2021年10月12日火曜日

ペンタゴンR&Dトップが見る重要技術分野の展望。極超音速技術、プロセッサー、バイオ技術等。こうした技術開発と迅速な実戦投入が自由世界の防衛に重要だ。

 企業ではCTOという立場なのでしょうか、技術分野を横断的にホリスティックに見られる人材が必要です。自由と繁栄を守るためにも技術分野の進歩が必要であり、当然ながら防諜活動を強化して成果を易々と盗まれないように守る必要もありますね。

 

Heidi Shyu speaks during her confirmation hearing to be Defense undersecretary for research and engineering in Washington on May 25, 2021.

ワシントンで開かれた国防次官任命聴聞会でのハイディ・シューMay 25, 2021. CAROLINE BREHMAN/CQ-ROLL CALL, INC VIA GETTY IMAGES)

 

 

ィディ・シューHeidi ShyuR&D担当国防次官は整理すべき技術分野を模索したところ、これまで軽視されてきたが重要な分野を把握できという。

 

研究開発担当国防次官に任命されたシューは陸軍で調達幹部を務めた経験を活かし、開発優先リスト上の各種技術から削減対象を絞り込んだ。

 

だがこうした技術は中国の封じ込めに有効と理解するに至った。極超音速、人工知能、サイバーセキュリティ等である。

 

「当初は減らせると思っっていたが、結局増えることになった」(シュー)

 

防衛産業にとっては逆に頭痛になりかねない。業界では研究開発支出を優先順位に応じて整理しようとしている。リストは時の経過で変化しており、研究目標も科学技術上の突破口となる内容よりむしろ中庸なゴールを目指すことが多い。

 

だがシューは変革を目指す大胆な姿勢だ。上院での任命を巡る聴聞会でっシューはペンタゴンでは兵器開発費用の3割が開発調達にまわり、残る7割が維持に使われていると述べ、これを逆転させたいとした。

 

本人へのインタビューのポイントは以下の通り。

 

極超音速技術

シューはペンタゴンが極超音速装備複数事業へ多額の予算を投じることに反対との批判勢力の意見を共有する。

「負担可能な極超音速兵器開発をどう実現するかに焦点をあてている。そのため次の課題がある。適正な素材を使っているか。適正な試験施設があるのか」

 

国防総省は2022年度予算で28.65億ドルを要求し、極超音速技術開発を進めたいとする。直近では陸軍、海軍がそれぞれ極超音速関連予算を倍増させながら、空軍は40%削減している。空軍は空気吸い込みのジェット発進式極超音速体の実現に成功しており、陸軍は極超音速ミサイル配備を始めている。

 

研究開発上の課題が解決すれば、生産が伸び、単価が下るとシューは見ている。

 

シューは極超音速プロジェクトを整理統合し、実現確実な案件に絞り込むべきとみている。

 

「軍は実用化のため予算を計上する。そうなるとプロジェクトの成功度合に応じてどれに注力すべきか判断するのがよい」

 

人工知能

 

シリコンバレーで人工知能に莫大な予算が投じられており、ペンタゴンもAIツールの役割を理解すべくR&Dを独自に進め、安全かつ効果的な活用をめざすべきだ。

 

「業界はAIのML(機械学習)や自律運用に巨額を投じている。信頼できるALのML、信頼できる自律運用性能を実現したい。念頭にあるのは低価格、消耗覚悟で残存性が高い無人装備だ。このため、ALのMLと自律運用性能が信頼できる水準に鳴ることが肝要だ」

 

ここから新水準の性能を単に実現するだけでは十分ではなく、テスト活動、安全性、設計に従来より高い重点を置く必要が生まれる。これにより技術系企業大部分は実験活動の在り方を一変し、人工知能や機械学習ツールを活用できるはずだ。

 

サイバーセキュリティ

シューの考えるサイバーセキュリティは高度にネットワーク化され脅威を迅速に探知することによりファイヤーウォールを過信しない。

 

「国防総省のニーズを考えると各種センサーはいまのまま使えないと思う。必要なのはサイバー戦、電子戦と関連して作動させることで情報戦や通信もここに加わる。ごくごく短時間で探知して対応する必要がある」

 

その意味でオープンアーキテクチャの重要性が増しているという。

 

「一種類のアーキテクチャに固執することは避けなければならない。脅威も進化していくので旧式アーキテクチャを抱えることになっては困る。そこでモジュラー方式のオープンアーキテクチャにする。プロセッサーを安全なまま民生技術同様のスピードで進化させることがこれから重要となる」

 

