企業ではCTOという立場なのでしょうか、技術分野を横断的にホリスティックに見られる人材が必要です。自由と繁栄を守るためにも技術分野の進歩が必要であり、当然ながら防諜活動を強化して成果を易々と盗まれないように守る必要もありますね。
ワシントンで開かれた国防次官任命聴聞会でのハイディ・シューMay 25, 2021. CAROLINE BREHMAN/CQ-ROLL CALL, INC VIA GETTY IMAGES)
ハィディ・シューHeidi ShyuR&D担当国防次官は整理すべき技術分野を模索したところ、これまで軽視されてきたが重要な分野を把握できという。
研究開発担当国防次官に任命されたシューは陸軍で調達幹部を務めた経験を活かし、開発優先リスト上の各種技術から削減対象を絞り込んだ。
だがこうした技術は中国の封じ込めに有効と理解するに至った。極超音速、人工知能、サイバーセキュリティ等である。
「当初は減らせると思っっていたが、結局増えることになった」(シュー)
防衛産業にとっては逆に頭痛になりかねない。業界では研究開発支出を優先順位に応じて整理しようとしている。リストは時の経過で変化しており、研究目標も科学技術上の突破口となる内容よりむしろ中庸なゴールを目指すことが多い。
だがシューは変革を目指す大胆な姿勢だ。上院での任命を巡る聴聞会でっシューはペンタゴンでは兵器開発費用の3割が開発調達にまわり、残る7割が維持に使われていると述べ、これを逆転させたいとした。
本人へのインタビューのポイントは以下の通り。
極超音速技術
シューはペンタゴンが極超音速装備複数事業へ多額の予算を投じることに反対との批判勢力の意見を共有する。
「負担可能な極超音速兵器開発をどう実現するかに焦点をあてている。そのため次の課題がある。適正な素材を使っているか。適正な試験施設があるのか」
国防総省は2022年度予算で28.65億ドルを要求し、極超音速技術開発を進めたいとする。直近では陸軍、海軍がそれぞれ極超音速関連予算を倍増させながら、空軍は40%削減している。空軍は空気吸い込みのジェット発進式極超音速体の実現に成功しており、陸軍は極超音速ミサイル配備を始めている。
研究開発上の課題が解決すれば、生産が伸び、単価が下るとシューは見ている。
シューは極超音速プロジェクトを整理統合し、実現確実な案件に絞り込むべきとみている。
「軍は実用化のため予算を計上する。そうなるとプロジェクトの成功度合に応じてどれに注力すべきか判断するのがよい」
人工知能
シリコンバレーで人工知能に莫大な予算が投じられており、ペンタゴンもAIツールの役割を理解すべくR&Dを独自に進め、安全かつ効果的な活用をめざすべきだ。
「業界はAIのML(機械学習)や自律運用に巨額を投じている。信頼できるALのML、信頼できる自律運用性能を実現したい。念頭にあるのは低価格、消耗覚悟で残存性が高い無人装備だ。このため、ALのMLと自律運用性能が信頼できる水準に鳴ることが肝要だ」
ここから新水準の性能を単に実現するだけでは十分ではなく、テスト活動、安全性、設計に従来より高い重点を置く必要が生まれる。これにより技術系企業大部分は実験活動の在り方を一変し、人工知能や機械学習ツールを活用できるはずだ。
サイバーセキュリティ
シューの考えるサイバーセキュリティは高度にネットワーク化され脅威を迅速に探知することによりファイヤーウォールを過信しない。
「国防総省のニーズを考えると各種センサーはいまのまま使えないと思う。必要なのはサイバー戦、電子戦と関連して作動させることで情報戦や通信もここに加わる。ごくごく短時間で探知して対応する必要がある」
その意味でオープンアーキテクチャの重要性が増しているという。
「一種類のアーキテクチャに固執することは避けなければならない。脅威も進化していくので旧式アーキテクチャを抱えることになっては困る。そこでモジュラー方式のオープンアーキテクチャにする。プロセッサーを安全なまま民生技術同様のスピードで進化させることがこれから重要となる」
マイクロプロセッサー
シューはCHIPS法に賛成しており、マイクロプロセッサー生産を米国に呼び戻す動きを支援する。だが国防総省は半導体の利用方法をもっと学ぶ必要があると指摘。「リアルタイム運用ではマルチコアのプロセッサを購入しているがプログラム方法を熟知しているからと正当化している。だからこそ研究費を増やしたい。16コアのプロセッサーあるいは32コアが生まれたら活用方法をあらたに探求する必要が生まれるからだ」
こうしたプロセッサをどう利用すべきなのか。一つは低帯域環境で処理能力を増やすことだ。ハイテク敵勢力が通信妨害に向かう際の対応だ。だが、シューは3D画像処理の向上が訓練に応用できると強調し、同時に通信、指揮統制にも使えるという。
「インタラクティブな3Dの実現に集中してききたい。3-D作戦センターを使い、各地に分散した部隊の指揮統制を低帯域環境で実施する」「これにより作戦立案が迅速になりミッション指令も行える。きわめて強力になる。技術はすでにある。新規投資が必要なわけではない。あと一押しすれば完成し、実戦部隊が活用できる」
宇宙
シューはバイデン政権は宇宙配備兵器の整備の可能性を排除しておらず、中国やロシアの衛星攻撃手段の排除構想はシューの前任者も想定していた。
「すべて極秘事項です」とするが、現政権の宇宙戦略では回復力に重点をおき、低コストで多数の衛星を投入することをめざしている。
バイオテク
シューはバイオテクノロジー特に高機能素材が将来の作戦でカギとなると述べている。8月に行われたDARPAの実証実験に触れている。
「48時間以内で水、砂、生物技術を応用してヘリコプター発着パッドを完成させた。すごい成果だ。兵たん経費が大幅に減り、現場で完成させた」
だが国防総省はバイオテクノロジーの応用範囲を広げる必要があり、兵員の身体活動へ健康状態のバイオメトリックデータ収集を実現し、指揮官が部隊の状況を適正に把握する状況を作りたいとし、これは軍のみならず一般社会にも応用できるという。
新分野New Focuses
シューは新素材がこうした各分野の突破口を開く上で重要となるとみている。
各案件を構想段階から実現に向かわせるカギは実戦部隊の手に早く渡すこととシューは述べた。
国防副長官キャスリーン・ヒックスが当方が仕切るイノベーション部会を準備してくれた。そこで急いで取り組んでいるのが迅速な開発とともに実験予算の確保だ。文字通り期待が高まる構想を取り上げ、実験で統合戦闘構想が求める内容とのギャップを埋めていく」「共同実験で単独では実行できなくても各軍のニーズに対応させていく。実戦部隊のトップと密接に作業しており、統合参謀本部とも連携している」と述べた。■
Pentagon’s Top Science Official Adds to Tech-Breakthrough
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OCTOBER 11, 2021 03:46 PM ET
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