F-15E Strike Eagles taxi into formation June 12, 2019, at Mountain Home Air Force Base, Idaho. U.S. AIR FORCE / STAFF SERGEANT JEREMY L. MOSIER
戦闘機パイロット、乗員にガン発症率が高いことが空軍調査で判明した。睾丸がんは30%近く、皮膚がん・前立せんがんは25%近く高いと空軍が行った総合研究で判明している。
米空軍の戦闘機パイロットや乗員でその他隊員より高い率でがん診断が見られると空軍の最新研究が指摘している。
これまでも戦闘機乗員がガンに発症する率が高いといわれてきたが、子飼初めて関連性を確認する形となった。これまでの研究では総合的な視点が不足し、立証するまで至っていなかった。
研究ではF-100スーパーセイバーのパイロットが航空勤務につかない空軍隊員や一般市民に比べて高い発症率を示していと指摘しており注目される。
この研究は「戦闘機乗務員のがん発症死亡率」を研究したもので空軍研究本部の第711人員作業能率団が実施した。空軍で1970年から2004年にフライト累計が100時間超の隊員を追跡調査した。
研究では「戦闘機航空士官」の戦闘機パイロットや兵装システム士官34,976名を考察した。ガン発症率はその他の空軍関係者(同じく1970年から2004年にかけ一日以上現役勤務した非飛行乗員)316,262名と比較された。
飛行勤務につかなかった対象との比較で戦闘機パイロットや乗員では睾丸ガンで29%、メラノーマで24%、前立腺がんで23%も発症率が高いことが判明した。
一般の米国民との比較では戦闘機搭乗員は非Hodgkinリンパ腫で13%、メラノーマで25%、睾丸がんで19パーセントそれぞれ高い発症率を示した。また戦闘機搭乗員はその他のがんでも同様の傾向があり、非航空勤務要員より高い発症率を示した。また一般国民と比べると腎臓がん、甲状腺がん、ぼうこうがん含む他症例は低いことが判明した。
「現役及び退役戦闘機乗務員にはこの研究をもとに航空医官やその他プライマリケア施設での相談を推奨するほか、ビタミンD摂取、ライフスタイルでがん予防をつとめ、メラノーマ皮膚がん、睾丸がんの予防の相談をお勧めする」と研究本文に記載がある。
研究は軍内部に根強い懸念にこれまでで最も直截切り込んだ形となった。飛行勤務ががん発症を増やしているのか。
「軍の航空要員にがん発症が多いのに誰も注意を払わなかった」「2017年、2018年、2019年と全く変化がなかったのに2021年になりこの結果が公表された。空軍で話題となっている」と語るヴィンス・アルカザルはF-15Eのパイロット出身でレッドリバーバレイ戦闘機パイロット協会で医療問題を率いる。退役軍人支援を進める民間団体だ。
空軍の研究結果では機体ごとの発症率を比較している。ただし、一定の限界がある。研究ではヴェトナム戦争時代の機体のみを取り上げている。F-100、F-4、F-105、RF-4の乗員でのがん発症率を比較している。ただし同研究では2004年時点で供用されていた機体としてF-16やF-15も対象になっている。
以前出ていた空軍報告書ではF-15EとC-130の乗員にクラスターが発生していると判明していたが、今回の研究ではこうした機体について説明がない。
それでも初の超音速戦闘機F-100スーパーセイバーでの発症率の高さに驚かざるを得ない。
「男性航空士官でF-100を操縦したものに大腸がん・直腸がんによる死亡が多い。メラノーマや皮膚がん、前立腺がん、脳がんも同様だ。甲状腺がんや非ホジキンリンパ腫の診断が見つかる例も多い」と報告書にある。
F-105やF-4を操縦していた者でも睾丸、メラノーマ、前立腺のがんが見つかる症例が多くなっている。
さらに大規模な調査が議会の求めに応じ展開中だ。国防健康庁(DHA)が実施しており、空軍以外の軍部隊も対象としている。初期結果が今年末に出る予定だとダイアン・ファインスタイン上院議員(民主・カリフォーニア)事務所が述べている。
DHA調査はファインスタイン上院議員が昨年の国防予算法案でペンタゴンに軍の航空勤務の経験者に一般米市民よりがん発症率が高いといえるのか調査を求めたことに由来する。
DHA調査で航空部隊のがん発症率が高くないと判明すれば、議会は国防長官ロイド・オースティンに対しさらに大規模かつ実施が容易でない調査の実施を求めるはずだ。研究では因果関係の考察を求め、例えばコックピットに座ったことと関連があるのか、燃料溶剤やレーダー波他の環境要因への露出がどう影響するのか。また操縦した機材ごとのがん発症率も算出するはずだ。最後に軍経験者へのがん発見検査の提言も含まれよう。
ファインスタイン含む議会関係者が提出した法案では航空士官のがん問題への対処を求めており、これは戦闘機パイロット経験者からがん発症率死亡率が一般より高いと昨年に問題提起されたのがきっかけだ。
その動きを率いたのたのがトーマス・「ブーツ」・ヒルでF-4、F-14を海軍で操縦したのちに143打撃戦闘機飛行隊を率い、空母ジョージ・ワシントンでエアボスとなった人物だ。
同僚飛行士菅にがん発症が多いことに気づき、ヒルはトムキャットの操縦を務めた者等を追跡しデータベースをエクセルで自作したが本人もがんで死亡した。
空軍による研究と並び各軍含む対象の研究が今年末に出てくる予定なのは「大きな成果となる」とヒルのムづmrローレン・ファレリーは述べ、「すべてが無駄ではなかったとわかる。データベース作成が無駄ではないことが証明される。今後も取り組むべき対象だ」という。
ヒルは69歳で9日前に死亡したが、10年に及ぶ食道がんとの戦いをしていた。海軍航空部門で23年間にわたり、飛行時間3,600時間を記録し、空母着艦を960回も行った。「私の息子二人も父と同じ道を目指している」とファレリーは述べた。■
Cancers Strike US Fighter Pilots, Crews at Higher Rates, Air Force Finds
SENIOR PENTAGON REPORTER, DEFENSE ONE
OCTOBER 24, 2021
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。