マイクロプロセッサー

シューはCHIPS法に賛成しており、マイクロプロセッサー生産を米国に呼び戻す動きを支援する。だが国防総省は半導体の利用方法をもっと学ぶ必要があると指摘。「リアルタイム運用ではマルチコアのプロセッサを購入しているがプログラム方法を熟知しているからと正当化している。だからこそ研究費を増やしたい。16コアのプロセッサーあるいは32コアが生まれたら活用方法をあらたに探求する必要が生まれるからだ」

 

こうしたプロセッサをどう利用すべきなのか。一つは低帯域環境で処理能力を増やすことだ。ハイテク敵勢力が通信妨害に向かう際の対応だ。だが、シューは3D画像処理の向上が訓練に応用できると強調し、同時に通信、指揮統制にも使えるという。

 

「インタラクティブな3Dの実現に集中してききたい。3-D作戦センターを使い、各地に分散した部隊の指揮統制を低帯域環境で実施する」「これにより作戦立案が迅速になりミッション指令も行える。きわめて強力になる。技術はすでにある。新規投資が必要なわけではない。あと一押しすれば完成し、実戦部隊が活用できる」

 

宇宙

シューはバイデン政権は宇宙配備兵器の整備の可能性を排除しておらず、中国やロシアの衛星攻撃手段の排除構想はシューの前任者も想定していた。

 

「すべて極秘事項です」とするが、現政権の宇宙戦略では回復力に重点をおき、低コストで多数の衛星を投入することをめざしている。

 

バイオテク

シューはバイオテクノロジー特に高機能素材が将来の作戦でカギとなると述べている。8月に行われたDARPAの実証実験に触れている。

 

「48時間以内で水、砂、生物技術を応用してヘリコプター発着パッドを完成させた。すごい成果だ。兵たん経費が大幅に減り、現場で完成させた」

 

だが国防総省はバイオテクノロジーの応用範囲を広げる必要があり、兵員の身体活動へ健康状態のバイオメトリックデータ収集を実現し、指揮官が部隊の状況を適正に把握する状況を作りたいとし、これは軍のみならず一般社会にも応用できるという。

 

新分野New Focuses

シューは新素材がこうした各分野の突破口を開く上で重要となるとみている。

 

各案件を構想段階から実現に向かわせるカギは実戦部隊の手に早く渡すこととシューは述べた。

 

国防副長官キャスリーン・ヒックスが当方が仕切るイノベーション部会を準備してくれた。そこで急いで取り組んでいるのが迅速な開発とともに実験予算の確保だ。文字通り期待が高まる構想を取り上げ、実験で統合戦闘構想が求める内容とのギャップを埋めていく」「共同実験で単独では実行できなくても各軍のニーズに対応させていく。実戦部隊のトップと密接に作業しており、統合参謀本部とも連携している」と述べた。■

 

Pentagon’s Top Science Official Adds to Tech-Breakthrough 

Wishlist

BY PATRICK TUCKER

OCTOBER 11, 2021 03:46 PM ET

 

https://www.defenseone.com/technology/2021/10/exclusive-pentagons-top-science-official-how-dod-will-pursue-breakthrough-technology/186008/

 

 

 


2021年10月11日月曜日

アイアンドームがグアムへ配備される。巡航ミサイル迎撃の暫定策として。米陸軍発表。

  

Iron Dome at White Sands Missile Range, New Mexico. (Army)

 

陸軍はアイアンドーム防空ミサイル防衛二基をグアムへ送り込む。米国は巡航ミサイル防衛策の暫定策としてアイアンドームを導入したばかりで、第94陸軍対空ミサイル防衛司令部(AAMDC)が10月7日に発表した。

 

 

今回の展開にはアイアンアイランド作戦の名称がつき、同システムの実力をテストしつつ、防空部隊の運用能力を磨くことが目的と発表文にある。また2019年度国防整備認可法でアイアンドーム装備を2021年末までに作戦方面に展開することが求められているのに対応する。

 

アイアンドームは10月中旬に現地に到着し、11月から演習を開始すると陸軍報道官が述べている。

 

第94AAMDCがアンダーセン空軍基地で臨時展開部隊を統括すると発表文にある。

 

テキサスのフォートブリスから2-43防空砲兵大隊が展開する。同部隊は今年から運用訓練を続けている。第38ADA連隊も日本から現地入りし、ミッションを支援する。

 

演習では「運用データ収集、展開に当たり考慮すべき事項、並びにアイアンドームを既存の防空装備にどう統合するか」が中心とあり、後者については最終段階高高度広域防空(THAAD)が2013年からグアムに展開しているのでこれを指している。「グアムで実弾演習を行う予定はない」と発表文にある。

