SCREEN CAPTURE FROM @MISONOR
川崎重工業のC-2軍用輸送機は全くの新型機というわけではない。航空自衛隊での供用は2016年に始まっているからだ。とはいえ航空機スポッターがとらえた画像で先に登場した同じ川崎のC-1との比較が話題をかもしている。
C-2が各務原飛行場でC-1と並んで駐機している様子を捉えた写真だ。撮影したRikizo Misono (@misonor)は短いビデオ映像も公開しており、両機は親子のようだ。両機の大きさの違いに改めて驚く向きも多い。
親子になぞらえらえたが、「親」のC-1が先に登場し、大型のC-2が「子ども」だ。
日本はC-1後継機としてC-2を今世紀に入り開発開始した。ちょうど日本が国際任務を広範に実施し始めたころのことだった。C-1は第二次大戦時の米製旧型ピストン輸送機に代わる輸送機として企画され、最高時速430ノットながら航続距離は中途半端となったのは日本の防衛方針のためで、1974年に運用を開始した。通常運用で18千ポンドの運搬能力があり、C-130初期型より相当低い。C-1運用は今日も続いているが、運用上で制約がつく。
JAPAN MINISTRY OF DEFENSE VIA WIKIMEDIA
原型XC-2が量産型C-2と並んで飛行している。
そこで中距離中型輸送機開発がC-X輸送機として1995年に初めて予算化された。2001年にC-Xと当時MPXと呼ばれたのちのP-1哨戒機の同時開発で民間企業へ提案を防衛省が求めた。その時点で業界に懐疑的な見方が強かったが、P-1とC-2では一部サブシステム等の部品を共通化している。
巨大に見えるC-2だが、サイズはC-17とC-130の間で、性能も同様だ。事実、同機に一番近いのはターボプロップ方式のエアバスA-400Mだ。C-2はジェネラルエレクトリックCF6-80C2K1F高バイパス比ターボファン双発で、これは767搭載エンジンに近く、C-1のJT8D-M-9エンジンはとても小さく見える。同エンジンはプラット&ホイットニー原設計でライセンス生産された。推力の点では両機搭載エンジンの差は歴然としており、C-1は各14,500 lbsなのに対しC-2のCF6は各60,000 lbsだ。
JAPAN MOD
C-1が並んだ威容
C-2もC-1同様に短距離離着陸性能を実現しており、軍用輸送機としては異色の存在だ。双発仕様も同様だ。運航維持面で双発は扱いが楽だし燃料消費効率も高いもののエンジン喪失時の柔軟性が欠点となる。
C-2の大型後部貨物扉はC-1では不可能だった大型貨物の取り扱いを可能とした。ペイトリオット地対空ミサイル、装甲車両さらに三菱H-60ヘリコプターも搭載できる。
MINISTRY OF DEFENSE
C-2が軍用トラックを運んできた
C-2により自衛隊は兵員貨物の迅速展開が可能となり、人道援助等への機材提供も可能となった。日本が従来より広範な国際任務を想定する中でC-2は重要な機材だ。2021年8月にはアフガニスタンのハミド・カルザイ国際空港にC-2が派遣されていた。
C-2はC-1に対し圧倒的な優位性がある。航続距離、速力、ペイロードが拡大したほか、C-2には新技術が導入されており、操縦席周りや飛行制御系、自動空中投下機能、自機防御装備、空中給油能力が導入されている。
そこでC-2に貨物輸送以外の任務を期待する声がある。日本は試作二号機を電子情報収集用RC-2に改装し、周辺国の脅威の高まりに呼応し、重要な機材になっている。
軍用機の国際市場で日本製装備品は大きな存在ではないが、C-2はP-1とあわせ海外販売されることになり、エアバスA400MやイリューシンIl-76と競合している。ただし海外での成約はまだない。航空自衛隊の調達規模は22機とC-1の31機より下回る。
各務原に駐機するC-1とC-2の姿からツイッターで驚きの声が続いたが、軍用機開発に向けた日本の熱意とともに数十年で運用能力がここまで高まったことが改めてわかる。■
Japan’s C-2 Cargo Jet Absolutely Dwarfs The C-1 It Was Developed From In This Viral Video
A video of a Kawasaki C-2 taxing past its smaller ‘parent,’ the C-1, shows just how big a leap in size and capability the C-2 offers.
BY BRIAN O'ROURKE THOMAS NEWDICK TYLER ROGOWAY OCTOBER 6, 2021
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