上


南北朝鮮が2年ぶりの直接会談で1月9日大きく踏み出した。
北朝鮮は平昌冬季五輪に参加すると発表し、北朝鮮は競技選手、芸術団、応援団、テコンドー実演チーム、報道団を送る。
北朝鮮でオリンピック出場資格があったのはフィギュアスケート選手男女ぺア(Ryom Tae-ok、Kim Ju-sik)のみだが昨年10月の登録締切期日に手続きしていなかった。国際オリンピック委員会は1月8日に北朝鮮向けに手続き延長を発表し参加に道が開けた。
問題は選手団等を韓国へどうやって連れて行くかだ。

一部のみ陸路、残りは海路で入国か

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A North Korean ferry carrying 368 North Korean supporters sail into the port of Dadaepo September 28, 2002 in Busan, South Korea. Chung Sung-Jun/Getty Images

北朝鮮関係者を五輪会場に移動させるのはハードルが高い。北朝鮮五輪組織委員会会長のLee Hee-beomは選手は非武装地帯を横断して南入りすると述べている。
その通りなら北朝鮮運動選手が陸路で韓国にやってくる初の事例となる。だがこの扱いは選手以外の訪問団には提示されていない。
「韓国は北朝鮮訪問団を歓迎し選手のみ韓国政府が陸路での移動を許し、残りは船で移動する」とLeeはロイターに語っている。
2002年に北朝鮮は代表団606名を韓国釜山でのアジア競技大会にクルーズ船で送り込んだ。
翌年の夏のユニバーシアード大会(大邱)に528名代表団が航空機で北京経由で移動した。

選手団は韓国と一緒に会場行進する

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South Korean women wave unification flags at departing athletes at Gimhae Airport October 11, 2002 in Pusan, South Korea. Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images
韓国統一部副大臣Chun Hae-sungは記者団に韓国から南北合同行進を開会式で行い統一旗の下で行いたいとの構想を提案していると述べたが確認はは出ていない。
朝鮮戦争が休戦となった1953年以後南北は敵対しているが両国はスポーツで統一されることもあり、サッカーや卓球で競合したこともある。
南北が合同で行進入場したのはシドニーオリンピック(2000年)が初で2002年のアジア競技大会でもこれを繰り返した。ただし、政治動向の変化で合同行進は中国開催のアジア競技大会(2007年)が最後になった。

北朝鮮派遣団は会期中、停泊中のクルーズ船に宿泊

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The North Korean team parading at the opening ceremony of the Winter Olympics at the Nagano Olympic Stadium, Nagano, Japan, 7th February 1998. Photo by Shaun Botterill/Getty Images

聯合通信によればクルーズ船が北朝鮮に提供され、390室があり1,000名まで収容できるという。同船がおそらく代表団の宿泊場所になるのだろう。釜山でも同様の措置があった。
以前のオリンピック大会で北朝鮮代表団はオリンピック村利用を提示された。だが2008年の北京オリンピックで選手団は練習以外にオリンピック施設の利用を許されなかった。このため韓国が独創的な方法で北朝鮮の宿舎問題を解決した。
2003年ユニバーシアード大会で北朝鮮選手団は地元銀行の訓練施設に寝泊まりし選手村には入らなかった

費用は誰が負担するのか

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South Koreans wave unification flags to departing North Korean athletes at Gimhae Airport October 11, 2002 in Pusan, South Korea. Chung Sung-Jun/Getty Images

だが北朝鮮参加で発生する移動、宿泊、練習の経費を誰が負担するのかはっきりしない。
これまでは韓国が北朝鮮関係者の韓国内発生費用を負担することが多かった。
だが2014年アジア競技大会に先立ち韓国は国際規範にしたがい、参加国が事故負担することとした。北朝鮮関係者は打合せ会合で「席を蹴って飛び出した」という。
だが韓国は昨年、IOCが費用一部を負担すると述べている。
「IOCが北朝鮮の練習他の経費を負担する用意があり、その他大会参加関連経費も負担する」と韓国スポーツ大臣Do Jong-hwanが述べている。IOCは北朝鮮に訓練器具も昨年供与している。
こうした便宜供与が国連制裁措置に違反するのかで専門家の意見も分かれている。