 

アイアンドームはイスラエル防衛企業ラフェエルが製造し、レイセオンテクノロジーズが共同開発した。陸軍は議会の要望によりアイアンドーム二式を調達し、巡航ミサイル防衛の不足分を埋めることとしながら、より本格的な解決方法を模索している。

 

陸軍はアイアンドームの追加調達の予定がないが、同装備の構成部分を間接火力防御機能に取り組む。これは巡航ミサイルと合わせ無人機、ロケット弾、砲弾、迫撃砲弾に対応させる構想。■

 

 

Iron Dome heads to missile defense experiment in Guam

By Jen Judson

 Oct 8, 07:16 AM


2021年10月10日日曜日

軍用車両の全電動化は実現困難だが、ハイブリッド化は有望。燃料の多様化も必要だ。将来の米陸軍のエナジー供給状態を展望する。

  

 

Army photo

 

 

陸軍は車両の電動化を進めているものの、技術が実用に耐える水準になるのは2030年代か、それとも永久に来ないかもしれない。

 

 

全米科学技術医療アカデミーがまとめた研究では将来の戦場での米陸軍エナジー源にジェット燃料8型(JP-8)、ディーぜルのほか再生可能ディーゼルの整備を進めるべきだが、電動車両はまだ実用に耐えず、すくなくとも2035年までこのままとしている。

 

同研究は陸軍次官補代理(研究技術担当)が後援し、アカデミーの米陸軍関連委員会が、歩兵部隊、有人無人車両さらに将来のマルチドメイン戦闘における前方作戦基地のエナジー需要対応を検討した。

 

報告書は6月に発表され、エナジー貯蔵、電力転換、燃料効率の技術革新がどこまで可能かを検討した。

 

同研究では全車両の電動化は近い将来に実現しないとしている。

 

理由は以下の通り。

 

まず現行バッテリーのエナジー密度はJP-8よりおよそ二桁低い。このためバッテリー重量が過大となり、運用要求にこたえる空間が不足する。

 

「バッテリーのエナジー密度向上実現は疑う余地はないが、不利な点を相殺する効果は期待できない」

 

さらに電動車両の再充電を迅速に行うためには膨大な電源が必要となり、戦場で期待できないと研究は指摘している。

 

同委員会の主任科学者ジョン・ルギンスランドは「地上車両の電動化は極めて望ましい方向」とし、「トルクは大きく優れ燃料効率も有利だ」と報告書内容を伝えるウェビナーで発言した。だが委員会の結論は「将来は内燃機関付きハイブリッド車とすべきであり、バッテリーのみの電動車両は望ましくない」とした。

 

民生部門の車両メーカーで電動技術が大きく進んでいるが、軍仕様には独特の側面があると陸軍地上車両システムセンターのジョン・ザフランスキが述べている。

 

「民生車両よりほぼ二倍のエナジー消費をする」「つまり、現在のバッテリー技術では要求どおりの走行距離が実現しない」

 

充電も電動車両導入の障害と指摘している。「既存の給配電網は使えない」

 

陸軍で300キロワット時のバッテリー容量のトラック6台に15分間で充電しようとすると、7メガワットの移動充電装備が必要となるとザフランスキは指摘し、電動車両の大幅導入は不可能とする。

 

「現時点で最大の移動式発電機でメガワット以上のものはない。開発したとしてもそこまでの容量の発電機を現場展開するのは大変だ」

 

報告書では原子力発電が車両充電に使えないかとの意見もあったとある。エナジー密度は高くなるが、移動式原子力発電はすぐに実現できないとルギンスランドは指摘する。「移動式原子力発電で電動戦闘車両の充電が可能となるのは2035年以降だろう」

 

報告書では「最新の設計案でも40トンになり、移動には20フィート標準コンテナ2個で戦場に搬送することになる。その後、設置に3日、冷却に2日かかる」

 

こうした制約条件は陸軍が目指すマルチドメイン作戦戦略に適合しないとも指摘している。ザフランスキは原子力技術は設置と撤収に時間がかかりすぎると述べている。

 

「現地で移動し戦うのが米陸軍だ。一か所に留まっていては敵に狙われるだけだ。機動性が重視される」

 

地上車両システムセンターで推進系や機動力を担当する主任研究者ピーター・シフル博士は戦闘車両、戦術トラック、特殊車両が集中するため電動車両への切り替えは複雑な作業となると述べた。「電動化で車体重量が増えるため困難だ」

