どの国も相手国を助ける以上、その国が本当に努力することを前提とするものであり、アメリカの場合はアフガニスタンで苦い経験を積んでおり、いくら台湾が価値観を共有する民主陣営の国でも相応の負担を求めるのは当然でしょう。同じことは日本にもあてはまり、日本側の努力で米国は一定の評価をしているようですが、現状のままでいいとはないはずです。総選挙後にGDP比率論が再検討されると思いますが、日本国民も自由を享受する以上代償がついて回る当たり前の事実を認識すべきでしょうね。
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米国は中国の台湾侵攻に備え安全保障を保証すべきとの声が米国指導層から出ている。米国有識者にも米軍による台湾防衛を求める意見は根強く、台湾のため米国民の生命を犠牲にしてもよいという。ただし、米指導層は台湾に自国防衛に自ら犠牲をいとわない姿勢があるのか確かめるべきだ。
台湾が自国防衛に今以上の負担をいとわない姿勢なのかわからないうちに米国が対中戦にまきこまれるのではたまらない。台湾住民が自国防衛に命をささげることを冷笑する間に米軍の男女が台湾周辺の海域で生命を絶たれる事態が発生してからでは遅い。
まず、これは「先に小切手帳を見せてくれるのならそちらの優先順位を見てやる」という古典的な例だ。米国は自国民の保護とグローバルレベルの権益保護を重要視しており、毎年GDP比3.5%を国防費に費やしているのがその証拠だ。
2016年の台湾はGDP比1.6%を国防費に計上し、来年はさらに増やし2.1%支出とする。米国内の世論リーダーから台湾へ安全保障上の保証を与えても台湾指導部が米国が提供するので自国の防衛負担を減らすことがないよう留意すべきとの意見も出ている。
二番目に、その国の市民が軍に志願し、自国防衛に命をささげる覚悟があるのかが重要だ。米軍は完全志願制だが入隊者を確保してきた。目標数に到達しないことが常とはいえ、隊員数としては十分だ。これに対し台湾軍はいつも人員不足に悩まされている。軍役につく台湾人はごくわずかで、今年初めでも台湾軍の第一線部隊の人員充足率はなんと6割を切っていた。
タイペイタイムズ紙が志願年齢の台湾若年層の意識調査を数年前に行ったところ、「軍勤務に無関心かつ強い抵抗感」があると判明した。
ある元台湾海兵隊員はこの無関心さについて「戦闘勃発の可能性が低い、敵となる存在がないのに訓練を進める理由が薄弱」と考えるからと説明している。2018年のロイター記事に過去三年で予備役隊員1千名が「訓練義務を忌避」したとある。
台湾住民の多くが本当に中国の脅威を意識していないのか、攻撃を受けても中国を撃退できないと考えているのか、あるいは軍勤務で「時間を無駄に使いたくない」と考えているのか不明だ。だがこの状況はアフガニスタンを想起させる。アフガン部隊では戦っても勝てないと考え敵と取引するほうが多かった。そのためここ20年にわたり米軍部隊の成果があっても状況は好転しなかった。
ロシアが2014年にクリミアを一発も撃たずに併合したのはロシアがクリミア防衛隊に抵抗すれば無駄死にになると事前説得したためだ。中国が台湾侵攻に踏み切っても同じことが発生しない保証はない。
台湾政府が国防予算を適正水準で維持しない場合、台湾の男女が自国防衛に立ち上がらない場合に米国民を戦闘投入し台湾防衛に生命を犠牲にするのは道徳上寛容できない。自国部隊の福祉を重要視するような国に米国民を送ることを米世論リーダー層、政府指導層が声高に唱えるのはそろそろやめてほしいところだ。■
Why Should American Soldiers Die for Taiwan?
ByDaniel DavisPublished1 day ago
Now a 19FortyFive Contributing Editor, Daniel L. Davis is a Senior Fellow for Defense Priorities and a former Lt. Col. in the U.S. Army who deployed into combat zones four times. He is the author of “The Eleventh Hour in 2020 America.” Follow him @DanielLDavis1
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