北朝鮮代表団の参加で五輪は安全に開催できそうだ

south korea security olympics

South Korean special police participate in an anti-terror drill at the Olympic Stadium, venue of the Opening and Closing ceremony, on December 12, 2017 in Pyeongchang, South Korea. Chung Sung-Jun/Getty Images

専門家は五輪大会が北朝鮮代表団の参加で安全になると見る点で一致しており、襲撃を受ける可能性が減るとする。
それでも韓国が保安体制を強化する。ロイターは韓国国防相が五輪会場に5千名の武装兵士を配備するとしており、サイバーセキュリティ体制も北のハッキングを想定して強化するという。■

海中ケーブルの脆弱性が注目されています


新しい冷戦との表現が遂に表に出てきました。前回と違い今回は複雑な状況になりそうです。これだけインターネットが普及しているとそれを当たり前に使っている分、攻撃に脆弱になりますね。GPS衛星も同様です。今日の社会はそれだけ以前よりも脆弱ということでしょうか。


Undersea cables the Achilles’ heel in lead-up to new cold war

新冷戦で海中ケーブルはアキレス腱だ
Hostile acts against submerged Internet cables would put critical communications, trillions of dollars in transactions and the world economy at risk 海中インターネットケーブルが敵対行為を受けると数兆ドル規模で世界経済が影響を受けかねない

An illustration of a submarine in close quarters with an undersea communications cable. Photo: Policy Exchange
An illustration of a submarine in close quarters with an undersea communications cable. Photo: Policy Exchange
DOUG TSURUOKA EDITOR AT LARGE JANUARY 6, 2018 1:33 PM (UTC+8)

目されていないがサイバー戦で非常に大きな影響が出そうな戦術がある。地球各地にはりめぐらされたインターネット上のやりとりの95%が海中の光ケーブル200本を行き来しており、米国、ロシア、中国やイランが深海に設置された情報パイプを情報源としてあるいは戦時の攻撃目標として注目している。
この戦術に潜水艦、無人潜水機、ロボット、特殊船舶、ダイバーが投入される。新たな戦場は法律上はグレーゾーンで海洋法では海中ケーブルは対象だが敵対行為は想定していない。
このミッションの実行が進んでいる証拠があり、米国含む大国が真剣になっている。テロリストやその他非国家勢力がケーブルを襲撃する可能性もある。
探知困難な行為による損害は巨額に上りかねない。軍のみならず外交通信が使用不能となり経済が打撃を受ける。インターネットに政治外交や軍事効果が依存する傾向は強まるばかりで、海底ケーブルが戦術目標として攻撃されるあるいは防衛するのは現実の話になっている。
「海底ケーブルインフラが敵対勢力から全面攻撃されればネット接続が普通となり壊滅的効果となるが、部分的な妨害工作でも経済損失は相当な規模になる」と元NATO司令官の米海軍退役大将ジェイムズ・スタヴリディスAdmiral James StavridisがレポートUndersea Cables: Indispensable, Insecure”の前文に寄稿している。
Submarine cable map from Telegeography.com.
Submarine cable map from Telegeography.com.
海底ケーブルの重要性と脆弱性についてどれだけ強調しても足りないだろう。英保守党国会議員リシ・スナック Rishi Sunakは世界の海底インターネットケーブルを行き来する情報は一日に10兆ドル相当と昨年12月に報告書でまとめている。
「ネットワークが消えたら、稼働中の衛星全部を使っても米国発の通信量の7%しか使えなくなる」(スナック議員)