 

民生部門で電動車両技術が大きく進展しているが、ザフランスキは軍用車両へそのまま使えないと指摘する。

 

「一般車両はハイウェイ走行中に射撃を受ける想定は不要でしょう。でも戦闘車両では必要です。そのため、リチウムイオンバッテリーで何発か命中しても発火爆発しない仕様が必要です」

 

バッテリーには何らかの防護措置が必要となると指摘し、車両は過酷な温度条件や振動に耐える機能も求められる。

 

戦略国際研究センター上級顧問となったマーク・カンシアンはアカデミー報告書では2035年までの技術を展望しているが、電動車両の全面的な軍用利用はその後でも実現可能性は低いとみている。

 

「戦場に配電網は完備されておらず車両充電がままならない」とし、装甲旅団の充電だけで膨大なエナジーが必要となる。バッテリー技術の成熟には時間がかかるとの指摘だ。

 

ただし、電動車両ユーザーにぴったりの部隊がある。特殊作戦部隊だとカンシアンは言う。

 

「SOCOM車両にはステルス性能が必要なものがある」とし、こうした特殊車両を先に電動化すればよいという。

 

SOCOMは地上機動車両1.1のハイブリッド試作車二型式の製造に取り組んでおり、ハイブリッド電動技術の有効性を確かめる。

 

だが、こうした隙間需要を除くと民生電動車両が軍用仕様に導入される可能性は中短期的あるいは永久にないとカンシアンは見ている。軍用車両の電動化には利点が見つけにくいという。

 

このように専門家や関係者が全電動化軍用車両構想に冷たい視線を浴びせる一方で、陸軍は電動技術への出費を続けており、そのひとつに軽量偵察車両eLRV構想がある。

 

開発にあたるマイク・スプラングによればeLRVは陸軍の新規要望に応えるものだという。

 

「民生部門では電動化を真剣に取り組んでいますが、軍用への応用は学習途中といったところです」とし、GMディフェンス含む契約企業が電動車両技術に大規模投資をしていると指摘した。

 

ザフランスキはeLRV がいつ投入可能となるか不明としながらも開発に進展があることを認めた。

 

「陸軍の要求仕様担当部門と仕事している。実証も行ってきた。また、インプットも提供しており、陸軍側も業界に期待できる内容が理解でき、要求内容も裏付けがとれたものになる」

 

実証は今年夏に行い、数社が参加したという。

 

さらに陸軍の将来装備司令部の次世代戦闘車両チームも電動車両技術に取り組んでいる。今年初めには地上車両システムセンター、陸軍応用技術研究所、アリオンサイエンスアンドテクノロジー社と共同で合計六社に100千ドルの研究助成金を交付し、将来の電動車両の電源技術コンセプト研究を求めている。

 

交付先は Coritech Services, Inc. 、Czero, Inc. 、Fermata Energy、PC Krause and Associates、Tritium Technologies, LLC、Wright Electricの各社だ。

 

全車両の電動化で実現のめどが立たないものの、アカデミー報告書はハイブリッド車両の導入を提唱しており、ザフランスキもここにチャンスがあるとする。

 

ハイブリッドなら陸軍車両の運用時間が伸び燃料消費効率が向上し、指向性エナジー兵器、高性能センサー、高出力通信装置などの搭載装備への電力供給と合わせ騒音を立てずに作戦が実施できるとしる。

 

シフルは軽量トラックの電動化が一番有望との意見だが、「生産の切り替えには数年かかる」という。

 

他方で液体燃料についてアカデミー報告書では陸軍が単一種類燃料を全車両で使うことにこだわっており、発電機、タービン動力航空機でも同様だが、燃料種類を多様化したほうが効果が大きいと指摘している。

 

「JP-8ディーゼル、バイオディーゼルが戦場で第一に使われており今後もそのままだろう」とルギンスランドは述べており、「同燃料のエナジー密度と出力は他では得られない」としている。

 

だが、適正な燃料種類の組合わせは平時か有事かで異なると報告書にある。

 

ディーゼルは軍用車両用に合理的な選択で、有事の一部天候下ではJP-8をしのぐ存在になりうると報告書が指摘する。「各地で潤沢に入手可能で、一定の条件下で現地再補給も可能だ」

 

ディーゼルの容積エナジー密度はJP-8より9%高く、その分だけ補給トラック輸送を減らせると報告書にある。

 

平時ではバイオディーゼルが環境負荷を減らし有望だとある。

 

だが報告書は燃料の多様化は補給兵たん活動で課題になりかねないとも指摘している。陸軍が単一燃料種類の運用に慣れ切っているためだ。

 

