イスラエルを先週訪問した米海軍第五艦隊司令官ブラッド・クーパー中将が米イ両国海軍の共同作戦の詳細の一部を明らかにした。
クーパー中将はイスラエル国防相ベニー・ガンツ、IDF参謀総長アヴィヴ・コハヴィ中将、イスラエル海軍司令デイヴィッド・サアル・サラマ中将他イスラエル海軍高官と会談した。
会談で中心になったのは湾岸地方や紅海でのイランによる脅威の高まりに対応する両国間調整だったと軍事筋が述べている。両国海軍は共同行動をイラン脅威に対し展開する構想を温めているとされ、イランの有人無人高速襲撃艇への対応もそのひとつだが、詳細は漏れ伝わってこない。
イスラエル筋からは会談の結果として「オープンチャンネル」が米イスラエル両国の海軍部隊間で開設され、共同作戦の実をあげるという。
「調整作業は日常レベルで必要となって来た。常時事件が発生しているためだ」とエイモス・ジリード退役少将が解説している。同少将はイスラエル国防軍で軍事情報調査部門の長も務めた。
今回の第五艦隊司令官訪問はイスラエルがこれまでの米欧州軍(EUCOM)から米中央軍(CETCOM)へ管轄が変わった事への対応でもあり、イスラエル海軍の海軍作戦部長ダニエル・ハガリ少将によれば、CENTCOMへの移行は「イスラエル海軍活動へ大きな影響を及ぼし、海洋ドメインでの責任分野を広げている」という。
クーパー中将の訪問と時をあわせ、イスラエル海軍と第五艦隊の新しい二国間協力としてUSSオケインがハイファ港に寄港した。
USS オケインが10月にハイファに寄港した (Port of Haifa)
米海軍報道部は今回の会談について以前発表以上の詳細は明らかにしていない。
注目されるイスラエル製装備品
イスラエル海軍はここにきてイスラエル国防費でのウェイトが増えている。ドイツからサール6型海防艦やドルフィン2高性能潜水艦を調達している。
このうち潜水艦は極秘扱いだが、サール6海防艦に搭載の装備品について詳細の一部が明らかになっている。合同防空装備としてバラク-8およびC-ドーム(アイアンドームの海軍仕様)が搭載されている。「両装備を発射するシナリオもある」とイスラエル海軍筋が述べている。
サール6海防艦 Middle East Online
サール6海防艦はイスラエルのEEZ防衛を主眼に導入されている。EEZは地中海にあり、大規模なガス埋蔵量が確認されており、レバノンのヒズボラ勢力の格好の標的になるとされる。だが、紅海やアラビア海ではイラン支援を受けた貨物船襲撃事件が7月にあり、高性能の威力を誇る同海防艦を展開する可能性もある。
バラク-8はイスラエル航空宇宙工業(IAI)が製造し、航空機、ヘリコプター、無人機、シースキミングミサイルを標的とする。フェイズドアレイレーダーを搭載し、二方向データリンクで指揮統制機能を柔軟に実行する。
IAIは同装備を搭載した艦艇間の「相互接続性」を強調する。バラク-8の射程は現在43マイルだが、同社は拡大射程版を開発中で93マイルをめざす。サール6に垂直発射管が6本あり、各8発のミサイルを運用すると消息筋が述べている。
これに対しC-ドーム防御装備はラファエルの製品で陸上仕様のアイアンドーム同様に迅速な連続発射で飽和攻撃に対応する。発射装置は甲板下に搭載される。
C-ドームは艦の監視レーダーを利用し、専用の火器管制レーダーは不要だ。ラファエルによれば迎撃ミサイルは保守管理が不要で、密閉キャニスターに格納し、垂直発射装置で迎撃ミサイル8発を運用できる。■
Israel, US Navies Set Up New Coordination Efforts On Iran: Sources
By ARIE EGOZI
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