狙われやすいアジアのチョークポイント

複数ケーブルが海底地形等のため集まる地点が特に脆弱だ。その一つがフィリピン近くのルソン海峡で香港、台湾、韓国、日本を結ぶケーブルすべてが通る。2006年12月26日に海底地すべりでケーブル6本が切断され、インターネットが一時的にせよ使用不能となった。
米国で大西洋横断インターネットはニューヨークから半径50キロ地点で多数が陸上に出てくる。
新たな戦場の全体像は巨大だ。ケーブルは水面からわずか数メートル地点からエベレスト山と同等の深さにも敷設されている。
ケーブル敷設場所は地図に出ており、オンラインでもわかるので特殊潜航艇、艦船、ダイバーや簡単な道具の前に無防備だ。
米情報機関関係者はロシアがケーブル戦で一番可能性の高い実行犯になるという。ロシア潜水艦が「活発な活動」を米本土向け大西洋ケーブル付近で展開していると米国は公表している。

米国のスパイ潜水艦

ただし米国も同様の活動をしている証拠がある。米メディアがシーウルフ級原子力潜水艦USSジミー・カーターがワシントン州に帰港した際に海賊旗を掲げていたと報道したのが昨年9月のことだった。
米潜水艦がガイコツと骨の旗を掲げるのはミッション成功の印だ。ではジミー・カーターは何をしたのか。米海軍はなにも発表しないが、同艦には遠隔操作水中機とSEALチームが乗り、海底ケーブルに盗聴器を設置または回収したのではないかという専門家がある。
海軍特殊部隊や潜水艦の解説を専門とするウェブサイト、Covert Shoresは昨年8月にロシア海軍が高性能スパイ船ヤンターYantarを海底インターネットケーブルの盗聴ほか情報収集活動用に運航していると伝えている。

ヤンターは「潜航艇二隻の母艦になる」とCovert Shoresで解説している。「そのミッションはケーブル切断、ケーブル盗聴、他国の盗聴器の除去他情報活動だろう。そのほかに水没機体やミサイルテストから重要装置を回収することもあるはずだ」
同艦が米沿岸、キューバ、トルコ、北キプロス他の重要ケーブル接続点を遊弋するのが目撃されている。
カルガリー大の軍事戦略研究センターの主任研究員ロブ・ヒューバートRob Huebertはロシアが大深度潜航が可能なミニ潜水艦を2003年に進水させたと指摘する。ロシャリークLosharikとかプロジェクト201あるいはAS-12と呼ばれる同艦はケーブル工作実施用だといわれるが確認は取れない。
「ロシア軍がこれを運用するのであれば中国米国も同じ能力を有している可能性は高い」とヒューバートはAsia Timesに述べている。

中国は関与しているのか

中国やイランのケーブル工作への関与の証拠は一定していない。米側は南シナ海での中国の活動、イランのペルシア湾活動を指摘し、すぐに見つかる軍艦ではなく民間船舶を「グレイ船」として詳細不明の活動に投入されているという。
Submarine cables in the South China Sea. Photo: Policy Exchange
南シナ海の海中ケーブル Photo: Policy Exchange

スタヴリディスは上述の前文で水中ケーブルは民間船舶に偽装した特殊船による非軍事技術で簡単な標的になると指摘。
こうした米側の主張へはプロパガンダだと反論も出そうだが、米側がこの能力を整備しているとすれば北京、テヘランともに対抗で同様の活動を展開してもおかしくない。
スタヴリディスは米側の選択肢として緊急時用の予備とする「ダークケーブル」を作ることを提案する。もう一つはロシア他を巻き込み海底ケーブル網を法律で防護する仕組みを強化することだという。

実際に発生した事例

海底ケーブルで謎の中断が数回発生している。2008年は集中して発生した。インド中東向けの高速インターネットケーブル5本が攻撃され、インターネットが大幅に遅くなった。当時の推測は船舶の錨でエジプト・アレクサンドリア付近で損傷を受けたというものだったが、その当時に付近に船舶の姿はなかったと関係者が述べている。
エジプト政府は当時アレクサンドリア付近にいたスキューバダイバー三名を逮捕したが三名は誤ってケーブルを切断したと陳述したが、エジプト政府は動機について説明をしていない。

この事件から陰謀説が生まれ、中には米国家安全保障局がインターネット通信を盗聴していた、あるいは現地各国の政府が意図的に接続速度を遅らせスマートフォンを利用するでも参加者に不便を生んだとするものがある。■