「燃料多様化の利点と補給兵たん活動の複雑化をバランスさせることが肝要だ」と報告書は指摘。「兵たん活動が過度の負担となれば、JP-8が望ましいと判断されるはずで、シフルも燃料転換は「きわめて複雑」になると指摘している。

 

ディーゼルもバイオディーゼルも陸軍に新たな問題を生むという。例としてディーゼルに世界標準がないことがある。陸軍は今のところバイオディーゼル利用は避けているとシフルは指摘。

 

「燃料は長期間貯蔵される傾向があるが、バイオ燃料は保存すると問題を起こす」という。保存中に劣化が生じるというのだ。

 

アメリカンセキュリティープロジェクトで気候安全保障の主任研究員ディヴィッド・ヘインズは燃料多様化で利用の柔軟度が増えると指摘する。「有事でも各種燃料が利用できる状況を実現する技術を希求すべきだ」■


Electric Vehicles for the Military Still a Pipedream

10/6/2021

By Yasmin Tadjdeh


日印共同訓練JIMEXが閉幕。海上自衛隊はかが、むらさめを派遣。インド海軍との共同作戦実施力を示した。同演習は今年が5回目。クアッドの実質的能力拡大が着実に進んでいるのは朗報。

MiG-29K戦闘機編隊がかが上空を飛行した。. Indian Navy picture.

 

 

以下インド国防省報道発表です。

 

第五回日印共同訓練JIMEXが10月6日から8日にかけアラビア海で実施された。

 

演習では海上自衛隊、インド海軍の艦艇が加わり、対空、対水上、対潜戦を展開した。

 

インド海軍は西部艦隊司令アジェイ・コシャー少将が指揮を執り、国産駆逐艦INSコチ(シーキングMK42Bヘリコプター搭載)、誘導ミサイルフリゲート艦INSテグ(チェタク捜索救難ヘリコプター搭載)のほか、P-8I海洋哨戒機、MiG-29K戦闘機も加わった。海上自衛隊は第三護衛隊群司令池内出海将補の指揮下でいずも級へリコプター駆逐艦かが、誘導ミサイル駆逐艦むらさめを派遣した。海自両艦はSH-60Kヘリコプターを運用する。

 

インド海軍、海上自衛隊艦艇が実弾発射を行った。 Indian Navy picture.

 

 

演習は出だしから早いテンポで展開し、水上戦シナリオではP-8Iが上空から偵察機能を提供した。両国部隊は水上補給活動としてかがからコチへの洋上給油を実施した。また地平線越え標的捕捉演習、実弾火砲演習も大なった。高度協調型対潜戦演習として海自が水中目標を使い、水上艦部隊とP-8Iが切れ目ない連携を見せた。

 

両国部隊の司令はかが、コチ艦上で対面し、防衛協力の友好関係を確認した。航空関連ではINSコチから発射した標的に対し高度対空戦演習を行い、MiG-29K戦闘機が視界外(BVR)戦闘演習に投入され水上艦攻撃をシミュレートし、インド海軍の哨戒機ドルニエも投入された。天候条件の悪化があったが、両国海軍のヘリコプター運用に影響はなく、相互に着艦し、高いレベルの相互運用能力を示した。

 

両国間の相互運用能力が高い正確さで連携したのはプロとしての技量の高さと普段からの訓練のたまものであり、両国部隊は海上脅威への準備を怠らない。また高いレベルの信頼と理解がこれまでに積み上げられている。今回の演習が複雑な内容となったことから両国海軍部隊はさらに戦略協力関係を深め得、必要とあれば共同して相互の海洋権益を守り、域内の平和、安全、安定を維持する体制にある。■

 

 

Fifth Edition of Japan-India Maritime Exercise JIMEX Concludes

Naval News Staff  09 Oct 2021

 

AC-130Jに高出力レーザー兵器を搭載し、敵に気づかれないステルス空中攻撃手段が実現する。

 下の想像図では赤い光線を意図的に描いていますが、無色の光線となれば、攻撃される側からは不気味としか言いようがありませんね。有効射程がどこまで本当にあるのかわかりませんが、新たな攻撃手段が着々と実用に向かっているということでしょうか。


Artist rendition


10月7日ロッキード・マーティンは米空軍向けに空中高エナジーレーザー(AHEL)の納入を開始し、AC-130Jゴーストライダーガンシップで実施試験を来年中に開始すると発表した。



「当社の技術は今すぐにも実地運用可能だ」とロッキード・マーティン高性能製造ソリューションズ副社長リック・コーダロが述べている。「米空軍のレーザー兵器システム開発で大きな一歩となり、当社と空軍の協業関係の成功を物語るものだ」


今回の60キロワット出力レーザー兵器ではゴーストライダー機に搭載した150mm火砲の破壊力は生まれないが、従来なかった効果を生む。AHELは全く気付かれないまま、遠距離から敵標的を攻撃できるからだ。


ゴーストライダーは30mm機関砲弾からAGM-114ヘルファイヤーミサイルまで各種の攻撃手段を搭載するが、いずれも発射後に機体位置を知られずにはできない。だがAHELを使うと、60キロワットと特段強力ではないものの、敵は発射位置を探知できない。音もなく、ビームも視認できないまま数マイル先から標的を焦がし、発火させ、あるいは敵の弾薬を爆発させられるが、敵には原因がわからないはずだ。


米空軍航空兵装センターのジョン・コーリー作成の発表資料ではAHELによりミッション実行しながら関係を否認できるようになる。言い換えるとこの兵器を使用しても米軍の関与を疑わせないことになる。グレイゾーンの軍事行動という今日的課題で極めて重宝される機能だ。




空軍ではAHELによる敵標的撃破効果を「調整可能」とし、つまりビームの威力を絞り、車両のタイヤを溶かすことから、通信アンテナを使用不能にするまで調整可能で、いずれも爆発を伴わない。


その他の場合ではAHELを使い敵陣地内で発火させることで貯蔵品を引火させる、あるいは重要装備を使用不能にすることが想定される。いずれも防衛側の注意をひかずに実行できる。


空軍はAHEL実弾演習を来年に開始する準備に入っている。■


Air Force takes delivery of 'stealthy' laser weapon for Ghostrider gunships

Alex Hollings | October 8, 2021


2021年10月9日土曜日

USSコネティカットがグアム入港。米海軍は引き続き調査中とする一方、中国が猛烈な非難を表明中。

 Seawolf-class fast-attack submarine USS Connecticut

USSコネティカットが2016年12月に整備後にピュージェットサウンド海軍工廠から海上公試に出港した。 (Thiep Van Nguyen II/U.S. Navy via AP)



シナ海で正体不明の水中物体と衝突した米原子力潜水艦USSコネティカットがグアムに到着したと米海軍は10月8日公表した。


衝突時の状況や被害の程度に関し詳細情報が入手できないが、中国外務省が今回の事態に「深刻な懸念」を表明している。


「当事者の米国は事故の詳細を明らかにすべきで、発生地点、航行の目的、その他事故の詳細情報として何と衝突したのか、付近の海洋環境へ影響が出ていないのかなど公表すべきだ」(中国外務省報道官趙立堅)


事故発生は10月2日で、米太平洋艦隊から公表されたのが10月7日で艦の原子力推進系に損傷はないものの、何と衝突したのか判明していないとあった。発生場所についても同様だったが別の関係者から南シナ海だとの発言があった。


中国は南シナ海の主権を主張しており、米国や同盟国はこれを認めていない。南シナ海が米中の対立で多くを占めており、台湾も広くここに含まれる。


米潜水艦が南シナ海で水中衝突したとは尋常ではなく、海軍は調査中としているが、乗組員11名が負傷したとし、中程度から軽傷だったという。


コネティカットの母港はワシントン州ブレマートンでシーウルフ級攻撃型潜水艦の一隻。乗組員は140名。


これに対し中国外務省報道官趙立堅は今回の事故により「域内の平和安定に対する深刻な脅威と大きなリスク」を米海軍が南シナ海で引き起こしていることを露呈したとし、米国が中国の戦略的な同海域での主張に対抗していると指摘した。また米国が情報公表を遅らせていることを非難し、あわせてオーストラリアへ原子力潜水艦を提供する先月の取り決めは中国の軍事力経済力の高まりに対抗する一環だとした。


「米側は古色蒼然たる冷戦思考、ゼロサム思考、近視眼的地政学構想を捨て、域内の平和安定を弱めかねない誤った方法論を放棄すべきだ」(趙報道官)■


Damaged US Sub in Port After Collision in South China Sea

8 Oct 2021

Associated Press | By Robert Burn


台湾に一年以上前から米特殊部隊が展開していた。中国への抑止効果が生まれている。一方で米中両国の公式チャンネル接触が進む兆候。

                 

US ARMY

 

 

ォールストリートジャーナルの記事で米特殊部隊及び海兵隊が台湾に少なくともここ一年はローテーション派遣されているとある。台湾の国防部長が2025年になれば中国軍が台湾への「全面的」侵攻作戦を現在よりはるか低リスクで実行可能になると公の場で発言した翌日に記事が出てきた。

 

米特殊部隊隊員及び支援要員合計24名ほどが現在台湾におり、「台湾地上部隊に訓練を施している」とジャーナル記事にある。人数不明の海兵隊員も「現地の海兵隊員に小型ボート運用の訓練をしている」と伝えている。ここ一年の米軍の台湾でのプレゼンスが常駐だったのかは不明だ。

 

US ARMY CAPTURE

米陸軍公式ビデオよりのスクリーンキャプチャ。昨年出たビデオではグリーンベレー隊員が台湾特殊部隊隊員を指導していた。同ビデオはその後回収された。

 

 

ジャーナルの記事は昨年11月に海兵隊レイダー部隊が台湾に配備されたとの記事に注目し、台湾の海軍司令部がその時点で事実を認めたとある。台湾国防部はその後、同部隊の存在について肯定も否定もしないとした。ペンタゴン報道官も当時、こうした記事は「不正確」としたが、どの部分が正しくないのかは明らかにしていない。

 

「米特殊部隊の存在はこれまで報じられていない」とジャーナル紙記事は不正確な内容になっている。The War Zone他は米陸軍ビデオ、スクリーンキャプチャでグリーンベレー部隊が通常の統合共同交換訓練(JCET)として台湾に展開する様子を伝えていた。このビデオはその後回収された。別のレポートでは2017年に米特殊作戦司令部が公表した文書で特殊作戦部隊が台湾へその一年前に少なくとも一回派遣されていたとの記述がある。

 

JCETとは小規模の訓練で10名ないし40名の米軍関係者が加わり、一般的な技能に加え関連戦術、技能、手順を交換しあうもので、通常は同盟国や友邦国の特殊部隊が対象だ。このこととジャーナル紙記事が伝える台湾に派遣中の米特殊部隊隊員の規模と行っている内容が一致する。

 

ジャーナル紙記事では今年初めに出た米軍、おそらく米陸軍の第5保安支援旅団(SFRB)が台湾の訓練基地がある 湖口Hukou(北部新竹Hsinchu省)に展開していたとの未確認情報に触れていない。米陸軍・州軍にはSFRBが六個あり、軍事顧問機能を果たす。中でも第5SFABはワシントン州ルイス=マッコード共用基地に駐屯し、インド太平洋地区の保安部隊への支援が中心の部隊だ。そうなると米軍が湖口で目撃されたとする記事が正しければ、特殊部隊あるいは海兵隊の可能性がある。

 

台湾にいる米軍部隊の所属いかんにかかわらず、特殊部隊や海兵隊が派遣されているのなら話の筋道がつく。特に米陸軍特殊部隊は非通常型の戦闘作戦の支援について訓練を受けており、大規模交戦の場合も敵前線の後方に残る現地部隊とともに戦う、あるいは支援する想定だ。

 

今年5月、ジョシュ・ホーリー上院議員(共、ミズーリ)が米特殊部隊と台湾軍の協力関係深化を提言していた。クリストファー・マイヤー国防次官補(特殊作戦、低じん度紛争担当)の承認公聴会の席上で、ホーリー議員は米特殊部隊がバルト諸国のエストニア、ラトヴィア、リトアニアに展開し、ロシアの侵攻に対抗してきたのが台湾の事例のモデルになると具体的に発言していた。

 

「実施を強く検討すべき内容だと思う。特殊部隊は非対称型の対抗手段になる」とマイヤーは議員の発言を受けて述べている。その後マイヤーは議会の認証を受けている。ただし、本人はその時点で実際にそうした協力がすでに実施されていることに触れていない。

 

ジャーナル記事では小型ボート運用訓練にも触れているが、海兵隊は台湾軍向けにこの技術を伝授しており、将来に海峡をはさむ軍事対決が発生すれば重要な戦術となる。海兵隊ではゴム舟艇から対戦車誘導ミサイルを発射するなど柔軟な新戦術を開発していることはThe War Zone でも注目してきた。

 

USMC

米海兵隊がジェベリン対戦車誘導ミサイル装備をゴム舟艇に持ち込んで訓練している。日本での2021年の演習にて。

 

第5SFABが台湾に昨年来展開していたか確認できないが、実際に展開していても驚くにあたらない。SFAB分遣隊は台湾軍に各種の重要な助言を与える能力がある。米製新装備品の運用開始にあたり準備することもそのひとつだ。米政府は台湾政府に各種装備品の売却を承認しており、高性能版のブロック70仕様F-16C/Dヴァイパー戦闘機、MQ-9B無人機、地上発射方式のハープーン対艦ミサイル他多数がある。陸軍の教導隊は台湾が今後導入するM1A2Tエイブラムズ戦車やM106A6パラディン155mm自走砲の運用で支援を与えるのに最適だ。

 

小規模でも米軍部隊が台湾に定期派遣されれば抑止効果が生まれ、中国政府は米軍隊員に死傷者を発生させるのは躊躇するはずだ。死傷者が出れば、米政府は米国の同盟国として台湾での相互防衛義務に向かわざるを得なくなる。派遣部隊が規模を拡大すれば中国の意思決定により大きなインパクトを与える。

 

インド太平洋の戦略枠組みを説明した文書がトランプ政権末期の今年1月に機密解除されており、「台湾をして効果のある非対称型防衛戦略・能力を整備させ、安全と自由を確実にし、外部勢力に対する耐じん性を実現し、台湾の条件で中国に対抗させるものとする」との具体的な記述がある。同じ文書内で「中国が今後さらに強硬な態度を取り台湾へ統一を強いる場面が生まれる」と注意喚起しており、その後この記述が現実のものとなっている。

 

「台湾攻撃の能力は現在でも相手が有しているが、代償は高くつく」と台湾国防部長邱国正Chiu Kuo Chengが昨日発言している。同部長は2025年になる床の代償は相当低くなり、逆に台湾への「全面侵攻」の可能性が高くなると発言した。

 

中国政府の見解では台湾は反逆地方政府であり、軍事力を行使しても現地政府が独立宣言をするのを阻止すると繰り返し警告している。昨年から人民解放軍が挑発的な軍事展開を大幅に増やしており、台湾周辺で航空機と合わせ艦艇の活動も目立ってきた。すべて台湾当局への明確なメッセージであり、国際社会も視野に入れたものだ。台湾国防部によれば中国軍用機は今月だけで南西部の防空識別圏侵入が150ソーティを超えたという。

 

ウォールストリートジャーナルから米軍部隊の台湾内プレゼンスに関し質問を入れたところ、中国外交部は「中国はいかなる手段を取っても自国主権と領土の保全を守り通す」との声明文を出してきた。

 

「PLAは米侵略部隊を標的に一掃する攻撃を加えるはずだ」と環球時報主筆Hu Xijinが述べている。同紙は中国共産党が運営し、Huはツイッターでも同じような反応を記している。「本当なら中国軍はただちに開戦し、米兵を掃討し追いだすべきだ」としたのはテキサス選出ジョン・コーニン上院議員が誤って30千名の米軍隊員が台湾に派遣中とソーシャルメディアで述べてしまったからだ。

 

米政府は技術的には今も「一つの中国政府」を堅持しており、北京政府を中国の唯一の正統政体として1979年認識している。同時に米国は台湾関係者との交流ならびに台湾軍の支援を続ける権利を主張している。4月には米代表団が訪台し、台湾軍への支援他の継続性を伝えた。これと別に議会代表団が米空軍C-17AグローブマスターIII輸送機で6月に訪台している。

 

ウォールストリートジャーナル記事のいうように米軍が定常的な台湾へのプレゼンスを強めてきたのが真実なら、大陸との緊張が高まる台湾政体を支援する米国の姿勢のあらわれだろう。米軍が台湾軍に対し支援する様子がより詳細になれば、北京へのメッセージは明白となる。ペンタゴンは中国を「着々と強化を続ける脅威」"pacing threat"と位置づけ、米軍全体として大規模開戦への準備に焦点をあてつつ、実際に開戦にならないようインド太平洋地域で中国を抑止する姿勢をとっている。

 

ホワイトハウスからバイデン大統領が習近平主席と年末までにリモート会談を行うとの発表が出た。実現すれば、喫緊の課題に触れるのは確実だろう。チューリッヒで国家安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンが楊潔篪外交政策顧問と会談したのを受けこの発表が出た。

 

一方で、バイデン政権はトランプ政権同様に台湾を狙う中国の野望に前広に対応する姿勢を示し、公然とこれを実施しているので、台湾海峡の両側にどんな影響が出るのかが注目される。■

 

American Forces Have Been Quietly Deployed To Taiwan With Increasing Regularity: Report

 

A report that the U.S. military has been stepping up its activities in Taiwan for at least a year comes amid growing fears of a Chinese invasion.

BY JOSEPH TREVITHICK OCTOBER 7, 2021

 

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